説明

自動発券端末

【課題】
利用者自らが操作することにより、購入した投票券を取消し、払い戻しが出来る公営競技用の自動発券端末を実現する。
【解決手段】
利用者の操作に従って、公営競技用の投票券を発券する自動発券端末において、発券に際し投票の情報を含む発券情報を予め記憶する記憶手段と、端末に投入された発行済みの投票券に記録された発券情報を読取る読取り手段と、読取り手段で読取られた投票券の発券情報と発券前に記憶手段に記憶しておいた発売情報とを照合する照合手段と、照合手段による照合に従って投票券の有効性を判断し、取消しが可能であると判断した場合、投票券の購入を取り消して、払い戻しを行なう処理手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動発券端末に係り、特に利用者自らが操作して投票を行う公営競技の自動発券端末において、誤って購入された投票券の購入取消し又は内容変更を伴う再購入等を利用者自らの操作により行なう投票券の自動発券端末に関する。
【背景技術】
【0002】
競馬や競艇等の公営競技において、レース馬等の選択を間違えて投票券を購入することがある。このように間違えて購入された投票券に関しては、その場で申し出なければ購入をキャンセルすることが出来ない。さらに投票券の自動発券端末では、偽造券を誤って換金してしまうなどの心配があるため、購入した券のキャンセルが出来ない。
【0003】
特許文献1(特開平5−266285号公報)には、電車他を利用する際に購入した切符などの払い戻しについて、媒体の有効性を判断したうえで、時間情報を元に購入取消し(払い戻し)を行うことができる端末について開示されている。切符の購入の場合は、購入した窓口から離れた後でも、取消しの申し出ができる。
【0004】
【特許文献1】特開平5−266285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術は、電車のきっぷ等の払い戻しに関するものであり、切符に記録された時間情報を元に取消しを可能とする。しかし、偽造された媒体が投入された場合、払い戻しに必要な情報が正しければ払い戻しがされてしまう可能性があり、セキュリティに対する問題点が残る。
【0006】
本発明の目的は、利用者自らが操作することにより投票券の購入を取消し、払い戻しができる公営競技用の自動発券端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る自動発券端末は、利用者の操作に従って、公営競技用の投票券を発券する自動発券端末において、発券に際し投票の情報を含む発券情報を予め記憶する記憶手段と、端末に投入された発行済みの投票券に記録された発券情報を読取る読取り手段と、読取り手段で読取られた投票券の発券情報と記憶手段に予め記憶しておいた発売情報とを照合する照合手段と、照合手段による照合に従って投票券の有効性を判断し、取消しが可能であると判断した場合、投票券の購入を取り消して、払い戻しを行なう処理手段と、を有する自動発券端末である。
好ましい例では、前記照合手段は、端末の番号、レース番号、投票内容、発券通番、発行金額を含む投票券の発券情報と、記憶手段に記憶されていた発券情報とを照合する。
また、好ましい例では、端末は利用者の存在を検知するセンサを有し、センサで利用者を検知した場合に、処理手段は利用者に払い戻し処理を行なう。
また、一例では、利用者自らが操作して投票券の購入内容を変更して再購入を行なう操作手段を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、誤って購入した投票券に関して、利用者自らが操作して投票券の購入を取消し、払い戻しをすることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、一実施例に供する自動発券端末1を示す図である。
図1において、公営競技用の自動発券端末1は、利用者に操作案内および情報の表示を行なう表示部と、例えば液晶タッチパネルのように利用者の操作により入力を行なう入力部を含む表示入力部2と、現金の入出金を行うための紙幣入出金部3と、硬貨投入部4及び硬貨受取り部5と、投票の際に利用するマークカード21(図2)を投入するためのマークカード投入部8と、誤って購入した投票券31(図3)や的中券を投入するための的中券投入部7と、投入されたマークカード21や投票券31が読み取れなかった場合などにその券片を返却するための投入券返却部6と、投票券31を発券するための発券部9と、各部の制御をつかさどる制御部10と、利用者の検知を行うための顧客検知センサ11と、を備える。
【0010】
尚、図示していないが、自動発券端末1内には読取り部が備えられ、投入されたマークカード21に記入された情報はこの読取り部にて読取られる。
自動発券端末1には、通信回線を介してホストコンピュータ(単にホストという)12が接続される。このホスト12はデータベース(DB)を備え、投票券を発券する端末の番号、レース番号、投票内容、発券通番、発行金額を含む投票券の発券情報などを記憶して管理する。
【0011】
図2は投票に用いられるマークカード21を示す。
利用者(投票券購入者)は、自分が選択したレース番号、投票したい馬や舟の番号、及び購入金額等について、マークカード21にマークする。
【0012】
図3は、自動発券端末1から発券された投票券31を示す。
投票券31は、投票したレース番号や投票した馬や舟の番号等が印刷されている。情報記録エリア32には印刷内容がバーコードで記録される。このバーコードは、後々取り消し処理や精算の時に、端末内で読取られる。尚、バーコードに限らず、情報記録エリア32は磁気記録で構成してもよい。
【0013】
図4は、一実施例による自動発券端末における投票券の発券処理動作フローを示す。
自動発券端末1(以下、単に端末1という)において、利用者は、表示入力部2の表示部に表示される案内に従って、入力部を操作して所望の入力を行う。
手順として、利用者は、紙幣入出金部3および硬貨投入部4から現金を投入する(401)。または的中券投入部7から的中券を挿入する(402)。投票券が挿入された場合、的中券かを判断する(403)。現金投入又は的中券である場合、精算処理かを判断する(404)。当初は投票券の購入であるために、精算処理ではない(404でN)。
【0014】
次に、利用者が予め選択した投票内容にマークを記入したマークカード21をマークカード投入部8より挿入する(405)。端末1の読取り部(図示せず)は、投入されたマークカード21に記入された投票情報(記入された開催場名、レース番号、投票したい馬や舟の番号、賭け式(単勝、連勝、単式、複式)、投票金額など)を読取り(406)、制御部10は読取った内容が有効であるか判断する。
【0015】
ホスト12では、開催場名、レース番号などの投票情報を管理しており、端末1へ送信された情報と、DBに登録されている情報を比較し、マークカードの情報の妥当性を確認する(407)。例えば15:00の時点で、その日の10:00に終了したレースに対しての投票がされようとした場合、過去にさかのぼった発券は不可であるため、発券は行わず、マークカードを顧客に返却する(408)。妥当性を確認して問題ない場合は、ホスト12より端末1に対して、発券OKの通知が送られ、端末1は、あらかじめ定義された印刷フォーマットに従って、券片31の表面に投票情報を含む発券情報を印刷し、及び同様の情報を情報記録エリア32にバーコードを印刷して、投票券31を発券部9から発券する(413)。
【0016】
利用者は発券された投票券31を受取った後、発券された内容を確認する。万一、自分の希望と異なる内容で発券されている場合には、取消し処理のために、その投票券31を的中券投入部7より投入する。
【0017】
投票券1が投入されると、端末1は最初から処理を行い、ステップ401〜409の動作を実行する。この時、端末1は顧客検知センサ11にて利用者を検知し、制御部10は利用者が端末1の前から離れていないことを確認する。更に制御部10は、入力部からの利用者の操作(取消し選択の入力)により当該投票券の処理が取消し要求であると判断すると(409)、更に投票券の内容が正当であって、取消し可能かを判断する(410)。すなわち、端末1の読取部にて、投票券31の情報記録エリア32に記録されたレース情報、発券時刻、端末番号、発券通番などの情報を読取る。制御部10は、読取られた投票券31の情報からその投票券31が正当な取引で発行されたものであり、発売締切り前である等の条件を確認判断する。
この判断の結果、取消し不可能と判断すると、投票券を返却し、表示部にその旨を表示し、投票券の取消し処理を終わる。
【0018】
一方、取消し可能と判断すると、精算処理に移る(412)。精算処理では、投票券31の取消し情報、即ち投票券から読取られた情報及び取消しの旨の情報を制御部10からホスト12に送信する。ホスト12では、当該投票券31の投票情報に関して、無効化処理を行いDBの内容を取り消す。無効化処理が終わると、ホスト12から取消した終了した旨の情報が端末1へ送信される。
【0019】
端末1では、取消した旨の情報を受信すると、投票券を回収し、取消し金額分の現金を紙幣入出金部3又は硬貨受取り部5から利用者に返却する(412)。
【0020】
決済に磁気/ICカードなどの媒体を使用する場合には、現金の返却ではなく、返却金額分の情報を変更して対応する。なお、利用者は、返却金額の現金の払い戻しを受ける代わりに、自分の希望するレースの投票券を購入し直すこともできる。この場合には、フローチャートのステップ401から再び処理を行なうことになる。
【0021】
取消しについては、発券直後、利用者が端末1の前から離れていないことを原則とするが、端末の前から一旦離れた場合でも、当該投票券を発券した端末1で、かつ締切り前/発売後の時間経過が少ないことなどを条件として払い戻しを行なうこともできる。
【0022】
また上記の様に、例え投票券を偽造しようとした場合でも、端末の番号、レース番号、投票内容、発券通番、発行金額などが一致しなければ払い戻しができないため、偽造した媒体(投票券)による誤払い戻しを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】一実施例による自動発券端末の斜視図。
【図2】一実施例の自動発券端末に使用されるマークカード21を示す図。
【図3】一実施例の自動発券端末に使用される投票券31を示す図。
【図4】一実施例の自動発券端末における投票券の発券処理動作を示すフローチャートを示す図。
【符号の説明】
【0024】
1:自動発券端末 2:表示入力部 3:紙幣入出力部 4:硬貨投入部 5:硬貨受取り部 6:投入券返却部 7:的中券投入部 8:マークカード投入部 9:発券部 10:制御部 11:顧客検知センサ 12:ホストコンピュータ 21:マークカード 31:投票券 32:情報記録エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の操作に従って、公営競技用の投票券を発券する自動発券端末において、
発券に際し投票の情報を含む発券情報を予め記憶する記憶手段と、
該端末に投入された発行済みの投票券に記録された発券情報を読取る読取り手段と、
該読取り手段で読取られた投票券の発券情報と該記憶手段に予め記憶しておいた発売情報とを照合する照合手段と、
該照合手段による照合に従って該投票券の有効性を判断し、取消しが可能であると判断した場合、該投票券の購入を取り消して、払い戻しを行なう処理手段と、
を有することを特徴とする自動発券端末。
【請求項2】
前記照合手段は、該端末の番号、レース番号、投票内容、発券通番、発行金額を含む投票券の発券情報と、該記憶手段に記憶されていた発券情報とを照合することを特徴とする請求項1の自動発券端末。
【請求項3】
該端末は利用者の存在を検知するセンサを有し、該センサで利用者を検知した場合に、該処理手段は該利用者に払い戻し処理を行なうことを特徴とする請求項1又は2の自動発券端末。
【請求項4】
利用者自らが操作して投票券の購入内容を変更して再購入を行なう操作手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの自動発券端末。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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