説明

自動的な組織工学モジュール

【課題】組織工学の産物の自動的な培養、増殖、分化、生成および維持のためのシステム、モジュール、バイオリアクターおよび方法を提供する。
【解決手段】ハウジングによって支持された、生理学的な細胞機能ならびに/または、細胞および/もしくは組織の供給源からの1つ以上の組織構築物、の生成を容易にする少なくとも1つのバイオリアクターを備え、前記ハウジングによって支持された液体格納システムは、前記バイオリアクターと流体的に連通しており、1つ以上のセンサーが、生理学的細胞機能および/または組織構築物の生成に関連するパラメーターをモニターするために1つ以上のハウジング、バイオリアクターまたは液体格納システムと接続され、マイクロプロセッサーがこのセンサーの1つ以上に連結されている自動的な組織工学システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織工学産物の自動的な培養、増殖、分化、生成および維持のためのデバイ
ス、方法およびシステムに関する。このようなシステム、方法および産物は、種々の臨床
的設定および実験室設定において用途を見出す。
【背景技術】
【0002】
本出願を通じて、本発明が関与する当該分野の状態をより詳細に記載するために種々の
参考文献が括弧内に引用されている。これによって、これらの引用文献の開示は、本出願
の開示中に参考として組み込まれる。
【0003】
過去数年間の間、研究者らは、種々のタイプの細胞インプラントの培養および産生のた
めに異なる細胞培養および組織工学の技術を開発して用いてきた。このようなシステムは
、例えば、米国特許第5,041,138号、同第5,842,477号、同第5,88
2,929号、同第5,891,455号、同第5,902,741号、同第5,994
,129号、同第6,048,721号および同第6,228,635号に記載される。
バイオリアクターシステムはまた、細胞および細胞インプラントの培養のために開発され
ており、そして例えば、米国特許第5,688,687号、同第5,728,581号、
同第5,827,729号、および同第6,121,042号に記載される。
【0004】
前述の方法およびシステムは一般に、足場上に選択された細胞集団を細胞播種するため
の標準的な培養装置を用いる従来の実験的な培養技術を使用する。従って、生成されたイ
ンプラントは単に、あるタイプのバイオポリマー支持体上で増殖する増殖された細胞集団
を含んでいるだけであって、このタイプのバイオポリマー支持体では、細胞環境の任意の
操作は、任意の標準的な細胞培養物に存在するサイトカインの内因性の細胞産生、ならび
に細胞培養培地の循環に起因する剪断および/または物理的ストレスの適用、ならびに細
胞が播種される支持体の物理的操作に限定される。これらのシステムは、それに取り組む
こともないし、これらのシステムがインビボで発達する組織に代表的な増殖した細胞およ
び分化した細胞を含む組織インプラントを生成できることもなく、そしてインビボで首尾
よく組み込まれ得る、選択された足場内にさらに組み込まれることもない。さらに、公知
の方法およびシステムでは、単一の自動化組織工学システム内で、生検組織消化の全ての
工程を多機能的に実行して解離した細胞を生じること、引き続く増殖基板への細胞播種、
細胞数増幅、制御された分化、組織形成、および組織インプラントを生成することができ
ない。この主な理由は、公知の培養システムは、細胞が所望のインプラントに進行性に増
殖して分化するように、発達中のインプラントの周囲の変化する環境を自動的に評価して
操作することができないという点で高度化されていないためである。
【0005】
さらに、従来の培養方法およびシステムは、労働集約的であって汚染の欠点を被り、人
為的なミスおよび連続的な能力評価が欠けていることに起因して培養成功の程度が変動す
る。従来の培養システムは、播種のための細胞の調製における最初の工程のほとんど(す
なわち、組織消化、細胞選択)が、手動で実施されることを必要とするが、これは時間を
浪費し、生成される組織の質に関して信頼できず、そして培養の汚染の問題が起こりがち
である。このシステムは、細胞および組織培養プロセスを制限する固有の設計限界である
、組織発達を支持するように環境を十分にモニターしかつ改変することができないという
こと、そして有効な品質管理手段の実行が可能な技術が存在しないことに起因して、初代
細胞または前駆細胞からの組織工学インプラントの自動的な調製を支持することができな
い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、組織工学インプラントの発達および産生における異なる工程に関連する操作上
の要件を一貫して満たすことができるインビトロおよびエキソビボの組織工学の改善され
たシステムについての現実的でかつ対応されていない必要性が依然として存在する。特に
重要なのは、機能的な組織構築物を創出する能力であり、この機能的な組織構築物では、
存在する細胞は活性であり、分化されており、そして既に細胞外マトリックスを発現して
いる。これは、宿主部位に存在する成熟したインビボ環境の単純な刺激よりも多くを意味
しており、そしてそれとは著しく異なる。この理由は、機能的な新規の(de novo
)組織の調製には基本的に、細胞がエキソビボの手順の一部として一連の発達段階を通じ
て進行することを必要とするためである。
【0007】
臨床的要件および研究の要件の両方に取り組むために、従来のエキソビボの培養技術お
よびシステムのいくつかの不利な点および限界を取り除く、新しいデバイス、方法および
システムが開発されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ヒトおよび獣医の両方の適用のための種々の臨床的および研究的な設定にお
いて用いることができる、細胞培養および組織工学のためのユーザーフレンドリーな(使
い勝手のよい)自動的なシステムに関する。
【0009】
本明細書において用いる場合、「組織工学(tissue engineering)
」とは、「組織の機能を修復、維持および改善するための、生物学的代替物の基本的な理
解および開発に向かう工学およびライフサイエンスの原理および方法の適用」として規定
することができる。この定義は、生物学的代替物が、組織を形成するための生体適合性物
質で形成された基板または足場上に移植され得る細胞または異なる細胞の組み合わせ、詳
細には移植可能な組織構築物である手順を包含することを意図する。さらに、組織工学プ
ロセスに関与する細胞は、自家であっても、同種であっても、異種であってもよいという
ことに注意のこと。
【0010】
本発明の組織工学システムは、滅菌操作条件下で全ての活性を実施するように設計され
る。このシステムは、完全に自動化され、携帯可能であり、操作中多機能であり、そして
以下の1つ以上を実施/提供する。
組織生検の無菌的な受容/保管、
消化プロセスの自動的なモニタリング、
解離された細胞を得るための生検組織の消化、
安全な廃棄物収集を含む、細胞分取および選択、
増殖の基板または足場の上または中への細胞播種、
細胞集団を増加させるための細胞の増殖、
細胞の洗浄および細胞の収集、
組織工学の足場またはマトリックスの上または中への細胞の播種、
細胞活性の専門化を可能にする細胞分化、
組織形成、
組織成熟を促進するための機械的刺激および/または生化学的刺激、
再建術のための組織工学構築物/インプラントの収集、ならびに
移植可能な組織の保管および輸送。
【0011】
本発明の組織工学システムは、上記の工程の各々を、所望されかつ必要である場合、個
々に、連続して、または特定の予め決定された部分的な順序で実施するように、予めプロ
グラムすることが可能である。さらに、これらの工程の各々、またはそれらの任意の組み
合わせは、組織工学モジュール上の1つ以上のバイオリアクター内で達成される。操作の
際に、この組織工学システムは、予めプログラムされ、そして自動的に制御され、従って
最小のユーザー介入しか必要とせず、結果として、汚染のリスクを最小限にしたままで、
細胞培養および/または組織工学プロセスの有効性および再現性を増強する。本発明のこ
の組織工学システムおよびその構成要素は、微小重力および/または無重力の条件下で作
動可能であり、ここではこのようなシステムおよび構成要素は、宇宙研究のために用いら
れる。
【0012】
本発明のシステムは、初代細胞または前駆細胞が、組織インプラントのさらなる増殖、
分化および産生のためにドナー組織から単離できるように設計される。あるいは、細胞株
はまた、単独で用いられても、他の細胞供給源と組み合わせて用いられてもいずれでもよ
い。
【0013】
本発明によれば、自動的な組織工学システムであって、このシステムは、生理学的な細
胞機能、ならびに細胞および組織供給源からの組織構築物の生成を容易にする少なくとも
1つのバイオリアクターを支持するハウジングを備える。このハウジングはまた、このバ
イオリアクターと流体的に連通している液体格納システムを支持する。このハウジングお
よび/またはバイオリアクターと連結されるのは、この液体格納システムに備えられた、
液体の生理学的パラメーターをモニターするセンサーである。このハウジング内に位置す
るマイクロプロセッサーは、バイオリアクターおよび液体格納システムに連結されて、そ
れらの機能を制御するように機能する。このマイクロプロセッサーはまた、このシステム
内の環境条件を独立して制御することができる。
【0014】
本発明の別の態様に従って、細胞および組織工学のためのシステムが提供されるが、こ
のシステムは、携帯可能な滅菌組織工学モジュールを備え、このモジュールは、組織消化
、増殖基板への細胞播種、細胞増殖、分化足場上への細胞播種、細胞分化、および移植の
ための機能的な組織への引き続く成熟を伴う組織形成のベースとなる1つ以上のバイオリ
アクターを有する。このバイオリアクターは、試薬の送達および廃棄液体の収集のための
培地フローおよびリザーバシステムと、非灌流様式で、作動可能に接続される。このバイ
オリアクターおよび/または培地フローシステムは必要に応じて、ガス交換の構成要素を
備えるが、この構成要素は半透過性膜を利用して、気体の移動を可能にし、これによって
この培地中の溶存ガスのレベルを制御する。この組織工学モジュールは、細胞培養または
組織工学プロセスの進行を自動的にモニターする中央マイクロプロセッサー制御されたベ
ースユニットと作動可能に相互作用して、このバイオリアクター内の細胞培養および組織
発達の異なる段階の要件を満たすための環境条件を調整する。理想的な条件からの逸脱は
、このバイオリアクター内に存在する種々のセンサーによって検知され、そして生成され
たシグナルは、中央マイクロプロセッサーによってモニターされる。従って、環境条件、
例えば、限定はしないが、pH、温度および溶存ガスの変化は、自動的にモニターされて
、必要に応じて変更され得る。さらに、細胞増殖の状況は、時間の関数として代謝回転の
検出によって間接的に評価される(例えば、pH、O2、CO2、乳酸およびグルコース消
費)。中央マイクロプロセッサーによる処理条件の制御に加えて、組織工学モジュール自
体が必要に応じて、中央マイクロプロセッサーと一致して動作する二次搭載マイクロプロ
セッサーを備えてもよい。この組織工学モジュールマイクロプロセッサーは、この組織工
学モジュールに直接搭載された特定の機能を実施することによって、この組織工学システ
ムのデータ処理能力を拡大し、これによって、中央マイクロプロセッサーへの依存を最小
限にする。
【0015】
種々の増殖因子、サイトカイン、実験薬、薬品、化学物質、培養液およびそれらの任意
の組み合わせを、組織工学モジュール上に位置する任意のリザーバ内に充填し、保管して
もよく、そして予めプログラムされた順序に従って、または発達中の組織インプラントに
よって必要とされるとおり、1つ以上のバイオリアクターに自動的に移してもよい。この
個々の組織工学モジュールは、このバイオリアクター内に存在する組織工学構築物の無菌
性を損なうことなく輸送のためにこのシステムから取り外し可能である。このような取り
外しは、この組織工学システム内に存在するいかなる他のモジュールの処理にも影響しな
い。さらに、この組織工学モジュールは、組織工学手順の完了後に使い捨て可能であると
考えることができる。なぜならこれを実施することで前の使用から生じる汚染を防ぐから
である。
【0016】
本発明の種々の実施形態において、このデバイスおよびシステムは、外科的な生検によ
って得られた組織を消化するために用いることができる。別の実施形態において、細胞を
濾過することが可能であり、そして特定の集団を選択して単離することが可能である。別
の実施形態では、消化された細胞は、細胞の集団を増幅するために増殖することができる
。なおさらなる実施形態では、細胞を、所望の足場または基板(マトリックスとも呼ばれ
る)の上に播種して培養することができる。なおさらなる実施形態では、適切な組織形成
が得られるまで、所望の足場または基板の上および/またはその全体にわたって細胞が分
化され得る。なおさらなる実施形態では、組織を刺激して組織の成熟を促進してもよい。
なお別の実施形態では、再建術に適切である組織インプラントが生成される。なおさらな
る実施形態では、細胞のサンプリングは、培養自体に対して有害な影響なしに無菌様式で
細胞増殖および発生の進行の各々の段階で行なうことができる。所望される場合、前述の
実施形態の各々を単独で、または連続して行なうことができる。このような処理事象の追
跡は、品質管理記録への組み込みのための中央マイクロプロセッサーおよび/またはモジ
ュールベースのマイクロプロセッサーによって実施することができる。
【0017】
1つの態様において、この組織工学システムは必要に応じて、出願人の米国特許第6,
323,146号(この内容は本明細書に参考として組み込まれる)に記載の合成生体適
合性化合物であるSkelite(商標)を使用して生物学的能力を向上させる。要する
に、Skelite(商標)は、カルシウム、酸素およびリンを含む単離された生体再吸
収可能な生体適合物質の化合物であり、この元素のうち少なくとも1つの一部が、約0.
1〜0.6オングストロームのイオン半径を有する元素で置換されている。1つの実施形
態において、Skelite(商標)は、バイオリアクターの壁の上へのコーティングと
して、増殖基板上の薄膜として、または三次元のそしてそれにより高い表面積の増殖足場
としての使用を通じて細胞増殖を増強するために用いることができる。増殖段階における
Skelite(商標)の使用は、以下を行うことが実証され得る。
増殖の速度を増大する、
増殖工程後の細胞収率を増大する、
標的細胞収率に必要な表面積を減少させる、
増殖の間の細胞表現型脱分化の問題のある傾向を低下させる、そして
増殖因子の増殖基板に対する結合を増強する。
【0018】
さらなる実施形態において、Skelite(商標)は、細胞の分化および組織構築物
の引き続く形成を増強するための再吸収可能な足場として用いられ得る。分化段階におけ
るSkelite(商標)の使用は、以下を行うことが実証され得る。
分化段階の信頼性を改善することによって、生産性を増大する。
組織構築物の完全性、従って生物学的生存度を向上する。
種々の足場形式に基づく構築物の配置における柔軟性を可能にする。
増殖、分化および組織形成の段階が共通の基板上で生じることを可能にする。
分化足場に対する増殖因子の結合を増強する。
外科的移植の間の組織構築物の取り扱い特性を改善する。
【0019】
別の態様において、本発明は、患者に由来する初代細胞または前駆細胞の消化、増殖、
播種および分化の自動化された工程を通じた組織構築物の調製のための方法およびシステ
ムを提供して、これによって免疫学的問題および疾患の伝播の問題を排除する。インプラ
ントは、軟骨細胞、間質細胞、骨芽細胞、神経細胞、上皮細胞幹細胞およびそれらの混合
物を含むがそれらに限定されない、種々の細胞型の制御された培養から形成されてもよい

【0020】
ある実施形態における本発明のシステムは、1つ以上の脱着可能で、携帯可能で、かつ
独立して操作可能な組織工学モジュールを組み込んでおり、このモジュールは、1つ以上
のバイオリアクター、培地リザーバおよび液体/培地フローシステムを支持する。各々の
モジュール、従ってバイオリアクター(単数または複数)は、中央マイクロプロセッサー
の自動化された制御下である。このモジュールおよび関連のバイオリアクターは、限定は
されないが以下のような、種々の専門的な適用のために構成され得る。
組織生検の滅菌的な受容/保管、
消化試薬の自動的な混合および送達、
消化プロセスの自動的なモニタリング、
解離された細胞を得るための生検組織の消化、
安全な廃棄物収集を含む、細胞分取および選択、
細胞洗浄および細胞収集、
増殖の基板または足場の上または中への細胞播種、
増殖試薬の自動的な混合および送達、
細胞集団を増幅するための細胞の増殖、
コンフルエンスの検出を含む、細胞条件の自動的なモニタリング、
増殖の基板または足場からの制御された細胞遊離、
細胞数を増大させるための選択された表面積サイズに対する繰り返しの増幅工程、
1つ以上の組織工学足場またはマトリックスに対する細胞集団のチャネリング、
組織工学の足場またはマトリックスの上または中に対する細胞の播種、
分化試薬の自動的な混合および送達、
細胞/組織培養条件の自動的なモニタリング、
細胞活性の専門化を可能にする細胞分化、
組織形成、
組織成熟を促進する機械的刺激および/または生化学的刺激、
再建術のための組織工学構築物/インプラントの収集、ならびに
細胞および/または移植可能な組織の保管および輸送。
【0021】
2つ以上のバイオリアクターが、このシステムのハウジング内に直接支持されるか、ま
たはこのハウジングに挿入可能な組織工学モジュール上に支持されるかのいずれかで、こ
のシステム内に設けられる場合、このバイオリアクターは、連続しておよび個々に作動可
能であるように接続されて設けられ、マイクロプロセッサーによって制御されてもよいし
、あるいはこのマイクロプロセッサーのユーザーのプログラミングおよび達成されるべき
所望の結果に依存して独立して操作され、制御されてもよい。さらに、2つ以上のバイオ
リアクターがこのシステム内に設けられる場合、このバイオリアクターおよび内部チャン
バは、バイオリアクターからバイオリアクターへの細胞および/または組織の交換がある
ように接続されてもよい。
【0022】
このバイオリアクターは、種々の数およびサイズの増殖および分化の足場または基板を
支持することが必要である場合、種々のサイズおよび形状で製造されてもよい。このバイ
オリアクターは、組織工学モジュールの構造的成分の一部として組み込まれてもよい。あ
るいは、このバイオリアクターは、組織工学モジュールの残りの構成要素に対して別の構
成要素として脱着可能であってもよい。別個の構成要素として存在する場合、このバイオ
リアクターは、無菌の包装中に別々に包装されてもよく、そして使用時点で無菌アクセス
技術を用いてこの組織工学モジュールに連結されてもよい。さらに、新しく形成された移
植可能な組織構築物の回収のための調製において作業室への輸送を容易にするために、こ
の滅菌アクセス技術によって、このバイオリアクターを組織工学プロセスの完了時にこの
モジュールから脱着することが可能になる。
【0023】
このバイオリアクターおよび/または組織工学モジュールは、制御アクチュエータを介
して組織工学システム全体の内で回転されてもよいし、または撹拌されてもよい。回転に
よって、このバイオリアクター内の沈殿に基づく細胞播種および液体交換のような特異的
な生体処理手順を行なうための重力の有利な使用が可能になり得る。
【0024】
この組織工学モジュールは、この組織工学システム内、および臨床または実験的な環境
の一部としての外部の両方における急速かつ正確な輸送のために、バーコードを付けられ
てもよいし、メモリーチップを設けられてもよい。組織工学デバイス内に組み込まれるよ
うな輸送技術によってまた、患者の記録のための臨床ベースの情報システムを介して電気
的な輸送が可能になる。これによって、組織工学モジュール、従って関連の細胞または組
織のインプラントが正確にコードされて、正確な患者への投与が確実になり、そしてこの
プロセスが病院の請求の目的で記録される。このモジュールおよび/またはバイオリアク
ターはまた、急速かつ正確な患者およびサンプルの輸送のために同様の様式でバーコード
および/またはメモリーチップを利用し得る。
【0025】
本発明のある態様によれば、自動的な組織工学システムであって、以下、
ハウジングと、
このハウジングによって支持される少なくとも1つのバイオリアクターであって、生理
学的な細胞機能、ならびに/または細胞および/もしくは組織の供給源からの1つ以上の
組織構築物の生成を容易にするバイオリアクターと、
このハウジングによって支持され、かつこのバイオリアクターと流体的に連通している
液体格納システムと、
この生理学的細胞機能および/または組織構築物の生成に関連するパラメーターをモニ
タリングするために1つ以上のこのハウジング、バイオリアクターまたは液体格納システ
ムと連結されている、1つ以上のセンサーと、
このセンサーの1つ以上に連結されているマイクロプロセッサーと
を備える。
【0026】
本発明の別の態様によれば、自動的な組織工学システムであって、以下、
ハウジングと、
このハウジング内に取り外し可能に接続された少なくとも1つの組織工学モジュールで
あって、この組織工学モジュールは、少なくとも1つのバイオリアクターを保持する支持
体構造、このバイオリアクターと流体的に連通している液体格納システム、ならびにこの
細胞培養および/または組織工学機能に関連するパラメーターをモニタリングするための
1つ以上のセンサーを備え、このバイオリアクターは、生理学的細胞機能ならびに/また
は細胞および/もしくは組織の供給源からの1つ以上の組織構築物の生成を容易にする、
組織工学モジュールと、
このハウジングに配置され、かつこの組織工学モジュールに連結されたマイクロプロセ
ッサーであって、この組織工学モジュールの操作を制御する、マイクロプロセッサーと、
を備える。
【0027】
本発明のさらなる態様によれば、携帯可能でかつ滅菌可能な組織工学モジュールであっ
て、
少なくとも1つのバイオリアクターを保持する構造的な支持体であって、このバイオリ
アクターが細胞培養および組織工学機能を容易にする構造的な支持体と、
このバイオリアクターと流体的に連通された液体格納システムと、
この細胞培養および組織工学機能に関連したパラメーターをモニターするための1つ以
上のセンサーと
を備える。
【0028】
本実施形態の態様において、このバイオリアクターは、培地のフローのための1つ以上
のインレットポートおよび1つ以上のアウトレットポートを有するバイオリアクターハウ
ジング、ならびに細胞および/または組織を受容して、この細胞培養および組織工学機能
を容易にするためにこのバイオリアクターハウジング内に規定された少なくとも1つのチ
ャンバを備える。このチャンバは、細胞培養および/または増殖チャンバ、細胞分化およ
び/または組織形成チャンバ、組織消化チャンバ、およびそれらの組み合わせからなる群
より選択され得る。さらに、このチャンバは、1つ以上の基板および/または足場を収容
する。本発明の実施形態において、2つ以上のチャンバがこのバイオリアクター内に作動
可能に接続されて設けられてもよく、そして作動可能に接続されてもよい。あるいは、2
つ以上のバイオリアクターは、独立して作動可能であっても協同して作動可能であっても
よい。なおさらなる態様において、このチャンバおよび/またはバイオリアクターは、こ
のチャンバおよび/またはこのバイオリアクターの間の液体、細胞および/または組織の
交換を提供するように作動可能に接続される。本発明における使用のための足場は、多孔
性足場、勾配多孔性を有する多孔性足場、多孔性網状足場、繊維性足場、膜強化足場、お
よびそれらの組み合わせからなる群より選択される。チャンバはまた、ゾーンにさらに細
分され得る。例えば、分化および/または組織形成チャンバは、いくつかの足場を含むよ
うに複数のゾーンを設けられてもよい。漏斗または類似の通路がバイオリアクター内のチ
ャンバの間に設けられてもよい。さらに、1つ以上のフィルターがバイオリアクター内の
任意の位置に設けられてもよい。
【0029】
本発明の別の態様によれば、組織生検の保管、組織生検の消化、細胞分取、細胞洗浄、
細胞濃縮、細胞播種、細胞増殖、細胞分化、細胞保管、細胞輸送、組織形成、インプラン
ト形成、移植可能組織の保管、移植可能組織の輸送およびそれらの組み合わせからなる群
より選択される、細胞培養および/または組織工学機能のための環境を提供する、バイオ
リアクターである。
【0030】
本発明のさらに別の態様によれば、細胞機能および移植可能な組織構築物の生成を容易
にし、支持するためのバイオリアクターであって、このバイオリアクターは、以下、
バイオリアクターハウジングと、
培地のフローのための1つ以上のインレットポートおよび1つ以上のアウトレットポー
トと、
細胞機能、ならびに/または細胞および/もしくは組織供給源からの1つ以上の組織構
築物の生成を容易にし、かつ支持するためのこのバイオリアクターハウジング内に規定さ
れる少なくとも1つのチャンバと、
この細胞機能および/またはこの少なくとも1つのチャンバ内の組織構築物の生成に関
連したパラメーターをモニターするための1つ以上のセンサーと
を備える。
【0031】
本発明の実施形態において、このバイオリアクターハウジングは、リッドを備え、この
リッドは、取り外し可能なリッドであっても、このバイオリアクターハウジングと一体化
されたリッドであってもよい。
【0032】
細胞および組織は、骨、軟骨、関連の骨および軟骨の前駆体細胞、ならびにそれらの組
み合わせから選択されてもよい。さらに詳細には、本発明のこのバイオリアクター、モジ
ュールおよびシステムにおける使用に適切な細胞は、限定はしないが、幹細胞を含む、骨
、骨髄または血液に由来する胚性幹細胞、成体幹細胞、造骨細胞、前造骨細胞、軟骨細胞
、髄核細胞、前軟骨細胞、骨格前駆細胞、およびそれらの組み合わせから選択される。こ
の細胞または組織は、本発明の細胞培養および組織工学機能によって形成されるインプラ
ントのレシピエントに対して、自家、同種、または異種起源のものであってもよい。
【0033】
本発明の別の態様によれば、本発明のバイオリアクター内で生成される組織インプラン
トである。
【0034】
本発明のさらに別の態様によれば、本発明の組織工学システムによって生成された組織
インプラントである。
【0035】
本発明の別の態様によれば、骨の外傷の修復のための組織工学の移植可能な構築物であ
って、ここでこのインプラントは、活性な骨細胞および組織工学の無機化マトリックスと
組み合わされた骨生体適合物質の多孔性足場を含む。
【0036】
本発明の別の態様によれば、組織工学インプラントであって、これは以下、
あらゆる鉱物に基づく足場を欠く組織工学軟骨を含む軟骨ゾーン、
多孔性足場を含む骨生体物質ゾーン、および
この軟骨ゾーンとこの骨生体適合物質ゾーンとの間の境界ゾーン
を含む。
【0037】
インビボで移植された場合、軟骨ゾーンは、宿主軟骨との側方の組み込みを促進し、一
方、骨生体適合物質ゾーンは軟骨下の骨プレートとの側方および垂直の取り込みを促進す
る。境界ゾーンは、軟骨ゾーンと骨生体物質ゾーンとの間の構造的結合を提供する。この
軟骨ゾーンは、二次的な非鉱物足場をさらに組み込むことが可能であり、この足場が組織
工学軟骨の形成を補助して、移植の部位に存在する特定の解剖学的特徴と一致する、形成
された表面プロフィールの発達を可能にする。
【0038】
本発明の別の態様によれば、組織生検を消化するための方法であって、
培地リザーバおよびフローシステムと接続されたバイオリアクター内に組織生検を充填
する工程であって、このバイオリアクターは、マイクロプロセッサーに対してこのバイオ
リアクター内の生理学的状態を検出するために1つ以上のセンサーを有する工程、
組織消化酵素を提供する工程、ならびに
所望のレベルの組織消化に十分な時間、このバイオリアクター内の適切な消化条件をモ
ニターして維持する工程
を包含する。
【0039】
本発明の別の態様によれば、細胞の増殖のための方法であって、
培地リザーバおよびフローシステムと接続されたバイオリアクター内に支持される増殖
基板または足場上に細胞を播種する工程であって、このバイオリアクターは、マイクロプ
ロセッサーに対してこのバイオリアクター内の生理学的な条件を検出するための1つ以上
のセンサーを有する工程、ならびに
所望のレベルの細胞増殖のために十分な時間、このバイオリアクター内の適切な培養条
件をモニターおよび維持する工程
を包含する。
【0040】
本発明の別の態様によれば、細胞の分化のための方法であって、この方法は以下、
培地リザーバおよびフローシステムと接続されたバイオリアクター内に支持された分化
の基板または足場に細胞を播種する工程であって、このバイオリアクターは、マイクロプ
ロセッサーに対してこのバイオリアクター内の生理学的な条件を検出するための1つ以上
のセンサーを有する工程、ならびに
所望のレベルの細胞分化のために十分な時間、このバイオリアクター内の適切な培養条
件をモニターおよび維持する工程
を包含する。
【0041】
本発明の別の態様によれば、幹細胞のような前駆体細胞を含む初代細胞を提供するため
に組織生検を消化して、次いで組織インプラントの形成を可能にするために細胞を増殖お
よび分化させるための方法であって、この方法は、以下、
培地リザーバおよびフローシステムと接続されたバイオリアクター内に組織生検を充填
する工程であって、このバイオリアクターは、マイクロプロセッサーに対してこのバイオ
リアクター内の生理学的な条件を検出して中継するための1つ以上のセンサーを有する工
程、
組織消化酵素を提供する工程、
解離された細胞を得るために十分な時間、このバイオリアクター内の適切な消化条件を
モニターおよび維持する工程、
培地リザーバおよびフローシステムと接続されたバイオリアクター内に支持される増殖
の基板または足場にこの解離した細胞を播種する工程であって、このバイオリアクターは
、マイクロプロセッサーに対してこのバイオリアクター内の生理学的な条件を検出するた
めの1つ以上のセンサーを有する工程、
所望のレベルの細胞増殖および増幅のために十分な時間、このバイオリアクター内の適
切な培養条件をモニターおよび維持する工程、
増殖の基板または足場からこの増幅した細胞を遊離させる工程、
培地リザーバおよびフローシステムと接続されたバイオリアクター内に支持された分化
の基板または足場上にこの増幅した細胞を播種する工程であって、このバイオリアクター
は、マイクロプロセッサーに対してこのバイオリアクター内の生理学的な条件を検出して
中継するための1つ以上のセンサーを有する工程、ならびに
組織インプラントを獲得するために十分な時間、このバイオリアクター内の適切な培養
条件をモニターおよび維持する工程
を包含する。
【0042】
本発明の別の態様によれば、骨格インプラントを提供するための方法であって、この方
法は、
培地リザーバおよびフローシステムと接続されたバイオリアクター内に支持される骨生
体適合物質の多孔性足場に骨原性細胞および/または骨芽前駆細胞を播種する工程であっ
て、このバイオリアクターは、マイクロプロセッサーに対してこのバイオリアクター内の
生理学的な条件を検出するための1つ以上のセンサーを有する工程、ならびに
整形外科の適用のための組織インプラントを提供するためにこの足場全体にわたってこ
の骨原性細胞および/または骨芽前駆細胞が増殖および/または分化することを可能にす
るのに十分な時間、このバイオリアクター内の適切な条件をモニターおよび維持する工程
を包含する。
【0043】
本発明のさらに別の態様によれば、軟骨インプラントを提供するための方法であって、
この方法は以下、
培地リザーバおよびフローシステムと接続されたバイオリアクター内に支持される生体
適合物質の多孔性足場上に軟骨形成細胞および/または軟骨前駆細胞を播種する工程であ
って、このバイオリアクターは、マイクロプロセッサーに対してこのバイオリアクター内
の生理学的な条件を検出するための1つ以上のセンサーを有する工程、ならびに
軟骨インプラントを提供するためにこの足場全体にわたってこの軟骨形成細胞および/
または軟骨前駆細胞が増殖および/または分化することを可能にするのに十分な時間、こ
のバイオリアクター内の適切な条件をモニターおよび維持する工程
を包含する。
【0044】
本発明のなお別の態様によれば、細胞を洗浄するための方法であって、この方法は、以
下、
1つ以上の所望されない化学物質を含む細胞懸濁物をチャンバに充填する工程、
洗浄された細胞懸濁物を提供するために、この細胞には不浸透性であるが前記所望され
ない化学物質には浸透性である膜を備える直交流濾過モジュールを通じて前記チャンバか
ら前記細胞懸濁物を連続的に再循環させる工程、ならびに
前記洗浄された細胞懸濁物を収集する工程
を包含する。
【0045】
本発明のさらに別の態様によれば、細胞の濃縮のための方法であって、この方法は以下

過剰な細胞懸濁物容積を有する細胞懸濁物をチャンバに充填する工程、
この細胞に対して不浸透性であるが、この過剰な細胞懸濁物容積が除去されかつ収集さ
れることを可能にする膜を備える直交流濾過モジュールを通じてこのチャンバからこの細
胞懸濁物を連続的に再循環させる工程
を包含する。
【0046】
本発明のさらに別の態様によれば、椎間板の内部核を再生するためのインプラントを提
供するための方法であって、
培地リザーバおよびフローシステムと接続されたバイオリアクター内に支持された生体
適合物質の足場の多孔性足場内に髄核細胞を播種する工程であって、このバイオリアクタ
ーは、マイクロプロセッサーに対してこのバイオリアクター内の生理学的な条件を検出す
るための1つ以上のセンサーを有する工程、ならびに
この髄核細胞の増殖および/または分化、ならびにこの髄核に特徴的な細胞外マトリッ
クス成分の発現を可能にするのに十分な時間、このバイオリアクター内の適切な条件をモ
ニターおよび維持する工程
を包含する。
【0047】
本発明のなおさらなる態様によれば、臨床的な組織工学における使用のための品質アセ
スメントサンプルの調製のための方法であって、この方法は以下、
本明細書に記載の本発明のシステムを用いる一次および二次インプラントの平行した調
製であって、この一次インプラントは、移植のためであり、1つ以上の二次インプラント
は、この一次インプラントの能力を推測する試験目的である調製
を包含する。
【0048】
種々の実施形態において本発明の組織工学システムは、1つ以上のマイクロプロセッサ
ーの制御下であり、このマイクロプロセッサーは、組織消化、細胞増殖、細胞分化および
/または組織構築物形成のようなバイオリアクター内の特定のタイプの環境(または環境
の結果)をユーザーが選択できるように予めプログラムすることができる。これによって
作業者の介入を排除して、不慮の汚染の可能性を減らす。
【0049】
本発明の組織工学システムは、「キット(kit)」として提供されてもよい。この方
式では、このデバイス、組織工学モジュール(単数または複数)、バイオリアクター(単
数または複数)およびその種々の構成要素が、装置および品質管理技術とともに包装され
て販売され得る。
【0050】
本発明のこのシステムは、外傷および/または疾患に起因して組織工学インプラントが
所望される、病院での臨床使用のために、そして詳細には外科的状況において理想的であ
る。本システムを用いて、組織工学移植可能構築物は、患者の生検から得られた自家組織
、同種細胞または異種細胞から安全に調製することができる。このような組織工学移植可
能構築物の仕様は、移植部位のタイプ、サイズおよび条件に適合することができる。さら
に、本発明のシステムによって生成されるようなインプラントは、受容者(host)へ
の組み込みを促進し、従って患者の回復を促進する活性な細胞を含む。
【0051】
実際には、自家細胞モデルを用いて、組織生検を、患者から得て、手術室で組織工学モ
ジュールに存在するバイオリアクターに直接置くことが可能である。特定のバイオリアク
ターデザインは、所望の組織構築物のタイプおよびサイズに依存して選択される。組織工
学プロセスの完了時点で、生成された組織構築物を、滅菌バイオリアクターに含まれたま
まで、患者に移植し戻すために手術室に移動してもよい。このシステムは、安全かつ治療
的に有効な方式で「カスタマイズされた(customized)」自家組織インプラン
トを提供するために理想的である。
【0052】
本発明のシステムおよび方法は、自動的な細胞培養技術を提供することに限定されない
。記載された組織工学システムは、細胞療法に用いられる細胞増幅をかなり超える。組織
工学システムは、存在する細胞が活性であり、分化され、既に細胞外マトリックスを発現
している、機能的な組織構築物を作製するために用いることができる。結果として、その
ように作製された組織構築物は、高い発達状態にあり、それによって移植部位で組織修復
の速度を加速して質を改善する。
【0053】
本発明のシステムはまた、薬理学的研究のためにも適切である。詳細には、このシステ
ムは、薬物開発の領域において用途を見出す。新しい見込みのある薬物および分子は、細
胞事象および組織発達に対する効果を決定するために細胞および組織上で試験することが
できる。このような試験は、投与の前の有害な副作用を評価して、できるだけ回避するた
めに、患者自身の細胞/組織上で行なうことができる。あるいは、専門化された細胞株ま
たは組織を、薬物発見プロセスにおける重要なツールとして、このシステムで用いること
ができる。このシステムは、バイオリアクター内に存在する細胞/組織の種々の生理学的
状態をモニターおよび評価するために、従って、選択された薬物または分子の生物学的効
果のしっかりした指標を提供するためにプログラムすることができる。
【0054】
このシステムはまた、従来の組織工学技術を用い、実施することが困難であるか、およ
び/または広範な診断記録を必要とする条件で、検索および研究開発のために用いること
ができる。例えば、組織工学に関与する微小重力研究は、この環境の固有の特性に起因し
て実施することが困難である。伝統的な細胞および組織培養技術は、液体の封じ込めの問
題および細胞の重力に基づく輸送の欠如に起因して、この環境では簡単には実施できない
。本発明のこのシステムおよび方法は、微小重力環境に容易に適合可能である。なぜなら
このシステムは組織工学プロセスの一部が制御された液体流量によって達成され得るので
、液体の損失および細胞の移動を妨げるために完全に密閉されるからである。
【0055】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明、実施例および図面から明らかにな
る。しかし、この詳細な説明、特定の実施例および図面は、本発明の実施形態が単に例示
のために示されているにすぎないことを示しているということが理解されるべきである。
なぜなら本発明の趣旨および範囲内の種々の変化および改変は、この詳細な説明から当業
者に明白になるからである。
【0056】
本発明は、図面を参照して以下の説明からさらに理解される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】自家の軟骨細胞を用いる軟骨修復の例に適用された臨床的な組織工学のための一般的方法論を例示する。
【図2】本発明の一体型組織工学デバイスを示す。
【図3】図2の組織工学デバイスのさらなる実施形態を示す。
【図4】図2の組織工学デバイスのさらなる実施形態を示す。
【図5】図2の組織工学デバイスの断面図を示しており、これはこのデバイスへの挿入のための内部の構成要素および組織工学モジュールのいくつかを図示している。
【図6】図2の組織工学デバイスの拡大断面図を示しており、これは挿入された組織工学モジュールを図示している。
【図7】組織工学モジュールおよびデバイスハウジングの構成要素とのインターフェースの拡大された斜視図を示す。7aはバイオリアクターおよびポンプユニットの拡大された斜視図を示し、7bはポンプユニットおよび接続されたポンプ配管の拡大された斜視図を示す。
【図8】図7の組織工学モジュールの裏側およびそこに取り付けるフロープレートの内部構成の斜視図を示す。
【図9】装置を備えたバイオリアクターデザインに接続された混合およびマイクロ充填の構成要素の拡大された斜視図を示す。
【図10】基本的な組織工学液体フローの概略図を示す。
【図11】基本的な組織工学液体フローの概略図のさらなる実施形態を示す。
【図12】異なる組織工学シナリオに適用可能である、別のバイオリアクター、増殖の基板または足場、分化の足場、およびプロセスモニタリングデザインを示す。
【図13】組織工学モジュールのバイオリアクターの拡大された斜視図を示しており、これはバイオリアクターの内部構成および液体のフロー通路を図示している。
【図14】組織工学モジュールのバイオリアクターのさらなる実施形態を示しており、これは、このバイオリアクターの内部構成を図示している。
【図15】回転可能なバイオリアクターデザインを示す。
【図16】組織工学モジュールの滅菌サンプリング実施形態を示す。
【図17】組織工学液体フローの概略図のさらなる実施形態を示す。
【図18】組織工学液体フローの概略図のなおさらなる実施形態を示す。
【図19】組織設計および細胞収集のために適切なバイオリアクターデザインを示す。
【図20】細胞増殖に適切なバイオリアクターデザインを示す。
【図21】細胞分化および組織構築物形成に適切なバイオリアクターデザインを示す。
【図22】組織工学液体フローの概略図のなおさらなる実施形態を示す。
【図23】組織設計/細胞収集、細胞増殖および細胞分化および/または組織形成のための別のバイオリアクターを備える組織工学モジュールのさらなる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本発明は、ヒトの介入の必要性が最小限である、有効かつ一貫した様式で、細胞増殖、
細胞分化および組織形成を可能にする、細胞、詳細には自家の細胞のエキソビボ処理のた
めの一体型の自動的な組織工学デバイスに関する。このデバイス内で発達された組織構築
物は、組織再構成手順および引き続く患者の回復を補助するために、宿主に取り込まれて
もよい。さらに、本発明は、多数の異なる供給源由来の種々の細胞を用いる組織工学のた
めの自動化方法を提供する(例えば、患者の生検を介して得た自家の細胞、同種の細胞ま
たは異種の細胞)。さらに、この細胞は、前駆体細胞、初代細胞、不死細胞株由来の細胞
およびそれらの組み合わせであってもよい。
【0059】
組織工学システムを組み込む臨床組織工学のための一般的な方法論および原理、ならび
に本発明の方法を、図1に図示しているが、これは代表的な例として自家の軟骨組織工学
を用いている。このような例では、細胞(すなわち、軟骨細胞)を患者の外科的生検から
得て、適切な基板または足場(すなわち、Skelite(商標)支持体)の上に手動ま
たは自動のいずれかで播種する。この軟骨細胞および支持体は、組織工学システムの臨床
的なベースステーションの一部を形成するモジュールを備える、自動的な組織工学モジュ
ールのバイオリアクター部分の中に存在する。中央マイクロプロセッサーが、この組織工
学システム内に存在しており、バイオリアクターの内部環境をコントロールしてカスタマ
イズし、それによってここでの組織増殖が容易になり、インプラントを生成するための支
持体内および支持体上での細胞増殖の刺激が生じる。バイオリアクター内のセンサーは、
マイクロプロセッサーに対してフィードバックを提供して、細胞が自家の組織インプラン
トを提供するように、所望の制御された様式で播種され、増幅され分化されることを保証
する。一旦、インプラントが生成されれば、これは、外科的インプラントのためのバイオ
リアクターから患者へと移動される。本発明のシステムは、無菌の安全な都合のよい効果
的な様式で自家の組織工学インプラントを提供するために有利な方法を提供する。さらに
、臨床的な設定において組織工学インプラントを調製する能力によって、組織工学プロセ
スを行なうための場所はかなり自由になる。このシステムは、集中化した場所で用いるこ
とができるが、このシステムの設計および操作によって地域のセンターでの臨床使用が可
能になる。このような広範な利用可能性によって、集中化した細胞/組織の処理施設へお
よびその処理施設からの生物学的物質の輸送が妨げられ、それによって輸送、追跡および
規制の問題を回避しながら、組織工学プロセスの費用効果および有効性が改善される。
【0060】
本発明の実施形態によれば、図2に示されるような組織工学システムであって、一般に
参照番号100で示される。このシステム100(あるいは、デバイスと呼ばれてもよい
)は、ハウジング102を備え、このハウジング102が組織工学モジュールを受容する
ための挿入スロット104を有する。この挿入スロット104は、可動式のドア106お
よびロッキング機構108を有する。ユーザーインターフェース110、例えばタッチス
クリーン、キーパッドまたは両方の組み合わせが、システム操作の制御のために、および
システム状況の提示のために設けられる。データ記憶システム112が存在し、これによ
って当業者に公知の種々の媒体(すなわち、ZIP、CDROM、ディスケット、フラッ
シュカード)を介した情報の記録が可能になる。コンピューター/コミュニケーションの
リンク114は、新規のソフトウェアをアップロードする能力を提供し、外部コンピュー
ターを用いて制御パラメーターを改変し、データをダウンロードし、そしてこのデバイス
をトラブルシューティング(故障修理)して試験する。このリンクによってまた、臨床に
おいて存在する電気的情報システムにこのシステムを接続することが可能になる。このシ
ステム100は、電源入力116で電力を供給される。図3は、いくつかの組織工学モジ
ュールに適合するいくつかのベイドア106を有するシステム100のさらなる実施形態
を示している。図4は、重力ベクトルに対する組織工学モジュールの優先的な配向を可能
にする水平様式に配向されたベイドア106を有するシステム100のさらなる実施形態
を示す。
【0061】
図5は、図2および3に提示されるシステム100の内部構成を示しており、ここでは
組織工学モジュールの垂直挿入のためにベイドアの配向は垂直である。組織工学モジュー
ル118は、ベイドア106の挿入スロット104内への挿入について示される。この組
織工学モジュール118は、ガイドレールシステム120を介してシステムハウジング1
02へスライドして入る。挿入の際、このモジュール118は、1つ以上のポンプユニッ
ト122(すなわち、蠕動ポンプ、ピストンポンプ、ダイヤフラムポンプまたはロータリ
ーポンプ)、電気コネクタ124(すなわち、DIN、AMP、PCB、ブレッドボード
ソケット)、およびバルブアクチュエータ126(すなわち、サーボモーター、リニアド
ライブ、リニアアクチュエータ)と係合する。モジュールがこのシステムに適切に挿入さ
れることを可能にする任意の適切なガイドシステムが、当業者によって理解されるとおり
企図されてもよい。
【0062】
組織工学モジュール118がハウジング102内に挿入されている、図6にさらによく
示されるとおり、一連のバルブアクチュエータ126は、このモジュール上のバルブ(図
7および7aにさらに詳細に示される)とインターフェースして流量コントロールを提供
する。電気的コネクタ124は、電気的バックプレーン130を介してモジュール118
と中央マイクロプロセッサーユニット(CPU)128との間の電気的接続を提供する。
このCPU128は、操作の手順、液体およびガスの輸送、処理データの管理、システム
状態のモニタリング、ユーザーインターフェースおよび外部データ連絡ポートを制御する
。このCPU128は、バックプレーン130上に存在する能動的電気部品および受動的
電気部品、ならびに各々の挿入された組織工学モジュール118との電気的なリンクを通
じて制御をもたらす。
【0063】
温度センサー132(すなわち、熱電対、RTDまたはサーミスター)、ガスセンサー
134(すなわち、O2およびCO2)および環境コントロールユニット(ECU)136
は、当業者に公知の標準的な方法を用いて、ハウジング102内の環境(すなわち、温度
およびガス雰囲気)を維持するためにCPU128によって制御される。この環境は、モ
ジュールがガス交換の構成要素(すなわち膜)を装備されている場合、冷蔵温度(すなわ
ち、4℃)での試薬の保管、正常な体温(すなわち、37℃)の刺激、およびモジュール
118の中および外への輸送のためのガス混合物の利用可能性を含む、組織工学プロセス
の要件を満たすように調節され得る。気体状態は、ハウジング102内に位置するガスセ
ンサー134によってモニターされて、このデータが電気的なバックプレーン130を介
してCPU128に送られる。ECUに対するガスの入力は、標準的な適合で構成された
ハウジング102内に設けられたガス供給インレット140を介してもよい。他の実施形
態では、ガスは、ECU内に収容され得る。デバイス内での使用のためのガスとしては、
酸素、二酸化炭素、窒素およびそれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。ハ
ウジング102内にこのようなガスを適当に含むためには、ベイドア106は、閉じた場
合に気密性の密閉を提供するように構成される。ハウジング102は、内部温度(すなわ
ち、4℃〜37℃)の効率的な調節を可能にするために、発泡スチレン、エアロゲル、フ
ァイバーガラスなどの絶縁体142で隔離される。
【0064】
本発明の組織工学システムは一般に、箱様の形状のハウジングを備えることが示される
が、このハウジングは、本明細書に記載されるようにこの構成要素に適応し得るかぎり、
種々の形状から作製されてもよいということが当業者によって理解される。例えば、これ
には、頂部および/または側面を要しないかもしれない開放形状が挙げられるがこれらに
限定されない。
【0065】
この組織工学モジュール118は、図7〜9に詳細に図示される。この組織工学モジュ
ール118は、剛直な構造的スパイン200を備え、これにバイオリアクター202が固
定される。このバイオリアクター202は、組織消化、細胞培養、細胞増殖、細胞分化、
組織インプラント形成およびそれらの組み合わせを可能にするように、リッド204を有
するバイオリアクターハウジングを備えて、そこに含まれる基板(単数または複数)また
は足場(単数または複数)に対してカスタマイズされ得る。このバイオリアクターリッド
は、このバイオリアクターハウジングに脱着可能であってもよく、あるいはこのバイオリ
アクターハウジングと一体型であってもよい。このバイオリアクター202は、構造的ス
パイン200に対して別々に脱着可能であり、そして使い捨て可能であってもよい。この
ような脱着を可能にするために、バイオリアクター202およびこの構造的スパイン20
0は、液体の損失を回避して、バイオリアクターの内容物の汚染を防ぐためにインプット
ラインおよびアウトプットラインを自己密閉するための条件を備える液体ディスコネクト
フィッティングを使用してもよい。この全体的な組織工学モジュールは、組織工学手順の
完了後に使い捨て可能であると考えられ得る。なぜならこの実施によって以前の使用によ
って生じる汚染が防がれるからである。あるいは、再使用のために利用可能な汚染しにく
い構成要素を残して、モジュール118の選択された構成要素のみが液体との接触に起因
して使い捨て可能であるとみなすことができる。
【0066】
図7、7aおよび7bに示されるように、液体格納システム206は、組織工学モジュ
ール118の構造的スパイン200上に固定される。この液体格納システム206は、バ
イオリアクター202へおよびバイオリアクター202から種々のタイプの組織および細
胞培養の液体および薬品を供給および回収するための無菌の一連の可撓性リザーバ208
および可撓性配管210からなる。このリザーバ208は、必要に応じて種々の構成およ
び数であってもよく、そして種々のタイプの細胞および組織培養培地、増殖因子、薬学的
因子を含んでもよく、そしてまたバイオリアクター202からの洗浄培地および/または
洗浄サンプルを含んでもよい。液体は、一連の液体アクセスポート212を介して、液体
格納システム206に充填されるかまたはそれから取り出される。配管210は、種々の
リザーバ208と液体制御部品、例えば液体流量制御バルブ214との間の流体的に連通
を提供するように存在する。この液体流量制御バルブ214は、バルブアクチュエータ1
26によって開放されて閉鎖される。同様に、このポンプユニット122は、このモジュ
ール上に存在する使い捨て可能なポンプの構成要素とインターフェースをとる。これらの
ポンプの構成要素は、これらの構成要素の操作が厳しい状態、例えば、細胞懸濁物の移動
の間の細胞生存度を損なう過度の剪断ストレスを生じないという条件下では、ピストン、
ダイアフラム、ロータリーエレメントまたは蠕動の配管218であってもよい。このポン
プユニット122およびバルブアクチュエータ126は、ハウジング102内に存在する
。あるいは、このアクチュエータおよびポンプユニットは、組織工学モジュールの一部を
形成し得るが、これによって、患者の使用後のこれらの構成要素の使い捨てが可能になる
。ポンプ配管218上のポンプユニット122のプログラムされた作用によって、液体は
、リザーバ208の外に移動される。液体は、配管210を介して可塑性液体リザーバ2
08から液体バルブ214に移動する。液体フロープレート220(図8に示される)は
、ポンプユニット122の異なる流量制御バルブ214とポンプ配管218との間の液体
フローを指示する。液体は保管のために選択された空のリザーバ208に戻される。可撓
性のプリント基板(PCB)222は、構造的スパイン200および/またはバイオリア
クター202の上に存在する電気的な構成要素(すなわち、センサー)のための電気的イ
ンターフェースを提供する。モニターされるパラメーター(例えば、pH)が受容可能な
レベルの外側であることをセンサーが示す場合には、CPUは、このバイオリアクター内
の培地を置換するような制御介入を誘発する。
【0067】
組織工学モジュールは必要に応じて、データを処理することおよびこのモジュールに直
接データを記憶することを可能にするマイクロプロセッサー224を備えてもよい。この
情報は中央CPU128に伝えられるが、このモジュールはハウジング102に挿入され
て、一旦モジュールが取り外されれば、後のアクセスのために電気的メモリに保持される
。組織工学モジュールに存在するマイクロプロセッサーまたはメモリーチップを介して記
憶されたデータに加えて、このモジュールはまた必要に応じて、診療所内での管理上の追
跡を容易にするために、バーコード226、磁気ストリップ228、電気的メモリ(示さ
ず)および/またはID標識230を備えてもよい。
【0068】
図8に示されるとおり、液体フロープレート220は、組織工学モジュール118の構
造的スパイン200に固定される。液体フロープレートの脱着のための技術は、限定はし
ないが、圧入、スナップ式、超音波溶接、溶剤結合などであってもよく、この採用された
技術によって、アセンブリの密閉が液体の損失を回避し汚染を防止できるようにしなけれ
ばならないことが理解される。図8aの分解図に示されるとおり、液体フロープレート2
20は、液体バルブ214の作動に関連するフローを差し向ける手段を提供するための一
体型液体経路232を有する。新しいフローの通路は、フロープレート220に存在する
通路に対する修正を介して接続されてもよい。1つの実施形態において、この液体プレー
ト220は、構造的スパイン200中に一体化して形成されて単一の構成要素を形成して
もよい。バイオリアクターに差し向けられる液体が、正しい温度であり、十分に混合され
、それによってバイオリアクターにおける進行中の生物学的プロセスを破壊しないように
することを確実にするために、液体の加熱および混合チャンバ234が備えられる。さら
に、ECU136の操作によって規定されるように、熱電素子236が、組織工学モジュ
ール118上に存在して、モジュールの作動温度に比べてバイオリアクター202内の温
度を変化させる。このような温度変化は、バイオリアクター内の見かけ上の生理学的状態
を刺激するために必要であるかもしれないが、この組織工学モジュールの残りの構成要素
、詳細には試薬および/またはサンプルは、物理的、化学的および/または生物学的生存
度を維持するために、低温(すなわち、冷蔵)である。熱電素子の電力供給および制御は
、CPU128によって実施される。バイオリアクターに存在するセンサーに加えて、組
織工学モジュールに存在するセンサー238は、CPU128に対するフィードバックを
提供する。このセンサーおよび熱電性接続は、電気的ケーブル布線240およびコネクタ
124を介して行なわれる。
【0069】
図9は、組織工学モジュール118の混合およびマイクロ充填態様を示す。このバイオ
リアクター202は、混合アクチュエータ262とそして混合ダイアフラム264に作動
可能に接続された混合ドライブ260を有する。この混合ダイアフラムは、示されるとお
り、バイオリアクター202またはバイオリアクターリッド204の一部として組み込ま
れる。作動時には、この混合ドライブ260は、混合アクチュエータ262と組み合わさ
れて、バイオリアクター202の内容物の制御された混合をもたらす混合ダイアフラムの
並進または脈動を提供する。理想的には、混合の性質は、バイオリアクター内に存在する
細胞の物理的完全性を損なう高い液体剪断を回避するようなものである。特定の組織工学
プロトコールのために、中度のレベルの液体剪断が、組織構築物の首尾よい発達のために
実際には有利である。混合の構成要素に加えて、インパクトドライブ266およびインパ
クトアクチュエータ268が存在する。これらの構成要素は、増殖手順の終わりに、バイ
オリアクターアセンブリに対して制御された衝撃を加えるように働いて、バイオリアクタ
ー内に存在する増殖の基板または足場からの細胞の遊離を補助する。また、マイクロ充填
アクチュエータ272およびマイクロ充填ダイアフラム274と作動可能に接続されたマ
イクロ充填ドライブ270も提供される。このマイクロ充填ダイアフラム274は、示さ
れるとおり、バイオリアクター202またはバイオリアクターリッド204の一部として
組み込まれる。マイクロ充填ダイアフラムの位置および配向は、バイオリアクター202
に存在する基板または足場および任意の関連する細胞または組織との密接な接触を可能に
するようなものである。マイクロ充填の適用は、特定の組織工学プロトコールのために有
利であることが公知である。混合ドライブ260、インパクトドライブ266およびマイ
クロ充填ドライブ270は、任意の一連の電気機械的なデバイス、例えば、ソレノイド、
リニアドライブ、回転性ドライブまたは圧電性電気部品であってもよい。さらに、混合ド
ライブ260、インパクトドライブ266、マイクロ充填ドライブ270および関連のア
クチュエータは、ハウジング200上に装着されることが可能である。あるいは、このド
ライブおよびアクチュエータは、このドライブの設計が組織工学モジュールの使い捨て可
能な性質と一致するという条件であれば、組織工学モジュールまたはバイオリアクター上
に装着されてもよい。機械的刺激の提供に加えて、このバイオリアクターはまた、組織構
築物の電気的刺激および/または化学的刺激を誘導するように構成されてもよい。詳細に
は、細胞輸送および/または組織形成を増強するために、このバイオリアクターの領域に
電場が生成されてもよい。電場の生成の方法は、当業者に公知であり、そして電気コイル
の供給が挙げられるがこれらに限定されない。
【0070】
図10は、組織工学モジュールのための基礎的な液体フローの概略図を図示しており、
ここにはバイオリアクター202内に存在する単一の細胞または組織の培養チャンバが存
在する(マルチチャンバのバイオリアクターに対するさらなる情報については図12およ
び17の説明を参照のこと)。フローの通路はバイオリアクター202をリザーバ208
にリンクさせ、これが液体を供給して、廃棄物を収集する。この液体アクセスポート21
2を、試薬を充填するか、またはサンプルを取り出すか、または液体を廃棄するために用
いることができる。フローは、特定の流用制御バルブ214の動作によって規定されるフ
ローの方向でのポンプユニット122の作動によって生じる。バイオリアクターへの灌流
は、連続であっても、脈動性であってもいずれでもよいが、ただしこれは、関連するフロ
ーが細胞を含む領域での高い液体剪断を生じないという条件下である。なぜなら、このよ
うな条件は、細胞または新生の組織構築物を損傷し得るからである。再循環ループ280
が設けられて、バイオリアクターの液体内容物は、液体リザーバ208からの新しい液体
の送達を必要とすることなく、外部構成要素、例えば、インラインのガス交換膜282に
よって、モニターまたは改変されることが可能になる。液体を保管することに対応する組
織工学モジュール118の構成要素(すなわち、リザーバ208)は、約4℃で冷蔵保存
されて、そうでなければ、体温をシミュレートするために用いられる高い温度(すなわち
、37℃)で分解する液体の保管を容易にする。予めプログラムされたルーチンに従って
、CPU128は、液体バルブ(単数または複数)214の動作を制御して、バイオリア
クターチャンバ300への進入の前に、リザーバ208に保管される液体がポンプユニッ
ト122を介して加熱および混合チャンバ234に送達されることを可能にする(詳細に
は、図13、14および15に示される)。液体は、インレットポート302を介してバ
イオリアクターに供給されて、アウトレットポート304を介して取り出される。最適の
細胞および組織培養能力のために正常な体温をシミュレートするために、バイオリアクタ
ー202、ポンプユニット122ならびに加熱および混合チャンバ234は、熱電素子2
36の操作によって約37℃に維持される。別の熱調節デバイスを用いて、組織工学モジ
ュール118のための所望の熱プロフィールを得ることができることは当業者には明白で
ある。
【0071】
図11は、基本的な液体フローの概略図のバリエーションを図示しており、ここでは液
体流量制御バルブが、マルチポンプユニット122に置換されている。この構成によって
操作上の冗長性の増大および構成要素の数の減少が得られる。このようなシステムの操作
には、任意の休止状態のポンプユニットが未調整の通過フローを妨げることが必要である
。なぜなら、このような現象は液体の制御された送達を損なうからである。
【0072】
図12a〜12dは、組織工学システムの操作に関与する増殖および分化の工程に用い
られる基板および足場のための種々のバイオリアクター構成および別の様式を図示する。
図12aは、異なるバイオプロセシングのシナリオに取り組む、一連の交換可能なバイオ
リアクターのデザインを示す。I型のシナリオは、バイオリアクター202内の基礎的な
単一のチャンバ300を示しており、これは増殖足場または基板310、または分化の足
場または基板(示さず)に適合し、理想的には増殖または分化のいずれにも適切である。
細胞は、足場310上に手動で播種されるか、または組織工学モジュールの液体通路を介
して自動的に送達されるかのいずれかである。
【0073】
II型シナリオは、細胞集団の増殖のための足場310(または基板)および組織構築
物の形成を促進する移植可能な分化の足場312の使用を提供するマルチチャンバのバイ
オリアクターを包含する。この培養および/または増殖チャンバ300は、漏斗314を
介して分化および/または組織形成チャンバ306に接続される。この漏斗は、増殖足場
310から遊離された細胞を移植可能な分化足場312に運ぶように機能する。このバイ
オリアクター内のいくつかの位置におけるフィルター316の使用は、1つのチャンバか
ら次のチャンバに自由に通過することができる細胞または細胞凝集物のサイズを調節する
ように機能する。フィルター316aは、細胞増幅工程のために細胞集団の入来を調節す
る目的でこの増殖足場の上流に存在する。別のフィルター316bが、ここでも分化足場
の上流に存在して、組織工学手順のこの工程に入る細胞集団を制御する。さらに、バイオ
リアクターを通した液体移動に関与する操作の間、分化および/または組織形成チャンバ
からの細胞の損失を防ぐためにアウトレットポート304を覆うさらなるフィルター31
6cが存在する。このフィルター316は、当業者に公知であるとおり、フィルターメン
ブレンであっても、またはメッシュであっても、または同様のタイプの濾過物質であって
もよい。
【0074】
III型シナリオは、組織消化と引き続く増殖、分化および組織構築物形成とを組み合
わせる。このシナリオでは、組織生検320は、バイオリアクター202内に存在する消
化チャンバ322に充填される。組織生検の消化は、組織工学モジュールに存在する液体
リザーバ208の1つからのバイオリアクターへの消化酵素の送達を通じて生じる。解離
された細胞は、重力沈殿作用の影響下で消化チャンバ322から出て、そして/または液
体は培養および/または増殖チャンバ300を通じて流れて、引き続き増殖足場310上
に集まる。消化チャンバ322の外側への組織凝集物の移動は、消化チャンバ322と培
養および/または増殖チャンバ300との間の流路におけるフィルターメンブレンまたは
メッシュ316aの存在によって邪魔される。増殖後、この細胞を遊離して、細胞漏斗3
14を介して移植可能な分化足場312に移す。ここでも、メンブレンまたはメッシュフ
ィルターが、移植可能な分化足場312の上流316bおよび下流316cの両方に存在
して、正しい細胞集団が足場に播種されること、および細胞が不注意に失われて液体移動
作業の間に廃棄されないことを確実にする。
【0075】
前述のシナリオでは、例えば、図12bに図示されるような、増殖の基板310または
足場の種々の構成が可能である。例えば、1つの構成は、比較的均等な細孔勾配を有する
多孔性足場310aである。細孔勾配足場310bは、細孔勾配を有する多孔性足場であ
り、ここでは細孔サイズは、足場を通じた細胞の移動につれて減少する。これによって、
細胞播種プロセスの終わりに、この足場を通じた細胞のさらに均一な分布が促進される。
逆向きの細孔勾配足場310cを用いてもよい。あるいは、ファイバーフィルター足場3
10dが用いられてもよいが、これはコラーゲンのような有機化合物に代表的な繊維性マ
トリックスである。増殖基板として、マイクロキャリア(例えば、Cytodex(商標
))の含まれる懸濁物を利用することも可能である。さらに、このバイオリアクターは、
増殖足場内で生じる細胞播種プロセスの検査を可能にして、さらに増殖事象、詳細にはコ
ンフルエントな細胞層に達する進行を評価するために、CPU128によって支持される
光学的プローブ324(多孔性足場310aと組み合わせて示される)を有してもよい。
【0076】
増殖と同様に、種々の構成において、および多様な物質から形成され得る種々の移植可
能な分化足場312が存在し(すなわち、リン酸カルシウムのような無機の鉱物ベースの
足場、コラーゲンのような有機バイオポリマーの足場、など)、そして組織工学プロセス
において使用される。図12cは、マルチゾーンの分化および/または組織形成チャンバ
306を図示しているが、これは最大3つの移植可能な分化足場312を備え、この全て
が組織構築物形成に向かって同時に処理され得る。これによって、種々のサイズの移植可
能な組織の調製、および別の移植可能な分化足場の使用が可能になり、組織収量を評価お
よび最大化することができる。例えば、足場312aは、組織構築物が骨内で強固な組織
固着を必要とする、骨および軟骨の適用における使用のためのSkelite(商標)の
ような骨生体適合物質から形成された多孔性網状組織である。この足場312aはさらに
、このインプラントの回りを囲んでメンブレンに囲まれた足場312bを形成する、足場
のメンブレンまたはメッシュ326の使用によって強化することが可能であり、その結果
細胞播種プロセスの間の足場312aからの細胞の損失が最小限になり、それによって組
織工学プロセスがより効率的にされる。このメンブレンは好ましくは、この足場をごく部
分的に囲んでもよいし、あるいはこの足場をさらに完全に囲んでもよい。この足場のメン
ブレンまたはメッシュ326の主な目的は、移植可能な分化足場312の上およびその中
に細胞を含むことであるが、この足場のメンブレンまたはメッシュ326の特性の注意深
い選択によって、当業者に理解されるとおり、細胞レベルで組織工学プロセスに顕著な影
響を有し得る特定の分子実体の通過が可能になるかまたは制限される。
【0077】
さらなる実施形態は、勾配多孔性および膜強化足場312cであり、これは足場のメン
ブレンまたはメッシュ326の利点と細孔勾配とを組み合わせる。この勾配は、細胞が足
場への増殖することが最小限でありながら、上面に意図的に集まるようにさせるために構
成される。この表面における多孔性の程度は、組織安定性に有利であり、そして足場表面
を介して発達中の組織に栄養物を供給するために有利であると考えられる。このアプロー
チによって別個の層別化されたゾーンを有する二極性の組織構築物の発達が生じる。この
上部のゾーンは本質的に新規の組織からなる。底部のゾーンは本質的に細胞も組織も含ま
ず、そして開口の多孔性足場として存在する。この中間の境界ゾーンは、開口足場と新規
の組織層との間の構造的に安定な遷移に相当する。このような二極性の組織構築物は、関
節の軟骨における限局性の欠損の修復のために理想的である。なぜならこの上部の層は、
宿主の軟骨との側方の一体化を提供する組織工学軟骨であるが、この底部の層は軟骨下の
骨との側方および軸方向の一体化を提供するからである。周辺の軟骨下骨との底部の層の
一体化は、外科的移植の時点での開口足場への骨髄の適用によってさらに増強され得る。
軟骨修復の適用において、鉱物ベースの足場が関節の表面に延びないことが重要である。
なぜなら、鉱物ベースの足場は関節の機能を損ない得るからである。従って、二次的な非
鉱物足場(図には示さず)を、新生の軟骨の上部ゾーンにおいて使用して、大きい軟骨病
変を処理するのに十分なサイズ(すなわち、最大で直径10cm2、そして厚み2〜3m
m)の組織構築物の形成を補助してもよい。さらに、この二次足場は、移植の部位に存在
する特定の解剖学的特徴にさらに密接に適合する関節の表面プロフィールを有する、成形
された構築物を生成するように構成されてもよい。二次的な足場のための候補物質は、合
成のバイオポリマー(例えば、PGA、PLA)または天然のバイオポリマー(例えば、
アルギン酸、アガロース、フィブリン、コラーゲン、ヒアルロン酸)である。これらの二
次足場は、ヒドロゲルまたは3次元で予め形成された足場の形態であってもよい。
【0078】
二極性組織構築物の調製のための別の技術が、この組織工学システム内で可能である。
移植可能な分化足場312は、足場の特定の領域に細胞の播種を限定する生体再吸収可能
なポリマーで部分的に浸潤され得る。これが組織構築物の調製の間に新しい組織形成の優
先的なゾーンを生じる。移植の際、このポリマーは、再吸収されて、それによって多孔性
足場に空隙が残り、これが宿主組織内の固着を促進する。さらなる構成は、分化および/
または組織形成チャンバの存在とは離れて位置する比較的開口された多孔性を有する移植
可能な足場を含む。細胞播種の間、この開口空間によって、細胞の収集が得られ、これが
開口足場を通じて移動する。細胞が分化および/または組織形成チャンバ内に蓄積される
につれて、開口空間および足場の一部の両方に細胞が浸潤し、これによって新しい組織形
成の優先的なゾーンが生じる。この得られた組織構築物は、新生の組織ゾーンを含み、こ
れは足場も、中間移行ゾーンも、新生の組織および足場の両方を含む境界ゾーンも、そし
て開口され本質的に細胞も組織もない多孔性足場の領域も欠く。
【0079】
図12dは、バイオリアクターモニタリングスキームを図示しており、ここではセンサ
ー216(すなわち、温度、pH、溶存ガスなど)が、組織工学プロセスの進行のCPU
128に対するフィードバックを提供するために、バイオリアクター202のリッド20
4に組み込まれる。さらに、差し迫るコンフルエンスの証拠(例えば、細胞密度の関数と
しての光学密度および/または光散乱)について増殖足場310(または基板)の光学的
特性をモニターするために、CCDカメラ330が使用されてもよく、これによって細胞
遊離のタイミングが増殖工程からの細胞収率を最大にするように決められる。
【0080】
図13は、バイオリアクター202内の流路および液体循環をさらに良好に示す。バイ
オリアクター202は、インレットポート302、アウトレットポート304および基礎
的チャンバ300を規定する内部空洞を有することが示される。液体は、液体フロープレ
ート220からインレットポート302を介してバイオリアクター202に流れて、アウ
トレットポート304から出る。このバイオリアクターリッド204は、バイオリアクタ
ー202に付着する。種々の異なる装着ハードウェアを用いて、バイオリアクターリッド
204およびバイオリアクター202を一緒に保持することができる。このチャンバ30
0は、1つ以上の基板または足場310に適合するように設計することができる。さらに
、このバイオリアクター202は、組織消化、増殖、分化および組織形成の工程を可能に
する別々のチャンバに細分されてもよい。各々のチャンバは、組織工学手順にまたがる、
より大きい制御のための流量制御バルブを介して独立して制御される、インレットポート
およびアウトレットポートで構成されてもよい。液体の循環は、CPU128からの制御
シグナルに基づいて、1つ以上の流量制御バルブ214およびポンプユニット122の作
動によって達成される。作動した特定のバルブに依存して、ポンプユニット122の操作
が液体を液体リザーバ208の1つからバイオリアクター202へ移動するか、またはバ
イオリアクター内の液体の再循環を可能にする。安定な溶存ガス濃度を要する生物学的プ
ロセスのためには、再循環が有利である。なぜなら再循環によって液体は、ガス交換を容
易にするメンブレンを横切ることが可能になるからである。この交換の性質は、ECU1
36によって確立された外部条件に対するバイオリアクター内の溶存濃度に基づく。この
バイオリアクターリッド204は、サンプリングポート332およびセンサープローブ2
16を有することが示されているが、これはこのバイオリアクターの内部チャンバに作動
可能に接続される。あるいは、このサンプリングポートは、このバイオリアクターハウジ
ング上の他のどこかに設けられてもよい。このサンプリングポートによって、このバイオ
リアクターへのそしてこのバイオリアクターからの物質の除去または添加が可能になる。
このサンプリングポートは、必要に応じてガス交換膜で置き換えられてもよいし、補強さ
れてもよい。
【0081】
図14は、マルチチャンババイオリアクター202を図示しており、ここでは明確化の
ためにバイオリアクターリッド204が除かれている。このインレットポート302は、
組織消化チャンバ322に接続される。この組織消化チャンバ322の構成によって、解
離された細胞を得るための引き続く自動的な消化のために、患者の生検がバイオリアクタ
ーに充填されることが可能になる。消化チャンバ内の循環通路によって、生検の穏やかな
撹拌が促進されて、循環する消化酵素に対する生検組織の過剰な曝露を潜在的にもたらし
得る停滞チャンバを防ぐ。さらに、この消化チャンバのインレットおよび/またはアウト
レットは、種々の多孔性のフィルターメンブレンまたはメッシュ316(示さず)を収容
して、細胞分取を提供することが可能であり、そして部分的に消化された組織凝集物の遊
離を防ぐことが可能である。このバイオリアクターは、増殖のための細胞を受容するため
に増殖の基板または足場310を収容する第二のチャンバ300を備える。この増殖足場
は、2次元の増殖および3次元の増殖の両方を支持する種々の形状で形成されてもよく、
そして細胞増殖を促進する種々の生体適合性物質、例えば、リン酸カルシウム生体適合物
質(例えば、Skelite(商標))、バイオポリマーまたは天然のマトリックス(例
えば、コラーゲン)からなってもよい。組織消化チャンバ322に由来するか、または必
要に応じた細胞接種ポート334を介する細胞は、増殖の基板または足場310上にもし
くは中に分散して、増殖し、それによって、引き続く細胞分化および組織形成のための細
胞集団を増大させる。目標がさらなる分化なしに細胞の集団を増幅させることだけである
場合、このプロセスは増殖後に終わってもよいことに注意のこと。移植可能な分化の足場
312は、バイオリアクター202の基部で、分化および/または組織形成チャンバ30
6内に存在する。増殖足場310のように、移植可能な分化足場312は、種々の形状で
形成されてもよく、そして移植部位の生物学的要件に適合するように適切に選択される種
々の生体適合性物質(例えば、Skelite(商標)が、骨格の部位についての理想的
な候補インプラントである)から構成されてもよい。
【0082】
操作の際、自動的な手順、例えば、酵素(例えば、トリプシン)の送達およびインパク
トドライブ266(示さず)を介するバイオリアクターに対する衝撃の時限的な適用によ
って、細胞は増殖の基板または足場310から遊離される。細胞懸濁は、バイオリアクタ
ーに存在する制御された流量条件下で、細胞漏斗314を介して、移植可能な足場312
に移動し、この上に、この細胞が留まって、分化および組織形成の手順を開始する。この
手順の終わりの際に、このように形成された組織は、引き続く移植のためにこのバイオリ
アクターから取り出され得る。当業者は、図14のバイオリアクターの特定の実施形態が
、代表的なデザインの例でしかないということを理解する。このバイオリアクターは一般
に、機能に対する有害な影響なしに、全体的な形状、サイズおよび内部構成について種々
の方法で構成され得る。例えば、バイオリアクターに存在するガス交換膜336は、組織
工学モジュール118の1つ以上の液体送達チューブ210またはフロープレート220
と一列に接続される、別々のかつ別個の構成要素であってもよい。さらに、このバイオリ
アクターのチャンバは、全ての液体が全てのチャンバを通過する必要性を回避するために
、制御バルブを介してお互いから隔てられてもよい。チャンバの間に通路が必要である場
合、液体および細胞懸濁物の移動を発揮するために開口されてもよい。バイオプロセシン
グの条件および手順における自由度を増大させることが可能であるこのようなバリエーシ
ョンの例を図17に図示する。バイオリアクターの内容物に対して移植可能な分化足場3
12の制御された曝露を可能にするような別の構成は、分化工程の一部として細胞播種が
必要となるまで移植可能な足場を隔てる、シャトル318の使用である。細胞播種を可能
にするために、このシャトル318は、移植可能な足場をバイオリアクター内の保護され
た位置から液体フロー内に動かす。このシャトルの種々の構成が可能であり、これには、
回転に基づく移動、または細胞播種が必要になるまで移植可能な足場を隔てる除去可能な
障壁の使用が挙げられる。
【0083】
図15は、組織工学プロセスにおける異なる段階での沈殿によって細胞輸送を達成する
ように重力ベクトルの向きを利用する回転式のバイオリアクターデザインを図示する。こ
の図は、バイオリアクターの回転を図示しているが、この技術上の目的は、組織工学モジ
ュールの回転によって、または実際にはハウジング102全体の回転によって等しく得る
ことができることに注意のこと。図15に示されるとおり、このバイオリアクター202
は、回転式のシャフト350に繋がれ、このシャフトが組織工学モジュール118の構造
的スパイン200に固定される。これは、培養および/または増殖チャンバ300内で、
沈殿による細胞播種が、選択された増殖表面に生じ得るように、バイオリアクター202
の回転の機構を備える。このバイオリアクターの増殖表面は、増殖を増強する生体物質(
例えば、Skelite(商標))で必要に応じてコーティングされてもよいし、または
専用の増殖の基板もしくは足場が、この役割を果たすためにこのチャンバ300内に挿入
されてもよい。消化チャンバ322の使用の代替として、直接の細胞播種を可能にするた
めに、第二の接種ポート352がバイオリアクター202の側面に設けられる。細胞は、
比較的小さい増殖表面354に最初に播種され得る(図15a)。増殖時間の経過または
コンフルエンスの検出に基づいて、細胞は自動的に遊離されて、回転性シャフト350に
よってバイオリアクターは回転されてもよく、その結果、この増殖表面354から遊離さ
れた細胞は、表面356の増大した表面積に沈着して(図15b)、これによってさらな
る増殖が可能になる。この二次増殖工程の終わりに、増幅された細胞は遊離されて、この
バイオリアクターは再度回転され、移植可能な足場312の播種が可能になる(図15c
)。従って、この回転性シャフト350および繋がっている可撓性チューブ358によっ
て、連続した増殖段階における重力での沈殿の使用を最大限にするために必要である場合
、バイオリアクター202が回転することが可能になる。このような状態が所望される場
合、バイオリアクターを撹拌または浸透する方式で回転性のシャフトを使用することは、
本発明の範囲内である。
【0084】
ここで図16を参照すれば、組織工学モジュール118は、懸濁された細胞、組織培養
液、および/または廃棄産物の無菌的なサンプリングのための技術を含むように適合され
得る。1つの実施形態において、シリンジマニフォールド400および滅菌オフローディ
ングポート402が、組織工学モジュール118の構造的スパイン200に組み込まれる
。マイクロ孔配管406は、シリンジマニフォールドを、サンプリングポート332を介
してバイオリアクター202に連結する。組織工学プロセスの操作、完全性または無菌性
を損なうことなく、引き続く解析のために液体サンプルまたは細胞懸濁液の収集および除
去を可能にするために、シリンジ404は、マニフォールド400でオフローディングポ
ート402に接続される。可融性のバイオリアクターサンプリングライン408がバイオ
リアクターリッド204に接続されるという、別のサンプリング技術がまた提供される。
このラインはバイオリアクターの内部に物理的に連結され、その中で進行中の生物学的事
象に密接に近接しているので、このラインは、このバイオリアクター内に存在する成分と
実質的に同じ液体を含む。結果として、バイオリアクター液体の代表的なサンプルは、サ
ンプリングラインの末端を溶融することによって、次いでこのラインを引き続く解析のた
めに組織工学モジュールから取り外すことによって得ることができる。このような可融性
のラインは、ハウジング102内の密閉部品の自動的な操作を通じてサンプリング技術の
基礎として用いることができるということは当業者には明白である。
【0085】
図17は、組織工学モジュール118のためのさらに複雑な液体フローの概略図を図示
しており、ここでは消化、増殖および分化のための異なる要件が、別のバイオリアクター
チャンバによって提供される。これらのチャンバは、一連の別個のバイオリアクター内に
存在してもよいし、または各々のチャンバにおける条件にわたって別の制御を維持する単
一のバイオリアクター内であわされてもよい。組織生検320を収容する組織消化チャン
バ322が存在する。消化チャンバ322から細胞を受け入れるように構成され、そして
増殖の足場または基板310の播種を可能にする増殖チャンバ300が存在する。増幅チ
ャンバ300から増幅した細胞数を受け入れるように構成され、そして移植可能な足場3
12の播種を可能にする分化および/または組織形成チャンバ306もまた存在する。
【0086】
組織工学試薬(すなわち、培地、酵素溶液、洗浄溶液など)を、液体リザーバ208a
〜208eに充填する。廃棄産物を液体リザーバ208fに収集して、これを、サンプリ
ングプロセスのために、アクセスポート212fを用いて手動で吸引する。さらなる液体
リザーバは、異なる組織工学プロセスのために必要である場合、液体リザーバシステム2
06の一部を形成してもよく、そして組織工学モジュールに接続されてもよい。このシス
テムを通る液体フローは、液体ポンプ122a〜122k、流量制御バルブ214a〜2
14c、および一方向性フローバルブ410a〜410c(すなわち、液体流量チエック
バルブ)の操作によって指示される。さらに、ポンプ212a〜212kは、中央マイク
ロプロセッサーからの制御入力に従って、能動的なポンプまたは受動的なバルブ(開口/
閉鎖)として作動するように構成される。フィルター316a〜316dが、このシステ
ム内の細胞懸濁物の動きを選択的に制御するために、そして組織工学プロセスの洗浄およ
び移行の段階の間の細胞凝集物の通過を制限するために用いられる。この培地中の溶存ガ
スのレベルは、インラインのガス交換膜282aおよび282bを介して維持される。無
菌のオフローディングポート402aおよび402bを介した細胞収集または培地サンプ
リングを可能にするように必要に応じてシリンジ404aおよび404bが存在する。
【0087】
操作の際、組織生検(tissue bipsy)320が、フィルター316aと3
16bの間の組織消化チャンバ322に挿入される。酵素を含有する消化培地を、液体リ
ザーバシステム206から組織消化チャンバ322にポンピングして、消化プロセスを開
始する。消化は、この生検に対する試薬の曝露を最大にするための混合ダイアフラムを介
する消化チャンバ内の消化培地の穏やかな撹拌によって増強され得る。この消化培地は、
ポンプ122gを介して連続的にまたは定期的に再循環され得る。再循環の間、この液体
フローは、組織生検を懸濁して反転させるために、重力ベクトルに対して、消化チャンバ
の底に向けられ、これによって消化プロセスの有効性が最大になる。フィルター316a
は、液体通路への細胞および細胞凝集物の移動を妨げる。この再循環通路はインラインの
ガス交換膜282aを備え、これがこの消化培地中に一定レベルの溶存ガスを提供する。
消化チャンバ322の底への、液体リザーバシステム206に含まれた洗浄溶液の導入に
よって、消化チャンバをフラッシュして、解離した細胞および任意の残留する細胞凝集物
の両方から消化培地を効率的に洗浄する。単一または複数の洗浄手順後に、リザーバの適
用によって、細胞懸濁物を、外部の検査または解析のために増殖チャンバ300または必
要に応じてシリンジ404aのいずれかに移動する。消化チャンバの外への部分的に消化
された組織の移動は、解離した細胞の通過および細胞凝集物の保持を可能にするようにサ
イズ決めされている、フィルター316bによって妨げられる。
【0088】
生検消化プロセスから得られるか、または細胞懸濁物の直接の充填を介して利用可能な
細胞は、増殖チャンバ300内に存在する増殖の基板または足場310上に液体のフロー
および/または重力による沈殿によって播種される。増殖の基板または足場310に対す
る細胞の付着を可能にする休止期間の後に(例えば、付着依存性の細胞)、増殖培地を、
液体リザーバシステム206から増殖チャンバ300に導入する。この培地は増殖期の間
の特定の時点でリザーバシステム206由来の新鮮な増殖培地で定期的に置換される。培
地交換工程の間、この増殖チャンバ内の液体は、ポンプ122g、122hおよび122
iに加えて制御バルブ214aおよび214bの制御下で連続的にまたは定期的に再循環
される。液体送達および再循環の通路は、インラインのガス交換膜282aを含み、これ
が増殖培地中に一定レベルの溶存ガスを提供する。培地置換工程の間、液体リザーバシス
テム206からの新鮮な培地の供給は、ポンプ122fを介した廃棄リザーバ208fへ
の液体の除去によって平衡にされる。従って、定期的な培地置換工程と、制御された再循
環との組み合わせを通して、この組織工学システムは、増殖プロセス全体にわたって増殖
チャンバ内の至適の条件を維持する。
【0089】
一旦、細胞培養物がコンフルエンスに達すれば、増殖チャンバ300の中の培地は、ポ
ンプ122fによって廃棄リザーバ208f内に排出される。このプロセスでは、増殖チ
ャンバからの液体の除去は、増殖チャンバ上の滅菌フィルターポート(示さず)を介して
送達される無菌の空気の入来によって、または液体リザーバシステム206からのPBS
洗浄溶液の入来によって平衡にされる。この細胞を、PBS洗浄溶液を用いる2つの連続
した洗浄工程によって十分に洗浄して、残りの増殖培地を除く。この細胞は、酵素(例え
ば、トリプシン)の送達のような自動的な手順、およびインパクトドライブを介したバイ
オリアクターへの時限性の衝撃の適用によって、増殖の基板または足場310から引き続
いて遊離される。細胞の遊離後、酵素的な処理は、酵素活性を阻害する、血清含有培地の
送達によって停止することができる。分化および/または組織形成チャンバ306内の移
植可能な足場312への最終的な播種のための細胞の収集のために、細胞懸濁物を、増殖
チャンバ300からフィルター316cに移す。フィルター316cは、細胞の通過を妨
げるが、ポンプ122fの制御下で培地がバルブ214bを通って廃棄リザーバ208f
に進むことを可能にする。次いで、この収集された細胞を、逆流を与えることによってフ
ィルター316cから遊離して、外部の検査または解析のために、分化および/または組
織形成チャンバ306または必要に応じてシリンジ404bのいずれかに送達する。
【0090】
移植可能な分化足場312上への細胞播種は、ポンプ122jを介してフィルター31
6cからの細胞をこの足場の上面へ移動することによって達成される。足場から離れた細
胞の損失は、足場メンブレンまたはメッシュ326の必要に応じた使用によって最小化さ
れる。細胞播種後、新鮮な分化培地が、ポンプ122kの操作によって二次入力を通じて
分化および/または組織形成チャンバ306に導入され得る。この二次入力は、細胞を播
種される移植可能な足場の領域から離れて位置し、それによって細胞凝集物の形成を損な
い得る純然たる損傷ストレスの可能性が最小限にされる。この分化培地は、分化期の間の
特定の時点で、リザーバシステム206由来の新鮮な分化培地で定期的に置換される。培
地置換工程の間、分化および/または組織形成チャンバの中の液体は、ポンプ122jま
たは122kに加えて制御バルブ214bの制御下で連続的に、または定期的に再循環さ
れる。新鮮な分化培地および再循環された培地の両方の送達のための通路は、インライン
のガス交換膜282bを備え、これが分化培地中の一定のレベルの溶存ガスを提供する。
培地置換工程の間、液体リザーバシステム206からの新鮮な培地の供給は、ポンプ12
2fを介した廃棄リザーバ208fへの液体の除去によって平衡にされる。分化および/
または組織形成チャンバ内の環境条件は、組織構築物の首尾よい形勢のために必要な期間
、モニターされて制御され、この時点でバイオリアクターの分化および/または組織形成
チャンバが開口されて、引き続く臨床的使用または研究的使用のためにこの構築物が回収
される。
【0091】
図18は、図17の液体フローの概略図に対するバリエーションを図示しており、ここ
では増殖チャンバ300内の増殖の足場または基板310が、比較的大きい表面積の平面
増殖基板で置き換えられている。この基板の配向は、重力下での細胞沈殿が増殖表面にわ
たって細胞を均一に分布させるような配向である。増殖チャンバの正しい配向が維持され
ている条件下では、この増殖基板は、剛直なポリマー培養プレートの形態であっても、ま
たは可撓性の壁の容器の形態であってもよい。
【0092】
図19は、組織消化バイオリアクター500を示しており、このバイオリアクターは、
組織生検320のような1つ以上の組織サンプルを収容する適切なサイズの組織消化チャ
ンバ322を備える。このバイオリアクター500は、4つの主な構成要素からなる。組
織消化チャンバ322を実質的に形成するバイオリアクター基部502、移動可能なバイ
オリアクターリッド504、ポートフィルター316b、および必要に応じたポートフィ
ルター316a(示さず)。
【0093】
このバイオリアクターリッド504は、必要に応じたポートフィルター316a(示さ
ず)を有する培地ポート506および空気アウトレットポート508を備える。バイオリ
アクター基部500は、フィルター316bを収容し、これが、培地ポート510を介し
た、組織消化チャンバ322の外への解離した細胞の通過、ならびに組織凝集物および生
検細片の保持を可能にする。
【0094】
組織生検320の挿入後、このバイオリアクターは、ポート506またはポート510
を通じ酵素溶液を用いる自動的な制御下で充填される。組織消化チャンバ322への酵素
溶液の添加は、ポート508を通じた空気の逸脱によって平衡にされる。生検消化は、酵
素溶液の連続的または間欠的な再循環のもとで行い、これによって、懸濁物中の遊離され
た細胞を保持し、酵素試薬に対する生検の曝露を最大化する。再循環の間、この酵素溶液
は、ポート510を通じてバイオリアクターに入り、ポート506を介して出る。これが
、重力ベクトルに対して反対の方向で液体フロー通路を生み出して、その結果この生検は
、酵素試薬の有効性を最大化するように懸濁されてひっくり返される。消化は、混合ダイ
アフラム(示さず)を介して消化チャンバ内の消化培地の穏やかな撹拌によって増強され
得る。ポート508は、任意の再循環工程の間に閉鎖されてもよい。なぜなら液体フロー
システムに存在する空気の泡は、ポート506のインレット512の上のバイオリアクタ
ーの上半分に捕らえられるからである。消化の手順の完了時に、ポート506を通じた空
気または培地のいずれかの逆流の適用によって、ポート510を通じて、解離した細胞を
増殖チャンバまたは細胞収集容器のいずれかに移動する。
【0095】
図20は、増殖チャンバ300を提供する増殖バイオリアクター520を示す。増殖チ
ャンバの底部は、細胞の付着および増殖に適切な増殖基板310から構成される。培地に
おける溶存ガスのレベルを調節または維持するために、ガス透過性膜(示さず)を、増殖
チャンバの上面に組み込んでもよく、これによって酸素およびCO2のようなガスの移動
が可能になる。分離壁522は、チャネルシステムへの増殖チャンバの内部空間を分割し
て、培地が予め規定された通路をインレットポート524からアウトレットポート526
へ流れるように強制する。
【0096】
増殖バイオリアクターデザインの設計はいくつかの重要な操作上の特徴を有する。比較
的均一な細胞播種を、チャネルシステムを通じた細胞懸濁物の注入によって得ることがで
きる。さらにこのチャネル構成によって、培地のフローが増殖表面全体にわたって十分に
分布することが保証され、これによって、栄養物供給または廃棄産物の除去の低下に起因
して局所の細胞の活力を損ない得る潜在的な低流量の領域が減少する。増殖手順の終わり
に、このチャネルシステムを通じた適切な酵素溶液の連続的または間欠的な再循環が、酵
素反応の影響、および液体フローによって生じる低レベルの純然たるストレスに起因して
、均一な細胞の脱離をもたらす。従って、細胞の回収は、増殖チャンバの機械的な振盪も
回転も必要とすることなく達成される。
【0097】
図21は、細胞分化および引き続く組織構築物形成を促進するように設計された分化バ
イオリアクター530を示す。このバイオリアクターは、4つの主な構成要素からなる。
分化および/または組織形成チャンバ306を実質的に形成するバイオリアクター基部5
32、除去可能なバイオリアクターリッド534、浸透性のメンブレンチューブ326、
および分化足場312。この浸透性のメンブレンチューブ326は、網目状の足場を緊密
に取り囲んで、この足場の上に組織増殖区画536を形成する。この組織増殖区画は、メ
ンブレンチューブ内の足場の細孔サイズおよび足場の位置に応じてこの足場内で伸展し得
る。このメンブレンチューブはまた、ポート542のインレット540に固定され、その
結果このメンブレンは分化および/または組織形成チャンバ306内の物理的に中央に位
置する。これによってこのバイオリアクターは2つの独立した区画である、細胞および組
織の増殖区画536、ならびに外部の無細胞培地区画538に分けられるが、この全ては
全体として分化および/または組織形成チャンバ306内にある。このメンブレンチュー
ブの細孔サイズは、細胞に不浸透性であるが培養培地内の栄養物、廃棄物、増殖因子など
に浸透性であることに基づいて選択される。所望される場合、メンブレンの細孔サイズは
、特定の分子量の分子がこのメンブレンを通過することを排除するような方式で選択する
ことが可能である。
【0098】
このバイオリアクターリッド534は、2つの空気アウトレットポート542および5
44、ならびに1つの培地インレットポート546を有する。このバイオリアクター基部
532は、2つのさらなるポート548および550を収容する。このインレットポート
546は、細胞懸濁物を組織増殖区画536に充填するために、そして培養培地を用いた
新生の組織構築物の灌流のために必要である。空の組織増殖区画への細胞懸濁物の送達の
間、取り込まれた空気は、ポート542を通じて出ることが可能である。同様の様式で、
外部の無細胞区画538は、ポート548またはポート550を介して培地で充填されて
、取り込まれた空気はポート544を介して逃げることができる。
【0099】
分化バイオリアクターの設計によって、ポート546への培地送達を通じた組織構築物
の直接灌流、またはポート548を介した周囲の無細胞区画538への培地の間接的な供
給が可能になる。代表的には、ポート542および544は、灌流の間に閉鎖されて、ポ
ート550が培地アウトレットとして機能する。しかし、特定の組織要件に基づいて種々
の別の培地供給のシナリオが可能である。培地灌流ストラテジーの重要な態様は、組織増
殖区画の一部を形成する浸透性メンブレン326によって、足場から細胞がなんら損失す
ることなく新鮮な培養培地が組織増殖区画に浸透可能になるということである。さらに、
いずれの浸透性のバイオリアクター壁からの制限もなしに本質的に全ての方向から細胞に
栄養物が提供される。
【0100】
図22は、図19〜21のバイオリアクターが使用され得る液体フローの概略図のさら
なる実施形態を図示している。組織生検を収容する組織消化チャンバ322が存在する。
消化チャンバ322からの細胞を受容するように構成されており、かつ増殖基板の播種を
可能にする増殖チャンバ300が存在する。バブルトラップ560は、増殖チャンバへの
インプットラインから空気の泡を取り除き、従ってこれらの泡が増殖チャンバ300に入
ること、および局在する細胞集団を潜在的に損なうことを妨げる。リザーバ562は、増
殖チャンバ300から増幅した細胞数を受容するように、そして直交流濾過モジュール5
64の補助によって実施される細胞洗浄および細胞濃縮の手順の間、一時的保持容器とし
て機能するように存在する。洗浄工程および濃縮工程の後、リザーバ562から細胞を受
容するように構成されている分化および/または組織形成チャンバ306がまた存在し、
これが移植可能な足場312の播種を可能にする。
【0101】
組織工学試薬(すなわち、培地、酵素、溶液、洗浄溶液など)は、液体リザーバ208
a〜208eで保管される。廃棄産物は、液体リザーバ208fに収集される。このシス
テムを通る液体フローは、中央マイクロプロセッサーからの制御入力に従って、液体ポン
プ122aおよび122b、流量制御バルブ214a〜214vの操作によって指示され
る。空気フィルター566a〜566cによって、システムの無菌性を損なうことなく、
操作中に必要に応じてこのシステムの中または外への空気の移動が可能になる。さらに、
インラインのガス交換膜(示さず)を、培養培地中の溶存ガスの制御を容易にするために
液体流路内の種々の位置で使用してもよい。
【0102】
操作の際、組織生検320を、組織消化チャンバ322に挿入する。酵素を含む消化培
地を、液体リザーバ208からの組織消化チャンバ322へポンピングして、消化プロセ
スを開始する。この消化培地は、ポンプ122aによって連続的にまたは定期的に再循環
され得、それによって、懸濁物中の放出細胞が維持されて、生検に対する試薬の曝露が最
大化される。1つの液体リザーバ208から消化チャンバ322の上部への増殖培養培地
の導入によって、細胞懸濁物は、増殖チャンバ300に移動されて、同時に酵素溶液は、
増殖チャンバ300における細胞増殖のために耐容できる濃度まで希釈される。消化チャ
ンバの外への部分的に消化された組織の移動は、解離された細胞の通過および細胞凝集物
の保持を可能にするようにサイズ決めされているポートフィルター316bによって妨害
される。生検消化プロセスから生成された細胞は、バルブ214h、214J、214I
およびポンプ122aの作動を介した細胞懸濁物の再循環によるか、または増殖バイオリ
アクターの穏やかな浸透の自動的な適用のいずれかによって、増殖チャンバ300全体に
わたって均一に分布される。
【0103】
増殖基板への細胞の付着を可能にするための静止期間の後、この増殖培地を液体リザー
バ208の1つからの新鮮な増殖培地を用いて、定期的にまたは連続的に置換する。培地
交換工程の間、液体リザーバシステム208からの新鮮な培地の供給は、バルブ214i
を介した廃棄リザーバ208fへの液体の除去によって平衡にされる。
【0104】
一旦細胞培養アプローチがコンフルエンスになれば、増殖チャンバ300内の培地は、
廃棄リザーバ208f中に排出される。このプロセスにおいて、増殖チャンバからの液体
の除去は、滅菌フィルター566aを介して送達された無菌の空気の入来によって、また
は液体リザーバ208の1つからのPBS洗浄溶液の入来によって平衡にされる。
【0105】
細胞は引き続いて、自動的な手順、例えば酵素(例えば、トリプシン)の送達および細
胞懸濁物の時限的な再循環、またはインパクトドライブを介したバイオリアクターへの衝
撃または撹拌の時限的な適用によって増殖基板から遊離される。細胞増殖チャンバ306
への引き続く移動のための比較的小容積の培地中での酵素の除去および細胞の収集のため
に、細胞懸濁物を増殖チャンバ300からリザーバ562に移す。次いで、細胞懸濁物を
、直交流濾過モジュール564を通じバルブ214m、214j、214qおよびポンプ
122aを介して連続的に再循環する。直交流濾過モジュール564における膜は、細胞
の損失を防ぐが、特定の割合の培地(浸透物)がバルブ214oを介して廃棄リザーバ2
08fに除去されることを可能にする。この結果、浸透物の除去が、液体リザーバ208
の1つからの新鮮な培地の供給によって補償される条件下では、懸濁物容積の減少および
/または存在する任意の酵素の希釈が得られる。この連続的なフローによって、細胞が直
交流モジュール564の膜内に取り込まれる可能性が減少する。
【0106】
バルブ214m、214j、214pおよびポンプ122aを介した、リザーバ562
から足場の上面への洗浄された細胞の移動によって、移植可能な分化足場312への細胞
播種が達成される。足場からの細胞の損失は、足場のメンブレンまたはメッシュ326の
必要に応じた使用によって最小化される。細胞播種の後に、新鮮な分化培地が、ポンプ1
22bの動作によって分化および/または組織形成チャンバ306に導入されてもよい。
この分化培地は、リザーバシステムからの新鮮な分化培地で定期的にまたは連続的に置換
される。培地交換工程の間、液体リザーバ208の1つからの新鮮な培地の供給は、バル
ブ214fを介する廃棄リザーバ208fへの液体の除去によって平衡にされる。培地交
換工程の間、分化および/または組織形成チャンバ内の液体は、ポンプ122b、バルブ
214t、ならびに組織構築物を通じた灌流のためのバルブ214r、または足場メンブ
レン326の外側への送達のためのバルブ214sのいずれかの制御下で連続的にまたは
定期的に再循環される。足場メンブレンの外側の二次的な液体送達通路は、細胞を播種さ
れている移植可能な足場の領域から離れて位置しており、それによって細胞凝集物の形成
を損なう純然たる損傷ストレスの可能性が最小限になる。液体フロー概略図の前の実施形
態と同様に、分化および/または組織形成チャンバ内の環境条件は、組織構築物の首尾よ
い形成に必要な期間、モニターおよび制御され、その時点でバイオリアクターの分化およ
び/または組織形成チャンバは、開口されて、この構築物は、引き続く臨床または研究用
途のために回収される。
【0107】
図23は、本明細書に記載される組織工学モジュールが3つのバイオリアクターを備え
る本発明の実施形態を図示する。図23は、内部組織消化チャンバ322を有する図19
の組織消化バイオリアクターの組み合わせられた使用を図示しているが、これには増殖チ
ャンバ300を有する図20の増殖バイオリアクター、および増殖チャンバ306を有す
る図21の分化バイオリアクターを含む。これらのバイオリアクターは組織工学モジュー
ル上へ作動可能に接続されて、組織消化、細胞増殖、細胞分化および組織形成の手順に関
与する自動的な工程を提供する。
【0108】
自動的な組織工学システムが、構造的な支持体によるか、または等価な手段のいずれか
によって、ハウジングに支持されるとおり1つ以上のバイオリアクターを備え得るという
ことが当業者によって理解される。2つ以上のバイオリアクターを備える場合、このバイ
オリアクターは、作動可能に接続されてもよいし、あるいは独立して作動可能であっても
よいし、そして/または同時に作動可能であってもよい。さらに、各々のバイオリアクタ
ーは、異なる内部チャンバを備えても、同じタイプのチャンバを備えてもよい。さらなる
実施形態において、このチャンバおよび/またはバイオリアクターは作動可能に接続され
て、このチャンバおよび/またはバイオリアクターの間の液体、細胞および/または組織
の交換が得られる。
【0109】
本発明の自動的な組織工学システムは、使用のために準備することが容易である。以下
の手順は、関節軟骨における限局的な欠損の修復のための本発明の組織工学システムの使
用に基づく軟骨インプラントの調製のための代表的な例である。この適用のためには、組
織消化、細胞増殖および細胞分化および/または組織形成の段階が必要である。組織工学
プロセスの3つの段階は、図17、18および22に示されるように、複数のチャンバを
有する単一のバイオリアクター、または3つの別のそして別個のバイオリアクターによっ
て達成されてもよい。
【0110】
組織工学手順を開始する前に、リザーバ注入ポート212を介して組織工学モジュール
中のリザーバ208a〜208e中に、以下の試薬組成物を充填する。試薬Aは、小さい
ヒト関節軟骨生検に由来する軟骨細胞の消化のために利用される。試薬B、DおよびEは
、細胞増殖のために利用される。試薬Cは、分化および組織構築物形成のために利用され
る。
・試薬A−消化培地:DMEM/F−12.5% FCSまたは自家の血清、1μg/
ml インスリン、50μg/ml アスコルビン酸、100IU/100μg/ml
Pen/Strep,2.5% ヘペス緩衝液(Hepes Buffer)、0.1%
(1mg/ml)プロナーゼおよび0.025%(0.25mg/ml)コラゲナーゼ、
pH7.4。
・試薬B−増殖培地:DMEM/F−12、10% FCSまたは自家の血清 10μ
g/ml 10μg/ml アスコルビン酸、100IU/100μg/ml Pen/
Strep,2.5% ヘペス緩衝液(Hepes Buffer)、pH7.4。
・試薬C−分化培地:DMEM/F−12、10% FCSまたは自家の血清、1μg
/ml インスリン、50μg/ml アスコルビン酸、100IU/100μg/ml
Pen/Strep,2.5% ヘペス緩衝液(Hepes Buffer)、pH7
.4。
・試薬D−PBS 洗浄溶液:137mM NaCl、3.7mM KCl、8mM
Na2HPO4*2H2O、1.5mM KH2PO4を水に含有、pH7.4。
・試薬E−細胞遊離溶液:1×トリプシン溶液
【0111】
上記の試薬は、システム包含物内の組織工学モジュール上に4℃で保管された場合、数
週間におよび名目上は安定である。酵素は、組織工学モジュール内に凍結乾燥されて保管
され、そして使用の時点で水和されてもよい。これによって特定の組織工学適用に対して
特注の酵素を仕立てることが可能になる。
【0112】
ヒト軟骨生検(100〜500mg)を、上部大腿骨内側顆の非荷重負荷領域から関節
鏡視下手術によって得る。消化チャンバへの生検の充填の前に、この生検を秤量して、ベ
ースユニットのためのプログラム手順への引き続くデータ入力のために質量を記録する。
質量決定の後、この生検を消化チャンバ内に入れ、バイオリアクターを閉じて、組織工学
モジュールが組織工学システムのベースユニットに挿入されるように準備する。一旦、組
織工学モジュールがインストールされれば、次いで、所望の生検のサイズおよび組織工学
手順に従って、ベースユニットのCPUをユーザーインターフェースによってプログラム
する。
【0113】
プログラムされた自動的な手順の開始の際に、生検のプロナーゼ/コラゲナーゼ消化を
、必要な液体バルブの作動および液体送達ポンプの操作を通じたバイオリアクターの消化
チャンバへの試薬Aの注入によって開始する。試薬Aの連続的なまたは間欠的な再循環の
もとで16時間にわたって37℃で消化を実施して、懸濁物中で細胞を保持し、生検に対
する試薬の曝露を最大化する。この後に、試薬Dの2つの連続した洗浄工程を行ってもよ
い。消化手順の終了時に、100mgの生検組織あたり約200,000〜500,00
0個の細胞を得る。
【0114】
この時点で、消化された細胞のサンプルを、サンプリングポートを介して回収して、細
胞の数および生存度を評価してもよい。この生物学的な評価を代表的には、トリパンブル
ーを用いた染色後血球計算板によってこのシステムの外で評価する。
【0115】
ベースユニットの自動的な制御下で、2000細胞/cm2〜15000細胞/cm2
細胞播種密度が得られるように、この解離した細胞を、バイオリアクターの増殖チャンバ
内に存在する増殖の基板または足場の上に送達する。連続的な増殖がコンフルエンスに向
かうように、プログラムされたフローのプロフィールに従って、組織工学モジュール上の
リザーバから試薬Bを供給する。この培地の温度およびpHをモニターしてそれぞれ、3
7℃およびpH7.4からの逸脱を検出する。さらに、細胞増殖の状況を時間の関数とし
て代謝回転の検出によって間接的に評価する(例えば、pH、O2、CO2、乳酸およびグ
ルコースの消費)。コンフルエンスのレベルはさらに、増殖チャンバ内に組み込まれた増
殖プローブに接続されたCCDカメラを介する視覚的なモニタリングによって支援される
。一旦、差し迫ったコンフルエンスが経験的に、またはセンサーに基づくモニタリングの
いずれかによって決定されれば、細胞は試薬Dを用いた2つの連続的な洗浄工程によって
徹底的に洗浄されて、全ての培養培地が除去される。
【0116】
増殖の基板または足場からの増殖された細胞の脱離は、組織工学モジュール内のリザー
バから増殖チャンバへの試薬Eの移動によって開始される。このトリプシン溶液は、バイ
オリアクター内に5分間存在して、そこで酵素活性を阻害するFCSまたは自家の血清を
含む試薬Bの自動的な添加によって、反応が停止される。増殖基板または足場からの細胞
の遊離はさらに、インパクトドライブを介するバイオリアクターへの低周波数の衝撃の適
用またはトリプシン溶液の再循環によってさらに増強される。一旦遊離されれば、細胞洗
浄および濾過工程を実施して、分化および/または組織形成のバイオリアクターに存在す
る足場への引き続く移動のためにトリプシンを除去して、細胞懸濁物を濃縮する。
【0117】
この適用のためには、二極性の構成が理想的である。なぜならこれによって、関節表面
で軟骨層が提供され、これが、軟骨下の骨との一体化のために、Skelite(商標)
のような骨生体適合物質から形成された多孔性足場層に結合されるからである。二極性構
築物の調製は、いくつかの別の手順のうちの1つによって達成されてもよい。分化足場は
、細孔密度勾配によって形成されてもよく、この勾配が優先的に一端に細胞を捕捉して、
軟骨層の形成を促進する高い細胞濃度の領域を生み出す。あるいは、この足場は、この領
域で細胞の付着および軟骨マトリックスの形成を妨げるようにフィブリンゲルによって一
端で事前にコーティングされてもよい。いずれかのアプローチによって、この足場からの
細胞の損失は、取り囲むメンブレンまたはメッシュの必要に応じた使用によって最小限に
される。液体剪断が増殖した細胞集団に障害を与えないことを確実にするために、細胞送
達のための流量は低い。細胞播種工程の完了後、細胞凝集物の形成を可能にするために分
化および/または組織形成チャンバを通した液体フローが停止される。なぜなら細胞凝集
物の形成は首尾よい分化に関して重要であることが公知であるからである。この重要な工
程の後に、組織形成および成熟のために必要な期間にわたって試薬Cの灌流を実施して、
必要に応じて栄養物を細胞に供給して、廃棄産物を除去する。この培養期間後に、細胞は
、天然のヒト関節軟骨のものと実質的に同一である細胞外マトリックスを産生した。形成
された組織の特性は、SDS−PAGEおよび遺伝子発現を介したコラーゲンタイピング
のような独立した外部の生化学的方法によって確認することができる。このプロセスの最
終工程として、この手順が完了して、このインプラントを回収するためにこの組織工学モ
ジュールが除去されてもよいという通知がユーザーインターフェースによってこの組織工
学システムから得られる。この組織工学モジュールまたは脱着可能な型のバイオリアクタ
ーを、作業室に移動してもよく、ここでこのバイオリアクターリッドを無菌の領域に移動
して、このインプラントを外科的用途のために回収する。
【0118】
本発明のシステムは、特定のタイプの細胞または組織に限定されないことが注目される
べきである。例えば、骨格のインプラントは、骨欠損の再構築における使用のために調製
され得る。この適用においては、組織工学プロセスのために必要な初代細胞および/また
は前駆細胞の供給源として、骨髄が用いられてもよい。従って、組織消化を実施する必要
はない。従って、バイオリアクターは、増殖および分化のみを支持するタイプのものであ
ってもよい。利用可能な細胞集団およびインプラントの必要なサイズに依存して、増殖で
さえ必要でないかもしれない。この場合、バイオリアクターの構成は、細胞分化の単一の
段階および進行中の組織形成に向けられてもよい。最終の組織構築物は、移植可能な足場
から構成され、この足場は、Skelite(商標)のような骨生体適合物質から構成さ
れてもよく、これは、この足場の開口された細孔を裏打ちして、新しい鉱化マトリックス
(骨様の)を能動的に固着させる活性な骨細胞を有する。このようなインプラントは、イ
ンプラント部位で急速に取り込まれ、これによって回復プロセスを加速する。
【0119】
このシステムの自由度のさらなる例として、組織工学が適用される血管は、最終の分化
段階において管状の形状の可撓性の足場に播種された培養増幅された内皮細胞を用いて調
製されてもよい。
【0120】
本発明の一体型の組織工学システムは、先行技術の方法およびシステムに比べていくつ
かの利点を有する。詳細には、このデバイスのターンキー操作によって、複雑な組織工学
手順を診療所において自動的な制御下で実施することが可能になり、これによって生物学
的な処理のために細胞を中央集中化された施設に移動する必要がなくなる。このシステム
は用いることが簡単であり、しばしばインプラントの汚染および不全をもたらす、既存の
時間浪費的でかつ高価なヒト組織培養手順を不要にする。この組織工学モジュールおよび
関連の下位システムの組み合わせによって、細胞または組織のタイプをカスタム化して培
養することが可能になり、そしてこれは任意の適切な生体適合性および滅菌耐容性の物質
から製造することができる。この組織工学モジュールまたはその特定の構成要素全体は交
換可能であり、使い捨て可能であると考えることができる。この組織工学モジュールは、
臨床的な設定において、システムの設定および操作を容易にする単回使用の滅菌包装で提
供されてもよい。
【0121】
本発明の組織工学モジュールおよびデバイスは、種々のサイズ、形状および配向で製造
することができるということが当業者に理解される。このデバイスは、垂直または水平な
形式で単一の組織工学モジュールまたは複数のモジュールを組み込むように製造すること
ができる。従って、この部分組み立て品は、この組織工学デバイスのために選択された空
間的様式に対応するように作製することができる。従って、異なるタイプの組織工学が、
単一のデバイスにおいて同時に実施されてもよく、ここでは各々の組織工学手順は、個々
の基準に基づいて自動的にモニターされて制御される。遠隔のコンピューターの制御下で
作動するネットワーク化された複数の自動的な組織工学システムを有することも本発明の
範囲内である。
【0122】
本発明の好ましい実施形態を本明細書に詳細に記載してきたが、それに対して、本発明
の趣旨または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、バリエーションが行なわれ得
るということが当業者によって理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動的な組織工学システムであって、
ハウジングと、
前記ハウジングによって支持された少なくとも1つのバイオリアクターであって、生理
学的な細胞機能、ならびに/または細胞および/もしくは組織の供給源からの1つ以上の
組織構築物の生成を容易にするバイオリアクターと、
前記ハウジングによって支持され、かつ前記バイオリアクターと流体的に連通している
液体格納システムと、
前記生理学的細胞機能および/または組織構築物の生成に関連するパラメーターをモニ
ターするために1つ以上の前記ハウジング、バイオリアクターまたは液体格納システムと
連結されている、1つ以上のセンサーと、
前記センサーの1つ以上に連結されているマイクロプロセッサーと、
を備える、組織工学システム。
【請求項2】
前記バイオリアクターが、
バイオリアクターハウジングと、
培地のフローのための1つ以上のインレットポートおよび1つ以上のアウトレットポー
トと、
種々の細胞および/または組織を受容するために前記バイオリアクターハウジング内に
設定された少なくとも1つのチャンバと、
を備える、請求項1のシステム。
【請求項3】
前記バイオリアクターハウジングが、リッドを備え、前記1つ以上のインレットポート
およびアウトレットポートが前記バイオリアクターハウジングおよび/または前記リッド
内に設けられる、請求項2のシステム。
【請求項4】
前記チャンバが、組織消化チャンバ、培養および/または増殖チャンバ、分化および/
または組織形成チャンバ、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項
1、2または3のシステム。
【請求項5】
2つ以上のチャンバが前記バイオリアクター内に作動可能に接続されて設けられる、請
求項2、3または4のシステム。
【請求項6】
前記チャンバが1つ以上の基板および/または足場を収容する、請求項2、3、4また
は5のシステム。
【請求項7】
前記足場が多孔性足場、勾配多孔性を有する多孔性足場、多孔性網状足場、繊維性足場
、膜強化足場、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項6のシステ
ム。
【請求項8】
前記足場が、天然のバイオセラミックス、合成のバイオセラミックス、天然のバイオポ
リマー、合成のバイオポリマー、移植可能なバイオセラミックス、移植可能なバイオポリ
マーおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項7のシステム。
【請求項9】
前記物質が、単離された生体再吸収可能な生体適合物質の化合物であり、前記化合物が
、カルシウム、酸素およびリンを含み、ここでこれらの元素のうち少なくとも1つの一部
が約0.1〜0.6オングストロームのイオン半径を有する元素で置換されている、請求
項8のシステム。
【請求項10】
前記基板が、マイクロキャリアの含まれた懸濁物である、請求項6のシステム。
【請求項11】
前記チャンバが、複数のゾーンを備える、請求項2〜10のいずれか一項のシステム。
【請求項12】
前記複数のゾーンが各々、足場および/または基質に適合し得る、請求項11のシステ
ム。
【請求項13】
2つ以上のバイオリアクターが作動可能に連結されている、請求項1〜12のいずれか
一項のシステム。
【請求項14】
前記2つ以上のチャンバおよび/またはバイオリアクターが独立して作動可能であるか
、および/または協同して作動可能である、請求項5〜13のいずれか一項のシステム。
【請求項15】
前記チャンバおよび/またはバイオリアクターが、前記チャンバおよび/または前記バ
イオリアクターの間の液体、細胞および/または組織の交換を提供するように作動可能に
接続される、請求項5〜14のいずれか一項のシステム。
【請求項16】
前記チャンバおよび/またはバイオリアクターが、通路、配管、コネクタ、バルブ、ポ
ンプ、フィルター、液体アクセスポート、インラインのガス交換膜、インラインのセンサ
ー、および/または分離壁中の空隙を介して接続される、請求項15のシステム。
【請求項17】
前記バイオリアクターが、前記チャンバの1つ以上に作動可能に連結されたサンプリン
グポートをさらに備える、請求項2のシステム。
【請求項18】
前記バイオリアクターが前記インレットポートおよび前記アウトレットポートを介して
前記液体格納システムに取り外し可能に接続される、請求項1〜17のいずれか一項のシ
ステム。
【請求項19】
前記バイオリアクターおよび前記液体格納システムが前記ハウジングに固定された構造
的支持体に作動可能に取り付けられる、請求項1〜18のいずれか一項のシステム。
【請求項20】
前記バイオリアクターおよび前記液体格納システムが、前記ハウジング内に取り外し可
能に接続される構造的支持体に作動可能に取り付けられる、請求項1〜18のいずれか一
項のシステム。
【請求項21】
前記液体格納システムが、前記バイオリアクターおよび液体格納システムと作動可能に
接続された1つ以上の流量制御バルブおよび1つ以上のポンプユニットをさらに備える、
請求項1〜20のいずれか一項のシステム。
【請求項22】
前記システムがさらなるマイクロプロセッサーおよび/または論理制御器をさらに備え
、前記マイクロプロセッサーおよび/または論理制御器が、前記少なくとも1つのバイオ
リアクターにおける組織工学の異なる態様を容易にし、モニターし、そして制御するよう
にプログラムされる、請求項1〜21のいずれか一項のシステム。
【請求項23】
前記バイオリアクターが、組織生検の保管、組織生検の消化、細胞分取、細胞洗浄、細
胞濃縮、細胞播種、細胞増殖、細胞分化、細胞保管、細胞輸送、組織形成、インプラント
形成、移植可能組織の保管、移植可能組織の輸送およびそれらの組み合わせからなる群よ
り選択される、生理学的な細胞機能および/または組織構築物の生成のための環境を提供
する、請求項1〜22のいずれか一項のシステム。
【請求項24】
前記細胞および組織が骨、軟骨、関連の骨および軟骨の前駆体細胞、ならびにそれらの
組み合わせから選択される、請求項23のシステム。
【請求項25】
前記細胞が、幹細胞を含む、骨、骨髄または血液に由来する胚性幹細胞、成体幹細胞、
造骨細胞、前造骨細胞、軟骨細胞、前軟骨細胞、髄核細胞、骨格細胞、骨格前駆細胞、お
よびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項23のシステム。
【請求項26】
前記システムが、携帯可能である、請求項1〜25のいずれか一項のシステム。
【請求項27】
自動的な組織工学システムであって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に取り外し可能に接続された少なくとも1つの組織工学モジュールで
あって、前記組織工学モジュールは、少なくとも1つのバイオリアクターを保持する支持
体構造であって、前記バイオリアクターは、細胞培養および/または組織工学機能を容易
にする支持体構造、前記バクテリオファージと流体的に連通している液体格納システム、
ならびに前記細胞培養および/または組織工学機能に関連するパラメーターをモニタリン
グするための1つ以上のセンサーを備える、組織工学モジュールと、
前記ハウジングに配置され、かつ前記組織工学モジュールに連結されたマイクロプロセ
ッサーであって、前記組織工学モジュールの操作を制御する、マイクロプロセッサーと、
を備える、組織工学システム。
【請求項28】
前記バイオリアクターが、
培地のフローのための1つ以上のインレットポートおよび1つ以上のアウトレットポー
トを有するバイオリアクターハウジングと、
細胞および/または組織を受容するため、ならびに前記細胞培養および組織工学機能を
容易にするために前記バイオリアクターハウジング内に規定された少なくとも1つのチャ
ンバと、
を備える、請求項27の組織工学システム。
【請求項29】
前記チャンバが、組織消化チャンバ、培養および/または増殖チャンバ、分化および/
または組織形成チャンバ、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項
28の組織工学システム。
【請求項30】
前記チャンバが1つ以上の基板および/または足場を収容する、請求項29の組織工学
システム。
【請求項31】
2つ以上のチャンバが、前記バイオリアクター内に作動可能に接続されて設けられる、
請求項28、29または30の組織工学システム。
【請求項32】
2つ以上のバイオリアクターが作動可能に接続される、請求項27〜31のいずれか一
項の組織工学システム。
【請求項33】
前記2つ以上のチャンバおよび/またはバイオリアクターが独立して作動可能であるか
、および/または協同して作動可能である、請求項31または32の組織工学システム。
【請求項34】
前記バイオリアクターが取り外し可能である、請求項27の組織工学システム。
【請求項35】
前記チャンバおよび/またはバイオリアクターが、前記チャンバおよび/または前記バ
イオリアクターの間の液体、細胞および/または組織の交換を提供するように作動可能に
接続される、請求項27〜34のいずれか一項の組織工学システム。
【請求項36】
前記足場が多孔性足場、勾配多孔性を有する多孔性足場、多孔性網状足場、繊維性足場
、膜強化足場、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項30の組織
工学システム。
【請求項37】
前記チャンバが、複数の基質および/または足場を含むように複数のゾーンを備える、
請求項36の組織工学システム。
【請求項38】
前記バイオリアクターが、組織生検の保管、組織生検の消化、細胞分取、細胞洗浄、細
胞濃縮、細胞播種、細胞増殖、細胞分化、細胞保管、細胞輸送、組織形成、インプラント
形成、移植可能組織の保管、移植可能組織の輸送およびそれらの組み合わせからなる群よ
り選択される、細胞培養および/または組織工学機能のための環境を提供する、請求項2
7〜37のいずれか一項の組織工学システム。
【請求項39】
前記組織工学モジュールが、前記液体格納システムと接続された流量制御バルブを有し
、前記組織工学モジュールが前記ハウジング内に設けられた1つ以上のバルブアクチュエ
ータ、ポンプユニットおよびコネクタと作動可能に係合可能である、請求項38の組織工
学システム。
【請求項40】
前記コネクタが、前記ハウジング内に設けられた電気的バックプレーンを介して前記組
織工学モジュールと前記マイクロプロセッサーとの間の電気的な接続を提供する、請求項
39の組織工学システム。
【請求項41】
前記液体格納システムが、前記バイオリアクターへおよびバイオリアクターから液体を
供給および回収するため、可撓性の配管によって接続された複数の可撓性のリザーバを備
える、請求項27の組織工学システム。
【請求項42】
前記ハウジングが、1つ以上の前記ハウジング、組織工学モジュール、バイオリアクタ
ー、液体格納システム、および/または前記可撓性リザーバ内の環境条件を維持するため
に、1つ以上の環境センサーおよび環境制御ユニットを備える、請求項27〜41いず
れか一項の組織工学システム。
【請求項43】
前記バイオリアクター内の前記環境条件が、前記液体格納システムとは独立して維持さ
れる、請求項42の組織工学システム。
【請求項44】
前記1つ以上の可撓性リザーバ内の前記環境条件が、前記液体格納システム内とは独立
して維持される、請求項42の組織工学システム。
【請求項45】
前記バイオリアクターへの液体の進入が、前記バイオリアクター内の液体温度に本質的
に対応する温度で提供される、請求項43の組織工学システム。
【請求項46】
前記バイオリアクター内の前記環境条件が、細胞培養および/または組織工学機能に適
切な温度で維持され、かつ前記液体格納システムまたは選択された可撓性リザーバ内の前
記環境条件が、前記細胞培養および/または組織工学機能に適切な温度よりも低い温度で
維持される、請求項43の組織工学システム。
【請求項47】
前記ハウジングが前記支持構造を受容するための少なくとも1セットのガイドを介した
前記組織工学モジュールの挿入のための少なくとも1つの挿入スロットを有する、請求項
27の組織工学システム。
【請求項48】
前記挿入スロットおよび前記ガイドが前記ハウジングに対して垂直または水平に位置す
る、請求項47の組織工学システム。
【請求項49】
前記挿入スロットが移動可能なドアおよびロッキング機構を有する、請求項46または
48の組織工学システム。
【請求項50】
前記システムがさらに、前記マイクロプロセッサーと協同するユーザーインターフェー
スを備え、前記ユーザーインターフェースが前記マイクロプロセッサーへのユーザーイン
プットの入力および/またはシステム状態の出力を提供する、請求項27〜49のいずれ
か一項の組織工学システム。
【請求項51】
前記ユーザーインターフェースが、ディスプレイ、タッチスクリーン、キーパッド、コ
ンピューター、コンピューターネットワーク、コンピューターデータ媒体デバイスおよび
それらの組み合わせから選択される、請求項50の組織工学システム。
【請求項52】
情報のインプット、アウトプット、記録、移動および記憶を可能にするデータシステム
をさらに備える、請求項50または51の組織工学システム。
【請求項53】
コンピューターおよび通信回路をさらに備える、請求項52の組織工学システム。
【請求項54】
前記マイクロプロセッサーが、前記ハウジング内で複数の組織工学モジュールの独立し
た操作を制御する、請求項27の組織工学システム。
【請求項55】
前記マイクロプロセッサーが前記細胞培養および組織工学機能の品質管理アセスメント
を実施する、請求項27の組織工学システム。
【請求項56】
前記品質管理評価アセスメントが、前記ユーザーインターフェースを介して品質管理記
録として提示される、請求項55の組織工学システム。
【請求項57】
前記マイクロプロセッサーが、前記組織工学モジュールの一部を形成する、請求項27
の組織工学システム。
【請求項58】
前記、組織工学モジュールが、前記ハウジングに位置する前記マイクロプロセッサーと
作動可能に連結される1つ以上のマイクロプロセッサーをさらに備える、請求項27の組
織工学システム。
【請求項59】
携帯可能でかつ、滅菌可能な組織工学モジュールであって、前記モジュールは、
少なくとも1つのバイオリアクターを保持する構造支持体であって、前記バイオリアク
ターが細胞培養および組織工学機能を容易にする構造支持体と、
前記バイオリアクターと流体的に連通された液体格納システムと、
前記細胞培養および組織工学機能に関連したパラメーターをモニターするための1つ以
上のセンサーと、
を備える、組織工学モジュール。
【請求項60】
前記バイオリアクターが、
培地のフローのための1つ以上のインレットポートおよび1つ以上のアウトレットポー
トを有するバイオリアクターハウジングと、
細胞および/または組織を受容するためならびに細胞培養および組織工学機能を容易に
するための前記バイオリアクターハウジング内に規定された少なくとも1つのチャンバと
を備える、請求項59の組織工学モジュール。
【請求項61】
前記チャンバが、組織消化チャンバ、培養および/または増殖チャンバ、分化および/
または組織形成チャンバ、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項
59の組織工学モジュール。
【請求項62】
前記チャンバが1つ以上の基板および/または足場を収容する、請求項60の組織工学
モジュール。
【請求項63】
2つ以上のチャンバが、前記バイオリアクター内に作動可能に接続されて設けられる、
請求項60の組織工学モジュール。
【請求項64】
2つ以上のバイオリアクターが作動可能に接続される、請求項59〜63のいずれか一
項の組織工学モジュール。
【請求項65】
前記2つ以上のチャンバおよび/またはバイオリアクターが独立して作動可能であるか
、および/または協同して作動可能である、請求項63または64の組織工学モジュール

【請求項66】
前記モジュールが、第一のバイオリアクター、第二のバイオリアクターおよび第三のバ
イオリアクターを備え、前記第一のバイオリアクターが組織消化チャンバを備え、前記第
二のバイオリアクターが培養および/または増殖チャンバを備え、前記第三のバイオリア
クターが分化および/または組織形成チャンバを備え、ここで前記第一、第二および第三
のバイオリアクターが作動可能に接続される、請求項64または65の組織工学モジュー
ル。
【請求項67】
前記チャンバおよび/またはバイオリアクターが、前記チャンバおよび/または前記バ
イオリアクターの間の液体、細胞および/または組織の交換を提供するように作動可能に
接続される、請求項63〜66のいずれか一項の組織工学モジュール。
【請求項68】
前記足場が多孔性足場、勾配多孔性を有する多孔性足場、多孔性網状足場、繊維性足場
、膜強化足場、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項62の組織
工学モジュール。
【請求項69】
前記チャンバが、複数の基質および/または足場を含むように複数のゾーンを備える、
請求項60または62の組織工学モジュール。
【請求項70】
前記バイオリアクターが、組織生検の保管、組織生検の消化、細胞分取、細胞洗浄、細
胞濃縮、細胞播種、細胞増殖、細胞分化、細胞保管、細胞輸送、組織形成、インプラント
形成、移植可能組織の保管、移植可能組織の輸送およびそれらの組み合わせからなる群よ
り選択される細胞培養および/または組織工学機能のための環境を提供する、請求項59
〜69のいずれか一項の組織工学モジュール。
【請求項71】
前記液体格納システムが、前記バイオリアクターへおよびバイオリアクターから液体を
供給および回収するため、可撓性の配管によって接続された複数の可撓性リザーバを備え
る、請求項59の組織工学モジュール。
【請求項72】
前記可撓性リザーバが種々の構成およびサイズを含む、請求項71の組織工学モジュー
ル。
【請求項73】
前記可撓性リザーバおよび/または配管が、前記液体格納システムからの物質の充填ま
たは除去のための液体アクセスポートを設けられる、請求項71の組織工学モジュール。
【請求項74】
前記液体格納システムおよび前記バイオリアクターを用いて液体の流量を制御するため
に、液体格納システムと作動可能に連絡されて複数の液体流量制御バルブが設けられる、
請求項59の組織工学モジュール。
【請求項75】
前記液体流量制御バルブが、バルブアクチュエータによって開口され、かつ閉鎖される
、請求項74の組織工学モジュール。
【請求項76】
前記組織工学モジュールが、自動的な組織工学デバイスのハウジング内に設けられた1
つ以上のバルブアクチュエータ、ポンプユニットおよびコネクタと作動可能に係合可能で
ある、請求項59の組織工学モジュール。
【請求項77】
前記モジュールが、前記液体格納システムを通じた液体のポンピングのために前記液体
格納システムと連絡された1つ以上のポンプユニットをさらに備える、請求項76の組織
工学モジュール。
【請求項78】
液体フロープレートが、前記構造的支持体と一体に装着されるかまたは設けられ、前記
液体フロープレートが、前記液体格納システムと前記バイオリアクターの中および間に対
して液体フローを向けるように前記液体制御バルブに作動可能に接続される、請求項59
の組織工学モジュール。
【請求項79】
前記組織工学モジュールが前記バイオリアクターに対して流れる液体を加熱および混合
するための加熱および混合チャンバをさらに備える、請求項59〜78のいずれか一項の
組織工学モジュール。
【請求項80】
1つ以上のガス交換膜が前記液体格納システムおよび/またはバイオリアクターの中ま
たは間に設けられ、前記ガス交換膜によって、気体生成物が、前記バイオリアクターへ流
れ込むか、または前記バイオリアクターから流れ出すという移動、または前記バイオリア
クターに留まることが可能になる、請求項59の組織工学モジュール。
【請求項81】
前記モジュールが前記バイオリアクターに作動可能に接続された熱電素子をさらに備え
る、請求項59の組織工学モジュール。
【請求項82】
前記モジュールが前記センサーと作動可能に接続された1つ以上のマイクロプロセッサ
ーをさらに備える、請求項59の組織工学モジュール。
【請求項83】
前記モジュールが1つ以上の前記センサー、マイクロプロセッサーまたは熱電素子のた
めの電気的インターフェースを提供するためにプリント基板をさらに備える、請求項81
または82の組織工学モジュール。
【請求項84】
前記モジュールがさらに1つ以上のアクセスポートを備え、前記アクセスポートが前記
バイオリアクターおよび/または液体格納システムと作動可能に連結されており、前記ア
クセスポートが、細胞、液体、細胞および組織培養培地、増殖因子、薬学的因子、品質管
理試薬、品質管理サンプルおよび他の物質の無菌的な充填または除去を提供する、請求項
59の組織工学モジュール。
【請求項85】
前記アクセスポートが前記構造的支持体と一体化したシリンジマニフォールドに作動可
能に連結される、請求項84の組織工学モジュール。
【請求項86】
前記シリンジマニフォールドが、シリンジに接続された少なくとも1つのアクセスポー
トを備える、請求項85の組織工学モジュール。
【請求項87】
前記バイオリアクターが、前記構造的支持体に回転可能に装着される、請求項59の組
織工学モジュール。
【請求項88】
前記バイオリアクターが、前期構造的支持体に組み込まれて装着される、請求項59の
組織工学モジュール。
【請求項89】
前記バイオリアクターが、前記構造的支持体から脱離可能である、請求項59の組織工
学モジュール。
【請求項90】
カメラが前記バイオリアクター内の視覚的検査のために設けられる、請求項59〜89
のいずれか一項の組織工学モジュール。
【請求項91】
前記モジュールが、バーコード、磁気ストリップ、ID標識、電子メモリおよびそれら
の組み合わせからなる群より選択される識別エレメントをさらに備える、請求項59の組
織工学モジュール。
【請求項92】
前記モジュールが使用の前に滅菌可能であり、かつ使用後に使い捨て可能である、請求
項59の組織工学モジュール。
【請求項93】
前記モジュールが、種々の温度で細胞および組織を分別および/または輸送するために
適切である、請求項59の組織工学モジュール。
【請求項94】
前記モジュールが滅菌包装内で提供される、請求項92の組織工学モジュール。
【請求項95】
細胞機能および/または組織構築物の生成を容易にするかまたは支持するためのバイオ
リアクターであって、前記バイオリアクターは、
バイオリアクターハウジングと、
培地のフローのための1つ以上のインレットポートおよび1つ以上のアウトレットポー
トと、
細胞機能、ならびに/または細胞および/もしくは組織供給源からの1つ以上の組織構
築物の生成を容易にし、かつ支持するために前記バイオリアクターハウジング内に規定さ
れた少なくとも1つのチャンバと、
前記少なくとも1つのチャンバ内の前記細胞機能および/または組織構築物の生成に関
連するパラメーターをモニタリングするための1つ以上のセンサーと
を備える、バイオリアクター。
【請求項96】
前記バイオリアクターハウジングが、リッドを備え、前記リッドが、取り外し可能なリ
ッドおよび前記バイオリアクターハウジングと一体化されたリッドから選択される、請求
項95のバイオリアクター。
【請求項97】
前記チャンバが、組織消化チャンバ、培養および/または増殖チャンバ、分化および/
または組織形成チャンバ、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項
95または96のバイオリアクター。
【請求項98】
前記チャンバが1つ以上の基板および/または足場を支持する、請求項98のバイオリ
アクター。
【請求項99】
前記バイオリアクターが、培養および/または増殖の足場および/またはそこに支持さ
れる基板を有する単一の培養および/または増殖チャンバを備える、請求項97または9
8のバイオリアクター。
【請求項100】
前記バイオリアクターが、下流の分化および/または組織形成チャンバに接続された培
養および/または増殖チャンバを備え、前記培養および/または増殖チャンバは増殖足場
および/またはそこに支持される基板を有し、前記分化および/または組織形成チャンバ
はそこに支持される移植可能な分化足場を有する、請求項97または98のバイオリアク
ター。
【請求項101】
前記接続通路が、前記培養および/または増殖チャンバと前記分化および/または組織
形成チャンバとの間に設けられ、前記接続通路が前記増殖足場および/または基板から前
記分化足場への遊離された細胞の移動を容易にする、請求項97または98のバイオリア
クター。
【請求項102】
前記バイオリアクターは、組織生検物質の消化のための消化チャンバをさらに備え、前
記消化チャンバは、前記培養および/または増殖チャンバの上流である、請求項101の
バイオリアクター。
【請求項103】
1つ以上のフィルターが、前記増殖足場の上流、前記分化足場の上流、前記アウトレッ
トポートの上流およびそれらの組み合わせから選択される位置に設けられる、請求項100、101または102のバイオリアクター。
【請求項104】
前記足場が、多孔性足場、勾配多孔性を有する多孔性足場、多孔性網状足場、繊維性足
場、膜強化足場、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項98〜1
03のいずれか一項のバイオリアクター。
【請求項105】
前記足場が、天然のバイオセラミックス、合成のバイオセラミックス、天然のバイオポ
リマー、合成のバイオポリマー、移植可能なバイオセラミックス、および移植可能なバイ
オポリマーならびにそれらの混合物からなる群より選択される、請求項104のバイオリ
アクター。
【請求項106】
前記増殖基板が、マイクロキャリアの含まれた懸濁物である、請求項98のバイオリア
クター。
【請求項107】
前記分化および/または組織形成チャンバが、複数の分化足場および/または基板を含
むように複数のゾーンを備える、請求項101のバイオリアクター。
【請求項108】
前記バイオリアクターが前記チャンバの1つ以上に作動可能に接続されるサンプリング
ポートを有する、請求項95のバイオリアクター。
【請求項109】
ガス交換膜が前記チャンバの一部を形成する、請求項95のバイオリアクター。
【請求項110】
前記バイオリアクターが前記インレットポートおよび前記アウトレットポートを介して
液体格納システムと取り外し可能に接続される、請求項95のバイオリアクター。
【請求項111】
混合ダイアフラムが前記チャンバの一部を形成し、かつ混合アクチュエータおよび/ま
たは混合ドライブに作動可能に接続される、請求項95のバイオリアクター。
【請求項112】
前記混合ダイアフラムが、前記バイオリアクター内に組み込まれる、請求項111のバ
イオリアクター。
【請求項113】
前記バイオリアクターが、インパクトアクチュエータおよび/またはインパクトドライ
ブに作動可能に接続される、請求項95のバイオリアクター。
【請求項114】
前記チャンバが、留まっている細胞および/または組織の生理学的な刺激をさらに支持
する、請求項95のバイオリアクター。
【請求項115】
前記刺激がマイクロ充填アクチュエータおよび/またはマイクロ充填ドライブと作動可
能に接続されたマイクロ充填ダイアフラムによって実施される、請求項114のバイオリ
アクター。
【請求項116】
前記マイクロ充填ダイアフラムが、前記バイオリアクター内に組み込まれる、請求項1
15のバイオリアクター。
【請求項117】
前記刺激が電場を提供することによって実施される、請求項114のバイオリアクター

【請求項118】
前記バイオリアクターは、構造的支持体に固定されかつ前記バイオリアクターに流体的
に連通された液体格納システムを備える組織工学モジュール内に作動可能に接続され、前
記液体格納システムが、前記バイオリアクターに対して、および前記バイオリアクターか
ら液体を供給しかつ回収するための可撓性配管によって接続された複数の可撓性リザーバ
を備える、請求項95〜117のいずれか一項のバイオリアクター。
【請求項119】
前記組織工学モジュールは、自動化組織工学システムのハウジング内に接続され、前記
システムは前記モジュールで動作するためのマイクロプロセッサーを備え、前記マイクロ
プロセッサーが前記モジュールの機能を制御する、請求項118のバイオリアクター。
【請求項120】
前記バイオリアクターがさらに光学的プローブを備える、請求項95〜119のいずれ
か一項のバイオリアクター。
【請求項121】
前記バイオリアクターが、無菌条件下で細胞、組織および/またはインプラントを保管
または輸送するために用いられ得る、請求項95バイオリアクター。
【請求項122】
前記バイオリアクターが、以下、組織生検の保管、組織生検の消化、細胞分取、細胞洗
浄、細胞濃縮、細胞播種、細胞増殖、細胞分化、細胞保管、細胞輸送、組織形成、インプ
ラント形成、移植可能組織の保管、移植可能組織の輸送からなる群より選択される1つ以
上のための環境を提供する、請求項95〜121のいずれか一項のバイオリアクター。
【請求項123】
前記細胞および組織が骨、軟骨、関連の骨および軟骨の前駆体細胞、ならびにそれらの
組み合わせから選択される、請求項122のバイオリアクター。
【請求項124】
前記細胞が、幹細胞を含む、骨、骨髄または血液に由来する胚性幹細胞、成体幹細胞、
造骨細胞、前造骨細胞、軟骨細胞、髄核細胞、骨格細胞、前軟骨細胞、骨格前駆細胞、お
よびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項122のバイオリアクター。
【請求項125】
前記細胞または前記組織が、インプラントのレシピエントに対して、自家、同種、また
は異種起源のものである、請求項123または124のバイオリアクター。
【請求項126】
前記バイオリアクターが使用の前に滅菌可能であり、かつ使用後に使い捨て可能である
、請求項95のバイオリアクター。
【請求項127】
前記バイオリアクターが、滅菌包装内で提供される、請求項126のバイオリアクター

【請求項128】
組織生検の自動的な消化のための方法であって、
培地リザーバおよびフローシステムと接続されたバイオリアクター内に組織生検を充填
する工程であって、前記バイオリアクターは、マイクロプロセッサーによるアセスメント
のために前記バイオリアクター内の生理学的な条件を検出するための1つ以上のセンサー
を有する工程、
前記バイオリアクター内に組織消化酵素を提供する工程、ならびに
所望のレベルの組織消化のために十分な時間、前記バイオリアクター内の消化条件をモ
ニターおよび維持する工程
を包含する、方法。
【請求項129】
細胞の自動的な増殖のための方法であって、
培地リザーバおよびフローシステムと接続されたバイオリアクター内に支持された増殖
の基板または足場に細胞を播種する工程であって、前記バイオリアクターは、マイクロプ
ロセッサーによるアセスメントのために前記バイオリアクター内の生理学的な条件を検出
するための1つ以上のセンサーを有する工程、ならびに
所望のレベルの細胞増殖のために十分な時間、前記バイオリアクター内の適切な培養条
件をモニターおよび維持する工程
を包含する、方法。
【請求項130】
細胞の自動的な分化のための方法であって、
培地リザーバおよびフローシステムと接続されたバイオリアクター内に支持された分化
の基板または足場に細胞を播種する工程であって、前記バイオリアクターは、マイクロプ
ロセッサーによるアセスメントのために前記バイオリアクター内の生理学的な条件を検出
するための1つ以上のセンサーを有する工程、ならびに
所望のレベルの細胞分化のために十分な時間、前記バイオリアクター内の適切な培養条
件をモニターおよび維持する工程
を包含する、方法。
【請求項131】
組織構築物の生成のための方法であって、
バイオリアクター内に支持された足場に細胞を播種する工程であって、前記バイオリア
クターは培地リザーバおよびフローシステムと接続され、前記バイオリアクターは、マイ
クロプロセッサーに対して前記バイオリアクター内の生理学的な条件を検出するための1
つ以上のセンサーを有する工程、ならびに
組織構築のための構造的な支持体を提供する細胞外マトリックスを発現するために前記
細胞について十分な時間、前記バイオリアクター内の適切な培養条件をモニターおよび維
持する工程
を包含する、方法。
【請求項132】
前駆体細胞を含む初代細胞を提供するために組織生検を消化して、さらに組織インプラ
ントの形成を可能にするために細胞を増殖および分化するための自動的な方法であって、
培地リザーバおよびフローシステムと接続されたバイオリアクター内に組織生検を充填
する工程であって、前記バイオリアクターは、マイクロプロセッサーによるアセスメント
のために前記バイオリアクター内の生理学的な条件を検出するための1つ以上のセンサー
を有する工程、
組織消化酵素を提供する工程、
解離された細胞を得るために十分な時間、前記バイオリアクター内の適切な消化条件を
モニターおよび維持する工程、
−培地リザーバおよびフローシステムと接続されたバイオリアクター内に支持された増殖
の基板または足場に前記解離された細胞を播種する工程であって、前記バイオリアクター
は、マイクロプロセッサーによるアセスメントのために前記バイオリアクター内の生理学
的な条件を検出するための1つ以上のセンサーを有する工程、
所望のレベルの細胞分化および増殖を獲得するために十分な時間、前記バイオリアクタ
ー内の適切な培養条件をモニターおよび維持する工程、
増殖の基板または足場から前記増幅した細胞を遊離させる工程、
培地リザーバおよびフローシステムと接続されたバイオリアクター内に支持された分化
の基板または足場に前記増幅した細胞を播種する工程であって、前記バイオリアクターは
、マイクロプロセッサーによるアセスメントのために前記バイオリアクター内の生理学的
な条件を検出するための1つ以上のセンサーを有する工程、ならびに
組織インプラントを獲得するために十分な時間、前記バイオリアクター内の適切な培養
条件をモニターおよび維持する工程
を包含する、方法。
【請求項133】
骨格インプラントを提供するための方法であって、
培地リザーバおよびフローシステムと接続されたバイオリアクター内に支持される骨生
体適合物質の多孔性足場に骨原性細胞および/または骨芽前駆細胞を播種する工程であっ
て、前記バイオリアクターは、マイクロプロセッサーによるアセスメントのために前記バ
イオリアクター内の生理学的な条件を検出するための1つ以上のセンサーを有する工程、
ならびに
整形外科の適用のための組織インプラントを提供するために前記足場全体にわたって前
記骨原性細胞および/または骨芽前駆細胞が増殖および/または分化することを可能にす
るのに十分な時間、前記バイオリアクター内の適切な条件をモニターおよび維持する工程
を包含する、方法。
【請求項134】
軟骨インプラントを提供するための方法であって、
培地リザーバおよびフローシステムと接続されたバイオリアクター内に支持される生体
適合物質の多孔性足場に軟骨形成細胞および/または軟骨前駆細胞を播種する工程であっ
て、前記バイオリアクターは、マイクロプロセッサーによってアセスメントするために前
記バイオリアクター内の生理学的な条件を検出するための1つ以上のセンサーを有する工
程、ならびに
軟骨インプラントを提供するために前記足場全体にわたって前記軟骨形成細胞および/
または軟骨前駆細胞が増殖および/または分化することを可能にするのに十分な時間、前
記バイオリアクター内の適切な条件をモニターおよび維持する工程
を包含する、方法。
【請求項135】
椎間板の内部核を再生するためのインプラントを提供するための方法であって、
培地リザーバおよびフローシステムと接続されたバイオリアクター内に支持される生体
適合性物質の足場の多孔性足場内に髄核細胞を播種する工程であって、前記バイオリアク
ターは、マイクロプロセッサーに対して前記バイオリアクター内の生理学的な条件を検出
するための1つ以上のセンサーを有する工程、ならびに
前記髄核細胞の増殖および/または分化、ならびに前記髄核に特徴的な細胞外マトリッ
クス成分の発現を可能にするのに十分な時間、前記バイオリアクター内の適切な条件をモ
ニターおよび維持する工程
を包含する、方法。
【請求項136】
臨床的な組織工学における使用のための品質アセスメントサンプルの調製のための方法
であって、
請求項1または26のシステムを用いる一次および二次インプラントの平行な調製であ
って、前記一次インプラントは、移植のためであり、1つ以上の二次インプラントは、前
記一次インプラントの能力を推測する試験目的である調製
を包含する、方法。
【請求項137】
細胞を洗浄するための方法であって、
1つ以上の所望されない化学物質を含む細胞懸濁物をチャンバに充填する工程、
洗浄された細胞懸濁物を提供するために、前記細胞には不浸透性であるが前記所望され
ない化学物質には浸透性である膜を備える直交流濾過モジュールを通じて前記チャンバか
ら前記細胞懸濁物を連続的に再循環させる工程、および
前記洗浄された細胞懸濁物を収集する工程
を包含する、方法。
【請求項138】
細胞の濃縮のための方法であって、
過剰な細胞懸濁物容積を含む細胞懸濁物をチャンバに充填する工程、および
前記細胞に対して不浸透性であるが、前記過剰な細胞懸濁物容積が除去されかつ収集さ
れることを可能にする膜を備える直交流濾過モジュールを通じて前記チャンバから前記細
胞懸濁物を連続的に再循環させる工程
を包含する、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−110331(P2012−110331A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−290372(P2011−290372)
【出願日】平成23年12月29日(2011.12.29)
【分割の表示】特願2003−584236(P2003−584236)の分割
【原出願日】平成15年4月8日(2003.4.8)
【出願人】(509116897)オクテイン バイオテック インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】