説明

自動改札システム、自動改札機の監視盤および自動改札機制御プログラム

【課題】省電力化が期待できる自動改札システム、自動改札機の監視盤および自動改札機制御プログラムの提供。
【解決手段】複数台の自動改札機1と、前記複数台の自動改札機を号機を単位に制御する監視盤80とを備え、前記監視盤は、通行量を前記号機毎に監視し、前記複数台の自動改札機における直近の一定時間単位の通行量が設定範囲の上限を超えた通行量であるか前記設定範囲の下限に達しない通行量であるかを監視し、前記複数台の自動改札機の各号機の内に直近の一定時間単位の通行量が前記設定範囲の下限に達しない通行量であると判定されるものがある場合に、該当する所定の号機の自動改札機への動作用電源の供給を遮断制御すると共に、前記直近の一定時間単位の通行量が前記設定範囲の上限を超えた通行量であると判定されるものがある場合には、前記動作用電源の供給が遮断制御されている号機の自動改札機に対して前記動作用電源を投入制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、駅務を支援する自動改札システム、自動改札機の監視盤および自動改札機制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
駅舎に設置される自動改札機の省電力化技術として、入出場用の通路に接近する人間が検知されない場合に、入出場の処理を実行する機器類を低消費モードへ移行する技術が存在した。入出場の処理を実行する機器類を低消費モードへ移行することで省電力化を図っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−22974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、より省電力化が期待できる自動改札システム、自動改札機の監視盤および自動改札機制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の自動改札システムは、入場および出場処理を実行する機器により入出場用の通路を形成する複数台の自動改札機と、前記複数台の自動改札機を号機を単位に制御する監視盤とを備え、前記監視盤は、前記通路の通行量を前記号機毎に監視し、前記複数台の自動改札機における直近の一定時間単位の通行量が設定範囲の上限を超えた通行量であるか前記設定範囲の下限に達しない通行量であるかを判定する監視手段と、前記監視手段において前記複数台の自動改札機における直近の一定時間単位の通行量が前記設定範囲の下限に達しない通行量であると判定した場合、前記複数台の自動改札機を対象に所定の号機の前記機器への動作用電源の供給を遮断制御し、前記直近の一定時間単位の通行量が前記設定範囲の上限を超えた通行量であると判定した場合、前記動作用電源の供給が遮断制御されている号機に対して前記動作用電源を投入制御する制御手段と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】実施形態に係る自動改札システムの構成を示すブロック図。
【図2】上記実施形態における自動改札機の構成を示すブロック図。
【図3】上記実施形態における自動改札機の構成を示す斜視図。
【図4】上記実施形態における監視盤の処理手順を示すフローチャート。
【図5】上記実施形態における監視盤の自動改札機制御例を示す動作説明図。
【図6】他の実施形態に係る自動改札システムの構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下図面を参照して実施形態を説明する。なお、この実施形態で扱う自動改札機は、通常、駅構内への入場時に入場処理(改札処理)を行う改札機と、駅構外への出場時に出場処理を行う集札機とを対に、その一方を主機、他方を従機として、互いに駅の改札口などに並置され、主機と従機の間に、通行者(利用者)が通行する通路が形成されるが、ここでは、対をなす主機と従機により1台の自動改札機が構成されているものとする。
【0008】
上記実施形態に係る自動改札システムは、図1に示すように、入場および出場処理を実行する機器により入出場用の通路を形成する複数台の自動改札機1,1,…,1と、この複数台の自動改札機1,1,…,1を機別に識別並びに指定可能にした号機を単位に管理し制御する監視盤80とを備えて構成されている。複数台の自動改札機1,1,…,1と監視盤80はそれぞれ通信回線(LC)を介して相互に回線接続されている。複数台の自動改札機1,1,…,1は、機毎に機に固有の識別番号(機番)を有し、監視盤80からの機番による号機を単位とした指定を可能にしている。以下、一群の自動改札機1,1,…,1について号機を区別するための参照符号として1(1),1(2),…,1(n)の表現を用いる。
【0009】
自動改札機1(1),1(2),…,1(n)は、それぞれ、機に固有の通信インタフェース部(CC)1aと電源装置(PS)1bを有する。通信インタフェース部(CC)1aは通信回線(LC)を介して監視盤80との間で各種の制御信号並びにデータを遣り取り(送受)する。電源装置(PS)は、電源供給路(LA)を介して供給される外部電源(PP)をもとに、図2に示す機の入場および出場処理を実行する機器の各構成要素に動作用電源を供給する。電源装置(PS)は、通信インタフェース部(CC)1aを介して監視盤80から電源供給指令を受けると図2に示す機の各構成要素に動作用電源を供給する。また監視盤80から電源供給停止指令を受けると通信インタフェース部(CC)1aを除く機の各構成要素への動作用電源の供給を待機用電源を含めて停止(遮断)する。なお、上記した通信インタフェース部(CC)1aと電源装置(PS)1bは1台の自動改札機を構成する主機と従機のそれぞれに個別に設けて動作を同期させてもよいし、主機と従機に共通の構成要素として設けてもよい。この自動改札機1(1),1(2),…,1(n)の具体的な構成例については図2および図3を参照して後述する。
【0010】
監視盤80は、最大n台(例えば8台)の自動改札機1(1),1(2),…,1(n)を制御対象に、各号機の入場および出場処理を実行する機器を制御するもので、自動改札システム全体の制御を司るプロセッサを構成するCPU81と、このCPU81の制御プログラムなどを記憶しているROM82と、磁気券あるいは無線カードから読取った情報の記憶、および制御プログラムのバッファとして情報を記憶する記憶手段として用いられるRAM83と、各種情報,スイッチ等をカラー液晶表示器に表示するとともにこのカラー液晶表示器の表面に設けられたタッチパネルから各種操作を行う操作表示部84と、監視対象にある自動改札機1,…との間で情報の伝送を行う伝送制御回路85とを具備して構成されている。ここでは、一例として、n台の自動改札機1(1),1(2),…,1(n)が監視盤80の制御対象におかれるものとする。なお、上記した通信インタフェース部(CC)1aは主機と従機の双方の通信インタフェース機能を実現するもので、ここでは主機側に設けられているものとする。
【0011】
監視盤80は、制御対象におかれた自動改札機1(1),1(2),…,1(n)について、機を単位に、入場および出場処理を実行する機器を駆動制御する動作用電源を待機用電源を含め、供給、遮断制御することで、待機電力消費を抑制した機全体の省電力化を図る省電力モードを実現している。この実施形態では、操作表示部84の操作により、第1の省電力モードと、第2の省電力モードを設定可能にしている。第1の省電力モードは、例えば、自動改札機1(1),1(2),…,1(n)の通行利用頻度、すなわち上記通路の通行量に応じて、号機を単位に上記電源を遮断制御する省電力モードであり、第2の省電力モードは、操作表示部84の操作により、目標とする削減電力(%単位)を予め指定し設定することにより、設定された削減電力をもとに、例えば、通行利用頻度の少ない、すなわち上記通路の通行量が少ない号機に対して上記電源を遮断制御する省電力モードである。これらの各省電力モードは、上記プロセッサを構成するCPU81がRAM83に格納した自動改札機制御プログラム(AP)の処理を実行することにより実現される。
【0012】
上記第1の省電力モードは、監視制御の対象にある、例えばn台の自動改札機1(1),1(2),…,1(n)について、上記通路の通行量を号機毎に監視し、自動改札機1(1),1(2),…,1(n)における直近の一定時間単位の通行量が設定範囲(設定された設定範囲)の上限を超えた通行量であるか上記設定範囲の下限に達しない通行量であるかを判定する監視機能を実現する処理手段(監視手段)と、この監視処理において上記直近の一定時間単位の通行量が上記設定範囲の下限に達しない通行量であると判定した場合、所定の号機の上記機器への動作用電源の供給を遮断制御し、上記直近の一定時間単位の通行量が上記設定範囲の上限を超えた通行量であると判定した場合、上記動作用電源の供給が遮断制御されている号機に対して上記動作用電源を投入制御する処理手段(制御手段)とを具備することにより実現される。
【0013】
上記第2の省電力モードは、監視制御の対象にある、例えばn台の自動改札機1(1),1(2),…,1(n)について、上記通路の通行量を号機毎に監視し、自動改札機1(1),1(2),…,1(n)における直近の一定時間単位の通行量が設定範囲の上限を超えた通行量であるか上記設定範囲の下限に達しない通行量であるかを判定する監視機能を実現する処理手段(監視手段)と、制御対象にある自動改札機1(1),1(2),…,1(n)の消費電力に対し、消費電力の低減目標値を設定する設定手段(操作表示部84の操作手段)と、上記監視手段において自動改札機1(1),1(2),…,1(n)における直近の一定時間単位の通行量が上記設定範囲の下限に達しない通行量であることを判定したとき、上記設定手段により設定された消費電力の低減目標値に従い、自動改札機1(1),1(2),…,1(n)を対象に、省電力に移行する号機を決定し、決定した単数または複数の号機に対して上記機器への動作用電源の供給を遮断制御し、上記直近の一定時間単位の通行量が上記設定範囲の上限を超えた通行量であると判定した場合、上記動作用電源の供給が遮断制御されている号機に対して上記動作用電源を投入制御する処理手段(制御手段)とを具備することにより実現される。上記した各省電力モードの具体的な処理手順については、その一例を図4および図5を参照して後述する。
【0014】
なお、上記各省電力モードにおいて、通行量の設定範囲(適正利用範囲)、および一定時間単位(繰り返し周期単位時間)は、それぞれ、上記自動改札機制御プログラム(AP)に組み込まれたパラメータに拠る設定、あるいは上記操作表示部84の操作手段による設定のいずれであってもよい。また、上記各省電力モードにおいて、電源遮断の対象となる号機の選定については、上記直近の一定時間単位の通行量が少ない号機を電源遮断制御の対象とする選定手段、若しくは予め設定された号機を対象とする選定手段、若しくは操作表示部84の操作により駅務状況に応じリアルタイムで電源遮断制御の対象となる号機を指定する選定手段のいずれであってもよく、またはこれらの各種選定手段から任意の選定手段を操作表示部84の操作で選択し指定することのできる構成としてもよい。
【0015】
自動改札機1(1),1(2),…,1(n)における各号機の機器構成を図2に示している。ここでは各号機において、図1に示した通信インタフェース部1aを構成する伝送制御回路が上記したように主機側に設けられることを除いて主機と従機が略同様の構成であることから、その一方の主機側の構成要素を示している。
【0016】
自動改札機1(1),1(2),…,1(n)における各号機は、それぞれ、制御系統の構成要素として、機全体の制御を司るCPU51、CPU51の制御プログラムなどを記憶しているROM52、磁気券あるいは無線カードから読取った情報の記憶、および、制御プログラムのバッファとして情報を記憶する記憶手段としてのRAM53、磁気券あるいは無線カードの使用が開始された入場駅(あるいは、入場駅に対応した入場駅コード)に対応した運賃情報を記憶している運賃メモリ54、読取ヘッド26,27,30,31を制御する読取回路55、書込ヘッド28,29をそれぞれ制御する書込回路56、振分ゲート38,39をそれぞれ駆動制御するゲート制御回路57、サーマルプリンタ41を制御する印刷制御回路58、入鋏パンチ部42を制御するパンチ制御回路59、シャッタ15を駆動制御するシャッタ制御回路60、表示部6,14をそれぞれ制御する表示制御回路61、検知器9〜13の各検知出力に基づき通行者の通過状況などを検知する人間検知器制御回路62、検知器22〜25の各検知出力に基づき磁気券Pの搬送状況などを検知する乗車券検知回路63、ストアード・フェア・カード(SF)の処理実施するSF処理部40を制御するSF処理制御回路64、搬送路などの搬送系を駆動する搬送用モータ65を駆動制御する搬送制御回路66、ドア7(図3参照)を駆動するドア開閉機構67を制御するドア制御回路68、無線カードとの間でアンテナ5を介して改札情報の送受信を行なう送受信回路69、および、本装置を監視制御する監視盤80との間で情報の伝送を行なう、上記図1に示した通信インタフェース部(CC)1aを構成する伝送制御回路70などから構成されている。上記各構成要素に対して、上記図1に示す電源装置(PS)1bにより動作用電源が供給、遮断制御される。上記図1に示した通信インタフェース部(CC)1aを構成する伝送制御回路70に対しては、上記各構成要素の電源遮断制御に係わらず常時回路動作電源が供給され、電源遮断制御下においても監視盤80との通信路が確保されている。従って、電源遮断制御下においては、伝送制御回路70の回路動作を除き、上記各機器に待機電力を含め、動作用電源の供給が遮断される。この実施形態では、上記動作用電源の供給が遮断されると、上記ドア開閉機構67は、図3に示すドア7を閉鎖状態にしてドア駆動を停止する。
【0017】
上記自動改札機1の外観構成を図3に示している。なお、ここでは対をなす主機と従機のうち、その一方を示している。ここでは、磁気式記録媒体としての磁気券および無線式記録媒体としての無線カード(無線式記録媒体)の両方を併用処理できる自動改札機の外観構成を概略的に示している。自動改札機1は、通常、対をなす主機と従機1組(1台)の号機として駅の改札口などに設置され、主機と従機の間に改札を伴う通行者が通行する通路が形成される。
【0018】
自動改札機本体2の上面の一端部には、たとえば、有効期間や利用区間などの改札情報が磁気エンコード記録された磁気券(磁気式記録媒体:定期券や普通乗車券など)が投入される投入部としての投入口3が設けられ、他端部には、投入口3から受入れた磁気券を排出する取出口4が設けられている。
【0019】
本体2上の投入口3の前方には、通行者が携帯し、たとえば、有効期間や利用区間などの改札情報を無線通信によって送受信する機能を備えた無線カードとの間で改札情報などを送受信するためのアンテナ5が設けられている。本体2上の取出口4の前方には、通行者や駅員などに対して案内を行なうための案内表示部6が設けられている。
【0020】
また、本体2の通路側の側面の両端部には、それぞれ通行者の通行を制御する開閉動作可能なドア7,7が設けられており、通行可否の判定結果に基づき、このドア7,7が開閉制御されるようになっている。この実施形態では、上記したように、上記自動改札機1に対して機器の動作用電源が遮断される(待機電力も遮断される)と、上記ドア7,7が閉鎖状態となる構成としている。
【0021】
本体2の上部には、通行者の通路を定義するための枠状のポール部(枠体)8が立設されている。そして、ポール部8および本体2の各通路側の側面には、通行者検知手段としての複数の光学的なセンサ、たとえば、出口検知器9,10、進入検知器11,12、および、中央通過検知器13がそれぞれ設けられている。出口検知器9は、投入口3の部分を通過する通行者を検知し、出口検知器10は、案内表示部6の部分を通過する通行者を検知し、進入検知器11は、アンテナ5の部分を通過する通行者を検知し、進入検知器12は、取出口4の部分を通過する通行者を検知し、中央通過検知器13は、通路の中央部を通過する通行者を検知するものである。また、ポール部8上には、本装置の動作状態(小児券の投入、無効券の投入や機器の異常など)を表示する状態表示部14が設けられている。
【0022】
なお、この実施形態は、通行可否の判定に連動して開閉するドア7,7を電源遮断制御下において閉鎖状態にしてドア駆動を停止する構成としているが、上記ドア7,7とは別に、上記電源遮断に伴って一意に上記通路の通行を禁止する専用のドア若しくはバーを備えた構成であってもよい。
【0023】
上記自動改札システムにおける省電力モードの具体的な処理手順について、その一例を図4および図5を参照して説明する。この図4に示す省電力モードの処理は、監視盤80の制御プロセッサを構成するCPU81がRAM83に格納した自動改札機制御プログラム(AP)の処理を実行することにより実現される。
【0024】
監視盤80の監視制御下にあるすべての自動改札機1(1),1(2),…,1(n)に対し、入場および出場処理を実行する機器の各構成要素にそれぞれ動作用電源が供給されている状態において、供給監視盤80に設けられた操作表示部84の操作により、例えば上記した第1の省電力モードが設定されると、上記自動改札機制御プログラム(AP)に従う図4に示す省電力モードの処理が実行される。
【0025】
この第1の省電力モードの処理においては、監視制御下にある、n台の自動改札機1(1),1(2),…,1(n)に対して、直近の一定時間単位の各通路の通行量を把握するための計測単位時間(各改札機が通行利用人数を集計するための時間間隔)を定める期間設定電文を送信し(図4ステップS11)、続いて各期間毎の通行量を取得するための計測値(計測単位時間毎の通行利用人数集計データ)を要求する計測値要求電文を送信する(図4ステップS12)。この各電文伝送は、監視盤80の伝送制御回路85から送信された上記各電文が通信回線(LC)を介して各号機の通信インタフェース部(CC)1aを構成する伝送制御回路70に受信されることにより各号機に送達される。
【0026】
上記各電文を受信した各号機は、計測単位時間毎の通行利用人数集計データを計測終了の都度、上記伝送路を経由して監視盤80に送信する。
【0027】
監視盤80は上記各号機から計測単位時間毎の通行利用人数集計データを受信すると(図4ステップS13)、その都度、各号機の通行利用人数集計データを集計し(図4ステップS14)、その全号機の集計データを予め設定された利用人数の設定範囲(上限を混雑、下限を閑散として設定した利用人数の範囲)を示す設定範囲データと比較する(図4ステップS15)。
【0028】
ここで、全号機の集計データが設定範囲データの範囲内に収まっている場合は、計測単位時間毎の通行利用人数が設定範囲にあると判断して、当該計測単位時間単位の監視処理を終了する(図4ステップS15 yes)。
【0029】
また、全号機の集計データが設定範囲データの下限に達していない場合は(図4ステップS16 yes)、計測単位時間毎の通行利用人数が規定範囲の人数以下であると判断して、号機を指定し、当該号機に対して電源供給停止指令電文を送信する(図4ステップS17)。
【0030】
上記電源供給停止指令電文を受信した号機は、検知器9〜13の検知出力をもとに、通路に進入しようとする通行人が居ないことを確認して、図2に示す入場および出場処理を実行する機器の各構成要素に供給されていた動作用電源を待機用電源を含め遮断する。
【0031】
また、全号機の集計データが設定範囲データの上限を超えている場合は(図4ステップS16 no)、計測単位時間毎の通行利用人数が規定範囲の人数を超過していると判断して、上記動作用電源の供給が遮断制御されている号機に対して電源供給指令電文を送信する(図4ステップS18)。
【0032】
上記電源供給指令電文を受信した電源遮断の状態にある号機は、上記電源供給停止指令電文に従い、供給を停止していた上記動作用電源を再び投入制御し、入出場の混雑緩和に寄与する。
【0033】
上記した処理が計測単位時間毎に繰り返し実行される。従って、例えば直近の一定時間単位の通行量が上記設定範囲の下限に達しない号機が複数存在する場合は、その各号機の入場および出場処理を実行する機器への待機用電源を含む動作用電源の供給が遮断されることになり、システムの適正な動作環境を維持しつつ消費電力を効率よく低減できる。
【0034】
なお、電源供給停止指令電文を送信する号機の選定は、上述したように、直近の一定時間単位の通行量が少ない号機を対象に選定する手段、若しくは予め設定された号機を対象に選定する手段、若しくは操作表示部84の操作により駅務状況に応じリアルタイムで電源遮断制御の対象となる号機を指定する選定手段のいずれであってもよく、またはこれらの各選定手段から任意の選定手段を操作表示部84の操作で選択し指定することのできる構成としてもよい。
【0035】
また、第2の省電力モードにおける処理は、目標とする削減電力(%単位)を予め指定し設定しておいて、直近の一定時間単位の通行量が上記設定範囲の下限に達しない利用状態にあるとき、上記設定された削減電力を満たすように、1台または複数台の号機に対して上記電源を遮断制御するもので、それ以外の処理は第1の省電力モードにおける処理手順の場合とほぼ同様であることから、その説明を省略する。
【0036】
上記した監視盤80の省電力モードの処理を基本に、例えば図5に示すようなテーブルを用いた省電力制御が可能となる。ここでは計測単位時間を1時間、動作している自動改札機を6台として、計測単位時間あたりの利用人数が、18000人以上であるとき電源遮断制御対象となる機数を「0」、18001人以下〜10000人以上であるとき電源遮断制御対象となる機数を「1」、10001人以下〜4000人以上であるとき電源遮断制御対象となる機数を「2」、4000人以下であるとき電源遮断制御対象となる機数を「3」と設定した場合において、例えば、初回動作で全号機(6機)の通行利用者が15000人であれば号機1台を電源遮断(電源オフ)にする。次の計測で、14000人であれば現行の範囲内にあるため、電源の遮断、投入制御を行わずに処理を終了する。次の計測で、9000人であれば、さらに号機1台(計2台)を電源遮断(電源オフ)にする。次の計測で、20000人であれば、現在、電源遮断(電源オフ)状態にある各号機を電源投入(電源オン)にする。図5において、動作している改札機毎に、通行利用人数と改札機の台数との表(テーブル)を設定しているのは、例えば、改札機の合計数が2台で10人が利用する場合と、改札機の合計数が5台で10人が利用する場合とでは、改札機全体としての利用状況が異なるため、閾値範囲(適正範囲)をそれぞれ設ける必要があることに由る。なお、上記テーブルの利用人数は操作表示部84の操作手段により設定してもよいし、改札機、計測単位時間あたりの利用人数を計算で求めてもよいし、または、過去の時間帯別の集計データに基づく重み計数を算出して演算制御パラメータを生成し、このパラメータを係数に用いて個々の改札機に対する利用人数を算出し設定してもよい。
【0037】
上記した実施形態は、電源遮断状態にある改札機において、監視盤80との通信路を確保するため、通信インタフェース部(CC)1aを構成する伝送制御回路70に常時、動作用電源を供給する構成であったが、図6に示すように、電源制御に関して、監視盤80と自動改札機1(1),1(2),…,1(n)との間に、号機別に電源オン/オフ(投入/遮断)制御のための専用配線(L1,L2,…,Ln)を設けることで、通信回線の負荷を軽減するとともに、伝送エラーのない信頼性の高い省電力制御を可能にしている。
【0038】
この図6に示す構成は、監視盤80から専用配線(L1,L2,…,Ln)を介して号機を単位に上記した電源供給停止指令電文に相当する所定電位の電源遮断制御信号(例えばDC0V)、または電源供給指令電文に相当する所定電位の電源供給制御信号(例えばDC5V)が伝送される。
【0039】
電源装置(PS)1bには、装置内の外部電源(PP)を導入する電源ライン(LA)に、所定電位(例えば+5V)の制御電圧(ゲート電圧)を制御端子に受けるとスイッチオンとなるスイッチング回路(スイッチング素子)が介挿された状態で設けられている。このスイッチング回路の制御端子に上記専用配線(L)が接続されている。
【0040】
電源装置(PS)1bは、上記専用配線(L)を介して監視盤80から電源遮断制御信号(0V)を受けると、この電源遮断制御信号(0V)により上記スイッチング回路がスイッチオフして、外部電源(PP)の供給路を断ち、入場および出場処理を実行する機器への待機用電源を含む動作用電源の供給を遮断する。また、電源供給制御信号(DC5V)を受けると、内部のスイッチング回路がスイッチオンして、入場および出場処理を実行する機器へ動作用電源が供給される。
【0041】
このような、ワイヤード接続によるハードウェア制御により省電力制御を行うことで、改札機全体の構成要素を対象とした、電源の供給、遮断制御が可能となり、省電力効果を十分に発揮できるとともに、回線負荷を軽減した伝送エラーのない信頼性の高い省電力制御が可能となる。
【0042】
上記した実施形態は、例として提示したもので、発明の範囲を限定することは意図していない。提示した実施形態はその他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0043】
1…自動改札機、1a…通信インタフェース部(CC)、1b…電源装置(PS)、51,81…CPU、70,85…伝送制御回路、80…自動改札機の監視盤、81,52…ROM、82,53…RAM、84…操作表示部、AP…自動改札機制御プログラム、LC…通信回線、PS…電源装置、LA…電源供給路、PP…外部電源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入場および出場処理を実行する機器により入出場用の通路を形成する複数台の自動改札機と、前記複数台の自動改札機を号機を単位に制御する監視盤とを備えた自動改札システムであって、
前記監視盤は、
前記通路の通行量を前記号機毎に監視し、前記複数台の自動改札機における直近の一定時間単位の通行量が設定範囲の上限を超えた通行量であるか前記設定範囲の下限に達しない通行量であるかを判定する監視手段と、
前記監視手段において前記複数台の自動改札機における直近の一定時間単位の通行量が前記設定範囲の下限に達しない通行量であると判定した場合、前記複数台の自動改札機を対象に所定の号機の前記機器への動作用電源の供給を遮断制御し、前記直近の一定時間単位の通行量が前記設定範囲の上限を超えた通行量であると判定した場合、前記動作用電源の供給が遮断制御されている号機に対して前記動作用電源を投入制御する制御手段と、
を具備した自動改札システム。
【請求項2】
入場および出場処理を実行する機器により入出場用の通路を形成する複数台の自動改札機と、前記複数台の自動改札機を号機を単位に制御する監視盤とを備えた自動改札システムであって、
前記監視盤は、
前記通路の通行量を前記号機毎に監視し、前記複数台の自動改札機における直近の一定時間単位の通行量が設定範囲の上限を超えた通行量であるか前記設定範囲の下限に達しない通行量であるかを判定する監視手段と、
前記複数台の自動改札機を対象に消費電力の低減目標値を設定する設定手段と、
前記監視手段において前記複数台の自動改札機における直近の一定時間単位の通行量が前記設定範囲の下限に達しない通行量であることを判定したとき、前記設定手段により設定された消費電力の低減目標値に従い、前記複数台の自動改札機を対象に、省電力に移行する号機を決定し、決定した単数または複数の号機に対して前記機器への動作用電源の供給を遮断制御し、前記直近の一定時間単位の通行量が前記設定範囲の上限を超えた通行量であると判定した場合、前記動作用電源の供給が遮断制御されている号機に対して前記動作用電源を投入制御する制御手段と、
を具備した自動改札システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記直近の一定時間単位の通行量が少ない号機順に前記動作用電源の供給を遮断制御する手段を具備した請求項1または2に記載の自動改札システム。
【請求項4】
前記制御手段は、予め設定された号機を対象に前記動作用電源の供給を遮断制御する手段を具備した請求項1または2に記載の自動改札システム。
【請求項5】
前記動作用電源の供給遮断対象となる号機は、前記通路を通行する通行人の存在を監視するセンサを具備し、前記制御手段は、前記センサの監視信号をもとに前記動作用電源の供給を遮断制御する手段を具備した請求項1乃至4のいずれか1項に記載の自動改札システム。
【請求項6】
前記動作用電源の供給遮断対象となる号機は、前記動作用電源の供給遮断状態において前記通路の通行を禁止するドアを具備した請求項1乃至4のいずれか1項に記載の自動改札システム。
【請求項7】
前記制御手段は、前記動作用電源の供給遮断対象となる号機に対して、前記動作用電源の供給遮断対象となる号機との間にワイヤード接続した専用の制御信号線を介して前記動作用電源の供給を遮断制御する制御信号を送出する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の自動改札システム。
【請求項8】
入場および出場処理を実行する機器により入出場用の通路を形成する複数台の自動改札機を号機を単位に制御する自動改札機の監視盤であって、
前記通路の通行量を前記号機毎に監視し、前記複数台の自動改札機における直近の一定時間単位の通行量が設定範囲の上限を超えた通行量であるか前記設定範囲の下限に達しない通行量であるかを判定する監視手段と、
前記監視手段において前記複数台の自動改札機における直近の一定時間単位の通行量が前記設定範囲の下限に達しない通行量であると判定した場合、前記複数台の自動改札機を対象に所定の号機の前記機器への動作用電源の供給を遮断制御し、前記直近の一定時間単位の通行量が前記設定範囲の上限を超えた通行量であると判定した場合、前記動作用電源の供給が遮断制御されている号機に対して前記動作用電源を投入制御する制御手段と、
を具備した自動改札機の監視盤。
【請求項9】
入場および出場処理を実行する機器により入出場用の通路を形成する複数台の自動改札機を号機を単位に制御する監視盤においてコンピュータを監視および制御装置として機能させるための自動改札機制御プログラムであって、
前記通路の通行量を前記号機毎に監視し、前記複数台の自動改札機における直近の一定時間単位の通行量が設定範囲の上限を超えた通行量であるか前記設定範囲の下限に達しない通行量であるかを判定する監視機能と、
前記監視手段において前記複数台の自動改札機における直近の一定時間単位の通行量が前記設定範囲の下限に達しない通行量であると判定した場合、前記複数台の自動改札機を対象に所定の号機の前記機器への動作用電源の供給を遮断制御し、前記直近の一定時間単位の通行量が前記設定範囲の上限を超えた通行量であると判定した場合、前記動作用電源の供給が遮断制御されている号機に対して前記動作用電源を投入制御する制御機能と、
を前記コンピュータに実現させるための自動改札機制御プログラム。
【請求項10】
前記監視機能は、前記電源遮断制御の対象にある改札機の台数と前記設定範囲との関係を定義したテーブルを有し、
前記動作用電源の遮断、投入制御による稼働機台数の変動に伴い、前記テーブルを参照して前記判定を行う請求項9に記載の自動改札機制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−73372(P2013−73372A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211195(P2011−211195)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】