自動拡張骨固定デバイス
デバイスの術後の取付け調整を必要とせずに、骨の成長に応じて、スクリュー−ロッド構成体の伸張が可能となるように、ロッドの移動を許容する、骨アンカーと連結されるように適合された骨固定デバイス。前記骨固定デバイスは、ハウジングと動作可能に関連するロック機構を有し、前記ロック機構は、第1の方向へのロッドとハウジングの相対移動を許容し、前記ロッドと前記ハウジングの第2の方向への相対移動を阻止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2008年2月7日出願の米国仮特許出願第61/063,942号、2008年2月7日出願の米国仮特許出願第61/063,943号、ならびに2008年8月6日出願の米国仮特許出願第61/188,089号の優先権と利益を主張する。これらの先の出願のそれぞれの開示の全体を、参照によりここに援用する。
【0002】
本開示は、整形外科脊椎手術用デバイスに関する。より詳細には、本開示は、骨の成長に応じて伸張可能な骨を固定するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトの脊椎は、出生時には32本、成人では24本の椎骨から構成される。椎骨は、椎体と、棘突起、横突起、椎間関節、椎弓板および椎弓根などの後方要素を有する。椎体は、海綿状の中心部を取り囲む皮質殻からなる。椎骨のそれぞれの対の間に椎間板が存在しており、椎間板は、隣接する椎骨と椎骨の間に隙間を保持し、圧縮、屈曲、回転の各負荷および動きがかかったときのクッションとして機能する。健常な椎間板は、ほぼ、椎間板の中心部分である髄核内に含まれる水からなる。この含有水分により、髄核が海綿状となり、脊髄にかかる応力を吸収できるようになる。
【0004】
側弯症とは、脊椎が前後または左右に弯曲し、その長軸を中心に回転することもある医学的状態である。代表的な治療としては、進行速度を決定する観察と、脊椎の今後の成長が、望ましい経路と向きを辿ることを保証するための外部装具の装着が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
弯曲または回転の進行の可能性が高い場合、あるいは、かなりの痛みまたは他の一般的な健康リスクがある場合、外科的調整の対象となる。このような場合、側弯の弯曲を安定させるために、脊椎の各種部分の脊椎固定術が行われうる。若年患者では、脊椎固定術の実施は、患者の正常な成長に干渉するため、あまり望ましくない。
【0006】
このような手技を受ける若年患者の正常な成長への影響を最小限に抑えるために、伸張ロッドが開発されている。伸張ロッドは、脊椎に構造を与え、これを安定させて矯正する一方で、元の構成体を交換したり、またはこれにデバイスの追加を必要とすることなく、ロッドが伸張できるようにする。
【0007】
現在利用可能な伸張ロッドシステムの主な不都合として、ロッドを手動で伸張させるために、通常、1本以上のセットスクリューを緩めて、2本のロッド部分間の距離を広げ、セットスクリューを締め直す外科的手技が必要となる点が挙げられる。このように機能する現在市販されているシステムの1つとして、DePuy Spine Inc.のISOLA(登録商標)が挙げられる。このようなシステムは、数年にわたって、約半年おきに外科的手技が必要となる。他のシステムは、第2のデバイスを備え、術者がある種の遠隔測定法を使用して、デバイスを作動させると、このデバイスが、ロッドまたは構成体を伸張させる。この種類のシステムは、更に複雑となり、能動要素と、場合によってはある種の電源を使用する。現在利用可能なデバイスでは、伸張ロッドが、構造と安定性を保持しつつ、脊椎の成長に応じて受動的に伸張することができない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
骨固定デバイスの取付け後の調整が不要となるように、成長する骨に取り付けるように適合された骨固定デバイスがここに開示される。
【0009】
一実施形態では、前記骨固定デバイスは、開口部を有するハウジングと、前記開口部に挿入可能なロッドと、前記ハウジングと動作可能に関連するロック機構と、を有し、前記ロック機構は、前記ロッドとハウジングの第1の方向への相対移動を許容し、前記ロッドと前記ハウジングの第2の方向への相対移動を阻止する。前記ロッドは、取り付け後の調整を必要とすることなく、前記患者の成長に応じて、前記ハウジングに対して受動的に並進するように、骨アンカーを介して患者の骨に取り付け可能である。
【0010】
別の実施形態では、前記ロック機構は、直径がほぼ一定の第1の部分と、前記第1の部分に隣接し、小さな直径にテーパする第2の部分とを有する貫通孔を有する。前記ロック機構は、前記貫通孔の前記直径に対応して内径が可変のスプリットリングと、前記小さい径の方向に前記スプリットリングに力を加えるスプリング要素とを有し、前記ロッドが前記スプリットリングの内側に配置される。
【0011】
別の実施形態では、前記ロック機構は、部分的に開放された貫通孔を有し、前記貫通孔に挿入されたロッドが、回転可能に一方向にバイアスされ、前記ハウジングに対する前記ロッドの一方向への並進を阻止し、前記ハウジングに対する前記ロッドの逆方向への並進を可能にするように構成され、寸法が設定された面を有するカムと係合可能とされる。
【0012】
更に別の実施形態では、前記ロック機構は、前記ロッドを収容するための開口部を有する少なくとも1枚のプレートを備え、前記プレートは、前記プレートが、前記ハウジングに対する前記ロッドの一方向への並進を妨げ、前記ハウジングに対する前記ロッドの逆方向への並進を許容するように、一方向に回転バイアスを有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】一対の椎弓根スクリューが第1の間隔をあけて離間されている骨固定デバイスの等角図である。
【図1B】一対の椎弓根スクリューが第2の間隔をあけて離間されている図1Aの骨固定デバイスの等角図である。
【図2】ハウジングの上部断面図である。
【図3A】ロック機構の等角図である。
【図3B】図3Aのロック機構の分解図である。
【図4A】図3Aのロック機構のロック状態の断面図である。
【図4B】図3Aのロック機構のロック解除状態の断面図である。
【図5A】骨固定デバイスの別の実施形態の分解図である。
【図5B】図5Aの骨固定デバイスの組立図である。
【図5C】図5Bの骨固定デバイスの断面図である。
【図6A】一対の椎弓根スクリューが第1の間隔をあけて離間されている骨固定デバイスの別の実施形態の等角図である。
【図6B】一対の椎弓根スクリューが第2の間隔をあけて離間されている図6Aの骨固定デバイスの等角図である。
【図7A】図6A〜6Bの骨固定デバイスのロック機構の完全分解等角図である。
【図7B】図7Aのロック機構のカバーを外した状態の等角図である。
【図8A】図7Aのロック機構のロッドを挿入した状態の断面図である。
【図9A】一対の椎弓根スクリューが第1の間隔をあけて離間されている骨固定デバイスの別の実施形態の等角図である。
【図9B】一対の椎弓根スクリューが第2の間隔をあけて離間されている図9Aの骨固定デバイスの等角図である。
【図10】骨固定デバイスの別の実施形態の等角図である。
【図11】骨固定デバイスの別の実施形態の等角図である。
【図12A】図9Aの骨固定デバイスの分解図である。
【図12B】図12Aの骨固定デバイスの上部断面図である。
【図13A】骨固定デバイスの別の実施形態の等角図である。
【図13B】図13Aの骨固定デバイスの部分分解等角図である。
【図14A】骨固定デバイスの更に別の実施形態の等角図である。
【図14B】図14Aの骨固定デバイスの分解図である。
【図14C】図14Aの骨固定デバイスの正面図である。
【図15】図14Aの骨固定デバイス、複数のロッドおよび複数のスクリューを有する脊髄構成体の等角図である。
【図16A】骨固定デバイスの代替実施形態の等角図である。
【図16B】図16Aの骨固定デバイスの分解図である。
【図17】図16Aの骨固定デバイス、ロッドおよび複数のスクリューを有する脊髄構成体の等角図である。
【図18A】骨固定デバイスの更に別の実施形態の等角図である。
【図18B】図18Aの骨固定デバイスの分解図である。
【図19】図18Aの骨固定デバイス、ロッドおよび複数のスクリューを有する脊髄構成体の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の実施形態を、添付の図面を参照して本明細書に記載する。
【0015】
本開示の特定の実施形態を、添付の図面を参照して本明細書に記載する。以下の説明においては、本開示を不必要に詳しく記載して本発明を不明瞭にすることのないように、公知の機能または構造は詳細に記載することはしない。図面に図示し、以下の説明にわたって記載するように、かつ物体の相対位置について言及する場合に従来用いられるように、「基端」との文言は、術者に最も近いデバイスまたはシステムの端を指し、「先端」との文言は、術者から最も遠いデバイスまたはシステムの端を指す。また、「頭側」との用語は、本願においては、患者の頭部に向かう方向を指すために使用され、「尾側」の文言は、患者の足に向かう方向を指す。更に、本願のために、「内側」との文言は、「内側」は、患者の体の側面に向かう方向、すなわち、患者の体の中央から離れる方向を指し、「外側」との文言は、患者の体の側面に向かう方向、すなわち、患者の体の中央から離れる方向を指す。「後方」との文言は、患者の背部に向かう方向を指し、「前方」との文言は、患者の前面に向かう方向を指す。
【0016】
取付け後の調整を必要とすることなく、骨の成長に受動的に適応するように適合されたロック機構を有する骨固定デバイスの実施形態を、図1A〜13Bを参照して記載する。
【0017】
ここで、骨固定デバイス100Aの第1の実施形態を、図1A〜4Bを参照して記載する。図1A,1Bに、骨固定デバイス100Aが図示されており、骨スクリューが第1の間隔(図1A)をあけて離間された状態と、骨スクリューが第2の間隔(図1B)をあけて離間された状態とが示されている。骨固定デバイス100Aは、ロッドR1,R2を収容するように適合された2本の平行な貫通穴12が設けられているロック機構10Aを備える。各ロッドR1,R2は、骨(図示せず)または椎体に埋め込み可能な骨スクリューS1,S2と連結されるように適合されている。図に示すように、骨固定デバイス100Aは、2つの椎体に連結されうるスクリューS1とS2の間に配した2本のロッドR1,R2に取り付けるために構成されているが、開示の骨固定デバイスの実施形態を使用して連結するスクリューまたは椎体の数が変わってもよい。(例えば、患者が成長して)選択された椎体間の間隔が広がると、骨スクリューS1,S2を互いに離すような力がかかる。この力により、ロッドR1,R2がロック機構10Aを通って並進し、骨固定デバイス100Aは、椎弓根スクリューS1とS2間の間隔が第1の間隔(図1A)から第2の間隔(図1B)に広がるのを許容する。図1Bに示すように、骨スクリューS1とS2が互いに離れると、ロッドR1が、ロック機構10Aを通って矢印Bに示す方向に移動する。同様に、ロッドR2が、ロック機構10Aを通って矢印Aに示す方向に移動する。本開示の骨固定デバイス100Aは、図1A,1Bに示すように、骨スクリューS1,S2およびロッドR1,R2と組み立てられると、植込み可能な脊髄構成体を形成する。
【0018】
図2に示すように、ハウジング1000内の各貫通孔12は、開口12aを有し、開口12aは、直径が徐々に広がっているテーパ部分102に続き、その後、直径が略一定の部分101となる。図3A,3Bに示すように、各貫通孔12は、スプリットリング10と、キャップ11aによって保持されるスプリング要素11とを収容している。
【0019】
ロック機構10Aは、ロック状態(図4A)とロック解除状態(図4B)とをとる。以下の説明ではロッドR1,R2の一方のみを取り上げるが、このロック機構の動作の説明は、ロッドR1,R2の両方に当てはまる。スプリング要素11は、テーパ部分102に沿って、貫通孔12の小径部分のほうへ、開口12aに向かう方向に、スプリットリング10に一定の力を加える。スプリットリング10は、テーパ部分102におけるスプリットリング10の位置に応じて、直径が変化する。ロッドR1は、スプリットリング10とスプリング要素11の内側に配置される。スプリットリング10が、テーパ部分102の径の小さい領域に並進すると、スプリットリング10は、図4Aに示すように、円周方向の摩擦力をロッドR1に加え、ロッドR1が矢印Aの方向に並進するのを阻止する。一方で、スプリング要素11が加える力に対抗する力がロッドR1に加えられると、スプリットリング10がテーパ部分102の径の大きい領域に並進して、スプリットリング10が広がり、これにより、スプリットリング10の内側のロッドR1にスプリットリング10が加える円周方向の摩擦力が弱まる。スプリットリング10とロッドR1間の円周方向の摩擦力が弱まると、図4Bに示すように、ロッドR1が、矢印Bの方向に自由に並進できるようになる。図4Aに示すように、ロッドR1を開口12aの方向に並進させる力を加えるとロック機構が作動するため、ロッドR1は一方向のみに並進可能である。このように、骨固定デバイス100Aは、医師の調整または関与を必要とせずに、患者の成長に応じて、椎弓根スクリューの対S1,S2間の間隔または空間(図1A,1B)を受動的に伸張可能にする。骨固定デバイス100Aが、椎弓根スクリューS1,S2間の間隔を広げる方向へのロッドR1,R2の並進を許容した後は、ロック機構10Aが、構成体全体の収縮、すなわち、椎弓根スクリューS1,S2の相互の接近に対抗する。より詳細には、椎弓根スクリューS1,S2間の距離が広がると、ロッドR1がロック機構10Aを通って矢印Bの方向に並進し、ロッドR2がロック機構を通って矢印Aの方向に並進する。
【0020】
骨固定デバイス100Bを、図5A〜5Cを参照して以下に説明する。以下の説明ではロッドR1,R2の一方のみを取り上げるが、このロック機構の動作の説明は、ロッドR1,R2の両方に当てはまる。骨固定デバイス100Bはロック機構10Bを備える。ロック機構10Bは、キャップ11aによって保持されるスプリットリング10とスプリング要素11とを収容している貫通孔2を有し、ロッドR1に加えられる力の向きに応じて、ロッドR1を、ロック状態、ロック解除状態で収容するように適合されているという点で、ロック機構10Bは、骨固定デバイス100Aのロック機構10Aと実質的に同様に機能する。スプリング要素11とキャップ11aが、一体構造として形成されてもよいことが考察される。ロック機構10Bは、ロック機構10Aのような2本の平行な貫通孔を有する代わりに、2本のロッドR1,R2を同一直線上に収容するように適合された1本の貫通孔2を有する。貫通孔2のそれぞれの端2a,2bの入り口に直径が略一定の部分101bが設けられており、その先に、直径が徐々に縮小するテーパ部分102bが続いている。スプリットリング10が貫通孔2の径の小さい部分の方に移動し、スプリットリング10が、挿入されたロッドR1の周りで収縮し、ロッドR1の矢印Aに示す方向への並進を阻止するように、スプリング要素11は、テーパ部分の径の狭い端に向かう方向に、スプリットリング10に一定の力を加える。あるいは、ロッド部分を互いに離す(すなわち、ロッドR1を矢印Bの方向に、ロッドR2を矢印Aの方向に移動させる)ことによって、構成体を伸張させる方向にロッドR1,R2に力を加えると、骨固定デバイス100Bは、スプリットリング10を、貫通孔2の径の広い部分に移動させ、これにより、ロッドR1,R2とスプリットリング10間の摩擦力が弱まり、ロッドR1,R2の並進が可能となり、ロッドR1が矢印Bに示す方向に並進し、ロッドR1が矢印Aに示す方向に並進する。上に開示した骨固定デバイス100Aと同様に、骨固定デバイス100Bは、骨スクリューおよびロッドと組み立てられたときに、植込み可能な脊髄構成体を形成する。
【0021】
ここで、骨固定デバイス200を、図6A〜8を参照して説明する。骨固定デバイス200は、骨(図示せず)に植込み可能な骨スクリューS1,S2と連結されたロッドR1,R2を収容するように適合された2本の平行な貫通孔26が設けられたロック機構201を備える。ロック機構201は、受動的、すなわち、取付け後の調整または外科的関与を必要としない、ロッドR1,R2の並進を一方向のみ(骨の成長方向の)に許容する一方で、逆方向への並進を阻止するように構成され、寸法が設定されている。より詳細には、上記開示のロック機構と同様に、ロック機構201は、ロッドR1を矢印Bの方向に移動させ、ロッドR2を矢印Aの方向に移動させる一方で、ロッドR1,R2の逆方向への移動を阻止する。例えば、図6Aに示すように、椎弓根スクリューの対S1,S2の間に第1の間隔が画定され、骨が成長する、すなわち骨の間隔が変わると、図6Bに示すように、椎弓根スクリューの対S1,S2の間に第2の間隔が画定されるように、ロッドR1,R2の移動を可能にするように、骨固定デバイス200を備える構成体が取り付けられうる。骨固定デバイス100の前述の実施形態と同様に、骨固定デバイス200は、医師の関与を必要とせずに椎弓根スクリューS1,S2間の間隔を変更できるようにし、図6A,6Bに示すように、骨スクリューS1,S2およびロッドR1,R2と組み立てられたときに、植込み可能な脊髄構成体を形成する。
【0022】
貫通孔26は、挿入されたロッドR1,R2を安定させるように適合された閉部分26aを除き、ほぼ開放されている。2本の平行な貫通孔26の間に、ロックアセンブリ202が設けられており、図7Aに、部品が分離された状態で図示されている。ロックアセンブリ202は、2つの略反対に位置するカム面20a,20bを有するカム20を備える。図8に示すように、カム面20aは、丸み部分20cと尖り部分20dとを有する。同様に、カム面20bは、丸み部分20fと尖り部分20eとを有する。スプリング要素22が、カム20に隣接し、かつカム20と接触するように、ポスト21によって保持されている。スプリング要素22は、カム20に対向するバイアス力を与え、カム20に回転力が加わり、これにより、カム面20b,20aの丸み部分20c,20fが、それぞれ、貫通孔26内に配置されたロッドR1,R2と係合して、貫通孔26内でのロッドR1,R2の並進を阻止する。カム20の回転と逆の打ち消す方向にロッドR1,R2を並進させる力を加えると、ロッドR1,R2が、カム20の丸み部分20c,20fと係合する。ロッドR1,R2がカム20の丸み部分20c,20fと係合すると、カム20が回転し、これにより、ロッドR1,R2とカム20の丸み部分20c,20fとの間の摩擦係合が強化される。このため、ロッドR1,R2を互いに接近させるように(すなわち、ロッドR1を矢印Aの方向に、ロッドR2を矢印Bの方向に)移動させようとしても、ロッドR1,R2と丸み部分20c,20fとの間の摩擦係合により、このような移動が阻止される。ロッドR1,R2を、互いに離れるように(すなわち、ロッドR1が矢印Bの方向に、ロッドR2が矢印Aの方向に)移動させると、カム20が逆方向に回転し、スプリング要素22がカム20に加えるバイアスを打ち消して、丸み部分20c,20fがロッドR1,R2の表面から離れて、ロッドR1,R2が移動可能となる。このため、ロック機構201は、ロッドR1,R2を互いに離すように移動できるようにし、これにより椎弓根スクリューの対S1,S2の間の間隔が広がり(図6B)、椎弓根スクリューの対S1,S2の間の間隔を保つために、ロッドR1,R2が互いに接近するのを阻止する。
【0023】
骨固定デバイス200の取付けを支援するために、臨床医が、カム20の表面のスロット25を使用して、カム20を手動で回転させて、ロッドR1,R2が自由に回転できるように、丸み部分20c,20fをロッドR1,R2と係合させないようにしてもよい。また、カバー18は、医師がロック機構201の内部を見ることができるように着脱可能である。
【0024】
別の実施形態では骨固定デバイス301が開示され、図9A〜9Bを参照して、これについて説明する。上に開示した骨固定デバイスと同様に、骨固定デバイス301は、ロッドR1の矢印Aの方向への移動を可能にし、ロッドR1の逆方向への移動を阻止するように適合されている。より詳細には、ロッドR1と組み合わせた骨固定デバイス301は、椎弓根スクリューの対S1,S2(図9A)間に第1の間隔を画定している。骨固定デバイス301は、骨の成長時に、椎弓根スクリューの対S1,S2間に第2の間隔が画定される(図9B)ように、医師の関与なしで、ロッドR1を矢印Aの方向に移動可能にする。骨固定デバイス302,303は、図10,11に示すように、骨固定デバイス301を参照して後述するものと実質的に同じであり、構成のみが異なるロック機構を使用する。骨固定デバイス302,303は、ロッドR1,R2と協働するように構成され、適合されている。骨固定デバイス302,303は、代替の構成のこのような2つの例である。骨固定デバイス302は、ロッドR1,R2を収容するように適合された2本の平行な貫通穴302aが設けられたハウジング315を備える(図10)。骨固定デバイス303は、ロッドR1,R2を収容するように適合された2本の平行な貫通穴303aが設けられたハウジング320を備える(図11)。骨固定デバイス302,303の貫通孔302a,303aのそれぞれの内部に、図12Aに示すように、ロッドR1,R2を一方向のみに並進できるようにするロックアセンブリ310が設けられている。上に開示した骨固定デバイスと同様に、図9A〜11に示すように、骨固定デバイス301,302,303は、骨スクリューS1,S2およびロッドR1,R2と組み立てられたときに、植込み可能な脊髄構成体を形成する。
【0025】
図9A〜11は、骨固定デバイスの特定の主題のいくつかの実施形態を開示する。図9A〜9Bは、全体のプロファイルが小型化されたインライン型のデバイスを示す。全体のプロファイルが小型化された骨固定デバイスを提供することによって、本開示の骨固定デバイスは、乳児、小児のほか、それ以外の体格の小さな人の手技に適している。また、骨固定デバイスの小型化されたプロファイルは、感染の可能性を低減し、組織への刺激を低減し、患者の背部のデバイスの飛び出しを最小化するのに重要である。従来のデバイスは、衣類を着ていない場合には、その存在を感じ、非常に目立ち、美観を大きく損なう。本開示の骨固定デバイス301,302,303は、現存の椎弓根スクリューと併用するように設計されているため、ポスト301b,302c,303cの外径は、椎弓根スクリューS1に連結される脊椎ロッドの外径に実質的に等しい。骨固定デバイス301,302,303が負荷によって破損することのないように、ポスト301b,302c,303cの壁は、最低限の厚さを確保する必要がある。このため、径の小さなロッドが、骨固定デバイス301,302,303と併用されるように、ポスト301b,302c,303cの内径は小さく設定されている。径の小さなロッドは、径の大きいロッド(すなわち標準的なロッド)よりも強度が低い。ロッドの材料を変更してもよいが、場合によっては、例えば、CoCrからTi−6A1−4Vに材料を変更した場合でも、所望のロッド強度を確保するために、ロッドの直径を同じ値に維持するか、あるいは大きく設定する必要がある。この場合、図10,11に示す骨固定デバイス302,303は、浮いており(例えば図1〜8)、代表的な椎弓根スクリューと嵌合する外径を有する脊柱ロッドを収容する場合とは異なり、骨固定デバイス302,303をスクリューS1に固定することが可能である。ここに開示の「インライン型の」デバイスのいずれかを使用する場合、脊髄ロッドを小径化する必要はない。この場合も、脊柱ロッドの一部が1本以上の椎弓根スクリューに堅固に固定され、この両者を嵌合させるために、スプリットスリーブ40が設計されている。スプリットスリーブ40は、ブッシングのように機能し、外径が椎弓根スクリューに適合し、内径が脊柱ロッドに適合している。スプリットスリーブ40は、脊柱ロッドを確実にロックするために、負荷がかかったときに変形量の大きい展性材料から形成される。更に、図9A〜9Bのデバイスは、デバイスの実質的に全長が直線状であるため、湾曲したロッドを貫通させない。
【0026】
開示の骨固定デバイスと併用される脊柱ロッドは全て、ロッドが並進して骨固定デバイスから抜けるのを阻止するための止め部分317(図9A)を有する。止め部分317は、ロッドの端を、その位置で(in
situ)スエージングすることによって形成することができるが、限定的ではないが、カラー、クランプ、広径部などの他の構造を使用してもよい。図13の実施形態は、デバイスがオフセット型(図10,11)ではなくインライン型である図9Aの変形例であり、脊柱ロッドが骨固定デバイスを通って並進する構成ではなく、脊柱ロッドと骨固定デバイスとの間に入れ子式の構成を提供する。図13の実施形態は、脊柱ロッドの長軸を中心とした脊柱ロッドの回転を阻止する脊柱ロッドのための構成を提供する。脊柱ロッドの長軸を中心とした脊柱ロッドの回転を阻止することは、「クランクシャフト」現象として知られている脊椎の回転を防止するうえで重要である。
【0027】
ロック機構301について、ここで更に詳細に説明する。ロック機構301は、骨スクリューS2と連結するように適合されたポスト301bを有する。ポスト301b内の貫通孔301aは、ロッドR1を収容するように適合されている。ロッドR1は、ロック機構301の全長を通り、ロッドR1の先端にスリーブ40が配置されており、骨スクリューS1がスリーブ40と連結できるようになっている。
【0028】
図12Aに示すように、ロック機構301は、ロックアセンブリ310を有する。ロックアセンブリ310は、それぞれ開口部306aを有する1枚以上のリングプレート306を有し、リングプレート306はスプリング要素308に隣接して配置される。アセンブリ310は、開口部305aを有する端部キャップ305によって、ロック機構301内に保持される。ロッドR1を開口部301a,306a,305aの内側に配置できるように、開口部301a,306a,305aのそれぞれが位置合わせされる。
【0029】
図12Bに示すように、リングプレート303は、一方の端303cがポスト307によって保持される一方で、第2の端303bにスプリング要素308によって一定の力が加えられ、これにより、第2の端303bが、ロック機構301の表面303dによって更に回転しないように阻止されるまで、リングプレート303を回転させる。ロッドR1がリングプレート303の開口部303aの内側に配置されると、開口部303aは、開口部303aを通るロッドR1の並進を阻止する摩擦力を加える。ロッドR1が、スプリング要素308が加える力を打ち消すための力を加えるように、ロッドR1を移動させることによって(すなわち、図12Bの矢印Aの方向にロッドR1を並進させることによって)、リングプレート303が、開口部303aとロッドR1間の摩擦力を下げる方向に回転し、これにより、ロッドR1が並進できるようになる。医師が、ロッドR1をいずれかの方向に手動で並進させたい場合には、医師は、ロック機構301の開口部312を使用して、リングプレート303を押すことができる。
【0030】
ロックアセンブリ310に関する同様の概念が、図13A,13Bを参照して説明する骨固定デバイス300Dにも使用される。骨固定デバイス300Dは、取付け後にロッドTを調整することなく、一方向のみ(すなわち、骨の伸張に対応する方向)への受動的並進を可能にするように構成され、寸法が設定されたロック機構304を有する。この方向は、矢印Aに示す方向に対応する。ロック機構304は、ロッドTを収容するように適合された開口部324が設けられたハウジング320を有し、ポスト323を有する。ロッドTとポスト323の両方は、1本以上の骨スクリューSに取り付け可能である。ハウジング320の内部には1つ以上のロッドプレート320が、ロッドプレート320を回転させるスプリング要素321に隣接して配置されている。ロッドTは、略矩形の断面を有しうる。ロッドプレート320は、ロッドTの並進を阻止するために、ロッドTの表面と摩擦係合するタブ320a,320bを備える。ロッドTが、スプリング要素321が与えるロッドプレート320の回転と逆方向に移動すると、タブ320a,320bとロッドT間の摩擦力が下がり、ロッドTが開口部324を通って並進する。
【0031】
本開示の骨固定デバイスの更に別の実施形態における骨固定デバイス400が図14A〜14Cに示される。骨固定デバイス400は、上部アーム410と下部アーム420とを備える。上部アーム410は、スクリュー402を収容するための孔404を備える。上部アーム410と下部アーム420は、一端で連結されているが、他端が開放されており、上部アーム410が下部アーム420に接近または離れるように撓曲するか、下部アーム420が上部アーム410に接近または離れるように撓曲できるようになっている。骨固定デバイス400の開放端には、内面412,422によって溝430が形成されている。溝430は、一端が実質的に開放されており、径の異なるロッドを収容するように適合されている。ロッドが、開放端を通すか、あるいはロッドの長軸に沿って溝430に摺動させて溝430に挿入されると、ロッドが骨固定デバイス400に確実に固定されるように、スクリュー402を締着することによって、上部アーム410と下部アーム420を互いに接近させる。骨固定デバイスは、空洞436の近くの対向する側壁に、孔442,444が設けられている。孔442,444を通ってピン408を挿入可能である。
【0032】
骨固定デバイス400の反対の端には、通路440が、骨固定デバイス400を通って延びており、ロッドR3(図15)を摺動可能に収容するように適合されている。図に示すように、ロッドR3は、平坦な上面と底面とを有し、側面が湾曲している(図15)。通路440は、ロッドR3の形状と相補的な幾何学形状を有し、その全体の内径は、ロッドR3の外径よりわずかに大きく、骨固定デバイス400または組み立てられた構成体に対するロッドR3の「クランクシャフト」現象を最小化する。また、骨固定デバイス400の空洞436内には、ロック機構450も配されている。ロック機構450は、1枚以上のリングプレート452を備える。各リングプレート452は、貫通孔456、開口454およびスプリング部材458を有する。ロック機構450が空洞436内に配されると、スプリング部材458の穴459が、開口454および孔442,444と位置合わせされる。穴459、開口454および孔442,444が位置合わせされると、ピン408がそこに挿入され、ピン408が、孔442、スプリング部材458の穴459、開口454および孔444を通るため、ロック機構450を空洞436内に固定する。スプリング部材458は、図14Aの矢印Bに示す第1の方向にリングプレート452をバイアスさせる。リングプレート452が、スプリング部材458によってバイアスされるため、通路440が、貫通孔456および通路440の開口と実質的に位置合わせされ、ロッドR3が、矢印Aに示す方向に、骨固定デバイス400を通って戻り可能となる。ロッドR3が、矢印Bに示す逆方向に移動しようとすると、ロッドR3の外面と貫通孔456の内面間の摩擦係合が、スプリング部材458のバイアスに打ち勝ち、リングプレート452を矢印Aに示す方向に戻す。戻されると、貫通孔456が、通路440と位置合わせがずれ(すなわち、通路440を通って延びる長軸に対して斜めとなり)、これにより、貫通孔456とロッドR3の外面間の摩擦係合が増大する。このため、ロック機構450は、骨固定デバイス400とロッドR3間の矢印Aに示す方向の相対移動を可能にする一方で、骨固定デバイス400とロッドR3間の矢印Bに示す方向の相対移動を阻止する。より詳細には、骨固定デバイス400の通路440の寸法は、リングプレート452の貫通孔456の寸法よりも大きい。ロッドR3におけるデバイスの長さ(run)が短い距離であるため、この構成により、湾曲したロッドがリングプレート452および通路440を通ることができる。
【0033】
また、骨固定デバイス401は、ロック機構450の向きが逆転してもよい。この場合、スプリング部材458は、リングプレート452を矢印Aに示す方向にバイアスする。この代替の構成では、ロッドR3は、骨固定デバイス401に対して矢印Bに示す方向に戻り可能であり、骨固定デバイス401に対する、矢印Aに示す方向への相対移動が阻止される(図15)。
【0034】
骨固定デバイス400,401は、図15に示すように、外科的構成体の一部を形成している。図に示すように、骨固定デバイス400,401は、溝430を通って挿入され、固締スクリュー402によって固定されるロッドR1と動作可能に連結される。ロッドR1は、椎弓根スクリューの対S1とS2を渡され、骨固定デバイス400,401のための固定位置を規定する。ロッドR3は、通路440により、骨固定デバイス400と401を通って挿入される。図に示した実施形態では、複数の骨固定デバイス400,401が、対応するロッドR1および椎弓根スクリューS1,S2と共に使用されている。(例えば患者が成長して)、ロッドR3における固定点の間の間隔が広がると、ロッドR3が、骨固定デバイス400を通って、矢印Aに示す方向に並進し、前述のようなロッドR3とロック機構450間の連係により、骨固定デバイス400を通る矢印Aで示す方向の並進が阻止される。同様に、ロッドR3は、矢印Bの方向に骨固定デバイス401を通って並進し、骨固定デバイス401を通る矢印Aの方向の並進が阻止される。
【0035】
次に図16A〜19を参照すると、本開示の骨固定デバイスの追加の実施形態が図示されており、これについて以下に説明する。骨固定デバイス400A(図16A〜16B)は、上で詳細に説明した骨固定デバイス400と同様であり、同じ参照符号は同様の構成要素を参照している。骨固定デバイス400Aは、本体405を有し、その一端に空洞436が設けられている。ロック機構450が、空洞436内に配されており、孔442,444、スプリング部材458の穴459およびリング452の開口454を通って延びるピン408によって固定される。ロッドR3が上で説明したように骨固定デバイス400と連係するように、ロッドR3は骨固定デバイス400Aと連係する。骨固定デバイス400Aにおいて、空洞436と反対の端には、本体405に延長部417,419が取り付けられている。延長部417,419は、略円形であり、椎弓根スクリューS1,S2(図17)と連結するように適合されている。また、延長部417,419は、通路440、このためロッドR3に実質的に平行な方向に、本体405から延びている(図17)。
【0036】
骨固定デバイス400と同様に、ロッドR3が、骨固定デバイス400Aを通って矢印B(図17)に示す方向に容易に並進するが、骨固定デバイス400Aに対して、矢印A(図17)に示す方向への並進が阻止されるように、ロッドR3はロック機構450と連係する。骨固定デバイス400Aは、椎弓根スクリューS1,S2と協働して、組み立てられた構成体のための固定点を形成する。各椎弓根スクリューS1,S2は、椎体などの骨構造に取り付けられる。
【0037】
本開示の骨固定デバイスの更に別の実施形態が、図18A〜18Bに示される。骨固定デバイス400Bは、上に詳細に記載した固定デバイス400と似ており、同じ参照符号は同様の構成要素を参照しており、差違を以下に記載する。骨固定デバイス400Bは、本体409を有し、その一端に空洞436が設けられている。ロック機構450が、空洞436内に配されており、孔442,444、スプリング部材458の穴459およびリング452の開口454を通って延びるピン408によって固定される。ロッドR3が上で説明したように骨固定デバイス400,100Aと連係するように、ロッドR3は骨固定デバイス400Bと連係する。骨固定デバイス400Bにおいて、空洞436と反対の端には、本体409に延長部427が取り付けられている。延長部427は、略円形であり、椎弓根スクリューS1(図19)と連結するように適合されている。骨固定デバイスのこの実施形態では、延長部427は通路440と実質的に直交するように延び、ロッドR3(図19)に対して略直交するように、空洞436とほぼ位置合わせされる。
【0038】
骨固定デバイス400と同様に、ロッドR3が、骨固定デバイス400Bを通って矢印B(図19)に示す方向に容易に並進するが、骨固定デバイス400Bに対して、矢印A(図19)に示す方向への並進が阻止されるように、ロッドR3はロック機構450と連係する。骨固定デバイス400Bは、椎弓根スクリューS1と協働して、組み立てられた構成体のための固定点を形成する。各椎弓根スクリューS1は、椎体などの骨構造に取り付けられる。
【0039】
ここに記載した実施形態は、成長するどのような骨を安定させるために使用することができると考えられ、これには、未だに成長中の患者の脊椎の椎骨を安定させることも含む。ここに記載したデバイスに取り付け可能な骨スクリューの具体的な例としては、米国特許第5,733,286号明細書、米国特許第6,457,021号明細書、米国特許第7,090,674号明細書、米国特許出願公開第2007/0093817号明細書および米国特許出願公開第2008/0027432号明細書、ならびに国際特許出願第PCT/US08/80668号および国際特許出願第PCT/US08/80682号に記載されている椎弓根スクリューが挙げられる。
【0040】
本明細書に含まれる開示の代替の実施形態が、当業者にとって明らかであろう。例えば、ここに開示のデバイスが、本開示の趣旨を逸脱することなく、変更されてもよいことが理解されよう。例えば、開示のデバイスが、取付け後の調整を必要とせずに、骨の成長を可能にしつつ、安定を提供するために、どのような骨の内部あるいは外部に使用されてもよいと理解される。
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2008年2月7日出願の米国仮特許出願第61/063,942号、2008年2月7日出願の米国仮特許出願第61/063,943号、ならびに2008年8月6日出願の米国仮特許出願第61/188,089号の優先権と利益を主張する。これらの先の出願のそれぞれの開示の全体を、参照によりここに援用する。
【0002】
本開示は、整形外科脊椎手術用デバイスに関する。より詳細には、本開示は、骨の成長に応じて伸張可能な骨を固定するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトの脊椎は、出生時には32本、成人では24本の椎骨から構成される。椎骨は、椎体と、棘突起、横突起、椎間関節、椎弓板および椎弓根などの後方要素を有する。椎体は、海綿状の中心部を取り囲む皮質殻からなる。椎骨のそれぞれの対の間に椎間板が存在しており、椎間板は、隣接する椎骨と椎骨の間に隙間を保持し、圧縮、屈曲、回転の各負荷および動きがかかったときのクッションとして機能する。健常な椎間板は、ほぼ、椎間板の中心部分である髄核内に含まれる水からなる。この含有水分により、髄核が海綿状となり、脊髄にかかる応力を吸収できるようになる。
【0004】
側弯症とは、脊椎が前後または左右に弯曲し、その長軸を中心に回転することもある医学的状態である。代表的な治療としては、進行速度を決定する観察と、脊椎の今後の成長が、望ましい経路と向きを辿ることを保証するための外部装具の装着が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
弯曲または回転の進行の可能性が高い場合、あるいは、かなりの痛みまたは他の一般的な健康リスクがある場合、外科的調整の対象となる。このような場合、側弯の弯曲を安定させるために、脊椎の各種部分の脊椎固定術が行われうる。若年患者では、脊椎固定術の実施は、患者の正常な成長に干渉するため、あまり望ましくない。
【0006】
このような手技を受ける若年患者の正常な成長への影響を最小限に抑えるために、伸張ロッドが開発されている。伸張ロッドは、脊椎に構造を与え、これを安定させて矯正する一方で、元の構成体を交換したり、またはこれにデバイスの追加を必要とすることなく、ロッドが伸張できるようにする。
【0007】
現在利用可能な伸張ロッドシステムの主な不都合として、ロッドを手動で伸張させるために、通常、1本以上のセットスクリューを緩めて、2本のロッド部分間の距離を広げ、セットスクリューを締め直す外科的手技が必要となる点が挙げられる。このように機能する現在市販されているシステムの1つとして、DePuy Spine Inc.のISOLA(登録商標)が挙げられる。このようなシステムは、数年にわたって、約半年おきに外科的手技が必要となる。他のシステムは、第2のデバイスを備え、術者がある種の遠隔測定法を使用して、デバイスを作動させると、このデバイスが、ロッドまたは構成体を伸張させる。この種類のシステムは、更に複雑となり、能動要素と、場合によってはある種の電源を使用する。現在利用可能なデバイスでは、伸張ロッドが、構造と安定性を保持しつつ、脊椎の成長に応じて受動的に伸張することができない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
骨固定デバイスの取付け後の調整が不要となるように、成長する骨に取り付けるように適合された骨固定デバイスがここに開示される。
【0009】
一実施形態では、前記骨固定デバイスは、開口部を有するハウジングと、前記開口部に挿入可能なロッドと、前記ハウジングと動作可能に関連するロック機構と、を有し、前記ロック機構は、前記ロッドとハウジングの第1の方向への相対移動を許容し、前記ロッドと前記ハウジングの第2の方向への相対移動を阻止する。前記ロッドは、取り付け後の調整を必要とすることなく、前記患者の成長に応じて、前記ハウジングに対して受動的に並進するように、骨アンカーを介して患者の骨に取り付け可能である。
【0010】
別の実施形態では、前記ロック機構は、直径がほぼ一定の第1の部分と、前記第1の部分に隣接し、小さな直径にテーパする第2の部分とを有する貫通孔を有する。前記ロック機構は、前記貫通孔の前記直径に対応して内径が可変のスプリットリングと、前記小さい径の方向に前記スプリットリングに力を加えるスプリング要素とを有し、前記ロッドが前記スプリットリングの内側に配置される。
【0011】
別の実施形態では、前記ロック機構は、部分的に開放された貫通孔を有し、前記貫通孔に挿入されたロッドが、回転可能に一方向にバイアスされ、前記ハウジングに対する前記ロッドの一方向への並進を阻止し、前記ハウジングに対する前記ロッドの逆方向への並進を可能にするように構成され、寸法が設定された面を有するカムと係合可能とされる。
【0012】
更に別の実施形態では、前記ロック機構は、前記ロッドを収容するための開口部を有する少なくとも1枚のプレートを備え、前記プレートは、前記プレートが、前記ハウジングに対する前記ロッドの一方向への並進を妨げ、前記ハウジングに対する前記ロッドの逆方向への並進を許容するように、一方向に回転バイアスを有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】一対の椎弓根スクリューが第1の間隔をあけて離間されている骨固定デバイスの等角図である。
【図1B】一対の椎弓根スクリューが第2の間隔をあけて離間されている図1Aの骨固定デバイスの等角図である。
【図2】ハウジングの上部断面図である。
【図3A】ロック機構の等角図である。
【図3B】図3Aのロック機構の分解図である。
【図4A】図3Aのロック機構のロック状態の断面図である。
【図4B】図3Aのロック機構のロック解除状態の断面図である。
【図5A】骨固定デバイスの別の実施形態の分解図である。
【図5B】図5Aの骨固定デバイスの組立図である。
【図5C】図5Bの骨固定デバイスの断面図である。
【図6A】一対の椎弓根スクリューが第1の間隔をあけて離間されている骨固定デバイスの別の実施形態の等角図である。
【図6B】一対の椎弓根スクリューが第2の間隔をあけて離間されている図6Aの骨固定デバイスの等角図である。
【図7A】図6A〜6Bの骨固定デバイスのロック機構の完全分解等角図である。
【図7B】図7Aのロック機構のカバーを外した状態の等角図である。
【図8A】図7Aのロック機構のロッドを挿入した状態の断面図である。
【図9A】一対の椎弓根スクリューが第1の間隔をあけて離間されている骨固定デバイスの別の実施形態の等角図である。
【図9B】一対の椎弓根スクリューが第2の間隔をあけて離間されている図9Aの骨固定デバイスの等角図である。
【図10】骨固定デバイスの別の実施形態の等角図である。
【図11】骨固定デバイスの別の実施形態の等角図である。
【図12A】図9Aの骨固定デバイスの分解図である。
【図12B】図12Aの骨固定デバイスの上部断面図である。
【図13A】骨固定デバイスの別の実施形態の等角図である。
【図13B】図13Aの骨固定デバイスの部分分解等角図である。
【図14A】骨固定デバイスの更に別の実施形態の等角図である。
【図14B】図14Aの骨固定デバイスの分解図である。
【図14C】図14Aの骨固定デバイスの正面図である。
【図15】図14Aの骨固定デバイス、複数のロッドおよび複数のスクリューを有する脊髄構成体の等角図である。
【図16A】骨固定デバイスの代替実施形態の等角図である。
【図16B】図16Aの骨固定デバイスの分解図である。
【図17】図16Aの骨固定デバイス、ロッドおよび複数のスクリューを有する脊髄構成体の等角図である。
【図18A】骨固定デバイスの更に別の実施形態の等角図である。
【図18B】図18Aの骨固定デバイスの分解図である。
【図19】図18Aの骨固定デバイス、ロッドおよび複数のスクリューを有する脊髄構成体の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の実施形態を、添付の図面を参照して本明細書に記載する。
【0015】
本開示の特定の実施形態を、添付の図面を参照して本明細書に記載する。以下の説明においては、本開示を不必要に詳しく記載して本発明を不明瞭にすることのないように、公知の機能または構造は詳細に記載することはしない。図面に図示し、以下の説明にわたって記載するように、かつ物体の相対位置について言及する場合に従来用いられるように、「基端」との文言は、術者に最も近いデバイスまたはシステムの端を指し、「先端」との文言は、術者から最も遠いデバイスまたはシステムの端を指す。また、「頭側」との用語は、本願においては、患者の頭部に向かう方向を指すために使用され、「尾側」の文言は、患者の足に向かう方向を指す。更に、本願のために、「内側」との文言は、「内側」は、患者の体の側面に向かう方向、すなわち、患者の体の中央から離れる方向を指し、「外側」との文言は、患者の体の側面に向かう方向、すなわち、患者の体の中央から離れる方向を指す。「後方」との文言は、患者の背部に向かう方向を指し、「前方」との文言は、患者の前面に向かう方向を指す。
【0016】
取付け後の調整を必要とすることなく、骨の成長に受動的に適応するように適合されたロック機構を有する骨固定デバイスの実施形態を、図1A〜13Bを参照して記載する。
【0017】
ここで、骨固定デバイス100Aの第1の実施形態を、図1A〜4Bを参照して記載する。図1A,1Bに、骨固定デバイス100Aが図示されており、骨スクリューが第1の間隔(図1A)をあけて離間された状態と、骨スクリューが第2の間隔(図1B)をあけて離間された状態とが示されている。骨固定デバイス100Aは、ロッドR1,R2を収容するように適合された2本の平行な貫通穴12が設けられているロック機構10Aを備える。各ロッドR1,R2は、骨(図示せず)または椎体に埋め込み可能な骨スクリューS1,S2と連結されるように適合されている。図に示すように、骨固定デバイス100Aは、2つの椎体に連結されうるスクリューS1とS2の間に配した2本のロッドR1,R2に取り付けるために構成されているが、開示の骨固定デバイスの実施形態を使用して連結するスクリューまたは椎体の数が変わってもよい。(例えば、患者が成長して)選択された椎体間の間隔が広がると、骨スクリューS1,S2を互いに離すような力がかかる。この力により、ロッドR1,R2がロック機構10Aを通って並進し、骨固定デバイス100Aは、椎弓根スクリューS1とS2間の間隔が第1の間隔(図1A)から第2の間隔(図1B)に広がるのを許容する。図1Bに示すように、骨スクリューS1とS2が互いに離れると、ロッドR1が、ロック機構10Aを通って矢印Bに示す方向に移動する。同様に、ロッドR2が、ロック機構10Aを通って矢印Aに示す方向に移動する。本開示の骨固定デバイス100Aは、図1A,1Bに示すように、骨スクリューS1,S2およびロッドR1,R2と組み立てられると、植込み可能な脊髄構成体を形成する。
【0018】
図2に示すように、ハウジング1000内の各貫通孔12は、開口12aを有し、開口12aは、直径が徐々に広がっているテーパ部分102に続き、その後、直径が略一定の部分101となる。図3A,3Bに示すように、各貫通孔12は、スプリットリング10と、キャップ11aによって保持されるスプリング要素11とを収容している。
【0019】
ロック機構10Aは、ロック状態(図4A)とロック解除状態(図4B)とをとる。以下の説明ではロッドR1,R2の一方のみを取り上げるが、このロック機構の動作の説明は、ロッドR1,R2の両方に当てはまる。スプリング要素11は、テーパ部分102に沿って、貫通孔12の小径部分のほうへ、開口12aに向かう方向に、スプリットリング10に一定の力を加える。スプリットリング10は、テーパ部分102におけるスプリットリング10の位置に応じて、直径が変化する。ロッドR1は、スプリットリング10とスプリング要素11の内側に配置される。スプリットリング10が、テーパ部分102の径の小さい領域に並進すると、スプリットリング10は、図4Aに示すように、円周方向の摩擦力をロッドR1に加え、ロッドR1が矢印Aの方向に並進するのを阻止する。一方で、スプリング要素11が加える力に対抗する力がロッドR1に加えられると、スプリットリング10がテーパ部分102の径の大きい領域に並進して、スプリットリング10が広がり、これにより、スプリットリング10の内側のロッドR1にスプリットリング10が加える円周方向の摩擦力が弱まる。スプリットリング10とロッドR1間の円周方向の摩擦力が弱まると、図4Bに示すように、ロッドR1が、矢印Bの方向に自由に並進できるようになる。図4Aに示すように、ロッドR1を開口12aの方向に並進させる力を加えるとロック機構が作動するため、ロッドR1は一方向のみに並進可能である。このように、骨固定デバイス100Aは、医師の調整または関与を必要とせずに、患者の成長に応じて、椎弓根スクリューの対S1,S2間の間隔または空間(図1A,1B)を受動的に伸張可能にする。骨固定デバイス100Aが、椎弓根スクリューS1,S2間の間隔を広げる方向へのロッドR1,R2の並進を許容した後は、ロック機構10Aが、構成体全体の収縮、すなわち、椎弓根スクリューS1,S2の相互の接近に対抗する。より詳細には、椎弓根スクリューS1,S2間の距離が広がると、ロッドR1がロック機構10Aを通って矢印Bの方向に並進し、ロッドR2がロック機構を通って矢印Aの方向に並進する。
【0020】
骨固定デバイス100Bを、図5A〜5Cを参照して以下に説明する。以下の説明ではロッドR1,R2の一方のみを取り上げるが、このロック機構の動作の説明は、ロッドR1,R2の両方に当てはまる。骨固定デバイス100Bはロック機構10Bを備える。ロック機構10Bは、キャップ11aによって保持されるスプリットリング10とスプリング要素11とを収容している貫通孔2を有し、ロッドR1に加えられる力の向きに応じて、ロッドR1を、ロック状態、ロック解除状態で収容するように適合されているという点で、ロック機構10Bは、骨固定デバイス100Aのロック機構10Aと実質的に同様に機能する。スプリング要素11とキャップ11aが、一体構造として形成されてもよいことが考察される。ロック機構10Bは、ロック機構10Aのような2本の平行な貫通孔を有する代わりに、2本のロッドR1,R2を同一直線上に収容するように適合された1本の貫通孔2を有する。貫通孔2のそれぞれの端2a,2bの入り口に直径が略一定の部分101bが設けられており、その先に、直径が徐々に縮小するテーパ部分102bが続いている。スプリットリング10が貫通孔2の径の小さい部分の方に移動し、スプリットリング10が、挿入されたロッドR1の周りで収縮し、ロッドR1の矢印Aに示す方向への並進を阻止するように、スプリング要素11は、テーパ部分の径の狭い端に向かう方向に、スプリットリング10に一定の力を加える。あるいは、ロッド部分を互いに離す(すなわち、ロッドR1を矢印Bの方向に、ロッドR2を矢印Aの方向に移動させる)ことによって、構成体を伸張させる方向にロッドR1,R2に力を加えると、骨固定デバイス100Bは、スプリットリング10を、貫通孔2の径の広い部分に移動させ、これにより、ロッドR1,R2とスプリットリング10間の摩擦力が弱まり、ロッドR1,R2の並進が可能となり、ロッドR1が矢印Bに示す方向に並進し、ロッドR1が矢印Aに示す方向に並進する。上に開示した骨固定デバイス100Aと同様に、骨固定デバイス100Bは、骨スクリューおよびロッドと組み立てられたときに、植込み可能な脊髄構成体を形成する。
【0021】
ここで、骨固定デバイス200を、図6A〜8を参照して説明する。骨固定デバイス200は、骨(図示せず)に植込み可能な骨スクリューS1,S2と連結されたロッドR1,R2を収容するように適合された2本の平行な貫通孔26が設けられたロック機構201を備える。ロック機構201は、受動的、すなわち、取付け後の調整または外科的関与を必要としない、ロッドR1,R2の並進を一方向のみ(骨の成長方向の)に許容する一方で、逆方向への並進を阻止するように構成され、寸法が設定されている。より詳細には、上記開示のロック機構と同様に、ロック機構201は、ロッドR1を矢印Bの方向に移動させ、ロッドR2を矢印Aの方向に移動させる一方で、ロッドR1,R2の逆方向への移動を阻止する。例えば、図6Aに示すように、椎弓根スクリューの対S1,S2の間に第1の間隔が画定され、骨が成長する、すなわち骨の間隔が変わると、図6Bに示すように、椎弓根スクリューの対S1,S2の間に第2の間隔が画定されるように、ロッドR1,R2の移動を可能にするように、骨固定デバイス200を備える構成体が取り付けられうる。骨固定デバイス100の前述の実施形態と同様に、骨固定デバイス200は、医師の関与を必要とせずに椎弓根スクリューS1,S2間の間隔を変更できるようにし、図6A,6Bに示すように、骨スクリューS1,S2およびロッドR1,R2と組み立てられたときに、植込み可能な脊髄構成体を形成する。
【0022】
貫通孔26は、挿入されたロッドR1,R2を安定させるように適合された閉部分26aを除き、ほぼ開放されている。2本の平行な貫通孔26の間に、ロックアセンブリ202が設けられており、図7Aに、部品が分離された状態で図示されている。ロックアセンブリ202は、2つの略反対に位置するカム面20a,20bを有するカム20を備える。図8に示すように、カム面20aは、丸み部分20cと尖り部分20dとを有する。同様に、カム面20bは、丸み部分20fと尖り部分20eとを有する。スプリング要素22が、カム20に隣接し、かつカム20と接触するように、ポスト21によって保持されている。スプリング要素22は、カム20に対向するバイアス力を与え、カム20に回転力が加わり、これにより、カム面20b,20aの丸み部分20c,20fが、それぞれ、貫通孔26内に配置されたロッドR1,R2と係合して、貫通孔26内でのロッドR1,R2の並進を阻止する。カム20の回転と逆の打ち消す方向にロッドR1,R2を並進させる力を加えると、ロッドR1,R2が、カム20の丸み部分20c,20fと係合する。ロッドR1,R2がカム20の丸み部分20c,20fと係合すると、カム20が回転し、これにより、ロッドR1,R2とカム20の丸み部分20c,20fとの間の摩擦係合が強化される。このため、ロッドR1,R2を互いに接近させるように(すなわち、ロッドR1を矢印Aの方向に、ロッドR2を矢印Bの方向に)移動させようとしても、ロッドR1,R2と丸み部分20c,20fとの間の摩擦係合により、このような移動が阻止される。ロッドR1,R2を、互いに離れるように(すなわち、ロッドR1が矢印Bの方向に、ロッドR2が矢印Aの方向に)移動させると、カム20が逆方向に回転し、スプリング要素22がカム20に加えるバイアスを打ち消して、丸み部分20c,20fがロッドR1,R2の表面から離れて、ロッドR1,R2が移動可能となる。このため、ロック機構201は、ロッドR1,R2を互いに離すように移動できるようにし、これにより椎弓根スクリューの対S1,S2の間の間隔が広がり(図6B)、椎弓根スクリューの対S1,S2の間の間隔を保つために、ロッドR1,R2が互いに接近するのを阻止する。
【0023】
骨固定デバイス200の取付けを支援するために、臨床医が、カム20の表面のスロット25を使用して、カム20を手動で回転させて、ロッドR1,R2が自由に回転できるように、丸み部分20c,20fをロッドR1,R2と係合させないようにしてもよい。また、カバー18は、医師がロック機構201の内部を見ることができるように着脱可能である。
【0024】
別の実施形態では骨固定デバイス301が開示され、図9A〜9Bを参照して、これについて説明する。上に開示した骨固定デバイスと同様に、骨固定デバイス301は、ロッドR1の矢印Aの方向への移動を可能にし、ロッドR1の逆方向への移動を阻止するように適合されている。より詳細には、ロッドR1と組み合わせた骨固定デバイス301は、椎弓根スクリューの対S1,S2(図9A)間に第1の間隔を画定している。骨固定デバイス301は、骨の成長時に、椎弓根スクリューの対S1,S2間に第2の間隔が画定される(図9B)ように、医師の関与なしで、ロッドR1を矢印Aの方向に移動可能にする。骨固定デバイス302,303は、図10,11に示すように、骨固定デバイス301を参照して後述するものと実質的に同じであり、構成のみが異なるロック機構を使用する。骨固定デバイス302,303は、ロッドR1,R2と協働するように構成され、適合されている。骨固定デバイス302,303は、代替の構成のこのような2つの例である。骨固定デバイス302は、ロッドR1,R2を収容するように適合された2本の平行な貫通穴302aが設けられたハウジング315を備える(図10)。骨固定デバイス303は、ロッドR1,R2を収容するように適合された2本の平行な貫通穴303aが設けられたハウジング320を備える(図11)。骨固定デバイス302,303の貫通孔302a,303aのそれぞれの内部に、図12Aに示すように、ロッドR1,R2を一方向のみに並進できるようにするロックアセンブリ310が設けられている。上に開示した骨固定デバイスと同様に、図9A〜11に示すように、骨固定デバイス301,302,303は、骨スクリューS1,S2およびロッドR1,R2と組み立てられたときに、植込み可能な脊髄構成体を形成する。
【0025】
図9A〜11は、骨固定デバイスの特定の主題のいくつかの実施形態を開示する。図9A〜9Bは、全体のプロファイルが小型化されたインライン型のデバイスを示す。全体のプロファイルが小型化された骨固定デバイスを提供することによって、本開示の骨固定デバイスは、乳児、小児のほか、それ以外の体格の小さな人の手技に適している。また、骨固定デバイスの小型化されたプロファイルは、感染の可能性を低減し、組織への刺激を低減し、患者の背部のデバイスの飛び出しを最小化するのに重要である。従来のデバイスは、衣類を着ていない場合には、その存在を感じ、非常に目立ち、美観を大きく損なう。本開示の骨固定デバイス301,302,303は、現存の椎弓根スクリューと併用するように設計されているため、ポスト301b,302c,303cの外径は、椎弓根スクリューS1に連結される脊椎ロッドの外径に実質的に等しい。骨固定デバイス301,302,303が負荷によって破損することのないように、ポスト301b,302c,303cの壁は、最低限の厚さを確保する必要がある。このため、径の小さなロッドが、骨固定デバイス301,302,303と併用されるように、ポスト301b,302c,303cの内径は小さく設定されている。径の小さなロッドは、径の大きいロッド(すなわち標準的なロッド)よりも強度が低い。ロッドの材料を変更してもよいが、場合によっては、例えば、CoCrからTi−6A1−4Vに材料を変更した場合でも、所望のロッド強度を確保するために、ロッドの直径を同じ値に維持するか、あるいは大きく設定する必要がある。この場合、図10,11に示す骨固定デバイス302,303は、浮いており(例えば図1〜8)、代表的な椎弓根スクリューと嵌合する外径を有する脊柱ロッドを収容する場合とは異なり、骨固定デバイス302,303をスクリューS1に固定することが可能である。ここに開示の「インライン型の」デバイスのいずれかを使用する場合、脊髄ロッドを小径化する必要はない。この場合も、脊柱ロッドの一部が1本以上の椎弓根スクリューに堅固に固定され、この両者を嵌合させるために、スプリットスリーブ40が設計されている。スプリットスリーブ40は、ブッシングのように機能し、外径が椎弓根スクリューに適合し、内径が脊柱ロッドに適合している。スプリットスリーブ40は、脊柱ロッドを確実にロックするために、負荷がかかったときに変形量の大きい展性材料から形成される。更に、図9A〜9Bのデバイスは、デバイスの実質的に全長が直線状であるため、湾曲したロッドを貫通させない。
【0026】
開示の骨固定デバイスと併用される脊柱ロッドは全て、ロッドが並進して骨固定デバイスから抜けるのを阻止するための止め部分317(図9A)を有する。止め部分317は、ロッドの端を、その位置で(in
situ)スエージングすることによって形成することができるが、限定的ではないが、カラー、クランプ、広径部などの他の構造を使用してもよい。図13の実施形態は、デバイスがオフセット型(図10,11)ではなくインライン型である図9Aの変形例であり、脊柱ロッドが骨固定デバイスを通って並進する構成ではなく、脊柱ロッドと骨固定デバイスとの間に入れ子式の構成を提供する。図13の実施形態は、脊柱ロッドの長軸を中心とした脊柱ロッドの回転を阻止する脊柱ロッドのための構成を提供する。脊柱ロッドの長軸を中心とした脊柱ロッドの回転を阻止することは、「クランクシャフト」現象として知られている脊椎の回転を防止するうえで重要である。
【0027】
ロック機構301について、ここで更に詳細に説明する。ロック機構301は、骨スクリューS2と連結するように適合されたポスト301bを有する。ポスト301b内の貫通孔301aは、ロッドR1を収容するように適合されている。ロッドR1は、ロック機構301の全長を通り、ロッドR1の先端にスリーブ40が配置されており、骨スクリューS1がスリーブ40と連結できるようになっている。
【0028】
図12Aに示すように、ロック機構301は、ロックアセンブリ310を有する。ロックアセンブリ310は、それぞれ開口部306aを有する1枚以上のリングプレート306を有し、リングプレート306はスプリング要素308に隣接して配置される。アセンブリ310は、開口部305aを有する端部キャップ305によって、ロック機構301内に保持される。ロッドR1を開口部301a,306a,305aの内側に配置できるように、開口部301a,306a,305aのそれぞれが位置合わせされる。
【0029】
図12Bに示すように、リングプレート303は、一方の端303cがポスト307によって保持される一方で、第2の端303bにスプリング要素308によって一定の力が加えられ、これにより、第2の端303bが、ロック機構301の表面303dによって更に回転しないように阻止されるまで、リングプレート303を回転させる。ロッドR1がリングプレート303の開口部303aの内側に配置されると、開口部303aは、開口部303aを通るロッドR1の並進を阻止する摩擦力を加える。ロッドR1が、スプリング要素308が加える力を打ち消すための力を加えるように、ロッドR1を移動させることによって(すなわち、図12Bの矢印Aの方向にロッドR1を並進させることによって)、リングプレート303が、開口部303aとロッドR1間の摩擦力を下げる方向に回転し、これにより、ロッドR1が並進できるようになる。医師が、ロッドR1をいずれかの方向に手動で並進させたい場合には、医師は、ロック機構301の開口部312を使用して、リングプレート303を押すことができる。
【0030】
ロックアセンブリ310に関する同様の概念が、図13A,13Bを参照して説明する骨固定デバイス300Dにも使用される。骨固定デバイス300Dは、取付け後にロッドTを調整することなく、一方向のみ(すなわち、骨の伸張に対応する方向)への受動的並進を可能にするように構成され、寸法が設定されたロック機構304を有する。この方向は、矢印Aに示す方向に対応する。ロック機構304は、ロッドTを収容するように適合された開口部324が設けられたハウジング320を有し、ポスト323を有する。ロッドTとポスト323の両方は、1本以上の骨スクリューSに取り付け可能である。ハウジング320の内部には1つ以上のロッドプレート320が、ロッドプレート320を回転させるスプリング要素321に隣接して配置されている。ロッドTは、略矩形の断面を有しうる。ロッドプレート320は、ロッドTの並進を阻止するために、ロッドTの表面と摩擦係合するタブ320a,320bを備える。ロッドTが、スプリング要素321が与えるロッドプレート320の回転と逆方向に移動すると、タブ320a,320bとロッドT間の摩擦力が下がり、ロッドTが開口部324を通って並進する。
【0031】
本開示の骨固定デバイスの更に別の実施形態における骨固定デバイス400が図14A〜14Cに示される。骨固定デバイス400は、上部アーム410と下部アーム420とを備える。上部アーム410は、スクリュー402を収容するための孔404を備える。上部アーム410と下部アーム420は、一端で連結されているが、他端が開放されており、上部アーム410が下部アーム420に接近または離れるように撓曲するか、下部アーム420が上部アーム410に接近または離れるように撓曲できるようになっている。骨固定デバイス400の開放端には、内面412,422によって溝430が形成されている。溝430は、一端が実質的に開放されており、径の異なるロッドを収容するように適合されている。ロッドが、開放端を通すか、あるいはロッドの長軸に沿って溝430に摺動させて溝430に挿入されると、ロッドが骨固定デバイス400に確実に固定されるように、スクリュー402を締着することによって、上部アーム410と下部アーム420を互いに接近させる。骨固定デバイスは、空洞436の近くの対向する側壁に、孔442,444が設けられている。孔442,444を通ってピン408を挿入可能である。
【0032】
骨固定デバイス400の反対の端には、通路440が、骨固定デバイス400を通って延びており、ロッドR3(図15)を摺動可能に収容するように適合されている。図に示すように、ロッドR3は、平坦な上面と底面とを有し、側面が湾曲している(図15)。通路440は、ロッドR3の形状と相補的な幾何学形状を有し、その全体の内径は、ロッドR3の外径よりわずかに大きく、骨固定デバイス400または組み立てられた構成体に対するロッドR3の「クランクシャフト」現象を最小化する。また、骨固定デバイス400の空洞436内には、ロック機構450も配されている。ロック機構450は、1枚以上のリングプレート452を備える。各リングプレート452は、貫通孔456、開口454およびスプリング部材458を有する。ロック機構450が空洞436内に配されると、スプリング部材458の穴459が、開口454および孔442,444と位置合わせされる。穴459、開口454および孔442,444が位置合わせされると、ピン408がそこに挿入され、ピン408が、孔442、スプリング部材458の穴459、開口454および孔444を通るため、ロック機構450を空洞436内に固定する。スプリング部材458は、図14Aの矢印Bに示す第1の方向にリングプレート452をバイアスさせる。リングプレート452が、スプリング部材458によってバイアスされるため、通路440が、貫通孔456および通路440の開口と実質的に位置合わせされ、ロッドR3が、矢印Aに示す方向に、骨固定デバイス400を通って戻り可能となる。ロッドR3が、矢印Bに示す逆方向に移動しようとすると、ロッドR3の外面と貫通孔456の内面間の摩擦係合が、スプリング部材458のバイアスに打ち勝ち、リングプレート452を矢印Aに示す方向に戻す。戻されると、貫通孔456が、通路440と位置合わせがずれ(すなわち、通路440を通って延びる長軸に対して斜めとなり)、これにより、貫通孔456とロッドR3の外面間の摩擦係合が増大する。このため、ロック機構450は、骨固定デバイス400とロッドR3間の矢印Aに示す方向の相対移動を可能にする一方で、骨固定デバイス400とロッドR3間の矢印Bに示す方向の相対移動を阻止する。より詳細には、骨固定デバイス400の通路440の寸法は、リングプレート452の貫通孔456の寸法よりも大きい。ロッドR3におけるデバイスの長さ(run)が短い距離であるため、この構成により、湾曲したロッドがリングプレート452および通路440を通ることができる。
【0033】
また、骨固定デバイス401は、ロック機構450の向きが逆転してもよい。この場合、スプリング部材458は、リングプレート452を矢印Aに示す方向にバイアスする。この代替の構成では、ロッドR3は、骨固定デバイス401に対して矢印Bに示す方向に戻り可能であり、骨固定デバイス401に対する、矢印Aに示す方向への相対移動が阻止される(図15)。
【0034】
骨固定デバイス400,401は、図15に示すように、外科的構成体の一部を形成している。図に示すように、骨固定デバイス400,401は、溝430を通って挿入され、固締スクリュー402によって固定されるロッドR1と動作可能に連結される。ロッドR1は、椎弓根スクリューの対S1とS2を渡され、骨固定デバイス400,401のための固定位置を規定する。ロッドR3は、通路440により、骨固定デバイス400と401を通って挿入される。図に示した実施形態では、複数の骨固定デバイス400,401が、対応するロッドR1および椎弓根スクリューS1,S2と共に使用されている。(例えば患者が成長して)、ロッドR3における固定点の間の間隔が広がると、ロッドR3が、骨固定デバイス400を通って、矢印Aに示す方向に並進し、前述のようなロッドR3とロック機構450間の連係により、骨固定デバイス400を通る矢印Aで示す方向の並進が阻止される。同様に、ロッドR3は、矢印Bの方向に骨固定デバイス401を通って並進し、骨固定デバイス401を通る矢印Aの方向の並進が阻止される。
【0035】
次に図16A〜19を参照すると、本開示の骨固定デバイスの追加の実施形態が図示されており、これについて以下に説明する。骨固定デバイス400A(図16A〜16B)は、上で詳細に説明した骨固定デバイス400と同様であり、同じ参照符号は同様の構成要素を参照している。骨固定デバイス400Aは、本体405を有し、その一端に空洞436が設けられている。ロック機構450が、空洞436内に配されており、孔442,444、スプリング部材458の穴459およびリング452の開口454を通って延びるピン408によって固定される。ロッドR3が上で説明したように骨固定デバイス400と連係するように、ロッドR3は骨固定デバイス400Aと連係する。骨固定デバイス400Aにおいて、空洞436と反対の端には、本体405に延長部417,419が取り付けられている。延長部417,419は、略円形であり、椎弓根スクリューS1,S2(図17)と連結するように適合されている。また、延長部417,419は、通路440、このためロッドR3に実質的に平行な方向に、本体405から延びている(図17)。
【0036】
骨固定デバイス400と同様に、ロッドR3が、骨固定デバイス400Aを通って矢印B(図17)に示す方向に容易に並進するが、骨固定デバイス400Aに対して、矢印A(図17)に示す方向への並進が阻止されるように、ロッドR3はロック機構450と連係する。骨固定デバイス400Aは、椎弓根スクリューS1,S2と協働して、組み立てられた構成体のための固定点を形成する。各椎弓根スクリューS1,S2は、椎体などの骨構造に取り付けられる。
【0037】
本開示の骨固定デバイスの更に別の実施形態が、図18A〜18Bに示される。骨固定デバイス400Bは、上に詳細に記載した固定デバイス400と似ており、同じ参照符号は同様の構成要素を参照しており、差違を以下に記載する。骨固定デバイス400Bは、本体409を有し、その一端に空洞436が設けられている。ロック機構450が、空洞436内に配されており、孔442,444、スプリング部材458の穴459およびリング452の開口454を通って延びるピン408によって固定される。ロッドR3が上で説明したように骨固定デバイス400,100Aと連係するように、ロッドR3は骨固定デバイス400Bと連係する。骨固定デバイス400Bにおいて、空洞436と反対の端には、本体409に延長部427が取り付けられている。延長部427は、略円形であり、椎弓根スクリューS1(図19)と連結するように適合されている。骨固定デバイスのこの実施形態では、延長部427は通路440と実質的に直交するように延び、ロッドR3(図19)に対して略直交するように、空洞436とほぼ位置合わせされる。
【0038】
骨固定デバイス400と同様に、ロッドR3が、骨固定デバイス400Bを通って矢印B(図19)に示す方向に容易に並進するが、骨固定デバイス400Bに対して、矢印A(図19)に示す方向への並進が阻止されるように、ロッドR3はロック機構450と連係する。骨固定デバイス400Bは、椎弓根スクリューS1と協働して、組み立てられた構成体のための固定点を形成する。各椎弓根スクリューS1は、椎体などの骨構造に取り付けられる。
【0039】
ここに記載した実施形態は、成長するどのような骨を安定させるために使用することができると考えられ、これには、未だに成長中の患者の脊椎の椎骨を安定させることも含む。ここに記載したデバイスに取り付け可能な骨スクリューの具体的な例としては、米国特許第5,733,286号明細書、米国特許第6,457,021号明細書、米国特許第7,090,674号明細書、米国特許出願公開第2007/0093817号明細書および米国特許出願公開第2008/0027432号明細書、ならびに国際特許出願第PCT/US08/80668号および国際特許出願第PCT/US08/80682号に記載されている椎弓根スクリューが挙げられる。
【0040】
本明細書に含まれる開示の代替の実施形態が、当業者にとって明らかであろう。例えば、ここに開示のデバイスが、本開示の趣旨を逸脱することなく、変更されてもよいことが理解されよう。例えば、開示のデバイスが、取付け後の調整を必要とせずに、骨の成長を可能にしつつ、安定を提供するために、どのような骨の内部あるいは外部に使用されてもよいと理解される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有するハウジングと、
前記開口部に挿入可能なロッドと、
前記ハウジングと動作可能に関連するロック機構と、を有し、前記ロック機構は、前記ハウジングに対する前記ロッドの第1の方向への移動を許容し、前記ハウジングに対する前記ロッドの第2の方向への移動を阻止する骨固定デバイス。
【請求項2】
前記ロック機構は、
第1の直径を有する第1の部分と、前記第1の直径とは異なる第2の直径を有する隣接する第2の部分とを有する貫通孔と、
前記貫通孔内に戻り可能なスプリング要素と、を有し、前記ロッドが前記第2の部分の方に並進されると、前記スプリング要素が前記貫通孔の壁と摩擦係合するように、前記スプリング要素は前記第2の直径より大きい直径を有する請求項1に記載の骨固定デバイス。
【請求項3】
前記ロック機構は、
プレートが、前記ハウジングに対する前記ロッドの一方向への並進を妨げ、前記ハウジングに対する前記ロッドの逆方向への並進を許容するように、部分的に開放された貫通孔を有する請求項1に記載の骨固定デバイス。
【請求項4】
前記ロック機構は、
前記ロッドを収容するための開口部を有する少なくとも1枚のプレートを有し、前記プレートが、前記ロッドの一方向への並進を阻止し、前記ロッドの逆方向への並進を許容するように配置されるように、前記プレートは、一方向への回転バイアスを有する請求項1に記載の骨固定デバイス。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記ロック機構を手動で解除できるように、前記ロック機構に接近できるように適合された開口部を有する請求項1に記載の骨固定デバイス。
【請求項6】
前記ロック機構は、複数本の平行する貫通孔を有する請求項1に記載の骨固定デバイス。
【請求項7】
前記貫通孔は、前記第1の部分に隣接し、前記第1の部分の前記直径よりも小さな直径にテーパしている第3の部分を有する請求項2に記載の骨固定デバイス。
【請求項8】
前記ハウジングは、椎弓根スクリューと係合するためのポストを更に有する請求項1に記載の骨固定デバイス。
【請求項9】
前記ロック機構はスプリング要素と動作可能に連結される回転可能部材を有し、前記回転可能部材が第1の位置のときに、前記ロッドが前記ロック機構を通って並進可能であり、前記回転可能部材が第2の位置のときに、前記ロッドが前記ハウジングに対して固定されるようになる請求項1に記載の骨固定デバイス。
【請求項10】
前記ロッドは、前記開口部を通って前記第1の方向に移動可能である請求項1に記載の骨固定デバイス。
【請求項11】
前記スプリング要素は、前記貫通孔の前記第2の部分の方にスプリットリングをバイアスする請求項2に記載の骨固定デバイス。
【請求項12】
前記ロッドの前記第1の方向への並進により、前記回動可能部材が前記第1の位置に戻される請求項9に記載の骨固定デバイス。
【請求項13】
前記ロッドが前記第2の方向に並進されると、回転可能部材が前記第2の位置から前記第1の位置に遷移する請求項9に記載の骨固定デバイス。
【請求項14】
前記ロッドが前記第2の方向に移動すると、前記スプリング部が、前記ロッドおよび前記貫通孔と摩擦係合するように、前記スプリング部を前記貫通孔の前記第2の部分の方に付勢する請求項2に記載の骨固定デバイス。
【請求項15】
前記ハウジングは、椎弓根スクリューと連結されるように適合された少なくとも1つの延長部を有する請求項1に記載の骨固定デバイス。
【請求項16】
前記ハウジングは、椎弓根スクリューと連結されるように適合された少なくとも1つの延長部を有し、前記少なくとも1つの延長部は、前記ロッドに対して直交するように配置されている請求項1に記載の骨固定デバイス。
【請求項17】
前記少なくとも1つの延長部は前記ロッドから横方向に離間されている請求項15に記載の骨固定デバイス。
【請求項18】
前記延長部は、前記椎弓根スクリュー内の使い捨て可能なスリーブと連結される請求項16に記載の骨固定デバイス。
【請求項19】
前記延長部は、前記椎弓根スクリュー内の使い捨て可能なスリーブである請求項16に記載の骨固定デバイス。
【請求項1】
開口部を有するハウジングと、
前記開口部に挿入可能なロッドと、
前記ハウジングと動作可能に関連するロック機構と、を有し、前記ロック機構は、前記ハウジングに対する前記ロッドの第1の方向への移動を許容し、前記ハウジングに対する前記ロッドの第2の方向への移動を阻止する骨固定デバイス。
【請求項2】
前記ロック機構は、
第1の直径を有する第1の部分と、前記第1の直径とは異なる第2の直径を有する隣接する第2の部分とを有する貫通孔と、
前記貫通孔内に戻り可能なスプリング要素と、を有し、前記ロッドが前記第2の部分の方に並進されると、前記スプリング要素が前記貫通孔の壁と摩擦係合するように、前記スプリング要素は前記第2の直径より大きい直径を有する請求項1に記載の骨固定デバイス。
【請求項3】
前記ロック機構は、
プレートが、前記ハウジングに対する前記ロッドの一方向への並進を妨げ、前記ハウジングに対する前記ロッドの逆方向への並進を許容するように、部分的に開放された貫通孔を有する請求項1に記載の骨固定デバイス。
【請求項4】
前記ロック機構は、
前記ロッドを収容するための開口部を有する少なくとも1枚のプレートを有し、前記プレートが、前記ロッドの一方向への並進を阻止し、前記ロッドの逆方向への並進を許容するように配置されるように、前記プレートは、一方向への回転バイアスを有する請求項1に記載の骨固定デバイス。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記ロック機構を手動で解除できるように、前記ロック機構に接近できるように適合された開口部を有する請求項1に記載の骨固定デバイス。
【請求項6】
前記ロック機構は、複数本の平行する貫通孔を有する請求項1に記載の骨固定デバイス。
【請求項7】
前記貫通孔は、前記第1の部分に隣接し、前記第1の部分の前記直径よりも小さな直径にテーパしている第3の部分を有する請求項2に記載の骨固定デバイス。
【請求項8】
前記ハウジングは、椎弓根スクリューと係合するためのポストを更に有する請求項1に記載の骨固定デバイス。
【請求項9】
前記ロック機構はスプリング要素と動作可能に連結される回転可能部材を有し、前記回転可能部材が第1の位置のときに、前記ロッドが前記ロック機構を通って並進可能であり、前記回転可能部材が第2の位置のときに、前記ロッドが前記ハウジングに対して固定されるようになる請求項1に記載の骨固定デバイス。
【請求項10】
前記ロッドは、前記開口部を通って前記第1の方向に移動可能である請求項1に記載の骨固定デバイス。
【請求項11】
前記スプリング要素は、前記貫通孔の前記第2の部分の方にスプリットリングをバイアスする請求項2に記載の骨固定デバイス。
【請求項12】
前記ロッドの前記第1の方向への並進により、前記回動可能部材が前記第1の位置に戻される請求項9に記載の骨固定デバイス。
【請求項13】
前記ロッドが前記第2の方向に並進されると、回転可能部材が前記第2の位置から前記第1の位置に遷移する請求項9に記載の骨固定デバイス。
【請求項14】
前記ロッドが前記第2の方向に移動すると、前記スプリング部が、前記ロッドおよび前記貫通孔と摩擦係合するように、前記スプリング部を前記貫通孔の前記第2の部分の方に付勢する請求項2に記載の骨固定デバイス。
【請求項15】
前記ハウジングは、椎弓根スクリューと連結されるように適合された少なくとも1つの延長部を有する請求項1に記載の骨固定デバイス。
【請求項16】
前記ハウジングは、椎弓根スクリューと連結されるように適合された少なくとも1つの延長部を有し、前記少なくとも1つの延長部は、前記ロッドに対して直交するように配置されている請求項1に記載の骨固定デバイス。
【請求項17】
前記少なくとも1つの延長部は前記ロッドから横方向に離間されている請求項15に記載の骨固定デバイス。
【請求項18】
前記延長部は、前記椎弓根スクリュー内の使い捨て可能なスリーブと連結される請求項16に記載の骨固定デバイス。
【請求項19】
前記延長部は、前記椎弓根スクリュー内の使い捨て可能なスリーブである請求項16に記載の骨固定デバイス。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図19】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図19】
【公表番号】特表2011−511676(P2011−511676A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−546089(P2010−546089)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/033553
【国際公開番号】WO2009/100429
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(507349558)ケー2エム, インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/033553
【国際公開番号】WO2009/100429
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(507349558)ケー2エム, インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】
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