説明

自動発券機および自動発券システム

【課題】乗車券や指定券、航空予約券等のチケットに二次元バーコード53cを印字して券53を発行する自動発券機10において、印字する二次元バーコード53cの位置を自由に設定できるようにする。
【解決手段】媒体3に所定の情報をコード化した二次元バーコード53cを印字して予約券53を発行する自動発券機10であって、前記媒体3の表面53aに二次元バーコード53cを印字する第1の印字手段14と、前記媒体3の裏面53bの任意の位置に所定のマーキングをするマーキングスタンプ部25を設け、前記二次元バーコード53cの位置の裏面53bの位置近傍に所定のマーク53dを押印できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空予約券等のチケットに二次元バーコードを印字して発行する自動発券機、およびそれを読み取る券情報読取装置からなる自動発券システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動発券システムとして、例えば、空港チェックイン業務で使用される自動発券システムは、図2に示すような構成となっており、自動発券機10が、各地域にある旅行代理店40等に設置され、二次元バーコード53cを含んだ予約券53等の発券を行う。そして、券情報読取装置20が、空港30に設置され、発券された予約券の二次元バーコード53cを読み取り、その後の処理を行う。
【0003】
ここで、従来の自動発券機10の構成は図8のようになっており、11は媒体3を格納するホッパ部、12はホッパ部11に格納された媒体3を1枚ずつ分離する分離部、13は分離された媒体3を搬送する搬送部、14は搬送された媒体3に二次元バーコード53cのほか必要な情報を印字して予約券53とする感熱サーマル印字部、15は発行処理された予約券53を集積する排出部である。
【0004】
また、予約券53に印字された二次元バーコード53cを読み取る券情報読取装置20の構成は、図3の外観構成図のように、装置前面に二次元バーコード53cを読み取る二次元バーコードリーダ21が設けられた構成となっている。
【0005】
以上の構成により、従来の自動発券システムは、以下のように動作する。この動作を前述の構成図、図9および図10の動作フローチャート図を用いて以下説明する。
【0006】
従来の自動発券システム全体の動作としては、まず、図2のように、顧客は、旅行代理店40等で自動発券機10から発行される予約券53を購入し、その後、空港に行き、搭乗時に券情報読取装置20の二次元バーコードリーダ21に予約券53をかざすと、券情報読取装置20により二次元バーコード21の予約券データを読み取り、予約券データが正しいときに搭乗できるようになっている。
【0007】
予約券53を購入するときの動作としては、図9に示したように、まず、発券機10に内蔵されたホッパ部11から分離部12により媒体3を1枚ずつ繰出し(ステップS11)、図8矢印Bのように搬送部13に搬送し(ステップS12)、搬送された媒体3は感熱サーマル印字部14で予約情報等をコード化した二次元バーコードなどを印字する(ステップS13)。
【0008】
そして、二次元バーコード等が印字された予約券53は排出部15に排出され(ステップS14)、これを顧客が受け取る。
【0009】
そして、顧客は、空港30に行き、図10に示したように、搭乗時に図3の券情報読取装置20の二次元バーコードリーダ21に予約券53の券表側53aをかざし(ステップS21)、二次元バーコード53cの予約券データを読み取らせる(ステップS22)。
【0010】
そして、券情報読取装置20にて二次元バーコード53cを読み取れなかった場合は(ステップS23)、二次元バーコード53cの位置を再度合わせてかざし直すようにガイドし(ステップS24)、再びステップS22に戻って二次元バーコード53cを読み取る。一方、二次元バーコード53cを読み取れたときは、読取れた情報に基づいて所定の処理を行い、本処理を終了する(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
しかしながら、上記従来の自動発券システムでは、券情報読取装置20に二次元バーコード53cが印字された予約券53をかざすときに、図3のように予約券53の券表面53aを下に向けてかざすため、二次元バーコードリーダ21の読取範囲に予約券53に印字されている二次元バーコード53cが正しくかざされているかどうか、顧客にはわかりづらく、この問題を解決するために、予約券53の券裏面53bにあらかじめ二次元バーコード53cの印字位置を示すマークを印刷しておくという方法が採られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−152656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記のような予約券53の券裏面53bにあらかじめ二次元バーコード53cの印字位置を示すマークを印刷しておくという方法では、印字する二次元バーコード53cの位置を固定しなければならないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前述の課題を解決するため次の構成を採用する。すなわち、媒体に所定の情報をコード化したコードを印字して券を発行する自動発券機であって、前記媒体の一方の面に前記コードを印字する第1の印字手段と、前記媒体の他方の面の任意の位置に所定のマーキングをするマーキング手段を設け、前記コードの位置の他方の面の位置近傍に所定のマーキングを行うようにした。
【発明の効果】
【0015】
本発明の自動発券機によれば、媒体に所定の情報をコード化したコードを印字して券を発行する自動発券機であって、前記媒体の一方の面に前記コードを印字する第1の印字手段と、前記媒体の他方の面の任意の位置に所定のマーキングをするマーキング手段を設け、前記コードの位置の他方の面の位置近傍に所定のマーキングを行うようにしたので、前記コードを印字する場所を自由に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1の自動発券機の構成図である。
【図2】自動発券システムの構成図である。
【図3】券情報読取装置の外観構成図である。
【図4】実施例1の予約券の表面の構成図である。
【図5】実施例1の予約券の裏面の構成図である。
【図6】実施例1の自動発券機の動作フローチャート図である。
【図7】実施例2の自動発券機の構成図である。
【図8】従来の自動発券機の構成図である。
【図9】従来の自動発券機の動作フローチャート図である。
【図10】自動発券システムにおける予約券のバーコード読取り動作フローチャート図である。
【図11】変形例の予約券の表面の構成図である。
【図12】変形例の予約券の裏面の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。
【実施例1】
【0018】
(構成)
実施例1の自動発券システムの構成は、前述の図2と同様であり、各地域の旅行代理店40等に設置された自動発券機10にて二次元バーコード53cを含んだ予約券53等の発券が行われ、空港30に設置された券情報読取装置20により、発券された予約券53の二次元バーコード53cを読み取り、その後の処理を行う。
【0019】
実施例1の自動発券機10の構成は、図1のようになっており、11は媒体3を格納するホッパ部、12はホッパ部11に格納された媒体3を1枚ずつ分離する分離部、13は分離された媒体3を搬送する搬送部、14は、予約券の券表面53aに印字する第1の印字手段として、搬送された媒体3に二次元バーコード53cのほか必要な情報を印字して予約券53とする感熱サーマル印字部、15は発行処理された予約券53を集積する排出部である。
【0020】
そして、中央に配置される25は、スタンプヘッド25aを矢印A方向に上下して予約券53の券裏面53bに所定のスタンプを押印してマーキングするマーキング手段としてのマーキングスタンプ部であり、これに対向してプラテン25bが配置されている。
【0021】
また、予約券53に印字された二次元バーコード53cを読み取る券情報読取装置20の構成は、図3の外観構成図を用いて説明した従来の自動発券システムの券情報読取装置20の構成と同様であり、装置前面に二次元バーコード53cを読み取る二次元バーコードリーダ21が設けられた構成となっている。
【0022】
(動作)
以上の構成により、実施例1の自動発券システムは、以下のように動作する。この動作を前述の図1ないし図3の構成図、図4および図5の予約券の構成図、図6および図10の動作フローチャートを用いて以下詳細に説明する。
【0023】
まず、従来の自動発券システム全体の動作としては、図2のように、顧客は、旅行代理店40等で自動発券機10から発行された予約券53を購入し、空港に行き、搭乗時に券情報読取装置20の二次元バーコードリーダに予約券をかざし、二次元バーコードの予約券データを読み取らせ、所定の処理を行う。
【0024】
そして、予約券53を購入するときの動作としては、図6に示したように、発券機10に内蔵されたホッパ部11から分離部12により媒体3を1枚ずつ繰出し(ステップS01)、矢印Bのように搬送部13に搬送し(ステップS02)、搬送されてきた媒体3に感熱サーマル印字部14で予約情報等をコード化した二次元バーコード53cなどを印字する(ステップS03)。
【0025】
このように、予約券53の券表面53aに二次元バーコード53cが印字された例を図4に示す。同図に示したように、二次元バーコード53cは、図示しない上位制御部から指示されるn行×m列の位置に二次元バーコード53cが印字される。
【0026】
そして、まず、券表面53aの二次元バーコード53cがマーキングスタンプ部25に到来したときに搬送を一旦停止させ、二次元バーコード53cが印字された位置の券裏面53bの位置に、スタンプヘッド25aを矢印A方向に駆動させることにより所定のマーキングを押印する(ステップS04)。このように予約券53の券裏面53bにマーク53dが押印された例を図5に示す。
【0027】
なお、このときのマーク53dの位置は、自動発券機10が予約券53を印字するときに、二次元バーコード53cの印字位置情報として、二次元バーコード53cの印字中心位置n行×m列を上位制御部から受信し、このn行×m列の情報に基づいて、スタンプヘッド25aにより二次元バーコード53cの印字中心位置の裏側53bに押印すればよい。また、マーク53dの形状は、図5のように円形状としてもよいし、四角や三角などの形状としても勿論よい。
【0028】
そして、二次元バーコード53c等が券表面53aに印字され、券裏面53bにマーク53dが押印された予約券53を、排出部15に排出し、顧客がこれを受け取る(ステップS05)。
【0029】
その後、顧客は、空港30に行き、搭乗時に、券裏側53bのマーク53dを見ながら券情報読取装置20の二次元バーコードリーダ21に合わせ、予約券53をかざすことにより(ステップS21)、二次元バーコード53cの予約券データを読み取らせる。(ステップS22)
【0030】
そして、二次元バーコード53cを読み取れなかった場合は(ステップS23)、二次元バーコード53cの位置を再度合わせてかざし直すようにガイドし(ステップS24)、再びステップS22に戻って二次元バーコード53cを読み取る。一方、二次元バーコード53cを読み取れたときは、読取った情報に基づいて所定の処理を行い、本処理を終了する。
【0031】
(実施例1の効果)
以上のように実施例1の自動発券機によれば、予約券の券表面に前記2次元バーコードを印字する印字部と、前記予約券の券裏面の任意の位置に所定のマーキングをするマーキング手段を設け、前記2次元バーコードの位置の券裏面の位置近傍に所定のマーキングを行うようにしたので、前記二次元バーコードを印字する場所を自由に設定することができる。
【実施例2】
【0032】
(構成)
実施例2の自動発券システムの構成は実施例1の構成と同様であり、自動発券機の構成において、図7に示したように、マーキングスタンプ部25の代わりに第2の印字部として印字部35を設けた構成となっている。そして、印字部35は、印字ヘッド35aを備え、これに対向した位置にプラテン35bが設けられた構成となっている。
【0033】
(動作)
以上の構成により実施例2の自動発券機は以下のように動作する。この動作を前述の図7を用いて以下詳細に説明する。なお、自動発券機10による裏面53bへのマーキング動作以外の予約券53の発券動作及び券情報読取装置20による予約券53の読取り動作は、実施例1と同様であるので、簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0034】
実施例1の動作と異なる券裏面53bへのマーキング動作としては、まず、券表面53aの二次元バーコード53cが印字部35に到来したときに一旦搬送を停止し、二次元バーコード53cが印字された位置の券裏面53bの位置に、印字部35の印字ヘッド35aにより所定のマーキングを印字する。予約券53の券裏面53bにマーク53dが印字された例は実施例1と同様、図5のようになる。
【0035】
なお、このときのマーク53dは、自動発券機10が予約券53を印字するときに、二次元バーコード53cの印字位置情報として、二次元バーコード53cの印字中心位置n行×m列を上位制御部から受信し、このn行×m列の情報に基づいて、印字ヘッド35aにより二次元バーコード53cの印字中心位置の裏側53bに押印すればよいことも実施例1と同様である。
【0036】
そして、二次元バーコード53c等が券表面53aに印字され券裏面53bにマーク53dが印字された予約券53を、排出部15に排出し、顧客がこれを受け取り、その後、顧客は、空港30に行き、搭乗時に、券裏側53bのマーク53dを見ながら券情報読取装置20の二次元バーコードリーダ21に合わせ、予約券53をかざすことにより、二次元バーコード53cの予約券データを読み取らせる。
【0037】
(実施例2の効果)
以上のように実施例2の自動発券機によれば、予約券の券表面に印字する第1の印字手段と、予約券の券裏面の任意の位置に所定のマークを印字する第2の印字手段を設け、予約券の券表面に印字した二次元バーコードの位置の券裏面位置近傍に所定のマーキングを行うようにしたので、実施例1の効果と同様、前記二次元バーコードを印字する場所を自由に設定することができる。
【0038】
《その他の変形例》
以上の実施例の説明では、マーク53dの押印または印字位置を、自動発券機10が予約券53を印字する前に、二次元バーコード53cの位置情報として、二次元バーコード53cの印字中心位置n行×m列を上位制御部から受信し、このn行×m列の情報に基づいて、スタンプヘッド25aまたは印字ヘッド35aにより二次元バーコード53cの印字中心位置の裏側53bに押印または印字するように説明したが、自動発券機10に光学センサ等を設け、二次元バーコード53cの印字位置を検出し、当該検出位置に基づいて、スタンプヘッド25aまたは印字ヘッド35aによりマーク53dを押印または印字するようにしてもよい。
【0039】
また、以上の実施例の説明では、マーク53dをスタンプヘッド25aまたは印字ヘッド35aにより押印または印字するように説明したが、図11および図12に示したように、これとは別に第2のマーク53eとして二次元バーコード53cのコーナ近傍にパンチで孔を開けたり、エンボスによりマーキングするようにしてもよいし、マーク53dとともに第2のマーク53eを設けるようにしても勿論よい。
【0040】
また、以上の実施例の説明では、空港チェックイン業務で使用される二次元バーコード印字の場合の例を説明したが、航空券以外の、例えば電車の自動発券システムであってもよいし、二次元バーコードではなく一次元バーコードを印字する場合であっても本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上述べたように、本発明は、乗車券や指定券、航空予約券等のチケットに二次元バーコードを印字して券を発行する自動発券機、およびそれを読み取る券情報読取装置からなる自動発券システムに広く利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
3 媒体
10 自動発券機
12 分離部
14 感熱サーマル印字部
15 排出部
20 券情報読取装置
21 二次元バーコードリーダ
25 マーキングスタンプ部
25a スタンプヘッド
25b、35b プラテン
35 印字部
35a 印字ヘッド
53 予約券
53a 券表面
53b 券裏面
53c 二次元バーコード
53d マーク
53e 第2のマーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に所定の情報をコード化したコードを印字して券を発行する自動発券機であって、
前記媒体の一方の面に前記コードを印字する第1の印字手段と、
前記媒体の他方の面の任意の位置に所定のマーキングをするマーキング手段を設け、
前記コードの位置の他方の面の位置近傍に所定のマーキングを行うようにしたことを特徴とする自動発券機。
【請求項2】
前記コードは、二次元バーコードまたはバーコードであることを特徴とする請求項1記載の自動発券機。
【請求項3】
前記マーキング手段は、スタンプまたは第2の印字手段であって、
前記スタンプによる押印または第2の印字手段による印字により所定のマーキングを行うようにしたことを特徴とする請求項1記載の自動発券機。
【請求項4】
孔あけ手段またはエンボス生成手段を備え、
前記所定のマーキングは、孔あけ手段またはエンボス生成手段により前記コードの位置近傍に、孔を開けまたはエンボスを生成するようにしたことを特徴とする請求項1記載の自動発券機。
【請求項5】
請求項1記載の自動発券機と、前記自動発券機により発行された券の前記コードを読み取り、当該読取った情報に基づいて所定の処理を行う券情報読取装置からなる自動発券システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−150643(P2011−150643A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13236(P2010−13236)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】