説明

自動取引装置

【課題】後面保守型の自動取引装置において、通常時に、媒体の挿入や抜き取りを阻害することなく、保守時に、ユニット口に隙間ができるのを回避する。
【解決手段】ユニット口12の内部に設けられ、ユニットの先端部に形成された指逃げ部と同形状の凹部41を備える第1シャッタ21aと、第1シャッタに対向するようにユニット口よりも内側に設けられ、凹部を封鎖する凸部42を備える第2シャッタ21bと、第1シャッタに対し、常に、閉鎖方向に付勢する第1シャッタ作動機構(バネ32a)と、第2シャッタに対し、常に、閉鎖方向に付勢する第2シャッタ作動機構(バネ32b)とを有し、第1シャッタ及び第2シャッタは、通常時に、ユニットからの押圧を受けて開放方向に動き、一方、保守時に、ユニットからの押圧が解除されることにより、それぞれに対応する第1シャッタ作動機構及び第2シャッタ作動機構からの付勢を受けて閉鎖方向に動く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置に関し、特に、保守時に、筐体の内部の1乃至複数のユニットが筐体の後面側から引き出される後面保守型の自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関や流通機関には、いわゆる「ATM」と称される、自動取引装置が多数設置されている。自動取引装置の中には、後面保守型の装置がある(例えば、特許文献1参照)。なお、「後面保守型」とは、保守時に、筐体の内部の1乃至複数のユニットを筐体の後面側から引き出して、保守作業を行うことができる構成の装置を意味している。また、「保守作業」とは、ユニットの点検作業や、交換作業、調整作業等の、装置の状態を正常に保つための作業を意味している。
【0003】
以下、図17及び図18を参照して、従来の後面保守型の自動取引装置の構成につき説明する。図17は、従来の自動取引装置の全体の構成を示す図である。図18は、従来の自動取引装置のユニット口周りの構成を示す図である。図18(a)は、斜め下方向から見た、ユニット挿入時のユニット口1012周りの構成を示している。また、図18(b)は、ユニット引き出し時のユニット口1012周りの構成を示している。
【0004】
図17に示すように、従来の自動取引装置(以下、「ATM1000」と称する)は、筐体1002の前面側に、フロントパネル1003、前扉1004、及び、ユニット口1012,1013を有しており、また、後面側に、後扉1005を有している。
【0005】
フロントパネル1003は、筐体1002の前面側の上部部分を保護する上部カバーである。
前扉1004は、筐体1002の前面側の下部部分を保護する下部カバーである。
ユニット口1012,1013は、筐体1002の内部に収納されたユニット1006の一部(主に、その先端部分)を外部に露出させるための開口部である。
後扉1005は、筐体1002の後面側を保護するカバーである。
【0006】
なお、ユニット口1012は、キャッシュカードや振込カード等のカード媒体から情報を読み取るカードユニット1006用の開口部である。また、ユニット口1013は、通帳から情報を読み取ったり、通帳に取引情報を印字したりする通帳ユニット用の開口部である。
【0007】
保守員は、保守時に、後扉1005を開き、各種のユニット(例えば、カードユニットとして構成されたユニット1006)を後方に引き出して、保守作業を行う。このとき、後面保守型のATM1000は、筐体1002の前面側に設けられたユニット口1012が開口された状態になる。
【0008】
そのため、従来のATM1000は、顧客が開口されたユニット口1012の前方から誤ってカード等を挿入する可能性がある。従来のATM1000は、その状態で、保守員が後方からユニット1006を筐体1002の内部に挿入すると、カードが破損する可能性がある。
【0009】
そこで、従来のATM1000は、顧客が開口されたユニット口1012の前方から誤ってカード等を挿入しないように、ユニット口1012を塞ぐシャッタ1021が設けられている。
【0010】
シャッタ1021は、下端部が、筐体1002の内部のユニット口1012よりも後方の下側の位置で軸支されている。そのため、図18(a)に示すように、シャッタ1021は、ユニット1006が筐体1002の内部に挿入されたとき(以下、「ユニット挿入時」と称する)に、ユニット1006の先端部分がシャッタ1021の裏面に当接して押圧することにより、前方に転倒する。その結果、シャッタ1021は、水平方向に転倒した状態になる。このとき、シャッタ1021は、ユニット1006の先端部分の底面の下に潜り込んだ状態で、ユニット口1012から前方に突出する。
【0011】
なお、ユニット1006は、媒体(例えば、カード媒体)を筐体1002の内部に案内するための挿入排出口(図18(a)に示す例では、カード挿入排出口1006a)が設けられている。そして、挿入排出口の先端部分には、指逃げ部が設けられている。指逃げ部は、顧客の手と挿入排出口とが当接して、媒体の挿入や抜き取りが阻害されないようにするための凹部である。指逃げ部は、顧客が媒体の挿入や抜き取りを容易にできるようにするために設けられている。
【0012】
シャッタ1021は、挿入排出口の指逃げ部の形状に合わせて、挿入排出口の指逃げ部と同形状の指逃げ部1022が設けられている。
【0013】
なお、ATMの中には、保守時に、指逃げ部を塞ぐ構成のものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、特許文献2に記載された装置は、スライドプレートの直線運動によって小開口部を閉鎖する構成であるため、スライドプレートを直線運動させるための複雑な構成が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2005−141618号公報
【特許文献2】特開2010−182127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来の自動取引装置は、前記した通り、通常時に、媒体の挿入や抜き取りが阻害されないように、ユニットの先端部分に設けられた指逃げ部と同形状の指逃げ部がシャッタに設けられている。
【0016】
しかしながら、従来の自動取引装置は、ユニットを後方に引き出したときに、シャッタに指逃げ部が設けられているため、ユニット口に隙間ができてしまう。そのため、従来の自動取引装置は、顧客がその隙間から誤ってカード等を挿入する可能性があり、カード等の誤挿入を完全に防止することができない、という課題があった。
【0017】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、通常時に、媒体の挿入や抜き取りを阻害することなく、保守時に、ユニット口に隙間ができるのを回避する自動取引装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本願発明の発明者は、2通りの技術思想のいずれか一方を導入することによって、前記目的を達成することができると考えた。
1つ目は、ユニットの先端部分に設けられた指逃げ部と同形状の指逃げ部をシャッタに設ける代わりに、保守時に、シャッタの指逃げ部を別のシャッタで封鎖する技術思想である。
2つ目は、シャッタに指逃げ部を設けない代わりに、通常時に、シャッタがユニットの先端部分に設けられた指逃げ部の内部に突出しないようにする技術思想である。
【0019】
前記目的を達成するため、第1発明は、筐体の内部に収納されかつ先端部分に指逃げ部が形成されたユニットの一部を外部に露出させるためのユニット口が当該筐体の前面側に設けられており、保守時に、当該ユニット口が開口される自動取引装置であって、前記ユニット口よりも後方に設けられ、前記指逃げ部と同形状の凹部を備える第1シャッタと、前記第1シャッタに対向するように前記ユニット口よりも後方に設けられ、前記凹部を封鎖する凸部を備える第2シャッタと、前記第1シャッタに対し、閉鎖方向に付勢する第1シャッタ作動機構と、前記第2シャッタに対し、閉鎖方向に付勢する第2シャッタ作動機構とを有し、前記第1シャッタ及び前記第2シャッタは、前記第1シャッタの上端部から下端部までの長さ及び前記第2シャッタの上端部から下端部までの長さの合計が前記ユニット口の上端部から下端部までの長さ以上の値に設定されており、かつ、通常時に、前記ユニットからの押圧を受けて開放方向に動き、一方、保守時に、前記ユニットからの押圧が解除されることにより、それぞれに対応する前記第1シャッタ作動機構及び前記第2シャッタ作動機構からの付勢を受けて閉鎖方向に動く構成とする。
【0020】
この自動取引装置は、ユニットの先端部分に設けられた指逃げ部と同形状の指逃げ部をシャッタに設ける代わりに、保守時に、シャッタの指逃げ部を別のシャッタで封鎖する構成となっている。
【0021】
具体的には、この自動取引装置は、第1シャッタがユニットの先端部分に設けられた指逃げ部と同形状の凹部(指逃げ部)を備えている。そのため、第1シャッタは、通常時に、ユニットの指逃げ部の内部に突出しない。したがって、この自動取引装置は、通常時に、媒体の挿入や抜き取りを阻害しない構成になっている。しかも、この自動取引装置は、保守時に、第2シャッタの凸部が第1シャッタの凹部を封鎖するように、第1シャッタ及び第2シャッタが動く。そのため、第1シャッタ及び第2シャッタは、保守時に、ユニット口を隙間なく塞ぐ。したがって、この自動取引装置は、保守時に、ユニット口に隙間ができるのを回避することができる。なお、ここでは、「隙間」とは、厳密には、許容可能な範囲を超える隙間を意味している(以下、同様)。したがって、「隙間なく」とは、厳密には、許容可能な範囲内であれば、若干の隙間(例えば、数mmの隙間)が存在する状態であってもよいことを意味している。
【0022】
また、第2発明は、筐体の内部に収納されかつ先端部分に指逃げ部が設けられたユニットの一部を外部に露出させるためのユニット口が当該筐体の前面側に設けられており、保守時に、当該ユニット口が開口される自動取引装置であって、前記ユニット口よりも後方に設けられ、前記指逃げ部と同形状の凹部を備えるメインシャッタと、前記メインシャッタの裏面に軸支され、前記凹部の周囲で開放方向又は閉鎖方向に動くサブシャッタと、前記メインシャッタに対し、閉鎖方向に付勢するメインシャッタ作動機構と、前記サブシャッタに対し、開放方向に付勢するサブシャッタ作動機構とを有し、前記メインシャッタは、その上端部から下端部までの長さが前記ユニット口の上端部から下端部までの長さと同等の値に設定されており、かつ、通常時に、前記ユニットからの押圧を受けて開放方向に動き、一方、保守時に、前記ユニットからの押圧が解除されることにより、前記メインシャッタ作動機構からの付勢を受けて閉鎖方向に動き、前記サブシャッタは、通常時に、前記メインシャッタが開放方向に動くことにより、前記サブシャッタ作動機構からの付勢を受けて開放方向に動き、一方、保守時に、前記メインシャッタが閉鎖方向に動くことにより、前記サブシャッタの周囲の部材と当接して閉鎖方向に動く構成とする。
【0023】
この自動取引装置は、ユニットの先端部分に設けられた指逃げ部と同形状の指逃げ部をシャッタに設ける代わりに、保守時に、シャッタの指逃げ部を別のシャッタで封鎖する構成となっている。
【0024】
具体的には、この自動取引装置は、メインシャッタが指逃げ部として機能する凹部を備えている。そのため、メインシャッタは、通常時に、ユニットの指逃げ部の内部に突出しない。したがって、この自動取引装置は、通常時に、媒体の挿入や抜き取りを阻害しない構成になっている。しかも、この自動取引装置は、保守時に、サブシャッタがメインシャッタの凹部を封鎖するように、メインシャッタ及びサブシャッタが動く。そのため、メインシャッタ及びサブシャッタは、保守時に、ユニット口を隙間なく塞ぐ。したがって、この自動取引装置は、保守時に、ユニット口に隙間ができるのを回避することができる。
【0025】
また、第3発明は、筐体の内部に収納されかつ先端部分に指逃げ部が設けられたユニットの一部を外部に露出させるためのユニット口が当該筐体の前面側に設けられており、保守時に、当該ユニット口が開口される自動取引装置であって、前記ユニット口よりも後方に設けられ、前記ユニット口を塞ぐように矩形に形成されたシャッタと、前記シャッタに対し、閉鎖方向に付勢するシャッタ作動機構とを有し、前記シャッタは、その上端部から下端部までの長さが前記ユニット口の上端部から下端部までの長さ以上の値に設定されており、かつ、開放方向に動いた場合に、前方に回動して、水平方向に転倒した転倒状態となり、一方、閉鎖方向に動いた場合に、後方に回動して、起立状態又は傾斜状態となるように、前記ユニット口よりも後方で軸支されており、前記シャッタを軸支する支点は、前記シャッタの上端部が前記指逃げ部の内部に突出しない位置に設けられている構成とする。
【0026】
この自動取引装置は、シャッタに指逃げ部を設けない代わりに、通常時に、シャッタがユニットの先端部分に設けられた指逃げ部の内部に突出しない構成となっている。
【0027】
具体的には、この自動取引装置は、シャッタの上端部がユニットの先端部分に設けられた指逃げ部として機能する凹部の内部に突出しない位置に、シャッタを軸支する支点が設けられている。そのため、シャッタは、通常時に、ユニットの指逃げ部の内部に突出しない。したがって、この自動取引装置は、通常時に、媒体の挿入や抜き取りを阻害しない構成になっている。しかも、この自動取引装置は、シャッタがユニット口を塞ぐように矩形に形成されている。そのため、シャッタは、保守時に、ユニット口を隙間なく塞ぐ。したがって、この自動取引装置は、保守時に、ユニット口に隙間ができるのを回避することができる。
【0028】
また、第4発明は、筐体の内部に収納されたユニットの一部を外部に露出させるためのユニット口が当該筐体の前面側に設けられており、保守時に、当該ユニット口が開口される自動取引装置であって、前記ユニット口よりも後方に設けられ、前記ユニット口を塞ぐように矩形に形成されたシャッタと、前記シャッタは、その上端部から下端部までの長さが前記ユニット口の上端部から下端部までの長さ以上の値に設定されており、かつ、開放方向に動いた場合に、後方に回動して、水平方向に転倒した転倒状態となり、一方、閉鎖方向に動いた場合に、前方に回動して、起立状態となるように、前記ユニット口の近傍の位置で軸支されている構成とする。
【0029】
この自動取引装置は、シャッタに指逃げ部を設けない代わりに、通常時に、シャッタがユニットの先端部分に設けられた指逃げ部の内部に突出しない構成となっている。
【0030】
具体的には、この自動取引装置は、シャッタが、ユニット口の近傍の位置で軸支されている。そして、シャッタは、開放方向に動く場合に(すなわち、通常時に)、後方に回動して、水平方向に転倒した転倒状態となる。そのため、シャッタは、通常時に、ユニットの指逃げ部の内部に突出しない。したがって、この自動取引装置は、通常時に、媒体の挿入や抜き取りを阻害しない構成になっている。しかも、この自動取引装置は、シャッタがユニット口を塞ぐように矩形に形成されており、閉鎖方向に動く場合に(すなわち、保守時に)、前方に回動して、起立状態又は傾斜状態となる。そのため、シャッタは、保守時に、ユニット口を隙間なく塞ぐ。したがって、この自動取引装置は、保守時に、ユニット口に隙間ができるのを回避することができる。
【0031】
また、第5発明は、筐体の内部に収納されたユニットの一部を外部に露出させるためのユニット口が当該筐体の前面側に設けられており、保守時に、当該ユニット口が開口される自動取引装置であって、前記ユニット口を塞ぐように矩形に形成されたシャッタと、前記シャッタを前記ユニット口と平行に摺動させるシャッタ作動機構とを有している構成とする。
【0032】
この自動取引装置は、シャッタに指逃げ部を設けない代わりに、通常時に、シャッタがユニットの先端部分に設けられた指逃げ部の内部に突出しない構成となっている。
【0033】
具体的には、この自動取引装置は、シャッタがユニット口と平行に摺動する。そのため、シャッタは、通常時に、ユニットの指逃げ部の内部に突出しない。したがって、この自動取引装置は、通常時に、媒体の挿入や抜き取りを阻害しない構成になっている。しかも、この自動取引装置は、シャッタがユニット口を塞ぐように矩形に形成されている。そのため、シャッタは、保守時に、ユニット口を隙間なく塞ぐ。したがって、この自動取引装置は、保守時に、ユニット口に隙間ができるのを回避することができる。
【0034】
また、第6発明は、筐体の内部に収納されたユニットの一部を外部に露出させるためのユニット口が当該筐体の前面側に設けられており、保守時に、当該ユニット口が開口される自動取引装置であって、前記ユニット口又はその後方に設けられ、複数枚のシャッタが折り畳み及び展開が可能に連結されて、全体の形状が前記ユニット口を塞ぐように矩形に形成された折畳型シャッタと、通常時に、前記折畳型シャッタを開放方向に動かし、一方、保守時に、前記折畳型シャッタを閉鎖方向に動かすシャッタ作動機構とを有している構成とする。
【0035】
この自動取引装置は、シャッタに指逃げ部を設けない代わりに、通常時に、シャッタがユニットの先端部分に設けられた指逃げ部の内部に突出しない構成となっている。
【0036】
具体的には、この自動取引装置は、シャッタが折畳型シャッタとして構成されている。そのため、シャッタは、通常時に、ユニットの指逃げ部の内部に突出しない。したがって、この自動取引装置は、通常時に、媒体の挿入や抜き取りを阻害しない構成になっている。しかも、この自動取引装置は、シャッタの全体の形状がユニット口を塞ぐように矩形に形成されている。そのため、シャッタは、保守時に、ユニット口を隙間なく塞ぐ。したがって、この自動取引装置は、保守時に、ユニット口に隙間ができるのを回避することができる。
【発明の効果】
【0037】
第1発明によれば、通常時に、媒体の挿入や抜き取りを阻害することなく、保守時に、ユニット口に隙間ができるのを回避する自動取引装置を提供することができる。
【0038】
同様に、第2発明、第3発明、第4発明、第5発明、及び、第6発明の各発明によれば、それぞれ、通常時に、媒体の挿入や抜き取りを阻害することなく、保守時に、ユニット口に隙間ができるのを回避する自動取引装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】実施形態1に係る自動取引装置の全体の構成を示す図である。
【図2】実施形態1に係る自動取引装置のユニット口周りの構成を示す図(1)である。
【図3】実施形態1に係る自動取引装置のユニット口周りの構成を示す図(2)である。
【図4】実施形態1に係る自動取引装置のユニット口周りの構成を示す図(3)である。
【図5】実施形態1に係るシャッタ機構の構成を示す図である。
【図6】実施形態2に係る自動取引装置の全体の構成を示す図である。
【図7】実施形態2に係る自動取引装置のユニット口周りの構成を示す図(1)である。
【図8】実施形態2に係る自動取引装置のユニット口周りの構成を示す図(2)である。
【図9】実施形態2に係る自動取引装置のユニット口周りの構成を示す図(3)である。
【図10】実施形態2に係るシャッタ機構の構成を示す図(1)である。
【図11】実施形態2に係るシャッタ機構の構成を示す図(2)である。
【図12】実施形態3に係るシャッタ機構の構成を示す図である。
【図13】実施形態3に係るシャッタ機構の変形例の構成を示す図である。
【図14A】実施形態4に係るシャッタ機構の構成を示す図(1)である。
【図14B】実施形態4に係るシャッタ機構の構成を示す図(2)である。
【図15A】実施形態5に係るシャッタ機構の構成を示す図(1)である。
【図15B】実施形態5に係るシャッタ機構の構成を示す図(2)である。
【図16A】実施形態6に係るシャッタ機構の構成を示す図(1)である。
【図16B】実施形態6に係るシャッタ機構の構成を示す図(2)である。
【図17】従来の自動取引装置の全体の構成を示す図である。
【図18】従来の自動取引装置のユニット口周りの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0041】
[実施形態1]
<自動取引装置の構成>
本実施形態1に係る自動取引装置(以下、「ATM1」と称する)は、後面保守型の装置である。ただし、ATM1は、後面側からの保守作業に加え、前面側からの保守作業も行える構成になっていてもよい。
【0042】
本実施形態1に係るシャッタ機構20は、ユニット6の先端部分に設けられた指逃げ部17と同形状の指逃げ部41をシャッタ21aに設ける代わりに、保守時に、シャッタ21aの指逃げ部41を別のシャッタ21bで封鎖する構成となっている(図3及び図4参照)。
【0043】
なお、シャッタ機構20は、電力が供給されていない状態で、ユニット6が筐体2の外部に引き出された場合に、ユニット口12を自動的に閉鎖できることが好ましい。このような観点から、シャッタ機構20は、モータ等の駆動源によらない、メカニカルな機構によって、ユニット口12を自動的に閉鎖する機構を実現することも副次的な目的にしている。
【0044】
(自動取引装置の全体の構成)
以下、図1を参照して、本実施形態1に係るATM1の全体の構成につき説明する。図1は、実施形態1に係る自動取引装置の全体の構成を示す図である。
【0045】
図1に示すように、ATM1は、筐体2の前面側に、フロントパネル3、前扉4、及び、ユニット口12を有しており、また、後面側に、後扉5を有している。
【0046】
フロントパネル3は、筐体2の前面側の上部部分を保護する上部カバーである。
前扉4は、筐体2の前面側の下部部分を保護する下部カバーである。
ユニット口12は、筐体2の内部に収納されたユニット6の一部(主に、その先端部分)を外部に露出させるための開口部である。
後扉5は、筐体2の後面側を保護するカバーである。
したがって、本実施形態1では、ATM1は、後面側からの保守作業に加え、前面側からの保守作業も行える構成になっている。
【0047】
なお、ATM1は、表示操作部や、カード挿入排出口、通帳挿入排出口、紙幣投入口、硬貨投入口等が筐体2の前面側に設けられている。これらの構成要素は、顧客を接客するための接客部を構成している。ATM1は、フロントパネル3が、その接客部をガードするように、接客部の上に取り付けられている。
【0048】
そのフロントパネル3は、表示操作部や、カード挿入排出口、通帳挿入排出口、紙幣投入口、硬貨投入口等に位置する箇所に開口部が設けられている。
また、ATM1は、筐体2の内部に複数のユニット6を収納しており、その一部がフロントパネル3に設けられたユニット口12から筐体2の外部に突出している。
【0049】
図1に示す例では、カードユニット6aの先端部分が、カードユニット6a用に設けられたユニット口(以下、「カードユニット口12a」と称する)から筐体2の外部に突出している。ここで、「カードユニット6a」とは、キャッシュカードや振込カード等のカード媒体から情報を読み取るユニットを意味している。
【0050】
また、通帳ユニット6bの先端部分が、通帳ユニット6b用に設けられたユニット口(以下、「通帳ユニット口12b」と称する)から筐体2の外部に突出している。ここで、「通帳ユニット6b」とは、通帳から情報を読み取ったり、通帳に取引情報を印字したりするユニットを意味している。
【0051】
保守員は、ユニット6を筐体2の後面側から外部に引き出して保守する場合に、後扉5を開き、ユニット6を後方(図1に示す矢印A1の方向)に引き出す。その際に、ATM1は、フロントパネル3のユニット口12が開口してしまう。そこで、ATM1は、ユニット口12の後方に、ユニット口12を塞ぐためのシャッタ機構20(図4参照)を有している。
【0052】
シャッタ機構20は、図2及び図4に示すように、下シャッタ21a及び上シャッタ21bを備える構成となっている。なお、下シャッタ21aは、特許請求の範囲に記載された「第1シャッタ」に相当する。また、上シャッタ21bは、特許請求の範囲に記載された「第2シャッタ」に相当する。
【0053】
(ユニット口周りの構成)
以下、図2〜図4を参照して、ユニット口12周りの構成につき説明する。図2〜図4は、それぞれ、実施形態1に係る自動取引装置のユニット口周りの構成を示す図である。ここでは、ユニット6がカードユニット6aである場合を想定して説明する。
【0054】
図2は、カードユニット6aが引き出された状態のATM1の構成を示している。図2に示す例では、通帳ユニット6bは、引き出されずに、挿入されたままの状態になっている。
【0055】
また、図3は、ユニット6が筐体2の後面側(すなわち、図1に示す後扉5側)から内部に挿入されたとき(以下、「ユニット挿入時」と称する)のユニット口12周りの構成を示している。図3(a)は、斜め上方向から見た、ユニット口12周りの構成を示している。また、図3(b)は、横方向から見た、ユニット口12周りの構成を示している。
【0056】
さらに、図4は、ユニット6が筐体2の後面側から外部に引き出されたとき(以下、「ユニット引き出し時」と称する)のユニット口12周りの構成を示している。図4(a)は、斜め上方向から見た、ユニット口12周りの構成を示している。また、図4(b)は、正面方向から見た、ユニット口12周りの構成を示している。
【0057】
下シャッタ21aは、矩形の平板の上端部に、指逃げ部41が設けられた構成になっている。下シャッタ21aは、下端部が、ユニット口12の下側の近傍の位置で軸支されている。そのため、図3に示すように、下シャッタ21aは、ユニット挿入時に、ユニット6の先端部分が下シャッタ21aの裏面に当接して押圧することにより、前方に転倒する。その結果、下シャッタ21aは、水平方向に転倒した状態になる。このとき、下シャッタ21aは、ユニット6の先端部分の底面の下に潜り込んだ状態で、ユニット口12から前方に突出する。
【0058】
上シャッタ21bは、矩形の平板の上端部に、封鎖部(凸部)42が設けられた構成になっている。上シャッタ21bは、下シャッタ21aに対向するように、ユニット口12よりも後方に設けられている(図5(a)参照)。下シャッタ21a及び上シャッタ21bは、それぞれのシャッタ21a,21bを構成する矩形の平板の上端部から下端部までの長さの合計が、ユニット口12の上端部から下端部までの長さ以上の値に設定されている。上シャッタ21bは、上端部が、ユニット口12の上側の近傍の位置で軸支されている。そのため、上シャッタ21bは、ユニット挿入時に、ユニット6の先端部分が上シャッタ21bの裏面に当接して押圧することにより、前方に転倒する(跳ね上げられる)。その結果、上シャッタ21bは、フロントパネル3の裏面の、ユニット口12の上側の位置に隠れた状態になる。
【0059】
なお、フロントパネル3は、その裏面に上シャッタ21bを隠すことができるように、ユニット口12の周囲で、その上側が下側よりも前方に突出する形状になっている。また、ATM1は、シャッタ21a,21bの閉鎖時に、フロントパネル3と上シャッタ21bとの間の空間を塞ぐための上保護板34(図5(a)参照)がフロントパネル3の裏面側に取り付けられている。
【0060】
なお、ユニット6は、媒体を筐体2の内部に案内するための挿入排出口が設けられている。そして、挿入排出口の先端部分には、指逃げ部が設けられている。例えば、図3に示す例では、ユニット6は、カード媒体を筐体2の内部に案内するカード挿入排出口16が設けられている。そして、カード挿入排出口16の先端部分には、指逃げ部17が設けられている。顧客は、指逃げ部17によって、顧客の指とカード挿入排出口16とが接触し難くなっているため、カード媒体の挿入時に、カード媒体をカード挿入排出口16に容易に挿入することができ、また、カード媒体の返却時に、カード挿入排出口16からカード媒体を容易に抜き取ることができる。
【0061】
下シャッタ21aは、通常時に、そのようなカード挿入排出口16の指逃げ部17から突出しないように、カード挿入排出口16の指逃げ部17の形状に合わせて、指逃げ部17と同形状の指逃げ部41(図3、図4(a)、及び、図5参照)が設けられている。また、上シャッタ21bは、封鎖部42が設けられている。封鎖部42は、下シャッタ21aの指逃げ部41を塞ぐための凸部である。封鎖部42は、下シャッタ21aの指逃げ部41を塞ぐことができるように、下シャッタ21aの指逃げ部41と同じ形状で、かつ、同じサイズ(ただし、指逃げ部41よりも若干小さなサイズであってもよい)に形成されている。
【0062】
また、図4に示すように、下シャッタ21a及び上シャッタ21bは、ユニット引き出し時に、垂直方向に起立した状態になって、ユニット口12を閉鎖する。
【0063】
(シャッタ機構の構成)
以下、図5を参照して、シャッタ機構20の詳細な構成につき説明する。図5は、実施形態1に係るシャッタ機構の構成を示す図である。図5(a)は、横方向から見た、閉鎖状態のシャッタ機構20の構成を示している。また、図5(b)は、裏面の正面方向から見た、閉鎖状態のシャッタ機構20の構成を示している。
【0064】
ユニット口12の後方には、ブラケット30(図5(b)参照)が取り付けられている。ブラケット30は、両サイドの下端部の近傍に支点31aが設けられており、両サイドの上端部の近傍に支点31bが設けられている。以下、支点31aと支点31bとを区別する場合に、支点31aを「第1支点31a」と称し、支点31bを「第2支点31b」と称する。第1支点31aは、下シャッタ21aの両サイドを軸支する支点である。一方、第2支点31bは、上シャッタ21bの両サイドを軸支する支点である。
【0065】
また、ブラケット30は、両サイドにストッパ33が設けられている。ストッパ33は、下シャッタ21aの裏面の上端部(又は、その周囲)及び上シャッタ21bの裏面の下端部(又は、その周囲)と当接することにより、下シャッタ21a及び上シャッタ21bを垂直方向に起立した状態で停止させる部材である。ストッパ33は、下シャッタ21aの裏面の上端部(又は、その周囲)及び上シャッタ21bの裏面の下端部(又は、その周囲)と対向する部分が、平坦な面に形成されている。
【0066】
下シャッタ21aは、バネ32aによって、常に、閉鎖方向に付勢されている。また、上シャッタ21bは、バネ32bによって、常に、閉鎖方向に付勢されている。
【0067】
以下、シャッタ機構20の動作につき説明する。
まず、ユニット挿入時のシャッタ機構20の動作につき説明する。
シャッタ機構20は、ユニット6が挿入される前の段階では、図5(a)に実線で示すように、下シャッタ21a及び上シャッタ21bが、垂直方向に起立した状態になっている。
【0068】
そして、シャッタ機構20は、ユニット6が筐体2の後面側から内部に挿入されると、ユニット6の先端部分が下シャッタ21aの裏面及び上シャッタ21bの裏面に当接する。
【0069】
下シャッタ21aは、ユニット6の先端部分が裏面に当接すると、ユニット6から押圧を受ける。そのため、図5(a)に点線で示すように、下シャッタ21aは、ユニット挿入時に、第1支点31aを中心にして、前方に回動して、水平方向に転倒した転倒状態になる。
【0070】
同様に、上シャッタ21bは、ユニット6の先端部分が裏面に当接すると、ユニット6から押圧を受ける。そのため、図5(a)に点線で示すように、上シャッタ21bは、ユニット挿入時に、第2支点31bを中心にして、前方に回動して、水平方向に転倒した転倒状態になる。
【0071】
次に、ユニット引き出し時のシャッタ機構20の動作につき説明する。
シャッタ機構20は、ユニット6が引き出される前の段階では、図5(a)に点線で示すように、下シャッタ21a及び上シャッタ21bが、水平方向に転倒した状態になっている。
【0072】
そして、シャッタ機構20は、ユニット6が筐体2の後面側から外部に引き出されると、ユニット6の先端部分が下シャッタ21aの裏面及び上シャッタ21bの裏面から離れる。
【0073】
これにより、下シャッタ21aは、ユニット6からの押圧が解除される。そのため、下シャッタ21aは、バネ32aからの付勢を受けて、第1支点31aを中心にして、後方に回動して、垂直方向に起立した起立状態になる。このとき、図5(a)に実線で示すように、下シャッタ21aは、裏面がストッパ33と当接することにより、起立した状態で停止する。
【0074】
同様に、上シャッタ21bは、ユニット6からの押圧が解除される。そのため、上シャッタ21bは、バネ32bからの付勢を受けて、第2支点31bを中心にして、後方に回動して、垂直方向に起立した起立状態になる。このとき、図5(a)に実線で示すように、上シャッタ21bは、裏面がストッパ33と当接することにより、起立した状態で停止する。
【0075】
このようなシャッタ機構20は、以下のような特徴を有している。
(1)ユニット6は、通常時に、筐体2の後面側から内部に挿入されることにより、下シャッタ21a及び上シャッタ21bに対して開放方向の押圧を与え、一方、保守時に、筐体2の後面側から外部に引き出されることにより、下シャッタ21a及び上シャッタ21bに対する押圧を解除する。
【0076】
(2)シャッタ機構20は、シャッタ作動機構としてのバネ32a,32bを有しており、下シャッタ21a及び上シャッタ21bを常に閉鎖方向に付勢している。
【0077】
(3)シャッタ機構20は、下シャッタ21a及び上シャッタ21bが、通常時に、ユニット6からの押圧を受けて開放方向に動き、一方、保守時に、ユニット6からの押圧が解除されることにより、それぞれに対応するバネ32a,32bからの付勢を受けて閉鎖方向に動く。
【0078】
そのため、シャッタ機構20は、メカニカルな機構によって、ユニット6の挿入動作や引き出し動作に連動して、ユニット口12を閉鎖することができる。これにより、シャッタ機構20は、ユニット6が筐体2の外部に引き出された場合に(特に、電力が供給されていない状態で、ユニット6が筐体2の外部に引き出された場合に)、ユニット口12を自動的に閉鎖することができる。
【0079】
(4)下シャッタ21aは、指逃げ部41として機能する凹部を備えている。そのため、下シャッタ21aは、通常時に、ユニット6の指逃げ部17の内部に突出しない。したがって、シャッタ機構20は、通常時に、媒体の挿入や抜き取りを阻害しない。
【0080】
また、上シャッタ21bは、保守時に、下シャッタ21aの凹部を塞ぐ封鎖部42として機能する凸部を備えている。そのため、シャッタ機構20は、保守時に、下シャッタ21a及び上シャッタ21bが閉鎖状態になることにより、ユニット口12を完全に封鎖する。したがって、シャッタ機構20は、保守時に、ユニット口12に隙間ができるのを回避することができる。
【0081】
(5)下シャッタ21a及び上シャッタ21bは、それぞれ、開放方向に動いた場合に、前方に回動して、水平方向に転倒した転倒状態となり、一方、閉鎖方向に動いた場合に、後方に回動して、垂直方向に起立した起立状態となるように、ユニット口12よりも後方で軸支されている。そして、バネ32a,32bは、それぞれに対応する下シャッタ21a及び上シャッタ21bを起立させる方向に向けて常に付勢している。
【0082】
したがって、シャッタ機構20は、ユニット引き出し時に、下シャッタ21a及び上シャッタ21bがユニット口12から後退するように回動して、ユニット口12を閉鎖する。ここでは、「後退」とは、ユニット口12から離間する方向の移動を意味している。シャッタ機構20は、下シャッタ21a及び上シャッタ21bが一旦閉鎖されると、下シャッタ21aと上シャッタ21bとの間に隙間がないため、仮に、悪意ある人物が外部(筐体2の前面側)から下シャッタ21a及び上シャッタ21bをこじ開けようとしても、開け難い構造になっている。これにより、シャッタ機構20は、セキュリティを向上させることができる。
【0083】
なお、バネ32a,32bの引っ張り力は、下シャッタ21a及び上シャッタ21bを十分に閉鎖させることができる値であれば、仮に、顧客がカードを下シャッタ21a及び上シャッタ21bで挟んでも破損しない程度に低い値に設定することができる。これによっても、シャッタ機構20は、カードが破損するのを回避することができる。
【0084】
(6)ユニット口12は、上側が下側よりも前方に突出しており、少なくとも転倒状態の上シャッタ21bがユニット口12の上側の後方に収納される。
【0085】
以上の通り、実施形態1に係るATM1によれば、通常時に、媒体の挿入や抜き取りを阻害することなく、保守時に、ユニット口12に隙間ができるのを回避することができる。これにより、顧客がユニット口12の隙間から誤って指やカード媒体等を挿入するのを効率よく防止することができる。
【0086】
また、ATM1によれば、モータ等の駆動源によらない、メカニカルな機構によって、ユニット口12を自動的に開閉するため、電力が供給されていない状態で、ユニット6が筐体2の外部に引き出された場合にも、ユニット口12を自動的に閉鎖することができる。
【0087】
[実施形態2]
本実施形態2に係るシャッタ機構20Aは、ユニット6の先端部分に設けられた指逃げ部17と同形状の指逃げ部141をシャッタ121aに設ける代わりに、保守時に、シャッタ121aの指逃げ部141を別のシャッタ121bで封鎖する構成となっている(図7参照)。
【0088】
以下、図6を参照して、本実施形態2に係る自動取引装置の全体の構成につき説明する。図6は、実施形態1に係る自動取引装置の全体の構成を示す図である。
【0089】
図6に示すように、本実施形態2に係る自動取引装置(以下、「ATM1A」と称する)は、ユニット口12に、シャッタ機構20A(図8及び図9参照)を有している。
シャッタ機構20Aは、メインシャッタ121a及びサブシャッタ121bを備える構成となっている。メインシャッタ121aは、ユニット口12から前方に突出するように回動するシャッタである。サブシャッタ121bは、メインシャッタ121aの裏面と平行に回動するシャッタである。サブシャッタ121bは、メインシャッタ121aの指逃げ部141を塞ぐための封鎖部として機能する。
【0090】
なお、フロントパネル3Aは、ローラ接触面140a(図11(b)参照)を除き、ユニット口12の周囲の部分が、ほぼ平坦な面に形成されている。ローラ接触面140aは、サブシャッタ121bに設けられたローラ135が接触(当接)する面である。ローラ接触面140aは、奥行き方向に円弧状に形成されている。
【0091】
ローラ135は、フロントパネル3Aのローラ接触面140a及びフロントパネル3Aの裏面に設けられたガイド139aのローラ接触面140bに接触する(図11(b)参照)。以下、ローラ接触面140a及びローラ接触面140bを総称する場合に、「ローラ接触面140」と称する。ローラ接触面140bは、ローラ接触面140aに連続する面であり、平坦な面になっている。
【0092】
(ユニット口周りの構成)
以下、図7〜図9を参照して、ユニット口12周りの構成につき説明する。図7〜図9は、それぞれ、実施形態2に係る自動取引装置のユニット口周りの構成を示す図である。ここでは、ユニット6がカードユニット6aである場合を想定して説明する。
【0093】
なお、図7(a)及び図8(a)に示す例では、サブシャッタ121bは、メインシャッタ121aの外周の内側から外側に突出していないが、実際には、図11に示すように、メインシャッタ121aの外周の内側から外側に突出している。また、図7及び図8は、ローラ135(図10及び図11参照)が示されていないが、実際には存在している。
【0094】
図7は、斜め下方向から見た、ユニット口12周りの構成を示している。図7(a)は、ユニット挿入時のユニット口12周りの構成を示している。また、図7(b)は、ユニット引き出し時のユニット口12周りの構成を示している。
【0095】
また、図8は、ユニット挿入時のユニット口12周りの構成を示している。図8(a)は、斜め上方向から見た、ユニット口12周りの構成を示している。また、図8(b)は、横方向から見た、ユニット口12周りの構成を示している。
【0096】
さらに、図9は、ユニット引き出し時のユニット口12周りの構成を示している。図9(a)は、斜め上方向から見た、ユニット口12周りの構成を示している。また、図9(b)は、正面方向から見た、ユニット口12周りの構成を示している。
【0097】
図7に示すように、メインシャッタ121aは、矩形の平板の上端部に、指逃げ部141が設けられた構成になっている。指逃げ部141は、ユニット6の先端部分に設けられた指逃げ部17に合わせて、指逃げ部17と同形状に形成されている。
【0098】
なお、メインシャッタ121aは、1枚で、ユニット口12を封鎖する。したがって、メインシャッタ121aは、上端部から下端部までの長さが実施形態1の下シャッタ21aの上端部から下端部までの長さよりも長い形状になっている。すなわち、メインシャッタ121aは、メインシャッタ21aを構成する矩形の平板の上端部から下端部までの長さが、ユニット口12の上端部から下端部までの長さと同等の値に設定されている。
【0099】
メインシャッタ121aは、下端部が、ユニット口12の下側の近傍の位置で軸支されている。そのため、図7(a)及び図8に示すように、メインシャッタ121aは、ユニット挿入時に、ユニット6の先端部分がメインシャッタ121aの裏面に当接して押圧することにより、前方に転倒する。その結果、メインシャッタ121aは、水平方向に転倒した状態になる。このとき、メインシャッタ121aは、ユニット6の先端部分の底面の下に潜り込んだ状態で、ユニット口12から前方に突出する。
【0100】
メインシャッタ121aは、裏面にサブシャッタ121bが設けられている。そのため、シャッタ機構20Aは、通常時に、サブシャッタ121bが、メインシャッタ121aとユニット6の底面との間に配置される。
【0101】
図7(b)に示すように、サブシャッタ121bは、直角の角部を有する台形の平板として構成されている。直角の角部には、回動の支点131b(図10(b)参照)が設けられており、その下方の角部に、ローラ135(図10(b)参照)が設けられている。サブシャッタ121bは、支点131b(図10参照)によって、メインシャッタ121aの指逃げ部141の周囲の位置で軸支されている。
【0102】
なお、メインシャッタ121aの裏面には、ガイド134(図11参照)が、指逃げ部141の周囲に設けられている。ガイド134は、サブシャッタ121bを回動方向に案内する部材である。そのため、シャッタ機構20Aは、通常時に、隙間131(図7(a)及び図8(a)参照)が、メインシャッタ121aとユニット6の先端部分の底面との間に存在する。
【0103】
サブシャッタ121bは、その隙間131の内部で、ガイド134に案内されて、メインシャッタ121aの裏面と平行に回動する。そして、サブシャッタ121bは、例えば、図11に示すように、メインシャッタ121aが水平方向に転倒した場合に、その一部(ローラ135(図10(b)参照)が設けられた部分)がメインシャッタ121aの外周の内側から外側に突出し、さらに、ユニット口12の外周の内側から外側に突出する。
【0104】
図9に示すように、メインシャッタ121a及びサブシャッタ121bは、ユニット引き出し時に、メインシャッタ121aがユニット口12の近傍で垂直方向に起立した状態になり、さらに、サブシャッタ121bがメインシャッタ121aの指逃げ部141を塞ぐ方向に回動することにより、ユニット口12を隙間なく塞ぐ。
【0105】
以下、図10及び図11を参照して、シャッタ機構20Aの詳細な構成につき説明する。図10及び図11は、それぞれ、実施形態2に係るシャッタ機構の構成を示す図である。
【0106】
図10は、閉鎖状態のシャッタ機構20Aの構成を示している。図10(a)は、横方向から見た、シャッタ機構20Aの構成を示している。また、図10(b)は、裏面の正面方向から見た、シャッタ機構20Aの構成を示している。
【0107】
また、図11は、開放状態のシャッタ機構20Aの構成を示している。図11(a)は、裏面の斜め方向から見た、シャッタ機構20Aの構成を示している。また、図11(b)は、裏面の正面方向から見た、シャッタ機構20Aの構成を示している。
【0108】
ユニット口12の後方には、ブラケット130(図10参照)が取り付けられている。ブラケット130は、両サイドの下端部の近傍に支点131aが設けられている。以下、支点131aを「第3支点131a」と称する場合もある。第3支点131aは、メインシャッタ121aの両サイドを軸支する支点である。
【0109】
メインシャッタ121aの裏面の上端部の角部には、支点131bが設けられている。以下、支点131bを「第4支点131b」と称する場合もある。第4支点131bは、サブシャッタ121bを軸支する支点である。
【0110】
なお、前記した通り、メインシャッタ121aの裏面には、ガイド134が、指逃げ部141の周囲に設けられている。そのため、シャッタ機構20Aは、通常時に、隙間131が、メインシャッタ121aとユニット6の先端部分の底面との間に存在する。
【0111】
サブシャッタ121bは、その隙間131の内部で、ガイド134に案内されて、メインシャッタ121aの裏面と平行に回動する。なお、ガイド134は、好ましくは、第4支点131bを中心にして円弧状に設けられているとよい。
【0112】
サブシャッタ121bは、前記した通り、直角の角部が、支点131bによって回動自在に軸支されている。サブシャッタ121bは、その直角の角部の下方の角部に、ローラ135(図10(b)参照)が設けられている。ローラ135は、特許請求の範囲に記載された「当接部」に相当する。
【0113】
サブシャッタ121bは、ユニット挿入時に、バネ132b(図10参照)の付勢を受けて、支点131bを中心にして図10に示す矢印R2b方向に回動する。その結果、サブシャッタ121bは、例えば、図11(a)に示すように、メインシャッタ121aが水平方向に転倒した場合に、ローラ135が設けられた部分が、メインシャッタ121bの外周の内側から外側に突出し、さらに、ユニット口12の外周の内側から外側に突出する。
【0114】
なお、ブラケット130は、両サイドにストッパ133(図10(b)参照)が設けられている。ストッパ133は、メインシャッタ121aの裏面と当接することにより、メインシャッタ121aを垂直方向に起立した状態で停止させる部材である。ストッパ133は、メインシャッタ121aの裏面と対向する部分が、平坦な面に形成されている。
【0115】
メインシャッタ121aは、バネ132aによって、常に、閉鎖方向に付勢されている。また、サブシャッタ121bは、バネ132bによって、常に、開放方向に付勢されている。
【0116】
以下、シャッタ機構20Aの動作につき説明する。
まず、ユニット挿入時のシャッタ機構20Aの動作につき説明する。
シャッタ機構20Aは、ユニット6が挿入される前の段階では、図10に示すように、メインシャッタ121aが、垂直方向に起立した状態になっている。また、サブシャッタ121bが、メインシャッタ121aの指逃げ部141を閉鎖するように、上方向に回動された状態になっている。
【0117】
そして、シャッタ機構20Aは、ユニット6が筐体2の後面側から内部に挿入されると、ユニット6の先端部分がメインシャッタ121aの裏面に当接する。
【0118】
シャッタ機構20Aは、メインシャッタ121aの裏面がユニット6の先端部分に当接すると、ユニット6から押圧を受ける。これにより、図11に示すように、メインシャッタ121aが、支点131aを中心にして、矢印R2a方向(図10参照)に回動して、水平方向に転倒した転倒状態になる。
【0119】
このとき、図11に示すように、サブシャッタ121bは、メインシャッタ121aとともに、支点131aを中心にして、矢印R2a方向(図10参照)に回動して、水平方向に転倒した転倒状態になる。その際に、サブシャッタ121bは、バネ132b(図10参照)の付勢を受けて、支点131bを中心にして、矢印R2b方向(図10参照)に回動する。その結果、サブシャッタ121bは、ローラ135が設けられた部分が、メインシャッタ121bの外周の内側から外側に突出し、さらに、ユニット口12の外周の内側から外側に突出する。
【0120】
次、ユニット引き出し時のシャッタ機構20Aの動作につき説明する。
シャッタ機構20Aは、ユニット6が引き出される前の段階では、図11(a)に示すように、メインシャッタ121aが、水平方向に転倒した状態になっている。また、サブシャッタ121bは、ローラ135が設けられた部分がユニット口12の外周の内側から外側に突出するように、支点131bを中心にして下方向に回動された状態になっている。
【0121】
そして、シャッタ機構20Aは、ユニット6が筐体2の後面側から外部に引き出されると、ユニット6の先端部分がメインシャッタ121aの裏面から離れる。
【0122】
これにより、メインシャッタ121aは、ユニット6からの押圧が解除される。そのため、図10に示すように、メインシャッタ121aは、バネ132aからの付勢を受けて、支点131aを中心にして、矢印RR2a方向(図11参照)に回動して、ユニット口12の後方で、垂直方向に起立した起立状態になる。そして、メインシャッタ121aは、裏面がストッパ133と当接することにより、起立した状態で停止する。
【0123】
このとき、図10に示すように、サブシャッタ121bは、メインシャッタ121aとともに、支点131aを中心にして矢印RR2a方向(図11参照)に回動する。その際に、サブシャッタ121bは、ローラ135がローラ接触面140に接触する。そして、サブシャッタ121bは、ローラ接触面140に押されて、支点131b(図10参照)を中心にして、矢印RR2b方向(図11参照)に回動する。これにより、サブシャッタ121bは、メインシャッタ121aの外周の外側から内側に収納される方向に回動し、メインシャッタ121aの指逃げ部141と重なる状態になる。その結果、ユニット口12の全域は、メインシャッタ121a及びサブシャッタ121bによって閉鎖された状態になる。
【0124】
このようなシャッタ機構20Aは、以下のような特徴を有している。
(1)ユニット6は、通常時に、筐体2の後面側から内部に挿入されることにより、メインシャッタ121aに対して開放方向の押圧を与え、一方、保守時に、筐体2の後面側から外部に引き出されることにより、メインシャッタ121aに対する押圧を解除する。
【0125】
(2)シャッタ機構20Aは、シャッタ作動機構としてのバネ132a,132bを有しており、メインシャッタ121aを常に閉鎖方向に付勢するとともに、サブシャッタ121aを常に開放方向に付勢している。
【0126】
(3)シャッタ機構20Aは、メインシャッタ121aが、通常時に、ユニット6からの押圧を受けて開放方向に動く。したがって、メインシャッタ121aは、通常時に、水平方向に転倒した転倒状態となる。また、サブシャッタ121bは、通常時に、メインシャッタ121aとともに、水平方向に転倒した転倒状態になる。その際に、サブシャッタ121bは、メインシャッタ121aの外周の内側から外側に突出し、さらに、ユニット口12の外周の内側から外側に突出する。
【0127】
一方、シャッタ機構20Aは、メインシャッタ121aが、保守時に、ユニット6からの押圧が解除されることにより、バネ132aからの付勢を受けて閉鎖方向に動く。したがって、メインシャッタ121aは、保守時に、垂直方向に起立した起立状態となる。また、サブシャッタ121bは、保守時に、ローラ135がローラ接触面140に接触するため、メインシャッタ121aの外周の外側から内側に収納される方向に回動し、メインシャッタ121aの指逃げ部141と重なる状態になる。
【0128】
そのため、シャッタ機構20Aは、メカニカルな機構によって、ユニット6の挿入動作や引き出し動作に連動して、ユニット口12を閉鎖することができる。これにより、シャッタ機構20Aは、ユニット6が筐体2の外部に引き出された場合に(特に、電力が供給されていない状態で、ユニット6が筐体2の外部に引き出された場合に)、ユニット口12を自動的に閉鎖することができる。
【0129】
(4)メインシャッタ121aは、指逃げ部141として機能する凹部を備えている。そのため、メインシャッタ121aは、通常時に、ユニット6の指逃げ部17の内部に突出しない。したがって、シャッタ機構20Aは、通常時に、媒体の挿入や抜き取りを阻害しない。
【0130】
また、サブシャッタ121bは、保守時に、メインシャッタ121aの凹部と重なることにより、メインシャッタ121aの凹部を塞ぐ封鎖部142として機能する。そのため、シャッタ機構20Aは、保守時に、メインシャッタ121a及びサブシャッタ121bが閉鎖状態になることにより、ユニット口12を完全に封鎖する。したがって、シャッタ機構20Aは、保守時に、ユニット口12に隙間ができるのを回避することができる。
【0131】
(5)メインシャッタ121aは、開放方向に動いた場合に、前方に回動して、水平方向に転倒した転倒状態となり、一方、閉鎖方向に動いた場合に、後方に回動して、垂直方向に起立した起立状態となるように、ユニット口12よりも後方で軸支されている。そして、バネ132aは、メインシャッタ121aを起立させる方向に向けて常に付勢している。
【0132】
したがって、シャッタ機構20Aは、ユニット引き出し時に、メインシャッタ121aがユニット口12から後退するように回動して、ユニット口12を閉鎖する。このとき、サブシャッタ121bが、メインシャッタ121aの指逃げ部141を閉鎖する。シャッタ機構20Aは、メインシャッタ121a及びサブシャッタ121bが一旦閉鎖されると、メインシャッタ121aとサブシャッタ121bとの間に隙間がないため、仮に、悪意ある人物が外部(筐体2の前面側)からメインシャッタ121a及びサブシャッタ121bをこじ開けようとしても、開け難い構造になっている。これにより、シャッタ機構20Aは、セキュリティを向上させることができる。
【0133】
なお、バネ132aの引っ張り力は、メインシャッタ121a及びサブシャッタ121bを十分に閉鎖させることができる値であれば、仮に、顧客がカードをメインシャッタ121a及びサブシャッタ121bで挟んでも破損しない程度に低い値に設定することができる。これによっても、シャッタ機構20Aは、カードが破損するのを回避することができる。
【0134】
(6)サブシャッタ121bは、回動運動させるための機構として支点131bとバネ132bとがあればよく、ローラ135を削除することが可能である。そのため、シャッタ機構20Aは、サブシャッタ121bを回動運動させるための機構を、例えば特許文献2に記載された構成よりも簡素化することができる。
【0135】
以上の通り、実施形態2に係るATM1Aによれば、通常時に、媒体の挿入や抜き取りを阻害することなく、保守時に、ユニット口12に隙間ができるのを回避することができる。これにより、顧客がユニット口12の隙間から誤って指やカード媒体等を挿入するのを効率よく防止することができる。
【0136】
また、ATM1Aによれば、モータ等の駆動源によらない、メカニカルな機構によって、ユニット口12を自動的に開閉するため、電力が供給されていない状態で、ユニット6が筐体2の外部に引き出された場合にも、ユニット口12を自動的に閉鎖することができる。
【0137】
[実施形態3]
本実施形態3に係るシャッタ機構210は、シャッタ211に指逃げ部を設けない代わりに、通常時に、シャッタ211がユニット6の先端部分に設けられた指逃げ部17の内部に突出しない構成となっている。
【0138】
以下、図12を参照して、本実施形態3に係るシャッタ機構の構成につき説明する。図12は、実施形態3に係るシャッタ機構の構成を示す図である。
【0139】
図12に示すように、本実施形態3に係るシャッタ機構210は、シャッタ211が、ユニット挿入時に、ユニット口12の奥側からユニット口12に向けて水平方向に転倒し、一方、ユニット引き出し時に、ユニット口12からユニット口12の奥側に向けて垂直方向に起立する構成になっている。
【0140】
シャッタ211は、矩形の平板として構成されている。そのため、シャッタ211は、上端部が直線状になっている。シャッタ211は、上端部から下端部までの長さがユニット口12の上端部から下端部までの長さ以上の値に設定されている。シャッタ211は、下端部が、支点211aによって、ユニット口12よりも後方の下側の位置で軸支されている。
【0141】
支点211aの位置は、シャッタ211の上端部がユニット6の指逃げ部17(図3及び図7参照)の内部に突出しない位置に設けられている。したがって、支点211aは、シャッタ211の上端部から下端部までの長さに等しい距離又はそれ以上の距離だけ、フロントパネル3Aの表面から後方の位置に設けられている。なお、シャッタ211は、左右の両サイドにバネ217が張架されるポスト218aが設けられている。
【0142】
シャッタ機構210は、ユニット口12の後方の下側に下保護板212aを備え、上側に上保護板212bを備え、左右の両側に横保護板212cを備えている。
【0143】
下保護板212aは、フロントパネル3Aの裏面と下ガイド214との間を封鎖している。なお、下ガイド214は、ユニット6を挿入及び引き出し自在に支持する部材である。
【0144】
上保護板212b及び横保護板212cは、フロントパネル3Aの裏面と起立状態のシャッタ211との間を封鎖している。
【0145】
横保護板212cは、支点211aによって、シャッタ211を軸支している。また、横保護板212cは、バネ217が張架されるポスト218bと、シャッタ211に設けられたポスト218aを通過させる溝216とが設けられている。なお、バネ217は、常に、シャッタ211を起立させる方向(図12(a)に示す矢印の方向)に付勢している。
【0146】
シャッタ211は、ユニット挿入時に、転倒状態になると、その上端部がフロントパネル3Aの表面に近接するか又はフロントパネル3Aの表面よりも後方に入り込んだ位置に配置された状態になる。
【0147】
また、シャッタ211は、ユニット引き出し時に、起立状態になると、その上端部がユニット口12の上保護板212bに近接するか又は当接した状態になる。このとき、シャッタ211は、ユニット口12の後方で、ユニット口12から離間する方向に回動する。したがって、シャッタ211は、顧客の手元から離間する方向に回動する。そのため、シャッタ機構210は、顧客の指やカード媒体が筐体2の内部に引き込まれるのを回避することができる。
【0148】
このようなシャッタ機構210は、以下のような特徴を有している。
(1)ユニット6は、通常時に、筐体2の後面側から内部に挿入されることにより、シャッタ211に対して開放方向の押圧を与え、一方、保守時に、筐体2の後面側から外部に引き出されることにより、シャッタ211に対する押圧を解除する。
【0149】
(2)シャッタ機構210は、シャッタ作動機構としてのバネ217を有しており、シャッタ217を常に閉鎖方向に付勢している。
【0150】
(3)シャッタ機構210は、シャッタ211が、通常時に、ユニット6からの押圧を受けて開放方向に動き、一方、保守時に、ユニット6からの押圧が解除されることにより、バネ217からの付勢を受けて閉鎖方向に動く。
【0151】
そのため、シャッタ機構210は、メカニカルな機構によって、ユニット6の挿入動作や引き出し動作に連動して、ユニット口12を閉鎖することができる。これにより、シャッタ機構210は、ユニット6が筐体2の外部に引き出された場合に(特に、電力が供給されていない状態で、ユニット6が筐体2の外部に引き出された場合に)、ユニット口12を自動的に閉鎖することができる。
【0152】
(4)シャッタ211は、支点211aによって軸支されている。その支点211aの位置は、シャッタ211の上端部がユニット6の指逃げ部17の内部に突出しない位置に設けられている。そのため、シャッタ211は、通常時に、ユニット6の指逃げ部17の内部に突出しない。したがって、シャッタ機構210は、通常時に、媒体の挿入や抜き取りを阻害しない。
【0153】
また、シャッタ211は、矩形の平板として構成されており、上端部が直線状になっている。そのため、シャッタ211は、保守時に、ユニット口12を完全に封鎖する。したがって、シャッタ機構210は、保守時に、ユニット口12に隙間ができるのを回避することができる。
【0154】
(5)シャッタ211は、開放方向に動いた場合に、前方に回動して、水平方向に転倒した転倒状態となり、一方、閉鎖方向に動いた場合に、後方に回動して、垂直方向に起立した起立状態となるように、ユニット口12よりも後方で軸支されている。そして、バネ217は、シャッタ211を起立させる方向に向けて常に付勢している。
【0155】
したがって、シャッタ機構210は、ユニット引き出し時に、シャッタ211がユニット口12から後退するように回動して、ユニット口12を閉鎖する。このようなシャッタ機構210は、シャッタ211が一旦閉鎖されると、シャッタ211との間に隙間がないため、仮に、悪意ある人物が外部(筐体2の前面側)からシャッタ211をこじ開けようとしても、開け難い構造になっている。これにより、シャッタ機構210は、セキュリティを向上させることができる。
【0156】
なお、バネ217の引っ張り力は、シャッタ211を十分に閉鎖させることができる値であれば、仮に、顧客がカードをシャッタ211で挟んでも破損しない程度に低い値に設定することができる。これによっても、シャッタ機構210は、カードが破損するのを回避することができる。
【0157】
(実施形態3に係るシャッタ機構の変形例)
実施形態3に係るシャッタ機構210は、例えば、以下のシャッタ機構220のように変形することができる。以下、図13を参照して、実施形態3に係るシャッタ機構の変形例の構成につき説明する。図13は、実施形態3に係るシャッタ機構の変形例の構成を示す図である。
【0158】
図13に示すように、変形例に係るシャッタ機構220は、ユニット引き出し時に、シャッタ221が斜めに起立した状態になることを特徴にする。
【0159】
このようなシャッタ機構220は、シャッタ221の上端部から下端部までの長さを実施形態3に係るシャッタ機構210のシャッタ211よりも長く形成するか、又は、フロントパネル3Bの表面から支点211aまでの距離を実施形態3に係るシャッタ機構210のフロントパネル3Aの表面から支点211aまでの距離よりも短くすることによって実現される。
【0160】
なお、図13に示す例では、フロントパネル3Bは、シャッタ221の上端部が当接する位置に、切り欠け229が設けられている。切り欠け229は、シャッタ221の上端部を収納する空間である。切り欠け229は、シャッタ221の上端部が上保護板222bに当接する場合には、上保護板222bに設けられる。
【0161】
シャッタ機構220は、切り欠け229が設けられている場合に、シャッタ221の上端部が切り欠け229によって隠れるため、シャッタ221が悪意ある人物によってこじ開けられるのを防止することができる。
【0162】
以上の通り、実施形態3に係るシャッタ機構220を有するATMによれば、通常時に、媒体の挿入や抜き取りを阻害することなく、保守時に、ユニット口12に隙間ができるのを回避することができる。これにより、顧客がユニット口12の隙間から誤って指やカード媒体等を挿入するのを効率よく防止することができる。
【0163】
また、シャッタ機構220を有するATMによれば、モータ等の駆動源によらない、メカニカルな機構によって、ユニット口12を自動的に開閉するため、電力が供給されていない状態で、ユニット6が筐体2の外部に引き出された場合にも、ユニット口12を自動的に閉鎖することができる。
【0164】
[実施形態4]
本実施形態4に係るシャッタ機構230は、シャッタ231に指逃げ部を設けない代わりに、通常時に、シャッタ231が本実施形態4に係るユニット(以下、「ユニット6aa」と称する)の先端部分に設けられた指逃げ部17(図2参照)の内部に突出しない構成となっている。
【0165】
以下、図14A及び図14Bを参照して、本実施形態4に係るシャッタ機構230の構成につき説明する。図14A及び図14Bは、それぞれ、実施形態4に係るシャッタ機構の構成を示す図である。
【0166】
本実施形態4に係るシャッタ機構230は、シャッタ231が、矩形の平板として構成されている。そのため、シャッタ231は、上端部が直線状になっている。シャッタ231は、上端部から下端部までの長さがユニット口12の上端部から下端部までの長さと同等の値に設定されている。シャッタ231は、下端部が、支点236a(図14B参照)によって、ユニット口12の下側の位置で軸支されている。
【0167】
シャッタ機構230は、シャッタ231が、実施形態3に係るシャッタ機構210のシャッタ211と逆向きに動作する構成になっている。すなわち、本実施形態4に係るシャッタ機構230は、シャッタ231が、ユニット挿入時に、ユニット口12から後方(奥側)に向けて水平方向に転倒し、一方、ユニット引き出し時に、ユニット口12の奥側からユニット口12に向けて垂直方向に起立する構成になっている。
【0168】
シャッタ機構230は、このような動作を実現するためのシャッタ作動機構として、ギヤ列232を有している。ギヤ列232は、ユニット6aaに設けられたギヤ歯部材235のギヤ歯235aと噛み合うことにより、シャッタ231を回動させる機構である。
【0169】
ギヤ列232は、先頭ギヤ232a、中間ギヤ232b、及び、最終ギヤ232cを備えている。
【0170】
先頭ギヤ232aは、ユニット6aaに設けられたギヤ歯部材235のギヤ歯235aと噛み合うギヤである。先頭ギヤ232aは、ユニット挿入時又はユニット引き出し時に、ギヤ歯部材235のギヤ歯235aと噛み合う。そして、先頭ギヤ232aは、ユニット6aaが移動することにより、ギヤ歯部材235に押圧されて、ユニット6aaの移動方向に応じた方向に回転する。
【0171】
中間ギヤ232bは、先頭ギヤ232aの回転力を最終ギヤ232cに伝達するギヤである。
最終ギヤ232cは、シャッタ231に取り付けられたギヤである。
【0172】
ギヤ列232は、例えば、ユニット引き出し時に、ユニット6aaが矢印A1方向に引き出されると、シャッタ231を閉鎖方向(図14Aに示す矢印方向)に回動させる。
【0173】
なお、シャッタ機構230は、ユニット引き出し時に、シャッタ231が閉鎖されると、シャッタ231を閉鎖状態のままで保持する必要がある。図14A及び図14Bに示す例では、シャッタ機構230は、そのための機構として、ロック機構233を備えている。
【0174】
ロック機構233は、ロック部材233a、バネ233b、及び、摺動部材233cを備えている。
【0175】
ロック部材233aは、一方の端部(以下、「先端部」と称する)がフック状に形成されており、その先端部が先頭ギヤ232aに係合することにより、ギヤ列232の駆動をロックする部材である。ロック部材233aは、他方の端部(以下、「後端部」と称する)がポスト214bによって軸支されている。
【0176】
ロック部材233aは、ポスト214bを中心にして上下方向に回動する。ロック部材233aは、上方向に回動することにより、ギヤ列232にロックをかけ、一方、下方向に回動することにより、ギヤ列232にかけたロックを解除する。
【0177】
また、ロック部材233aは、中央付近に、摺動部材233cとの連結部となる支点233aa、バネ233bが張架されるポスト233abを備えている。
バネ233bは、ロック部材233aを先頭ギヤ232a方向に付勢する付勢部材である。
【0178】
摺動部材233cは、ポスト214bを中心にしてロック部材233aを上下方向に回動させる部材である。
【0179】
摺動部材233cは、ユニット6aaに対向する側の面の上端部付近に、ポスト233caを備えている。ポスト233caは、ユニット6aaに設けられた突出部234の接触面234a,234bに接触する接触部である。
【0180】
摺動部材233cは、横保護板236に対向する側の面のいずれかの位置に、ポスト233cb,233ccを備えている。ポスト233cb,233ccは、摺動部材233cの摺動を案内するガイド部である。ポスト233cb,233ccは、横保護板236に設けられた長孔236eに挿入されている。
【0181】
摺動部材233cは、ユニット6aaが移動すると、ポスト233caがユニット6aaに設けられた突出部234の接触面234a,234bに接触する。これにより、摺動部材233cは、接触面234a,234bを介してユニット6aaからの押圧を受ける。すると、摺動部材233cは、ポスト233cb,233ccが横保護板236に設けられた長孔236eに挿入されているため、長孔236eが設けられた方向(ここでは、垂直方向)に摺動する。
【0182】
横保護板236は、ポスト236a、及び、長孔236eを備えている。ポスト236aは、シャッタ231を軸支する突起部である。長孔236eは、ロック機構233の摺動部材233cの摺動方向を案内するガイド部である。長孔236eは、垂直方向に設けられており、摺動部材233cのポスト233cb,233ccが挿入されている。
【0183】
下ガイド214は、先頭ギヤ232aや中間ギヤ232bを軸支するポスト214a、ロック機構233のロック部材233aを軸支するポスト214b、バネ233bが張架されるポスト214cを備えている。
【0184】
ユニット6aaは、ギヤ列232及びロック機構233に対向する側に、突出部234、及び、ギヤ歯部材235を備えている。
【0185】
突出部234は、ロック機構233のポスト233caと接触する部位である。突出部234は、下面側に、摺動部材233cのポスト233caと接触する接触面234a,234bを備えている。接触面234aは、突出部234の、ユニット口12に近い側の端部(以下、「先端部」と称する)付近に設けられた平坦な面であり、先端部から後方に向けて下降するように斜め方向に傾斜して設けられている。接触面234bは、接触面234aの後方に連続して設けられた平坦な面であり、水平方向に設けられている。
【0186】
ギヤ歯部材235は、ギヤ歯235aが設けられた部材である。ギヤ歯235aは、先頭ギヤ232aと噛み合い、先頭ギヤ232aを回転駆動するギヤである。ギヤ歯部材235は、先頭ギヤ232aと対向するように、ユニット6aaの側面に水平方向に延在して設けられている。
【0187】
このようなシャッタ機構230は、以下のような特徴を有している。
(1)シャッタ機構230は、シャッタ231が、開放方向に動いた場合に、後方に回動して、水平方向に転倒した転倒状態となり、一方、閉鎖方向に動いた場合に、前方に回動して、垂直方向に起立した起立状態となるように、ユニット口12の下側の近傍で軸支されている。
【0188】
(2)シャッタ機構230は、通常時に、ユニット6aaが筐体2の後面側から内部に挿入される挿入動作に連動して、シャッタ231を開放方向に動かし、一方、保守時に、ユニット6aaが筐体2の後面側から外部に引き出される引き出し動作に連動して、シャッタ231を閉鎖方向に動かす。
【0189】
シャッタ機構230は、このような動作を実現するためのシャッタ作動機構として、ギヤ列232を有している。また、ユニット6aaは、ギヤ列232の先頭ギヤ232aと噛み合うギヤ歯部材235を備えている。
【0190】
そのため、シャッタ機構230は、メカニカルな機構によって、ユニット6aaの挿入動作や引き出し動作に連動して、ユニット口12を閉鎖することができる。これにより、シャッタ機構230は、ユニット6aaが筐体2の外部に引き出された場合に(特に、電力が供給されていない状態で、ユニット6aaが筐体2の外部に引き出された場合に)、ユニット口12を自動的に閉鎖することができる。
【0191】
(3)シャッタ231は、通常時に、後方に回動する。そのため、シャッタ231は、通常時に、ユニット6aaの指逃げ部17の内部に突出しない。したがって、シャッタ機構230は、通常時に、媒体の挿入や抜き取りを阻害しない。
【0192】
また、シャッタ231は、矩形の平板として構成されており、上端部が直線状になっている。そのため、シャッタ231は、保守時に、ユニット口12を完全に封鎖する。したがって、シャッタ機構230は、保守時に、ユニット口12に隙間ができるのを回避することができる。
【0193】
(4)シャッタ機構230は、ユニット6aaが筐体2の後面側から内部に挿入される場合に、ギヤ列232の駆動に対する規制を解除し、一方、ユニット6aaが筐体2の後面側から外部に引き出される場合に、ギヤ列232の駆動を規制するロック機構233を備えている。
【0194】
したがって、シャッタ機構230は、ユニット引き出し時に、ロック機構233が、ギヤ列232の駆動を規制する。このようなシャッタ機構230は、シャッタ231が一旦閉鎖されると、ギヤ列232の駆動が規制されるため、仮に、悪意ある人物が外部(筐体2の前面側)からシャッタ231をこじ開けようとしても、開け難い構造になっている。これにより、シャッタ機構230は、セキュリティを向上させることができる。
【0195】
以上の通り、実施形態4に係るシャッタ機構230を有するATMによれば、通常時に、媒体の挿入や抜き取りを阻害することなく、保守時に、ユニット口12に隙間ができるのを回避することができる。これにより、顧客がユニット口12の隙間から誤って指やカード媒体等を挿入するのを効率よく防止することができる。
【0196】
また、シャッタ機構230を有するATMによれば、モータ等の駆動源によらない、メカニカルな機構によって、ユニット口12を自動的に開閉するため、電力が供給されていない状態で、ユニット6aaが筐体2の外部に引き出された場合にも、ユニット口12を自動的に閉鎖することができる。
【0197】
[実施形態5]
本実施形態5に係るシャッタ機構240は、シャッタ241に指逃げ部を設けない代わりに、通常時に、シャッタ241が本実施形態5に係るユニット(以下、「ユニット6ab」と称する)の先端部分に設けられた指逃げ部17の内部に突出しない構成となっている。
【0198】
以下、図15A及び図15Bを参照して、本実施形態5に係るシャッタ機構240の構成につき説明する。図15A及び図15Bは、それぞれ、実施形態5に係るシャッタ機構の構成を示す図である。
【0199】
本実施形態5に係るシャッタ機構240は、シャッタ241が、矩形の平板として構成されている。シャッタ241は、上端部から下端部までの長さがユニット口12の上端部から下端部までの長さ以上の値に設定されている。シャッタ241は、リンク機構242の第2リンク部材242bによって摺動自在に支持されている。
【0200】
シャッタ機構240は、シャッタ241が、ユニット口12に対し上下方向に摺動する、摺動シャッタとして構成されている。すなわち、本実施形態5に係るシャッタ機構240のシャッタ241は、ユニット挿入時に、ユニット口12と重なる位置からユニット口12と重ならない位置に摺動し、一方、ユニット引き出し時に、ユニット口12と重ならない位置からユニット口12と重なる位置に摺動する構成になっている。
【0201】
シャッタ機構240は、このような動作を実現するためのシャッタ作動機構として、リンク機構242を有している。リンク機構242は、複数(例えば2つ)のリンク部材を用いて、ユニット6abの移動に連動して、シャッタ241を作動させる機構である。
【0202】
リンク機構242は、2つのリンク部材242a,242bを備えている。以下、リンク部材242aとリンク部材242bとを区別する場合に、リンク部材242aを「第1リンク部材242a」と称し、リンク部材242bを「第2リンク部材242b」と称する。
【0203】
第1リンク部材242aは、下端部が支持部245に設けられた支点245aによって軸支された部材である。なお、支持部245は、フロントパネル3Aの裏面のユニット口12の下側に設けられている。
【0204】
第1リンク部材242aは、ユニット挿入時に、その上端部が、ユニット6abに設けられた接触部材243の接触面243aと接触部242aaとで接触し、接触面243aに沿って摺動する。
【0205】
第1リンク部材242aは、ポスト247aによってバネ246が張架されている。バネ246は、一方の端部が第1リンク部材242aのポスト247aに張架されており、他方の端部が下ガイド部244に設けられたポスト247bに張架されている。バネ246は、第1リンク部材242aを下方向(図15A(c)に示す矢印R3a方向)に付勢している。
【0206】
また、第1リンク部材242aの中央付近は、支点245cによって第2リンク部材242bと回動自在に連結されている。その第2リンク部材242bは、上端部が支点245bによってシャッタ241の上端部付近に回動自在に連結されており、下端部が支点245cによって第1リンク部材242aの中央付近に回動自在に連結されている。第2リンク部材242bの支点245bは、外側に突出しており、横保護板248に設けられた長孔248aに挿入されている。
【0207】
なお、横保護板248は、ユニット口12の後方の両サイドに設けられた部材である。横保護板248は、長孔248aが、ユニット口12側の面に垂直方向に設けられている。長孔248aは、シャッタ241の摺動方向を案内するガイド部として機能する。長孔248aは、第2リンク部材242bの支点245b及びシャッタ241の側面の下端部付近に設けられたポスト241aが挿入される。
【0208】
ユニット6abは、接触部材243を備えている。接触部材243は、第1リンク部材242aの接触部242aaと接触する部材である。接触部材243は、ユニット6abからリンク機構242と対向する側に向けて突出して設けられている。
【0209】
接触部材243は、第1リンク部材242aの接触部242aaと接触する接触面243aを備えている。接触面243aは、接触部材243の、第1リンク部材242aの接触部242aaと接触する位置に設けられた平坦な面であり、垂直方向に設けられている。
【0210】
以下、シャッタ機構240の動作につき説明する。
まず、ユニット挿入時のシャッタ機構240の動作につき説明する。
シャッタ機構240は、ユニット6abが挿入される前の段階では、図15A(c)に示すように、接触部材243がユニット口12から離れた位置に配置された状態になっている。
【0211】
そして、図15A(b)に示すように、シャッタ機構240は、ユニット6abが筐体2の後面側から内部に挿入されると、ユニット6abの接触部材243が前進する。ここでは、「前進」とは、ユニット口12に接近する方向の移動を意味している。
【0212】
ユニット6abの接触部材243は、前進すると、接触面243aで第1リンク部材242aの接触部242aaと接触し、第1リンク部材242aを前方に押圧する。そのため、第1リンク部材242aは、支点245aを中心にして上方向に回動する。
【0213】
このとき、第1リンク部材242aは、第2リンク部材242bを前方に押圧する。これにより、第2リンク部材242bが、前方に移動し、その結果、シャッタ241を上方向に押圧する。
【0214】
このとき、シャッタ241は、支点245b及びポスト241aが横保護板248の長孔248aに挿入しているため、長孔248aに沿って上方向に摺動する。その結果、シャッタ241は、ユニット口12を開放する。
【0215】
次に、ユニット引き出し時のシャッタ機構240の動作につき説明する。
シャッタ機構240は、ユニット6abが引き出される前の段階では、図15A(b)に示すように、接触部材243がユニット口12に近い位置に配置された状態になっている。
【0216】
そして、図15A(c)に示すように、シャッタ機構240は、ユニット6abが筐体2の後面側から外部に引き出されると、ユニット6abの接触部材243が後退する。
【0217】
このとき、バネ246が、第1リンク部材242aを下方向に付勢する。そのため、第1リンク部材242aは、ユニット6abの接触部材243が後退するにつれて、支点245aを中心にして下方向に回動する。
【0218】
このとき、第2リンク部材242bは、第1リンク部材242aに引っ張られて後方に移動し、その結果、シャッタ241を下方向に引っ張る。シャッタ241は、支点245b及びポスト241aが横保護板248の長孔248aに挿入されているため、長孔248aに沿って下方向に摺動する。その結果、シャッタ241は、ユニット口12を閉鎖する。
【0219】
このようなシャッタ機構240は、以下のような特徴を有している。
(1)シャッタ機構240は、シャッタ241が、開放方向に動いた場合に、ユニット口12と重ならない位置に摺動移動し、一方、閉鎖方向に動いた場合に、ユニット口12と重なる位置に摺動移動する。
【0220】
(2)シャッタ機構240は、通常時に、ユニット6abが筐体2の後面側から内部に挿入される挿入動作に連動して、シャッタ241を開放方向に動かし、一方、保守時に、ユニット6abが筐体2の後面側から外部に引き出される引き出し動作に連動して、シャッタ241を閉鎖方向に動かす。
【0221】
シャッタ機構240は、このような動作を実現するためのシャッタ作動機構として、リンク機構242を有している。また、ユニット6abは、接触部材243を備えている。
【0222】
そのため、シャッタ機構240は、メカニカルな機構によって、ユニット6abの挿入動作や引き出し動作に連動して、ユニット口12を閉鎖することができる。これにより、シャッタ機構240は、ユニット6abが筐体2の外部に引き出された場合に(特に、電力が供給されていない状態で、ユニット6abが筐体2の外部に引き出された場合に)、ユニット口12を自動的に閉鎖することができる。
【0223】
(3)シャッタ241は、通常時に、ユニット口12と重ならない位置に摺動移動する。そのため、シャッタ241は、通常時に、ユニット6abの指逃げ部17の内部に突出しない。したがって、シャッタ機構240は、通常時に、媒体の挿入や抜き取りを阻害しない。
【0224】
また、シャッタ241は、矩形の平板として構成されている。そのため、シャッタ241は、保守時に、ユニット口12を完全に封鎖する。したがって、シャッタ機構240は、保守時に、ユニット口12に隙間ができるのを回避することができる。
【0225】
以上の通り、実施形態5に係るシャッタ機構240を有するATMによれば、通常時に、媒体の挿入や抜き取りを阻害することなく、保守時に、ユニット口12に隙間ができるのを回避することができる。これにより、顧客がユニット口12の隙間から誤って指やカード媒体等を挿入するのを効率よく防止することができる。
【0226】
また、シャッタ機構240を有するATMによれば、モータ等の駆動源によらない、メカニカルな機構によって、ユニット口12を自動的に開閉するため、電力が供給されていない状態で、ユニット6abが筐体2の外部に引き出された場合にも、ユニット口12を自動的に閉鎖することができる。
【0227】
[実施形態6]
本実施形態6に係るシャッタ機構250は、シャッタ251に指逃げ部を設けない代わりに、通常時に、シャッタ251が本実施形態6に係るユニット(以下、「ユニット6ac」と称する)の先端部分に設けられた指逃げ部17の内部に突出しない構成となっている。
【0228】
以下、図16A及び図16Bを参照して、本実施形態6に係るシャッタ機構250の構成につき説明する。図16A及び図16Bは、それぞれ、実施形態6に係るシャッタ機構の構成を示す図である。
【0229】
本実施形態6に係るシャッタ機構250は、シャッタ251が、複数枚(例えば2枚)のシャッタが回動自在に連結されて折り畳まれた、折畳型シャッタとして構成されている。すなわち、シャッタ251は、2つのシャッタ251a,251bが回動自在に連結された構成になっている。
【0230】
シャッタ251aは、下側に設けられたシャッタである。シャッタ251bは、上側に設けられたシャッタである。以下、シャッタ251aとシャッタ251bとを区別する場合に、シャッタ251aを「下シャッタ251a」と称し、シャッタ251bを「上シャッタ251b」と称する。
【0231】
下シャッタ251a及び上シャッタ251bは、それぞれ、矩形の平板として構成されている。したがって、シャッタ251aは、展開時の全体の形状が矩形になる。下シャッタ251a及び上シャッタ251bは、連結支点251cによって、回動自在に連結されている。
【0232】
シャッタ251は、上端部から下端部までの長さ(下シャッタ251aの上端部から下端部までの長さ及び上シャッタ251bの上端部から下端部までの長さの合計)がユニット口12の上端部から下端部までの長さ以上の値に設定されている。
【0233】
ただし、シャッタ251は、折り畳まれた場合に、下シャッタ251a及び上シャッタ251bがユニット6acの指逃げ部17の内部に突出しないようにする必要がある。そのため、シャッタ251は、折り畳まれた状態の下シャッタ251a及び上シャッタ251bがユニット6acの指逃げ部17の内部に突出しないように、長さが短い方のシャッタ(図16A及び図16Bに示す例では、下シャッタ251a)の上端部から下端部までの長さ及び下シャッタ251aを軸支する位置(図16Bに示す支点251aaの位置)が設定されている。
【0234】
シャッタ251は、ユニット挿入時に、下シャッタ251a及び上シャッタ251bが、ユニット口12を開放するように、折り畳まれた状態になり、一方、ユニット引き出し時に、下シャッタ251a及び上シャッタ251bが、ユニット口12を閉鎖するように、展開された状態になる。
【0235】
シャッタ機構250は、このような動作を実現するためのシャッタ作動機構として、リンク機構252を有している。リンク機構252は、複数(例えば2つ)のリンク部材を用いて、ユニット6acの移動に連動して、シャッタ251を作動させる機構である。
【0236】
リンク機構252は、2つのリンク部材252a,252bを備えている。以下、リンク部材252aとリンク部材252bとを区別する場合に、リンク部材252aを「第3リンク部材252a」と称し、リンク部材252bを「第4リンク部材252b」と称する。
【0237】
なお、シャッタ機構250は、シャッタ251がユニット口12の下側で軸支されている。そして、シャッタ機構250は、ユニット挿入時に、シャッタ251が折り畳まれ、また、ユニット引き出し時に、シャッタ251が展開されるように動作させる必要がある。
【0238】
そのため、シャッタ機構250は、実施形態5に係るシャッタ機構240とは異なり、実施形態5に係るシャッタ機構240の第1リンク部材242aの回動方向とは逆向きに、第3リンク部材252aを回動させる必要がある。そこで、シャッタ機構250は、摺動部材301やギヤ321等の部材を備えるとともに、ユニット6acに突出部311を備えた構成になっている。
【0239】
フロントパネル3Aaは、ユニット口12に、枠部材401(図16B参照)が設けられている。枠部材401は、シャッタ251を支持する部材である。また、フロントパネル3Aaは、裏面に、第3リンク部材252aを軸支する支持部255が設けられている。
【0240】
第3リンク部材252aは、下端部が支持部255に設けられた支点255aによって軸支された部材である。第3リンク部材252aは、ユニット挿入時に、その上端部が、接触部材301の接触部303の接触面303aと接触部252aaで接触し、接触面303aに沿って摺動する。
【0241】
また、第3リンク部材252aは、ポスト257aによってバネ256が張架されている。バネ256は、一方の端部が第3リンク部材252aのポスト257aに張架されており、他方の端部が下ガイド部254に設けられたポスト257bに張架されている。バネ256は、第3リンク部材252aを下方向に付勢している。
【0242】
第3リンク部材252aの中央付近は、支点255cによって第4リンク部材252bと回動自在に連結されている。その第4リンク部材252bは、上端部が支点255bによってシャッタ251の上端部付近に回動自在に連結されており、下端部が支点255cによって第3リンク部材252aの中央付近に回動自在に連結されている。第4リンク部材252bの支点255bは、外側に突出しており、枠部材401に設けられた長孔401aに挿入されている。
【0243】
なお、枠部材401は、ユニット口12に設けられた部材である。枠部材401は、長孔401aが、ユニット口12側の面に垂直方向に設けられている。長孔401aは、シャッタ251の摺動方向を案内するガイド部として機能する。長孔401aは、上シャッタ251bの側面に設けられたポスト251baが挿入される。
【0244】
ポスト251baの位置は、連結支点251cからポスト251baまで距離が連結支点251cからポスト251aaまで距離(下シャッタ251aの上端部から下端部までの距離)とほぼ等しくなる位置である。
【0245】
図16Bに示す例では、枠部材401は、上シャッタ251bの上端部が当接する位置に、切り欠け3Abが設けられている。切り欠け3Abは、上シャッタ251bの上端部を収納する空間である。シャッタ機構250は、切り欠け3Abが設けられている場合に、上シャッタ251bの上端部が切り欠け3Abによって隠れるため、シャッタ251が悪意ある人物によってこじ開けられるのを防止することができる。
【0246】
シャッタ機構250は、支持部材501が、枠部材401の周囲に設けられている。支持部材501は、所定の位置に設けられた支点321aでギヤ321を回動自在に軸支しており、また、摺動部材301を摺動自在に支持している。
【0247】
ギヤ321は、ユニット6acの突出部311のギヤ歯311a及び摺動部材301のギヤ歯302aの双方と噛み合う。ギヤ321は、突出部311のギヤ歯311a及び摺動部材301のギヤ歯302aの双方と噛み合うことにより、ユニット6acの移動方向とは逆方向に、摺動部材301を摺動させることができる。
【0248】
摺動部材301は、ギヤ321と噛み合うように、ギヤ321と対向する位置にギヤ歯を備えている。また、摺動部材301は、第3リンク部材252aの接触部252aaと接触するように、接触部303を備えている。
【0249】
接触部303は、摺動部材301からリンク機構252と対向する側に向けて突出して設けられている。接触部303は、第3リンク部材252aの接触部252aaと接触する接触面303aを備えている。接触面303aは、接触部303の、第3リンク部材252aの接触部252aaと接触する位置に設けられた平坦な面であり、垂直方向に設けられている。
【0250】
また、摺動部材301は、支持部材501との間にバネ502が張架されている。バネ502は、摺動部材301をユニット口12付勢している。バネ502の張力は、シャッタ251の閉鎖方向に、シャッタ251、リンク機構252、及び、摺動部材301を十分に動かすことができるように、バネ256よりも強い値に設定されている。
【0251】
突出部311を備えている。突出部311は、ギヤ321と噛み合うように、ギヤ321と対向する位置にギヤ歯を備えている。
【0252】
以下、シャッタ機構250の動作につき説明する。
まず、ユニット挿入時のシャッタ機構250の動作につき説明する。
シャッタ機構250は、ユニット6acが挿入される前の段階では、図16A(c)に示すように、摺動部材301がバネ502によって付勢されてユニット口12に近い位置に配置された状態になっている。このとき、摺動部材301は、ギヤ歯302aがギヤ321と噛み合った状態になっている。
【0253】
そして、図16A(b)に示すように、シャッタ機構250は、ユニット6acが筐体2の後面側から内部に挿入されると、ユニット6acの突出部311が前進する。
【0254】
ユニット6acの突出部311は、前進すると、ギヤ歯311aがギヤ321と噛み合い、その結果、ギヤ321を回転させる。このとき、摺動部材301は、ギヤ歯302aがギヤ321と噛み合っているため、後退方向に摺動する。
【0255】
このとき、バネ256が、第3リンク部材252aを下方向に付勢する。そのため、第3リンク部材252aは、摺動部材301が後退方向に摺動するにつれて、支点255aを中心にして下方向(図面時計回り方向)に回動する。
【0256】
このとき、第4リンク部材252bは、第3リンク部材252aに引っ張られて後方に移動し、その結果、上シャッタ251bを下方向に引っ張る。上シャッタ251bは、ポスト251baが枠部材401の長孔401aに挿入されているため、長孔401aに沿って下方向に移動する。その結果、シャッタ251は、折り畳まれた状態になり、ユニット口12を開放する。
【0257】
次に、ユニット引き出し時のシャッタ機構250の動作につき説明する。
シャッタ機構250は、ユニット6acが引き出される前の段階では、図16A(b)に示すように、摺動部材301がユニット口12から離れた位置された状態になっている。また、ユニット6acの突出部311は、ギヤ歯311aが突出部311の後端付近でギヤ321と噛み合った状態になっている。
【0258】
そして、図16A(c)に示すように、シャッタ機構250は、ユニット6acが筐体2の後面側から外部に引き出されると、ユニット6acの突出部311が後退する。
【0259】
ユニット6acの突出部311は、後退すると、ギヤ歯311aがギヤ321と噛み合っているため、ギヤ321を回転させる。このとき、摺動部材301は、ギヤ歯302aがギヤ321と噛み合っているため、前進方向に摺動する。
【0260】
摺動部材301は、前進すると、接触部303の接触面303aで第3リンク部材252aの接触部252aaと接触し、第3リンク部材252aを前方に押圧する。そのため、第3リンク部材252aは、支点255aを中心にして上方向(図面反時計回り方向)に回動する。
【0261】
このとき、第3リンク部材252aは、第4リンク部材252bを前方に押圧する。これにより、第4リンク部材252bが、前方に移動し、その結果、上シャッタ251bを上方向に押圧する。
【0262】
このとき、上シャッタ251bは、ポスト251aaが枠部材401の長孔401aに挿入されているため、長孔401aに沿って上方向に移動する。その結果、シャッタ251は、ユニット口12を閉鎖する。
【0263】
このようなシャッタ機構250は、以下のような特徴を有している。
(1)シャッタ機構250のシャッタ251は、開放方向に動いた場合に、下シャッタ251a及び上シャッタ251bが連結支点251cを中心にして折り畳まれ、一方、閉鎖方向に動いた場合に、下シャッタ251a及び上シャッタ251bが展開される。
【0264】
(2)シャッタ機構250は、通常時に、ユニット6acが筐体2の後面側から内部に挿入される挿入動作に連動して、シャッタ251を開放方向に動かし、一方、保守時に、ユニット6acが筐体2の後面側から外部に引き出される引き出し動作に連動して、シャッタ251を閉鎖方向に動かす。
【0265】
シャッタ機構250は、このような動作を実現するためのシャッタ作動機構として、リンク機構252、ギヤ321、摺動部材301、及び、ギヤ歯部材311等を有している。また、ユニット6acは、突出部311を備えている。
【0266】
そのため、シャッタ機構250は、メカニカルな機構によって、ユニット6acの挿入動作や引き出し動作に連動して、ユニット口12を閉鎖することができる。これにより、シャッタ機構250は、ユニット6acが筐体2の外部に引き出された場合に(特に、電力が供給されていない状態で、ユニット6acが筐体2の外部に引き出された場合に)、ユニット口12を自動的に閉鎖することができる。
【0267】
(3)シャッタ251は、通常時に、下シャッタ251a及び上シャッタ251bが連結支点251cを中心にして折り畳まれる。このとき、シャッタ251は、折り畳まれた状態の下シャッタ251a及び上シャッタ251bがユニット6acの指逃げ部17の内部に突出しないように、長さが短い方のシャッタ(図16A及び図16Bに示す例では、下シャッタ251a)の上端部から下端部までの長さ及び下シャッタ251aを軸支する位置(図16Bに示す支点251aaの位置)が設定されている。そのため、シャッタ251は、通常時に、ユニット6acの指逃げ部17の内部に突出しない。したがって、シャッタ機構250は、通常時に、媒体の挿入や抜き取りを阻害しない。
【0268】
また、シャッタ251は、展開時の全体の形状が矩形になる。そのため、シャッタ241は、保守時に、ユニット口12を完全に封鎖する。したがって、シャッタ機構250は、保守時に、ユニット口12に隙間ができるのを回避することができる。
【0269】
以上の通り、実施形態6に係るシャッタ機構250を有するATMによれば、通常時に、媒体の挿入や抜き取りを阻害することなく、保守時に、ユニット口12に隙間ができるのを回避することができる。これにより、顧客がユニット口12の隙間から誤って指やカード媒体等を挿入するのを効率よく防止することができる。
【0270】
また、シャッタ機構250を有するATMによれば、モータ等の駆動源によらない、メカニカルな機構によって、ユニット口12を自動的に開閉するため、電力が供給されていない状態で、ユニット6acが筐体2の外部に引き出された場合にも、ユニット口12を自動的に閉鎖することができる。
【0271】
本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
【0272】
例えば、実施形態4では、シャッタ機構230は、ギヤ列232を用いて、ユニット6aaの挿入動作及び引き出し動作に連動して、シャッタ231を開閉させる構成であるものとして説明されている。しかしながら、シャッタ機構230は、ユニット6aaの挿入動作及び引き出し動作に連動して、シャッタ231を同様に開閉させる機構であれば、ギヤ列232に代わって用いるようにしてもよい。
【0273】
また、例えば、実施形態5では、シャッタ機構240は、リンク機構242を用いて、ユニット6abの挿入動作及び引き出し動作に連動して、シャッタ241を開閉させる構成であるものとして説明されている。しかしながら、ユニット6abの挿入動作及び引き出し動作に連動して、シャッタ機構240は、シャッタ241を同様に開閉させる機構であれば、リンク機構242に代わって用いるようにしてもよい。
【0274】
また、例えば、実施形態6では、シャッタ機構250は、リンク機構252や、摺動部材301、ギヤ321等の機構を用いて、ユニット6acの挿入動作及び引き出し動作に連動して、シャッタ251を開閉させる構成であるものとして説明されている。しかしながら、シャッタ機構250は、ユニット6acの挿入動作及び引き出し動作に連動して、シャッタ251を同様に開閉させる機構であれば、これらの機構に代わって用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0275】
1,1A 自動取引装置(ATM)
2 筐体(本体)
3,3A,3Aa,3B フロントパネル(上部カバー)
3Ab,229 切り欠け
4 前扉(下部カバー)
5 後扉
6 ユニット
6a,6aa,6ab,6ac カードユニット
6b 通帳ユニット
12 ユニット口
12a カードユニット口
12b 通帳ユニット口
16 カード挿入排出口
17,41,141 指逃げ部(凹部)
20,20A,210,220,230,240,250 シャッタ機構
21a 下シャッタ(第1シャッタ)
21b 上シャッタ(第2シャッタ)
30,130 ブラケット
31a,31b,131a,131b,211a,245a,245b,245c,255a,255b,255c,321a 支点
32a,32b,132a,132b,217,233b,246,502 バネ
33 ストッパ
34 上保護板
39a,39b,134,139a,139b ガイド
42 封鎖部(凸部)
121a メインシャッタ
121b サブシャッタ(封鎖部)
130 ブラケット
131 隙間
133 ストッパ
135 ローラ(当接部)
135a ローラ支点
136a,136b,214a,214b,214c,218a,218b,233ab,233ca,233cb,233cc,236a,247a,247b,251aa,251ba ポスト
140(140a,140b) ローラ接触面
211,231 シャッタ(回動シャッタ)
212a,212b,212c,222a,222b,222c,236,248 保護板
214,244 下ガイド
216 溝
232 ギヤ列(シャッタ作動機構)
232a 先頭ギヤ
232b 中間ギヤ
232c 最終ギヤ
233 ロック機構
233a ロック部材
233aa 連結部
233c 摺動部材
234 突出部(ロック解除部)
234a,234b,243a,303a 接触面
235 ギヤ歯部材(シャッタ作動機構)
235a,302a,311a ギヤ歯
236e,248a,401a 長孔(ガイド部)
241 シャッタ(摺動シャッタ)
242 リンク機構(シャッタ作動機構)
242a 第1リンク部材
242aa 接触部
242b 第2リンク部材
243 接触部材
245 支持部
251 シャッタ(折畳型シャッタ)
251a 下シャッタ
251b 上シャッタ
251c 折畳支点
252 リンク機構(シャッタ作動機構)
252a 第3リンク部材
252aa 接触部
252b 第4リンク部材
255 支持部
301 摺動部材
302 摺動部
303 接触部
311 突出部
321 ギヤ
401 枠部材
501 支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部に収納されかつ先端部分に指逃げ部が設けられたユニットの一部を外部に露出させるためのユニット口が当該筐体の前面側に設けられており、保守時に、当該ユニット口が開口される自動取引装置において、
前記ユニット口よりも後方に設けられ、前記指逃げ部と同形状の凹部を備える第1シャッタと、
前記第1シャッタに対向するように前記ユニット口よりも後方に設けられ、前記凹部を封鎖する凸部を備える第2シャッタと、
前記第1シャッタに対し、閉鎖方向に付勢する第1シャッタ作動機構と、
前記第2シャッタに対し、閉鎖方向に付勢する第2シャッタ作動機構とを有し、
前記第1シャッタ及び前記第2シャッタは、
前記第1シャッタの上端部から下端部までの長さ及び前記第2シャッタの上端部から下端部までの長さの合計が前記ユニット口の上端部から下端部までの長さ以上の値に設定されており、かつ、
通常時に、前記ユニットからの押圧を受けて開放方向に動き、一方、保守時に、前記ユニットからの押圧が解除されることにより、それぞれに対応する前記第1シャッタ作動機構及び前記第2シャッタ作動機構からの付勢を受けて閉鎖方向に動く
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動取引装置において、
前記第1シャッタ及び前記第2シャッタは、それぞれ、開放方向に動いた場合に、前方に回動して、水平方向に転倒した転倒状態となり、一方、閉鎖方向に動いた場合に、後方に回動して、垂直方向に起立した起立状態となるように、前記ユニット口よりも後方で軸支されており、
前記第1シャッタ作動機構及び前記第2シャッタ作動機構は、それぞれに対応する前記第1シャッタ及び前記第2シャッタを起立させる方向に向けて付勢している
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項3】
請求項2に記載の自動取引装置において、
前記第2シャッタは、前記第1シャッタよりも上側に設けられており、
前記ユニット口は、上側が下側よりも前方に突出しており、少なくとも前記転倒状態の前記第2シャッタが前記ユニット口の上側の後方に収納される
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項4】
筐体の内部に収納されかつ先端部分に指逃げ部が設けられたユニットの一部を外部に露出させるためのユニット口が当該筐体の前面側に設けられており、保守時に、当該ユニット口が開口される自動取引装置において、
前記ユニット口よりも後方に設けられ、前記指逃げ部と同形状の凹部を備えるメインシャッタと、
前記メインシャッタの裏面に軸支され、前記凹部の周囲で開放方向又は閉鎖方向に動くサブシャッタと、
前記メインシャッタに対し、閉鎖方向に付勢するメインシャッタ作動機構と、
前記サブシャッタに対し、開放方向に付勢するサブシャッタ作動機構とを有し、
前記メインシャッタは、その上端部から下端部までの長さが前記ユニット口の上端部から下端部までの長さと同等の値に設定されており、かつ、通常時に、前記ユニットからの押圧を受けて開放方向に動き、一方、保守時に、前記ユニットからの押圧が解除されることにより、前記メインシャッタ作動機構からの付勢を受けて閉鎖方向に動き、
前記サブシャッタは、通常時に、前記メインシャッタが開放方向に動くことにより、前記サブシャッタ作動機構からの付勢を受けて開放方向に動き、一方、保守時に、前記メインシャッタが閉鎖方向に動くことにより、前記サブシャッタの周囲の部材と当接して閉鎖方向に動く
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項5】
請求項4に記載の自動取引装置において、
前記メインシャッタは、開放方向に動いた場合に、前方に回動して、水平方向に転倒した転倒状態となり、一方、閉鎖方向に動いた場合に、後方に回動して、垂直方向に起立した起立状態となるように、前記ユニット口よりも後方で軸支されており、
前記メインシャッタ作動機構は、前記メインシャッタを起立させる方向に向けて付勢している
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項6】
請求項5に記載の自動取引装置において、
前記サブシャッタは、開放方向に動いた場合に、前記メインシャッタの外周よりも外側に突出し、一方、閉鎖方向に動いた場合に、前記ユニット口の周囲の壁面と当接して、当該壁面から、前記サブシャッタを前記ユニット口の外周の内側方向に押下する押圧を受ける当接部を備えている
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項7】
筐体の内部に収納されかつ先端部分に指逃げ部が設けられたユニットの一部を外部に露出させるためのユニット口が当該筐体の前面側に設けられており、保守時に、当該ユニット口が開口される自動取引装置において、
前記ユニット口よりも後方に設けられ、前記ユニット口を塞ぐように矩形に形成されたシャッタと、
前記シャッタに対し、閉鎖方向に付勢するシャッタ作動機構とを有し、
前記シャッタは、その上端部から下端部までの長さが前記ユニット口の上端部から下端部までの長さ以上の値に設定されており、かつ、開放方向に動いた場合に、前方に回動して、水平方向に転倒した転倒状態となり、一方、閉鎖方向に動いた場合に、後方に回動して、起立状態又は傾斜状態となるように、前記ユニット口よりも後方で軸支されており、
前記シャッタを軸支する支点は、前記シャッタの上端部が前記指逃げ部の内部に突出しない位置に設けられている
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項8】
請求項7に記載の自動取引装置において、
前記シャッタ作動機構は、前記シャッタを起立させる方向に向けて付勢しており、
前記シャッタは、通常時に、前記ユニットからの押圧を受けて開放方向に動き、一方、保守時に、前記ユニットからの押圧が解除されることにより、前記シャッタ作動機構からの付勢を受けて閉鎖方向に動く
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項9】
筐体の内部に収納されたユニットの一部を外部に露出させるためのユニット口が当該筐体の前面側に設けられており、保守時に、当該ユニット口が開口される自動取引装置において、
前記ユニット口よりも後方に設けられ、前記ユニット口を塞ぐように矩形に形成されたシャッタと、
前記シャッタは、その上端部から下端部までの長さが前記ユニット口の上端部から下端部までの長さ以上の値に設定されており、かつ、開放方向に動いた場合に、後方に回動して、水平方向に転倒した転倒状態となり、一方、閉鎖方向に動いた場合に、前方に回動して、起立状態となるように、前記ユニット口の近傍の位置で軸支されている
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項10】
請求項9に記載の自動取引装置において、
前記シャッタ作動機構は、通常時に、前記ユニットが前記筐体の後面側から内部に挿入される挿入動作に連動して、前記シャッタを開放方向に動かし、一方、保守時に、前記ユニットが前記筐体の後面側から外部に引き出される引き出し動作に連動して、前記シャッタを閉鎖方向に動かす
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項11】
請求項10に記載の自動取引装置において、
前記シャッタ作動機構は、前記ユニットが前記筐体の後面側から内部に挿入される場合に、前記シャッタを転倒させる方向に向けて駆動させ、一方、前記ユニットが前記筐体の後面側から外部に引き出される場合に、前記シャッタを起立させる方向に向けて駆動させるギヤ列を備えており、
前記ユニットは、前記ギヤ列のギヤと噛み合うギヤ歯を備えている
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項12】
請求項11に記載の自動取引装置において、
前記シャッタ作動機構は、
さらに、前記ユニットが前記筐体の後面側から内部に挿入される場合に、前記ギヤ列の駆動に対する規制を解除し、一方、前記ユニットが前記筐体の後面側から外部に引き出される場合に、前記ギヤ列の駆動を規制するロック機構を備えている
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項13】
筐体の内部に収納されたユニットの一部を外部に露出させるためのユニット口が当該筐体の前面側に設けられており、保守時に、当該ユニット口が開口される自動取引装置において、
前記ユニット口を塞ぐように矩形に形成されたシャッタと、
前記シャッタを前記ユニット口と平行に摺動させるシャッタ作動機構とを有している
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項14】
請求項13に記載の自動取引装置において、
前記シャッタ作動機構は、通常時に、前記ユニットの前記挿入動作に連動して、前記シャッタを開放方向に動かし、一方、保守時に、前記ユニットの前記引き出し動作に連動して、前記シャッタを閉鎖方向に動かすリンク機構によって構成されている
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項15】
筐体の内部に収納されたユニットの一部を外部に露出させるためのユニット口が当該筐体の前面側に設けられており、保守時に、当該ユニット口が開口される自動取引装置において、
前記ユニット口又はその後方に設けられ、複数枚のシャッタが折り畳み及び展開が可能に連結されて、全体の形状が前記ユニット口を塞ぐように矩形に形成された折畳型シャッタと、
通常時に、前記折畳型シャッタを開放方向に動かし、一方、保守時に、前記折畳型シャッタを閉鎖方向に動かすシャッタ作動機構とを有している
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項16】
請求項15に記載の自動取引装置において、
前記シャッタ作動機構は、通常時に、前記ユニットの前記挿入動作に連動して、前記シャッタを折り畳む方向に動かし、一方、保守時に、前記ユニットの前記引き出し動作に連動して、前記シャッタを展開させる方向に動かすリンク機構によって構成されている
ことを特徴とする自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−69162(P2013−69162A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207960(P2011−207960)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】