説明

自動溶存炭酸ガス濃度表示器

【課題】浴槽内または炭酸水製装置で生成された炭酸水の溶存炭酸ガス濃度を連続的に測定表示することを可能にする。
【解決手段】炭酸水に溶存する炭酸ガスは減圧によって気化する。1次定量ポンプで定量サンプリングし、2次定量ポンプで2倍の容積を吸入し溶存炭酸ガスを気化する。この方法で2次定量ポンプの吐出側を気水分離槽に導き、気水分離した炭酸ガスを特定サイズの排気通路に設けられた気体流速センサを通すことによってその量を知ることが出来るので連続的に溶存ガス濃度を測定することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽用炭酸水生成装置が作る炭酸水の溶存炭酸ガス濃度または浴槽内の溶存炭酸ガス濃度を連続自動で測定し表示する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
溶存炭酸ガス濃度を測定する方法として溶解前のpHと溶解後のpH測定値から推測する方法、特定波長の赤外線吸収率から測定する方法、ガラス電極式で測定する方法の他に溶存ガスを過熱・超音波照射により溶解ガスを放出させてその圧力から測定する方法等がある。
【0003】
しかし、現場で携帯用を使用するときの迅速性や連続測定には大いに悩まされ、システム組み込み測定機には価格の点で問題がある。
【0004】
連続的に短時間で溶存炭酸ガス濃度を測定するには上記の方法では調整時間や価格にも問題があった。
【0005】
この改善策として、隔膜式電極や気体透過膜を使用し更に超純水や不活性ガスなどを使用したシステム型測定器が提案されて精度や応答時間は解決できたが校正その他の調整や設置スペースと価格に問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−344343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、リアルタイムで溶存炭酸ガス濃度を測定する方法と入浴客に常時表示する方法の2点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、溶存炭酸水の濃度を測定するための手段として炭酸水を連続吸引減圧し溶存ガスを放出させ、その放出ガスを特定サイズの放出管を通しその時の流速を測定し溶存炭酸ガス濃度に変換する方法を主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の自動溶存炭酸ガス濃度表示器は、正圧で炭酸水を1次定量ポンプで吸引し、次に1次定量ポンプ吐出側と2次定量ポンプ吸入側とを減圧発泡管で接続し、1次定量ポンプの2倍の容積で2次定量ポンプを運転することによって溶存炭酸ガスを減圧分離した炭酸ガス混合液を2次定量ポンプ吐出側に接続されている気水分離槽へ送る機構を有し、気水分離槽ではオーバーフロー管で定水位を維持しているので気水分離槽の上部にある気体流速センサを通して減圧分離された炭酸ガスが排気される流速を測定することによって溶存炭酸ガス濃度を知ることが出来るので、連続して溶存炭酸ガス濃度を知ることが出来るという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は炭酸水生成装置吐出側からサンプリングする形態の実施方法を示した図面である。(実施例1)
【図2】図2は浴槽からサンプリングする形態の実施方法を示した図面である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0011】
溶存炭酸ガス濃度を連続的に測定するという目的を、サンプリング量の2倍の容積で連続減圧することで、簡潔最少部品で実現した。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明装置の1実施例のシステム図であって、1は炭酸水浴槽、2は炭酸水生成装置、3は流量計、4は1次定量ポンプ、5は減圧発泡管、6は2次定量ポンプ、7は気水分離槽、8は気体流速センサ、9はオーバーフロー管、10はオーバーフローピット、11は電気制御装置、12は現場表示器、13は現場記録計、14は浴室内表示器である。
【0013】
炭酸水生成装置2は循環ポンプ内蔵の装置であるものとし、炭酸水浴槽1の下部から吸込み上部に排出する。
【0014】
サンプリングは炭酸水生成装置1の吐出側配管から分岐し流量計3を経由し1次定量ポンプ4に接続される。
【0015】
1次定量ポンプ4は電気制御装置11によって毎分1リットルの定量サンプリングするようにコントロールされる。
【0016】
2次定量ポンプ6は電気制御装置11によって毎分2リットルの定量サンプリングするようにコントロールされる。
【0017】
一般に炭酸水浴槽の溶存炭酸ガス濃度は1,000ppm前後とされているので、下記の数1によって求まる数式の各物理量値の例を示す。
【0018】
【数1】

【0019】
数1から1,000ppmの炭酸水1リットルに対し1グラムの炭酸ガスが溶解していることになるから、1リットルを減圧し溶解炭酸ガス全量がガス化すると約500平方センチになるので全体の容積は約1.5倍になる。このことからサンプリング量の2倍の容積で減圧することで1,000ppm前後の溶解濃度は十分測定できることになる。
【0020】
2次定量ポンプ6は減圧発泡管5で炭酸ガスが発泡した気水混合水を吸入し気水分離槽7に注入する。
【0021】
このように1次2次定量ポンプが連携し連続的にサンプリング減圧発泡注入を行うことによって気水分離槽7では炭酸ガスと水に分離され、液体はオーバーフロー管から定水位を保持しながら排水され、気体の炭酸ガスは気体流速センサを通過し流速測定され大気に放出され連続測定が可能となる。
【実施例2】
【0022】
図2の実施例では、1次定量ポンプの位置が特に重要であり、サンプリング配管のサイズと長さ曲がりに影響されるが、浴槽液面から30センチメートル以上低位にあることが望ましい、なぜならサンプリング時に減圧発泡が起こり測定精度に影響されるからであるが、このことを考慮に入れた配管をすれば問題なく測定精度を保てる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
大衆浴場等に設けられた炭酸泉において利用者が最も知りたいのは溶存炭酸ガス濃度である。しかし現状では濃度計設置個所は見当たらない。その原因は測定装置が無いのではなくその価格が高すぎるため設置できないでいるのが現状である。本発明の測定器はその構造原理から現在市販されている装置の数分の1程度に価格が抑えられ、且つメンテナンスが非常に簡易なことから設置者に過大な負担をかけずに設置でき、また利用者にも満足感を与えるものである。
【符号の説明】
【0024】
1 炭酸水浴槽
2 炭酸水生成装置
3 流量計
4 1次定量ポンプ
5 減圧発泡管
6 2次定量ポンプ
7 気水分離槽
8 気体流量センサ
9 オーバーフロー管
10 オーバーフローピット
11 電気制御装置
12 現場表示器
13 記録計
14 浴室内表示器
15 濾過装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽用炭酸水の溶存炭酸ガス濃度を連続的に測定するため炭酸水をサンプリングする1次定量ポンプ送水量と、2次定量ポンプの送水量を1対2にし、1次定量ポンプと2次定量ポンプの接続管内での減圧によって溶存炭酸ガスを気化させる溶存炭酸ガス発泡部を設け、2次定量ポンプの吐出側をオーバーフロー管を備え定水位を保持する気水分離槽に接続し、分離ガス排出管に気体流速センサを設け大気に排出する構造を有し、ガス流速センサから溶存炭酸ガス濃度を計測表示する自動溶存炭酸ガス濃度表示器。

【図1】
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【図2】
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