説明

自動洗浄噴霧器

【課題】 液体洗剤でエンクロージャーをスプレーするための自動噴霧器を提供する。
【解決手段】 液体洗剤によってシャワー・エンクロージャーの壁をスプレーするための自動噴霧器(20)は、ポンプシステム(28)と回転可能なスプレーヘッド(32)とを使用して洗剤を分与する。この噴霧器(20)は、調整可能なハンガー(26)を有する、シャワーヘッド取付け可能なハウジング(24)を有している。ハウジング(24)には洗剤のボトル(22)を逆さま向きに支持するための一部分が存在する。ボトル(22)は、穴あき支柱(98)を通して通気される。単一のモータがポンプ(28)を駆動するとともに、スプレーヘッド(32)を回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンクロージャー(一定の囲われた場所:enclosure)を自動的に洗浄するために設計された噴霧器に関する。本発明は、家庭で典型的に見られるタイプのシャワー/浴室用エンクロージャーを自動的に洗浄するのに特に良く適していると思われる。
【背景技術】
【0002】
<関連出願への相互参照> 本特許は、2002年5月28日に出願された米国仮特許出願第60/383,687号に基づいて優先権を主張する。
<連邦政府後援の研究開発の陳述書> 該当せず。
【0003】
シャワー/浴室用エンクロージャーの壁とドアは通常の使用中に、白カビが生えたり、石鹸構成物や硬水やミネラルの堆積物で覆われたり、そうでなければ汚れたりすることがあり得る。これらの堆積物や汚れを除去することは通常、人が手で壁やドアをこすり洗いすることを必要とし、これは望ましくない仕事である。
【0004】
この仕事を助けるために洗浄すべき表面に洗浄用化学薬品が噴霧され、吹き付けられ、あるいは何らかの方法で塗布され得る。活性成分が「働く」ことができるように一定時間を置いてから、壁は布、ブラシ、またはこすり落とし用パッドで拭き取られ、それから水ですすがれる。
【0005】
これらの洗剤は、こすり洗いの量が幾分減らされ得るほど有効である場合もある(特にクリーナーが毎日使用される場合に)。概略的には特許文献1と特許文献2を参照されたい。
【0006】
しかしながらこれらの「こすり洗い不要」洗剤がうまく働くためには、好適にはこれらは、シャワーが使用された直後に塗布されるべきである。これは、消費者がポンプスプレーボトルをシャワー・エンクロージャーの中または付近に置いておき(ひいてはシャワー領域を乱雑にする)、消費者がスプレーすることを忘れない(もし消費者が目覚めたばかりであれば問題であるかもしれない)こと、消費者がエンクロージャーをスプレーするための時間を消費することを厭わない(例えばこれは午前中遅くまでかかるかもしれない)こと、を必要とする。
【0007】
これに代わる手法は、シャワーに自動洗浄システムを備えることである。例えば特許文献3は、浴室・シャワー・エンクロージャー用の噴霧器・導管システムを開示している。このユニットは、シャワーヘッドに連結している。水道は、エンクロージャーを洗浄するために噴霧器に転用され得る。壁に洗剤をスプレーするために(注入器アセンブリを介して)洗剤を導入するように、洗剤の容器がシャワー・エンクロージャー内に取り付けられる。
【0008】
このシステムの欠点は、ユーザが手動で水道の栓を開き(もし既に開かれていなければ)、切替え器を調節し、洗剤を噴霧器に詰め込み、壁が洗浄された後に水を止めなくてはならないことである。消費者が洗剤でスプレーされるというある危険も存在する。
【0009】
特許文献4に開示されているような別の自動化エンクロージャー洗浄システムは、更に精巧であって、これは洗剤濃縮液が水と混合される混合バルブ(弁)にマニホルド(多岐管)によって接続された多数のポップアウト・スプレーノズルを備えている。したがって

これは、消費者が簡単に低価格で自分のシャワー・エンクロージャーに改装取付けできるようなものではない。
【0010】
特許文献5は、それぞれ浴槽・シャワー室の周りの軌道を移動する大きな動力付き浴槽・シャワー「グライダー」を有する浴槽・シャワー用の自動洗浄装置を開示している。これらのグライダーは水道に連結されており、水道水は洗剤と混合される。これらのグライダーは、浴槽・シャワーの壁に洗剤溶液をスプレーするためのスプレーヘッドを有している。これらのグライダーはまた、壁をこすり洗いするためのブラシも有している。ユーザは、これらのグライダーと洗剤混合を中央制御装置によって操作する。このシステムもまた、容易で安価な改装には適当でない。
【0011】
シャワーヘッド、シャワー・エンクロージャーの壁などから吊り下げることができて建物の水道から水を引く必要なしに洗剤を分与できる比較的小さな自動ディスペンサーを開発することが特に望ましいと思われる。このようなシステムが洗浄流体の逆さにされたボトルを受け入れ、このボトルから洗浄流体を分与するためにバッテリー駆動の電気モータを使用することもまた望ましいであろう。このようなシステムが起動された後、一定時間、洗剤の流れを遅らせ、またそれからある決められた時間後にシステムを止めることが更に望ましいであろう。これにより消費者は、スプレーが始まる前にエンクロージャーを出るための時間が与えられるであろうし、また消費者は装置を止めるためにその付近に留まる必要がなくなるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際特許出願WO96/22346号公報
【特許文献2】国際特許出願WO98/02511号公報
【特許文献3】米国特許第4,872,225号公報
【特許文献4】米国特許第4,383,341号公報
【特許文献5】米国特許第5,452,485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながらこのようなシステムの開発は、かなりの難題である。例えば非常に低価格で信頼度の高い洗浄を達成すること、流体の浪費やエンクロージャーの洗浄できない場所をなくすために洗浄流体の流れの信頼度の高い制御を提供すること、装置で使用できる洗浄流体の幾つものタイプに対する制御を用意することが望まれる。本発明は、これらの要求への解決を探求する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様は、液体洗剤でエンクロージャーをスプレーするための自動噴霧器を提供する。好適なエンクロージャーは、浴室および/またはシャワー室である。しかしながら他のエンクロージャーも本発明を使用して洗浄できる(例えばユニットが便器カバーの下側に取り付けられる便器等)。
【0015】
噴霧器は、液体洗剤(例えば国際特許出願WO96/22346号公報に記載されたような洗剤)を収容するのに適した貯蔵器(リザーバ)と、この貯蔵器と流体的に連通するポンプと、液体洗剤が貯蔵器内に存在する場合に貯蔵器から洗剤がポンプの動作時にエンクロージャーの壁をスプレーするように吐出され得る出口オリフィスを有する可動スプレーヘッドとを有している。またポンプとともにスプレーヘッドをも動作させるモータ駆動機構も有している。
【0016】
好適な形態ではポンプは、流体ラインによってスプレーヘッドに接続され、この流体ラインはポンプが動作していないときにスプレーヘッドへの流れを中断する弁(バルブ)を有しており、流体ラインの経路上であって、この弁の上流にフィルタを有し、この流体ラインは、流体ラインが噴霧器に対して固定される入口で接合部に接続し、この接合部を介してスプレーヘッドに接続されており、またスプレーヘッドは回転可能なシャフトを介して前記接合部に接続している。このシャフトは前記入口と連通する流体通路を供給し、このシャフトは前記スプレーヘッドを取り付けるフォーク(二又)端部を有しており、前記接合部は前記シャフトの周りに配置された弾力性シールを含んでおり、そして前記接合部は前記入口を含む取外し可能なキャップを含んでいる。所望であればこのキャップは、前記駆動機構を支持する固定されたプレートの壁に取り付けられ得る。
【0017】
もう一つの態様では噴霧器は、液体洗剤を収容するのに適したボトルと、このボトルを逆さ向きに支持する貯蔵トレーと、吐出できる液体洗剤がボトル内に存在する場合にボトルから洗剤がエンクロージャーの壁をスプレーするように吐出され得る出口オリフィスを有するスプレーヘッドと、貯蔵トレーからボトルに延出し通気用通路をも供給する穴あき支柱(ポスト)とを有している。この穴あき支柱への空気流を制御し、前記穴あき支柱を通って流体が流出するのを抑制する逆止め弁(チェックバルブ)が存在し得る。
【0018】
この変形により、ボトルからの流体の流れを容易にする(例えば、ボトル内の如何なる負圧効果も克服する)。しかしながらこの形態は、空気が加えられることにより泡立ちが引き起こされることを避ける方法で実施される。空気は、ボトル下側出口から出て穴あき支柱を通過して上昇する。
【0019】
更に他の形態では本発明は、液体を分与するためのディスペンサーを提供する。液体の収容に適したボトルと、このボトルを逆さ向きに支持するための上方に延びる井筒を有する貯蔵トレーと、このボトルの上端を閉塞するキャップと、を有する。この井筒は、スプリング装填出口弁を有しており、前記出口弁は前記キャップの一部が出口弁に接触するときに前記井筒からの液体の流出を許す。このキャップは、前記井筒の側面にシールを形成するために放射状に延びるウェブ(web)を有することもできる。好適な形態ではこのディスペンサーは、液体洗剤を分与するための自動噴霧器である。
【0020】
許可されたボトルだけがこのシステムで使用されることを保証することを助ける他の特徴も存在し得る。例えばボトルのための受入れ井筒の形状は、このボトルに類似の形状に従うように独自に傾斜させたり、または輪郭を作ることができる。
【0021】
これらの構造は、空気が制御されずに流体供給源内に流入しないことを保証する。これらの構造はまた、特別に設計されたボトルだけがこのシステムで使用されることも保証する(それによって不適当な化学薬品の使用を抑制する)。
【0022】
なお更に他の形態では噴霧器は、第1のコンパクトな構成から第2のハンガー構成に調整可能であるハンガーを備える。このハンガーは空洞とスライダとを有するタワーの形をしており、このスライダはタブ・スロット構成で前記タワーに係合する。
【0023】
この構造は、このユニットが比較的短いカートンで出荷されることを可能にする。しかしながら消費者は、必要に応じて十分な吊り下げ長さを与えるようにスライダを伸ばすことができる。
【0024】
本発明のまた別の形態では、流体ラインを回転可能なノズルに連結するためのアセンブリを提供する。前記アセンブリは、流体入口ラインと、エンクロージャーの壁をスプレーするように回転可能なノズルと、この流体入口ラインに取り付けられ、これに関して回転可能に固定されたチャンバ(chamber)と、このチャンバ内に配置されたシールと、このシールがその周りに配置されている前記チャンバ内に配置された一端部と前記ノズルに接続された反対側端部とを有しており、また回転可能であって前記チャンバと前記ノズルとに連通する通路を画定するシャフトと、を有することができる。この構造は、漏出の危険を最小に保ちながら、供給ラインを回転可能なシャワーヘッドに取り付ける手段を提供する。
【0025】
好適な形態では、Oリングと、このOリングに接触してこのOリングを押圧するように前記シャフトの外側に放射状に前記チャンバ内に突き出ている環状表面を有するキャップとを有することができる。
【発明の効果】
【0026】
上記の説明と以下の論議から理解されるように本発明の種々の態様は、実質的な利点を有している。一つには電気モータは、ポンプを駆動してシャワーヘッドも回転させる二重の機能を実行する。したがってこれは、洗浄すべきエンクロージャーの実質的な領域に十分な定められた量の洗浄流体を放射するための極めて効率的な解決を提供する。
【0027】
ボトル内における負圧形成あるいは制御されない空気流通の問題もまた、本発明によって解決される。更にボトルとその受入れ容器との間に、ボトルがいったん空になったとき再充填されないこと、また異なる設計のボトルがこの装置での使用に最適なボトルの代わりに使用されないこと、を保証するのを助けるための手段が提供される。
【0028】
潜在的にあり得る漏出または逆流に関する懸念もまた、本発明によって解決されており、製品はコンパクトに出荷され、調整可能に取り付けられるように設計されている。
【0029】
これらの利点は、比較的安価な部品で比較的低コストで構成できるアセンブリによって達成される。したがってこのアセンブリは、手持ち型スプレー洗浄器の実用的な代替手段である。
【0030】
更に本発明は、(i)いったんユニットが起動されてからある決められた期間、スプレーの開始を遅らせ(消費者がエンクロージャーを出るための時間を与えるため)、(ii)自動的停止を提供し(消費者が洗浄サイクルを終了まで待たずに仕事その他の活動に行くためにその場を離れ得るように)、(iii)洗剤が誤って消費者にスプレーされないようにシステムが起動されようとするときに聴覚的または視覚的(例えばフラッシュライト)警報を与える制御システムによる使用に適している。
【0031】
このシステムの電力使用量は、システムが洗浄プロセス時の短時間動作する必要があるのみであるので、極めて低い。したがってこのシステムは、バッテリー駆動が可能であり、これによって室内用電力が必要とされる場合に発生しうる諸問題を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】噴霧器にセットされる前の逆さに示されている洗剤ボトルとともに示される、本発明の自動噴霧器の斜視図。
【図2A】図1の噴霧器の分解斜視図。
【図2B】図1の噴霧器の分解斜視図。
【図2C】噴霧器に使用されうる一つのポンプの分解斜視図。
【図3】図1の線3−3に沿って切り取られた噴霧器の側面横断面図。
【図4】ポンプと駆動機構とを示す図3の線4−4に沿って切り取られた、ポンプとモータを詳細に示す部分横断面図。
【図5】スプレーヘッド駆動部と、ディスペンサー・チューブとの接合部とを示す図3の線5−5に沿って切り取られた前面横断面図。
【図6】スプレーヘッド駆動部のための歯車列を示す図3の線6−6に沿って切り取られた横断面図。
【図7】制御回路と洗剤流れ経路とを示す模式図。
【図8】ボトルキャップを有する洗剤ボトルの部分的下面斜視図。
【図9】トレーに装着されたボトルと開放された吐出弁とともに示されるボトル・トレー接続面の拡大図。
【図10】図9と同様だが、トレーから取り外されたボトルと閉じられた吐出弁とを示す図。
【図11】ボトルを取り除かれたトレーの上面図。
【図12】吐出弁と穴あき支柱とを示す部分拡大上面図。
【図13】図10の線13−13に沿って切り取られた横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明のこれらおよび他の利点は、下記の詳細説明と図面とから明らかになるであろう。下記が単に好適な実施形態の説明であることを理解されたい。この説明は、請求項の全範囲の限定を意味するものではない。本発明の全範囲を判断するためにはむしろ請求項が参照されるべきである。
【0034】
本発明の自動噴霧器は、図全般において参照番号20によって示される。特に図1〜2Bを参照すると、噴霧器20は、主要構成品としてボトル22と、調整可能ハンガー26を有するハウジング24と、ポンプ28と、駆動機構30と、スプレーヘッド32と、制御回路34とを含む。この噴霧器は一般的には、シャワー噴出口などからハンガーを介して吊り下げられ、それから後で分与が自動的に終了するまでのある一定のスプレーサイクルの間中、スプレーヘッドを回転させ、ボトルからの洗剤をスプレーヘッドからポンプ放射するために、噴霧器の前面のボタン35を介して起動される。
【0035】
噴霧器の外形は、主として二つの部分すなわち、受入れ容器36とこの受入れ容器のポケットに容易にスナップ嵌めされるハンガータワー38とからなるハウジング24によって画定され、任意の適当な手法によって例えばプラスチックから成形できる。これは、噴霧器が消費者による組立てが最小限のコンパクトなパッケージで出荷され保管されることを可能にする。ハンガータワー38は、ハンガー26の細長い胴体がその上端の開口部40を通して嵌め込まれる空洞を画定する直立型の部材である。ハンガータワー38の上端部は互いに垂直方向に離れて配置された二つの楕円形開口部42を有している。
【0036】
ハンガーの下端部に形成された可撓タブ44は、これらの開口部の一方にスナップ嵌めされることにより二つの延長位置のどちらかでハンガーをロックすることができる。ハンガーは、ハンガータワーから単に引き出されることによって延出され下方の開口部にロックされる。この位置で噴霧器20は、シャワー壁を下向きにスプレーするために適当な高さで標準的シャワー噴出口から吊り下げられるであろう。この高さは、タブを内側に押し下げてハンガーを上下にスライドさせることによって調節できる。ハンガー自身は、ゴムストラップ48を取り付けるためにその上端部に二つの耳46を有している。これらの耳は、ストラップの接続を容易にするために先細り(テーパー)にされることができ、ストラップはシャワー噴出口などの周りにしっかり嵌め込まれるように調整目的の一連の孔をその一端に有することができる。ハンガータワーの背面は、背板50によって閉塞されている。ハンガータワーは、その下端部で受入れ容器に連結されており、この下端部はポケット52に嵌め込まれ、また受入れ容器の背面の二つのスロットにスナップ嵌めされる二つのラッチ54(その一つが図示されている)を有している。
【0037】
受入れ容器は、ポンプ・駆動機構をカバー60によって底部に封閉して収納するコンパートメント58(図4を参照)の上方に、上側に開放しているボトルトレー56を画定している。このカバーは、スプレーヘッドのための円形裾付き開口部62と、受入れ容器の下端を壁に固定してそれを垂直に保持するためにポケットの分の距離だけ後方に延びる壁面スタンドオフ(支持体)64とを有している。受入れ容器の背面は蓋68を有するバッテリー・コンパートメント66を画定しており、正面は制御ボタン35のための楕円形のスイッチ開口部70を有している。
【0038】
トレー56は、特別に輪郭形成されたボトルの上端部と合致するように形成される。ボトルとトレーは概ね楕円形であって、それぞれ相補的V字形特徴部80、82と係合する着座面72、74と、傾斜付きショルダー部76、78とを有している。これらの特徴部とショルダー部の輪郭は、トレー内のボトルの向きを固定し、通常の洗剤ボトルは噴霧器の正しい動作に適合しないようにしている。
【0039】
次に図9〜12を参照するとトレーは、ボトルの口にネジ止めされる特殊なキャップ86を収容する着座面74の中心に、円形井筒84を画定している。この井筒は、ショルダー部88と、通気ニップル90と、吐出ニップル94を有する凹部92とで形成される。この井筒は、2本のネジ97(図3を参照)によってこれに固定された弁板(バルブプレート)96(図2Aを参照)を支持する。弁板は、この弁板から上に突き出ている穴あき支柱98を有している。この支柱は、鋭い尖端を画定する傾斜した上端部を持ち、通気用通路100と3個の半径方向のリブ102とを画定する。通気用通路は、この通気用通路と通気ニップル94の開口部とを取り囲む小さなOリング106を収容する、弁板の下面の凹部104内に延びている。弁板はまた、弁軸112が延びる吐出通路110で弁凹部108を画定している。弁軸の上端部は、弁凹部に嵌め込まれたコイルスプリング116によって井筒から離れるように片寄せられている十字形のプランジャー114を有している。
【0040】
弁軸の下端部は、この弁軸の拡大端部120によって保持された円板状のゴムガスケット118を取りつけている。図10に示すようにプランジャーは、噴霧器が使用されていないときに吐出オリフィスを閉塞するために、ガスケットが弁板の下面をシールするようにスプリングによって上方に片寄せられている。弁板はまた、その周辺から僅かに内側に間隔を置いた弓形のスタンドオフ(支持体)124を画定している。弁板と井筒は、専用の洗剤以外の洗剤の使用を断念させ、それによって噴霧器の正しい動作を促進するために特別に設計されたボトルキャップ(下記に説明される)と協同動作するように設計されている。
【0041】
次に図8〜11を参照するとキャップは、概ね円形であって鋸歯状の外周126とそのショルダー部の上でトレー井筒を封じる(シールする)テーパー付きシール用フランジ(またはウェブ)128とを有している。キャップの最上部は、その中心に凹んだ薄肉領域132を備える外側表面130を有し、薄肉領域132の周りには外側表面130から離れた平面に延びる高くなったリング状表面134を有する。この薄肉領域132は、ボトルがトレーに取り付けられると穴あき支柱が洗剤の吐出とボトルの通気とを可能にするために、この領域でキャップに穴を開けるように配置されている。この高くなったリングは、ガスケットを板から離して吐出オリフィスを開放するために、弁のプランジャーに接触して弁を押し下げるように配置される。キャップの平らな表面130は、井筒の底面から穴あけされた領域が離して置かれるようにスタンドオフ124上に載置される。
【0042】
したがってこの構成は、ボトルを開放して挿入する整理された手段を与える一方、更に不適当な洗剤容器の使用をも抑制する。これには幾つかの理由がある。第一に、もし通常のボトルとキャップがトレーに挿入されたとすると、穴あき支柱は、弱い領域を持たない通常のキャップを穴あけしないであろう。口が開けられるようにキャップが取り除かれても、噴霧器は、従来の薄い壁のボトルの口が通常延びている場所の半径方向内側に弁が位置していることにより、弁が開かないので、まだ動作しないであろう。
【0043】
この目的を果たす他の特徴は、互いに適合する、傾斜付けられたボトルの形状と、それを受ける壁面である。相補的形状を持たないボトルは、出口弁を動作させるために十分低く受け入れられないであろう。
【0044】
またキャップはボトルの口のネジ138に係合する通常の雌ネジ136をその上端部に有しており、またボトルの対応するラチェット歯142に係合する一方向ラチェット歯140のリングも有している(図13を参照)。これらのラチェットは、締める方向には回転可能だが緩める方向の回転には抵抗して、キャップを破壊せずに取外すことを防止し、それによってボトルの詰め替えを防止している。
【0045】
図2B〜6は、ボトルトレーの下の受入れ容器コンパートメント内に在るポンプとコントローラと駆動機構とを示す。これらのコンポーネントの、ボトルトレーの接続面からスプレーヘッドまでの作用が次に説明される。短い通気管144は、トレー井筒における通気オリフィスを画定する通気ニップル146に連結する。小さな逆止め弁148が通気管の端部に嵌合している。逆止め弁は通常、その通路を介して洗剤が漏れ出ないように閉じられている。弁は、洗剤がボトルから引き出されるにつれて発達する負圧によって開く。開かれた逆止め弁は、泡立てたりゴボゴボさせたりする仕方で空気を導入することなしに好適な方法で洗剤がボトルから流れることを可能にするように空気をボトルに吸い込ませる。逆止め弁は、ボトル内の圧力が負圧を緩和して十分に等しくなるまで開いており、それから閉じる。
【0046】
トレー井筒の吐出オリフィスを画定する吐出ニップルからディスペンサー・ライン154の第1の管152は、ボトルトレーの下側に取り付けられた支持体158にスナップ嵌めされるポンプ28の入口の返し(barb)156まで延びている。このポンプは、膜ポンプ、ピストンポンプ、蠕動ポンプ、図示の歯車ポンプといった任意の通常のポンプであってよい。入口は、相互に噛み合う駆動歯車160と遊び歯車162との間に通じる通路を画定する(図2Cを参照)。駆動歯車は、受入れ容器の下側カバーに取り付けられた歯車板(ギアプレート)167の開口部に取り付けられた直流モータ166の上部シャフト164(Oリング165によって囲まれた)に接続される。このモータの動作は、従来のように遊び歯車に係合してこれを回転させる駆動歯車を回転させ、洗剤をボトルから出口の返し168まで引き出す。第2の管170は、この出口の返しをフィルタ172に接続する。このフィルタは、そのハウジング内に洗剤を蓄積し、ポンプをプライミング(呼び水差し)するのを助ける。ディスペンサー・ラインの短い管174は、フィルタ172を、もう一つの短い管178が接続されるもう一つの逆止め弁176に接続し、逆止め弁176から、シャフト接合部182の入口の返し180に支持のためのスプリング179が連結される。
【0047】
図2B、5を参照すると接合部182の固定部分は、内側ショルダー部185を有し、キャップ186によって一端を覆われた円形壁184に歯車板によって部分的に形成されたチャンバである。このキャップは、入口の返し180と、円形壁内で下方に延びてOリング190をショルダー部に押圧する高くなった環状リング188とを含む。このOリングは、機能の回転部分を形成する回転スプレーヘッド駆動シャフト192の上端部をシールする。駆動シャフトは、通路196と、受入れ容器カバーの開口部を通って下方に延出してスプレーノズル202を収容するギャップ200を画定するフォーク端部198とを画定する円筒形ステム(心棒)194を有する逆Y字形構造体である。フォーク端部は、横向き取付け支柱204を有し、この上にスプレーノズル202を覆い隠すドーム形カバー206がスナップ止めされる。
【0048】
スプレーノズルは首振り(oscillating)スプレー(この場合は上下の)を提供する流体発振器が好適であるが、他の適当な如何なるノズルでも使用可能であろう。例えば既知の流体発振器の例を示す米国特許第4,562,867号を参照されたい。このような流体発振器は、相対する両側に入口210と出口212とを有するハウジング208を含む適当なサイズの如何なる発振器でも良い。ハウジングの内部のバリア部材(図示せず)は、入口に入ってくる洗剤がバリア部材の中と周りを通り抜けて出口に達するように入口と出口との間に通路を画定する。流体発振器は本技術分野では知られているように、バリア部材を通る通路の両側に交互に低い圧力の領域を作り出すことによってハウジングに入るストレートな流れを振動パターンに変換して動作する。
【0049】
ノズルは、もう一つの管216によってステムから延びる出口の返し214に連結される。ノズルは、その出口端部がカバーの開口部を通って延び、ほぼ30度の角度で下方を指すように取り付けられる。駆動歯車220は、駆動シャフトのステムに圧入されており、下方のモータシャフト228の端部の小歯車226によって駆動されるもう一つの小径の減速歯車224によって回転させられる第1の減速歯車222に係合する。この歯車列は、モータシャフトより遅い分速回転でモータをスプレーヘッドに連結する。この構成は、回転して首振りするスプレーパターンを提供する。
【0050】
また受入れ容器コンパートメント内の支持体には、バッテリー・コンパートメント内のバッテリー端子230(図2A、7を参照)を介して直流電源と、受入れ容器の前面の開口部70に、点灯される水密の柔軟な膜232を介して取り付けられた押しボタンスイッチ35と、に電気的に接続された制御回路34が取り付けられる。この回路は、タイミング回路234と下記のように機能するスピーカ236とを含む。
【0051】
噴霧器の電気的構成が分与ラインおよびボトル通気流れ経路とともに図7に示されており、下記のように動作する。ボトルが噴霧器に装填される(すなわちボトルは逆さまにされて受入れ容器トレーにセットされる)と、ボトルキャップの薄肉領域は、穴あき支柱によって穴あけされ、キャップシール用フランジはトレー井筒を密封(シール)し、また環状リングは吐出弁のプランジャーに接触してこれを押し下げ、弁を開く。洗剤は、ボトルから穴あき支柱のリブの間と周りに注ぎ出て、通気管を通して等しい体積の空気によって置き換えられる。
【0052】
空気は洗剤より軽いので、ボトルにトラップされた空気はボトルの最上部に移動する。洗剤は、ボトルから注ぎ出て弁板を介して流出し、ディスペンサー・ラインに入ってポンプを通り、フィルタを通過して弁176に到達する。噴霧器が動作するまでこの噴霧器は、洗剤がボトルから流れないこの平衡状態に留まっている。
【0053】
ユーザが洗剤でエンクロージャーの壁をスプレーしたいときにはユーザは、単に噴霧器の前面のスイッチを押すだけである。これは、例えば20秒といった予め決められた時間だけスプレー動作を遅らせるカウントダウンを開始する信号をタイミング回路に送る。これにより、ユーザにシャワー・エンクロージャーを出てドアまたはカーテンを閉める時間が与えられる。これはまた、再びこのスイッチを押下することによってスプレーサイクルを中止する時間をユーザに与える。最初のスイッチ押下はまた、噴霧器の動作がすぐにはじまることをユーザに警告するためにスピーカにパルス化されたトーン信号を送り、またスイッチの周りの点灯されるリングをフラッシュ発光させることもできる。
【0054】
ユーザによって取り消されなければ、スプレーサイクルはカウントダウンの終了で自動的に始まる。それからモータに電気が通り、同時にポンプの駆動歯車を回転させ、歯車列を回して駆動シャフトとスプレーヘッドとを回転させる。同時にポンプは、ディスペンサー・ラインを介してボトルから洗剤を引き出し、洗剤が接合部を流れてノズルを通して、スプレーヘッドの回転による円形の首振りパターンにつれて吐出され得るように、弁176を開く。これは、ボトル内の洗剤の水位レベルを下げてボトル内に負圧を生成し、それによって通気管の逆止め弁を開いてボトルに吸気させ、更に多くの洗剤がスプレーサイクル中にボトルから引き出されることを可能にする。
【0055】
モータは、タイマーによって自動的に開始されタイミング回路によって行われる二回目のカウントダウンの終了まで、好適には次の20秒間まで、電気を供給され続ける。カウントダウンの終了時点でモータは、電気が停止されてポンプを止め、弁176を閉める。弁を閉めることは、洗剤がディスペンサー・ラインから漏れ出るのを防止し、またポンプがプライミング(呼び水差し)された状態に留まるように、弁の上流のライン内に洗剤を保持する。このようにして噴霧器は、ユーザからの更なる介入なしに待機モードに戻り、ユーザの要求により再度のスプレーサイクルの準備ができた状態になる。
【0056】
このようにして本発明は、浴室・シャワー・エンクロージャーを自動的に洗浄するための装置を提供する。ボタンを単にタッチすることで、動作完了時に自動的に停止するスプレーサイクルを開始する。消費者は、シャワーを自分でスプレーする時間を費やす必要はなく、洗浄液を浴びる危険も少ない。洗剤を補充するために必要なことは、古いボトルを取り外し、新しいボトルを逆さまにしてトレーに装着することだけである。
【0057】
噴霧器は、スプレーサイクルの間、適当な量の洗剤を自動的に計量しながら供給する。この量は、スプレーサイクルの持続時間を増加または減少させることによって異なるサイズのエンクロージャーのために容易に変えることができる。更に噴霧器は、水道ラインには連結されない。これは、本装置が既存のシャワー・浴槽エンクロージャー内の任意の位置に設置されることを容易にしている。またこれにより、壁を損傷することなく取外し可能に取り付けることができる。
【0058】
本発明の態様は、浴槽/シャワー環境以外の洗浄または消毒溶液を分与する用途に使用できることも留意されるべきである。これに関して米国特許第4,183,105号は、一つのタイプの自動洗浄装置が便器を洗浄するためにどのように設置できるかを説明している。
【0059】
本発明者らは、便器カバーの下側に取り付けるように設計され、タンクの近くの貯蔵器から送られる洗浄流体を供給源として便器に化学薬品をスプレーする、本発明の一実施形態を構想している。このような構造体は、この用途の目的のための「エンクロージャー」であると考えられるべきである。
【0060】
本発明の好適な実施形態は、上記にて十分詳細に説明されてきた。これらの好適な実施形態の多くの修正形態と変形形態は、本技術に精通する人々にとって明らかであろうし、またこれらは本発明の精神と範囲とのうちに入るであろう。例えば開示された実施形態の混成形態が実施可能であろうし、また電子式のタイマー・モータ・ユーザ通知システムは、これに対応するものとして、本技術分野で既知の機械式(巻上げ式)システムによって置き換え得るであろう。したがって本発明は、説明された実施形態に限定されるべきではない。本発明の全範囲を確かめるためには、請求項を参照されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、浴室・シャワー・エンクロージャーなどの壁を自動的にスプレーするための噴霧器を提供する。
【符号の説明】
【0062】
20 自動噴霧器
28 ポンプシステム
32 スプレーヘッド
26 ハンガー
24 ハウジング
22 ボトル
98 穴あき支柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体洗剤を収容するのに適したボトルと、
前記ボトルを逆さ向きに支持する貯蔵トレーと、
吐出できる液体洗剤が前記ボトル内に存在する場合に前記ボトルから洗剤が吐出され得る出口オリフィスを有するスプレーヘッドと、
前記貯蔵トレーから前記ボトル内に延出するとともに、通気用通路をも与える穴あき支柱と、を含み、
前記貯蔵トレーと前記ボトルとは、それぞれ相補的形状部及び傾斜付きショルダー部を有し、前記相補的形状部及び傾斜付きショルダー部の輪郭は、貯蔵トレー内のボトルの向きを固定するように形成される、エンクロージャーを液体洗剤で噴霧するための自動噴霧器。
【請求項2】
前記穴あき支柱への空気流を制御し、前記穴あき支柱を通って流体が流出するのを抑制する逆止め弁を更に含む、請求項1に記載の自動噴霧器。
【請求項3】
前記貯蔵トレーには、前記ボトルの口にネジ止めされるキャップを収容する着座面の中心に円形の井筒が形成されるとともに、前記井筒は前記穴あき支柱が突出する弁板を支持する、請求項1に記載の自動噴霧器。
【請求項4】
前記キャップの最上部は、その中心に凹んだ薄肉領域を備える外側表面を有し、前記薄肉領域は、ボトルが貯蔵トレーに取り付けられると前記穴あき支柱が洗剤の吐出とボトルの通気とを可能にするために、前記薄肉領域でキャップに穴を開けるように配置される、請求項3に記載の自動噴霧器。
【請求項5】
前記スプレーヘッドは前記貯蔵ボトルから洗剤がエンクロージャーの壁をスプレーするように構成される、請求項1から4のいずれか1項に記載の自動噴霧器。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−75730(P2010−75730A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281189(P2009−281189)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【分割の表示】特願2004−506969(P2004−506969)の分割
【原出願日】平成15年5月21日(2003.5.21)
【出願人】(500106743)エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド (168)
【Fターム(参考)】