説明

自動混合可能なパテ型材

本発明は、自動混合可能な多成分パテ型材、その成分、該成分の混合物および該自動混合可能な多成分パテ型材で型を得る方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動混合可能な多成分パテ型材、その成分、該成分の混合物および該自動混合可能な多成分パテ型材で型を得る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
型材は、一般に、歯冠、ブリッジ、義歯および他の口腔内装具のその後の調製を支援し、また可能にするために、口腔の硬組織および軟部組織の正確な描写を確保するために使用される。単相成形(一度に1材)、サンドイッチ技術(一度に2材)およびパテ/ウォッシュ技術(その後、異なる2つの時期に2材)のような幾つかの型採得技術が当業者に知られている。
【0003】
一般に、第1段階でこの技術を用いる場合、パテ材を使用して補助用前型を獲得し、その後、第2段階で、ライトボディ「ウォッシュ」材で第2の型を採得することによってこれを精緻化する。混練可能なパテ材を、前型材として患者の口内で硬化させ、該前型を口から取り外した後に形を整え、さらに次の第2段階で、「ウォッシュ」材の層で覆い、口腔の硬組織および軟部組織の正確な描写を得るために、患者の口内で再度硬化させる。サンドイッチ技術では、該2材のポットライフの間にこれを同時に行い、続いて患者の口内で該2材を同時に使用する。
【0004】
前型材(パテ)は、混練可能なパテ材の形態で使用されることが多い。型を採得するための工程を実施するとき、歯科医は通常、型が作成されるとき、より高い背圧が型用トレー内で発生するという利点を備えた歯科材料と、前型材とが接触した際に、かなりの抵抗を示す前型材に頼る。このような抵抗は、トレー内の材料に過度の圧力をかける危険が少ないため、望ましい。過度の加圧は、通常型用トレーと、歯科材料の1つ以上の表面との直接接触を招くため、情報が失われ、該型が役に立たないことがある。
【0005】
口腔内および歯科材料上に導入した際に高い抵抗性を有する型材を提供する1つの可能性は、型が採得される型材に高い粘度を与えることである。このような高粘度は、たとえば、パテ前型材で実現される。このようなパテ前型材は、一般に、基剤ペーストおよび触媒ペーストを含む2K材料として提供され、該基剤ペーストおよび該触媒ペーストは、しかるべく印が付けられた容器から塊として取り出され、該塊は手作業で混練される。
【0006】
しかし、ポリオルガノシロキサン類をパテ歯科用型材として使用する際に、多数の問題が生じた。
【0007】
上記の計量は、通常、該混練可能な材料を容器から取り出す薬匙で行われる。この手順は、概して、大きな力の消費を伴う。該成分を均質の化合物に混練するときもまた、大きな力の消費が必要である。この計量および混合の手順は、多数の間違いを伴う可能性があり、その中でも最たるものは、2成分の計量間違いおよび不均質な混合である。両因子はともに架橋不足につながる可能性があり、モデル製作の正確さは、もはや保証されない。加えて、手作業での混練は、触媒毒を該材料に導入する可能性があり、これは型材の硬化を減速したり部分的に妨げることさえあり、これがまた型の忠実さに不利な可能性がある。
【0008】
多くの2K−オートミックス(Automix)歯科用シリコーンパテ材はこれまでは、普及している利用可能な混合装置で混合することができるという稠度に関して制約を示す。型材の分野では、ペンタミックス(Pentamix)(商標)でも、ガラント−ミキシング・システムズ(Garant−mixing systems)でも、ペーストを押し動かして混合するために必要な力が制限されるため、ヘビーボディ粘度以下の稠度を混合することができる。
【0009】
この問題を克服するために、多数のいわゆるパテカートリッジ材が知られており、また市販されている。これらの材料は、上述の混合システムで加工できると考えられ、混練可能なパテ材の代替物として提供される。ISO 4823によれば、これらの材料は、ライトボディ乃至ヘビーボディの稠度を有する。これらの材料は、概して架橋反応が急速なため、そのポットライフの初期に既に比較的高い架橋度を示す。結果として、これらの材料の初期稠度は、そのポットライフ中に急速に上昇しており、首尾よくその間使用できる、その材料の総体的ポットライフは短縮される。ポットライフを比較的短期間超過した際に、または異常に高い環境温度で、該型材は、架橋した、弾性領域を早期に形成したり、または完全に硬化したりする可能性がある。しかし、このような早期硬化または部分的硬化は、該材料に歯科医が圧力を加えた際に、歪んだ、変形した領域をもたらす可能性があり、弾性領域の復元力が該型を変形させるため、その型は、口腔から取り外した後、基本的には役に立たない。
【0010】
(特許文献1)では、少なくとも2つの成分AおよびBを含む型を作製するための多成分系が提案されている。成分Aは、少なくとも2個のアルケニル基を有する少なくとも1つの化合物、少なくとも1個のアルキニル基および/または少なくとも1個のSi−OH構造単位を有する少なくとも1つの化合物および少なくとも1個のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを含有し、成分Bは、少なくとも1つの縮合触媒および/または縮合架橋剤および少なくとも1つのヒドロシリル化触媒を含有する。この明細書によれば、該材料は2段階で硬化する。しかし、提案されたシステムは、Si−OH化合物とSi−H−化合物とを基剤中で一緒に混合すると、穏やかな塩基条件下または酢酸条件下であっても、該Si−OH−化合物の自己縮合のために、貯蔵寿命の減少を招く可能性があり、またSi−OH−基とSi−H−基との反応が、貯蔵中または硬化反応中に水素が生じる結果となる可能性がある限り、不都合である。
【0011】
(特許文献2)では、2成分AおよびBから自動混合可能なパテを調製することが提案されており、ここで、基剤ペーストと触媒ペーストとの混合比は5:1であり、また該基剤ペーストは、800〜2000Pasのブルックフィールド(Brookfield)粘度を有する。しかし、開示されている材料は通常、オートミキシング・システム(Automixing system)の改良を必要とする。2段階縮合機構については全く記述されていない。
【0012】
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/0147275号明細書
【特許文献2】DE 101 16 223号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第 0 615 787 A1号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第 0 730 913 A1号明細書
【特許文献5】PCT/EP 98/01993号パンフレット
【特許文献6】PCT/EP 98/01858号パンフレット
【特許文献7】欧州特許出願公開第0 492 413号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第0 492 412号明細書
【特許文献9】米国特許第4,035,453号明細書
【特許文献10】米国特許第5,159,096号明細書
【特許文献11】国際公開第97/03110号パンフレット
【特許文献12】独国特許発明第4427528 C2号明細書
【特許文献13】欧州特許第0 639 622 B1号明細書
【特許文献14】米国特許第3,715,334号明細書
【特許文献15】米国特許第3,775,352号明細書
【特許文献16】米国特許第3,814,730号明細書
【特許文献17】米国特許第3,933,880号明細書
【特許文献18】独国特許出願公開第43 06 997 A号明細書
【特許文献19】国際公開第87/03001号パンフレット
【特許文献20】欧州特許第0 231 420号明細書
【特許文献21】欧州特許第0 480 238号明細書
【特許文献22】国際公開第96/08230号パンフレット
【特許文献23】欧州特許第0 268 347号明細書
【特許文献24】国際公開第97/37632号パンフレット
【非特許文献1】W.ノール(W.Noll)、「シリコーンの化学およびテクノロジー(Chemie und Technologie der Silikone」、フェアラーク・ヘミー・バインハイム(Verlag Chemie Weinheim)2版、1964年、162〜206ページ
【非特許文献2】J.バーグハード(J.Burghardt)、「シリコーン、化学およびテクノロジー」中の、ポリシロキサンの化学およびテクノロジー(Chemie und Technologie der Polysiloxane in “Silikone, Chemie und Technologie”)、ブルカン・フェアラーク(Vulkan Verlag)、エッセン(Essen)、1989年、23〜37ページ
【非特許文献3】シー(Shih)ら、J.Polym.Sci.75(2000)545)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は、オートミキシング・システム(Automixing system)で混合して分注できる、付加架橋可能なポリジメチルシロキサン類を主成分とする、オートミキサーに適した型材を提供することにあった。さらなる本発明の目的は、2段階反応機構のため、混合後、第1段階で、粘度が変化して、増大した粘度を有する混練可能なパテ材を形成する、付加架橋可能なポリジメチルシロキサン類を主成分とする、オートミキサーに適した型材を提供することにある。
【0014】
本発明との関係において、用語「オートミキサーに適した型材」は、たとえば、ミックスパック(Mixpac)の静的ミキサーを通って2成分使い捨てカートリッジから(ケラー(Keller)(特許文献3)、(特許文献4))、または、たとえば、DMG−ミュールバウエル(DMG−Muehlbauer)の「ミックススター(Mixstar)」装置内((特許文献5)および(特許文献6))、またはスリーエム(3M)ESPE AG((特許文献7)および(特許文献8))の「ペンタミックス(Pentamix)(商標)」および「ペンタミックス(Pentamix)(商標)2」装置内の、ダイナミックミキサーを通って、デュアル−チャンバ再使用可能カートリッジ内の管状フィルムバッグから、分注できる多成分型材に関する。
【0015】
本発明のさらなる目的は、上述の先行技術の型材から分かっている欠点を回避する型材を提供することにあった。本発明のさらなる目的は、後述する型材を利用して型が作られる対象物から型を作製する方法を提供することにある。特に、目的は、簡単にかつ容易に混合することができ、またオートミキサーに適し、型を作製するのに適当であり、かつ弾力性のある固体状態に変化する、多成分型材を提供することにあった。ポリハイドロジェンシロキサン、ビニル末端ポリジオルガノシロキサン、カルビノール末端またはカルボキシル末端またはアミノ末端ポリジオルガノシロキサン、白金触媒および縮合硬化化合物を含有する組成物は、上述の目的の少なくとも1つを解決することが、今までに分かっている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、したがって、
a)成分(a)としての、少なくとも2個のオレフィン性不飽和基を有する少なくとも1つのポリジオルガノシロキサン、
b)成分(b)としての、少なくとも1つのオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
c)成分(c)としての、少なくとも1個のカルビノール基、カルボキシ基またはアミノ基を有する、少なくとも1つのポリジオルガノシロキサン、
d)成分(d)としての、少なくとも1つの縮合硬化化合物、および
e)成分(e)としての、少なくとも1つの付加硬化貴金属触媒、
を含む組成物に関する。
【0017】
本発明による組成物は、該組成物が、オートミキシング・システム(Automixing−system)で調製され、パテ様稠度で対象物に適用され、付加反応機構で硬化して該対象物の表面の型を確保することを可能にする、多段階硬化反応を提供するようにデザインされている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
付加反応機構で硬化できるために、本発明による組成物は、少なくとも2個のオレフィン性不飽和基を有する、少なくとも1つのポリジオルガノシロキサンを成分(a)として含有する。概して、本発明によれば、オルガノハイドロジェンポリシロキサンに十分に反応して、対象の、好ましくはヒトの口腔内の対象の、前型を採得するという目的を果たすことができる架橋して硬化した前型材をもたらす限り、少なくとも2個のオレフィン性不飽和基を有するあらゆるタイプのポリジオルガノシロキサンを使用することができる。少なくとも2個のオレフィン性不飽和基を有するポリジオルガノシロキサンの例としては、2個以上のビニル基を有する、直鎖、分岐鎖または環状のポリジオルガノシロキサンなどがある。直鎖ポリジオルガノシロキサンを使用するとき、このようなビニル基は、一般に、ポリマー主鎖に沿ってどこにでも、または1個以上のペンダント基中に、位置してもよい。該ビニル基は、間隔をあけてポリマー主鎖に沿って位置してもよく、ランダムに分布していてもよい。本発明の状況で使用されるとき、一般に、2個以上のオレフィン性不飽和基を有する様々なポリジオルガノシロキサンが良好な結果を与えるであろうが、2〜5個のオレフィン性不飽和基、好ましくはビニル基、好ましくは2、3または4個のビニル基を有する、直鎖ポリジオルガノシロキサンが好ましい。
【0019】
3個の有機基のうち少なくとも1個がビニル基である末端トリオルガノシロキシ基を有するジオルガノポリシロキサンが、成分(a)として好ましい。この構造の好ましいジオルガノシロキサンは、下記の式I:
【化4】

(式中、基Rは、それぞれ他から独立に、1〜8個のC原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基もしくはフルオロアルキル基、または6〜14個のC原子を有するシクロアルキル基もしくはアリール基または2〜12個のC原子を有するアルケニル基を表す)
で表される。
【0020】
変数nは、好ましくは本書に後述する方法で測定される、粘度が4〜200,000mPasまたは6〜100,000mPasにあるように選択されることが好ましい。したがって、nの好ましい値は、置換基のタイプおよび置換パターンに応じて、約10〜約2500または約20〜約1500である。
【0021】
基Rは、好ましくは、脂肪族多重結合を含まないように選択される。
【0022】
好ましくは、基Rは、1〜8個のC原子、好ましくは1〜6個のC原子を有する、任意の非置換または置換された一価炭化水素基を表すことができる。一般に、基Rは、該組成物の残りの構成要素の少なくとも1つを妨げず、かつ硬化反応を妨げないあらゆるタイプの置換基、たとえば、フッ素置換基を持つことができる。用語「妨げる」は、本明細書との関連で使用されるとき、このような置換基が、該組成物の残りの構成要素の少なくとも1つまたは硬化反応、あるいはその両者に及ぼす、硬化した生成物の特性に不利な、あらゆる影響に関する。用語「不利な」は、本明細書との関連で使用されるとき、該前駆体または該硬化した生成物の使用目的に関連した、該前駆体または該硬化した生成物の有用性に悪影響を及ぼす、該前駆体または該硬化した生成物の特性の変化に関する。
【0023】
本発明の別の好ましい実施形態において、基Rの少なくとも50%は、メチル基を表す。式Iで示されるオルガノポリシロキサン類に存在し得る他の基Rの例は、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、ペンチル異性体、ヘキシル異性体、ビニル、アリル、2−プロペニル、イソプロペニル、2−および3−n−ブテニル、ペンテニル異性体、ヘキセニル異性体、3,3,3−トリフルオロプロピル基のようなフッ素置換脂肪族基、シクロペンチル基もしくはシクロヘキシル基、シクロペンテニル基もしくはシクロヘキセニル基またはフェニルもしくは置換フェニル基のような芳香族基もしくは複素芳香族基である。このような分子の例は、(特許文献9)に記述されており、その開示内容、特に上述の分子、それらの化学構造およびそれらの調製に関する後者資料の開示内容は、明確に本資料の開示内容の一部であるとみなされ、また参照により本明細書に援用する。
【0024】
上述の式Iの分子の調製法は、当業者に一般に知られている。相応する分子の調製は、たとえば、(非特許文献1)または(非特許文献2)に記述されている標準手順に従って行うことが可能である。
【0025】
末端基はジメチルビニルシロキシ単位からなり、鎖中の他の基Rはメチル基からなる、指定された粘度範囲を有する上記構造の直鎖ポリジメチルシロキサン類が特に好ましい。
【0026】
本発明による、上述の成分(a)は、一般に一構成要素からなる。しかし、成分(a)中に存在する2つ以上の構成成分を有することが有利なこともある。このような構成要素は、たとえば、(a1)および(a2)と標識されていてもよい。このように、成分(a)が、2つより多い異なる構成要素、たとえば、3、4、5、6、7、8、9または10またはそれより多い構成要素からなり、これが次いで、(a3)、(a4)、(a5)、(a6)、(a7)、(a8)、(a9)および(a10)、全部でn個の構成要素のn番目の成分では(an)まで標識されることは、本発明の範囲内にある。
【0027】
成分(a)が1つより多い構成要素からなる場合、成分(a)を構成する構成要素のうち少なくとも2つは、たとえば少なくとも2倍の増減の規模で、粘度が異なってもよい。これは、本発明による材料において、成分(a)の構成要素としての異なるタイプのオルガノポリシロキサン類のうち、少なくとも(a1)および(a2)は、異なる粘度を有することができ、かつ同種の粘度測定で、(a2)の粘度の値は、(a1)の粘度の値の少なくとも2倍高くてもよいことを意味する。
【0028】
用語「構成要素」は、成分(a)の構成要素に関連して本明細書で使用されるとき、調製後、それらの多分散性に関連して、測定可能な程度まで、少なくともそれらの平均重量分子量が異なるオルガノポリシロキサン類に関する。本発明は、したがって、その調製方法がポリマー鎖長の単峰性の分散をもたらすという条件で、異なる構成要素として選択された方法の達成される多分散性の範囲内で、一種類のポリマーを調製するための方法で得られるような、異なる鎖長のポリマーを考慮に入れない。
【0029】
粘度の差は、2倍より大きくてもよく、たとえば、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90または100倍であってもよい。上述の値は、粘度値それ自身ではなく、粘度差の倍数に関することに留意しなければならない。
【0030】
したがって、本発明によれば、成分(a)は、(a1)が最低の粘度値を有し、(a3)が最高の粘度値を有する、粘度値が異なる少なくとも3つの構成要素(a1)、(a2)および(a3)を含むことも可能である。
【0031】
本発明の状況でこの方法が適用できると当業者が考える限り、一般に、本発明に従ってあらゆるタイプの既知の粘度測定法を使用することができる。しかし、ハーケ・ロトビスコ(Haake Rotovisco)RV20(スピンドルMV、計量カップNV)を用いて好ましい測定方法が実施される。粘度は、23℃で測定する。システムを起動して調整した後、スピンドルMVをインストールする。続いて、測定すべき材料を計量カップNVに注入する。不当に遅延することなく、該スピンドルを計量カップNV内に入れる。該スピンドルは、最高1mmの層で覆われていなければならない。測定すべき材料を、23℃で20分間練り合わせる。測定を開始し、測定開始の20秒後に粘度値(mPas)の記録を開始する。計量カップNVそれ自身が決して回転したり動いたりしないように気を付けなければならない。粘度の値はmPasで得られる。上述の測定方法は、DIN 53018−1に該当する。
【0032】
成分(a)が、1つより多い構成要素からなる場合、最低粘度を有する構成要素の量と、最高粘度を有する構成要素の量との比率は、該前駆体および硬化した樹脂の所望の特性に応じて、比較的自由に選択することができる。しかし、最低粘度を有する構成要素の量と、最高粘度を有する構成要素の量との比率が、約1:20〜20:1、特に1:10〜10:1または1:5〜5:1の範囲内であるとき有利であった。良好な結果は、たとえば、約1:3〜3:1または1:2〜2:1の比率で得られている。さらに、最高粘度を有する構成要素の量が最低粘度を有する構成要素の量とほぼ等しいかまたは多いとき、場合によっては適当なことも分かり、最高粘度を有する構成要素の量と最低粘度を有する構成要素の量の比率は、約0.9:1〜3:1という値をもたらす結果となった。示した全ての比率は、構成要素の重量に基づく。
【0033】
付加機構で硬化することができるためには、本発明による組成物はまた、成分(b)として、少なくとも1つのオルガノハイドロジェンポリシロキサンを含む。成分(b)は、好ましくは、1分子当たり少なくとも3個のSi結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、好ましくは、0.01〜1.7重量%のケイ素結合した水素を含有する。水素原子または酸素原子で飽和していないケイ素原子価は、一価の炭化水素基Rで飽和しているが、しかし、このRは、エチレン性不飽和結合を含んではならない。
【0034】
該炭化水素基は、エチレン性不飽和結合を含まない上記のような基Rに相当する。本発明の好ましい実施形態において、ケイ素原子に結合している成分(b)中の炭化水素基の少なくとも50%、好ましくは100%は、メチル基である。このような成分はまた、構造および調製に関して、上述の文献に記載されている。
【0035】
成分(b)に含まれている好ましいオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、ポリアルキル−、ポリアリール−、ポリアルキルアリール−、ポリハロアルキル−、ポリハロアリール−またはポリハロアルキルアリールシロキサン類を包含する。それらは、直鎖、分岐鎖または環状の形のオリゴマーまたはポリマーであってもよく、またはQM樹脂としてでもよく、また少なくとも1個のSi−H結合を有する。
【0036】
上述の、成分(a)および(b)の混合は、本発明による組成物の付加硬化反応である、最終硬化段階に関与する。該材料中に弾性領域を不可逆的に発生することなく、所望の粘度上昇をもたらす、本発明による組成物の構成要素を混合した後に粘度上昇を達成するためには、本発明による組成物は、少なくとも1個のカルビノール基、カルボキシ基またはアミノ基を有する少なくとも1つのアルキルシロキサンを成分(c)として含有する。
【0037】
一般に、成分(c)として、少なくとも1個のカルビノール基、カルボキシ基またはアミノ基またはこのような基の2つ以上の混合物を有するあらゆるタイプのポリアルキルシロキサン類は、それらが、本発明による組成物における第1硬化段階を可能にし、また維持することができる限り、成分(c)として使用できる。本発明による組成物が、唯一の構成要素、すなわち少なくとも1個のカルビノール基、カルボキシ基またはアミノ基を有するポリジオルガノシロキサンを含む成分(c)を含有するとき、それは一般に可能であり、第1硬化段階における粘度上昇に関して良好な結果につながる。しかし、本発明による組成物は、少なくとも1個のカルビノール基および少なくとも1個のカルボキシ基、または少なくとも1個のカルビノール基および少なくとも1個のアミノ基、または少なくとも1個のカルボキシ基および少なくとも1個のアミノ基、または少なくとも1個のカルビノール基および少なくとも1個のカルボキシ基および少なくとも1個のアミノ基を有するアルキルシロキサンを含有することもまた可能である。本発明による組成物は、少なくとも1個のカルビノールを有する少なくとも1つのアルキルシロキサンおよび少なくとも1個のカルボキシ基を有する少なくとも1つのアルキルシロキサン、または少なくとも1個のカルビノール基を有する少なくとも1つのアルキルシロキサンおよび少なくとも1個のアミノ基を有する少なくとも1つのアルキルシロキサンまたは少なくとも1個のカルボキシ基を有する少なくとも1つのアルキルシロキサンおよび少なくとも1個のアミノ基を有する少なくとも1つのアルキルシロキサン、または少なくとも1個のカルビノール基を有する少なくとも1つのアルキルシロキサンおよび少なくとも1個のカルボキシ基を有する少なくとも1つのアルキルシロキサンおよび少なくとも1個のアミノ基を有する少なくとも1つのアルキルシロキサンを含有することもまた可能である。
【0038】
本発明の好ましい実施形態において、成分(c)は、式
13Si−O−[SiR12−O−]aSiR12−Y−(O−R2d−Xe−[(O−R2bOH]c (II)または
[HO−(R2−O)bc−Xe−(R2−O)d−Y−[SiR12−O−]aSiR12−Y−(O−R2d−Xe−[(O−R2bOH]c (III)または
13Si−O−{[SiR12−O−]n[SiR1(−Y−(O−R2d−Xe−[(O−R2bOH]c)−O−]m}−SiR13 (IIIa)または
【化5】

(式中、Xは、6〜14個のC原子および原子価cを有する、酸素原子および/またはエーテル基を含んでもよい直鎖または分岐鎖の炭化水素またはアリール残基であり、Yは、1〜10個のC原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキレン基か、または4〜14個のC原子を有するシクロアルキル基であり、R1は、1〜8個のC原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基またはフルオロアルキル基か、または6〜14個のC原子を有するシクロアルキル基またはアリール基であり、R2は、1〜8個のC原子を有するカルボニル基を含んでもよい直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、Dは、R1か、または1分子当たり少なくとも1個の残基−Y−(O−R2d−Xe−[(O−R2bOH]cを有する−Y−(O−R2d−Xe−[(O−R2bOH]cであり、1≦a≦10,000であり、0≦b≦500であり、1≦c≦6であり、0≦d≦500であり、eは、0または1であり、0≦n≦500であり、0≦m≦100であり、ここで、m+nは5より大きく、xは、0、1、2、3、4、5または6である)
の少なくとも1成分を含有する。
【0039】
本発明の別の実施形態において、成分(c)は、式
13Si−O−[SiR12−O−]aSiR12−Y−(O−R2d−Xe−[Zf−COOH]c (IV)または
[HOOC−Zfc−Xe−(R2−O)d−Y−[SiR12−O−]aSiR12−Y−(O−R2d−Xe−[Zf−COOH]c (V)または
13Si−O−{[SiR12−O−]n[SiR1(−Y−(O−R2d−Xe−[Zf−COOH]c)−O−]m}−SiR13 (Va)または
【化6】

(式中、Xは、6〜14個のC原子および原子価cを有する、酸素原子および/またはエーテル基を含んでもよい直鎖または分岐鎖の炭化水素またはアリール残基であり、Yは、1〜10個のC原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキレン基か、または4〜14個のC原子を有するシクロアルキル基であり、Zは、1〜16個のC原子を有する、エステル基を含んでもよい直鎖または分岐鎖のアルキレン基またはアルケニレン基またはアリール基であり、R1は、1〜8個のC原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基またはフルオロアルキル基か、または4〜14個のC原子を有するシクロアルキル基またはアリール基であり、R2は、1〜8個のC原子を有する、カルボニル基を含んでもよい直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、Eは、R1か、または1分子当たり少なくとも1個の残基−Y−(O−R2d−Xe−[Zf−COOH]cを有する−Y−(O−R2d−Xe−[Zf−COOH]cであり、1≦a≦10,000であり、1≦c≦6であり、0≦d≦500であり、eは0または1であり、fは0または1であり、0≦n≦500であり、0≦m≦100であって、ここでm+nは5より大きく、xは、0、1、2、3、4、5または6である)
の少なくとも1成分を含む。
【0040】
本発明の別の実施形態において、成分(c)は、
13Si−O−[SiR12−O−]aSiR12−Y−(O−R2d−Te−[(O−R2bNHR3c (VI)または
[R3HN−(R2−O)bc−Te−(R2−O)d−Y−[SiR12−O−]aSiR12−Y−(O−R2d−Te−[(O−R2bNHR3c (VII)または
13Si−O−{[SiR12−O−]n[SiR4(−Y−(O−R2d−Te−[(O−R2bNHR3c)−O−]m}−SiR13 (VIIa)または
【化7】

(式中、Tは、6〜14個のC原子および原子価cを有する、酸素原子および/またはエーテル基を含んでもよい直鎖または分岐鎖の炭化水素またはアリール残基であり、Yは、1〜10個のC原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキレン基か、または4〜14個のC原子を有するシクロアルキル基であり、R1は、1〜8個のC原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基またはフルオロアルキル基か、または6〜14個のC原子を有するシクロアルキル基またはアリール基であり、R2は、1〜8個のC原子を有する、カルボニル基を含んでもよい直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、Fは、R1か、または1分子当たり少なくとも1個の残基−Y−(O−R2d−Te−[(O−R2bNHR3cを有する−Y−(O−R2d−Te−[(O−R2bNHR3cであり、R3は、1〜8個のC原子を有する、直鎖または分岐鎖のアルキル基またはフルオロアルキル基か、または6〜14個のC原子を有するシクロアルキル基またはアリール基か、またはHであり、R4は、R1またはメトキシまたはエトキシであり、1≦a≦10,000であり、0≦b≦10,000であり、1≦c≦6であり、0≦d≦500であり、eは0または1であり、0≦n≦500であり、0≦m≦100であって、ここでm+nは5より大きく、xは0、1、2、3、4、5または6である)
の少なくとも1成分を含む。
【0041】
式(c)の好ましい例は下記の構造:
(c1)末端カルビノール基またはペンダントカルビノール基を有するポリジメチルシロキサン類
を有する。
【0042】
該ポリジメチルシロキサン類は、好ましくは直鎖であるが、環状またはT形であってもよい。好ましい構造は、たとえばR13Si−O−[SiR12−O−]aSiR12−Y−(O−R2d−Xe−[(O−R2bOH]cまたは[HO−(R2−O)bc−Xe−(R2−O)d−Y−[SiR12−O−]aSiR12−Y−(O−R2d−Xe−[(O−R2bOH]cまたはR13Si−O−{[SiR12−O−]n[SiR1(−Y−(O−R2d−Xe−[(O−R2bOH]c)−O−]m}−SiR13または
【化8】

(式中、Xは、6〜14個のC原子および原子価cを有する、酸素原子および/またはエーテル基を含んでもよい、直鎖または分岐鎖の炭化水素またはアリール残基であり、Yは、1〜10個のC原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキレン基か、または4〜14個のC原子を有するシクロアルキル基であり、R1は、1〜8個のC原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基またはフルオロアルキル基か、または6〜14個のC原子を有するシクロアルキル基またはアリール基であり、R2は、1〜8個のC原子を有する、カルボニル基を含んでもよい直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、DはR1か、または1分子当たり少なくとも1個の残基−Y−(O−R2d−Xe−[(O−R2bOH]cを有する−Y−(O−R2d−Xe−[(O−R2bOH]cであり、1≦a≦10,000であり、0≦b≦500であり、1≦c≦6であり、0≦d≦500であり、eは0または1であり、0≦n≦500であり、0≦m≦100であって、ここでm+nは5より大きく、xは、0、1、2、3、4、5または6である)
である。
【0043】
好ましいものを以下に挙げる:
【化9】

ゲレスト(Gelest)のMCR−C13(CAS:67674−67−3)に類似
【化10】

ゲレスト(Gelest)のMCR−C12およびMCR−C22(CAS:207308−30−3)に類似
【化11】

ローヌ・プーラン(Rhone−Poulenc)のロードーシル・オイル(Rhodorsil Oil)1647 V 60および1615 V 500(CAS:58130−02−2)に類似
【化12】

Th.ゴールドシュミット(Goldschmidt)のテゴマー(Tegomer)H−Si 2111、2311および2711に類似
【化13】

アリルグリコールおよびSi−H末端シリコンオイルから合成される
【化14】

ゲレスト(Gelest)のDBL−C31(CAS:120359−07−1)またはテゴマー(Tegomer)H−Si6440に類似
【化15】

ハンス・ヘミー(Hanse Chemie)からそれ相応に入手可能なアリルポリグリコールおよびSi−H末端シリコンオイルから合成される
【化16】

(EO+PO付加化合物:ローヌ・プーラン(Rhone−Poulenc)のロードーシル・オイル(Rhodorsil Oil)10646(CAS:94469−32−6))
【化17】

10−ウンデセン−1−オールおよびSi−H末端シリコンオイルから入手可能
【化18】

2−ブチン−1,4−ジオールおよびSi−H末端シリコンオイルから合成される
【化19】

アリルグリセロールおよびSi−H末端シリコンオイル、あるいはゲレスト(Gelest)のDMS−E01、E12またはE21(CAS:104780−61−2)から合成される
【化20】

たとえば、(特許文献10)に従って、Si−Hペンダントシリコーンオイルおよびアリルポリグリコールから合成される
【化21】

ローヌ・プーラン(Rhone−Poulenc)のロードーシル・オイル(Rhodorsil Oil)21620(CAS:68440−71−1)および水から合成される
【化22】

VCHOおよびSi−H末端シリコンオイルおよび加水から合成される
【化23】

ローヌ・プーラン(Rhone−Poulenc)のシリコアリース・ポリ(Silicorelease Poly)200またはRCA 200(CAS:67762−95−2)および水から合成される
【化24】

トリメチロールプロパンモノアリルエーテルおよびSi−H末端シリコンオイルから合成される
【化25】

たとえば(特許文献11)の実施例4または5に従って、オイゲノールおよびSi−H末端シリコンオイルから合成される
【化26】

信越化学工業株式会社(Shin Etsu Chemical Co.,Ltd)から入手可能な、アリルフェノールおよびSi−H末端シリコンオイルから合成される(非特許文献3)
【化27】

たとえば(特許文献11)の実施例1、2または3に従って、オイゲノールおよびSi−Hペンダントシリコンオイルから合成される
【化28】

アリルフェノールおよびSi−Hペンダントシリコンオイルから合成される
【化29】

Si−H環式化合物およびアリルグリコールから合成される
【化30】

Si−H環式化合物およびオイゲノールから合成される
【0044】
たとえばOSiのシルウェット(Silwet)L−7200、L−7210、L−7220、L−7230、L−7604、L−7644またはL−7657のような、ペンダントカルビノール基を有するシリコーンオイルもまた特に好ましい。
【0045】
(c2)末端カルボキシ基またはペンダントカルボキシ基を有する、ポリジメチルシロキサン類
該ポリジメチルシロキサン類は、好ましくは直鎖であるが、環状またはT形であってもよい。好ましい構造は、たとえばR13Si−O−[SiR12−O−]aSiR12−Y−(O−R2d−Xe−[Zf−COOH]cまたは[HOOC−Zfc−Xe−(R2−O)d−Y−[SiR12−O−]aSiR12−Y−(O−R2d−Xe−[Zf−COOH]cまたはR13Si−O−{[SiR12−O−]n[SiR1(−Y−(O−R2d−Xe−[Zf−COOH]c)−O−]m}−SiR13または
【化31】

(式中、Xは、6〜14個のC原子および原子価cを有する、酸素原子および/またはエーテル基を含んでもよい、直鎖または分岐鎖の炭化水素またはアリール残基であり、Yは、1〜10個のC原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキレン基か、または4〜14個のC原子を有するシクロアルキル基であり、Zは、1〜16個のC原子を有する、エステル基を含んでもよい直鎖または分岐鎖のアルキレン基またはアルケニレン基またはアリール基であり、R1は、1〜8個のC原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基またはフルオロアルキル基か、または6〜14個のC原子を有するシクロアルキル基またはアリール基であり、R2は、1〜8個のC原子を有する、カルボニル基を含んでもよい直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、Eは、R1か、または分子1個当たり少なくとも1個の残基−Y−(O−R2d−Xe−[Zf−COOH]cを有する−Y−(O−R2d−Xe−[Zf−COOH]cであり、1≦a≦10,000であり、1≦c≦6であり、0≦d≦500であり、eは0または1であり、fは0または1であり、0≦n≦500であり、0≦m≦100であって、ここでm+nは5より大きく、xは、0、1、2、3、4、5または6である)
である。
【0046】
やはり好ましいものを以下に挙げる:
【化32】

ゲレスト(Gelest)のMCR−B11またはCR−B16に類似
【化33】

メチルアクリレートおよびSi−H末端シリコンオイルおよび次の鹸化で合成される
【化34】

ゲレスト(Gelest)のDMS−B31に類似
【化35】

ゲレスト(Gelest)のDMS−B12またはB25に類似
【化36】

ゲレスト(Gelest)のDMS−Z11および対応する酸に類似
【化37】

カルビノール末端シリコーン類および無水マレイン酸から合成される
【化38】

カルビノール末端シリコーン類および無水フタル酸から合成される
【化39】

カルビノール末端シリコーン類および無水トリメリット酸塩化物(trimellitic anhydride chloride)から合成される
【化40】

カルビノールペンダントシリコーン類および無水グリコール酸から
【化41】

Si−H環式化合物アリルグリコールおよび次の無水マレイン酸との反応から合成される
【0047】
(c3)末端アミノ基またはペンダントアミノ基を有するポリジメチルシロキサン類
該ポリジメチルシロキサン類は、好ましくは直鎖であるが、環状またはT形であってもよい。好ましい構造は、たとえばR13Si−O−[SiR12−O−]aSiR12−Y−(O−R2d−Te−[(O−R2bNHR3cまたは[HR3N−(R2−O)bc−Te−(R2−O)d−Y−[SiR12−O−]aSiR12−Y−(O−R2d−Te−[(O−R2bNHR3cまたはR13Si−O−{[SiR12−O−]n[SiR4(−Y−(O−R2d−Te−[(O−R2bNHR3c)−O−]m}−SiR13または
【化42】

(式中、Tは、6〜14個のC原子および原子価cを有する、酸素原子および/またはエーテル基を含んでもよい直鎖または分岐鎖の炭化水素またはアリール残基であり、Yは、1〜10個のC原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキレン基か、または4〜14個のC原子を有するシクロアルキル基であり、R1は、1〜8個のC原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基またはフルオロアルキル基か、または6〜14個のC原子を有するシクロアルキル基またはアリール基であり、R2は、1〜8個のC原子を有する、カルボニル基を含んでもよい直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、Fは、R1か、または分子1個当たり少なくとも1個の残基−Y−(O−R2d−Te−[(O−R2bNHR3cを有する−Y−(O−R2d−Te−[(O−R2bNHR3cであり、R3は、1〜8個のC原子を有する、直鎖または分岐鎖のアルキル基またはフルオロアルキル基か、または6〜14個のC原子を有するシクロアルキル基またはアリール基か、またはHであり、R4は、R1またはメトキシまたはエトキシであり、1≦a≦10,000であり、0≦b≦500であり、1≦c≦6であり、0≦d≦500であり、eは0または1であり、0≦n≦500であり、0≦m≦100であって、ここでm+nは5より大きく、xは、0、1、2、3、4、5または6である)
である。
【0048】
やはり好ましいものを以下に挙げる:
【化43】

スリーエム(3M)のPDMSジアミン5k、10kまたは15k、またはTh.ゴールドシュミット(Goldschmidt)のテゴマー(Tegomer)A−Si 2120または2130、またはゲレスト(Gelest)のDMS−A11、A12、A15、A25またはA32(CAS:106214−84−0)に類似
【化44】

ローヌ・プーラン(Rhone−Poulenc)のロードーシル(Rhodorsil)21643および21644、またはゲレスト(Gelest)のAMS−132、152、および162(CAS:99363−37−8)に類似
【化45】

ローヌ・プーラン(Rhone−Poulenc)のロードーシル(Rhodorsil)21642および21637(CAS:102782−92−3)またはゲレスト(Gelest)のAMS−232(CAS:71750−79−3)に類似
【化46】

ワッカー(Wacker)のベルシル・ADM型(Belsil ADM−Types)またはゲレスト(Gelest)のATM−1112または1322に類似
【化47】

Si−H環状化合物アクリロニトリルおよび次のLiAlH4との反応で合成される
【0049】
上述の成分(c)に加えて、本発明による組成物は、縮合硬化化合物を成分(d)として含有する。
【0050】
本発明の状況では、用語「縮合硬化化合物」は、このような縮合反応できる物質と、または縮合反応できる物質間で、縮合反応を引き起こすことができる化合物または2つ以上の化合物の混合物に関する。用語「縮合硬化化合物」は、本明細書で使用されるとき、言葉の古典的な意味の範囲内で単に触媒として働くだけの化合物に必ずしも関係なく、縮合反応中に消費されるかまたは別の方法で縮合工程に関与する、化合物に関連してもよい。しかし、用語「縮合硬化化合物」はまた、本明細書で使用されるとき、触媒として作用することができるか、またはそれ自身、反応中に完全にまたは部分的に消費される活性な関与物質として縮合反応に関与することができる、たとえば架橋剤として働く、化合物または2つ以上の化合物の混合物にも関する。
【0051】
本発明の関連で好ましく使用される縮合硬化化合物(d)は、アルミニウムアルコキシド、アンチモンアルコキシド、バリウムアルコキシド、ホウ素アルコキシド、カルシウムアルコキシド、セリウムアルコキシド、エリビウムアルコキシド、ガリウムアルコキシド、ケイ素アルコキシド、ゲルマニウムアルコキシド、ハフニウムアルコキシド、インジウムアルコキシド、鉄アルコキシド、ランタンアルコキシド、マグネシウムアルコキシド、ネオジミウムアルコキシド、サマリウムアルコキシド、ストロンチウムアルコキシド、タンタルアルコキシド、チタンアルコキシド、ズズアルコキシド、バナジウムアルコキシドオキシド、イットリウムアルコキシド、亜鉛アルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、チタン化合物またはジルコニウム化合物、特にチタンアルコキシドおよびジルコニウムアルコキシド、ならびに上記アルコキシド類のキレート類およびオリゴ縮合物および重縮合物、二酢酸ジアルキルスズ、オクチル酸スズ(II)、ジアシル化ジアルキルスズ、ジアルキルスズオキシドおよび二金属アルコキシドを包含する。二金属アルコキシドは、ある特定の比率で、2つの異なる金属を含有するアルコキシドである。特に下記のものが使用される:テトラエチルチタン、テトラプロピルチタン、テトライソプロピルチタン、テトラブチルチタン、テトライソオクチルチタン、トリステアリン酸イソプロピルチタン、ステアリン酸トリイソプロピルチタン、ジステアリン酸ジイソプロピルチタン、テトラプロピルジルコニウム、テトライソプロピルジルコニウム、テトラブチルジルコニウム。加えて、(特許文献12)および(特許文献13)に記載されているようなチタナート、ジルコナート、およびハフナートを使用することができる。しかし、反応温度で液体であるか、または反応化合物に溶解するか、またはその両者である縮合硬化化合物(d)を使用することが好ましい。
【0052】
成分(e)として、本発明による組成物は、オレフィン性不飽和基を有するポリジオルガノシロキサンまたはそれらの2つ以上の混合物と、分子1個当たり少なくとも3個のSi結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの、反応を開始/または触媒することができる触媒を含有する。一般に、このような反応を開始および/または触媒するあらゆるタイプの触媒を使用できるが、この作業を実行するために、通例、貴金属触媒が使用される。したがって成分(e)は、好ましくは、テトラメチルジビニルジシロキサンを用いた還元により、ヘキサクロロ白金酸から調製することができる白金錯体である。このような化合物は当業者に周知である。エチレン性不飽和二重結合を有するシラン類の付加架橋を触媒または加速するその他の白金化合物もまた適する。たとえば(特許文献14)、(特許文献15)および(特許文献16)に記載されているような、白金−シロキサン錯体が適する。白金錯体およびそれらの調製に関するこれらの特許の開示内容は明記されており、また明らかに本書の開示内容の一部と見なされる。
【0053】
該白金触媒は、好ましくは、0.00005〜0.05重量%、特に0.0002〜0.04重量%の量で使用され、それぞれ白金元素として計算され、また成分(a)〜(e)と共に存在する材料の総重量と関連する。
【0054】
付加反応の反応性を制御し、早期硬化を防止するために、該付加反応を一定期間妨げるかまたは該付加反応を減速するインヒビターを添加することが有利なこともある。このようなインヒビターは周知であり、また、たとえば(特許文献17)に記載されており、このようなインヒビターおよびそれらの調製に関する開示内容は、明らかに本発明の開示内容の一部であると見なされる。このようなインヒビターの例は、アセチレン性不飽和アルコール、たとえば3−メチル−1−ブチン−3−オール、1−エチニルシクロヘキサン−1−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールおよび3−メチル−1−ペンチン−3−オールである。ビニルシロキサンを主成分とするインヒビターの例は、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルシロキサンおよびビニル基を含有するポリ−、オリゴ−およびジシロキサンである。該インヒビターは、成分(e)の一部と見なされる。
【0055】
本発明による組成物は、1つ以上の助剤を成分(f)として含有することができる。
【0056】
助剤として、本発明による組成物は、水滴または組成物含有水(たとえばプラスター懸濁液等々)滴のぬれ角を減じる、一般に親水性を組成物に与えることができる作用物質、すなわち親水化剤を含有することができる。
【0057】
型材の親水性を決定するための、該ぬれ角の測定は、たとえば(特許文献18)の5ページに記載されており、この測定方法に関するこの資料の内容は、参照により明示され、また本書の開示内容の一部と見なされる。
【0058】
親水化剤は、好ましくは、ポリシロキサンネットワークに組み込まれないように、反応基を持たない。適当な親水化剤は、好ましくは、硬化したポリマーネットワークに共有結合で組み込まれ得ない親水性シリコーンオイルのグループの中の湿潤剤である。適当な親水化剤は、(特許文献19)および(特許文献20)に記載されており、親水化剤に関するその内容は参照により明示され、また本書の開示内容の一部と見なされる。
【0059】
さらに、たとえば(特許文献21)に記載されているエトキシル化脂肪アルコールが好ましい。さらに、好ましい親水化剤は、たとえば(特許文献22)から分かる、ポリエーテルカルボシラン類である。(特許文献19)に記載されている非イオン性ペルフルオロアルキレート界面活性物質もまた好ましい。好ましいものは、(特許文献23)に記載されている非イオン性界面活性物質、すなわち、そこに記載されているノニルフェノールエトキシレート類、ポリエチレングリコール−モノ−およびジエステルジエステル類、ソルビタンエステル類ならびにポリエチレングリコール−モノ−およびジエーテル類である。親水化剤およびそれらの調製に関する後者の資料の内容は、参照により明示され、また本書の開示内容の一部と見なされる。
【0060】
使用される親水化剤の量は、全成分の総重量を基準にして0〜約10重量%、好ましくは0〜2重量%、特に好ましくは0〜1重量%である。3分後に測定される、本発明による硬化した材料の表面上の水滴のぬれ角は、好ましくは60°未満、特に好ましくは<50°、特に<40°である。
【0061】
本発明の組成物はまた、助剤としてのフィラー、好ましくは疎水性フィラーの混合物も含む。シリカ、アルミナ、マグネシア、チタニア、無機塩類、金属酸化物およびガラス等の、多種多様な無機疎水性フィラーを使用することが可能である。結晶二酸化シリコーン、たとえば微粉石英(4〜6μm);非晶質二酸化シリコーン、たとえば珪藻土(4〜7μm);およびシラン処理ヒュームドシリカ、たとえばカボット・コーポレーション(Cabot Corporation)製のCab−o−Sil TS−530(160〜240m2/g)から誘導されるものを含む、二酸化シリコーンの混合物を使用できることも分かっている。
【0062】
前述の材料のサイズおよび表面積を調整して、結果として生じる組成物の粘度およびチキソトロピー性を調整する。前述の疎水性フィラーの一部または全部を、当業者に周知の1つ以上のシラン処理剤で表面的に処理することが可能である。このようなシラン処理は、既知のハロゲン化シランまたはシラジドの使用によって行うことが可能である。このようなフィラーは、全組成物の約5〜約75重量%、特に約10〜約70または約20〜約60重量%の量で存在することができる。
【0063】
本発明に従って使用することができるフィラーの中で最たるものは、非補強用フィラーたとえば石英、クリストバライト、ケイ酸カルシウム、珪藻土、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸アルミニウムナトリウム等の分子篩を含む、ベントナイト、ゼオライト等のモンモリロナイト、酸化アルミニウムまたは酸化亜鉛またはそれらの混合酸化物等の金属酸化物粉末、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、プラスター、ガラスおよびプラスチック粉末である。
【0064】
補強フィラー、たとえば焼成または沈降ケイ酸およびシリカアルミニウム混合酸化物等もまた適当なフィラーである。上述のフィラーは、たとえばオルガノシラン類またはシロキサン類で処理することにより、またはヒドロキシル基をアルコキシ基にエーテル化することにより、疎水化することができる。1種のフィラーまたは少なくとも2種のフィラーの混合物も使用することができる。粒子分布は、好ましくは、50μmより大きい粒度を有するフィラーが無いように選択される。
【0065】
フィラーの総含量は、全組成物に関して、10〜90%、好ましくは30〜80%の範囲である。
【0066】
補強フィラーと非補強フィラーとの組み合わせを使用することも可能である。この点について、補強フィラーの量は、全組成物に関して、約0.01〜約10重量%、特に約0.05〜約5重量%の範囲である。
【0067】
好ましくは、表面処理により疎水化されている、焼成調製した高分散ケイ酸が補強フィラーとして好ましい。該表面処理は、たとえばジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルシクロテトラシロキサンまたはポリメチルシロキサンで行うことができる。
【0068】
特に好ましい非補強フィラーは、表面処理され得る、石英、クリストバライトおよびケイ酸アルミニウムナトリウムである。該表面処理は、一般に、補強フィラーの事例に記載されているものと同じ方法で実行することができる。
【0069】
さらに、本発明による歯科材料は、場合によって、可塑剤、顔料、酸化防止剤、剥離剤等々として助剤を含有してもよい。たとえば、ビニル重合の結果として通常発生する可能性がある水素ガス発生の存在または程度を減じるために化学系を使用することが可能である。したがって、該組成物は、このような水素を捕捉して吸収する、微粉化した白金金属またはパラジウム金属またはパラジウム化合物を含んでもよい(たとえば(特許文献24)参照)。Pt金属またはPd金属またはPd化合物を、約0.1〜40m2/gの表面積を有する実質的に不溶性の塩上に付着させてもよい。適当な塩類は、適当な粒度の硫酸バリウム、炭酸バリウムおよび炭酸カルシウムである。他の基材としては、珪藻土、活性アルミナ、活性炭等々が挙げられる。結果として得られる、それらを組み込んだ材料に改良された安定性を含めるためには、無機塩類が特に好ましい。分散されるとき、該塩類は、触媒成分の重量を基準にして約0.2〜2ppmの白金金属である。無機塩粒子上に分散された白金金属を使用することにより、歯科用シリコーンの硬化中ずっと、水素ガス発生を実質的に排除または減少させることが分かっている。
【0070】
本発明による材料は、このような添加物を、0〜約2重量%、好ましくは0〜約1重量%の量で含有する。
【0071】
本発明による組成物はまた、不活性な担体材料も含有する。このような不活性な担体材料は、好ましくは、鉱油、分岐鎖炭化水素、ワセリン、シリコンオイル、エステル類、フタル酸エステル、クエン酸アセチルトリブチル、ポリアルキレンオキシドおよびポリエステル類およびそれらの共重合体を包含する。
【0072】
本発明の好ましい実施形態において、本発明による組成物は、下記の成分を下記の量で含有する:
a)2.5〜40重量%の成分(a)、
b)0.2〜10重量%の成分(b)、
c)0.5〜8重量%の成分(c)、
d)0.1〜7重量%の成分(d)、
e)元素のPtとして計算した、0.0005〜0.05重量%の成分(e)、および
f)31〜96.65重量%の、成分(f)としての助剤、
(ここで、成分は合計100重量%となる。)
【0073】
保存安定性の理由から、少なくとも成分AおよびBを含み、成分Aは、いわゆる基剤ペースト中に存在する、2成分製剤で該材料を配合することが好ましい場合もある。成分Bは、基剤ペーストと物理的に隔てられて、いわゆる触媒ペーストの形で存在する。
【0074】
したがって、本発明は、成分AおよびBを含み、成分Aは、
a)成分(a)としての、少なくとも2個のオレフィン性不飽和基を有する少なくとも1つのポリジオルガノシロキサン、
b)成分(b)としての、少なくとも1つのオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
c)成分(c)としての、少なくとも1個のカルビノール基、カルボキシ基またはアミノ基を有する、少なくとも1つのアルキルシロキサン、
を含み、
また、成分Bは、
d)成分(d)としての、少なくとも1つの縮合硬化触媒、および
e)成分(e)としての、少なくとも1つの付加硬化貴金属触媒、
を含む、
2成分系に関する。
【0075】
本発明による好ましい実施形態において、該2成分系成分(c)は、式II、III、IIIa、IIIb、IV、V、Va、Vb、VI、VII、VIIaまたはVIIbの少なくとも1つの化合物、またはそれらの2つ以上の混合物を含有し、式中、Xは、6〜14個のC原子および原子価cを有する、酸素原子および/またはエーテル基を含んでもよい直鎖または分岐鎖の炭化水素またはアリール残基であり、Tは、6〜14個のC原子および原子価cを有する、酸素原子および/またはエーテル基を含んでもよい直鎖または分岐鎖の炭化水素またはアリール残基であり、Yは、1〜10個のC原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキレン基か、または4〜14個のC原子を有するシクロアルキル基であり、Zは、1〜16個のC原子を有する、エステル基を含んでもよい直鎖または分岐鎖のアルキレン基またはアルケニレン基またはアリール基であり、R1は、1〜8個のC原子を有する、直鎖または分岐鎖のアルキル基またはフルオロアルキル基か、または4〜14個のC原子を有するシクロアルキル基またはアリール基であり、R2は、1〜8個のC原子を有する、カルボニル基を含んでもよい直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、Dは、R1か、または分子1個当たり少なくとも1個の残基−Y−(O−R2d−Xe−[(O−R2bOH]cを有する−Y−(O−R2d−Xe−[(O−R2bOH]cであり、Eは、R1か、または分子1個当たり少なくとも1個の残基−Y−(O−R2d−Xe−[Zf−COOH]cを有する−Y−(O−R2d−Xe−[Zf−COOH]cであり、Fは、R1か、または分子1個当たり少なくとも1個の残基−Y−(O−R2d−Te−[(O−R2bNHR3cを有する−Y−(O−R2d−Te−[(O−R2bNHR3cであり、R3は、1〜8個のC原子を有する、直鎖または分岐鎖のアルキル基またはフルオロアルキル基か、または6〜14個のC原子を有するシクロアルキル基またはアリール基またはHであり、R4は、R1か、またはメトキシまたはエトキシであり、1≦a≦10,000であり、1≦c≦6であり、0≦d≦500であり、eは、0または1であり、fは0または1であり、0≦n≦500であり、0≦m≦100であって、ここでm+nは5より大きく、xは、0、1、2、3、4、5または6である。
【0076】
さらなる好ましい実施形態において、本発明による2成分組成物の成分Aは、下記の成分を下記の量で含有する:
a)8〜35重量%の成分(a)、
b)1〜10重量%の成分(b)、
c)0.5〜10重量%の成分(c)、および
d)55〜90.5重量%の助剤、
(ここで、成分は合計100重量%となる。)
【0077】
さらなる好ましい実施形態において、本発明による2成分組成物の成分Bは、下記の成分を下記の量で含有する:
a)0.5〜10重量%の成分(d)、
b)元素のPtを基準にして、0.000〜0.05重量%の成分(e)、および
c)85〜99.4重量%の、成分(f)としての助剤、
(ここで、成分は合計100重量%となる。)
【0078】
好ましくは、本発明による組成物は、不活性な担体材料、インヒビター、フィラー、顔料または溶剤からなる群より選択される、少なくとも1つの助剤を含有する。
【0079】
したがって、本発明はまた、基剤ペーストの形態で材料が存在し、触媒ペーストはそれから物理的に隔てられており、成分(a)、(b)および(c)は全て基剤ペースト中に存在し、また成分(d)および(e)は全て触媒ペースト中に存在し、また残りの成分(f)は、場合によって2つのペースト中に分配されている、本発明による材料にも関する。
【0080】
助剤(f)は、その全量が触媒ペースト中または基剤ペースト中に存在してもよく、各成分のそれぞれの一部は、触媒ペーストB中に存在し、かつ一部は基剤ペーストA中に存在することが好ましい。
【0081】
該基剤ペーストAは、約28〜45mm、好ましくは約33〜約41mmのISO稠度を有し、かつ触媒ペーストBは、約30〜約38mm、特に約33〜約37mmの、ISO4823によるISO稠度を有するとき、さらに好ましい。
【0082】
触媒および基剤ペーストの体積比は、10:1〜1:10であってもよい。特に好ましい基剤ペースト:触媒ペーストの体積比は、約1:1および約5:1(基剤ペースト5部:触媒ペースト1部)である。体積比が1:1の場合、成分(a)〜(f)は、基剤ペーストおよび触媒ペーストとして、下記のように分配される。
【0083】
【表1】

【0084】
1:5〜5:1の体積比では、両ペーストを管状のフィルムバッグに注入し、その後、使用する直前に、ペンタミックス(PENTAMIX)(商標)(スリーエム(3M)ESPE AG)等の混合および計量装置を使用して混合することができる。
【0085】
ダブルチャンバカートリッジまたはカプセルの形態の剤形もまた、可能である。該基剤ペーストおよび触媒ペーストの初期粘度は低いため、たとえば、スパチュラまたは同様のものによる、手練りも可能である。
【0086】
本発明による化合物は、一般に、上記量でそれぞれの成分を混合することにより得られる。
【0087】
したがって、本発明はまた、
a)成分(a)としての、少なくとも2個のオレフィン性不飽和基を有する少なくとも1つのポリジオルガノシロキサン、
b)成分(b)としての、少なくとも1つのオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
c)成分(c)としての、少なくとも1個のカルビノール基、カルボキシ基またはアミノ基を有する少なくとも1つのアルキルシロキサン、
d)成分(d)としての、少なくとも1つの縮合硬化触媒、および
e)成分(e)としての、元素のPtを主成分とする、少なくとも1つの付加硬化貴金属触媒、および、場合によって、
f)成分(f)としての、助剤、
が完全に混合される、
組成物の調製方法にも関する。
【0088】
本発明による材料は、歯科用前型材または予備的型材として、または咬合採得材として、またはサンドイッチ技術用トレー材として、特に適する。
【0089】
本発明による硬化した組成物は、混合中、並外れた低加工粘度と共に、好ましくはショア硬度A≧35、好ましくは≧45、特に好ましくはショア硬度A≧60または≧65という最終硬度を有する。
【0090】
本発明の混合組成物の、ISO 4823によるISO稠度が、約15〜約35mm、好ましくは約17〜約33mmであるとき、さらに好ましい。
【0091】
本発明はまた、対象の表面が、本発明の組成物、または本発明による2成分混合物の成分Aおよび成分Bの混合物、または本発明に従って調製される組成物に接触する、対象の型を作製する方法にも関する。対象が、ヒトの口腔内の表面であるとき、本発明は好ましい。
【0092】
本発明はまた、対象の型を採得するための組成物を調製するための、少なくとも1個のカルビノール基、カルボキシ基またはアミノ基を有する少なくとも1つのアルキルシロキサンの使用にも関し、好ましくは該対象がヒトの口腔内である。
【0093】
本発明による組成物は、対象およびそれらの表面、特に歯科充填材または義歯のような歯科対象の、正確な復元を可能にする。したがって、本発明はまた、本発明による組成物を用いて採得した型から得られる、歯科充填材または義歯にも関する。
【0094】
本発明を、実施例でさらに詳細に説明する。
【実施例】
【0095】
カルビノール−シリコーン類の合成
物質1
Pt/C(10%Pt)318mgを、トルエン250mlおよび2−アリルオキシ−エタノール7.6g(74.9mmol)中に分散させた。α,ω−Si−H末端シリコーン(34.0mmol)500gを、還流下で、3時間以内に加える。〜2100cm-1におけるIRスペクトルでSiH吸収が消失するまで、この混合物を還流させる。溶剤の濾去後、透明な粘性ポリマー449g(88.5%)が残る。粘度:1.0Pa*s、OH当量:9070。
【0096】
物質2
Pt/C(10%Pt)639mgを、トルエン300mlおよび3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオール10.0g(74.9mmol)中に分散させた。α,ω−Si−H末端シリコーン(34.0mmol)500gを、還流下で、5時間以内に加える。〜2100cm-1におけるIRスペクトルでSiH吸収が消失するまで、この混合物を還流させる。溶剤の濾去後、透明な粘性ポリマー475g(93%)が残る。粘度:1.9Pa*s、OH当量:4500。
【0097】
物質3
Pt/C(10%Pt)583.7mgを、トルエン500mlおよび3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオール29.6g(224mmol)中に分散させた。α,ω−Si−H末端シリコーン120.6g(51.7mmol)を、還流下で、5時間以内に加える。〜2100cm-1におけるIRスペクトルでSiH吸収が消失するまで、この混合物を還流させる。溶剤の濾去後、透明な粘性ポリマー123.5g(100%)が残る。粘度:1Pa*s、OH当量:650。
【0098】
物質4
Pt/C(10%Pt)102.6mgを、トルエン100mlおよびアリルアルコール2.3g(40.1mmol)中に分散させた。α,ω−Si−H末端シリコーン100g(DMS−H21;16.7mmol)を、還流下で、1時間以内に加える。〜2100cm-1におけるIRスペクトルでSiH吸収が消失するまで、この混合物を還流させる。溶剤の濾去後、透明な粘性ポリマー100.9g(99%)が残る。GPC:分子量=8500;OH当量:2860。
【0099】
物質5
Pt/C(10%Pt)54.3mgを、トルエン50mlおよび10−ウンデセン−1−オール4.26g(25mmol)中に分散させた。α,ω−Si−H末端シリコーン50g(DMS−H21;8.33mmol)を、還流下で、1時間以内に加える。〜2100cm-1におけるIRスペクトルでSiH吸収が消失するまで、この混合物を還流させる。溶剤の濾去後、透明な粘性ポリマー52.8g(100%)が残る。GPC:分子量=5200;OH当量:2504。
【0100】
物質6
ヘキサクロロ白金酸Pt 23.1mgを、トルエン200mlおよび5−ヘキセン−1−オール60.1g(600mmol)中に分散させた。50℃にて、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(200mmol)26.1gを滴加する。〜2100cm-1におけるIRスペクトルでSiH吸収が消失するまで、この混合物を加熱する。触媒および溶剤の除去後、透明な流動性の液体62.2g(90%)が残る。減圧下で蒸留後:OH当量:180。
【0101】
物質7
Pt/C(10%Pt)320mgを、トルエン600mlおよび5−ヘキセン−1−オール20.0g(200mmol)中に分散させた。α,ω−Si−H末端シリコーン300g(DMS−H21;50mmol)を、還流下で、1時間以内に加える。〜2100cm-1におけるIRスペクトルでSiH吸収が消失するまで、この混合物を還流させる。溶剤の濾去後、透明な粘性ポリマー309.7g(100%)が残る。GPC:分子量=7900;OH当量:2130。
【0102】
物質8
アルゴン条件下、9−ボランビシクロノナン8.54g(70mmol)を、THF 150mlに溶解する。α,ω−Si−ビニル末端シリコーン245.4g(VS 200,31.9mmol)を室温で加えた。この混合物を一晩攪拌した。エタノール50mlと4N NaOH水溶液18mlの混合物を加えた。30%H22 24g(212mmol)を滴加した。生成物の一般的な後処理および分離の後、粘性のポリマー200g(81%)が残った。OH当量:7630。
【0103】
物質9
カプロラクトン31g(276mmol)、物質3 40g(15.3mmol)およびジブチルスズジラウレート0.6mlを容器に入れ、窒素条件下で、75℃に1時間、140℃に5時間、および180℃に1時間、加熱した。一晩冷却すると、この反応混合物は凝固する。触媒および未反応のカプロラクトンを除去した後、蝋質の白色固体65gが残った。氷点:50〜60℃、OH当量:1060。
【0104】
カルボキシ−シリコーンの合成
物質10
Pt/C(10%Pt)644mgを、トルエン300mlおよび11−ウンデセノイックアシッド13.8g(74.8mmol)中に分散させた。α,ω−Si−H末端シリコーン(34.0mmol)500gを、還流下で、4時間以内に加える。〜2100cm-1におけるIRスペクトルでSiH吸収が消失するまで、この混合物を還流させる。溶剤の濾去および薄膜蒸発の後、透明な粘性ポリマー340g(66.7%)が残る。粘度:3.3Pa*s。
【0105】
物質11
物質1 200g(11.0mmol)および無水マレイン酸3.2g(33.1mmol)を、十分な時間、エルレンマイヤーフラスコ内で一緒に70℃に加熱した。過剰の無水マレイン酸を濾過で除去した。透明な粘性の生成物が得られる(184g,90.6%)。粘度:2.0Pa*s。
【0106】
以下の組成物を使用して、基剤ペーストおよび触媒ペーストを調製した:
【0107】
実施例A(カルビノール末端ポリジメチルシロキサンを含む)
【0108】
【表2】

【0109】
実施例B(カルボキシル末端ポリジメチルシロキサンを含む)
【0110】
【表3】

【0111】
実施例C(アミノ末端ポリジメチルシロキサンを含む)
【0112】
【表4】

【0113】
実施例D(カルビノール末端ポリジメチルシロキサンを含む)
【0114】
【表5】

【0115】
白金触媒溶液として、1,1,3,3−テトラメチルジビニルシロキサンにより錯体を形成した元素Pt 1.3重量%をシリコーンオイル(50mPas)中に含有する白金触媒溶液を使用した。
【0116】
これらのペーストを、基剤:触媒の体積比5:1(v/v)で混合した後、該物質は展性のあるパテ稠度を示した。該混合ペーストは、室温で約5〜8分後に、高いショア硬度Aを示すゴムに硬化した。
【0117】
基剤ペーストと触媒ペーストとの混合後、縮合硬化系により生じた稠度の上昇を示すために、基剤ペースト、触媒ペーストおよび混合ペーストのISO稠度を測定した。
【0118】
【表6】

【0119】
上述の稠度データは全て、ペーストのハンドミキシング(実施例A、BおよびC)によって作成し、実施例Dのペーストは、ペンタミックス(Pentamix)(登録商標)2装置(スリーエム(3M)ESPE AG、ドイツ)内で混合することによって得た。
【0120】
混合ペーストはパテ様稠度を示すが、単独ペーストは示さない。混合の2分後に、該稠度は、依然として展性があり、未だ硬化していなかった。このことから、粘度の上昇は、非常に速く作用する縮合系の結果であることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)成分(a)として、少なくとも2個のオレフィン性不飽和基を有する少なくとも1つのポリジオルガノシロキサン、
b)成分(b)として、少なくとも1つのオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
c)成分(c)として、少なくとも1個のカルビノール基、カルボキシ基またはアミノ基を有する少なくとも1つのアルキルシロキサン、
d)成分(d)として、少なくとも1つの縮合硬化化合物、および
e)成分(e)として、少なくとも1つの付加硬化貴金属触媒、
を含む、組成物。
【請求項2】
成分(c)は、式
13Si−O−[SiR12−O−]aSiR12−Y−(O−R2d−Xe−[(O−R2bOH]c(II)または
[HO−(R2−O)bc−Xe−(R2−O)d−Y−[SiR12−O−]aSiR12−Y−(O−R2d−Xe−[(O−R2bOH]c(III)または
13Si−O−{[SiR12−O−]n[SiR1(−Y−(O−R2d−Xe−[(O−R2bOH]c)−O−]m}−SiR13(IIIa)または
【化1】

(式中、Xは、6〜14個のC原子および原子価cを有する、酸素原子および/またはエーテル基を含んでもよい、直鎖または分岐鎖の炭化水素またはアリール残基であり、Yは、1〜10個のC原子を有する直鎖または分岐鎖アルキレン基か、または4〜14個のC原子を有するシクロアルキル基であり、R1は、1〜8個のC原子を有する、直鎖または分岐鎖のアルキル基またはフルオロアルキル基か、または6〜14個のC原子を有するシクロアルキル基またはアリール基であり、R2は、1〜8個のC原子を有する、カルボニル基を含んでもよい直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、Dは、R1か、または分子1個当たり少なくとも1個の残基−Y−(O−R2d−Xe−[(O−R2bOH]cを有する、−Y−(O−R2d−Xe−[(O−R2bOH]cであり、1≦a≦10,000であり、0≦b≦500であり、1≦c≦6であり、0≦d≦500であり、eは、0または1であり、0≦n≦500であり、0≦m≦100であって、ここでm+nは5より大きく、xは、0、1、2、3、4、5または6である)
の少なくとも1つの化合物を含有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分(c)は、式
13Si−O−[SiR12−O−]aSiR12−Y−(O−R2d−Xe−[Zf−COOH]c(IV)または
[HOOC−Zfc−Xe−(R2−O)d−Y−[SiR12−O−]aSiR12−Y−(O−R2d−Xe−[Zf−COOH]c(V)または
13Si−O−{[SiR12−O−]n[SiR1(−Y−(O−R2d−Xe−[Zf−COOH]c)−O−]m}−SiR13(Va)または
【化2】

(式中、Xは、6〜14個のC原子および原子価cを有する、酸素原子および/またはエーテル基を含んでもよい直鎖または分岐鎖の炭化水素またはアリール残基であり、Yは、1〜10個のC原子を有する、直鎖または分岐鎖のアルキレン基か、または4〜14個のC原子を有するシクロアルキル基であり、Zは、1〜16個のC原子を有する、エステル基を含んでもよい、直鎖または分岐鎖のアルキレン基またはアルケニレン基またはアリール基であり、R1は、1〜8個のC原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基またはフルオロアルキル基か、または4〜14個のC原子を有するシクロアルキル基またはアリール基であり、R2は、1〜8個のC原子を有する、カルボニル基を含んでもよい直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、Eは、R1か、または分子1個当たり少なくとも1個の残基−Y−(O−R2d−Xe−[Zf−COOH]cを有する−Y−(O−R2d−Xe−[Zf−COOH]cであり、1≦a≦10,000であり、1≦c≦6であり、0≦d≦500であり、eは、0または1であり、fは、0または1であり、0≦n≦500であり、0≦m≦100であって、ここでm+nは、5より大きく、xは、0、1、2、3、4、5または6である)
の少なくとも1つの化合物を含有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
成分(c)は、式
13Si−O−[SiR12−O−]aSiR12−Y−(O−R2d−Te−[(O−R2bNHR3c(VI)または
[R3HN−(R2−O)bc−Te−(R2−O)d−Y−[SiR12−O−]aSiR12−Y−(O−R2d−Te−[(O−R2bNHR3c(VII)または
13Si−O−{[SiR12−O−]n[SiR4(−Y−(O−R2d−Te−[(O−R2bNHR3c)−O−]m}−SiR13(VIIa)または
【化3】

(式中、Tは、6〜14個のC原子および原子価cを有する、酸素原子および/またはエーテル基を含んでもよい直鎖または分岐鎖の炭化水素またはアリール残基であり、Yは、1〜10個のC原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキレン基か、または4〜14個のC原子を有するシクロアルキル基であり、R1は、1〜8個のC原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基またはフルオロアルキル基か、または6〜14個のC原子を有するシクロアルキル基またはアリール基であり、R2は、1〜8個のC原子を有する、カルボニル基を含んでもよい直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、Fは、R1か、または分子1個当たり少なくとも1個の残基−Y−(O−R2d−Te−[(O−R2bNHR3cを有する−Y−(O−R2d−Te−[(O−R2bNHR3cであり、R3は、1〜8個のC原子を有する、直鎖または分岐鎖のアルキル基またはフルオロアルキル基か、または6〜14個のC原子を有するシクロアルキル基またはアリール基か、またはHであり、R4は、R1またはメトキシまたはエトキシであり、1≦a≦10,000であり、0≦b≦10,000であり、1≦c≦6であり、0≦d≦500であり、eは0または1であり、0≦n≦500であり、0≦m≦100であって、ここでm+nは5より大きく、xは、0、1、2、3、4、5または6である)
の少なくとも1つの化合物を含有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
成分(f)として、1つ以上の助剤を含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
下記の成分を下記の量:
a)2.5〜40重量%の成分(a)、
b)0.2〜10重量%の成分(b)、
c)0.5〜8重量%の成分(c)、
d)0.1〜7重量%の成分(d)、
e)元素のPtを基準にして、0.05〜4重量%の成分(e)、および
f)31〜96.65重量%の、成分(f)としての助剤、
(ここで、成分は合計100重量%となる)
で含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
成分Aおよび成分Bを含み、成分Aは、
a)成分(a)として、少なくとも2個のオレフィン性不飽和基を有する少なくとも1つのポリジオルガノシロキサン、
b)成分(b)として、少なくとも1つのオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
c)成分(c)として、少なくとも1個のカルビノール基、カルボキシ基またはアミノ基を有する、少なくとも1つのアルキルシロキサン、
を含み、
また、成分Bは、
d)成分(d)として、少なくとも1つの縮合硬化成分、および
e)成分(e)として、少なくとも1つの付加硬化貴金属触媒
を含む、
2成分系。
【請求項8】
成分(c)は、式II、III、IIIa、IIIb、IV、V、Va、Vb、VI、VII、VIIaまたはVIIb(式中、Xは、6〜14個のC原子および原子価cを有する、酸素原子および/またはエーテル基を含んでもよい直鎖または分岐鎖の炭化水素またはアリール残基であり、Tは、6〜14個のC原子および原子価cを有する、酸素原子および/またはエーテル基を含んでもよい直鎖または分岐鎖の炭化水素またはアリール残基であり、Yは、1〜10個のC原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキレン基か、または4〜14個のC原子を有するシクロアルキル基であり、Zは、1〜16個のC原子を有する、エステル基を含んでもよい直鎖または分岐鎖のアルキレン基またはアルケニレン基またはアリール基であり、R1は、1〜8個のC原子を有する、直鎖または分岐鎖のアルキル基またはフルオロアルキル基か、または4〜14個のC原子を有するシクロアルキル基またはアリール基であり、R2は、1〜8個のC原子を有する、カルボニル基を含んでもよい直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、Dは、R1か、または分子1個当たり少なくとも1個の残基−Y−(O−R2d−Xe−[(O−R2bOH]cを有する−Y−(O−R2d−Xe−[(O−R2bOH]cであり、Eは、R1か、または分子1個当たり少なくとも1個の残基−Y−(O−R2d−Xe−[Zf−COOH]cを有する−Y−(O−R2d−Xe−[Zf−COOH]cであり、Fは、R1か、または分子1個当たり少なくとも1個の残基−Y−(O−R2d−Te−[(O−R2bNHR3cを有する−Y−(O−R2d−Te−[(O−R2bNHR3cであり、R3は、1〜8個のC原子を有する、直鎖または分岐鎖のアルキル基またはフルオロアルキル基か、または6〜14個のC原子を有するシクロアルキル基またはアリール基またはHであり、R4は、R1か、またはメトキシまたはエトキシであり、1≦a≦10,000であり、1≦c≦6であり、0≦d≦500であり、eは、0または1であり、fは0または1であり、0≦n≦500であり、0≦m≦100であって、ここでm+nは5より大きく、xは、0、1、2、3、4、5または6である)
の少なくとも1つの化合物、またはそれらの2つ以上の混合物を含有することを特徴とする、請求項7に記載の2成分系。
【請求項9】
成分Aは、下記の成分を下記の量:
a)8〜25重量%の成分(a)、
b)1〜10重量%の成分(b)、
c)0.5〜10重量%の成分(c)、および
d)55〜90.5重量%の助剤、
(ここで、成分は合計100重量%となる)
で含有することを特徴とする、請求項7または8に記載の組成物。
【請求項10】
成分Bは、下記の成分を下記の量:
a)0.5〜10重量%の成分(d)、
b)元素のPtを基準にして、0.1〜5重量%の成分(e)、および
c)85〜99.4重量%の助剤、
(ここで、成分は合計100重量%となる)
で含有することを特徴とする、請求項7または8に記載の組成物。
【請求項11】
不活性な担体材料、インヒビター、フィラー、顔料または溶剤からなる群より選択される、少なくとも1つの助剤を含有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
a)成分(a)としての、少なくとも2個のオレフィン性不飽和基を有する少なくとも1つのポリジオルガノシロキサン、
b)成分(b)としての、少なくとも1つのオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
c)成分(c)としての、少なくとも1個のカルビノール基、カルボキシ基またはアミノ基を有する少なくとも1つのアルキルシロキサン、
d)成分(d)としての、少なくとも1つの縮合硬化触媒および
e)成分(e)としての、少なくとも1つの付加硬化貴金属触媒
が完全に混合されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物の調製方法。
【請求項13】
対象物の型を作製する方法であって、対象物の表面を、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物と、または請求項7〜10のいずれか1項に記載の2成分混合物の成分Aおよび成分Bの混合物と、または請求項11に記載の組成物と、または請求項12に従って調製される組成物と接触させる、作製方法。
【請求項14】
前記対象物は、ヒトの口腔内の表面であることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
対象物の型を採得するための組成物を調製するための、少なくとも1個のカルビノール基、カルボキシ基またはアミノ基を有する少なくとも1つのアルキルシロキサンの使用。
【請求項16】
前記対象物は、ヒトの口腔内であることを特徴とする、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物で採得される型から得られる、歯科充填材または義歯。

【公表番号】特表2007−500679(P2007−500679A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521545(P2006−521545)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【国際出願番号】PCT/EP2004/008592
【国際公開番号】WO2005/013925
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(504169278)スリーエム イーエスピーイー アーゲー (43)
【Fターム(参考)】