自動改札機

【課題】仕様が異なる2つの鉄道事業者の間の乗継改札用自動改札機を製作する際、開発期間を短縮し、製作コストを安価にする。
【解決手段】この自動改札機10は、第1の仕様の鉄道事業者Aに対応してICカード30に対して読取り・書込み処理を行うことが可能であり、かつ第1乗継データ処理手段21および第1通信処理手段22を有する第1のICカード処理部17Aと、第2の仕様の鉄道事業者Bに対応してICカード30に対して読取り・書込み処理を行うことが可能であり、かつ第2乗継データ処理手段21および第2通信処理手段22を有する第2のICカード処理部17Bと、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動改札機に関し、特に、各々仕様が異なるICカードシステムを備えた2つの鉄道事業者の間での乗継改札処理に好適な自動改札機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、2つの鉄道事業者の各々が運営・管理する鉄道の間に設けられた乗継を行うための自動改札機(いわゆる「ワンラッチ改札機」)において、各鉄道事業者で用いられるICカードシステムの仕様が異なる場合、両ICカードシステムの仕様を満足するように1つのICカード処理部を作ることが必要であった。例えば、或る特定の仕様を有するICカードシステムを導入して使用する先発の鉄道事業者が存在する場合において、他の異なる仕様を有するICカードシステムを使用する後発の鉄道事業者との間で上記のような乗継改札用の1台の自動改札機を設ける場合、先行の鉄道事業者の既存の自動改札機のICカード処理部に対して、先発の鉄道事業者のICカードシステムの独自処理に影響を与えることなく後発の鉄道事業者のICカードシステムに対応する機能を付加する改造が必要であった。さらに、後発の鉄道事業者のICカードシステムに対応するための改造であっても、常に先発の鉄道事業者のICカードシステムの機能に不具合が生じていないかについて再度検証を行う必要があった。そのため、従来の乗継改札用の自動改札機のシステム改変は、開発期間とコストが増大するものとなっていた。
上記のごとく、互いにICカードシステムの仕様が異なる2つの鉄道事業者の間に跨る乗継改札用の1台の自動改札機を設ける場合、先発の鉄道事業者用の既存の自動改札機のICカード処理部の処理機能に、後発の鉄道事業者用の異なるICカードの仕様に対応できるように処理機能(ソフトウェア)を追加するようにしていた。この場合には、先発の鉄道事業者用の処理機能も変更または改訂するようにしていた。
【0003】
従来の関連技術として下記の特許文献1〜3が知られている。特許文献1は、運賃の誤収受を防止する多重化判定の技術に関するもので、多重化判定において一部の判定手段に故障等が発生した場合でも装置の稼動を継続させて判定の信頼性を高めた自動改札装置等を開示している。特許文献2は、1人の利用者が複数枚のICカードを同時にアンテナにかざして入出場する場合でも各ICカードの相互認証を正確に行える自動改札機を開示している。特許文献3は、1人の利用者が複数枚のICカードを同時にアンテナにかざして入出場する場合でも当該複数のICカードへの新たなデータの書込みが所定の順序で行える自動改札機を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−4020号公報
【特許文献2】特開2008−171149号公報
【特許文献3】特開2008−123077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
2つの鉄道事業者の各々で仕様が異なるICカードシステムが使用されている場合であって、当該2つの鉄道事業者の間に跨る双方通行可能な1台の自動改札機で乗継改札処理用の自動改札機を製作する場合、通常は、先発の鉄道事業者の既存の自動改札機の1台のICカード処理部に対して後発の鉄道事業者の改札処理機能をソフト的に追加するようにしていた。このため、先発の鉄道事業者用の既存の独自処理機能に影響を与えないという設計、その機能を劣化させないという設計、再検証を行う必要性等が原因となって、開発期間が長くなり、改変コストが非常に高いものになっていた。
このことは、2つの鉄道事業者の間での乗継改札用の自動改札機を新規に製作する場合にも、通常的には、当該自動改札機に1台のICカード処理部を備える構成を採用していたため、上記と同じような問題が生じていた。
【0006】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、仕様が異なるICカードシステムを使用する2つの鉄道事業者の間に双方通行可能な乗継改札用自動改札機を製作する際、開発期間を短縮でき、製作コストを安価にできる自動改札機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る自動改札機は、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
【0008】
第1の自動改札機(請求項1に対応)は、
仕様が異なる2つの鉄道事業者を跨って使用するICカードに対応可能であり、2つの鉄道事業者のそれぞれに対応する2つのアンテナを備え、かつ乗継処理を行える処理部を備えた自動改札機であって、
第1の仕様の鉄道事業者に対応してICカードに対して読取り・書込み処理を行うことが可能であり、かつ第1乗継データ処理手段および第1通信処理手段を有する第1のICカード処理部と、
第2の仕様の鉄道事業者に対応してICカードに対して読取り・書込み処理を行うことが可能であり、かつ第2乗継データ処理手段および第2通信処理手段を有する第2のICカード処理部と、を備え、
第1および第2の乗継データ処理手段のうち、最初に、乗継を行う利用者の移動方向に応じたいずれか一方の乗継データ処理手段が利用者のICカードの記録エリアから先の入場時の情報を読取り、この読取り情報に基づき出場時の書込み情報を生成し、読取り情報と出場時の書込み情報を内部留保処理し、次に、第1および第2の通信処理手段による情報の送受に基づいて、他方の乗継データ処理手段が出場時に続く後の入場時の書込み情報を生成して内部留保処理し、最終的な後の入場時の書込み情報をICカードの記録エリアに書き込むように構成されている。
【0009】
上記の自動改札機では、仕様が異なる2つの鉄道事業者を跨って使用するICカードに対応可能に構成され、かつ1台の機械で2つの鉄道事業者の間での乗継処理を行えるように構成された自動改札機を実現するものであり、或る鉄道事業者が設置した既存の自動改札機を後付けの仕組みを組み込むことにより他の鉄道事業者との間で乗継を行えるように改変する場合、あるいは新規に2つの鉄道事業者の間で乗継処理機能を有する自動改札機を構築する場合に適用することができる。構成上、1台のICカード処理部に機能を盛り込むのではなく、第1の仕様の鉄道事業者に対応しICカードに対して読取り・書込み処理を行うICカード処理部、第2の仕様の鉄道事業者に対応しICカードに対して読取り・書込み処理を行うICカード処理部の2台のICカード処理部を設け、2台のICカード処理部で情報送受の通信を行う構成として、ICカードの記録エリアに関してそれぞれ1回の読取りおよび書込みよって乗継処理(出場時の読取り、入場時の書込み)を短時間で処理を行うように構成されている。
【0010】
第2の自動改札機(請求項2に対応)は、上記の構成において、好ましくは、2つのアンテナの各出力端は第1および第2のICカード処理部の各々に接続されていることを特徴としている。
【0011】
第3の自動改札機(請求項3に対応)は、上記の構成において、好ましくは、2つのアンテナの各出力端は、既存の第2のICカード処理部に対して後付けで追加された第1のICカード処理部に接続されていることを特徴とする。
【0012】
第4の自動改札機(請求項4に対応)は、上記の構成において、好ましくは、第1および第2のICカード処理部と2つのアンテナとの間に利用者の移動方向を判断する判断用モジュールを設けたことを特徴とする。
【0013】
第5の自動改札機(請求項5に対応)は、上記の構成において、好ましくは、乗継時における出場処理とこれに続く後の入場処理に関するICカードの記録エリアからの読取り動作とICカードの記録エリアへの書込み動作はそれぞれ一度で実行されることを特徴とする。
【0014】
第6の自動改札機(請求項6に対応)は、上記の構成において、好ましくは、記録エリアはICカードの記憶部に複数設けられ、最終的な後の入場時の書込み情報を記録エリアに書き込む際、複数の記録エリアの少なくとも一部が書き換えられ、かつ最終的に書き換えられない記録エリアの情報は読取り時の情報がそのまま維持されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る自動改札機によれば、仕様が異なる2つの鉄道事業者を跨って使用するICカードに対応可能であり、2つの鉄道事業者のそれぞれに対応する2つのアンテナを備え、かつ乗継処理を行える処理部を備えるものであって、さらに第1の鉄道事業者用のICカード処理部と第2の鉄道事業者用のICカード処理部とを備え、2つのICカード処理部は相互にデータ送受を行う構成を有し、使用されたICカードに対する「出場処理」と「入場処理」を、内部処理の関係に基づきそれぞれ1回の読取りおよび書込みの処理で行えるようにしたため、改変作業等の負担を軽減し、開発期間を短縮し、試験点数を削減し、コストを低減し、保守性を向上させると共に全体の品質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る自動改札機の外観を概略的に示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係る自動改札機の内部構成を示すブロック図である。
【図3】2台のICカード処理部の各々の内部構成を示すブロック図である。
【図4】ICカードの内部構成を示すブロック図である。
【図5】自動改札機の2台のICカード処理部で実施される乗継処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】ICカードのメモリの記録エリアの遷移状態を説明する図である。
【図7】自動改札機の内部構成の他の実施形態を示すブロック図である。
【図8】自動改札機の内部構成を他の実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
図1に示すように、本実施形態に係る自動改札機10は、平行に並べて設置された2台の改札機本体10A,10Bによって構成される。改札機本体10A,10Bのそれぞれは基本的に同じ外観および構造を有し、それらの間に改札通路11が形成される。改札通路11に対して、改札機本体10A,10Bは通路両側の壁部を形成する。改札通路11は、両側に開口部を備えて双方向に通行可能な通路であり、利用者(旅客)の移動方向に応じて入口および出口が決定される。入口側になるべき箇所の上面にはICカードタッチ部12が設けられ、出口側になるべき箇所の壁内面には開閉自在なドア13が設けられている。自動改札機10は、改札通路11の両側に位置する2台の改札機本体10A,10Bを一組として、1台の自動改札機として構成される。当該1台の自動改札機10は、乗継処理用の自動改札機として、鉄道事業者Aの運営管理領域と鉄道事業者Bの運営管理領域との間に跨ぐように設置されている。図1において、破線14は、2つの鉄道事業者A,Bの各々の運営管理領域を分ける境界線を概念的に示している。
【0019】
ここで、上記の2つの鉄道事業者A,Bはそれぞれ独自にICカードシステムを運営しており、かつ鉄道事業者AのICカードシステムと鉄道事業者BのICカードシステムとは仕様が異なるものであるとする。そして、上記の自動改札機10は、ICカードシステムの仕様が異なる2つの鉄道事業者A,Bを跨って使用することができるICカードに対応可能となるように構成されている。
【0020】
自動改札機10の内部には、電子・電気回路要素として、図2に示すように、2つのアンテナ15A,15Bと処理制御部16とが設けられている。2つのアンテナ15A,15Bは上記のICカードタッチ部12の内部に配置されている。アンテナ15Aは鉄道事業者AのICカードシステムに対応して設けられたアンテナであり、アンテナ15Bは鉄道事業者BのICカードシステムに対応して設けられたアンテナである。処理制御部16は、自動改札機10における入力部(ICカードタッチ部等)、出力部(表示部等)、および可動部(ドア等)の各動作を処理・制御する機能を有している。この処理制御部16の内部には、特に本発明に関連する要素として、2つのICカード処理部17A,17Bが設けられている。ICカード処理部17Aは鉄道事業者AのICカードシステムのみに対応して設けられた処理部であり、ICカード処理部17Bは鉄道事業者BのICカードシステムのみに対応して設けられた処理部である。この実施形態の構成では、上記の2つのアンテナ15A,15Bの各出力線は、処理制御部16内の2つのICカード処理部17A,17Bの各入力端に接続されている。また2つのICカード処理部17A,17Bは相互に通信ができるように信号線で接続されている。従って、利用者がICカードをICタッチ部12にタッチして改札通路11を移動するとき、2つのアンテナ15A,15Bで受信された信号は2つのICカード処理部17A,17Bのいずれにも入力される。ICカード処理部17A,17Bでは、受信した信号に基づいて、仕様が対応するいずれかのICカード処理部が処理動作を開始する。自動改札機10の改札通路11で、鉄道事業者A側から鉄道事業者B側へ移動するとき、または、鉄道事業者B側から鉄道事業者A側へ移動するときでは、最初の状態での仕様が異なるので、移動方向に応じて、換言すれば仕様に応じて、ICカードに対して、乗継処理(出場時での読取り処理動作、入場時での書込み処理動作)に最初に対応するICカード処理部が決定される。
【0021】
上記の乗継用の自動改札機10では、上記のごとくハードウェア的に分離した2つのICカード処理部17A,17Bを設けるように構成している。このため、互いに他方の鉄道事業者側のシステムに影響を与えない構成となっている。例えば、予め設置されていた既存の鉄道事業者A用の自動改札機に対して鉄道事業者Bとの間の乗継処理を行えるようにするにあたって、既存のICカード処理部17Aに対してハードウェア的に分離されたICカード処理部17Bを追加することにより対応できる。このため、鉄道事業者A,Bの乗継用の1台の自動改札機10の作り込みに関して、鉄道事業者A,Bのそれぞれの一般的な駅からの移植で済むことになる。さらに鉄道事業者A,Bの間で新規に乗継用の自動改札機10を製作・設置する場合にも、2台のICカード処理部17A,17Bを設ける構成によって同様な効果を発揮させることができる。
【0022】
ICカード処理部17A,17Bは、図3に示すように、内部の機能部の構成として、それぞれ、乗継データ処理手段21と通信処理手段22を備えている。ICカード処理部17A,17Bは、ハードウェア的にはマイクロプロセッサ(CPU等を含む)とメモリ(ROM等)によって構成されており、当該メモリに、少なくとも、通常的な改札処理プログラムと、乗継データ処理プログラムと、通信処理プログラムとが保存されている。当該マイクロプロセッサにおいて当該乗継データ処理プログラムを実行することにより上記の乗継データ処理手段21が機能的に実現され、当該通信処理プログラムを実行することにより上記の通信処理手段22が機能的に実現される。
【0023】
なお改札処理プログラムに基づき実現される改札処理手段の図示は省略される。本実施形態に係る自動改札機10は、前述した通り、乗継処理機能を装備した自動改札機として、鉄道事業者Aの運営管理領域と鉄道事業者Bの運営管理領域との間に跨ぐように設置されているものであるから、改札処理に関しては乗継処理の一部に含まれる要素という観点で説明する。1台の自動改札機10によって乗継処理を行うためには、自動改札機10の入口に利用者が入ってそのICカードをかざすことにより、使用されたICカードのメモリの記録エリアに記載された情報を全て読取り、次に、最初に乗継前のICカードシステム(例えば鉄道事業者A用のICカードシステム)に関して「出場処理」を行い、その後に乗継後のICカードシステム(例えば鉄道事業者B用のICカードシステム)に関して「入場処理」を行い、最後に使用された上記のICカードのメモリの記録エリアに最終的な情報の書込みを行う。読取りの動作は最初の一度(1回)であり、書込みの動作は最後の一度(1回)である。それらの間においては、記録エリアに係るデータについてICカードの記録エリアに対する実際の読取りや書込みは行われず、内部的にデータを留保・保存する処理(マージ(merge)処理)が行われる。
【0024】
自動改札機10の通行時に使用されるICカード30の内部構成は、非接触無線ICタグであり、図4に示されるように、データ処理部31とメモリ32と通信部33を備えている。メモリ32の中には複数(例えば7つ)の記録エリア34を有した領域35が設けられている。複数の記録エリア34の各々には、ICカードシステムの仕様に応じたデータの記録が行われる。このICカード30は、ICカードシステムの仕様が異なる2つの鉄道事業者A,Bを跨って使用することができるものである。
【0025】
上記の構成を有する自動改札機10での乗継処理の流れについて図5を参照して説明する。自動改札機10での乗継処理の動作は、基本的に独立した2台のICカード処理部17A,17Bの間の通連係動作で実行され、特に各々の乗継データ処理手段21が通信処理手段22で情報を送受して連係動作を行うことに基づいて実行される。
【0026】
図5において、最初の判断ステップS11では、自動改札機10の改札機本体10A,10BのいずれかのICカードタッチ部12に対してICカード30がかざされたか否かが判断される。判断ステップS11でYESのときには次のステップS12に移行し、NOのときには判断ステップS11が反復される。なお、自動改札機10で使用されるICカード30は、前述した通り、ICカードシステムの仕様が異なる2つの鉄道事業者A,Bを跨って使用することができるICカードである。
【0027】
ステップS12では、対応する適宜ないずれかのICカード処理部17A,17Bで、ICカードタッチ部12にかざされたICカード30の読取り処理が実行される。このICカードの読取り処理では、ICカード30のメモリ32の複数の記録エリア34の全てが読み取られる。この実施形態の場合には、図6の(1)に示されるように、例えば7つの記録エリア34があり、これらの7つの記録エリア34が全て読み取られる。斜線で示した箇所は読み取られた記録エリアを示している。読み取られた記録エリア34の情報は、対応する適宜ないずれかのICカード処理部17A,17Bのメモリに保存される。この乗継処理では最初の1回の読取り処理で、読取り動作を完了することができる。
【0028】
ステップS12の処理の後、次の判断ステップS13が実行される。判断ステップS13では、読み取った記録エリア34の情報に基づいて、ICカードタッチ部12にICカード30をかざした利用者の改札通路11における移動方向がいずれの方向であるかを判断する。すなわち、鉄道事業者A側から鉄道事業者B側への移動(A→B)であるか、または鉄道事業者B側から鉄道事業者A側への移動(B→A)であるか、を判断する。鉄道事業者A側から鉄道事業者B側への移動(A→B)である場合には「YES」と判断され、鉄道事業者B側から鉄道事業者A側への移動(B→A)である場合には「NO」であると判断される。判断ステップS13による判断処理は、2つのICカード処理部17A,17Bのうちいずれかで実行される。通常的には、改札機本体10A,10BのうちのいずれのICカードタッチ部12でICカード30に感応したかに基づいて、判断するICカード処理部が自動的に決められる。
【0029】
判断ステップS13でYESである場合には、ステップS21に移行し、その後、鉄道事業者A側で出場処理が行われ、鉄道事業者B側で入場処理が行われる。これにより自動改札機10においてICカード30を用いて鉄道事業者A側から鉄道事業者B側への乗継処理が実行される。判断ステップS13でNOである場合には、ステップS31に移行し、その後、鉄道事業者B側で出場処理が行われ、鉄道事業者A側で入場処理が行われる。これにより自動改札機10においてICカード30を用いて鉄道事業者B側から鉄道事業者A側への乗継処理が実行される。
【0030】
ステップS21〜S24に従って鉄道事業者A側から鉄道事業者B側への乗継処理を説明する。併せて、図6を参照してこのときのICカード30の領域35における7つの記録エリア34での記録内容の遷移状態を説明する。
【0031】
ステップS21では、この場合には鉄道事業者Aから鉄道事業者Bへの乗継であるので、鉄道事業者Aに対応するICカード処理部17Aにおいて「出場処理」が実行される。この出場処理では、ICカード処理部17Aで「出場時の書込み情報」が内部的に作り出され、そのメモリに保存される。「出場時の書込み情報」の内容を図6の(2)に示す。図6の(2)において領域35でドットで示された5つの記録エリア34が「出場時の書込み情報」を概念的に示している。この「出場時の書込み情報」は実際にドットで示された5つの記録エリア34に書き込まれる訳ではなく、内部的に作り出され、メモリに留保・保存される。また図6の(2)で示した空白の2つの記録エリア34については、「出場時の書込み情報」の対象の記録エリアになっていないことを意味している。これらの空白の2つの記録エリア34には、実際には、最初に読み取られた情報がそのままの状態で記録されている。なお、この「出場時の書込み情報」は鉄道事業者AのICカードシステム側には送信され、使用されたICカード30の使用情報として管理される。
【0032】
次のステップS22では、ICカード処理部17A(その乗継データ処理手段21)で内部処理されたデータが、通信処理手段22を介してICカード処理部17B(その乗継データ処理手段21)に送信される。このステップS22での処理内容は、鉄道事業者B側のICカード処理部17Bにとっては「入場時のインプット」となる。すなわち鉄道事業者BのICカード処理部17Bにとっては、出場処理がなされた後のICカード30の読取り情報を取得することに相当する。「入場時のインプット」に係るデータの状態を図6の(3)に示す。領域35における7つの記録エリア34の状態は、ドットで示された5つの記録エリア34の情報(「出場時の書込み情報」)と、斜線で示された2つの記録エリア34の情報(「読取り情報」)とから成っている。
【0033】
ステップS23では、鉄道事業者Bに対応するICカード処理部17Bにおいて「入場処理」が実行される。この入場処理では、ICカード処理部17Bで「入場時の書込み情報」が内部的に作り出され、そのメモリに保存される。「入場時の書込み情報」の内容を図6の(4)に示す。図6の(4)において領域35でメッシュで示された4つの記録エリア34が「入場時の書込み情報」を概念的に示している。この「入場時の書込み情報」は実際にメッシュで示された4つの記録エリア34に書き込まれる訳ではなく、内部的に作り出され、メモリに留保・保存される。また図6の(4)で示した空白の4つの記録エリア34については、「入場時の書込み情報」の対象の記録エリアになっていないことを意味している。これらの空白の3つの記録エリア34には、実際には、最初に読み取られた情報がそのままの状態で記録されている。なお、この「入場時の書込み情報」は鉄道事業者BのICカードシステム側には送信され、使用されたICカード30の使用情報として管理される。
【0034】
次にはICカード処理部17BでステップS24が実行される。ステップS24では、ICカード処理部17A(乗継データ処理手段21)での内部処理で得られたデータ(ステップS21で得られた図6(2)で示した「出場時の書込み情報」)と、ICカード処理部17B(乗継データ処理手段21)での内部処理で得られたデータ(ステップS23で得られた図6(4)で示した「入場時の書込み情報」)とを内部的に取得して処理し、「最終的な書込み情報」が作成され、そのメモリに保存される。「最終的な書込み情報」の内容を図6の(5)に示す。図6の(5)において、領域35における7つの記録エリア34の状態は、メッシュで示された4つの記録エリア34の情報(「入場時の書込み情報」)と、ドットで示された2つの記録エリア34の情報(「出場時の書込み情報」)と、空白の1つの記録エリア34の情報(最初の「読取り情報」であって書込み指示がないもの)とから成っている。
【0035】
最終的なステップS41では、図6の(5)で示された「最終的な書込み情報」がICカード30のメモリの領域35における6つの記録エリア34に書き込まれる。書き込まれる記録エリア34は、メッシュで示された4つの記録エリア34の情報(「入場時の書込み情報」)と、ドットで示された2つの記録エリア34の情報(「出場時の書込み情報」)である。空白の1つの記録エリア34では、最初の「読取り情報」が保持されており、書込み指示はなく、書込みは行われない。こうしてICカード30に対して1回の書込み処理で乗継処理を完了することができる。
【0036】
自動改札機10における乗継処理では、ICカード30に対して、一度の読取り動作によって鉄道事業者A側のICカードシステムにおける「出場処理」と鉄道事業者B側のICカードシステムにおける「入場処理」を行うことができ、最終的な結果(「最終的な書込み情報」)を1回で書き込むことができる。
【0037】
次に、判断ステップS13でNOであるときには、ステップS31〜S34が実行される。ステップS31〜S34に従って鉄道事業者B側から鉄道事業者A側への乗継処理が実行される。ステップS31〜S34に基づく鉄道事業者B側から鉄道事業者A側への乗継処理の説明は、ICカード処理部17AとICカード処理部17Bを入れ替えるだけで、ステップS31〜S34がそれぞれ前述したステップS21〜S34に対応して実質的に同じ処理機能を有しているので、前述したステップS21〜S24の説明を援用し、重複した説明を省略する。
【0038】
上記の乗継用の自動改札機10によれば、ICカードシステムの仕様の異なる鉄道事業者A,Bのそれぞれに対応するICカード処理部17A,17Bを独立に設け、それらの間で不適切な影響を与えることなく、それらの間で連係を取りながら1台の自動改札機で迅速に乗継データの処理を行えるようにしたため、開発が容易で、開発コストを安価にすることができ、試験点数を削減でき、保守性を向上することができる。これにより、乗継用自動改札機の全体の品質向上とコスト削減に貢献することができる。
【0039】
図7に自動改札機の内部構成の他の実施形態を示す。この実施形態の構成では、自動改札機10の内部において、2つのアンテナ15A,15Bの各出力線が、処理制御部16内の2つのICカード処理部17A,17Bのうちの例えば後付けされたICカード処理部17Aの入力端のみに接続されている。そして2つのICカード処理部17A,17Bの間は相互に通信が行えるように信号線で接続されている。この構成によれば、ICカードタッチ部12にICカード30がかざされたとき、アンテナ15A,15Bでの受信信号はICカード処理部17Bに送られて前述した乗継処理が実行される。こうしてICカード処理部17Bが優先的に動作する。
【0040】
さらに図8に自動改札機の内部構成の他の実施形態を示す。この実施形態の構成では、2つのアンテナ15A,15Bと2つのICカード処理部17A,17Bの間に判断用モジュール41を設けるようにしている。この構成によれば、当該判断用モジュール41によって前述した判断ステップS13に到るまでのプロセスを実行させるようにする。これによってICカード処理部17A,17Bの改変負担、処理負担を軽減することができ、コストを低減することができる。
【0041】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明に係る自動改札機は、ICカードシステムの仕様が異なる2つの鉄道事業者の間の乗継処理用の自動改札機として利用され、1台の自動改札機において乗継における最初の「出場処理」とその後の「入場処理」を迅速に実行する機械として利用される。
【符号の説明】
【0043】
10 自動改札機
10A,10B 改札機本体
11 改札通路
12 ICカードタッチ部
13 ドア
15A,15B アンテナ
16 処理制御部
17A,17B ICカード処理部
21 乗継データ処理手段
22 通信処理手段
30 ICカード
31 データ処理部
32 メモリ
33 通信部
34 記録エリア
35 領域
41 判断用モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕様が異なる2つの鉄道事業者を跨って使用するICカードに対応可能であり、前記2つの鉄道事業者のそれぞれに対応する2つのアンテナを備え、かつ乗継処理を行える処理部を備えた自動改札機であって、
第1の仕様の前記鉄道事業者に対応して前記ICカードに対して読取り・書込み処理を行うことが可能であり、かつ第1乗継データ処理手段および第1通信処理手段を有する第1のICカード処理部と、
第2の仕様の前記鉄道事業者に対応して前記ICカードに対して読取り・書込み処理を行うことが可能であり、かつ第2乗継データ処理手段および第2通信処理手段を有する第2のICカード処理部と、を備え、
前記の第1および第2の乗継データ処理手段のうち、最初に、乗継を行う利用者の移動方向に応じたいずれか一方の乗継データ処理手段が前記利用者のICカードの記録エリアから先の入場時の情報を読取り、この読取り情報に基づき出場時の書込み情報を生成し、前記読取り情報と前記出場時の書込み情報を内部留保処理し、次に、前記の第1および第2の通信処理手段による情報の送受に基づいて、他方の乗継データ処理手段が前記出場時に続く後の入場時の書込み情報を生成して内部留保処理し、最終的な前記後の入場時の書込み情報を前記ICカードの前記記録エリアに書き込むように構成されることを特徴とする自動改札機。
【請求項2】
前記2つのアンテナの各出力端は前記の第1および第2のICカード処理部の各々に接続されていることを特徴とする請求項1記載の自動改札機。
【請求項3】
前記2つのアンテナの各出力端は、既存の前記第2のICカード処理部に対して後付けで追加された前記第1のICカード処理部に接続されていることを特徴とする請求項1記載の自動改札機。
【請求項4】
前記の第1および第2のICカード処理部と前記2つのアンテナとの間に前記利用者の前記移動方向を判断する判断用モジュールを設けたことを特徴とする請求項2記載の自動改札機。
【請求項5】
乗継時における出場処理とこれに続く後の入場処理に関する前記ICカードの前記記録エリアからの読取り動作と前記ICカードの前記記録エリアへの書込み動作はそれぞれ一度で実行されることを特徴とする請求項1記載の自動改札機。
【請求項6】
前記記録エリアは前記ICカードの記憶部に複数設けられ、最終的な前記後の入場時の書込み情報を前記記録エリアに書き込む際、複数の前記記録エリアの少なくとも一部が書き換えられ、かつ最終的に書き換えられない前記記録エリアの情報は読取り時の情報がそのまま維持されることを特徴とする請求項1記載の自動改札機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−97525(P2013−97525A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238893(P2011−238893)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】