説明

自動移送装置

【課題】エリンギ等のきのこ類や野菜等の個々でサイズや形状のことなる被移送物の正確な位置管理が可能で、これらの被計測物を自動で移送することができる自動移送装置の提供。
【解決手段】移送元及び移送先に設置された仮置き台と、一又は複数のハンド79a,79bを有する把持ハンドユニットと、把持ハンドユニットを移送元と移送先との間で移動させる移動機構と、把持ハンドユニット及び移動機構を制御する制御手段とを備えてなる自動移送装置であって、仮置き台は、被移送物Aの中央部を載架させる互いに間隔を置いて平行配置された一対の載架部114,114を有する仮置き用トレイ113を備え、制御手段は、ハンド79a,79bに両載架部114,114間に位置する移送物Aの中央部を把持させ、移送先において両載架部114,114間に移送物Aの中央部を載架させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個々でサイズや形状の異なるエリンギ等のきのこ類や野菜等の被移送物の移送作業を自動で行うことができる自動移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エリンギ等のきのこ類や野菜等の農作物を工場で人工栽培することによる大量出荷が行われ、工場における生産性向上のため農作物の栽培、収穫及び出荷等に伴う作業の自動化が求められている。
【0003】
一方、野菜やきのこ類等の出荷に際しては、組み合わせ秤等の組み合わせ計測装置を使用し、多数の被計測物の中から規定個数で規定重量の許容範囲に合致する被計測物の組み合わせを選択し、その選択された複数の被計測物を発泡トレイ等の出荷用部材にパック詰めして出荷することが行われている。
【0004】
このような組み合わせ作業に使用される組み合わせ計測装置には、被計測物を載置する複数の計測部毎に計測が可能な計測手段を備え、この計測手段から得られる計測データに基づき多数の被計測物の中から規定個数で規定重量の許容範囲に合致する最適な被計測物の組み合わせを選択し、その選択された被計測物をランプ等で表示して作業者に知らせるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−170361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の如き従来の技術では、選択された被計測物を計測部より取出す作業や、新たな被計測物を空の計測部に補充する作業等の被計測物の正確な位置管理を必要とする作業において、個々でサイズや形状の異なる各被計測物の位置を正確に管理することが難しいため作業者が手動で被計測物の移送作業を行わなければならず、そのことが自動化の妨げとなっているという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、エリンギ等のきのこ類や野菜等の個々でサイズや形状の異なる被移送物の正確な位置管理が可能で、これらの被移送物を自動で移送することができる自動移送装置の提供を目的としてならされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1に記載の発明の特徴は、移送元及び移送先に設置された仮置き台と、一又は複数のハンドを有する把持ハンドユニットと、該把持ハンドユニットを前記両仮置き台間で移動させる移動機構と、前記把持ハンドユニット及び移動機構を制御する制御手段とを備えてなる自動移送装置であって、前記仮置き台は、前記被移送物の中央部を載架させる互いに間隔を置いて平行配置された一対の載架部を有する仮置き用トレイを備え、前記制御手段は、前記ハンドに前記移送元の仮置き台において前記両載架部間に位置する前記移送物の中央部を把持させるようにするとともに、前記移送先において前記両載架部間に前記移送物の中央部を載架させるようにしたことにある。
【0009】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記載架部は、上縁部に載架用凹部が形成されてなることにある。
【0010】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記移動機構は、移送用レールに沿って移動可能な一又は複数の支持部材と、該各支持部材をそれぞれ独立して移動させる動作ユニットとを備え、前記各支持部材に前記把持ハンドユニットがそれぞれ支持されてなることにある。
【0011】
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項3の構成に加え、前記各ハンドは、前記把持ハンドユニットに回転可能に支持されたことにある。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る自動搬送装置は、上述したように、移送元及び移送先に設置された仮置き台と、一又は複数のハンドを有する把持ハンドユニットと、該把持ハンドユニットを前記両仮置き台間で移動させる移動機構と、前記把持ハンドユニット及び移動機構を制御する制御手段とを備えてなる自動移送装置であって、前記仮置き台は、前記被移送物の中央部を載架させる互いに間隔を置いて平行配置された一対の載架部を有する仮置き用トレイを備え、前記制御手段は、前記ハンドに前記移送元の仮置き台において前記両載架部間に位置する前記移送物の中央部を把持させるようにするとともに、前記移送先において前記両載架部間に前記移送物の中央部を載架させるようにしたことにより、複数の工程に跨って被移送物を移送する場合において、異なる形状の被移送物を常に同じ位置を把持して制御することができるので、自動化が可能となる。
【0013】
更に本発明において、前記載架部は、上縁部に載架用凹部が形成されてなることにより、被移送物を載架部間に安定した状態で載架させることができ、より正確な位置管理を行うことができる。
【0014】
更にまた、本発明において、前記移動機構は、移送用レールに沿って移動可能な一又は複数の支持部材と、該各支持部材をそれぞれ独立して移動させる動作ユニットとを備え、前記各支持部材に前記把持ハンドユニットがそれぞれ支持されてなることにより、簡易な構造で把持ハンドユニットを移動させることができる。
【0015】
また、本発明において、前記各ハンドは、前記把持ハンドユニットに回転可能に支持されたことにより、常に被移送物の中央部を把持して位置管理を行うのでハンドを回転させても仮置き用トレイ間で同じ位置に載架させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る自動移送装置を使用した組み合わせ計測装置の一例の概略を示す正面図である。
【図2】同上の平面図である。
【図3】同上の装置の下半部を示す平面図である。
【図4】図1中の自動搬送装置の一例を示す平面図である。
【図5】図1中の組み合せ秤の一例を示す平面図である。
【図6】(a)は図1中の仮置き用トレイの一例を示す平面図、(b)は同縦断面図、(c)は同A−A線断面図である。
【図7】図1中の並べ替え機構の一例を示す正面図である。
【図8】(a)は同上の並べ替え用トレイを原位置に移動させた状態を示す平面図、(b)は同押出しユニットを動作させた状態を示す平面図である。
【図9】同4中の把持ハンドユニット部の一例を示す平面図である。
【図10】同上の部分破断側面図である。
【図11】同上の背面図である。
【図12】(a)〜(c)は仮置き用トレイに対するハンドによる把持位置を示す平面図である。
【図13】図2中の本発明に係る自動移送装置の他の一例を示す平面図である。
【図14】(a)は同上の部分破断背面図、(b)は同ハンドの向きを変えた状態の部分破断背面図である。
【図15】同上の乗せ換え用ハンドユニットのハンド回転動作を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明に係る自動移送装置の第1の実施態様を図1〜図12に示した実施例に基づいて説明する。尚、図中符号1は自動移送装置を使用した組み合わせ計測装置、符号Bは被移送物(被計測物)であるエリンギ等のきのこ類である。
【0018】
この自動組み合わせ計測装置1は、被計測物A,A...が載置される複数の計測部5,5...毎に計測が可能な組み合わせ秤2を備え、この組み合わせ秤2を使用して多数の被計測物A,A...の中から規定個数で規定重量の許容範囲に合致する最適な被計測物の組み合わせを適宜選択し、その選択された被計測物A,A...を選択された計測部5より下流側の仮置き台15に搬出するとともに、上流の仮置き台49から空となった計測部5,5...へ新たな被計測物A,A...を補充するようになっており、仮置き台49から組み合わせ秤2への移送、組み合わせ秤2から仮置き台15への移送を自動移送装置201,202(第1の実施態様)により自動で行うようになっている。
【0019】
この自動移送装置201,202は、図4に示すように、それぞれ移送元及び移送先にそれぞれ設置された仮置き台49,2,15と、複数のハンドを有する把持ハンドユニット62a,62b,62cと、把持ハンドユニット62a,62b,62cを移送元と移送先との間で移動させる移動機構42とを備え、把持ハンドユニット62a,62b,62c及び移動機構42が図示しないコントロールユニットからなる制御手段により自動制御されている。尚、自動移送装置201,202は、組み合せ秤2を介して互いに対称配置になっている。
【0020】
また、組み合わせ秤2は、仮置き台49から組み合わせ秤2への移送においては移送先の仮置き台として、組み合わせ秤2から仮置き台15への移送においては移送先の仮置き台として機能するようになっている。
【0021】
各仮置き台49,2,15には、複数の仮置き用トレイ113,113...が備えられ、各仮置き台49,2,15上の仮置き用トレイ113,113...を同じ方向に向け、且つ同一線上に配置したことにより把持ハンドユニット62a,62b,62cをスライド移動させることで対応する位置の仮置き用トレイ113,113間で被移送物Aを移送できるようになっている。
【0022】
また、組み合わせ秤2では、図5に示すように、複数の計測部5,5...が作業ライン方向で直線状に並べられて計測部列a,bを形成するとともに、この計測部列a,bが互いに平行な多列配置(本実施例では2列)となっており、各計測部5,5...上にそれぞれ仮置き用トレイ113,113...が同じ方向に向けて設置されている。
【0023】
仮置き用トレイ113は、図6に示すように、上面が開口した有底箱状に形成され、中央部に被移送物Aの中央部を載架させる一対の載架部114,114が互いに間隔を置いて平行に設けられている。
【0024】
また、仮置き用トレイ113の両側板には、後述する保持ハンドの把持部が干渉しないようにするための逃げ用凹部115が形成されている。
【0025】
載架部114,114は、底部より立ち上げた板状に形成され、その上縁部に載架用凹部114aが形成されている。
【0026】
載架用凹部114aは、上向きに開口した半円状に形成され、半円内縁部の一番低い位置がトレイの中央部に配置されることにより、仮置き用トレイ113上に被移送物Aが載置された際に、両載架部114,114間に載架された被移送物中央部が載架用凹部114a内縁に誘導されて最も安定した向きで載架される。
【0027】
このように仮置き用トレイ113上の載架部114,114間に被移送物Aの中央部を載架させ、把持ハンドユニット62a,62b,62cのハンド79a,79bに載架部114,114間に位置する被移送物Aの中央部を把持させることにより個々にサイズの異なる被移送物であっても常に被移送物Aの中央部を基準に位置制御を正確に行うことができる。
【0028】
また、上流側の仮置き台49は、組み合わせ秤2上の仮置き用トレイ113,113...と同じ方向に向けた仮置き用トレイ113a,113b,113cを移動させる並べ替え機構41を備え、仮置き用トレイ113a,113b,113cを組み合わせ秤2の空となった仮置き用トレイ113と対応する位置に並べ替えたうえで被移送物Aの移送を行うようになっている。
【0029】
並べ替え機構41は、図7、図8に示すように、軌道部材45に沿って移動可能なスライダ46を有する複数の並べ替え用スライドユニット47a,47b,47cを備え、各並べ替え用スライドユニット47a,47b,47cのスライダ46にそれぞれ支持部48a,48b,48cを介して並べ替え用トレイ113a,113b,113cを支持させている。
【0030】
各並べ替え用スライドユニット47a,47b,47cは、軌道部材45の長さ方向を計測部列間方向に向け、且つ互いに平行配置に仮置き台49上に備えられている。
【0031】
この並べ替え用スライドユニット47a,47b,47cは、軌道部材45内にその長さ方向に向けた図示しないボールねじを備え、このボールねじをサーボモータにより回転させることにより、ボールねじを構成するナット部と一体化させたスライダ46が軌道部材45に沿った方向に移動するようになっている。
【0032】
計測手段側の支持部48aは、I型鋼等からなりその上端部に並べ替え用トレイ113aの底面が固定されており、計測手段側の並べ替え用スライドユニット47aに支持された並べ替え用トレイ113aは計測部列間方向でのみ移動できるようになっている。
【0033】
一方、他の支持部48b,48cは、並べ替え用トレイ40b,40cを計測部列方向で移動させる押出しユニット50b,50cを備えており、図8(b)に示すように、組み合わせ秤2側のスライドユニット47a,47bに支持された並べ替え用トレイ40a,40bの原点位置と計測部列a,b間方向で並ぶ位置まで移動させることができるようになっている。
【0034】
この押出しユニット50b,50cには、例えば、シリンダ本体部51に対し出入自在なシャフト52を有するエアシリンダ等を使用し、このエアシリンダ本体部51をスライダ46に計測部列方向に向けて固定するとともに、シャフト52に固定したフレーム53に並べ替え用トレイ113b,113cを支持させ、並べ替え用トレイ113b,113cが計測部列方向で移動できるようにしている。
【0035】
また、このエアシリンダ50b,50cの取り付けは、シリンダ本体部51を高さの異なる固定用部材54b,54cを介してスライダ46に固定し、計測手段に近い方50bの位置を他方50cより低くしておくことにより、両エアシリンダ50b,50cが計測部列間方向の同じ位置で同時に動作した場合であっても互いに干渉しないようになっている。
【0036】
このように構成された並べ替え用手段41は、各並べ替え用トレイ113a,113b,113cを並べ替えることにより、被計測物Aが取出されて空となった計測部5(以下、空計測部という)の仮置き用トレイ113と対応する位置、即ち空計測部5のある計測部列a,b何れかのライン下流側延長線上にある位置に各並べ替え用トレイ113a,113b,113cを移動させることにより自動移送装置201による移送を容易にし、スライド機構からなる自動移送装置201を用いて容易且つ正確に各仮置き用トレイ113,113間で移送することができるようにしている。
【0037】
一方、下流側の仮置き台15には、組み合わせ秤2上の仮置き用トレイ113,113と同じ方向に向けた複数の仮置き用トレイ113,113...が計測部列a,bの延長方向に並べて配置されている。
【0038】
移動機構42は、図9〜図11に示すように、計測部列方向に向けた移送用レール60と、移送用レール60に沿って移動可能な複数の支持部材61,61...と、各支持部材61をそれぞれ独立して移動させる動作ユニット63a,63b,63cとを備え、各支持部材61,61...に把持ハンドユニット62a,62b,62cが上下動可能に支持されている。
【0039】
移送用レール60は、計測室3内の組み合わせ秤2の上側に計測室3の天井部に支持された計測部列方向に向けた梁材64の側面部に沿って設置され、この移送用レール60に移動自在に支持された複数のスライド部材65,65...に各支持部材61,61...の背面部が固定されている。
【0040】
支持部材61は、上下に長い矩形板状の基部61aと、基部61aの両側縁より表側に立ち上げた形状の側板61b、61bとを備え、この基部61aの下部表面側に上下方向に向けた上下動用レール66が固定部材61cを介して固定されている。
【0041】
支持部材61の下部表面側には、上下方向に向けた上下動用レール66が固定され、この上下動用レール66に把持ハンドユニット62a,62b,62cを構成するアーム部67の一端が上下移動可能に支持されている。
【0042】
この上下動用レール66には、レールに沿って移動可能なスライド部材67を介して把持ハンドユニット62a,62b,62cを構成するアーム部68の一端が上下移動可能に支持されている。
【0043】
また、そのアーム部68の端部上面部には、基部61aに固定板61dを介して固定されたシリンダ69のシャフト部69aが連結されており、このシリンダ69を動作させることにより把持ハンドユニット62a,62b,62cが支持部材61に対して上下動用レール66に支持されて上下移動するようになっている。尚、図中符号70はフローティングジョイントである。
【0044】
このシリンダ69には、例えば、シリンダ本体69の一端側より出入り可能なシャフト69aを有し、このシャフト69aがサーボモータ69bの動作に連動して動作するようになっている。
【0045】
一方、各支持部材61の上端部には、連結部材71a,71b,71cの一端側が固定され、この連結部材71a,71b,71cを介して動作ユニット63a,63b,63cによる動力が伝達されるようになっている。
【0046】
動作ユニット63a,63b,63cは、計測部列方向に向けた軌道部材72に沿って移動するスライダ73を有するスライドユニットをもって構成され、各動作ユニット63a,63b,63cのスライダ73と各支持部材61とがそれぞれ連結部材71a,71b,71cにより連結され、スライダ73の移動に連動して各支持部材61が移動するようになっている。
【0047】
動作ユニット63a,63b,63cは、軌道部材72内にその長さ方向に向けたボールねじを備え、このボールねじをサーボモータ74により回転させることにより、ボールねじを構成するナット部と一体化させた軌道部材上面部に露出したスライダ73が軌道部材72に沿った方向の任意の位置に移動するようになっている。
【0048】
各動作ユニット63a,63b,63cは、梁部材75,75を介して計測室3の天井部に支持させて互いに隣接した配置に設置されている。また、各動作ユニット63a,63b,63cは、その長さ方向、即ち計測部列方向で少しずつ位置をずらして設置され、移送用レール60に沿って並べられた各支持部材61で同じスライド量を確保している。
【0049】
連結部材71a,71b,71cは、支持部材61の上端部に固定される支持部材側部材76と、スライドユニットのスライダ上面部に固定されるスライダ側部材77とをもって構成され、両部材76,77は、スライド方向に向けたフローティングジョイント78を介して揺動可能に連結されている。
【0050】
また、連結部材71b,71cは、内側のスライドユニットを跨ぐように形成され、互いに干渉せずに各動作ユニット63b,63cの動作を各支持部材61に伝達できるようにしている。
【0051】
把持ハンドユニット62a,62b,62cは、計測部列間方向に向けた梁状のアーム部68と、アーム部68の下面部に計測部列間方向に間隔を置いて固定された複数のハンド79a,79bとを備え、各ハンド79a,79bに仮置き用トレイ113上の被移送物Aを把持させるようになっている。
【0052】
ハンド79a,79bには、例えば、圧縮空気により爪部80,80が計測部列間方向で開閉するエアチャックを使用し、爪部80,80の開閉により爪部80に固定された把持部81,81が被計測物Aを把持し、或いは開放するようになっている。
【0053】
このように構成された自動移送装置201、202では、ハンド79a,79b、上下動用シリンダ69及び動作ユニット63a,63b,63cをそれぞれ組み合わせ秤2より出力された選択された計測部5を示す選択信号に基づき制御手段により制御し、制御手段からの命令信号に基づき動作させる。
【0054】
自動移送装置201では、図12に示すように、移送元の仮置き台49の仮置き用トレイ113a,113b,113cにおいて被移送物Aの中央部を両載架部114,114間に載架させておき、制御手段は、把持ハンドユニット62a,62b,62cを移送元の仮置き台49上の並べ替え済みの各仮置き用トレイ113a,113b,113c上に移動させ、その位置で動作させ、ハンド79a,79bの両把持部81,81にその両載架部114,114間に位置する移送物Aの中央部を把持させる。
【0055】
そして、制御手段は、その状態で把持ハンドユニット62a,62b,62cを選択信号に基づき移送先仮置き台2の対応する各仮置き用トレイ113,113...、即ち空の仮置き用トレイ113,113...上に移動させ、その位置で各把持ハンドユニット62a,62b,62cを下降させるとともにハンド79a,79bを動作させ把持部81,81を被移送物Aより開放し、各仮置き用トレイ113の両載架部114,114間に移送物Aの中央部を載架させる。
【0056】
それにより、移送元の仮置きトレイ113と移送先の仮置き用トレイ113とで載架部114,114間に被移送物Aの中央部が同じ状態で載架される。
【0057】
また、自動移送装置202では、把持ハンドユニット62a,62b,62cを選択信号に基づき移送先仮置き台2の対応する各仮置き用トレイ113,113...上に移動させ、その位置で各把持ハンドユニット62a,62b,62cを下降させるとともにハンド79a,79bを動作させ、ハンド79a,79bの両把持部81,81にその両載架部114,114間に位置する移送物Aの中央部を把持させる。
【0058】
そして、制御手段は、その状態で把持ハンドユニット62a,62b,62cを移送先仮置き台15の対応する各仮置き用トレイ113,113...上に移動させ、その位置で各把持ハンドユニット62a,62b,62cを下降させるとともにハンド79a,79bを動作させ把持部81,81を被移送物Aより開放し、各仮置き用トレイ113の両載架部114,114間に移送物Aの中央部を載架させる。
【0059】
それにより、移送元の仮置き用トレイ113と移送先の仮置き用トレイ113とで載架部114,114間に被移送物Aの中央部が同じ状態で載架される。
【0060】
即ち、被移送物Aは、仮置き台49〜仮置き台2〜仮置き台15の移送に際し、仮置き用トレイ113上で常に同じ状態で載架されるので、各工程に跨って移送する場合においても個々にサイズの異なる被計測物Aの位置制御を正確に行うことができるようになっている。
【0061】
次に、本発明に係る第2の実施の態様を図13〜図15について説明する。尚、上述の実施例と同一の部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0062】
上記組み合わせ計測装置1では、計測室3外より供給用コンベア43により新たな被計測物を順次供給し、このコンベア43から仮置き台49への移送を自動移送装置(第2の実施態様)211により自動で行うようになっている。
【0063】
この自動移送装置211は、移送元及び移送先にそれぞれ設置された仮置き台212,49と、一又は複数のハンドを有する把持ハンドユニット87と、把持ハンドユニット87を移送元と移送先との間で移動させる移動機構とを備え、把持ハンドユニット87及び移動機構が図示しないコントロールユニットからなる制御手段により自動制御されている。
【0064】
被移送物Aは、仮置き用トレイ113に載せた状態でコンベアベルト43上に載せられ供給されるようになっている。また、この供給用コンベア43は、仮置き台49と隣接する位置に停止機構を備え、この停止機構部分が移送元の仮置き台212として機能するようになっている。
【0065】
停止機構は、コンベア側部にコンベアの進行方向と直行する方向に向けた複数のシリンダ83,83...を備え、シリンダ83,83...を動作させシャフト部の先端に固定されたストッパー84をコンベア側に突出させることにより、仮置き用トレイ113の流れ方向両端部を抑え、各仮置き用トレイ113を停止させることができるようになっている。
【0066】
一方、移送先の仮置き台49は、上述したように並べ替え機構41を備え、コンベア43から仮置き台49への移送時には各仮置き用トレイ113a,113b,113cが図8(a)に示すように計測部列間方向に互いに位置をずらした状態に並んだ位置(原点位置)に並べ変えられるようになっている。
【0067】
移動機構は、計測部列間方向に向けた移送用レール85と、移送用レール85に支持された支持部材86と、支持部材86を移動させる動作ユニット88とを備え、支持部材86に把持ハンドユニット87が上下動可能に支持されている。
【0068】
移送用レール85は、計測室3の天井部に支持された計測部列間方向に向けた梁材89の側面部に沿って設置され、この移送用レール85に移動自在に支持されたスライド部材90に支持部材86の背面部が固定されている。
【0069】
支持部材86の下部表面側には、上下方向に向けた上下動用レール91が固定部材86cを介して固定され、上下動用レール91に沿って移動可能なガイド部材90を介して把持ハンドユニット87を構成するアーム部93の一端が上下移動可能に支持されている。
【0070】
また、そのアーム部93の端部上面部には、基部86aに固定板86dを介して固定されたシリンダ94のシャフト部94aが連結されており、このシリンダ94を動作させることにより把持ハンドユニット87が支持部材86に対して上下動用レール91に支持されて上下移動するようになっている。尚、図中符号95はフローティングジョイントである。
【0071】
このシリンダ94は、シリンダ本体94の一端側より出入り可能なシャフト94aを有し、このシャフト94aがサーボモータ96の動作に連動して出入方向で動作するようになっている。
【0072】
一方、各支持部材86の上端部には、連結部材97の一端側が固定され、この連結部材97を介して動作ユニット88による動力が伝達されるようになっている。
【0073】
動作ユニット88は、計測部列方向に向けた軌道部材98と、軌道部材98に沿って移動するスライダ99とを備え、動作ユニット88のスライダ99と支持部材86とがそれぞれ連結部材97により連結され、スライダ99の移動に連動して支持部材86に支持された把持ハンドユニット87が移動するようになっている。
【0074】
動作ユニット88は、軌道部材98内にその長さ方向に向けたボールねじを備え、このボールねじをサーボモータにより回転させることにより、ボールねじを構成するナット部と一体化させた軌道部材上面部に露出したスライダ99が軌道部材98に沿った方向の任意の位置に移動するようになっている。
【0075】
連結部材97は、支持部材86の上端部に固定される支持部材側部材100と、動作ユニット88のスライダ上面部に固定されるスライダ側部材101とをもって構成され、両部材100,101は、スライド方向に向けたフローティングジョイント102を介して揺動可能に連結されている。
【0076】
把持ハンドユニット87は、計測部列間方向に向けた梁状のアーム部93と、アーム部93の下面部に計測部列間方向に間隔を置いて固定された複数のハンド103,103...とを備え、各ハンド103,103...に仮置き用トレイ113上の被計測物Aを把持させるようになっている。
【0077】
ハンド103には、例えば、圧縮空気により爪部104,104が開閉するエアチャックを使用し、爪部104,104の開閉により爪部104に固定された把持部105,105が被計測物Aを把持し、或いは開放するようになっている。
【0078】
また、各ハンド103,103...は、アーム部93に上下方向に向けた回転軸106を介して固定されており、各回転軸106,106は、クランク機構107により互いに連結され、図15に示すように、中央のハンド103aの回転に連動して他のハンド103b,103bも90度回転するようになっている。
【0079】
また、両側のハンド103b、103bは、フレーム109を介して回転軸106よりずらして配置され、図14(b)、図15(b)に示すように、把持部105,105の開閉方向を計測部列方向に向けた際に、各ハンド106,106...が計測部列間方向で互いにずれる配置となるようにし、互いの把持部105,105が干渉しないようにしている。
【0080】
また、アーム部93の上部には、中央のハンド103aの回転軸と直結させたロータリーアクチュエータ等からなる回転ユニット108が備えられている。
【0081】
このように構成された自動移送装置211では、図12に示すように、移送元の仮置き台212の仮置き用トレイ113において被移送物Aの中央部を両載架部114,114間に載架させておき、制御手段は、把持ハンドユニット87を移送元の仮置き台212上の各仮置き用トレイ113,113...の上に移動させるとともに動作させ、ハンド103の両把持部105,105にその両載架部114,114間に位置する移送物Aの中央部を把持させる。
【0082】
そして、制御手段は、その状態で把持ハンドユニット87を移送先の仮置き台49上に移動させるとともに各ハンド103,103...を回転動作させ、移送先仮置き台49上の各仮置き用トレイ113a,113b,113cにハンド103,103...の向きを合わせるとともに位置を合せ、その位置において把持ハンドユニット87を下降させるとともにハンド103を動作させ把持部105,105を被移送物Aより開放し、各仮置き用トレイ113a,113b,113cの両載架部114,114間に移送物Aの中央部を載架させる。
【0083】
それにより被移送物Aの向きを90度回転させた場合であっても、被移送物Aの中央部を基準に位置管理が行われるため、移送元の仮置き用トレイ113に対する被移送物Aの位置と同じ位置に移送先の仮置き台49上の仮置き用トレイ113に載架させることができるようになっている。
【0084】
尚、上述の実施例では、本発明に係る自動移送装置を組み合わせ計測装置に使用した例について説明したが、自動移送装置の使用例は上記実施例に限定されるものではない。また、上述の実施例では、主に移動機構としてスライド機構を利用した例について、説明したが、移動機構には、例えばスカラロボット等の多関節ロボットのように互いに直交する3軸方向(xyz軸方向)の任意の位置に把持ハンドユニットを移動させることができるものであってもよい。
【符号の説明】
【0085】
A 被計測物
B 出荷用部材
1 組み合わせ計測装置
2 組み合わせ秤
3 計測室
4 詰め替え室
5 計測部
15 仮置き台
41 並べ替え機構
42 移動機構
43 供給用コンベア
45 軌道部材
46 スライダ
47 並べ替え用スライドユニット
48 支持部
49 設置台
50 押出しユニット
51 スライダ本体部
52 シャフト
53 フレーム
54 固定用部材
60 移送用レール
61 支持部材
62 把持ハンドユニット
63 動作ユニット
64 梁材
65 スライド部材
66 上下動用レール
67 スライド部材
68 アーム部
69 シリンダ
70 フローティングジョイント
71 連結部材
72 軌道部材
73 スライダ
74 サーボモータ
75 梁部材
76 支持部材側部材
77 スライダ側部材
78 フローティングジョイント
79 ハンド
80 爪部
81 把持部
83 ストッパー用シリンダ
84 ストッパー
85 移送用レール
86 支持部材
87 把持ハンドユニット
88 動作ユニット
89 梁材
90 スライド部材
91 上下動用レール
92 スライド部材
93 アーム部
94 シリンダ
95 フローティングジョイント
96 サーボモータ
97 連結部材
98 軌道部材
99 スライダ
100 支持部材側部材
101 スライダ側部材
102 フローティングジョイント
103 ハンド
104 爪部
105 把持部
106 回転軸
107 クランク機構
108 回転ユニット
109 フレーム
113 仮置き用トレイ
114 載架部
115 逃げ用凹部
201,202 自動移送装置
211 自動移送装置
212 仮置き台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移送元及び移送先に設置された仮置き台と、一又は複数のハンドを有する把持ハンドユニットと、該把持ハンドユニットを前記両仮置き台間で移動させる移動機構と、前記把持ハンドユニット及び移動機構を制御する制御手段とを備えてなる自動移送装置であって、
前記仮置き台は、前記被移送物の中央部を載架させる互いに間隔を置いて平行配置された一対の載架部を有する仮置き用トレイを備え、
前記制御手段は、前記ハンドに前記移送元の仮置き台において前記両載架部間に位置する前記移送物の中央部を把持させるようにするとともに、前記移送先において前記両載架部間に前記移送物の中央部を載架させるようにしたことを特徴としてなる自動移送装置。
【請求項2】
前記載架部は、上縁部に載架用凹部が形成されてなる請求項1又は2に記載の自動移送装置。
【請求項3】
前記移動機構は、移送用レールに沿って移動可能な一又は複数の支持部材と、該各支持部材をそれぞれ独立して移動させる動作ユニットとを備え、前記各支持部材に前記把持ハンドユニットがそれぞれ支持されてなる請求項1又は2に記載の自動移送装置。
【請求項4】
前記各ハンドは、前記把持ハンドユニットに回転可能に支持された請求項3に記載の自動移送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−3103(P2013−3103A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137520(P2011−137520)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(390034142)ホクト株式会社 (14)