説明

自動改札機

【課題】改札通路内の利用者の移動を追尾して、その改札通路の通過状態を検知,監視できるようにする。
【解決手段】改札通路内の利用者を検知する人間検知手段と、利用者の所持する情報記録媒体に記録されているデータを基に入出場用の所定の演算処理を行う演算処理手段と、その演算処理手段による所定の演算処理の結果、入出場を許可できると判定されたとき、前記改札通路の通過を許可する通過許可手段と、その通過許可手段により前記改札通路の通過が許可されたとき、利用者がその改札通路を通過することなくその改札通路から退出したことを前記人間検知手段が検知したときに異常事態発生を報知する報知手段とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動改札機に係り、特に、改札通路の通過を許可された利用者が改札通路を確実に通過したか否かを監視・検知できるようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自動改札機は、自動改札機の本体の改札通路側の側面に設けられる透過型人間検知器と、その自動改札機の本体の上部付近に設けられる赤外線を利用した測距式の反射型人間検知器との2種類の人間検知器で改札通路内の利用者(旅客)を検知するように構成されている(特許文献1参照)。
【0003】
自動改札機に用いられる従来の人間検知器を図9を用いてさらに説明すると、この図9は、自動改札機の本体G′を構成する一対の筐体のうち、一方の筐体G1を改札通路P側から見たときの正面図である。この自動改札機の本体G′の入口側(図9において右側)の上面には、磁気券からなる乗車券を投入するための投入口1が設けられているとともに、その投入口1よりも改札通路Pの内側の上面には、情報記録媒体が無線通信機能を備えたICカードからなる非接触カードと交信するためのアンテナA′が設けられている。また、この自動改札機の本体G′の出口側の上面には、利用者へ磁気券を返却するための取出口2が設けられている。さらにこの自動改札機の本体G′の内側には、図示しないが、投入口1から投入された磁気券を取出口2又は集札箱(図示せず)まで搬送するカードハンドラが設けられている。なお、自動改札機の本体G′の中には、カードハンドラの設けられていない非接触カード専用型も存在するが、ここでは、磁気券及び非接触カードの両方を処理することのできる兼用型で説明する。
【0004】
図9中、D1,D2はドアであり、このうちドアD1は改札通路Pの出口側(図9に示す例では左側)に設けられ、ドアD2は改札通路Pの入口側に設けられている。これらドアD1,D2は、CPUを中心に構成される制御器Cによって開閉制御されて利用者の改札通路Pの通過を許可したり、又はその改札通路Pの通過を阻止できるように構成されている。特に改札通路Pの出口側のドアD1は、利用者の所持する情報記録媒体に記憶されているデータ(カードデータ)を基に入出場(入場又は出場を意味している。)用の所定の演算処理の結果により開閉制御されるように構成されている。なお、改札通路Pの入口側のドアD2は、改札通路Pを利用者が逆進してきたとき、すなわち、改札通路Pを出口側から入口側に進入したときに閉じられるとともに、改札機本体G′が稼働停止中に閉じられるように構成されている。
【0005】
図9中、S1〜S6は、光電素子からなる透過型人間検知器であって、自動改札機の本体G′の側面に所定の間隔を保って設けられている。さらに、この人間検知器は、自動改札機の本体G′の上面の改札通路Pと反対側で、その改札通路Pの通過方向に沿って設けられたセンサ取付ボックスB内にそれぞれ設けられている赤外線を利用した測距式の反射型人間検知器S7〜S9によっても構成されている。この反射型人間検知器S7〜S9は、改札通路P内の大人の利用者を検知できるように、改札通路Pの床面から所定高さ以上の物体(利用者)を検知できるように構成されている。したがって、透過型人間検知器S1〜S6及び反射型人間検知器S7〜S9の両方で検知されたときは、その利用者を大人の利用者と判定し、反射型人間検知器S7〜S9で検知されることなく透過型人間検知器器S1〜S6のみで検知されたときは、その利用者を小児(子供)の利用者と判定することができる。
【0006】
上記透過型人間検知器S1〜S6は、改札通路P内への利用者の進入及び進出を検出することができるように構成されている。そして、改札通路Pのほぼ中央部に設けられている透過型人間検知器S3,S4は、他の透過型人間検知器よりも間隔が狭く設けられていることを利用して、これら透過型人間検知器S3,S4の検知順序により利用者の進行方向を検知できるように構成されている。また、上記反射型人間検知器S7〜S9のうち、改札通路Pの中央位置に設けられている反射型人間検知器S8は、無札者(無効券と判定された利用者も含む。)を検知してドアD1を閉じるように検知信号を出力することができるように構成されている。
【0007】
上記自動改札機の本体G′の側面には、利用者に対して音声により所定の案内を行うためのスピーカ3が取り付けられている。また、この自動改札機の本体G′の上面の出口側には、利用者に対して文字により所定の案内を行うための表示画面4が取り付けられている。さらに、そのセンサ取付ボックスBの上面で改札通路Pの出口側には、係員に対して無効券の発生及び利用者が小児である旨を報知するための報知灯Lが設けられている。
【0008】
【特許文献1】特開2003−233845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の自動改札機は、人間検知器を用いて改札通路内の利用者を検知できるように構成されているが、改札通路の通過を許可された利用者がその改札通路を確実に通過したか否かを検知する機能を有していないため、改札通路の通過を許可したデータと、その改札通路を通過した利用者に係るデータとの整合性が得られていないという欠点があった。
【0010】
上記図9の自動改札機の本体G′を用いてさらに説明すると、投入口1に改札通路Pを通過することのできる有効な磁気券からなる情報記録媒体が投入されたとき、又は有効な非接触カードからなる情報記録媒体がアンテナA′にタッチあるいはかざされたときは、制御機Cの図示しないメモリに一つのクレジットのデータが記憶されるように構成されている。すなわち、有効な情報記録媒体のカードデータを基にCPU20で入出場の所定の演算処理が行われると、その結果として改札通路Pを通過できる一つの通行権である一つのクレジットのデータ(フラグ)が記憶されるように構成されている。そして、その生成されたクレジットは、利用者が改札通路Pを通過したときに、つまりその利用者が透過型人間検知器S6で検知されたときにメモリから消去されるように構成されている。
【0011】
ところで、上記クレジットは、メモリ内に所定数記憶されたとき、例えばクレジット数が「2」になったときは改札通路P内に2人の利用者が存在していることを意味しているので、このときは改札通路Pの混雑を防止するために投入口1の図示しないシャッタが閉じられるとともに、アンテナA′における交信が禁止される。
【0012】
他方、有効な情報記録媒体によって生成されたクレジットは、そのクレジット生成時から所定時間経過後に次客処理を可能とするためにメモリから強制的に消去されるように構成されている。すなわち、有効な磁気券からなる情報記録媒体が投入口1に投入されたとき、又は有効な非接触カードからなる情報記録媒体がアンテナA′にタッチあるいはかざされてクレジットが生成されても、利用者が改札通路Pを通過することなくその改札通路Pから退出(退却)したときは、所定時間経過後にクレジットが強制的に消去されて自動改札機の本体G′がリセットされ、次客処理ができるように構成されている。このため、有効な情報記録媒体によって生成されたクレジットと改札通路Pを通過した利用者とは、必ずしも整合したものではなかった。
【0013】
特に上述の不整合の問題は、情報記録媒体が非接触カードやバーコードカードのような非接触媒体の場合に生じやすかった。なぜならば、情報記録媒体が磁気券の場合は、磁気券の使用の際、その磁気券は利用者の手から一旦離れて投入口1から取出口2まで搬送されるので、利用者は少なくとも取出口2のところまで改札通路Pを進入する必要があるが、非接触媒体の場合は、非接触カードを筐体G1の改札通路Pの入口側上面に設けられているアンテナA′にタッチあるいはかざすだけで足りるので、改札通路Pから簡単に退出できるからである。
【0014】
また、近年、チェックイン機等の空港に設けられる自動改札機は、その自動改札機の本体を介して航空機に搭乗する利用者とその利用者の荷物との整合性を図れるようにすることが望まれていた。なぜならば、利用者がその利用者の所持する搭乗券(情報記録媒体)に記録されているデータ(カードデータ)に基づいて荷物を預けた後、その搭乗券を用いて自動改札機の本体を介して入場処理をしたにもかかわらず、改札通路を通過することなく退出したときは、その利用者は入場(搭乗)したとみなされて荷物だけ航空機で運ばれてしまうおそれがあった。
【0015】
そこで、本発明は、上記欠点を解決するためになされたものであって、その目的は、有効な情報記録媒体でクレジットが生成された場合、そのクレジットに係る利用者が確実に改札通路を通過したか否かを監視・検知できるようにした自動改札機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る自動改札機は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、改札通路内の利用者を検知する人間検知手段と、利用者の所持する情報記録媒体に記録されているデータを基に入出場用の所定の演算処理を行う演算処理手段と、その演算処理手段による所定の演算処理の結果、入出場を許可できると判定されたとき、前記改札通路の通過を許可する通過許可手段と、その通過許可手段により前記改札通路の通過が許可されたとき、利用者がその改札通路を通過することなくその改札通路から退出したことを前記人間検知手段が検知したときに異常事態発生を報知する報知手段とからなることを特徴としている。
本発明の請求項2に記載の自動改札機は、人間検出手段が改札通路の上方からその改札通路に向けて所定の検出信号をスキャンしながら照射して検知するものであることを特徴としている。
本発明の請求項3に記載の自動改札機は、人間検出手段が改札通路の上方からその改札通路を撮像して検知するものであることを特徴としている。
本発明の請求項4に記載の自動改札機は、情報記録媒体が無線通信機能を備えたICカードからなる非接触カードであることを特徴としている。
本発明の請求項5に記載の自動改札機は、情報記録媒体が券面にQRコード等のバーコードの印字されたバーコードカードであることを特徴としている。
本発明の請求項6に記載の自動改札機は、自動改札機の本体が空港で使用されるものであることを特徴としている。
本発明の請求項7に記載の自動改札機は、報知手段が異常事態発生に係る情報記録媒体を特定してその自動改札機の本体の設置場所を管理している所定の係員、又はその自動改札機の本体を管理している所定の管理センタに報知するものであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の請求項1に記載の自動改札機は、改札通路内の利用者を検知する人間検知手段と、利用者の所持する情報記録媒体に記録されているデータを基に入出場用の所定の演算処理を行う演算処理手段と、その演算処理手段による所定の演算処理の結果、入出場を許可できると判定されたとき、前記改札通路の通過を許可する通過許可手段と、その通過許可手段により前記改札通路の通過が許可されたとき、利用者がその改札通路を通過することなくその改札通路から退出したことを前記人間検知手段が検知したときに異常事態発生を報知する報知手段とからなるので、有効な情報記録媒体により改札通路を通過できる通行権であるクレジットが生成されたときは、そのクレジットに係る利用者が改札通路を通過しなければ異常事態発生として報知されるから、改札通路から途中で退出した退出者を確実に監視・検知することができる。
本発明の請求項2に記載の自動改札機は、人間検出手段が改札通路の上方からその改札通路に向けて所定の検出信号をスキャンしながら照射して検知するので、改札通路内の利用者を、常時、連続的に検知し、かつ追尾することができる。
本発明の請求項3に記載の自動改札機は、人間検出手段が改札通路の上方からその改札通路を撮像して検知するので、改札通路内の利用者を、常時、連続的に検知し、かつ追尾することができる。
本発明の請求項4に記載の自動改札機は、情報記録媒体が無線通信機能を備えたICカードからなる非接触カードであるとき、クレジット生成後に生じやすい利用者の退出を容易に監視・検知することができる。
本発明の請求項5に記載の自動改札機は、情報記録媒体が券面にQRコード等のバーコードの印字されたバーコードカードであるとき、クレジット生成後に生じやすい利用者の退出を容易に監視・検知することができる。
本発明の請求項6に記載の自動改札機は、自動改札機の本体が空港で使用されたときは、利用者の預けた荷物と入場した利用者(搭乗者)とを整合でき、少なくとも荷物だけが航空機で運ばれるという不都合を未然に防止することができる。
本発明の請求項7に記載の自動改札機は、報知手段が異常事態発生に係る情報記録媒体を特定してその自動改札機の本体の設置場所を管理している所定の係員、又はその自動改札機の本体を管理している所定の管理センタに報知するので、自動改札機の本体の設置場所を管理している所定の係員、又は所定の管理センタでは、情報記録媒体を特定して、すなわち退出した利用者を特定して適切な措置を速やかにとることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る自動改札機の本体(以下、「改札機本体」という。)Gを改札通路P側から見たときの正面図である。この改札機本体Gは、後述する図4(a)に示されるように、改札通路を挟んで構成される一対の筐体G1,G2からなり、この図1は、筐体G1を改札通路P側から見たときの正面図に相当している。
【0019】
なお、この図1に示される符号のうち、前記図9に示される構成要素と同一構成要素には同一符号が用いられている。したがって、これら同一符号については説明が重複するため、新規な構成要素に新たな符号を付して説明する。
【0020】
図1中、Aは筐体G2の改札通路Pの入口側上面に設けられた後述するリーダライタ26のアンテナ部、及びOはそのアンテナ部Aの中央部分に設けられたバーコード読取部である。このアンテナ部Aの中央部分にバーコード読取部Oを設けた情報記録媒体読取機構については、本出願人が特願2005−230328号で提案したものであるから、その詳細な説明はその先の提案に譲るが、この
情報記録媒体読取機構は、後述する図4(a)に平面で示されるように、電波及び光線を通す強化ガラスからなる長方形で、かつ偏平状のカバーを有している。そしてそのカバーの内側(裏側)の周囲には、図示しない無線通信機能を備えたICカードからなる非接触カードと交信するためのループ状のアンテナ部Aが設けられている。
【0021】
上記カバーのループ状を呈するアンテナ部Aの中心部分には、図示しないQRコード等のバーコードの印字(印刷)されたバーコードカードからバーコードを読み取るための発光部及び受光部を備えたバーコード読取部Oが設けられている。この発光部は、バーコード読取部Oにかざされたバーコードカードに対して光線(ビーム光線)を照射できるように構成されているとともに、受光部は、発光部から照射された光線がバーコードカードに当たって反射してきた光線を受光できるように構成されている。そして、この受光された光線のデータに基づいて後述する制御器Cでバーコードカードに印字されている内容が読み取られるように構成されている。
【0022】
図1中、5は、改札通路Pの上方に位置する案内表示板や天井等の構造物(図示の例では天井。以下、構造物を天井で説明する。)に取り付けられた、本発明の人間検知手段に相当する測距式の人間検知器である。この人間検知器5は、周知の測距式の人間検知器と同様に、図示しない発光器から赤外線等からなる本発明の検出信号に相当するビーム光線からなる光線を被検知位置に向けて照射し、その照射した光線が物体(利用者)に当たって反射してきた光線を図示しない受光器で受光し、その受光タイミングから、被検知位置における物体の有無及びその物体の大きさ(利用者の背丈)を検知できるように構成されている。
【0023】
すなわち、この人間検知器5は、天井6に設けられている位置から改札通路Pの床面に向けて光線を照射し、その照射された光線がその床面に当たって反射し再び人間検知器5に受光されるまでの時間と、その床面に利用者が位置しているときの反射した光線が人間検知器5に受光されるまでの時間との差から利用者の有無とその利用者の背丈、つまりその利用者が大人であるか、あるいは小児(子供)であるかを検知できるように構成されている。
【0024】
また、この人間検知器5の光線(ビーム光線)を照射する発光器及び反射光を受光する受光器は、回動自在に構成されているとともに、発光器から照射される光線が後述する図4(a)にジグザグの実線で示されるように、改札通路Pの全床面、その改札通路Pの入口側及びその出口側の床面の所定範囲を走査(スキャン)できるように構成されている。
【0025】
なお、上述の人間検知器5は、ビーム光線からなる光線を照射する光線照射方式としたが、ビーム光線の代わりに超音波を照射する超音波照射方式とすることもできる。また、人間検知器5は、上述のビーム光線や超音波を照射する照射方式に代えて、改札通路Pの全床面、その改札通路Pの入口側及びその出口側の床面の所定範囲を上方から撮像して検知する撮像方式とすることもできる。この撮像方式の場合は、天井6にCCDカメラ等の撮像機器が設けられ、そしてその
撮像機器で撮像された撮像データを解析して、利用者の有無とその利用者が大人であるか、あるいは小児(子供)であるかが検知される。
【0026】
本発明に係る人間検知手段は、光線照射方式、超音波照射方式あるいは撮像方式のいずれの方式でも、改札通路Pの全床面、その改札通路Pの入口側及びその出口側の床面の所定範囲内の利用者を連続して検知し、その利用者を追尾できるように構成されている(後述する図4(a),(b)、図5(a),(b)及び図8(a),(b)参照)。
【0027】
図2は、制御器Cの電気的構成を示すブロック図である。この制御器Cは、CPUを中心に形成される演算部20を有している。この演算部20は、メモリ21に記億されているシステムプログラム及びワーキングデータを用いて所定の演算処理を行えるように構成されている。そして、この演算部20には、図示しないI/O装置を介して従来の改札機本体の制御器と同様に、カードハンドラを駆動制御するカードハンドラドライバ22と、ドアD1,D2のドア駆動機構を駆動制御するドアドライバ23と、バーコード読取部Oを駆動制御するバーコードドライバ24と、人間検知器5を駆動制御する人間検知ドライバ25とが接続されている。またこの演算部20には、非接触カードを処理するためのリーダライタ26も接続されている。このリーダライタ26には、非接触カードと交信を行うためのアンテナ部Aが接続されている。そしてこのアンテナ部Aは、非接触カードとデータ授受を行う機能と、非接触カードに電力を供給するための機能とを有している。なお、この演算部20には、報知灯Lを駆動制御するランプドライバ等も接続されているが、ここでは省略されている。またこの制御器Cは、図示しない通信制御部を介して図示しない管理センタに設けられているホストコンピュータからなる管理装置に接続されている。したがって、この管理装置では、制御器C(改札機本体G)から送られてくるデータに基づいて統括的な管理を行うことができる。
【0028】
以下、改札機本体Gが空港の搭乗に用いられているときの制御動作を図3のフローチャート、図4(a),(b)及び図5(a),(b)の説明図を用いて説明する。今、利用者イが図示しない非接触カードからなる搭乗券をアンテナ部Aにタッチしたとする。このタッチにより搭乗券に記録されているデータ(カードデータ)が読み取られる(ステップ100肯定。以下、ステップを「S」とする。)。そしてその読み取られたデータは、CPU20の入場用の所定の演算処理に供される(S102)。
【0029】
一方、利用者イが改札通路Pの入口側に位置すると、その利用者イは人間検知器5により検知が開始されるとともに、その利用者イの追尾が行われる。すなわち、図4(a)及び図5(a)のジグザグで示される実線は、人間検知器5のスキャン状態を示していて、このスキャンの範囲内の利用者が、常時、監視・検知の対象とされている。また、図4(b)及び図5(b)は、人間検知器5の図示しない受光器の受光した信号を制御器CのCPU20で解析処理した結果を模式的に表したもので、改札通路Pを挟んで示される一対の長方形は、改札機本体Gの一対の筐体G1,G2に相当している。そしてこの一対の長方形間を移動する物体が利用者イに相当している。
【0030】
さて、上述の演算処理の結果、改札通路Pの通過を許可できると判定されたとき(S104肯定)、つまり所定の航空機に搭乗できると判定されたときは、ドアD1が開かれて(改札機本体Gがノーマルオープン型のときはそのまま)、利用者の改札通路Pの通過が許可される。
【0031】
また、上述の演算処理の結果、改札通路Pの通過を許可できないと判定されたときは(S104否定)、ドアD1が閉じられて改札通路Pの通過が阻止されるとともに、スピーカ3及び表示画面4を介して通過拒否の理由、例えば搭乗しようとしている航空機が異なるとか、あるいは未だ搭乗開始時刻が到来していない等の理由が案内報知される(S105)。
【0032】
上述の改札通路Pの通過を許可できると判定されたときは、一つのクレジットがメモリ21に搭乗券の識別データ(搭乗券ID)とともに記憶され、さらにその搭乗券IDが図示しない管理センタの管理装置に送信される。そして人間検知器5により利用者イが改札通路Pを通過したことが検知されると、その通過完了に係るデータが管理センタの管理装置に送信され、その管理装置のメモリ(図示せず)に搭乗券IDを特定して記憶される。また、利用者イが改札通路Pを通過したことが検知されると、改札機本体Gの制御器Cのメモリ21に記憶されているクレジットが消去される(S107)。
【0033】
他方、改札通路Pの通過を許可できると判定されて一つのクレジットが生成されたにもかかわらず、改札通路Pを通過しなかったとき(S106否定、S108肯定)、すなわち、図5(a),(b)に示されるように、人間検知器5により利用者イが改札通路Pから退出(退却)したことが検知されたときは、報知灯Lが赤色点滅点灯して近くの係員に異常事態発生が報知されるとともに、その利用者イに係る搭乗券IDを特定した異常事態発生に係るデータが管理センタの管理装置に送信され、その管理装置のメモリに発生時刻とともに記憶される(S110)。
【0034】
上述の異常事態が発生したときは、図3のフローチャートでは省略されているが、利用者イが搭乗券を用いて荷物を既に預けているとき、その荷物の識別データ(搭乗券ID)と利用者イの搭乗券IDとが照合され、その荷物のみが航空機に積み込まれて運ばれるのを未然に防止することができる。
【0035】
上述の異常事態発生時には、改札機本体GのドアD1が閉じられてその改札機本体Gの使用が禁止され、異常事態に対する係員の適切な処理が終了後に改札機本体Gの図示しない係員処理ユニットを介してリセットされ、次客処理が開始される。このリセット処理によりメモリ21に記憶されていたクレジットは、消去される。
【0036】
図6に示される改札機本体Gは、本発明に係わる人間検知手段をガルバノミラー30で実現したものである。このガルバノミラー30は、筐体G2の上面中央部に設けられていて、図7に示されるように、発光器31から照射されてきたビーム光線を天井6に設けられた反射鏡32に向くように反射させるとともに、その反射鏡32で反射されたビーム光線は、改札通路Pに向くようにその反射鏡32の取付位置が決められている。したがって発光器31から照射されたビーム光線は、図7に一点鎖線で示されるように、ガルバノミラー30及び反射鏡32を介して改札通路Pに向けて照射され、その改札通路P内に利用者イが存在すればその利用者イに照射され、その利用者イが存在しなければ、その照射された光線は、改札通路Pの床面又は改札機本体Gの筐体G1,G2に照射される。
【0037】
反射鏡32から改札通路P側に照射されてきたビーム光線は、物体に照射されたときに反射されるので、その反射された光線(反射光)は、図7に破線で示されるように、反射鏡32及びガルバノミラー30を介して受光器34に受光される。発光器31から照射された光線が受光器34で受光されるタイミングは、ビーム光線が照射される物体の位置によって異なる。すなわち、発光器31から照射されたビーム光線が改札通路P上の物体(利用者イ)に照射されて反射してきた光線が受光器34で受光されるまでの時間は、改札通路Pの床面に反射した光線よりもその改札通路P内の利用者イで反射した光線の方が利用者イの背丈分だけ短くなる。したがって、その時間差により改札通路P内の利用者イを検知することができるとともに、その利用者イが大人の場合は小児よりもその時間がより短くなるので、これを利用して利用者イが大人の利用者であるか小児の利用者であるかを判別することができる。
【0038】
また、改札通路P側に照射されるビーム光線は、ガルバノミラー30のミラー33の回動により改札通路P及びその出入口側が走査(スキャン)され、しかも改札通路P及び改札機本体Gに照射されて反射されてきた光線の時間、すなわち発光器31からビーム光線が発射されてから受光器34で受光されるまでの時間は一定なので、変動する時間の受光位置を追跡することにより、改札通路P内の利用者イを簡単に追尾することができる。
【0039】
図8(a)のジグザグで示される実線は、ガルバノミラー30のビーム光線の走査状態を示したもので、ガルバノミラー30のミラー33により改札通路P及びその改札通路Pの出入口側付近の走査状態を示している。そして図8(b)は、発光器31から発射されたビーム光線のタイミングと、その発射されたビーム光線の反射光を受光器34で受光したタイミングを制御器CのCPU20で処理した結果を模式的に表した説明図である。この図8(b)において黒塗りの長方形は、改札機本体Gの筐体G1,G2に反射した反射光に基づくもので、その映像は固定されている。
【0040】
改札通路Pに利用者イが存在するときは、筐体G1,G2及び改札通路Pの床面に基づく固定された送受光時間と異なる送受光時間が得られるので、これに基づいて図8(b)に黒丸で示されるような利用者イに対応した形が映像として抽出される。しかもこの黒丸で示される映像は、利用者イの移動に伴って移動するので、改札通路P内の利用者を連続して簡単に追尾することができる。
【0041】
したがって、このガルバノミラー30を用いたときも、上述した人間検知器5を用いたときと同様に、クレジット生成後に改札通路Pから退出した利用者を確実に検知することができる。しかも、このガルバノミラー30を用いたときは、天井6等の構造物に反射鏡32を取り付けるだけでよく、改札機本体G外に配線を必要とせず、低コストに人間検知手段を実現することができる。
【0042】
なお、上述の例では、改札機本体Gを空港に適用した例であるが、鉄道、バスあるいは船舶等の他の交通機関、又はイベント会場等の所定の施設の出入口に設けてもよい。特に、上述のように、本発明に係る自動改札機を空港用としたときは、航空機に搭乗する利用者とその航空機に積み込まれるその利用者の荷物とを正確に整合させることができる。
【0043】
また、上述の例では、情報記録媒体として非接触カードの例を示したが、情報記録媒体は、改札機本体Gの投入口1に投入する磁気券であってもよく、あるいは改札機本体Gのバーコード読取部OにかざすQRコード等のバーコードの印字されたバーコードカードであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る改札機本体を改札通路側から見たときの正面図である。
【図2】制御器のブロック図である。
【図3】制御動作を示すフローチャート図である。
【図4】制御動作を示す説明図である。
【図5】制御動作を示す説明図である。
【図6】人間検出手段としてガルバノミラーを用いたときの改札機本体を改札通路側から見たときの正面図である。
【図7】ガルバノミラーの説明図である。
【図8】ガルバノミラーの検知動作を説明する説明図である。
【図9】従来の改札機本体を改札通路側から見たときの正面図である。
【符号の説明】
【0045】
G 改札機本体
G1,G2 筐体
P 改札通路
D1,D2 ドア
L 報知灯
C 制御器
A アンテナ部
O バーコード読取部
1 投入口
2 取出口
3 スピーカ
4 表示画面
5 人間検知器
30 ガルバノミラー
31 発光器
32 反射鏡
33 ミラー
34 受光器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
改札通路内の利用者を検知する人間検知手段と、
利用者の所持する情報記録媒体に記録されているデータを基に入出場用の所定の演算処理を行う演算処理手段と、
前記演算処理手段による所定の演算処理の結果、入出場を許可できると判定されたとき、前記改札通路の通過を許可する通過許可手段と、
前記通過許可手段により前記改札通路の通過が許可されたとき、利用者がその改札通路を通過することなくその改札通路から退出したことを前記人間検知手段が検知したときに異常事態発生を報知する報知手段と、
からなることを特徴とする自動改札機。
【請求項2】
請求項1に記載の自動改札機において、前記人間検出手段は、前記改札通路の上方からその改札通路に向けて所定の検出信号をスキャンしながら照射して検知するものであることを特徴とする自動改札機。
【請求項3】
請求項1に記載の自動改札機において、前記人間検出手段は、前記改札通路の上方からその改札通路を撮像して検知するものであることを特徴とする自動改札機。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の自動改札機において、前記情報記録媒体は、無線通信機能を備えたICカードからなる非接触カードであることを特徴とする自動改札機。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の自動改札機において、前記情報記録媒体は、券面にQRコード等のバーコードの印字されたバーコードカードであることを特徴とする自動改札機。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の自動改札機において、その自動改札機の本体は、空港で使用されるものであることを特徴とする自動改札機。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の自動改札機において、前記報知手段は、異常事態発生に係る情報記録媒体を特定してその自動改札機の本体の設置場所を管理している所定の係員、又はその自動改札機の本体を管理している所定の管理センタに報知するものであることを特徴とする自動改札機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−94687(P2007−94687A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−282258(P2005−282258)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)