説明

自動検卵方法における画像処理装置

【課題】従来の画像処理による自動検卵方法における画像処理装置を改良する。
【解決手段】有精卵内部に光を照射して卵内部にカラー画像を撮影し有精卵の生死及び発育状況を判定する自動検卵方法における画像処理装置において、割卵機から供給搬送される液卵をセンサーを介して装置本体へ検知信号を送信しかつ該検知信号送信によりストロボ制御装置とCCDカラーカメラで液卵の画像取り込みを行うことを特徴とする自動検卵方法における画像処理装置の提供。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理により有精卵の生死と発育状態を判定する自動検卵方法における画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から一般的な検卵方法としては、例えば特開2004−101204公報に掲載されている有精卵の検査法および装置などがある。この装置は、有精卵の生死およびその発育状態を非破壊にて検査員の判断基準により近くかつ確実に判定することを目的とするものである。そして、その解決手段は有精卵内部に光を照射して卵内部のカラー画像を撮像し、検査領域内の血管の有無・太さ・分布状態などの血管情報および内部色情報などを計測しあるいは気室境界付近の濃度分布情報に基づいて、気室から胎児にかけての濃度変化を計測することにより気室境界付近の濃度分布情報を計測し、それに基づいて正常卵などを判定する有精卵の検査装置にあり、さらに撮影方向を90度づつ変更して撮像しかつ遮光性を有する構造内に有精卵を配置してカラーCCDカメラで撮像するところにある。
【特許文献1】特願2004−101204号公報 この従来装置の具体的な構成は、図1から図4に示すように検査装置では専用トレーで搬送された多数の卵を検査用ホイルに1個毎に移載し、整列コンベアにて複数個並べてピックとプレスで複数個を一度に画像撮像部へ搬送する。この搬送された卵は、ホイル支持台を上昇させ画像処理時の外乱を防ぐため遮光性のある撮影用の筒に入れる。その際、撮影用筒の上部には照明装置の入った照明装置内蔵用の筒があり、該筒の先が卵に接するまでホイル支持台を上昇させて卵を気室側より照明する。この照明内蔵用筒の先端部は、卵形状やサイズが異なってもその先端から外部に照明光が漏れないように柔らかい材質で構成されている。また、カラーCCDカメラは撮影用筒の反対側に設置し、支持台の上昇端で1枚目の卵画像を撮影する。撮影後は撮影完了信号にて90度支持台を回転させ、停止後2枚目を撮影して正常卵を判定処理する。
【0003】
なお、4枚目の画像撮影の完了信号にて支持させ、ついで卵が整列コンベアより搬送されると撮影済み卵は画像撮像部より押し出されて選別コンベアで受け、さらに画像の撮影後から選別コンベアに移載されるまでの間に撮影した卵の正常卵の判定処理を行い選別コンベアに判定結果の信号を出力する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の画像処理による自動検卵方法における画像処理装置に改良を加えて従来よりも優れた画像処理装置を提供するところに、本発明が解決しようとする課題を有する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記の如き課題を解決するために開発したものであって、有精卵内部に光を照射して卵内部にカラー画像を撮影し有精卵の生死及び発育状況を判定する自動検卵方法における画像処理装置において、割卵機から供給搬送される液卵をセンサーを介して装置本体へ検知信号を送信しかつ該検知信号送信によりストロボ制御装置とCCDカラーカメラで液卵の画像の取り込みを行う画像処理機構と、取り込んだ画像から液卵の良否を判定して不良液卵を判定すると装置本体の信号で分別機構の排出アームを作動させ不良液卵を収容したカップを傾斜させてカップから不良液卵を排出する卵割機制御機構とから構成され、前記装置本体で液卵の画像を撮影したCCDカラーカメラの画像信号をRGB画像信号入力として取り入れ、かつパラメータ変換・設定色抽出・A/D変換・色分離・2値画像処理・画素カウント・良否判定処理及び結果出力バッファを経て割卵機制御機構へ出力することを特徴とする画像処理による自動検卵方法における画像処理装置の提供にある。
【0006】
更に、最近本願出願人が開示した「画像処理による自動検卵方法における画像処理装置」(特開2008−20223)がある。この装置は、有精卵内部に光を照射して卵内部にカラー画像を撮影し有精卵の生死及び発育状況を判定する自動検卵方法における画像処理装置において、割卵機から供給搬送される液卵をセンサーを介して装置本体へ検知信号を送信しかつ該検知信号送信によりストロボ制御装置とCCDカラーカメラで液卵の画像の取り込みを行う画像処理機構と、取り込んだ画像から液卵の良否を判定して不良液卵を判定すると装置本体の信号で分別機構の排出アームを作動させ不良液卵を収容したカップを傾斜させてカップから不良液卵を排出する卵割機制御機構とから構成されることを特徴とする画像処理による自動検卵方法における画像処理装置の提供にある。
【0007】
この従来装置は、従来の有精卵内部に光を照射して卵内部にカラー画像を撮影し、有精卵の生死及び発育状況を判定する自動検卵方法における画像処理装置において、割卵機から供給搬送される液卵をセンサーを介して装置本体へ検知信号を送信しかつ該検知信号送信によりストロボ制御装置とCCDカラーカメラで液卵の画像の取り込みを行う画像処理機構と、取り込んだ画像から液卵の良否を判定して不良液卵を判定すると装置本体の信号で分別機構の排出アームを作動させ、不良液卵を収容したカップを傾斜させてカップから不良液卵を排出する卵割機制御機構とから構成され、前記装置本体で液卵の画像を撮影したCCDカラーカメラの画像信号をRGB画像信号入力として取り入れ、かつパラメータ変換・設定色抽出・A/D変換・色分離・2値画像処理・画素カウント・良否判定処理及び結果出力バッファを経て割卵機制御機構へ出力することによる自動検卵方法における画像処理装置の提供にある。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、有精卵内部に光を照射して卵内部にカラー画像を撮影し有精卵の生死及び発育状況を判定する自動検卵方法における画像処理装置において、割卵機から供給搬送される液卵をセンサーを介して装置本体へ検知信号を送信しかつ該検知信号送信によりストロボ制御装置とCCDカラーカメラで液卵の画像取り込みを行うことを特徴とする自動検卵方法における画像処理装置であり、かつその画像処理装置が、主として画像処理プロセッサ及びその動作プログラムが記憶されたROM又はRAM等の記憶媒体と、画像メモリ等を有し動作プルグラムの変更により種々の画像処理に対応可能となる自動検卵方法における画像処理装置である。
【0009】
更に、本発明は、画像処理装置における汚卵検査が、赤色の検査光又はオレンジ入色の検査光Lのいずれかの発行時に撮影された卵殻表面に投影される投影像を第1の画像とし記憶するステップSA1と、Maxフィルタを用いて各画像の輝度を最大輝度に置き換えるステップSA2と、該処理を決めた所定回数だけ繰り返すステップSA3と、前記ステップSA2の処理とは逆にmimフィルタを用いて各画素の輝度を最少輝度に置き換える処理を行うステップSA4と該処理を所定回数だけ繰り返すステップSA5で処理を終了する自動検卵方法における画像処理装置であり、また画像処理装置におけるひび割れ卵検査が、CCDカメラの撮影画像のデータに輝度処理を行い、卵部分における撮影画像の輪部分を強調して所定の二極化するステップB1と、該ステップSB1で得られた画像に基づいてチューンコードを生成するステップSB2と、前記チューンコードの生成後にチューンコードにおける安定区間と不安定区間との比率を求めステップSB3と、ヒストグラムを構成するデータを生成するステップSB4と、前記チューンコードの長さが基準長より長いか否かを判別するステップSB5で検査を終了する自動検卵方法における画像処理装置であり、また画像処理装置における血卵検査が、照明から赤色の検査検査光Lが照射されたときにCCDカメラにより撮影された第1の撮影画像を取得するステップSC1と、照明からオレンジ色の検査光Lが照射されたときにCCDカメラにより撮影された第2の撮影画像を取得するステップSC2と、第1の撮影画像から第2の撮影画像の輝度を差し引いた輝度の検査画像を生成するステップSC3と、で検査を終了する自動検卵方法における画像処理装置であり、また画像処理機構と、取り込んだ画像から液卵の良否を判定して不良液卵を判定すると装置本体の信号で分別機構の排出アームを作動させ、不良液卵を収容したカップを傾斜させてカップから不良液卵を排出する卵割機制御機構とから構成され、前記装置本体で液卵の画像を撮影したCCDカラーカメラの画像信号をRGB画像信号入力として取り入れ、かつパラメータ変換・設定色抽出・A/D変換・色分離・2値画像処理・画素カウント・良否判定処理及び結果出力バッファを経て割卵機制御機構へ出力することを特徴とする画像処理による自動検卵方法における画像処理装置であり、また前記の自動検卵方法における画像処理装置において卵選別の運転状況を判断する際の異常の程度に少なくとも2つの階段を設けて重要度の高い異常があれば直ちに異常の発生時刻とその内容を通信回線にして遠隔監視側に送信し、一方重要度の低い異常のときは異常の発生時刻とその内容をメモリーに記憶しかつ定められた周期又は遠隔監視側からの要求に応じ送信する通信回線を利用した卵選別の遠隔監視システムを備えた画像処理による自動検卵方法における画像処理装置であるから、従来装置の有精卵の内部色情報に基づき発育状況を検査することにより正常卵と死卵(発育不良卵,気室境界付近出血卵を含む)とを非破壊で確実に判定することができる効果に加え、さらに次のような多くの効果が得られる。
ア、本発明は発育しつつある有精卵の卵殻に光を当てて卵内の血管の発育状態及び活力を確認することは従来と変わらないが、本発明にすることによってハロゲンランプの強い光を複数の卵に同時に当て離れた位置から見ることにより、複数卵の発育状態を比較することができるので確実に優良な発育卵と不良卵を複数の作業員が確認でき、しかも学習できることにより作業員が職人化することを防ぎ誰でも検卵作業の交替ができる。
イ、また本発明によれば、個々卵の判断でなく複数の卵を比較することにより判断レベルを向上することでワクチン製造上、品質及び有効率向上を図ることができる。
ウ、さらに本発明のように自動システム化にすることによって、検卵精度を高めることができるとともに常に安定供給を図ることができるので大量の企業化が可能となる。
エ、さらに本発明によれば、自動画像通信システム用の見出しシートと発信局及び受信局を固定するデータを与える自動画像通信システム用の見出しシートを提供することが可能となる。
オ、さらに本発明によれば、通信回線を利用して鶏卵選別に遠隔監視することによって、通信費用の節減が図れるとともに各装置やシステムの異常有無の確認を可能にすることができる。
カ、なお、インフルエンザなどのワクチンが世界的にも不足しており、今後も一層不足が進む中で本発明のような装置を国内はもとより海外にも提供することによって、内外国の医療機関に貢献することができる。
【0010】
このような画像処理にすることによって、従来の装置よりも次のような点が改良されている。
ア、最初の種卵トレーを乗せるリフターの下がるスピードアップされる。
イ、小卵を検卵する際のゆがみが防止されるので種卵の整備が容易となる。
ウ、吸引時に破卵等からの液体は液溜りをつけることになるので、吸引時の破卵対策にも なる。
エ、装置本体の軽量化を図ることができるので、取扱操作が簡便となるとともに製造コス トが安くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の基本的な構成は、本願出願人の特開2008−20223公報に構成されている発明と同じであるので、ここでは画像処理装置に限定して説明することにする。図1から図4に従って説明する。
【0012】
画像処理装置5は、主として画像処理プロセッサ、及びその動作プログラムが記憶されたROM又はRAM等の記憶媒体と、画像メモリ等を有し動作プルグラムの変更により種々の画像処理に対応可能となる自動検卵方法における画像処理装置となっている。そして本装置による汚卵検査は、まず赤色の検査光又はオレンジ入色の検査光Lのいずれかの発光時に撮影された卵殻表面に投影される投影像を第1の画像とし記憶するステップSA1と、ステップSA2の処理とは逆にMinフィルタを用いて各画素の輝度を、その画素と隣接する前周囲の他の画素の最小輝度置き換える処理を行うステップSA4と、この処理とするステップSA5でNOとにより処理を終了する。
【0013】
またひび割れ卵検査は、まずCCDカメラの撮影画像のデータに微分処理を行い、卵部分における撮影画像の輪郭線を強調して所定の閾値で二値化するステップSB1と、ステップSB1で得られた画像に基づきチェーンコードを生成するステップSB2と、チェーンコードの生成した後にチェーンコードにおける安定区間と不安定区間の比率を求めるステップSB3と、ヒストグラムを構成するデータを生成するステップSB4と、チェーンコードの長さが基準長よりも長いか否かを判断するステップSB5とによって検査をする。また血卵検査は、まず前述した照明1から赤色の検査光1が照射されたとき前記CCDカメラにより撮影された第1の撮影画像を取得する(ステップSC2)と、前記第1の撮影画像から前記第2の撮影画像の輝度を差し引いた輝度の検査画像を姿勢するステップSC3とで検査をするように構成されている。
【0014】
このように構成された画像処理装置によれば、従来の検卵方法及び検卵機よりも次のような利点が得られる。
【0015】
検卵機の作業効率
【0016】
【表1】

ア、孵卵機から台車の取り出しと、孵卵機へ戻し作業とを含むトータルの検卵作業として の比較する。
イ、複数の発育鶏卵を比較することで、発育状態の良さや不良の判断ができ易くなり検卵 レベルが向上する。
ウ、客観性をもって複数の作業員が確認できることにより、検卵技術者の育成が容易にな なると同時に職人化を防ぐことができる。
エ、従来は検卵者が見た卵を再点検していなかったが、本発明の検卵機によれば再点検を することにより作業の完璧を期すことができるとともに検卵ミスを防ぐことができる。
【0017】
オ、従来レベルの検卵作業と考えると、再検卵者を省くこともできる。
カ、従来は検卵者が不良卵にマークした卵を作業員が摘出良卵補充を行っていたが、本発 明の検卵機を使用すれば自動で不良卵の摘出を行うことが可能となる。
キ、検卵スピードは変更可能となるので、ゆとりのある検卵スピードとしてセットした場 合においては、作業時間が従来に比べ約半分に減少することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の基本的な構成を示した概略図。
【図2】図1に示した画像撮像部の概略図。
【図3】画像処理装置の検卵概要図。
【図4】従来の画像処理装置を示した概略図。
【図5】従来の汚卵検査を示したフローチャート。
【図6】従来のひび割卵検査を示したフローチャート
【図7】従来の血卵検査を示したフローチャート
【符号の説明】
【0019】
1 カップ 2 液卵
3 センサ 4 ストロボ(光源)
5 ストロボ制御機構 6 CCDカラーカメラ
7 画像処理機構 8 割卵機制御機構
9 分別機構 10 排出アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有精卵内部に光を照射して卵内部にカラー画像を撮影し有精卵の生死及び発育状況を判定する自動検卵方法における画像処理装置において、割卵機から供給搬送される液卵をセンサーを介して装置本体へ検知信号を送信しかつ該検知信号送信によりストロボ制御装置とCCDカラーカメラで液卵の画像取り込みを行うことを特徴とする自動検卵方法における画像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像処理装置が、主として画像処理プロセッサ及びその動作プログラムが記憶されたROM又はRAM等の記憶媒体と、画像メモリ等を有しとなる請求項1記載の自動検卵方法における画像処理装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像処理装置における汚卵検査が、赤色の検査光又はオレンジ入色の検査光Lのいずれかの発行時に撮影された卵殻表面に投影される投影像を第1の画像とし記憶するステップSA1と、Maxフィルタを用いて各画像の輝度を最大輝度に置き換えるステップSA2と、該処理を決めた所定回数だけ繰り返すステップSA3と、前記ステップSA2の処理とは逆にmimフィルタを用いて各画素の輝度を最少輝度に置き換える処理を行うステップSA4と該処理を所定回数だけ繰り返すステップSA5で処理を終了する請求項1及び2の自動検卵方法における画像処理装置。
【請求項4】
請求項1記載の画像処理装置におけるひび割れ卵検査が、CCDカメラの撮影画像のデータに輝度処理を行い、卵部分における撮影画像の輪部分を強調して所定の二極化するステップB1と、該ステップSB1で得られた画像に基づいてチューンコードを生成するステップSB2と、前記チューンコードの生成後にチューンコードにおける安定区間と不安定区間との比率を求めステップSB3と、ヒストグラムを構成するデータを生成するステップSB4と、前記チューンコードの長さが基準長より長いか否かを判別するステップSB5で検査を終了する請求項1及び2記載の自動検卵方法における画像処理装置。
【請求項5】
請求項1記載の画像処理装置における血卵検査が、照明から赤色の検査検査光Lが照射されたときにCCDカメラにより撮影された第1の撮影画像を取得するステップSC1と、照明からオレンジ色の検査光Lが照射されたときにCCDカメラにより撮影された第2の撮影画像を取得するステップSC2と、第1の撮影画像から第2の撮影画像の輝度を差し引いた輝度の検査画像を生成するステップSC3と、で検査を終了する請求項1及び2記載の自動検卵方法における画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−13587(P2012−13587A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151551(P2010−151551)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(591206728)
【Fターム(参考)】