説明

自動改札装置

【課題】利用客の進行状況に合せて表示画面の情報を進行方向へスライド移動表示する自動改札装置を提供するものである。
【解決手段】実施の形態によれば、利用客の通行位置を検知する位置検知センサ群11〜36と、装置本体上部に所定距離を隔てて設置される複数の案内表示部8a,8bと、利用客の通行位置と表示切替位置との関係を規定する表示切替位置記憶手段と、位置検知センサ群の出力変化から利用客の通行を検知した後、受付け媒体の改札処理に基づき、利用客の案内情報を上流側案内表示部8aに表示する受付案内表示手段51aと、位置検知センサ群の出力から利用客の表示切替位置通過を判断する表示切替位置判断手段51bと、表示切替位置を通過したとき、上流側案内表示部の案内情報を、下流側案内表示部8bにスライド移動表示するスライド移動案内表示手段51cとを備えた自動改札装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、自動改札装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道などの交通機関の各駅に設置される自動改札装置は、使い始めて数十年になるが、その間に切符から磁気カード、ICカードの利用へと移行し、近年では大半の利用客がICカードを利用するようになっている。そのため、利用客は支払った後の残額等の確認のために案内表示の重要性が高まっている。
【0003】
現在の一般的な自動改札装置は、装置本体上面部の1個所または2個所に案内表示部が設けられ、これら案内表示部の表示画面に利用客の支払い金額、残額及び必要な案内情報等を表示している。
【0004】
しかしながら、1個所に案内表示部を設けた自動改札装置では、利用客の歩行速度や服装などにより一瞬しか表示画面の案内情報を見ることができない。そのため、利用客は、改札通路内で立ち止まって案内情報を確認するか、あるいは通行速度を下げて流し読み程度で案内情報を確認するしかない。
【0005】
しかし、利用客が改札通路の途中で急に立ち止まることは、後続利用客が先行利用客に対して衝突する等で非常に危険である。また、先行利用客が立ち止まり、あるいは通行速度を下げた場合、改札効率が低下し、ひいては各駅に設置される自動改札装置のサービスの低下にも繋がる。
【0006】
また、2個所に案内表示部を設けた自動改札装置では、出口側(下流側)の案内表示部には先行利用客の案内情報を表示し、入口側(上流側)の案内表示部には後続利用客の案内情報を表示している。
【0007】
しかし、以上のような自動改札装置では、先行利用客が改札通路から出たことを条件とし、入口側の案内表示部の案内情報を出口側案内表示部に表示する構成となっている。すなわち、先行利用客優先のもとに案内情報の切替えを行っている。
【0008】
その結果、先行利用客の歩行速度、間隔、位置検知センサの検知反応速度等により、先行利用客の出口通過検知が遅くなったり、改札から出たことを検知できない場合がある。
【0009】
このような場合、出口側案内表示部の表示画面の案内情報を更新できないとか、あるいは先行利用客が改札出口から出たとしても、後続利用客が自身の案内情報を確認できなくなる状態が発生する。その結果、後続利用客のサービスの低下に繋がる。
【0010】
また、先行利用客が改札から出たことを検知できない場合、出口側案内表示部には先行利用客の案内情報がそのまま表示された状態となる。その結果、後続利用客は、表示中の先行利用客の案内情報を見ることが可能となり、プライバシーの保護に欠ける問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−31290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、利用客の進行状況に合わせて表示画面の情報を進行方向へスライド移動表示する自動改札装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、実施形態の自動改札装置は、装置本体の改札通路に沿う方向に所定間隔で配列された利用客の通行位置を検知する位置検知センサ群と、前記装置本体の上部に所定の距離を隔てて設置される複数の案内表示部と、利用客の通行位置と表示切替位置との関係を規定する表示切替位置記憶手段と、前記位置検知センサ群の出力の変化から利用客通行を検知すると、媒体の記録情報の改札処理に基づき、利用客に関する案内情報を前記装置本体の上流側案内表示部に表示する受付案内表示手段と、前記位置検知センサ群の出力変化から利用客が前記表示切替位置を通過したかを判断する表示切替位置判断手段と、表示切替位置を通過したと判断したとき、前記上流側の案内表示部の案内情報を、前記下流側に設置される案内表示部にスライド移動させて表示するスライド移動案内表示手段とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】各実施の形態に係る自動改札装置の構成を概略的に示す図。
【図2】各実施の形態に係る自動改札装置の制御処理系統を概略的に示す構成図。
【図3】第1の実施の形態に係るRAMに形成される管理テーブルのデータ配列例図。
【図4】各実施の形態に係る利用客の通過位置と位置検知センサの状態変化の遷移を説明する図。
【図5】第1の実施の形態に係る自動改札装置の処理制御部での処理フローを示す図。
【図6】各実施の形態に係る案内表示部に表示される利用客に関する案内情報の一例を示す図。
【図7】第1の実施の形態に係る利用客の移動に従って案内情報のスライド移動状態を説明する図。
【図8】第2の実施の形態に係る利用客の移動に従って案内情報のスライド移動状態を説明する図。
【図9】第2の実施の形態に係るRAMに形成される別の管理テーブルのデータ配列例図。
【図10】第2の実施の形態に係る自動改札装置の処理制御部での処理フローを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は各実施の形態に係る鉄道関係の駅に設置される自動改札装置の構成を概略的に示す図である。自動改札装置1は、通常,2台の装置本体2が所定間隔を有して駅の改札口などに設置され、両装置本体2間に利用客が通行する改札通路3が形成される。
【0016】
装置本体2上面の一端部(利用客入口側)には、例えば有効期間や利用可能区間などの改札情報が記録される磁気式乗車券(入場券、普通乗車券、定期券、回数券、プリペイドカードなど)を投入する投入口4が設けられている。なお、投入口4には、必要に応じて開閉するシャッタ5(図2参照)が設けられている。
【0017】
また、装置本体2上面の他端部(利用客出口側)には、投入口4から投入された磁気式乗車券等を必要に応じて排出する取出口6が設けられている。
【0018】
装置本体2上面の投入口4前方にはアンテナ7が設けられている。アンテナ7は、例えばループ状アンテナなどで構成され、利用客が所持する無線式カード(ICカードなど)をアンテナ7に向けてかざしたとき、無線式カードに記録されるデータを無線通信により受信したり、無線式カードに対して必要なデータを送信して書込んだり、書替え可能な機能を持っている。以下、磁気式乗車券や無線式カードを媒体Cと総称する。
【0019】
さらに、装置本体2上面部のアンテナ7より下流側近傍には入口側案内表示部8a、前記取出口6の下流側近傍には出口側案内表示部8bが設けられている。これら案内表示部8a,8bには、利用客や係員などに対して各種案内に関する情報の他に、改札処理の結果に関する案内情報(例えば、改札通路3の通行を許可する旨の情報(判定OK)、改札通路の通行を阻止する旨の情報(判定NG)、改札処理で利用された利用額に対応する情報、利用可能な金額から利用額を引き去った後の残額に対応する情報)などが表示される。
【0020】
また、装置本体2の改札通路3側の面する両端部には、それぞれ利用客の通行を制御するドア9,9が設けられており、通行可否の判定結果に基づき、ドア9,9が開閉制御されるようになっている。
【0021】
装置本体2の改札通路3面側には、利用客の通行位置を追従検知可能な透過型の光センサからなる位置検知センサ11〜36が配列されている。これら、位置検知センサ11〜36は、一方の装置本体2の改札通路3面側に所定間隔を有して直線状に投光素子11a〜36aが配列され、改札通路3を挟んで他方の装置本体2の改札通路3面側には各投光素子11a〜36aと対向する状態で受光素子11b〜36bが配列されている。
【0022】
これら位置検知センサ11〜36の各センサ間の間隔は、利用客の胴体の前後幅よりも小さな間隔,例えば80mm以下の間隔で配列されている。80mm以下という間隔は人間の胴体によって2個以上のセンサが遮蔽された状態になる幅である。つまり、一般的な人間の胴体の幅は160mm以上あるため、利用客が改札通路3内を通行したとき、2点以上のセンサを遮蔽した状態にすることになる。その結果、利用客の通行に伴って、隣接する2つの受光素子11b〜3bが遮光されて暗となったとき、管理対象となる利用客が通過したとする検知信号を出力することができる。
【0023】
また、装置本体2上部の改札通路3とは反対側面から上側方向に突き出すようにフレーム37が設けられている。フレーム37の改札通路3に面する側には、利用客入口側(上流側)、中央部側及び利用客出口側(下流側)にそれぞれ高さ検知センサ41〜43が設けられている。これら高さ検知センサ41〜43は、大人の利用客を検知するための反射型の光センサであって、斜め上方へ光を投射し、その反射光を受光することにより、利用客が大人であると検知するものである。
【0024】
さらに、フレーム37上部の取出口6近傍には、本装置の動作状態(小児券の投入、無効券の投入、機器の異常など)を表示する状態表示部38が設けられている。
【0025】
図2は各実施形態に係る自動改札装置の制御処理系統を概略的に示す構成図である。
【0026】
自動改札装置1はCPUで構成される処理制御部51を備えている。この処理制御部51には、ROM52、RAM53、運賃メモリ54、シャッタ制御部55、センサ監視部56、ドア開閉駆動部57に開閉駆動指示を出すドア開閉制御部58、表示制御部59及び無線通信制御部61が接続されている。
【0027】
処理制御部51は、本装置全体の処理制御を司るものであって、機能的には、受付案内表示手段51a、表示切替位置判断手段51b及びスライド移動案内表示手段51cが設けられている。
【0028】
受付案内表示手段51aは、利用客の提示された媒体Cの受付けによる改札処理結果の案内情報(例えば改札から駅構外に出る場合、媒体の種類又は媒体絵柄、引去額、残額、御礼の挨拶データ等)を表示する機能を有する。
【0029】
表示切替位置判断手段51bは、利用客が入口側案内表示部8aの中央よりも上流側位置に相当する位置検知センサ例えば18を通過したことを検知したとき、表示画面切替位置と判断する機能を有する。
【0030】
スライド移動案内表示手段51cは、入口側案内表示部8aの表示画面の全部又は一部ずつを消去しつつ、当該表示画面上の利用客の案内情報を、出口側案内表示部8bに案内情報の全部又は一部ずつをスライド移動させて表示し、常に後続利用客優先で案内情報を表示するものである。
【0031】
ROM52には、処理制御部51の処理手順を規定する処理制御用プログラムなどが記憶される。RAM53は、処理制御部51において制御処理上必要なデータの他、処理過程で発生するデータを一時的に記憶する。RAM53には、少なくとも図3の管理テーブル53aの他、案内表示部8a(8b)に表示する例えば利用客の改札入りや改札出に応じた案内情報を表示可能な異なる表現形式の複数の表示画面データが記憶されている。
【0032】
管理テーブル53aには、少なくとも利用客を識別する管理番号、利用客の現在位置、通行方向、管理対象、表示切替位置などの管理項目データが格納されている。利用客の現在位置項目には、利用客の通行位置に伴って暗となる位置検知センサ11〜36のセンサ情報(例えば、前端・後端センサ番号)が記憶される。通行方向項目には利用客が何れの方向(駅入方向、駅出方向)に通行しているかを表す通行方向データが記憶される。管理対象項目には、高さ検知センサ例えば41の検知結果から得られる大人か子供かのフラグが設定される。
【0033】
運賃メモリ54は、料金計算などを行うための運賃データが記憶される。シャッタ制御部55は、投入口4に設けられたシャッタ5を開閉駆動制御する。センサ監視部56には、位置検知センサ11〜36及び高さ検知センサ41〜43が接続され、利用客の通行に追従して暗となる例えばセンサ番号を取り込み、管理テーブル53aの前端・後端センサ番号データを更新する。また、センサ監視部56は、高さ検知センサ41〜43から大人の通行を検知すると、RAM53の適宜な空き領域に高さ検知センサ41〜43ごとに大人検知有無のデータ「1」、「0」を設定する。
【0034】
ドア開閉制御部58は、ドア開閉駆動部57によるドア9の開閉駆動を制御する。表示制御部59は、処理制御部51からの後続利用客の通行状況に応じて出力される表示切替指示にもとづき、入口側案内表示部8aの案内情報を出口側案内表示部8aにスライド移動させて表示する制御を行う。
【0035】
無線通信制御部61は、アンテナ7の送受信パワーなどを制御したり、アンテナ7から送信するデータを変調したりする。
【0036】
さらに、処理制御部51には、搬送制御部63、読取回路64、書込回路65が接続されている。
【0037】
搬送制御部63は、磁気式媒体(図示せず)を搬送経路に沿って搬送するための搬送ローラや搬送ベルトを駆動する搬送用モータなどの各種搬送機構66の駆動を制御する。読取回路64は、磁気式媒体の裏面の磁気記録層に記録されているエンコード磁気情報を読み取る読取ヘッド67の駆動を制御する機能を有する。書込回路65は、磁気式媒体の磁気記録層に対してエンコード磁気情報を記録する書込ヘッド68の駆動を制御する機能を有する。
【0038】
図4は利用客の通行位置と位置検知センサ11〜36の暗となる状態変化との関係を説明する図である。
【0039】
位置検知センサ11〜36は、通行方向に沿って例えば80mm以下の間隔で配置されていれば、人間が少なくとも2個以上の位置検知センサに跨った状態で通行していることになる。このことは、利用客の通行に伴って少なくとも2個の位置検知センサ、例えば11,12が遮光されて暗状態となれば、管理対象である利用客が通行したと捉えることができる。
【0040】
そこで、利用客の通行時、前回の暗状態となった位置検知センサの一部と今回の暗状態となる位置検知センサの一部とが重なり合う程度のサンプリング周期(例えば5ms)で位置検知センサ11〜36の出力(暗状態の変化)を検知すれば、図4に示すように利用客の通行に伴って暗状態の一部が重なりながら移動していることが判る。
【0041】
よって、管理テーブル53aの現在位置のセンサ番号とサンプリング周期後の暗状態に変化したセンサ番号とのANDを取り、前回と重なりのあるセンサ番号を含む暗状態変化のセンサ11〜36群のセンサ番号を用いて、管理テーブル53aの現在位置のセンサ番号を順次更新していけば、利用客の通行位置を追跡することができる。
【0042】
さらに、後続利用客の通行状況に合わせて、入口側案内表示部8aの案内情報を進行方向にスライド移動可能に表示するためには、利用客が入口側案内表示部8aを通過する直前,例えば入口側案内表示部8aの中心から上流側位置にて利用者の視線が前方の出口側案内表示部8bの案内情報を見るように表示切替を実施すれば、利用者の視野から案内情報が離れることなく、かつ、利用客が立ち止まらずに移動しつつ案内情報を確認することができる。
【0043】
よって、管理テーブル53aに規定される現在位置から、利用客の位置が予め定められた切替位置例えば、「18」に到達したと判断され切替えを行う。
【0044】
次に、以上のように構成された自動改札装置の処理手順について、図5ないし図7を参照して説明する。図5は自動改札装置の処理手順を説明する図、図6は利用客が改札出をする際、RAM53に記憶される改札出に応じた表現形式の表示画面に対して改札処理結果の情報を書き込み編集処理して作成する表示画面の一例を示す図、図7は改札通路3を通行する利用客の通行状況に応じて案内情報の表示切替を行う例を説明する図である。
【0045】
自動改札装置1における処理制御部51は、改札受付の待機状態に入ると、受付案内表示手段51aを実行する。
【0046】
受付案内表示手段51aは、図7(a)の改札受付の待機状態において、RAM53内管理テーブル53a現在位置に記憶されるセンサ番号から少なくとも2個の位置検知センサの出力が人間の通行により遮光されて暗状態になっているか、つまり、管理対象となる利用客(先行の利用客)Aaの通行検知か否かを判断する(S1)。利用客Aaの通行検知と判断した場合、該利用客Aaが所持する媒体Cをアンテナ7に向けて提示するか、あるいは投入口4に投入することから、媒体受付けが行なわれたかを判断する(S2、図7(b)参照)。
【0047】
受付案内表示手段51aは、媒体Cを受付けたと判断すると、シャッタ5を閉じるとともにアンテナ7を受信不能にした後(S3)、受け付けた媒体Cに記録された情報に基づいて改札処理を行う(S4)。この改札処理結果に基づき、管理テーブル53aの必要項目に媒体Cの識別情報、通行方向、管理対象が大人か子供かのデータが格納される。
【0048】
さらに、受付案内表示手段51aは、利用客Aaの通行方向が改札出方向(駅出方向)であれば、RAM53から改札出に応じた表現形式の表示画面データを取り出し、改札処理結果の情報を書き込み編集処理し、例えば図6図に示すように利用者Aaの案内情報を含む表示画面データを作成し、表示宛先データを含んで表示制御部59に送出する。表示制御部59は、処理制御部51からの表示宛先データに従い、図6図に示す表示画面を図7(b)に示すように入口側案内表示部8aに表示する(S5)。
【0049】
なお、表示画面は、基本的には1枚の表示画面Bで構成されるが、例えば図6に示すように2枚の分割画面Ba,Bbで構成し、個別にスライド移動させるようにしてもよい。
【0050】
引き続き、処理制御部51は表示切替位置判断手段51bを実行する。表示切替位置判断手段51bは、予め定めるサンプリング周期ごとに位置検知センサ11〜36の暗状態となっているセンサ情報であるセンサ番号を取り込んで(S6,S7)、管理テーブル53aの現在位置に格納されるセンサ番号を更新するとともに、この更新されたセンサ番号が表示切替位置を定めるセンサ番号と等しいか、あるいは表示切替位置を定めるセンサ番号を超えている場合、表示切替位置と判定する(S8)。
【0051】
処理制御部51は、表示切替位置と判定した後、スライド移動案内表示手段51cを実行する。
【0052】
スライド移動案内表示手段51cは、入口側案内表示部8aの案内情報を進行方向にスライド移動可能に表示するために、利用客Aaが入口側案内表示部8aの中心から上流側位置にて入口側案内表示部8aの案内情報を見ている状態を保持しつつ、入口側案内表示部8aの案内情報を出口側案内表示部8bに切替え表示することにより、案内情報がスライド移動するように表示する。
【0053】
このとき、入口側案内表示部8aの表示画面Bの案内情報の全部または一部ずつ分割して出口側案内表示部8bに切替え表示する。前者の案内情報の全部をスライド移動させる例は、入口側案内表示部8aの案内情報全部を消去した後、その消去された案内情報全部を出口側案内表示部8bにスライド移動させることにより、利用客Aaの視線の移動を進行方向に促し、案内情報の確認を可能にする。
【0054】
一方、後者の案内情報の一部ずつスライド移動させる例は、図7(c)に示すように、最初に入口側案内表示部8aから分割画面Baを消去させた後、直ちに出口側案内表示部8bにスライド移動させて分割画面Baを表示し、その後、残りの分割画面Bbを消去させた後、直ちに出口側案内表示部8bにスライド移動させて分割画面Bbを表示することにより、図7(d)のように全体の表示画面Bを表示する(S9)。
【0055】
しかる後、シャッタ5を開放するともにアンテナ7を受信可能な状態に設定した後(S10)、管理テーブル53a現在位置に記憶されるセンサ番号から予め定める出口側所定位置通過を判断し(S11)、利用客Maが所定位置通過の場合には出口側案内表示部8bの表示画面を消去する(S12)。
【0056】
そして、表示画面の消去及びステップS11にて出口側所定位置通過で無いと判断したとき、後続管理対象検知かを判断し(S13)、つまり後続利用客Bb検知と判断したとき(図7(d)参照)、ステップS2に移行し、同様の処理を繰り返し実行し、図7(d)〜図7(f)に示すように後続利用客優先のもとに、入口側案内表示部8aの表示画面Bの案内情報を出口側案内表示部8bにスライド移動させて表示する。
【0057】
従って、この実施の形態によれば、利用客の通行位置に合わせて、入口側案内表示部8aに表示されている利用客に関する案内情報の全部または一部ずつ、利用客の視線から外れる前に出口側方向の例えば案内表示部8bにスライド移動表示し、後続利用客の視線を進行方向へ促すので、利用客が立ち止まることなく、表示画面の案内情報を容易に確認できる。
【0058】
また、後続利用客優先のもとに後続利用客に関する案内情報を常に進行方向の案内表示部にスライド移動表示するので、例えば先行利用客の出口通過を検出できなかった場合でも、後続利用客の通行位置に伴って、後続利用客に関する案内情報に入れ替わるので、先行利用客に対するプライバシーの保護を図ることができる。
【0059】
さらに、利用客が移動しながら案内情報を見ることができ、立ち止まったり、案内情報を一瞬しか確認できないという問題を改善することにより、改札効率の向上及びサービス性の改善を図ることができる。
【0060】
なお、上記実施の形態は、2個の表示案内部8a,8bを設けた例について述べたが、2個以上の表示案内部8a,8bを設けた場合でも同様に適用できる。但し、この例では、図4に1つの表示切替位置P1を設けたが、その個数に応じて表示切替位置P2,P3,…と増やしていく必要がある。
【0061】
(第2の実施の形態)
図8は第2の実施の形態に係る自動改札装置における案内表示部8の他の例を説明する他、利用客の通行位置(進行状況)に伴って案内情報のスライド移動の流れを説明する図である。
【0062】
なお、本実施の形態に係る自動改札装置の構成及び制御処理系統の構成は、図1及び図2で詳しく説明しているので、ここではそれら構成等の重複説明は省略する。
【0063】
第2の実施の形態は、図8(a)に示すように、装置本体2の上面部に縦長の案内表示部8が設けられている。この案内表示部8は、複数の分割表示枠(表示領域)8a〜8eを連ねた構成か、あるいは表示座標位置で管理する複数の仮想的な表示画面(表示領域)で構成されているものでもよい。また、案内表示部8の下流側近傍に取出口6を設けているが、例えば案内表示部8の途中に設けてもよい。その他、装置本体2の構成についは図1に示す通りである。
【0064】
図9は例えば複数の分割表示枠8a〜8eの順序に従って案内情報をスライド移動されるためのデータを格納する管理テーブル53a´のデータ配列例を示す図である。第1の実施形態の管理テーブル53aと同様に管理項目データが記憶される。
【0065】
なお、例えば5個の分割表示枠8a〜8eに対応して、図4に示すように5つの表示切替位置データP1〜P5等は、RAM53の別のエリアに設定される。すなわち、RAM53には、利用客が例えば位置検知センサ18を通過したとき→表示切替位置P1、位置検知センサ21を通過したとき→表示切替位置P2、位置検知センサ24を通過したとき→表示切替位置P3、位置検知センサ27を通過したとき→表示切替位置P4、位置検知センサ230を通過したとき→表示切替位置P5を通過したことが設定される。
【0066】
一方、表示場所又は表示座標の項目には、表示切替位置P1〜P5ごとに分割表示枠8a〜8eの例えば表示出力ポート番号または縦長表示画面の場合には各表示切替位置P1〜P5ごとに表示座標位置データが規定されている。
【0067】
次に、以上のように構成された自動改札装置の処理手順について図10を参照して説明する。
【0068】
自動改札装置1における処理制御部51は、改札受付の待機状態に入ると、受付案内表示手段51aを実行する。
【0069】
受付案内表示手段51aは、図8(a)の改札受付の待機状態において、RAM53内管理テーブル53´aの現在位置のセンサ番号から2個の位置検知センサの出力が人間の通行により遮光されて暗状態となったとき、管理対象(先行の利用客)Aaの通行を検知する(S1)。利用客Aaの通行検知と判断したとき、図5と同様に媒体受付け判断(S2、図8(b)参照)、シャッタ閉・アンテナ7受信不許可(S3)、媒体C受付け後の改札処理を行う(S4)。
【0070】
さらに、受付案内表示手段51aは、表示切替位置P=1を設定した後、管理テーブル53´aの表示場所データ(出力ポート番号)又は表示座標データ(以下、出力ポート番号を用いて説明する)に基づき、RAM53から例えば改札出に応じた表現形式の表示画面データを取り出し、改札処理結果の情報を書き込み編集処理し、例えば図6図に示すように利用者Aaの案内情報を含む表示画面データを作成し、出力ポート番号を含んで表示制御部59に送出する。表示制御部59は、処理制御部51からの出力ポート番号に従い、図6図に示す表示画面を図8(b)に示すように案内表示部8の分割表示枠8aの出力ポートを介しての分割表示枠8aに案内情報を表示する(S22)。
【0071】
引き続き、処理制御部51は表示切替位置判断手段51bを実行する。表示切替位置判断手段51bは、予め定めるサンプリング周期ごとに位置検知センサ11〜36の暗状態となっているセンサ情報であるセンサ番号を取り込み(S23,S25)、管理テーブル53´aの現在位置に格納されるセンサ番号を更新するとともに、この更新されたセンサ番号が表示切替位置を定めるセンサ番号21と等しいか、あるいは表示切替位置を定めるセンサ番号21を超えているかを判断する(S25)。
【0072】
利用客Aaが未だ位置検知センサ21を通過していない場合にはステップS22に戻り、案内表示部8の分割表示枠8aに利用客Aa案内情報を表示し続ける。
【0073】
一方、更新されたセンサ番号がセンサ番号21と等しいか、利用客Aaが表示切替位置P2を通過と判定する。処理制御部51は、表示切替位置P2と判定した後、スライド移動案内表示手段51cを実行する。
【0074】
スライド移動案内表示手段51cは、利用客Aaが予め定めるシャッタ解除位置を通過したか否かを判断し(S26)、通過したと判断したときにはシャッタ5開・アンテナ受信許可を送出する(S27)。
【0075】
スライド移動案内表示手段51cは、シャッタ等の解除後または利用客Aaが未だシャッタ解除位置に達していないとき、全表示位置切替完了かを判断し(S28)、未だ残っている場合にはP=1に+1をインクリメントし(S29)、RAM53に設定される表示場所または表示座標項目のP2の出力ポート番号に基づき、案内表示部8の分割表示枠8aに表示される案内情報を、スライド移動処理により(S30)、図8(c)に示すように分割表示枠8bに表示する。以下、案内表示部8の分割表示枠8bに表示された案内情報は、利用客Aaの移動に伴って、P3到達によって分割表示枠8c(図8(d)参照)、P4到達によって分割表示枠8d(図8(e)参照)に順次スライド移動しながら表示される。
【0076】
しかる後、ステップS28において、全表示切替位置完了と判断したとき、管理テーブル53a現在位置に記憶されるセンサ番号から予め定める出口側所定位置通過を判断し(S31)、利用客Maが所定位置通過の場合には案内表示部8の分割表示枠8eの表示画面を消去する(S32)。
【0077】
そして、分割表示枠8eの表示画面の消去及びステップS31にて出口側所定位置通過で無いと判断したとき、後続管理対象検知かを判断し(S33)、つまり後続利用客Bb検知と判断したとき(図7(f)参照)、ステップS2に移行し、同様の処理を繰り返し実行する。
【0078】
従って、以上のような実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に効果を奏する他、装置本体2の上面部に複数の分割表示枠8a〜8eで連なる縦長の案内表示部8を設け、利用客が進行状況に応じて予め定める表示切替位置P2〜P5を通過するごとに、上流側表示の案内情報を対応する分割表示枠8b〜8eに順次スライド移動させて表示するので、第1の実施形態よりもより利用客の進行状況に合わせて見やすい状態で案内情報を表示できる。
【0079】
よって、利用客の進行状況に合わせて表示画面の案内情報を進行方向へスライド移動するので、利用客がより確実に案内情報を確認でき、改札効率の向上、ひいては利用客のサービス向上を図ることができる。
【0080】
なお、上記第2の実施形態では、縦長の案内表示部8がハード的に複数の分割表示枠(表示領域)8a〜8eを連ねた構成について説明したが、縦長の案内表示部8を例えばソフトウエア的に複数の表示領域に分け、かつ、理テーブル53´aの表示座標項目に各表示切替位置P1〜P5に対応付けて表示座標位置データを格納しておけば、各表示切替位置を通過するごとに表示座標位置データを取り出し、該当する表示領域に案内情報をスライド移動させて表示することができる。
【0081】
(その他の実施形態)
(1) 上記実施の形態では、図1に示すように、利用客が図示矢印で示すように一方向の改札通路3から通行する例について説明したが、両方向併用の自動改札装置であっても同様に適用できる。
【0082】
(2) 上記実施の形態では、同じ案内情報をスライド移動させるように説明したが、例えば表示切替位置の通過に合わせて、例えば色を変えるとか、あるいは注目情報を拡大表示するとか、表示内容を変えて表示する構成であってもよい。
【0083】
(3) さらに、上記実施の形態では、2つの実施の形態例を提示したものであるが、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0084】
1…自動改札装置、2…装置本体、3…改札通路、4…投入口、5…シャッタ、6…取出口、7…アンテナ、8,8a,8b…案内表示部、9…ドア、11〜36…位置検知センサ、11a〜36a…投光素子、11b〜36b…受光素子、37…フレーム、38…状態表示部、41〜43…高さ検知センサ、51…処理制御部、51a…受付案内表示手段、51b…表示切替位置判断手段、51c…スライド移動案内表示手段、52…ROM、53…RAM、55…シャッタ制御部、56…センサ監視部、57…ドア開閉駆動部、58…開閉制御部、59…表示制御部、60…音声出力制御部、61…無線通信制御部、C…媒体の一種となる無線式カード、Aa…先行利用客、Ab…後続利用客、P1〜P5…表示切替位置、B…表示画面、Ba,Bb…分割画面、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の改札通路に沿う方向に所定間隔で配列され、当該改札通路を通る利用客の通行位置を検知する位置検知センサ群と、
前記装置本体の上部に所定の距離を隔てて設置される複数の案内表示部と、
前記位置検知センサ群で検知される利用客の通行位置と表示切替位置との関係を規定する表示切替位置記憶手段と、
前記位置検知センサ群の出力の変化から前記利用客の通行を検知した後、提示される媒体の記録情報の改札処理に基づき、前記利用客に関する案内情報を前記装置本体の上流側案内表示部に表示する受付案内表示手段と、
前記位置検知センサ群の出力変化から前記利用客が前記表示切替位置を通過したかを判断する表示切替位置判断手段と、
前記表示切替位置を通過したと判断したとき、前記上流側の案内表示部の案内情報を、前記下流側に設置される案内表示部にスライド移動させて表示するスライド移動案内表示手段と
を備えた自動改札装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動改札装置において、
前記複数の案内表示部は、少なくとも前記装置本体の上流側となる入口側及び下流側となる出口側の案内表示部である自動改札装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の自動改札装置において、
前記表示切替位置は、前記案内情報を表示する入口側案内表示部の中央部から前記装置本体の上流側の所定位置である自動改札装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載の自動改札装置において、
前記スライド移動案内表示手段は、前記入口側案内表示部に表示される案内情報の全部又は複数に分け、前記出口側の案内表示部にスライド移動させる自動改札装置。
【請求項5】
装置本体の改札通路に沿う方向に所定間隔で配列され、前記改札通路を通る利用客の通行位置を検知する位置検知センサ群と、
前記装置本体の上面部に配置された縦長の案内表示部と、
前記位置検知センサ群で検知される利用客の通行位置と複数の表示切替位置との関係を規定する表示切替位置記憶手段と、
前記位置検知センサ群の出力の変化から前記利用客の通行を検知した後、提示される媒体の記録情報の改札処理に従って前記利用客に関する案内情報を前記案内表示部に表示する受付案内表示手段と、
前記位置検知センサ群の出力変化から前記複数の表示切替位置を順次通過したかを判断する表示切替位置判断手段と、
前記各表示切替位置に達したと判断したとき、前記上流側の案内表示部の案内情報を、前記案内表示部の表示切替位置に対応する表示領域部分に順次スライド移動させて表示するスライド移動案内表示手段と
を備えた自動改札装置。
【請求項6】
請求項5に記載の自動改札装置において、
前記案内表示部は、複数の分割表示枠が連なる構成である自動改札装置。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の自動改札装置において、
前記表示切替位置記憶手段には、前記案内表示部が複数の分割表示枠で構成されている場合、前記位置検知センサ群で検知される利用客の通行位置と複数の表示切替位置と当該各表示切替位置に対応する前記分割表示枠の表示場所情報とが規定されている自動改札装置。
【請求項8】
請求項5ないし請求項7の何れか一項に記載の自動改札装置において、
前記スライド移動案内表示手段は、前記表示切替位置判断手段で各表示切替位置を通過したと判断したとき、前記利用客に関する案内情報を、当該通過した表示切替位置に対応する表示場所の前記分割表示枠にスライド移動させて表示する自動改札装置。
【請求項9】
請求項5に記載の自動改札装置において、
前記案内表示部は,表示座標をもった複数の表示画面で構成されている自動改札装置。
【請求項10】
請求項5又は請求項9に記載の自動改札装置において、
前記表示切替位置記憶手段には、前記案内表示部が表示座標をもった複数の表示画面で構成されている場合、前記位置検知センサ群で検知される利用客の通行位置と複数の表示切替位置と当該各表示切替位置に対応する前記表示画面の表示座標とが規定されている自動改札装置。
【請求項11】
請求項5、請求項9,請求項10の何れか一項に記載の自動改札装置において、
前記スライド移動案内表示手段は、前記表示切替位置判断手段で各表示切替位置を通過したと判断したとき、前記利用客に関する案内情報を、当該通過した表示切替位置に対応する表示座標位置の表示画面にスライド移動させて表示する自動改札装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−77072(P2013−77072A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215412(P2011−215412)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】