説明

自動洗浄システム

【課題】自動染色装置における回転処理装置の洗浄を簡易に行うことができる自動洗浄システムを提供する。
【解決手段】自動洗浄システムは、回転処理装置1の上流側に設けられ、洗浄用液体を供給可能な洗浄用液体供給ノズル9と、制御手段2とを備える。制御手段2は、搬送手段Tにより、空の洗浄用の容器Pを洗浄用液体供給ノズル9に搬送して洗浄用液体を供給した後、洗浄用の容器Pを回転処理装置1に搬送して回転させることで、回転処理装置1の蓋体27を、洗浄用の容器P内に収容された洗浄用液体により洗浄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
染液を貯留した容器(ポット)内に衣服や生地などの被染物を収容して、この容器を回転させることにより被染物を染色するポット式の染色機が従来から知られている。例えば、特許文献1には、図8に示すように、被染物および染液を収容する容器100と、容器100を回転させる回転軸101とを備え、回転軸101に固定された駆動用プーリ102を介して回転軸101に回転力を伝達するように構成されたユニット103を複数配置してなる染色機が開示されている。
【0003】
各ユニット103において、容器100の開口は上蓋104により閉じられ、上蓋104は取付部材105を介して回転軸101に取り付けられており、回転軸101の回転により容器100が回転し、被染物が染色される。染色が終了した後は、容器100を取り外して上蓋104を開放し、染色された被染物を取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−309476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来の染色機では、容器100に被染物および染液を収容した後、取付部材105を介して回転軸101に取り付ける作業が必要になり、染色後は取付部材105から容器100を取り外し、上蓋104を開けて生地を取り出す作業が必要になるため、このような作業を複数のユニット103のそれぞれに対して行うことは煩雑で長時間を要するという問題があった。多品目少量生産を求められる製造現場では、被染物の種類、サイズ、または色彩の異なる製品を短時間で製造することが求められている。
【0006】
そこで、本願の出願人は、多様な染色を迅速に効率良く行うことができる全自動の染色処理装置を提案している(特開2011−63902号公報)。この染色処理装置は、被染物および染液を収容した容器を個別に回転させることで、被染物を染色する複数の回転処理装置を備えている。被染物および染液が収容された容器が染色処理装置まで搬送されると、ロボットハンドなどにより容器を把持して、いずれかの回転処理装置に自動的に搬送する。回転処理装置では、被染物および染液が収容された容器の上部開口を蓋体で閉じた後、容器を傾倒させて傾倒状態で回転させることで、被染物が染色される。染色終了後は、ロボットハンドなどで、被染物の染色が終了した容器を把持して回転処理装置から搬出する。このように、上記構成の染色処理装置では、被染物の染色を自動的に行うことができるので、多様な染色を、煩雑な作業を必要とせずに、迅速にかつ効率良く行うことが可能となっている。
【0007】
また、この染色処理装置は、ベルトコンベヤなどによる搬送手段によって、被染物が収容された容器に染液を供給する染液供給処理装置や染色終了後の被染物に対して中和や洗浄などの後処理を行う後処理装置などと連結されることで、自動染色装置を構成している。 自動染色装置では、容器を各処理装置へ自動的に巡回させる搬送経路が形成されており、被染物を収容した容器を搬送経路に次々に乗せるだけで、容器が各処理装置を自動的に巡回して、被染物に対して染色に必要な一連の処理が実行されるようになっている。
【0008】
上記構成の染色処理装置において、自動染色装置の稼動に伴い、回転処理装置が長時間使用されると、染液が回転処理装置の蓋体に汚れとして付着する。よって、回転処理装置の蓋体を洗浄することにより、蓋体から染液を取り除く必要があるが、洗浄の際、作業者がいちいち手作業で蓋体を拭いて、蓋体に付着した汚れを取り除いていたのでは、洗浄作業に多大の労力と時間とを要し、非効率的である。
【0009】
本発明は、上記した問題に着目してなされたもので、自動染色装置における回転処理装置の洗浄を簡易に行うことができる自動洗浄システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記目的は、上部に開口を有するとともに内部に被染物を収容可能な容器の上部開口を蓋体で塞ぎながら前記容器を回転可能な回転処理手段と、前記容器を搬送可能な搬送手段とを備え、前記搬送手段により、被染物とともに染液を収容した染色用の容器を前記回転処理手段に搬送して回転させることで、被染物を染色するようにした自動染色装置において、前記回転処理手段の前記蓋体の洗浄を行うための自動洗浄システムであって、前記回転処理手段の上流側に設けられ洗浄用液体を供給可能な第1の洗浄液供給手段と、前記各手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記搬送手段により、空の洗浄用の容器を前記第1の洗浄液供給手段に搬送して洗浄用液体を供給した後、前記洗浄用の容器を前記回転処理手段に搬送して回転させることを特徴とする自動洗浄システムにより達成される。
【0011】
本発明の好ましい実施態様においては、前記自動染色装置は、染色用の前記回転処理手段の下流側に設けられた後処理用の前記回転処理手段をさらに備え、前記搬送手段により、染色後の被染物とともに後処理液を収容した前記染色用の容器を後処理用の前記回転処理手段に搬送して回転させることで、染色後の被染物を後処理するように構成されており、該自動洗浄システムは、後処理用の前記回転処理手段の上流側に設けられ洗浄用液体を供給可能な第2の洗浄液供給手段をさらに備え、前記制御手段は、前記搬送手段により、空の洗浄用の容器を前記第2の洗浄液供給手段に搬送して洗浄用液体を供給した後、前記洗浄用の容器を後処理用の前記回転処理手段に搬送して回転させることを特徴としている。
【0012】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、後処理用の前記回転処理手段の洗浄に用いられる前記洗浄用の容器は、染色用の前記回転処理手段の洗浄に用いられる前記洗浄用の容器と同じものであることを特徴としている。
【0013】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記自動染色装置は、後処理用の前記回転処理手段を複数備えるとともに、複数の後処理用の前記回転処理手段が前記搬送手段を介して直列に配置されており、前記染色用の容器は、複数の前記回転処理手段のうち少なくとも1つの前記回転処理手段により回転されるように構成されており、前記制御手段は、複数の前記洗浄用の容器を、より下流に配置された後処理用の前記回転処理手段から順に、前記搬送手段により搬送することを特徴としている。
【0014】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記制御手段は、前記染色用の容器が、直列に配置された複数の後処理用の前記回転処理手段を全て通過するまでは、前記洗浄用の容器が前記後処理用の容器を追い越さないように制御していることを特徴としている。
【0015】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記自動染色装置は、染色用の前記回転処理手段を複数並列に備えており、前記制御手段は、複数の前記洗浄用の容器を、染色用の前記各回転処理手段に順次搬送して並行して回転させることを特徴としている。
【0016】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記制御手段は、前記染色用の容器が全て染色用の前記回転処理手段から搬送されない限りは、前記洗浄用の容器を染色用の前記回転処理手段から搬送しないように制御していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の自動洗浄システムによれば、自動染色装置における回転処理装置の洗浄を簡易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態である自動洗浄システムが適用される自動染色装置の全体構成を示す説明図である。
【図2】図1の自動染色装置の概略図である。
【図3】回転処理装置の全体構成を示す斜視図である。
【図4】図3のA−A線に沿う断面図である。
【図5】図3のB−B線に沿う断面図である。
【図6】図5に示す回転処理装置の容器傾倒前の状態を示す側面図である
【図7】図5に示す回転処理装置の要部拡大図である。
【図8】従来の染色機の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る自動洗浄システムの実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る自動洗浄システムが適用される自動染色装置の全体構成を示している。図示例の自動染色装置は、上部に開口を有するとともに内部に例えば靴下や下着などの被染物を収容可能な容器Pと、容器Pおよび容器P内の被染物に対して種々の処理を行う複数の処理ステーションA〜Eと、搬送経路に沿って処理ステーション間を走行して、容器Pを各処理ステーションに移動させる搬送手段Tとから構成されている。
【0020】
搬送手段Tは、例えばベルトコンベアやローラコンベアなどの搬送装置が複数連なって構成されており、搬送経路の途中に各処理ステーションA〜Fが設けられている。この搬送手段Tが、容器Pを、各処理ステーションA〜Fのうち、まず最上流に位置する処理ステーションAに搬送し、処理ステーションAで所定の作業が行われた容器Pを受け取ると、この容器Pを搬送経路に沿って下流側の処理ステーションB〜Fに向けて順次搬送して、容器Pを染色の1サイクルを構成する各処理ステーションA〜Fを自動的に巡回させることにより、容器Pに収容された被染物が染色される。また、容器Pは、搬送手段Tにより、最下流に位置する処理ステーションFから再び最上流に位置する処理ステーションAに搬送されることで、搬送経路を循環する。なお、これら一連の作業は、予め定められたプログラムに従ってコンピュータなどの制御手段2(図2に示す)によって遠隔操作されている。
【0021】
処理ステーションは、(1)被染物投入装置3(図2に示す)により、積み重ねられた複数の被染物から所定枚数の被染物をピックアップして容器P内に投入する被染物投入処理ステーションAと、(2)被染物投入処理ステーションAの下流側に設けられており、染液調合装置4(図2に示す)により調合された染液を、被染物が収容された容器Pに供給する染液供給処理ステーションBと、(3)染液供給処理ステーションBの下流側に設けられており、被染物および染液が収容された容器Pを回転させることにより被染物の染色処理を行う染色処理ステーションCと、(4)染色処理ステーションCの下流側に設けられており、染色後の容器Pに各種の後処理液を供給して、被染物に対して、中和処理、洗浄処理、フィックス処理、柔軟処理などの後処理を行う後処理ステーションDと、(5)後処理ステーションDの下流側に設けられており、容器Pに収容された被染物を回収するとともに、回収した被染物の脱水処理を行う回収処理ステーションEと、(6)回収処理ステーションEの下流側に設けられており、被染物が排出された容器Pを洗浄する容器洗浄処理ステーションFと、を含んでいる。
【0022】
上記した構成の自動染色装置において、染色処理ステーションCには、被染物および染液が収容された容器Pを回転させる回転処理装置1が複数設けられている。各回転処理装置1は、本実施形態では、図3に示すように、水平方向に並列配置された3台を1つのユニットとして、各ユニットが上下方向に4段に設けられることで、計12台の回転処理装置1がマトリクス状に並列配置されている。
【0023】
各回転処理装置1は、容器Pを搭載可能に構成されており、図3〜図5に示すように、回転台10、押圧装置20および傾倒装置30を備えている。図3は、容器Pを略水平に傾倒した後の状態を示している。
【0024】
回転台10は、円板状に形成されており、取付フレーム50に軸受装置60を介して回転自在に支持されている。
【0025】
押圧装置20は、取付フレーム50に取り付けられたエアシリンダなどの押圧用シリンダ21と、この押圧用シリンダ21のロッド21aの先端に連結板22を介して一端側が取り付けられた伝達シャフト23と、伝達シャフト23の他端側に取り付けられた板状の押圧体24とを備えている。押圧用シリンダ21および伝達シャフト23は、回転台10の回転軸と略平行に配置されている。押圧体24は、回転台10と対向するように配置されており、押圧体24には、図5に示すように、固定軸25が固定されている。
【0026】
固定軸25は、軸線に沿って中空部25aが形成されており、回転台10の回転軸と軸線が一致するように押圧体24を貫通して設けられている。中空部25aの回転台10に面した一端側には圧力開放管26が接続されており、中空部25aの他端側は連通口25bを介して外部と連通している。圧力開放管26は、図5に示す容器2の傾倒状態で上方に延びるように配置されている。また、中空部25aには、他端側から熱電対29が挿入されており、熱電対29は、測温部29aが中空部25aの一端側を経て下方に延びるように配置されている。なお、固定軸25に対する熱電対29の挿入部には、容器P内の染液が漏出しないように液密に封止されている。圧力開放管26および熱電対29は、蓋体27に設けられたプレート27aにより覆われている。
【0027】
また、押圧装置20は、容器Pの上部開口を密閉する蓋体27を備えており、蓋体27の表面中央には軸受装置28が固定されている。押圧体24の固定軸25は、軸受装置28を介して蓋体27の中央に形成された開口に挿通されており、蓋体27を回転可能に支持している。軸受装置28は、環状のケース28a内に転がり軸受28bが収容されて構成されており、押圧体24が軸受装置28のケース28aに接して蓋体27を押圧することにより、蓋体27が容器Pの周縁に密着する。図7に拡大図で示すように、押圧体24と軸受28bとの間にはワッシャ201が介在されており、押圧体24に矢示方向に作用する押圧力により、ワッシャ201、軸受28b及びケース28aを介して蓋体27が押圧される。固定軸25の一端側には環状のパッキン202が外嵌されており、このパッキン202により固定軸25と蓋体27との間が液密にシールされる。
【0028】
蓋体27の裏面には、図5〜図7に示すように、スペーサ27bを介して、蓋体27よりも小径のプレート27aが設けられており、これにより、蓋体27とプレート27aの間には空隙部27cが形成されている。この空隙部27cに、前記圧力開放管26および熱電対29が配置されており、染色中に被染物が圧力開放管26や熱電対29に引っ掛かることが防止されている。このプレート27aは、その外径が容器Pの内径と比べると僅かに小さく設定されている。これにより、容器Pの内部空間と前記空隙部27cとが連通する結果、染色中に染液が空隙部27cに入り込んで熱電対29と接触したり、圧力開放管26を介して容器Pの内部空間が容器Pの外部と連通するようになっている。
【0029】
押圧装置20の構成は、容器Pを蓋体27により密閉して容器Pおよび蓋体27を回転可能に挟持するものであればよく、例えば、コ字状フレームの対向面の一方に回転台10を回転可能に支持し、他方に駆動シリンダを介して押圧体24を進退可能に支持する構成であってもよい。容器Pや蓋体27など染液と接触する部位は、ステンレス材など耐腐食性の材質からなることが好ましい。
【0030】
傾倒装置30は、支持フレーム31に取り付けられたエアシリンダなどの傾倒用シリンダ32を備えており、傾倒用シリンダ32のロッド32aの先端が取付フレーム50に固定されている。取付フレーム50は支持フレーム31に対して回転可能となるように回転軸33により支持されており、傾倒用シリンダ32のロッドを進退させることにより取付フレーム50が回動して、容器Pの姿勢を起立状態と傾倒状態との間で変化させることができる。
【0031】
また、回転処理装置1は、各回転台10に装着された容器Pを回転させる駆動装置40を備えている。駆動装置40は、支持フレーム31に取り付けられた駆動プーリ41および従動プーリ42と、これら駆動プーリ41および従動プーリ42に巻き掛けられた無端状の駆動ベルト43とを備えている。駆動ベルト43には、支持フレーム31に取り付けられたテンションローラ44により張力が付与されている。駆動プーリ41は、駆動モータ45の回転軸に連結されており、駆動ベルト43を一方向に回転駆動する。従動プーリ42は、外周面に沿って溝部42aが形成されている。駆動ベルト43は、容器Pをそれぞれ傾倒させることにより、従動プーリ42の溝部42aにおいて下面側が各回転台10の外周縁と接するように配置されており、回転台10を摩擦によって回転駆動する。
【0032】
また、回転処理装置1は、傾倒状態の容器Pの軸線に沿って延びるように回転台10の左右両側に配置された遠赤外線ヒータなどの加熱ヒータ80を備えている。加熱ヒータ80は、容器Pを効率良く加熱できるように反射板8aで覆われており、ステー(図示せず)を介して支持フレーム31に取り付けられている。なお、加熱ヒータ80は、遠赤外線ヒータ以外にも、赤外線ヒータ、IH(電磁誘導加熱)ヒータなど、種々のヒータを用いることも可能である。
【0033】
また、回転処理装置1は、図5においてのみ図示するように、傾倒状態の容器Pの側面に冷却水を供給する冷却水ノズル90を備えている。冷却水ノズル90は、不図示の冷却水タンクからポンプおよび流路内に配設された電磁弁の作動により容器Pの側面に冷却水を供給することができるように、傾倒する容器Pと干渉しない近傍位置で支持フレーム31に固定されている。冷却水ノズル90の先端には、冷却水ノズル90の軸線を挟んで両側から斜め下方に向けて冷却水を噴射する2つの冷却水噴出孔90a,90aが形成されており、容器Pの軸線に沿って広範囲に冷却水を供給することができる。
【0034】
上記した構成の回転処理装置1においては、図6に示すように、押圧装置20および傾倒装置30の作動により、回転台10が水平な状態で、回転台10と蓋体27との間隔が予め拡げられている。また、駆動装置40の作動により、駆動ベルト43は回転している。
【0035】
ロボットハンド5(図2に示す)などにより、回転台10上に容器Pが搬入されると、押圧装置20の作動により、容器Pは蓋体27によって上方から押圧される。これにより、容器Pは蓋体27により密閉され、容器2および蓋体27が回転台10と押圧体24との間に回転可能に挟持される。この後、傾倒装置30の作動により、容器Pが傾倒する(図5)。本実施形態においては、容器Pを軸線が略水平となるように傾倒させているが、斜め上方または斜め下方に傾斜するように容器Pを傾倒させてもよい。容器Pの傾倒状態では、圧力開放管26が容器P内で上方に延びており、圧力開放管26の開口端が染液の液面よりも上方に露出して、容器Pの内部空間が容器Pの外部と連通されている。一方、熱電対29は容器P内で下方に延びており、染液の温度を測定する。
【0036】
容器Pが傾倒すると、加熱ヒータ80により容器P内が加熱されるとともに、回転台10の外周縁が駆動ベルト43に当接し、回転台10が回転を開始する。これにより、容器Pが蓋体27とともに回転して、図5に破線で示すように、収容された被染物が染液Lにより染色処理される。染液Lの貯留量は、通常は傾倒状態の容器Pの軸線よりも液面が若干下方に位置するように設定される。圧力開放管26は、容器Pの回転中も常に上方を向いており、容器Pの内部温度の上昇に伴う内圧上昇を開放する。
【0037】
染液の温度は、熱電対29の測定に基づき加熱ヒータ80の出力を制御することにより、予め設定された温度制御パターンに沿って制御される。また、加熱ヒータ80の他に、容器Pの外表面に冷却水を散布する冷却水ノズル90が設けられているため、染色中に染液の温度低下が必要な場合には設定温度に迅速に移行することができ、PID制御など公知の制御手法を用いて所望の温度制御パターンに沿った染色が可能である。例えば、緩やかな温度低下が必要な場合は加熱ヒータ80の出力制御で対応可能である一方、温度低下を急激に行う場合には、加熱ヒータ80の出力抑制とともに、冷却水ノズル90から冷却水を供給する。冷却水の流量は本実施形態では一定としているが、目標温度に応じて流量制御するようにしてもよい。
【0038】
こうして、所定時間の経過により被染物の染色処理が終了した後は、傾倒装置30の作動により、容器Pを起立状態に戻した後(図6)、押圧装置20の作動により蓋体27を上昇させ、容器Pの密閉状態を開放する。そして、回転台10上の容器Pをロボットハンド5などによって搬送手段Tに搬出する。搬出された容器Pは、搬送手段Tにより、次工程の後処理ステーションDに向けて搬送される。なお、回転処理装置1は、容器Pが搬出されると、図示しないセンサなどにより、非使用状態であることを示す信号を制御手段2に出力する。これにより、制御手段2は、染色処理ステーションCに設けられた12台の回転処理装置1のうち、非使用状態にある回転処理装置1を検出可能であり、非使用状態にある回転処理装置1のいずれかを選択して、染液調合処理ステーションBから搬送される容器Pを非使用状態の回転処理装置1に搬入するようになっている。
【0039】
染色処理ステーションCには、上記した構成の回転処理装置1が複数並列に設けられているために、染液調合処理ステーションBから搬送される容器Pを、非使用状態の回転処理装置1に次々に搬入することにより、被染物の染色処理を迅速に効率良く行うことができる。よって、多品目少量生産に適している。
【0040】
次工程の後処理ステーションDでは、染色処理後の被染物に対して、各種の後処理液による後処理を行う。本実施形態の後処理ステーションDは、(1)染色処理後の被染物に付着した染液のアルカリを中和する中和処理工程D1、(2)中和処理工程D1の下流側に設けられており、被染物に付着した余分な染液を洗い落とす洗浄処理工程D2,D2、(3)洗浄処理工程D2の下流側に設けられており、被染物に対する染液の固着をはかるフィックス処理工程D3,D3、(4)フィックス処理工程D3の下流側に設けられており、被染物に対して柔軟性、弾力性を付与する柔軟処理工程D4、の各処理工程D1〜D4に分けられている。各処理工程D1〜D4は直列に並べられており、これらは搬送手段Tにより連結されている。
【0041】
各処理工程D1〜D4には、上記した染色処理ステーションCに設けられている回転処理装置1と同様の構成の回転処理装置1がそれぞれ設けられている。なお、洗浄処理工程D2,D2には、それぞれ回転処理装置1が2台ずつ並列に設けられている。また、各処理工程D1〜D4の回転処理装置1の上流位置には、酢酸、洗浄液、フィックス処理液または柔軟処理液の各後処理液を容器Pに供給可能な給液ノズル6(図2に示す)がそれぞれ設けられている。給液ノズル6により後処理液が供給された容器Pが回転処理装置1まで搬送されると、ロボットハンド5などにより、前記容器Pが回転処理装置1に搬入される。これにより、前記容器Pは、所定時間回転し、容器P内に収容された被染物が後処理液により後処理される。後処理終了後は、容器Pをロボットハンド5などにより搬送手段T上に搬出することにより、容器Pは、搬送手段Tによって、次の処理工程に搬送される。
【0042】
各処理工程D1〜D4の回転処理装置1についても、容器Pが搬出されると、図示しないセンサなどにより、非使用状態であることを示す信号を制御手段2に出力する。これにより、制御手段2は、各処理工程D1〜D4の回転処理装置1が非使用状態にあるか否かを検出可能である。
【0043】
なお、後処理ステーションDにおける各処理工程D1〜D4においては、回転処理装置1によって被染物に対して後処理液による処理を行う前に、いずれも、湯洗いや水洗いなどの前処理を行うようにしてもよい。この場合、各処理工程D1〜D4の回転処理装置1の上流位置に、容器Pに後処理液を供給する給液ノズル6とともに、容器Pに湯または水を供給する給水ノズルを設け、容器P内の被染物を一旦、湯洗いまたは水洗いした後、容器P内に後処理液を供給することで、回転処理装置1に容器Pを搬送するようにする。
【0044】
染色処理後の被染物に対して、柔軟処理工程D4において柔軟処理が施されると、容器Pは搬送手段Tにより、次工程の回収処理ステーションEまで搬送される。回収処理ステーションEには、後処理ステーションDにて後処理が施された容器Pを受け取って容器Pから被染物を回収する回収装置7(図2に示す)が設けられている。この回収装置は、搬送手段Tにより後処理ステーションDから搬送された容器Pを上下反転させる容器反転装置(図示せず)や、容器反転装置の下方に設けられ、上下反転した容器Pから落下する被染物および後処理液を収容する遠心脱水装置(図示せず)などを含んでおり、被染物は、前記遠心脱水装置により脱水処理が施された後、回収トレー(図示せず)に回収される。一方、被染物および後処理液が排出された容器Pは、洗浄処理ステーションFにて、容器洗浄装置8(図2に示す)により洗浄処理が施された後、搬送手段Tにより、再び被染物投入処理ステーションAに搬送されて、再利用される。
【0045】
上記した構成の自動染色装置において、自動染色装置の稼動に伴い、染色処理ステーションCおよび後処理ステーションDに設けられている回転処理装置1が長時間使用されると、染液や後処理液が容器Pの上部開口を塞ぐ蓋体27(図5参照)に汚れとして付着する。特に、染色処理ステーションCに設けられている回転処理装置1の蓋体27に染液が汚れとして付着すると、蓋体27に付着した染液と異なる色の染液が収容された容器Pが該回転処理装置1に搬入された場合、異なる色の染液が交じり合うおそれがある。そのため、被染物に高品質の染色を施すためには、回転処理装置1の蓋体27を洗浄して、蓋体2の汚れを取り除く必要がある。
【0046】
そこで、本実施形態の自動洗浄システム1においては、湯、水または洗浄液などの洗浄用液体を収容した容器Pを、搬送手段Tにより染色処理ステーションCおよび後処理ステーションDに搬送して各回転処理装置1に搬入し、各回転処理装置1にて前記容器Pを所定時間、回転させることで、各回転処理装置1の蓋体27を前記容器P内の洗浄用液体により洗浄するように構成されている。
【0047】
具体的には、染色処理ステーションCの上流位置には、容器P内に湯または水、洗浄液などの洗浄用液体を供給可能な洗浄用液体供給ノズル9が設けられている。被染物を収容しない空の容器Pが、搬送手段Tにより、洗浄用液体供給ノズル9の位置まで搬送されることで、洗浄用液体供給ノズル9により、空の容器Pに洗浄用液体が供給される。そして、洗浄用液体が供給された前記容器Pが搬送手段Tにより染色処理ステーションCに搬送され、ロボットハンド5などにより各回転処理装置1に搬入されることで、前記容器Pが蓋体27とともに回転する。その結果、各回転処理装置1の蓋体27が前記容器P内の洗浄用液体により洗浄されて、蓋体27に付着した染液が洗い落とされる。なお、この回転処理装置1の洗浄処理中においては、搬送手段Tにより、空の容器Pが被染物投入ステーションAおよび染液調合処理ステーションBに搬送されたとしても、この空の容器Pに対して被染物の投入処理や染液の供給処理が行われずに、空の容器Pは被染物投入ステーションAおよび染液調合処理ステーションBを通過するように構成されている。
【0048】
また、後処理ステーションDの各処理工程D1〜D4の上流位置にも、容器P内に湯または水、洗浄液などの洗浄用液体を供給可能な洗浄用液体供給ノズル9がそれぞれ設けられている。各処理工程D1〜D4においても同様に、被染物を収容しない空の容器Pが、洗浄用液体供給ノズル9の位置まで搬送されることで、洗浄用液体供給ノズル9により、空の容器Pに洗浄用液体が供給される。そして、洗浄用液体が供給された前記容器Pが搬送手段Tにより各処理工程D1〜D4まで搬送され、ロボットハンド5などにより回転処理装置1に搬入されることで、前記容器Pが蓋体27とともに回転する。その結果、回転処理装置1の蓋体27が前記容器P内の洗浄用液体により洗浄されて、蓋体27に付着した後処理液が洗い落とされる。なお、この回転処理装置1の洗浄処理中においては、空の容器Pが各処理工程D1〜D4に搬送されたとき、この空の容器Pに対して給液ノズル6による後処理液の供給処理を行われずに、空の容器Pは給液ノズル6を通過するように構成されている。
【0049】
回転処理装置1の洗浄に用いられる洗浄用液体は、タンク(図示せず)に所定量が蓄えられており、ポンプ(図示せず)により各洗浄用液体供給ノズル9に供給される。
【0050】
上記した回転処理装置1の洗浄処理は、制御手段2により制御されている。本実施形態では、上記構成の自動染色装置においては、ある所定の色の染料により被染物が所定枚数染色された後、次に、他の所定の色の染料により被染物が所定枚数染色されることが通常行われるため、所定の色の染料による被染物の染色を目的とする染色用の容器P(以下、「染色に供する容器P」という。)が全て自動染色装置(つまりは、被染物投入処理ステーションA)に投入された時点で、制御手段2は、自動的に、回転処理装置1の洗浄を目的とする洗浄用の空の容器P(以下、「洗浄に供する容器P」という。)を自動染色装置に投入して、各回転処理装置1の洗浄処理を行うように構成されている。
【0051】
本実施形態では、染色処理ステーションCにおいては、12台の回転処理装置1が並列に設けられているため、制御手段2は、まず、12個の洗浄に供する容器Pを、搬送手段Tにより染色処理ステーションCに順次搬送することで、染色処理ステーションCの全ての回転処理装置1に対して洗浄処理を同時に行う。洗浄に供する容器Pが、染色処理ステーションCの上流に位置する洗浄用液体供給ノズル9まで搬送されると、制御手段2は、洗浄用液体供給ノズル9により洗浄用液体を前記容器P内に供給する。そして、洗浄用液体が供給された洗浄に供する容器Pが、搬送手段Tにより、染色処理ステーションCに搬送されると、制御手段2は、染色処理ステーションCの全ての回転処理装置1の中で、非使用状態にある回転処理装置1を検出していずれかを選択し、選択した回転処理装置1にロボットハンド5などにより、前記容器Pを搬入する。そして、所定時間の間、該回転処理装置1にて前記容器Pを回転させることで、該回転処理装置1の蓋体27を前記容器P内の洗浄用液体により洗浄する。上記と同様の操作を、全ての洗浄に供する容器Pに対して順次行うことで、染色処理ステーションCの全ての回転処理装置1の蓋体27に対して、洗浄用液体による洗浄が並行して行われる。
【0052】
洗浄処理終了後は、ロボットハンド5などによって、洗浄に供する容器Pを洗浄処理済みの回転処理装置1から搬送手段T上に搬出する。これにより、前記容器Pは搬送手段Tによって次の後処理ステーションDに搬送される。
【0053】
ここで、回転処理装置1の洗浄処理の開始後であっても、染色処理ステーションCにおいて、未だ、染色に供する容器Pが搬入されていて、被染物の染色処理中の回転処理装置1が存在する場合には、制御手段2は、染色に供する容器Pが前記回転処理装置1から搬出されるのを待って、染色処理終了後の前記回転処理装置1に対して洗浄に供する容器Pを搬入するように制御している。
【0054】
また、回転処理装置1において、被染物を染色処理するために染色に供する容器Pを回転させる時間よりも、蓋体27を洗浄処理するために洗浄に供する容器Pを回転させる時間の方が短い場合には、染色処理ステーションCに最後に搬送された染色に供する容器P(以下、「染色に供する最後の容器P」という。)よりも、染色処理ステーションCに最初に搬送された洗浄に供する容器P(以下、「洗浄に供する最初の容器P」という。)の方が、回転処理装置1による処理が時間的に早く終わる可能性があり、その結果、より早く回転処理装置1から搬出されて次工程の後処理ステーションDに搬送されるおそれがある。この場合には、制御手段2は、洗浄に供する最初の容器Pが、染色に供する最後の容器Pを追い越して、これよりも早くに後処理ステーションDに搬送されるのを防止するために、染色に供する最後の容器Pが、回転処理装置1による処理の終了後、回転処理装置1から搬出されて次工程の後処理ステーションDに搬送されるまでは、洗浄に供する最初の容器Pを回転処理装置1から搬出しないように制御している。なお、予め、染色に供する最後の容器Pを染色処理ステーションCに搬送した後、洗浄に供する最初の容器Pを染色処理ステーションCに搬送するまでの時間間隔を長くすることにより、染色処理ステーションCにおいて、洗浄に供する最初の容器Pが、染色に供する最後の容器Pよりも早くに回転処理装置1による処理が終わるのを防止するようにしてもよい。
【0055】
これにより、回転処理装置1の洗浄処理により、被染物の染色処理が邪魔されるのが防止されており、自動染色装置をスムーズに稼動することが可能になっている。
【0056】
染色処理ステーションCの各回転処理装置1の洗浄処理に使用された前記12個の洗浄に供する容器Pは、次の後処理ステーションDに搬送され、内部の洗浄処理済みの洗浄用液体が排出された後、引き続き、後処理ステーションDの各回転処理装置1の洗浄処理に使用される。
【0057】
染色処理ステーションCから後処理ステーションDに洗浄に供する容器Pが搬送されると、制御手段2は、搬送された前記容器Pを、各処理工程D1〜D4の計8台の回転処理装置1のうち、いずれか1つの回転処理装置1に順次搬入して、該回転処理装置1の蓋体27を洗浄するように制御する。ここで、本実施形態においては、前記12個の洗浄に供する容器Pを、後処理ステーションDに早く搬送されたものから順番に、より下流側に位置する回転処理装置1に搬入するように制御されている。
【0058】
つまり、まず、染色処理ステーションCから後処理ステーションDに最初に搬送された洗浄に供する容器Pは、搬送手段Tにより、最下流の柔軟処理工程D4に搬送して、該処理工程D4の回転処理装置1の洗浄処理のみに使用する。次に、後処理ステーションDに2番目に搬送された洗浄に供する容器Pは、搬送手段Tにより、フィックス処理工程D3のうちの下流側の処理工程D3に搬送して、該処理工程D3の回転処理装置1の洗浄処理のみに使用する。次に、後処理ステーションDに3番目に搬送された洗浄に供する容器Pは、搬送手段Tにより、フィックス処理工程D3のうちの上流側の処理工程D3に搬送して、該処理工程D3の回転処理装置1の洗浄処理のみに使用する。次に、後処理ステーションDに4番目に搬送された洗浄に供する容器Pは、搬送手段Tにより、洗浄処理工程D2のうちの下流側の処理工程D2に搬送して、該処理工程D2の2台の回転処理装置1のうち、いずれか一方の回転処理装置1の洗浄処理のみに使用する。次に、後処理ステーションDに5番目に搬送された洗浄に供する容器Pは、搬送手段Tにより、洗浄処理工程D2のうちの下流側の処理工程D2に搬送して、該処理工程D2の2台の回転処理装置1のうち、残り他方の回転処理装置1の洗浄処理のみに使用する。次に、後処理ステーションDに6番目に搬送された洗浄に供する容器Pは、搬送手段Tにより、洗浄処理工程D2のうちの上流側の処理工程D2に搬送して、該処理工程D2の2台の回転処理装置1のうち、いずれか一方の回転処理装置1の洗浄処理のみに使用する。次に、後処理ステーションDに7番目に搬送された洗浄に供する容器Pは、搬送手段Tにより、洗浄処理工程D2のうちの上流側の処理工程D2に搬送して、該処理工程D2の2台の回転処理装置1のうち、残り他方の回転処理装置1の洗浄処理のみに使用する。次に、後処理ステーションDに8番目に搬送された洗浄に供する容器Pは、搬送手段Tにより、最上流の中和処理工程D1に搬送して、該処理工程D1の回転処理装置1の洗浄処理のみに使用する。なお、残り4つの洗浄に供する容器Pについては、後処理ステーションDをスルーするように構成されている。
【0059】
洗浄に供する容器Pが、上記したように、各処理工程D1〜D4に搬送されると、制御手段は、まず、洗浄用液体供給ノズル9により洗浄用液体を前記容器P内に供給する。その後、前記容器Pが各回転処理装置1まで搬送されると、ロボットハンド5などにより、前記容器Pを各回転処理装置1に搬入する。そして、所定時間の間、該回転処理装置1にて前記容器Pを回転させることで、該回転処理装置1の蓋体27を前記容器P内の洗浄用液体により洗浄する。洗浄処理終了後は、ロボットハンド5などにより、前記容器Pを洗浄処理済みの回転処理装置1から搬送手段T上に搬出することにより、前記容器Pを、搬送手段Tによって、回収処理ステーションEまで搬送する。そして、回収処理ステーションEにて、前記容器P内から洗浄用液体を排出させた後、洗浄処理ステーションFにて、前記容器Pを洗浄することで、これらの洗浄に供する容器Pを再び、その後に行われる染色処理に使用するようになっている。
【0060】
このように、本実施形態では、洗浄に供する容器Pは、後処理ステーションDに早く搬送されたものから順番に、より下流側に位置する回転処理装置1に搬入されて、該回転処理装置1の洗浄処理を行うように構成されているため、後処理ステーションDの各回転処理装置1の洗浄処理がスムーズに進み、当該洗浄処理中に、搬送手段T上に、洗浄に供する容器Pが滞留するのを防止している。つまり、後処理ステーションDに早く搬送されたものから順番に、洗浄に供する容器Pをより上流側に位置する回転処理装置1に搬入して該回転処理装置1の洗浄処理を行うように構成すると、いずれかの洗浄に供する容器Pが搬送手段T上で、回転処理装置1への搬入処理中であるなどすると、これより後ろの洗浄に供する容器Pは、前記処理が終了するまで搬送手段T上に滞留し、その結果、洗浄処理の効率が悪い。これに対して、本実施形態では、上記した構成を採用することにより、搬送手段T上に洗浄に供する容器Pが滞留するのをできる限り防止して、洗浄処理の効率を向上することで、洗浄処理時間の短縮を図っている。
【0061】
ここで、回転処理装置1の洗浄処理の開始後であっても、後処理ステーションDに最後に搬送された染色に供する最後の容器Pについては、後処理ステーションDのいずれかの処理工程において、未だ、被染物の後処理中である可能性がある。この場合には、制御手段2は、この染色に供する最後の容器Pを、後処理ステーションDに最初に搬送された洗浄に供する最初の容器Pが追い越すことがないように制御している。つまり、染色に供する最後の容器Pが、後処理ステーションDのいずれかの処理工程の回転処理装置1による処理中に、洗浄に供する最初の容器Pが該処理工程を通過して目的とする柔軟処理工程D4に先に到達するのを規制しており、染色に供する最後の容器Pが該回転処理装置1から搬出されて次の処理工程へ搬送されるまでは、洗浄に供する最初の容器Pは、該処理工程の手前で待機するように制御されている。そして、染色に供する最後の容器Pが、後処理ステーションDの最後の柔軟処理工程D4から搬送されるまでは、洗浄に供する最初の容器Pを、柔軟処理工程D4に搬送しないように制御している。
【0062】
これにより、回転処理装置1の洗浄処理により、被染物の後処理が邪魔されるのが防止されており、自動染色装置をスムーズに稼動することが可能になっている。
【0063】
以上のように、本実施形態の自動洗浄システムでは、湯、水または洗浄液などの洗浄用液体を収容した容器Pを、搬送手段Tにより染色処理ステーションCおよび後処理ステーションDに搬送し、前記容器Pを各回転処理装置1で回転させて、各回転処理装置1の蓋体27を前記容器P内の洗浄用液体によって洗浄するように構成されている。よって、自動染色装置の稼動に伴い、各回転処理装置1の蓋体27に付着した汚れを簡単に取り除くことができ、洗浄作業を効率よく行うことができる。
【0064】
また、回転処理装置1の洗浄処理中、洗浄に供する容器Pは、未だ被染物の染色処理や後処理を目的に行っている染色に供する容器Pを、搬送経路の途中で追い越すことがないように構成されているので、回転処理装置1の洗浄処理により、被染物の染色処理や後処理が邪魔されることがなく、自動染色装置をスムーズに稼動することができる。
【0065】
また、後処理ステーションDにおいては、洗浄に供する容器Pは、後処理ステーションDに早く搬送されたものから順番に、より下流側に位置する回転処理装置1の洗浄処理を行うように構成されているため、搬送手段T上に洗浄に供する容器Pが滞留するのをできる限り防止することができ、洗浄処理時間の短縮を図ることができる。
【0066】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の具体的な態様は、上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、上記した実施形態では、染色処理ステーションCの各回転処理装置1の洗浄処理に使用された前記12個の洗浄に供する容器Pのうち、後処理ステーションDに最初に搬送された洗浄に供する容器Pを、柔軟処理工程D4の回転処理装置1に搬入しているが、これを後処理ステーションDを通過させて回収処理ステーションEまで搬送し、回収処理ステーションEの遠心脱水装置(図示せず)に収容した洗浄用液体を排出することで、前記遠心脱水装置の洗浄処理に使用するようにしてもよい。なお、この実施形態では、後処理ステーションDに4番目に搬送された洗浄に供する容器Pまでを、前記遠心脱水装置の洗浄処理に使用することができる。この場合、後処理ステーションDに12番目に搬送された最後の洗浄に供する容器Pが、中和処理工程D1の回転処理装置1の洗浄処理に使用される。
【0067】
また、上記した実施形態では、後処理ステーションDにおいては、洗浄に供する容器Pは、後処理ステーションDに早く搬送されたものから順番に、より下流側に位置する回転処理装置1の洗浄処理を行うように制御されているが、洗浄に供する容器Pが、染色に供する容器Pを途中で搬送経路の途中で追い越すことがなければ、どのような順番で後処理ステーションDの各回転処理装置1の洗浄処理を行うようにしても構わない。
【符号の説明】
【0068】
1 回転処理装置
2 制御手段
9 洗浄用液体供給ノズル
27 蓋体
P 容器
T 搬送手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口を有するとともに内部に被染物を収容可能な容器の上部開口を蓋体で塞ぎながら前記容器を回転可能な回転処理手段と、前記容器を搬送可能な搬送手段とを備え、前記搬送手段により、被染物とともに染液を収容した染色用の容器を前記回転処理手段に搬送して回転させることで、被染物を染色するようにした自動染色装置において、前記回転処理手段の前記蓋体の洗浄を行うための自動洗浄システムであって、
前記回転処理手段の上流側に設けられ洗浄用液体を供給可能な第1の洗浄液供給手段と、前記各手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記搬送手段により、空の洗浄用の容器を前記第1の洗浄液供給手段に搬送して洗浄用液体を供給した後、前記洗浄用の容器を前記回転処理手段に搬送して回転させることを特徴とする自動洗浄システム。
【請求項2】
前記自動染色装置は、染色用の前記回転処理手段の下流側に設けられた後処理用の前記回転処理手段をさらに備え、前記搬送手段により、染色後の被染物とともに後処理液を収容した前記染色用の容器を後処理用の前記回転処理手段に搬送して回転させることで、染色後の被染物を後処理するように構成されており、
該自動洗浄システムは、後処理用の前記回転処理手段の上流側に設けられ洗浄用液体を供給可能な第2の洗浄液供給手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記搬送手段により、空の洗浄用の容器を前記第2の洗浄液供給手段に搬送して洗浄用液体を供給した後、前記洗浄用の容器を後処理用の前記回転処理手段に搬送して回転させることを特徴とする請求項1に記載の自動洗浄システム。
【請求項3】
後処理用の前記回転処理手段の洗浄に用いられる前記洗浄用の容器は、染色用の前記回転処理手段の洗浄に用いられる前記洗浄用の容器と同じものであることを特徴とする請求項1または2に記載の自動洗浄システム。
【請求項4】
前記自動染色装置は、後処理用の前記回転処理手段を複数備えるとともに、複数の後処理用の前記回転処理手段が前記搬送手段を介して直列に配置されており、前記染色用の容器は、複数の前記回転処理手段のうち少なくとも1つの前記回転処理手段により回転されるように構成されており、
前記制御手段は、複数の前記洗浄用の容器を、より下流に配置された後処理用の前記回転処理手段から順に、前記搬送手段により搬送することを特徴とする請求項2または3に記載の自動洗浄システム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記染色用の容器が、直列に配置された複数の後処理用の前記回転処理手段を全て通過するまでは、前記洗浄用の容器が前記後処理用の容器を追い越さないように制御していることを特徴とする請求項4に記載の自動洗浄システム。
【請求項6】
前記自動染色装置は、染色用の前記回転処理手段を複数並列に備えており、前記制御手段は、複数の前記洗浄用の容器を、染色用の前記各回転処理手段に順次搬送して並行して回転させることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の自動洗浄システム。
【請求項7】
前記制御手段は、前記染色用の容器が全て染色用の前記回転処理手段から搬送されない限りは、前記洗浄用の容器を染色用の前記回転処理手段から搬送しないように制御していることを特徴とする請求項6に記載の自動洗浄システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−7129(P2013−7129A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139476(P2011−139476)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】