説明

自動排尿便処理装置

【課題】股間に装着する排尿便処理体を嵌着した支持枠体を寝具用ベッドに装着した台座の上面で左右に揺動し得るようにし、患者の尻部が少々動いてもそれに追従して排尿便処理体も揺動して一体感を生起し、汚物漏洩を可及的に防止できる自動排尿便処理装置を提供すること。
【解決手段】寝具用ベッドの略中央に略矩形状に形成した装着孔12と、上面を凹状半円弧に形成し装着孔に嵌着可能とした台座310と、凹状半円弧の台座上に左右揺動自在に載置し得るべく外底面を凸状半円弧に形成し、かつ、上面に尻載せパッド41を載置可能とした支持枠体31と、中央にU字状切欠き空間を形成した尻載せパッドと、尻載せパッドのU字状切欠き空間42位置に遊嵌され、尻部や局部の洗浄及び排尿便の外部排出を行うべく構成した排尿便処理体51とよりなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寝たきりの患者や老人等が寝たままで他人の介助無しに排尿便を処理できる自動排尿便処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、寝たきりの患者や老人等が寝たままで他人の介助無しに排尿便をしてその処理をも行えるようにするオムツや装置は種々考案されている。例えば、特許文献1には側面視略L字状の排尿便処理体に大便検知センサーと共に各種ノズルを備えた技術が開示されている。
【0003】
この技術は、排尿便する場合は、まず患者等が排尿便処理体の立ち上がり部を人体股間で挟圧しながら腰臀部を排尿便処理体上に載置するものであり、用便後は近接センサーから成る大便検知センサーで大便を感知して自動的に各種ノズルから洗浄水を噴出して局所を洗浄し、また排尿便処理体内も洗浄するものであり、大便は汚物吸入ホースから外部に排出し、このように自動的に寝たきりの患者の排便処理が行えるようにしたものである。
【0004】
また、特許文献2に記載の装置は、略L字形状の前後方向に長い箱型構造のオムツ状ケーシングと、排泄物を検知する複数のセンサーと、排泄物に洗浄水を射出して所定の洗浄を行う複数のノズルと、各種ノズルを取付けるオムツフレームとを備えた自動排便処理装置であり、前記オムツ状ケーシングに連設された複数のノズルは、肛門付近を洗浄する肛門用ノズル、局部を洗浄するビデ用ノズル、お尻付近を洗浄する尻用ノズル及び排尿便を粉砕し、外部へ押し流す大便用ノズルとよりなるものであり、さらに各ノズルには、尻部や局部の乾燥を兼用して行う機能を有していた。上記各センサーには、排泄された大便を検知する大便検知センサーや、排泄された小便を検知する小便検知センサーとより構成していた。
【特許文献1】特開平8−322868号公報
【特許文献2】特願2006−209168号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した自動排便処理装置には、以下のような課題があった。自動排便処理装置では、オムツ状ケーシングを寝具ベッドに直接装着する構造のため、寝具ベッドとオムツ状ケーシングとの間に洗浄水や尿便等の漏洩が生じると寝具ベッド裏面に漏水が広がり寝具ベッドを濡らしてしまう虞があった。しかも、患者にとってオムツ状ケーシングを股間部に装着するのが非常に煩わしい構造であった。また、オムツ状ケーシングを股間部に装着したときに十分にフィットすることができなかった。更には、仰臥状態で股間部にオムツ状ケーシングを装着すると、オムツ状ケーシング外の尻部が十分に安定しないため、尻部及び股間部に苦痛が生じていた。また、オムツフレームを別途設けており、オムツ状ケーシングの構造が複雑になっていた。
【0006】
そこで、オムツ状ケーシングの一部は寝具に装着すると共に排便排尿を処理する部分は、患者の股間に装着することにより従来の自動排便処理装置の各種欠点を解消する技術が本願発明者において開発された。特に、この発明技術は、図22に示すように、ベッド1011の中央の嵌着孔1012にU字状切欠孔1042を有する尻載せパッド1041を嵌着した支持枠体1031を嵌入し、尻載せパッド1041のU字状切欠孔1042中にL字形状の排尿便処理体1051を嵌着したものであり、患者は排尿便処理体1051を股間に装着して該排尿便処理体中に排尿便を行い、所定の手段で排尿便を排尿便処理体1051外に搬送する。しかも、ベッド1011と排尿便処理体1051との間にはおしめ1021を介在させて、患者の股間を覆い汚物の飛散や漏洩を防止し、かつ、臭気の発散を防止しながら外部から見えないようにして患者の羞恥心を生起しないようにしたものである。
【0007】
しかし、これらの自動排便処理装置においても、患者が排尿便時に腰部を左右に動かすことは出来ないように股間と処理装置が固定的に一体とされており、患者の尻部が所定位置よりずれるような動きをすると処理装置に負荷がかかり股間との一体化が阻害され汚物が外部に漏洩したり、各種センサーの検知精度が低下し、機能障害を生起して洗浄機能が所定の成果を挙げることができないなどの不都合が生起する虞があった。
【0008】
本願発明は、股間に装着する排尿便処理体を嵌着した支持枠体を寝具用ベッドに装着した台座の上面で左右に揺動し得るようにし、患者の尻部が少々動いてもそれに追従して排尿便処理体も揺動して一体感を生起し、汚物漏洩を可及的に防止し、また、センサー機能の障害とならず、更には装着したときのフィット感を向上して、苦痛無く使用することができ、更には、全体構造を簡略化することができる自動排尿便処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、寝具用ベッドの略中央に略矩形状に形成した装着孔と、上面を凹状半円弧に形成し装着孔に嵌着可能とした台座と、凹状半円弧の台座上に左右揺動自在に載置し得るべく外底面を凸状半円弧に形成し、かつ、上面に尻載せパッドを載置可能とした支持枠体と、中央にU字状切欠き空間を形成した尻載せパッドと、尻載せパッドのU字状切欠き空間位置に遊嵌され、尻部や局部の洗浄及び排尿便の外部排出を行うべく構成した排尿便処理体とよりなることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の自動排尿便処理装置において、凹状半円弧とした台座上面の先端縁部には、支持枠体の揺動範囲を規制するための調整ストッパー手段を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2記載の自動排尿便処理装置において、台座の前壁左右には、挿通孔を穿設し、略山型の固定具の左右自由端を挿入可能とし、固定具により、台座上に揺動自在に載置した支持枠体が揺動時に台座から離脱しないように構成したことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動排尿便処理装置において、支持枠体の内底面は凹状半円弧に形成すると共に、尻載せパッドの外底面は凸状半円弧に形成し、尻載せパッドを支持枠体上面に密着状態で載置しうるべく構成してなることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動排尿便処理装置において、排尿便処理体は、内部を舟型とし、底部に設けたノズルからの排水により排尿便を外部へ排出するように構成した横部材と、尻部や局部を洗浄した後に送風により乾燥を行うノズルを前面に設けた縦部材とより略L字形状に構成し、しかも、排尿便処理体の横部材の終端は、排出パイプを介して貯留タンクと連通連結し、横部材及び縦部材に設けた各種ノズルは、送水や送風の制御を行うべく構成したノズル操作部を介して洗浄水供給部とを連通連結したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、寝具ベッドの装着孔に支持ケースを装着し、支持ケース上に尻載せパッドを載置し、次に、患者を寝具ベッドに仰臥させて、尻載せパッドのU字状切欠空間位置に略L字形状の排尿便処理体を遊嵌すると共に、患者の股間部に排尿便処理体を装着することにより容易に着脱可能な構造となっており、患者が自力で排尿便処理体を装着できない状態でも、上記手順を踏むことで1人の介助者で容易に患者に排尿便処理体を装着することができる効果がある。また、患者から排尿便処理体を脱着する場合には、排尿便処理体の外にはみ出した尻部が尻載せパッドに当接しており、尻載せパッドで患者の尻部の重みを支えているため、排尿便処理体を患者から容易に引き離すことが可能である。更には、排尿便処理体を患者の股間部で挟持して装着したとき、排尿便処理体の外にはみ出した尻部を尻載せパッドで支えて尻部付近の重心の安定を図ると共に、患者の股間部を排尿便処理体に密着することで患者にフィット感を与えることができる。しかも、寝たきりの患者に長期間使用しても尻部の床ずれの発生を防ぐことが可能となる効果がある。排尿便処理体より洗浄水が漏水した場合には、排尿便処理体の下部の支持枠体内に漏水が一旦貯留され、寝具ベッドの裏面を直接浸水させることがなくなる効果がある。特に、台座上で支持枠体が凹凸の半円弧の面を介して揺動自在に揺動しうるので、患者の腰部や尻部の左右の揺れやずれが生起しても、それに追従して支持枠体も揺動して常に患者の尻部及び局部と一体化して汚物の漏洩を防止し、各種センサーの正確な検知機能に支障を生起しない効果がある。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、排尿便の処理中或は局部洗浄中の際に、支持枠体が大きく揺動してしまうと、排尿便或は処理水が排尿便処理体内から漏洩してしまうが、支持枠体の揺動範囲を凹状半円弧とした台座上面の先端縁部に設けた調整ストッパー手段で揺動範囲を規制するため、正常に排尿便或は処理水を排尿便処理体外に排出処理することが可能となる効果がある。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、排尿便の処理中、局部洗浄中或は就寝中の際に、患者が不用意に動いても排尿便処理本体の揺動動作を規制し、排尿便処理本体が台座から離脱することを防止しうる効果がある。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、指示枠体の内底面は凹状半円弧に、尻載せパッドの外底面は凸状半円弧にそれぞれ形成しているので、尻載せパッドを安定して支持枠体上に載置することができ、尻載せパッド上で尻部等のずれが生起しても支持枠体が台座上でそのずれを吸収することができ、尻載せパッドが独自にずれることを防止できる効果を有する。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、排尿便処理体は、内部を舟型とし、底部に設けたノズルからの排水により排尿便を外部へ排出するように構成した横部材と、尻部や局部を洗浄した後に送風により乾燥を行うノズルを前面に設けた縦部材とより構成するので、各ノズルが横部材及び縦部材に予め直接取付けられた単純な構造とすることができ、従って、排尿便処理体を短時間で組立て分解作業を行うことができる。しかも、排尿便処理体の横部材の終端は、排出パイプを介して貯留タンクと連通連結し、更には、横部材及び縦部材に設けた各種ノズルは、送水や送風の制御を行うべく構成したノズル操作部を介して洗浄水供給部と連通連結したので、仰臥状態の患者の排尿便の処理及び患者の局部や尻部の洗浄乾燥処理をノズル操作部で制御しながら自動制御の排尿便処理を行うことができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
【0020】
図1に示すように、Kは、本発明の実施例である自動排尿便処理装置を示すものであり、この自動排尿便処理装置Kの概要は次のように構成されている。
【0021】
すなわち、先ず患者が仰臥できるだけの面積を有したウレタン製の寝具ベッド11を用い中央に装着孔12を形成し、装着孔12の一側は、寝具ベッド11に形成したパイプ通路13と連通させている。
【0022】
装着孔12は、略矩形状に形成し、この装着孔12の周辺には、中央に装着孔12に対応した孔22を有したおしめ21を敷く。その際に、その孔22と装着孔12とを対応させて、おしめ21の下手側に延設した折返し被覆部23と上手側に延設した腰周り部24とが装着孔12の外周からはみ出した状態とする。
【0023】
装着孔12(図1参照)には、図2に示すように、矩形状の台座310を嵌着しており、台座310の上表面は凹状半円弧とした揺動受面311を形成しており、揺動受面311の先端縁部には後述する支持枠体31の揺動範囲を規制するための調整ストッパー手段312が設けられている。
【0024】
また、図2及び図3に示すように、台座310上には、以下に述べる略矩形状の支持枠体31を揺動自在に載置している。すなわち、支持枠体31の外底面38aは、凸状半円弧とした揺動底部38(図3参照)を形成し、支持枠体31には、ウレタン製の略U字型の尻載せパッド41(図1参照)を載置し、尻載せパッド41の中央のU字状切欠空間42には、略L字形状の排尿便処理体51の横部材52(図15参照)を遊嵌する。従って、支持枠体31上に尻載せパッド41及び略L字形状の排尿便処理体51を装着した状態では略L字形状の排尿便処理体51の縦部材53(図15参照)は尻載せパッド41上面より上方に突出した状態となる。
【0025】
患者が本発明の自動排尿便処理装置Kを使用する際には、寝具ベッド11に仰臥し尻部を尻載せパッド41上に載置し、図17に示すように、排尿便処理体51の略L字状の縦部材53を股間に挟んで略L字状の横部材52の舟型内部に排尿、排便を行い、横部材52の頭部に設けた射水ノズル105からの排水により、尿便を排尿便処理体51外に排出し、排尿便処理体51の縦部材53に設けた洗浄ノズル203、ビデノズル202から洗浄水により尻部や局部を洗浄し、また、排尿便処理体51の横部材52に設けた尻ノズル104から洗浄水により尻部を洗浄し、その後、乾燥ノズル204、送気ノズル205からの送風により尻部や局部を乾燥するものである。
【0026】
次に、自動排尿便処理装置Kを構成する各構成部材について説明する。
【0027】
(i)装着孔12の周辺に敷設するおしめ21について説明する。
【0028】
図1に示すように、おしめ21は、中央部分に寝具ベッド11の装着孔12に対応した孔22を形成する。孔22の裏側には、方形状の箱型袋26が垂設されており、この箱型袋26は、寝具ベッド11周辺におしめ21を敷くときに中央の装着孔12中に嵌入されて、その中には、後述する台座310が嵌入される。その孔22の下手側には、左右に露出した股間を覆うための折返し被覆部23を延設し、同孔22の上手側には、左右に張出した腰周り部24を延設した形状としている。
【0029】
かかるおしめ21は、寝具ベッド11の装着孔12の周辺を囲む状態で拡げて載置される。なお、おしめ21の折返し被覆部23中央には、切断線25が形成され切断線25の左右両部分がジッパーにより合体離反自在に構成されており、同ジッパーの他端は、折返し被覆部23の中途で終止している。従って、股間覆い部23が切断線25を中心に左右に拡開されるため、後述する排尿便処理体51を略U字状の尻載せパッド41のU字状切欠空間42中に嵌入する場合に、おしめ21が邪魔にならずに排尿便処理体51を容易におしめ21の切断線25の間からU字状切欠空間42中に嵌入させることができる。
【0030】
ここで、おしめ21の患者への装着手順について説明する。
【0031】
図1に示すように、中央に装着孔12に対応した孔22を有したおしめ21を寝具ベッド11の装着孔12の周辺に敷く。その際に、その孔22と装着孔12とを対応させ装着孔12中に箱型袋26を嵌入しておき、おしめ21の下手側に延設した折返し被覆部23と上手側に延設した腰周り部24とが装着孔12を中心にして外周にはみ出した状態とする。
【0032】
次に、おしめ21の孔22に連設した箱型袋26に後述する台座310を嵌着し、台座310上に支持枠体31を載置し、更に支持枠体31に尻載せパッド41を載置し、その後、介助者が患者の尻部を尻載せパッド41上に載せて、寝具ベッド11に患者を仰臥させた状態とする。
【0033】
次に、おしめ21を切断線25を中心に左右に拡開し、この左右に拡開した開口部より略L字形状の排尿便処理体51を挿通して、尻載せパッド41のU字状切欠空間42中に装着すると共に、患者の股間部で排尿便処理体51を挟持し、さらに、患者の局部を排尿便処理体51に設けた覆体59により上方から隠した状態とする。
【0034】
次に、おしめ21の左右の腰周り部24を患者の腹部に折り畳むように巻きつけ、両腰周り部24のテープ同士を固着する。次いで覆体59をおしめ21の折返し被覆部23で覆ったのち、折返し被覆部23の終端部のテープを腹部の腰周り部24に固着する。
【0035】
(ii)台座310について説明する。
【0036】
図2及び図3に示すように、台座310は、寝具ベッド11(図1参照)の装着孔12に嵌着しうる一定厚みの矩形状に形成されており、その上表面は凹状半円弧の揺動受面311を形成している。しかも、揺動受面311の先端縁部には揺動受面311上に揺動自在に載置する支持枠体31の揺動範囲を規制するための調整ストッパー手段312を設けている。
【0037】
すなわち、調整ストッパー手段312は、揺動受面311の先端縁部の半円弧面の左右に突起313,313を突設して、該突起313,313に後述する支持枠体31の構成部材が当接することにより、それ以上の左右揺動が行えないようにしている。
【0038】
また、他の実施例としての調整ストッパー手段312は、図4に示すように、台座310の前壁315を揺動受面311と同じ形状の半円弧状に切欠し、前壁315の左右部分には出没自在に係合片320,320を枢支する。図中317は枢支部、328はガイド溝を示す。
【0039】
従って、一方の係合片320の突出作動により、この一方の係合片320と後述する支持枠体31の構成部材とが当接係合して、揺動範囲が規制されるものであり、この際に他方の係合片320の埋没作動により、他方の係合片320と支持枠体31の構成部材とが干渉することなく、支持枠体31は、揺動を行うことができる。
【0040】
このように作用する係合片320,320は次のように構成されている。
【0041】
すなわち、台座310の前壁315の内側には、図5及び図6に示すように、一定間隔を保持して補助壁316を立設しており、前壁315と補助壁316との間には板状の係合片320,320を出没自在に配設している。
【0042】
係合片320,320を出没作動させるための構造は次の通りである。
【0043】
すなわち、前壁315と補助壁316との間に架設したピン322,322(図6参照)に係合片320,320を枢支しており、係合片320,320を枢支部317,317を中心に回動させることにより、前壁315と補助壁316との間の開口部343,343から係合片320,320を出没作動させる。
【0044】
また、前壁315の裏面と係合片320との間には、スプリング326を介設し、このスプリング326の付勢により、係合片320を突出状態に付勢していると共に、係合片320を前壁315の裏側に圧接付勢している。
【0045】
すなわち、スプリング326は、枢支部317より基端側に位置する係合片320端部に突設した支持ピン325と前壁315の裏面に設けた係合部319との間に架設されており、このスプリング326の付勢により係合片320の前側面を前壁315の裏側に圧接付勢している。かかる圧接作動により係合片320が埋没した際に、係合片320に形成した凹部327が前壁315の裏面に形成した三角形状の突起340と係合して係合片320を埋没状態に保持する。
【0046】
すなわち、図5及び図10に示すように、突起340と凹部327は、係合片320の埋没状態を保持するストッパー機能を果たす。また、前壁315には、切欠き舌片341を形成しておき、切欠き舌片341には、係合解除用突部342(図5及び図11参照)を形成して、切欠き舌片341を前壁315の表側から指で押すと係合解除用突部342が係合片320を裏側に押圧し、係合片320の凹部327と突起340との係合(図10参照)が解除し、係合片320を埋没した状態から突出した状態に復帰させることができる。
【0047】
また、係合片320の上端縁は、後述する支持枠体31の外底面38aとなじむように凹状半円弧と同じ曲面としている。
【0048】
すなわち、支持枠体31が台座310上で揺動する際には、図8に示すように、支持枠体31の外底面38aの左右の一方部分が係合片320の先端上端面と当接し、支持枠体31の更なる揺動に伴い係合片320を押下げて、係合片320を前壁315の内側に埋没させる。
【0049】
なお、係合片320の埋没作動は、枢支部317を中心に回動することにより行われる。
【0050】
支持枠体31が元の位置に揺動して、外底面38aと係合片320との当接が解消すれば、図7に示すように、係合片320はスプリング326(図6参照)の付勢力により突出作動して前壁315の上端縁より突出状態となる。
【0051】
また、台座310の前壁315には、図12に示すように、左右に挿通孔318,318を穿設しており、挿通孔318,318にはワイヤ、または、チューブで被覆した硬線等で形成した略山型の固定具330の左右自由端331,331を挿入可能としている。
【0052】
すなわち、図13に示すように、固定具330は、排尿便処理体51を固定するために使用されるものであり、略山型に形成した本体部332によってガイド通路34の内底面に処理部本体56の横部材52に連設したカップリング58を圧着固定する。
【0053】
その際に、前方に突出形成した自由端331,331を台座310の前壁315の挿通孔318,318に挿通している。
【0054】
なお、固定具330の自由端331,331は、挿通孔318,318から挿入して台座310の前壁315の裏側に突出するようにする。この突出自由端331,331は、係合片320,320の下端面に当接するように構成しており、係合片320,320が台座310の内側へ没入する範囲を規制している。
【0055】
(iii)支持枠体31について説明する。
【0056】
図2から図4に示すように、台座310上に載置される支持枠体31は、外底面38a(図2参照)を凸状半円弧に形成した底板32を有する矩形ケース39よりなり、上方開口の箱型としている。
【0057】
すなわち、底板32の外周縁には外周壁33が少なくとも後述する尻載せパッド41(図1参照)の厚みより低い状態で立設されている。更に底板32の中央には、長手方向に沿って帯状のガイド通路34が設けられており、両側にはガイド壁35が設けられている。
【0058】
ガイド通路34は、下手側の枠体前壁33aを突き抜けて底板32の下手終端より突出し、突出部36の終端は開放状としており、従って、支持枠体31を寝具ベッド11(図1参照)の装着孔12に装着した台座310上に載置する場合は、ガイド通路34の突出部36を装着孔12と連通したパイプ通路13内に嵌め込んでおく。
【0059】
以上のように構成された支持枠体31は、外周壁33と帯状のガイド通路34との間に略U字状のU字空間37を形成しており、U字空間37の内底面は、凹状半円弧に形成している。このU字空間37に後述する略U字状の尻載せパッド41(図1参照)が嵌着される。
【0060】
このように外底面38a(図2参照)を凸状半円弧とした支持枠体31は、内底面が凹状半円弧の台座310上に左右揺動自在に載置されて、後述するように患者の尻部や腰部の動きに応じて左右に揺動して尻部のずれを吸収する。
【0061】
しかも、図4に示すように、支持枠体31は、台座310上で患者の尻部のずれや動きに応じて揺動するものの、その揺動範囲と一定の角度に規制するために台座310の調整ストッパー手段312と協働するための構造を設けている。
【0062】
すなわち、支持枠体31の中央には、帯状のガイド通路34が設けられ、このガイド通路34は前述の如く枠体前壁33aを突き抜けて支持枠体31の枠外に突出しており、当然にその両側のガイド壁35も枠体前壁33aより突出している。
【0063】
かかる構造の支持枠体31を台座310上に載置した場合、台座310の前壁315の左右に配設した突起313,313がガイド壁35の外側面と対向する状態となる。
【0064】
従って、支持枠体31を一方向に揺動させると台座310の突起313,313先端が当接して、それ以上は揺動できない。
【0065】
なお、かかる一定範囲内の揺動ができるためには、凸状半円弧に形成した底板32の前端部の一部のみ、すなわち、底板32より前方に突出したガイド壁35の横側方において凸状半円弧の底板32の前端部のみを切欠して平坦面32aを形成しておく必要がある。
【0066】
すなわち、図7に示すように、支持枠体31が揺動していない中立位置にある場合には、この平坦面32aにより形成された空間32bは、台座310の係合片320が位置して支持枠体31の底板32と干渉せずに支持枠体31の揺動を可能とする。
【0067】
このように揺動範囲は、突出状の突起313,313がガイド壁35に当接する範囲に限定される。
【0068】
しかし、図9及び図10に示すように、更にこれ以上の揺動を求める場合には係合片320,320を人手によりスプリング付勢に抗して押下げて固定する。かかる状態ではガイド通路34の外底面34aは係合片320の上端縁部上を滑動する。
【0069】
すなわち、ガイド壁35に当接した係合片320を人手により、スプリング付勢に抗して押下げ埋没させるとガイド壁35との当接が解消され、図9に示すように、ガイド通路34の外底面34aが係合片320,320の上端面320aを乗り越えて、支持枠体31は更なる揺動を行い傾斜角度が大となる。かかる係合片320の人手による埋没状態は、前述した突起340と凹部327との係合により固定される。これを解除するためには前述した切欠き舌片341の係合解除用突部342を指で押すことにより行われる。
【0070】
(iv)尻載せパッド41について説明する。
【0071】
尻載せパッド41(図1参照)は、支持枠体31に形成された略U字状のU字空間37に嵌着できるように同じく略U字状に形成しており、中央のU字状切欠空間42に支持枠体31のガイド通路34のガイド壁35が嵌着できる構成としている。
【0072】
尻載せパッド41の素材は、ウレタン等の柔軟な材料を封入したものを使用し患者の尻部の載置安定が良好で尻部の皮膚面に優しい感触のものとする。特に、防水性、撥水性、吸水性に優れていると共に湿気を保持しない通気性のよいことが必要であり、患者の床ずれを防止できる材料と感触を有していることが必要である。
【0073】
また、尻載せパッド41の厚みは、少なくとも寝具ベッド11の装着孔12と同等で、支持枠体31の外周壁33(図2参照)より高くしている。
【0074】
かかる尻載せパッド41を支持枠体31のU字空間37に嵌着した装着孔12に嵌入装着した場合に、尻載せパッド41の略U字状中央のU字状切欠空間42には、支持枠体31のガイド通路34のガイド壁35が嵌着されるため略U字状の尻載せパッド41はガイド通路34を囲繞する状態となる。
【0075】
従って、尻載せパッド41を支持枠体31のU字空間37に嵌着した状態では、尻載せパッド41のU字状切欠空間42がガイド通路34と一体となる。
【0076】
また、尻載せパッド41の底面は、凸状半円弧の形状としており、従って、支持枠体31内のU字空間37中に尻載せパッド41を装着する場合に支持枠体31の凹状半円弧の内底面と一致して密着した装着が可能となる。
【0077】
また、支持枠体31のU字空間37は、排尿便処理体51内より漏洩した洗浄水が尻載せパッド41の周面より浸透しても漏水を貯留させ、寝具ベッド11裏面を濡らすことを防止する効果がある。
【0078】
(v)排尿便処理体51について説明する。
【0079】
図15に示すように、排尿便処理体51は、外底面を凸状半円弧に形成した支持枠体31(図2参照)のガイド通路34に嵌着する略長手楕円形状とした支持ケース55と、同支持ケース55中に嵌入して内蔵される略L字形状の処理部本体56とより構成される。
【0080】
図16及び図17に示すように、支持ケース55は、周辺に周壁を形成し、その内部に後述する処理部本体56の横部材52が収納されるように長方形に形成している。同支持ケース55の左右両側壁は、中央部分を山型に隆起させ、この隆起部55a及び支持ケース55の後半部開口縁には、更に縦ケース57を嵌着連設可能に構成しており、縦ケース57は、後述する略L字状の処理部本体56の縦部材後方と処理部本体56の上面の一部をケーシングすることができるように横断面半円弧状で側面視略L字状に形成している。
【0081】
更には、支持ケース55と縦ケース57との組付けで形成される下手側端部開口には、筒状のカップリング58が連結されており、該カップリング58内には、後述する処理部本体56の下手端部に設けられた尿便の排出通路81(図17参照)及びそれに連通した排出パイプ103(図1参照)が挿入される。
【0082】
なお、排尿便処理体51の支持ケース55は支持枠体31と共に台座310上で左右に揺動するため、排尿便処理体51の排出通路81と排出パイプ103の連結部分とは、カップリング58内で回転自在となるように構成されており、従って、台座310上で揺動する排尿便処理体51の回動中心線は、排出通路81と排出パイプ103との回転連結部分の回転中心線と一致させておく必要がある。
【0083】
また、図17に示すように、処理部本体56の縦部材80後方をケーシングする縦ケース57の上端縁には、患者の局部を上方から覆うための覆体59が開閉自在に枢着されている。
【0084】
覆体59は、ドーム形状とし、基端を断面半円弧状の縦ケース57上端にピン59aを介して枢着されており、患者が処理部本体56を股間に挟んだ状態で局部上方を開閉自在に覆うことができるように構成している。
【0085】
従って、処理部本体56は、上記した支持ケース55と、縦ケース57と、カップリング58と、覆体59によって、必要な排尿便処理機能を果たすノズル突設部分を除いて、すべてケーシングされることになる。
【0086】
かかる処理部本体56は、図16及び図17に示すように、内部を舟型に形成した横部材としての排尿便受け部82と、その下手端部に立設した縦部材としての洗浄ノズル保持体61とにより略L字状に形成されている。
【0087】
図16及び図21に示すように、排尿便受け部82の前端には、前端ノズルブラケット60が設けられており、該前端ノズルブラケット60には、排尿便受け部82に貯留された尿便を下手側方向に押しやるべく射水するための射水ノズル105が設けられており、該射水ノズル105の近傍には隣接して患者尻部下面及び腰部を乾燥するための送気ノズル205が配設されている。
【0088】
図17に示すように、排尿便受け部82の下手側終端には、排出口102aが設けられており、同排尿便受け部82に貯留された尿便を外部の貯留タンク300に排出パイプ103を介して排出する。
【0089】
また、図17及び図20に示すように、洗浄ノズル保持体61には、洗浄ノズル203、ビデノズル202、乾燥ノズル204が設けられており、何れも患者の局部あるいは肛門に向って、水や空気を送ることができるように構成されている。
【0090】
これらの各ノズルに通じるパイプ基端は、図16から図18に示すように、洗浄ノズル保持体61の裏面に突出し、洗浄ノズル保持体61の裏面に装着した分配器62の所要の分岐パイプ62aに連通されている。更に、分配器62の裏側においては、処理部本体56の縦部材としての洗浄ノズル保持体61上面にヒーター部63を装着しており、分配器62に通じるエアパイプをヒーター部63を介して加熱するように構成している。
【0091】
ヒーター部63は、吸入口63aと噴射口63b(図16参照)とを備え、吸入口63aより送気した空気をエアパイプで温め噴射口63bより温風の空気として送気するように構成している。
【0092】
図16から図18に示すように、舟型に形成した排尿便受け部82と、その下手側に立設した洗浄ノズル保持体61により全体略L字状に形成した処理部本体56は、処理部本体56の開口部83が洗浄ノズル保持体61のノズル突出側とは互いに相対して各縁部が略L字状に連続する。すなわち、処理部本体56の開口縁84と洗浄ノズル保持体61の側縁とは、連続した側面視略L字状の側縁部85を構成していることになる。
【0093】
そして、かかる左右の側縁部85,85は、縁部をカバーするためにL字状とU字状を組合せた縁部カバー体64によって被覆されている。
【0094】
210は、縁部カバー体64の前端に延設した舌片である。
【0095】
図16及び図17に示すように、上記した排尿便受け部82の排出口102aと排出パイプ103(図14参照)基端側との間には、排泄物や臭気の逆流を防止する断面八角形の中空状の逆止弁ケース66が介設されており、逆止弁ケース66(図19参照)には、ケース天井面に上端を枢支した逆流防止弁66aを開閉自在に垂設しており、逆流防止弁66aは、自重で常に閉弁方向に付勢されている。尿便の排泄物は自重付勢に抗して流通力とより円滑に流通し、貯留タンク300及び排出パイプ103からの臭気は閉弁により流入が防止される。
【0096】
また、図17に示すように、支持ケース55底面略中央部には、断面山型の係合爪67を突設すると共に、支持ケース55を嵌着する支持枠体31のガイド通路34内底面下手部には多段の断面山型の係合溝68(図2参照)を形成している。
【0097】
そして、患者から排尿便処理体51を取外す場合には、上方に排尿便処理体51を持ち上げることにより、排尿便処理体51の係合爪67が係合溝68から離脱状態となり、患者から排尿便処理体51を簡単に取外すことができるようにしている。
【0098】
支持枠体31のガイド通路34内の上手側と支持ケース55の上手側外底面との間には、排尿便処理体51の上手側底面を押上げる略Z形状の板ばね71(図16参照)とその上面に載置した略半円状の押上受板72とが介設されている。
【0099】
(vi)排尿便処理体51の各種ノズル及び各種センサーについて説明する。
【0100】
図14及び図17に示すように、排尿便処理体51には、人体の各部位を洗浄するため洗浄水を噴射する尻ノズル104,射水ノズル105,ビデノズル202,洗浄ノズル203と、洗浄後に人体の局部及び外部尻部を乾燥するため空気を噴射する乾燥ノズル204、送気ノズル205、着用センサーI、大便センサーG、小便センサーH、水位センサーJが各所に配置されている。
【0101】
(vi−1)各種ノズルについて詳細に説明する。
【0102】
図17及び図20に示すように、排尿便処理体51は、前面凹部113の底面の下端部に配設された洗浄ノズル203と、前面凹部113の底面の、洗浄ノズル203より上方の位置に配設されたビデノズル202を有している。また、排尿便処理体51は、排出通路81の、排出部102と反対側の端部に配設された射水ノズル105と、排出通路81の、排出部102と反対側の端部における、射水ノズル105より上方の位置に配設された尻ノズル104を有している。
【0103】
図1に示すように、各種ノズル104、105、202、203は、それぞれ尻ノズルパイプ602c、射水ノズルパイプ604、ビデノズルパイプ602b、洗浄ノズルパイプ603が接続されており、各種ノズル104,105,202,203には、それぞれ各ノズルパイプ602c,604,602b,603を介して、処理操作部Cから洗浄水が供給される構成となっている。
【0104】
また、これら各種パイプは、束ねて外観ホース73内に挿入される。
【0105】
図17及び図21に示すように、尻ノズル104は、尻用噴射孔104aを、その噴射方向が患者の尻部を向くように複数有しており、より広範囲の洗浄を可能とするために尻部の曲面に対応して所定の曲率を持つ態様で配設されている。
【0106】
また、尻ノズル104は、ビデノズル202と三方弁74を介して連通連結しており、両ノズル104,202は、三方弁74からの洗浄水を同時に噴射可能とする構成としている。
【0107】
射水ノズル105は、洗浄水の噴射水圧により大便を細かく粉砕しつつ、大便を排出通路81から排出口102aへ向けて押し流す処理(以下、大便粉砕処理という。)を行うためのノズルである。射水ノズル105は、凸部60aに配設されている。射水ノズル105は、大便粉砕用噴射孔105aを、その噴射方向が排出通路81の底面で、かつ、大便が最も溜まり易い人体の肛門直下へ向くように複数有している。また、射水ノズル105は、後述する加圧ポンプ600に連通し、温水タンク501からの温水を射水ノズル105から高水圧の洗浄水として噴射できるように構成している。
【0108】
図17及び図20に示すように、ビデノズル202は、主な噴射範囲として、人体の局部に付着する排泄物を洗浄すると共に処理部本体の縦部材の内周面に付着した小便を洗浄するためのノズルである。ビデノズル202は、ビデ用噴射孔202aを、その噴射方向が患者の局部を向くように列状に等間隔に穿設し複数有し、小便用噴射孔200bを、その噴射方向が処理部本体の縦部材の内周面に向くように凸形状の周面に等間隔に穿設し複数有している。
【0109】
図17及び図20に示すように、洗浄ノズル203は、男女の体型の差に関わらず肛門及び肛門周辺を洗浄することができるように、細幅かつ縦長の形状となっている。洗浄ノズル203は、ビデノズル202より下方位置に設けており、同洗浄ノズル203の肛門用噴射孔203aを、その噴射方向が患者の肛門及び肛門周辺を向くように等間隔に穿設し複数有している。
【0110】
図17及び図20に示すように、乾燥ノズル204は、噴射範囲として、患者の局部、肛門及び肛門周辺を乾燥するためのノズルである。乾燥ノズル204は、ビデノズル202より外側に位置し同ビデノズル202と一体的に配設されており、乾燥用噴射孔204aはその噴射方向が患者の局部、肛門及び肛門周辺を向くように等間隔に4箇所穿設される。乾燥ノズル204には、温風の空気を噴出可能とするように吸入ポンプより供給され、ソレノイドバルブ97(図14参照)を介し乾燥ノズルパイプ608より供給される空気をヒーター部63のヒーターにより暖めて温風の空気として乾燥用噴射孔204aから噴出するようにしている。
【0111】
図17及び図21(c)に示すように、送気ノズル205は、噴射範囲として、患者の尻部周辺を乾燥するためのノズルである。送気用噴射孔205aはその噴射方向が患者の尻部周辺に向くように上向きとなるようしている。送気ノズル205には、空気を噴出可能とするように吸入ポンプより供給され、ソレノイドバルブ98(図1参照)を介し送気ノズルパイプ609より供給される空気を送気用噴射孔205aから噴出するようにしている。
【0112】
(vi−2)各種センサーの構成について詳述する。
【0113】
着用センサーIは、一対の導電性ゴムで形成した電極端子120を有しており、両電極端子120,120を患者の大腿部に一定圧で密着して、人体特有の静電容量の変化により患者の大腿部に排尿便処理体が密着状態で装着されたことを検知するようにしている。
【0114】
図17に示すように、大便センサーGは、発光部106より発信された赤外線が対向する受光部107で受信されたか否かに基づき、発光部106と受光部107の間、すなわち排出通路81に大便が存在するか否かを検知する。
【0115】
また、図16及び図17に示すように、小便センサーHは、前後に隣り合うように配設された一対の電極ピン109,109を備えている。
【0116】
このような構成により、患者が排便、排尿すると、排尿便処理体51は、大便センサーG、小便センサーHにより大便、小便を検知し、その検出信号を処理操作部C(図14参照)へと送信する。かかる検出信号を受信した処理操作部Cは、ビデノズルパイプ602b、洗浄ノズルパイプ603、射水ノズルパイプ605、尻ノズルパイプ602cに洗浄水を供給し、ビデノズル202、洗浄ノズル203、射水ノズル105、尻ノズル104の各々から洗浄水が排尿便処理体51内へ噴射される。
【0117】
水位センサーJは、図16及び図17に示すように、排尿便受け部82内の水位を検知するため、排尿便受け部82上手側の側縁部85,85に電極ピン130,130を備えている。
【0118】
(vii)外部処理構成としての処理操作部Cについて説明する。
【0119】
図14に示すように、処理操作部Cは、排尿便処理体51の汚物を収容する排泄物収容部Dと、排尿便処理体51から股間部と同排尿便処理体51との一定圧の密着状態を示す着用信号や排便及び/又は排尿の検出信号や排尿便受け部の水位上昇を示す水位信号を受信し、その後の送水や送風などの各種動作を遂行するノズル操作部Fと、排尿便処理体51に洗浄水を供給する洗浄水供給部Eとよりなる。
【0120】
(vii−1)
排泄物収容部Dは、貯留タンク300を有しており、貯留タンク300は、排出パイプ103を介して、排尿便処理体51の排出口102aと接続されている。
【0121】
また、図14に示すように、ホース連結部303には、排出パイプ103と隣り合うように吸気パイプ401aが接続されている。
【0122】
(vii−2)
洗浄水供給部Eは、図14に示すように、洗浄水としての原水を供給する原水タンク500と、排尿便処理体51内に供給する洗浄水を所定温度に加熱するための温水タンク501と、原水タンク500から温水タンク501への給水を制御するソレノイドバルブ503を備えている。温水タンク501は、原水タンク500からソレノイドバルブ503を介して供給された原水を加熱する管ヒーター502と、水位を感知する水位センサー505と、水温を感知する温度センサー506とを備えている。
【0123】
洗浄水供給部Eは、温水タンク501内の原水の温度を温度センサー506で検知して、原水を管ヒーター502で加熱して温水とする。
【0124】
(vii−3)
ノズル操作部Fは、上述のように、排泄物収容部Dに吸気パイプ401aを介して連通連結されており、また、洗浄水供給部Eに送水パイプ504aを介して連通連結されている。図中の401aは吸気パイプ、409は弁としての吸気バルブ、408は減圧部としての真空タンク、401bは吸気パイプ、407aは悪臭除去フィルタ、413は圧力スイッチ、401cは吸気パイプ、401dは吸気パイプ、400は吸入ポンプ、402は吸気口、405は排気口、414はエア排出パイプ、407bは消音器である。
【0125】
一方、送水パイプ504aは、フィルタ507、送水パイプ504b、加圧ポンプ600、ノズルパイプ601a、各種ソレノイドバルブ91,92,93、三方弁74、各種ノズルパイプ602a,602b,602c,603,605を経て、排尿便処理体51内の尻ノズル104,射水ノズル105,ビデノズル202,洗浄ノズル203に接続されている。
【0126】
真空タンク408内に真空状態を形成することにより、より強い負圧を発生させて排尿便処理体51内の汚物を効率良く吸引することができる構成となっている。
【0127】
また、ソレノイドバルブ95,96、消音器404、2基の悪臭除去フィルタ407a,407a、消音器407bは1ユニット化されてフィルタアセンブリ607を構成している。
【0128】
以上、本発明の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本実施形態の自動排尿便処理装置を示す分解斜視図である。
【図2】支持枠体及び台座を示す分解斜視図である。
【図3】支持枠体を台座に載置した状態を示す斜視図である。
【図4】他の形態の台座に支持枠体を載置した状態を示す斜視図である。
【図5】他の形態の台座の裏面に係合片を装着する前の状態を示す分解斜視図である。
【図6】他の形態の台座の裏面に係合片を装着した状態を示す斜視図である。
【図7】他の形態の台座に支持枠体を載置した状態を示す正面図である。
【図8】他の形態の台座に支持枠体を載置した状態を示す正面図である。
【図9】他の形態の台座に支持枠体を載置した状態を示す正面図である。
【図10】図9におけるA−A線の断面図である。
【図11】図9におけるB−B線の断面図である。
【図12】排尿便処理体を台座に固定具で固定する前の状態を示す斜視図である。
【図13】排尿便処理体を台座に固定具で固定した状態を示す斜視図である。
【図14】本実施形態の自動排尿便処理装置を示す構成図である。
【図15】排尿便処理体を支持枠体に装着した状態を示す構成図である。
【図16】排尿便処理体の分解斜視図である。
【図17】排尿便処理体の断面図である。
【図18】処理部本体の斜視図である。
【図19】逆止弁ケースの断面図である。
【図20】各種ノズルの正面図である。
【図21】(a)前端ノズルブラケットの斜視図である。(b)前端ノズルブラケットの正面図である。(c)前端ノズルブラケットの背面図である。
【図22】従来の自動排尿便処理装置を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0130】
C 処理操作部
D 排泄物収容部
E 洗浄水供給部
F ノズル操作部
G 大便センサー
H 小便センサー
I 着用センサー
J 水位センサー
K 自動排尿便処理装置
11 寝具ベッド
12 装着孔
21 おしめ
22 孔
31 支持枠体
32 底板
33 外周壁
34 ガイド通路
35 ガイド壁
41 尻載せパッド
42 U字状切欠空間
51 排尿便処理体
52 横部材
53 縦部材
55 支持ケース
57 縦ケース
58 カップリング
59 覆体
60 前端ノズルブラケット
64 縁部モール体
66 逆止弁ケース
74 三方弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝具用ベッドの略中央に略矩形状に形成した装着孔と、上面を凹状半円弧に形成し装着孔に嵌着可能とした台座と、凹状半円弧の台座上に左右揺動自在に載置し得るべく外底面を凸状半円弧に形成し、かつ、上面に尻載せパッドを載置可能とした支持枠体と、中央にU字状切欠き空間を形成した尻載せパッドと、尻載せパッドのU字状切欠き空間位置に遊嵌され、尻部や局部の洗浄及び排尿便の外部排出を行うべく構成した排尿便処理体とよりなる
ことを特徴とする自動排尿便処理装置。
【請求項2】
凹状半円弧とした台座上面の先端縁部には、支持枠体の揺動範囲を規制するための調整ストッパー手段を設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の自動排尿便処理装置。
【請求項3】
台座の前壁左右には、挿通孔を穿設し、略山型の固定具の左右自由端を挿入可能とし、固定具により、台座上に揺動自在に載置した支持枠体が揺動時に台座から離脱しないように構成した
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の自動排尿便処理装置。
【請求項4】
支持枠体の内底面は凹状半円弧に形成すると共に、尻載せパッドの外底面は凸状半円弧に形成し、尻載せパッドを支持枠体上面に密着状態で載置しうるべく構成してなる
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動排尿便処理装置。
【請求項5】
排尿便処理体は、内部を舟型とし、底部に設けたノズルからの排水により排尿便を外部へ排出するように構成した横部材と、尻部や局部を洗浄した後に送風により乾燥を行うノズルを前面に設けた縦部材とより略L字形状に構成し、
しかも、排尿便処理体の横部材の終端は、排出パイプを介して貯留タンクと連通連結し、横部材及び縦部材に設けた各種ノズルは、送水や送風の制御を行うべく構成したノズル操作部を介して洗浄水供給部とを連通連結した
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動排尿便処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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