説明

自動注湯炉用ストッパー

【課題】スラグの巻き込みを抑制できる自動注湯炉用ストッパーを提供する。
【解決手段】自動注湯炉11の注湯ノズル16のノズル孔17を、上下動により
開閉する自動注湯炉用ストッパー1に、ノズル孔17の開時に溶湯に浸漬する部位の外周に、フランジ状の拡径部4を形成した。このフランジ状の拡径部4により、自動注湯炉11の湯面が下がるにつれて拡大する渦巻き流に、湯面に浮遊するスラグが巻き込まれ、注湯ノズル16から鋳型内に排出されるのを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動注湯炉用ストッパーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動注湯炉では、ストッパーを上昇させて注湯ノズルのノズル孔を開くと、注湯ノズルの上方で下降流が発生する。そして、この下降流に引かれて渦巻き流が生じる。自動注湯炉の湯面が下がるにつれて渦巻き流が漏斗状に拡大する。この拡大した渦巻き流に、湯面に浮遊するスラグが巻き込まれて注湯ノズルから鋳型内に排出されてしまうという問題点がある。
【特許文献1】なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、形状の改良によりスラグの巻き込みを抑制できる自動注湯炉用ストッパー(以下、ストッパーという。)を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための本発明のストッパーは、自動注湯炉の注湯ノズルのノズル孔を開閉するストッパーにおいて、前記ノズル孔の開時に溶湯に浸漬する部位の外周に、フランジ状の拡径部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
上記構成のストッパーによれば、ノズル孔の開時に溶湯に浸漬する部位の外周に、フランジ状の拡径部を形成したから、自動注湯炉の湯面が下がるにつれて拡大する渦巻き流に、湯面に浮遊するスラグが巻き込まれ、注湯ノズルから鋳型内に排出されるのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
自動注湯炉の湯面が下がるにつれて拡大する渦巻き流に、湯面に浮遊するスラグが巻き込まれ、注湯ノズルから鋳型内に排出されるのを抑制するという目的を、自動注湯炉の注湯ノズルのノズル孔を開閉するストッパーに、ノズル孔の開時に溶湯に浸漬する部位の外周に、フランジ状の拡径部を形成することにより実現した。
【実施例】
【0007】
本発明の実施例について添付図面を参照して説明する。図1は、実施例に係るストッパー1の要部の正面図、図2はストッパー1を使用した自動注湯炉11の断面図である。ストッパー1の本体2の先端部には、後述する注湯ノズルのノズル孔を開閉するストッパーヘッド3が形成されている。そして、ノズル孔の開時に溶湯に浸漬する部位の外周にフランジ状の拡径部4が形成されている。拡径部4の下面は、テ−パ面4aが形成されている。
【0008】
ストッパー1に形成する上記拡径部4について、以下の実験によりその効果を検証した。自動注湯炉を想定して、幅350(mm)×長さ500(mm)×深さ500(mm)の水槽の中央に内径30(mm)のノズル孔を設けた。その水槽に70リットルの水を入れるとともに、スラグを想定して直径1(mm)の発泡スチロールを200gを浮かべた。そして、本体2の外径を50(mm)として、図1の符号Aで示す外径及び符号Bで示すストッパーヘッド3からの距離を変えて拡径部4を形成した各種のストッパー1を用い、水槽のノズル孔を開いて水を35リットルまで排水したとき水槽から排出される発泡スチロールの割合を測定した。
【0009】
【表1】

【0010】
表1により、拡径部4の外径が大きくなるに従い、またストッパーヘッド3からの距離が大きくなるにつれて、つまり最終的な水面と拡径部4の距離が近づくにつれ水槽外へ排出される発泡スチロールの割合が低下することが確認され、拡径部4のスラグ巻き込み抑制効果が予想できる。
【0011】
上記した自動注湯炉11は、溶湯貯留槽12の上部に加圧室13が形成されている。加圧室13の左右に受湯口14とノズル装着部15が形成されている。ノズル装着部15には、注湯ノズル16が装着されている。そして、注湯ノズル16に対向して、ストッパー1が図示しない上下動機構に吊持されてる。ストッパー1は上下動により、注湯ノズル16のノズル孔17を開閉する。注湯ノズル16の下方に鋳型18が配設されている。
【0012】
この場合、注湯ノズル16の上方で発生する下降流に引かれて渦巻き流が生じ、さらに自動注湯炉の湯面が下がるにつれて渦巻き流が漏斗状に拡大するが、ストッパー1に形成した拡径部4により、上記水モデルによる実験で確認される拡径部4のスラグ巻き込み抑制効果が期待でき、自動注湯炉11の湯面が下がるにつれて拡大する渦巻き流に、湯面に浮遊するスラグが巻き込まれ、注湯ノズル16から鋳型内に排出されるのを抑制することができる。
【0013】
尚、拡径部4として、図3(a)〜(d)示した形状のものであってもよい。同図(a)は鍔状の拡径部4であり、同(b)に示した拡径部4は、図1のものを上下逆にしたものである。また、同(c)に示した拡径部4は、算盤玉形状のものであり、同(d)に示した拡径部4は、外周部を円弧面としたものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例に係るストッパーの要部の正面図である。
【図2】実施例に係るストッパーを使用した自動注湯炉の断面図である。
【図3】拡径部を例示した図面である。
【符号の説明】
【0015】
1 ストッパー
2 本体
3 ストッパーヘッド
4 拡径部
11 自動注湯炉
16 注湯ノズル
17 ノズル孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動注湯炉の注湯ノズルのノズル孔を開閉する自動注湯炉用ストッパーにおいて、
前記ノズル孔の開時に溶湯に浸漬する部位の外周に、フランジ状の拡径部を形成したことを特徴とする自動注湯炉用ストッパー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−205217(P2006−205217A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−20996(P2005−20996)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(000244176)明智セラミックス株式会社 (40)
【Fターム(参考)】