説明

自動洗浄機用粉末洗浄剤組成物

【課題】アルカリ金属の水酸化物を実質的に使用せずに、高いスケール付着抑制効果と熱変性油に対する高い洗浄性を有する、硬質物品の自動洗浄機用粉末洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(a)ポリアクリル酸又はその塩及びアクリル酸とマレイン酸のコポリマー又はその塩から選ばれるポリマー、(b)メタ珪酸塩及びオルソ珪酸塩から選ばれる珪酸塩、並びに(c)炭酸塩を、特定条件で含有する、硬質物品の自動洗浄機用粉末洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は硬質物品を洗浄するための自動洗浄機で使用される粉末洗浄剤組成物に関するものである。更に詳しくは、厨房の食器類や食品飲料加工用のプラスチックコンテナ等の硬質物品を洗浄する為に使用される自動洗浄機用の粉末洗浄剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動洗浄機は、家庭やレストラン、喫茶店などの厨房における汚れた皿、グラス、調理器具等の食器類の洗浄、食品飲料工場で使用される食材及び製品用のプラスチックコンテナの洗浄に使用されている。主な対象汚れとして、食品由来のタンパク質、デンプン、油脂等があり、これらの汚れが複合して、皿、グラス、調理器具等の食器、プラスチックコンテナに付着している。また、加熱調理の際にこれらの汚れが熱変性し、強固な汚れとなり固着している場合もある。特に、熱変性油については、洗浄困難な汚れであり、この汚れを除去する洗浄剤が求められている。
【0003】
通常、自動洗浄機による洗浄工程は洗浄−濯ぎの順で行われているが、これら工程の所要時間は、洗浄工程が40〜60秒程度、すすぎ工程が5〜20秒程度と非常に短時間である。
【0004】
この為、自動洗浄機用粉末洗浄剤組成物には、これらの強固な汚れを短時間で効率よく洗浄する事を目的として、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、珪酸塩のアルカリ剤が使用されている。特に、これらアルカリ剤の中では、洗浄性の観点から、アルカリ金属の水酸化物が好適に使用されている。しかし、アルカリ金属の水酸化物は、潮解性がある為、ハンドリング性が劣る事や、5%以上配合した場合には、劇物の扱いとなる事から、取り扱い上、使用制限がある。
【0005】
また、洗浄にはCaイオン、Mgイオン等の硬度成分を含有した水道水、井戸水等がしばしば使用されており、これら使用水中の硬度成分と洗剤由来の炭酸根、珪酸根、及び大気中の炭酸ガスが反応し、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム等の生成物を形成する。この生成物は水に不溶である為、食器類や、自動洗浄機の槽内、槽壁等に付着し、スケールと呼ばれる強固な被膜を形成する。その結果、熱交換部の熱効率低下、循環ポンプの閉塞、濃度センサーの誤作動等のトラブルを引き起こす原因となっている。特に、一般家庭用の自動食器洗浄機が1日に多くても数回の使用しか行われないのに対し、レストラン、喫茶店などの厨房で使用される業務用自動洗浄機においては、1日に数時間以上、数十回以上の連続使用が行われ、スケールの付着は大きな問題となっている。
【0006】
スケール付着に起因するトラブル回避の為に、スケール付着の抑制効果が高いトリポリリン酸塩を配合した有リンタイプの自動洗浄機用粉末洗浄剤が使用されてきたが、トリポリリン酸塩は、水の富栄養化の原因物質であり、環境適合性の観点から、無リン或いは非常に少ないリン酸塩の配合系において、有リンタイプと同等以上のスケール付着抑制技術の開発が求められている。
【0007】
このような背景の中、1種以上のアルカリ剤、金属イオン捕捉能を有する高分子物質、及び漂白剤を含有する自動食器洗浄機用洗浄剤組成物が開示されている(例えば、特許文献1)。しかし、この技術は、アルカリ金属の水酸化物を実質的に使用せずに、すなわち、アルカリ金属の水酸化物を全く用いないか、潮解性等による物性や製品安定性を損なわない程度の使用で、高い洗浄性と高いスケール付着抑制効果を両立するには不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−199194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、厨房における汚れた皿、グラス、調理器具等の食器類の洗浄、食品飲料工場で使用される食材及び製品用のプラスチックコンテナの洗浄等において、アルカリ金属の水酸化物を実質的に使用せずに、無リン或いは非常に少ないリン酸塩の配合系においても、高いスケール付着抑制効果と熱変性油に対する高い洗浄性を有する、硬質物品の自動洗浄機用粉末洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、(a)ポリアクリル酸又はその塩、及び、アクリル酸とマレイン酸のコポリマー又はその塩、から選ばれるポリマー〔以下、(a)成分という〕8質量%以上、(b)メタ珪酸塩及びオルソ珪酸塩から選ばれる珪酸塩〔以下、(b)成分という〕10〜90質量%、並びに(c)炭酸塩〔以下、(c)成分という〕を含有し、(b)珪酸塩と(c)炭酸塩の合計が35〜92質量%である、硬質物品の自動洗浄機用粉末洗浄剤組成物に関する。
【0011】
本発明において、硬質物品の自動洗浄機用粉末洗浄剤組成物とは、自動洗浄機で食器、調理器具、プラスチックコンテナ等の硬質物品を洗浄する際に用いる粉末洗浄剤組成物という意味である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、アルカリ金属の水酸化物を実質的に使用せずに、熱変性油に対する高い洗浄性と高いスケール付着抑制効果を有する硬質物品の自動洗浄機用粉末洗浄剤組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<(a)成分>
本発明の自動洗浄機用粉末洗浄剤組成物は、(a)成分として、ポリアクリル酸又はその塩及びアクリル酸とマレイン酸のコポリマー又はその塩から選ばれるポリマーを含有する。ポリアクリル酸又はその塩としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム等が挙げられ、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウムが好ましく、アクリル酸とマレイン酸のコポリマー又はその塩としては、アクリル酸とマレイン酸のコポリマー、アクリル酸とマレイン酸のコポリマーのナトリウム塩、アクリル酸とマレイン酸のコポリマーのカリウム塩等が挙げられ、アクリル酸とマレイン酸のコポリマーのナトリウム塩、アクリル酸とマレイン酸のコポリマーのカリウム塩が好ましい。アクリル酸とマレイン酸のコポリマーのモル比は、アクリル酸のモル数/マレイン酸のモル数として、99/1〜1/99、更に90/10〜10/90であることが好ましい。
【0014】
本発明の(a)成分は、本発明の効果の発現を妨げない程度であれば、アクリル酸及びマレイン酸以外のモノマーであって、アクリル酸及び/又はマレイン酸と共重合可能なモノマーを含んだコポリマーであってもよい。アクリル酸及びマレイン酸以外のモノマーであって、アクリル酸及び/又はマレイン酸と共重合可能なモノマーとしては、ビニル系モノマー、アクリル系モノマー、スチレン系モノマー等が挙げられ、より具体的にはメタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、スチレン等が挙げられる。アクリル酸及びマレイン酸以外のモノマーであって、アクリル酸及び/又はマレイン酸と共重合可能なモノマーの(a)成分中のモル比は、(a)成分として水溶性等の物性や本発明の効果の発現に対して影響を与えなければ限定されないが、(a)成分中に0〜5モル%が好ましく、0〜3モル%がより好ましく、0モル%であることが最も好ましい。従って、本発明のポリアクリル酸又はその塩、及び、アクリル酸とマレイン酸のコポリマー又はその塩は、全構成モノマー中、アクリル酸及びマレイン酸以外のモノマーであって、アクリル酸及び/又はマレイン酸と共重合可能なモノマーを、0〜5モル%の範囲で含むポリマー又はコポリマーであってよい。
【0015】
通常、(a)成分を製造する際の共重合反応には、マレイン酸は無水マレイン酸が用いられるので、上記のモル比は、何れも無水マレイン酸に基づくモル比であってよい。
【0016】
また、(a)成分の重量平均分子量は、スケール付着抑制効果の観点から、1,000〜100,000が好ましく、2,000〜90,000がより好ましい。この重量平均分子量は、アセトニトリルと水の混合溶媒(リン酸緩衝溶液)を展開溶媒とし、ゲルパーミテーションクロマトグラフィーで分子量既知の一般に市販され入手可能なポリマー標準試薬であるポリアクリル酸(例えば、シグマアルドリッチ製分子量スタンダード試薬)を標準物質として求めたものである。
【0017】
<(b)成分>
本発明の自動洗浄機用粉末洗浄剤組成物は、(b)成分として、メタ珪酸塩及びオルソ珪酸塩から選ばれる無機珪酸塩を含有する。(b)成分としては、メタ珪酸アルカリ金属塩、オルソ珪酸アルカリ金属塩が挙げられ、更には、メタ珪酸ナトリウム、メタ珪酸カリウム、オルソ珪酸ナトリウム、オルソ珪酸カリウム等が挙げられ、配合安定性の観点から、オルソ珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウムが好ましい。
【0018】
本発明の(b)成分は、一般的に流通しているメタ珪酸アルカリ金属塩、オルソ珪酸アルカリ金属塩を用いることができるが、構成する珪酸とアルカリ金属酸化物のモル比は、珪酸のモル数/アルカリ金属酸化物のモル数として、0.3〜1.2が好ましく、より好ましくは、0.5〜1.0である。具体的にオルソ珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウムである場合には、SiO2のモル数/Na2Oのモル数として、0.3〜1.2が好ましく、より好ましくは、0.5〜1.0である。
【0019】
<(c)成分>
本発明の自動洗浄機用粉末洗浄剤組成物は、(c)成分として、炭酸塩を含有する。(c)成分としては、炭酸アルカリ金属塩が挙げられ、更に炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられ、洗浄性の観点から、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好ましく、特にスケール付着抑制効果、洗浄性、溶解性、及びコストの観点から、炭酸ナトリウムと炭酸カリウムの併用がより好ましい。又、炭酸カリウムに対する炭酸ナトリウムの質量比は、特に限定されないが、炭酸ナトリウムの質量/炭酸カリウムの質量として1〜10が好ましく、2〜5がより好ましい。
【0020】
<(d)成分>
本発明の自動洗浄機用粉末洗浄剤組成物は、洗浄性とスケール付着抑制効果の観点から、(d)成分として、有機キレート剤を含有することが好ましい。(d)成分としては、(d1)エチレンジアミンテトラ酢酸四ナトリウム、メチルグリシン二酢酸三ナトリウム、L−グルタミン酸二酢酸四ナトリウム等のアミノカルボン酸塩、(d2)クエン酸三ナトリウム、リンゴ酸二ナトリウム、酒石酸ナトリウム等のヒドロキシカルボン酸塩等が挙げられ、エチレンジアミンテトラ酢酸四ナトリウム、メチルグリシン二酢酸三ナトリウム、L−グルタミン酸二酢酸四ナトリウム、及びクエン酸三ナトリウムからなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
【0021】
<自動洗浄機用粉末洗浄剤組成物>
本発明の自動洗浄機用粉末洗浄剤組成物は、上記(a)〜(c)成分、更に必要により(d)成分を含有するものであり、更にその他の成分を含有することができる。
【0022】
本発明の自動洗浄機用粉末洗浄剤組成物中の(a)成分の含有量は、洗浄性とスケール付着抑制効果の観点から、8質量%以上であり、10質量%以上、更に20質量%以上が好ましい。上限は、特に限定されないが、スケール付着抑制効果とコストの観点から、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
【0023】
また、本発明の自動洗浄機用粉末洗浄剤組成物中の(b)成分の含有量は、10〜90質量%である。下限は、洗浄性の観点から、10質量%以上であり、12質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましい。上限は、スケール付着抑制効果の観点から、90質量%以下であり、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。
【0024】
また、本発明の自動洗浄機用粉末洗浄剤組成物中の(c)成分の含有量は、洗浄性の観点から、5質量%以上が好ましい。上限は、特に限定されないが、スケール付着抑制効果の観点から、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。
【0025】
また、本発明の自動洗浄機用粉末洗浄剤組成物における、(b)成分と(c)成分の含有量の合計量は、洗浄性の観点から、35〜92質量%であり、35〜90質量%が好ましく、35〜80質量%がより好ましく、40〜80質量%が更に好ましい。
【0026】
また、本発明の自動洗浄機用粉末洗浄剤組成物における、(b)成分と(c)成分の質量比は、洗浄性とスケール付着抑制効果の観点から、(b)成分の質量/(c)成分の質量として、0.6〜45が好ましく、0.6〜7がより好ましく、1〜3が更に好ましい。
【0027】
また、本発明の自動洗浄機用粉末洗浄剤組成物における、(b)成分の質量及び(c)成分の質量の合計と、(a)成分の質量との比は、洗浄性とスケール付着抑制効果の観点から、[(b)成分の質量+(c)成分の質量]/(a)成分の質量として、0.5〜7が好ましく、1〜6がより好ましく、2〜5が更に好ましい。
【0028】
本発明の自動洗浄機用粉末洗浄剤組成物中の(d)成分の含有量は、洗浄性とスケール付着抑制効果の観点から、1〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。
【0029】
本発明の自動洗浄機用粉末洗浄剤組成物には、(a)〜(d)成分以外に、必要に応じて、芒硝、界面活性剤、漂白剤、酵素、消泡剤、防腐剤、防錆剤、殺菌剤、抗菌剤、色素、香料、ハイドロトロープ剤等を配合する事ができる。
【0030】
本発明の自動洗浄機用粉末洗浄剤組成物に配合される界面活性剤は、目的に応じて、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤を使用することができるが、洗浄性の観点からは、ノニオン界面活性剤が好ましい。
【0031】
本発明に使用できるノニオン界面活性剤は特に限定されるわけではないが、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンジアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、プルロニック型ブロックポリマー、テトロニック型ブロックポリマー、リバースプルロニック型ブロックポリマー、リバーステトロニック型ブロックポリマー、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ミスチリン酸ジエタノールアミド、ミスチリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、パーム核脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルグルコシド類、アミンオキサイド類、等があげられ、特に、洗浄性の観点から、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、プルロニック型ブロックポリマー、テトロニック型ブロックポリマー、リバースプルロニック型ブロックポリマー、リバーステトロニック型ブロックポリマーが好ましい。これらノニオン界面活性剤は単独で用いても二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
ノニオン界面活性剤の含有量は、0.1〜10質量%であり、洗浄性と他の成分とのバランスや経済性の点から、0.5〜5質量%がより好ましい
【0033】
本発明の自動洗浄機用粉末洗浄剤組成物は、硬質物品用自動洗浄機に用いられる。ここで、硬質物品とは、硬質表面を有する部材を主体として含む物品であり、自動洗浄機による洗浄に適した大きさ、形状、材質を有する物品を含む。また、部分的に軟質部材が含まれていてもよい。具体的な硬質物品としては、食器、調理器具、プラスチックコンテナ等が挙げられる。また、自動洗浄機は、これらの硬質物品の自動的な洗浄に適した装置を適宜使用できる。また、自動洗浄機は、これらの硬質物品の自動的な洗浄に適した装置を適宜使用できる。
【0034】
また、本発明の自動洗浄機用粉末洗浄剤組成物は、リンを含む化合物を含有しない、いわゆる無リンタイプの組成物とすることができる。
【0035】
本発明の自動洗浄機用粉末洗浄剤組成物は、0.1質量%水溶液の25℃でのpHが10〜13、更に11〜12であることが、洗浄性、基材損傷性の観点から好ましい。
【実施例】
【0036】
表1、2に示した配合組成の自動洗浄機用粉末洗浄剤組成物を調製し、以下の方法でスケール付着抑制能、洗浄性を評価した。結果を表1、2に示す。
【0037】
〔1〕スケール抑制能の評価
<試験条件>
使用洗浄機:日本洗浄機(株)製 自動食器洗浄機(SANIJET SD113EA6)
洗浄温度:65℃
洗浄時間:45秒
すすぎ温度:85℃
すすぎ時間:10秒
洗浄濃度:0.10質量%
使用水:6°dH硬水(塩化カルシウムにて調整)
【0038】
<評価方法>
SUS304のテストピース(100mm×130mm)10枚を洗浄ラックの所定の位置に設置し、上記試験条件にて、洗浄→すすぎ→室温での風乾の操作を1000回繰り返した後、テストピースの外観を下記の評価基準にて目視判定した。表1、2には、10枚の平均値を示した。
【0039】
<評価基準>
6:試験前と比較して差が無く光沢がある
5:わずかに変色しているがスケールは付着せず、光沢がある
4:変色しているがスケールは付着せず、光沢がある
3:一部にスケールが付着するが、光沢がある
2:全体がスケールで覆われ、光沢がない
1:全体がスケールで覆われ、光沢がなく表面がざらついている
尚、本発明のスケール抑制能評価としては、光沢があると判断される3点以上であれば好ましい。
【0040】
〔2〕洗浄性の評価
<熱変性油の調製>
1Lの四つ口フラスコに菜種油500gを入れ、2L/minの流量にて空気を吹き込みながら180℃で15時間攪拌混合し、室温にて一昼夜冷却し熱変性油を得た。この熱変性油にスダンIVを0.1%入れ、赤色に着色した。
【0041】
<モデル汚垢の作製>
新品の直径20cmポリプロピレン製皿の中央部に、上記の着色した熱変性油5gを刷毛で直径約10cmの円形に均一塗布し、モデル汚垢として洗浄性評価に用いた。
【0042】
<評価方法>
日本洗浄機(株)製 自動食器洗浄機(SANIJET SD113EA6)の洗浄槽(62L)に表1、2の自動洗浄機用粉末洗浄剤組成物62gを投入して、65℃の温水で溶解させた。専用ラックにモデル汚垢を塗布したポリプロピレン製皿4枚をセットして、65℃の洗浄液にて45秒間洗浄した後、85℃の濯ぎ水にて10秒間濯いだ。専用ラックからポリプロピレン製皿を取り出し、以下に示した判定基準にて洗浄性を10人の研究員により目視判定を行い、その点数を平均して評価点とした。
【0043】
<洗浄性の判定基準>
7;4枚のポリプロピレン製皿の何れにも着色痕は全く認められず、汚れが除去されている
6;4枚のポリプロピレン製皿の1枚に僅かな着色痕を認める程度で、殆どの汚れが除去されている
5;4枚のポリプロピレン製皿の2枚に僅かな着色痕を認める程度で、殆どの汚れが除去されている
4;4枚のポリプロピレン製皿の3枚に僅かな着色痕を認める程度で、殆どの汚れが除去されている
3;4枚のポリプロピレン製皿全てに僅かな着色痕を認める程度で、殆どの汚れが除去されている
2;4枚のポリプロピレン製皿全てに着色痕を認め、半分程度の汚れが残留している
1;4枚のポリプロピレン製皿全てに着色痕を認め、殆どの汚れが残留している
尚、本発明の洗浄性評価としては、汚れが除去されたと判断される3点以上であれば好ましい。
【0044】
【表1】

【0045】
【表2】

【0046】
・a−1:ポリアクリル酸のナトリウム塩〔重量平均分子量4,000、ソカランPA25CL Granules(BASFジャパン(株)製):原料情報は、BASFジャパン(株)製品カタログより〕
・a−2:アクリル酸/マレイン酸コポリマーのナトリウム塩〔重量平均分子量70,000、アクリル酸/マレイン酸コポリマー比=70/30、ソカランCP5 Granules(BASFジャパン(株)製):原料情報は、BASFジャパン(株)製品カタログより〕
・ノニオン界面活性剤:プロピレンオキシド・エチレンオキシド・プロピレンオキシド・ブロックポリマー〔重量平均分子量3,100、プロピレンオキシド/エチレンオキシド比=80/20、プルロニックRPE2520(BASFジャパン(株)製):原料情報は、BASFジャパン(株)製品カタログより〕
【0047】
※1:オレフィン/マレイン酸コポリマーのナトリウム塩〔重量平均分子量12,000、ソカランCP9 Granules(BASFジャパン(株)製):原料情報は、BASFジャパン(株)製品カタログより〕
※2:メタクリル酸ホモポリマーのナトリウム塩〔重量平均分子量6,000、特開平6−122894記載の方法に準じて調製後、有効分換算で使用した。〕
※3:アクリル酸/スルホン酸系モノマーコポリマーの塩〔重量平均分子量5,000、アクアリックGL386(日本触媒(株)製):原料情報は、(株)日本触媒 製品カタログより〕
※4:スチレン/アクリル酸コポリマーのナトリウム塩:〔重量平均分子量30,000、特開平3−292400記載の方法に準じて調製後、有効分換算で使用した。〕

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリアクリル酸又はその塩、及び、アクリル酸とマレイン酸のコポリマー又はその塩、から選ばれるポリマー8質量%以上、(b)メタ珪酸塩及びオルソ珪酸塩から選ばれる珪酸塩10〜90質量%、並びに(c)炭酸塩を含有し、(b)珪酸塩と(c)炭酸塩の合計が35〜92質量%である、硬質物品の自動洗浄機用粉末洗浄剤組成物。
【請求項2】
(d)有機キレート剤1〜50質量%を含有する、請求項1記載の硬質物品の自動洗浄機用粉末洗浄剤組成物。
【請求項3】
(b)珪酸塩と(c)炭酸塩の質量比(b)/(c)が0.6〜45である、請求項1又は2記載の硬質物品の自動洗浄機用粉末洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2012−126857(P2012−126857A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281228(P2010−281228)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】