説明

自動給水装置

【課題】正確な定量吐水を実現可能な自動給水装置を提供する。
【解決手段】自動給水装置10は、便器に対して洗浄水を流すための放水経路12上にフラッシュバルブ1が設けられ、フラッシュバルブ1の圧力室13内の圧力を変化させることによりフラッシュバルブ1内の弁体14を開弁位置及び閉弁位置に移動させて放水経路12を開閉する機能を有する。フラッシュバルブ1は、弁体14を備えたピストンバルブ5と、ピストンバルブ5を内蔵して圧力室13を形成するバルブケーシング15と、からなり、弁体14が閉弁位置にあるときもピストンバルブ5周面に当接する柱形状をした複数の延長部16が放水経路12の下流側へ垂下した状態で形成されている。弁体14が開弁位置にあるとき、上流側放水経路12aより流れてくる洗浄水を下流側放水経路12bへ流すため、周方向に隣り合う延長部16間に切り欠き部16aが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗便器に対して洗浄水を供給する自動給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水洗便器の自動給水装置については、従来、様々な構造、機能を有するものが提案されているが、本発明に関連するものとして、例えば、特許文献1記載のフラッシュバルブ装置あるいは特許文献2記載の自動給水装置などがある。
【0003】
また、給水装置の中には、従来、センサにて人体を感知し、着座時間を計測して、人体がセンサから離れると、予め規定された水量に基づいて大洗浄用若しくは小洗浄用の洗浄水を吐水させる自動給水装置や、エコの観点から、発電機を組み込んだ自己発電式の自動給水装置が知られている。このような自己発電式の自動給水装置の場合、大洗浄時及び小洗浄時の水量が瞬間流量によって変動しない定量吐水を目的として、特許文献2に記載されている自動給水装置のように、自己発電用の発電機の回転数によって信号を送り、この信号に基づいて定量吐水をさせる技術が知られている。即ち、洗浄水で作動する発電機の回転数を読み取って電磁弁の閉じるタイミングを決定することにより定量吐水を図る技術が特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−321544号公報
【特許文献2】実開昭63−176168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載のフラッシュバルブ装置は、洗浄水がフラッシュバルブを介して当該フラッシュバルブの下流側へ流れる構造を備え、このフラッシュバルブは上下移動することによって流路を開閉する機構となっているため、フラッシュバルブが上下移動する際にその中心軸がズレないように、円筒形状の筒状部の外周から放射状に突出した複数の板状部(以下、「案内羽根」という。)が設けられている。
【0006】
ところが、洗浄水が流れる際にこれらの案内羽根に洗浄水が当たってフラッシュバルブが回転する現象が洗浄動作の度に生じている。このようなフラッシュバルブの回転が生じると、フラッシュバルブの案内羽根の位置の違いによって流路抵抗が変化するので、特許文献2記載の自動給水装置のように、洗浄水で作動する自己発電機の回転数を読み取って電磁弁を閉じるタイミングを決定する自動給水装置においては、正確な定量吐水が実現できなくなることがある。即ち、フラッシュバルブの案内羽根の位置による水流や流路抵抗の変動により、同じ瞬間流量でも自己発電機の回転数がバラつくので、電磁弁を閉じるタイミングもバラついて、吐水量が変動するのを回避することができない。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、正確な定量吐水を実現可能な自動給水装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の自動給水装置は、便器に対して洗浄水を放水するための放水経路上にフラッシュバルブを設け、フラッシュバルブの圧力室内の圧力を変化させることにより、フラッシュバルブ内の弁体を開弁位置及び閉弁位置に移動させて放水経路を開閉する自動給水装置において、
使用者の動作を検知する検知手段と、前記検知手段による電気的信号に基づいて前記圧力室内の圧力を変化させる電磁弁と、前記フラッシュバルブの下流側に配置された羽根車の回転で発電する発電機と、前記発電機の羽根車の回転数をカウントする制御回路と、を備え、
前記制御回路は、前記電磁弁を開弁した後の前記羽根車の回転数に基づいて前記電磁弁を閉弁するタイミングを決定する閉弁制御を行い、
前記フラッシュバルブは、前記弁体を備えたピストンバルブと、前記ピストンバルブを内蔵して圧力室を形成するバルブケーシングと、からなり、
前記弁体が閉弁位置にあるときも前記ピストンバルブの周面に当接する延長部が前記バルブケーシングに形成され、
前記弁体が開弁位置にあるときに、前記放水経路の上流側より流れてくる洗浄水を前記放水経路の下流側へ流すための切り欠き部が前記延長部に設けられ、
前記弁体より下流側に位置する前記ピストンバルブの弁体下側部は、その周方向の流路抵抗が均一であることを特徴とする。
ここで、使用者の動作とは、使用者による手動スイッチ操作、センサへの手かざしに加え、当該自動給水装置に対する使用者の位置の移動を含むものとする。
【0009】
このような構成とすれば、ピストンバルブの弁体下側部の周方向の流路抵抗が均一となることにより、洗浄水の瞬間流量に対する発電機の羽根車の回転数が、フラッシュバルブの流路抵抗によってバラつくことがなくなるため、羽根車の回転数に基づいて決定される電磁弁の閉弁タイミングが一定となり、正確な定量吐水を実現することができる。
【0010】
また、本発明の自動給水装置は、便器に対して洗浄水を放水するための放水経路上にフラッシュバルブを設け、フラッシュバルブの圧力室内の圧力を変化させることにより、フラッシュバルブ内の弁体を開弁位置及び閉弁位置に移動させて放水経路を開閉する自動給水装置において、
使用者の動作を検知する検知手段と、前記検知手段による電気的信号に基づいて前記圧力室内の圧力を変化させる電磁弁と、前記フラッシュバルブの下流側に配置された羽根車の回転で発電する発電機と、前記発電機の羽根車の回転数をカウントする制御回路と、を備え、
前記制御回路は、前記電磁弁を開弁した後の前記羽根車の回転数に基づいて前記電磁弁を閉弁するタイミングを決定する閉弁制御を行い、
前記フラッシュバルブは、前記弁体を備えたピストンバルブと、前記ピストンバルブを内蔵して圧力室を形成するバルブケーシングと、からなり、
前記弁体が閉弁位置にあるときも前記ピストンバルブの周面に当接する延長部が前記バルブケーシングに形成され、
前記弁体が開弁位置にあるときに、前記放水経路の上流側より流れてくる洗浄水を前記放水経路の下流側へ流すための切り欠き部が前記延長部に設けられ、
前記弁体は、前記ピストンバルブの最下端部に配置されていることを特徴とする。
【0011】
このような構成とすれば、ピストンバルブの最下端部に弁体が配置されたことにより、フラッシュバルブ開弁時のピストンバルブによる流路抵抗をなくすことができるので、フラッシュバルブの流路抵抗の違いにより、洗浄水の瞬間流量に対する発電機の羽根車の回転数がバラつくこともなくなり、正確な定量吐水を実現することができる。
【0012】
また、本発明の自動給水装置は、便器に対して洗浄水を放水するための放水経路上にフラッシュバルブを設け、フラッシュバルブの圧力室内の圧力を変化させることにより、フラッシュバルブ内の弁体を開弁位置及び閉弁位置に移動させて放水経路を開閉する自動給水装置において、
使用者の動作を検知する検知手段と、前記検知手段による電気的信号に基づいて前記圧力室内の圧力を変化させる電磁弁と、前記フラッシュバルブの下流側に配置された羽根車の回転で発電する発電機と、前記発電機の羽根車の回転数をカウントする制御回路と、を備え、
前記制御回路は、前記電磁弁を開弁した後の前記羽根車の回転数に基づいて前記電磁弁を閉弁するタイミングを決定する閉弁制御を行い、
前記フラッシュバルブは、前記弁体を備えるピストンバルブと、前記ピストンバルブを内蔵して圧力室を形成するバルブケーシングとからなり、前記ピストンバルブに、洗浄水の流れ方向に対して傾斜した羽根部を設け、前記羽根部の周方向の最外径と、前記弁体が着座する弁座部の内径とが略同一であることを特徴とする。
【0013】
このような構成とすれば、フラッシュバルブの開弁時には、洗浄水の流れが羽根部に当接することにより、少なくとも羽根部が安定的に回転し、開弁時のフラッシュバルブの流路抵抗が一定となるので、洗浄水の瞬間流量に対する発電機の羽根車の回転数のバラつきがなくなり、正確な定量吐水を実現することができる。
【0014】
また、本発明の自動給水装置は、便器に対して洗浄水を放水するための放水経路上にフラッシュバルブを設け、フラッシュバルブの圧力室内の圧力を変化させることにより、フラッシュバルブ内の弁体を開弁位置及び閉弁位置に移動させて放水経路を開閉する自動給水装置において、
使用者の動作を検知する検知手段と、前記検知手段による電気的信号に基づいて前記圧力室内の圧力を変化させる電磁弁と、前記フラッシュバルブの下流側に配置された羽根車の回転で発電する発電機と、前記発電機の羽根車の回転数をカウントする制御回路と、を備え、
前記制御回路は、前記電磁弁を開弁した後の前記羽根車の回転数に基づいて前記電磁弁を閉弁するタイミングを決定する閉弁制御を行い、
前記フラッシュバルブは、弁体及び前記弁体より下流側に羽根部を有するピストンバルブと、前記ピストンバルブを内蔵して圧力室を形成するバルブケーシングとからなり、前記羽根部の周方向の最外径と、前記弁体が着座する弁座部の内径とが略同一であって、
前記フラッシュバルブ上流から流下する洗浄水の流れの中心と、前記ピストンバルブの中心軸とを変位させて配置したことを特徴とする。
【0015】
このような構成とすれば、ピストンバルブの中心軸から外周側へ変位した部分に向かって洗浄水が流れるので、ピストンバルブを回転させる作用が高まり、ピストンバルブが安定的に回転するようになり、開弁時のフラッシュバルブの流路抵抗が一定になるので、洗浄水の瞬間流量に対する発電機の羽根車の回転数のバラつきがなくなり、正確な定量吐水を実現することができる。
【0016】
また、本発明の自動給水装置は、便器に対して洗浄水を放水するための放水経路上にフラッシュバルブを設け、フラッシュバルブの圧力室内の圧力を変化させることにより、フラッシュバルブ内の弁体を開弁位置及び閉弁位置に移動させて放水経路を開閉する自動給水装置において、
使用者の動作を検知する検知手段と、前記検知手段による電気的信号に基づいて前記圧力室内の圧力を変化させる電磁弁と、前記フラッシュバルブの下流側に配置された羽根車の回転で発電する発電機と、前記発電機の羽根車の回転数をカウントする制御回路と、を備え、
前記制御回路は、前記電磁弁を開弁した後の前記羽根車の回転数に基づいて前記電磁弁を閉弁するタイミングを決定する閉弁制御を行い、
前記フラッシュバルブは、前記弁体を備えるピストンバルブと、前記ピストンバルブを内蔵して圧力室を形成するバルブケーシングとからなり、前記バルブケーシングに対して前記ピストンバルブが周方向に回転不能に保持されていることを特徴とする。
【0017】
このような構成とすれば、バルブケーシング内のピストンバルブの弁体が開弁位置と閉弁位置との間で移動する際に、バルブケーシングに対してピストンバルブがその周方向に回転することがなくなり、開弁時におけるフラッシュバルブによる流路抵抗が一定になるので、瞬間流量に対する発電機の羽根車の回転数のバラつきがなくなり、正確な定量吐水を実現することができる。
【0018】
ここで、前記自動給水装置において、前記ピストンバルブの上部、前記バルブケーシングのいずれか一方に突起部、他方にガイド部が形成され、前記突起部と前記ガイド部との嵌合により、前記バルブケーシングに対し前記ピストンバルブが周方向に回転不能に保持されていることが望ましい。
【0019】
このような構成とすれば、バルブケーシングに対してピストンバルブがその周方向に回転することがなくなり、開弁時のフラッシュバルブによる流路抵抗が一定になるので、洗浄水の瞬間流量に対する発電機の羽根車の回転数のバラつきがなくなり、正確な定量吐水を実現することができる。
【0020】
一方、前記フラッシュバルブは、前記弁体を備えるピストンバルブと、前記ピストンバルブを内蔵して圧力室を形成するバルブケーシングと、からなり、前記バルブケーシングには、前記弁体が閉弁位置にあるときも前記ピストンバルブの周面に当接する延長部が形成され、前記弁体が開弁位置にあるときに前記放水経路の上流側から流下する洗浄水を前記放水経路の下流側に流すための切り欠き部が前記延長部に設けられ、
前記延長部若しくは前記ピストンバルブの外周面の一方に凸部、他方に凹部が形成され、前記凸部と前記凹部との嵌合により、前記バルブケーシングに対し前記ピストンバルブがその周方向に回転不能に保持されていることが望ましい。
【0021】
このような構成とすれば、バルブケーシングに対しピストンバルブがその周方向に回転することがなくなり、開弁時のフラッシュバルブによる流路抵抗が一定になるので、洗浄水の瞬間流量に対する発電機の羽根車の回転数のバラつきがなくなり、正確な定量吐水を実現することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、正確な定量吐水を実現可能な自動給水装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第一実施形態である自動給水装置の設置状態を示す正面図である。
【図2】図1に示す自動給水装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す自動給水装置の垂直断面図である。
【図4】図3のA−A線における断面図である。
【図5】図1に示す自動給水装置を構成するフラッシュバルブの垂直断面図である。
【図6】図5のB−B線における断面図である。
【図7】本発明の第二実施形態である自動給水装置を構成するフラッシュバルブの垂直断面図である。
【図8】本発明の第三実施形態である自動給水装置の垂直断面図である。
【図9】図8のC−C線における断面図である。
【図10】図8に示す自動給水装置を構成するフラッシュバルブの一部切欠外観図である。
【図11】図10に示すフラッシュバルブを矢線D方向から見た図である。
【図12】図10のE−E線における断面図である。
【図13】図10に示すフラッシュバルブの垂直断面図である。
【図14】本発明の第四実施形態である自動給水装置を示す一部省略平面図である。
【図15】本発明の第五実施形態である自動給水装置を示す垂直断面図である。
【図16】図15に示す自動給水装置を構成するピストンバルブの一部省略外観図である。
【図17】本発明の第六実施形態である自動給水装置を示す垂直断面図である。
【図18】図17のF−F線における断面図である。
【図19】図17に示す自動給水装置を構成するフラッシュバルブの垂直断面図である。
【図20】図19に示すフラッシュバルブを矢線G方向から見た図である。
【図21】図19に示すフラッシュバルブを構成するピストンバルブの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1〜図6に基づいて、本発明の第一実施形態について説明する。図1,図2に示すように、本実施形態の自動給水装置10は、水洗式の便器11に対して洗浄水を供給するため便器11の背面部分に配置されている。自動給水装置10は、便器11に対して洗浄水を放水するための放水経路12上にフラッシュバルブ1が設けられ、フラッシュバルブ1の圧力室13内の圧力を変化させることにより、フラッシュバルブ1内の弁体14を開弁位置及び閉弁位置に上下移動させて放水経路12を開閉する機能を有する。
【0025】
図2〜図5に示すように、自動給水装置10は、使用者の動作を検知する検知手段である人体感知センサ2と、人体感知センサ2による電気的信号に基づき圧力室13内の圧力を変化させる電磁弁7と、フラッシュバルブ1の下流側に配置された羽根車6aの回転で発電する発電機6と、発電機6の羽根車6aの回転数をカウントする制御回路3と、補助洗浄ボタン8aの手動操作で開弁する開閉弁8と、キャパシタ4と、補助電池9と、を備えている。ここで、使用者の動作とは、使用者による手動スイッチ操作、人体感知センサ2への手かざしに加え、当該自動給水装置10に対する使用者の位置の移動を含むものとする。
【0026】
制御回路3は、電磁弁7を開弁した後の羽根車6aの回転数に基づいて電磁弁7を閉弁するタイミングを決定する閉弁制御を行う。フラッシュバルブ1は、弁体14を備えたピストンバルブ5と、ピストンバルブ5を内蔵して圧力室13を形成するバルブケーシング15と、からなり、弁体14が閉弁位置にあるときもピストンバルブ5の周面に当接する柱形状をした複数の延長部16が放水経路12の下流側へ垂下した状態で形成されている。なお、ピストンバルブ5の弁体14下面が弁座部17上面に密着した状態が閉弁位置であり、ピストンバルブ5が上昇して弁体14下面が弁座部17上面から離れた状態が開弁位置である。
【0027】
また、弁体14が開弁位置にあるときに、上流側放水経路12aより流れてくる洗浄水を下流側放水経路12bへ流すため、図6に示すように、周方向に隣り合う延長部16の間に切り欠き部16aが設けられている。弁体14より下流側に位置するピストンバルブ5の弁体下側部5aの外周は外径が等しい円筒状をなしているため、その周方向の流路抵抗が均一である。
【0028】
自動給水装置10においては、ピストンバルブ5の弁体下側部5aの周方向の流路抵抗が均一であるため、洗浄水の瞬間流量に対する発電機6の羽根車6aの回転数が、フラッシュバルブ1の流路抵抗によってバラつくことがない。従って、羽根車6aの回転数に基づいて決定される電磁弁7の閉弁タイミングが一定となり、正確な定量吐水を実現することができる。
【0029】
即ち、特許文献1記載のフラッシュバルブは、案内ばねの影響により、その周方向において流路抵抗が不均一であるため、洗浄水の瞬間流量に対する発電機の回転数がバラついてしまい、電磁弁の閉弁タイミングが一定せず、洗浄水の吐水量がバラつくことが多かったが、自動給水装置10においては、前述したように、ピストンバルブ5の弁体下側部5aの周方向の流路抵抗が均一であるため、洗浄水の瞬間流量に対する発電機6の回転数が均一化され、正確な定量吐水を実現できる。
【0030】
次に、図7に基づいて、本発明の第二実施形態である自動給水装置(図示せず)を構成するフラッシュバルブ21について説明する。図7に示すように、フラッシュバルブ21においては、ピストンバルブ25の最下端部に弁体24配置されている。このフラッシュバルブ21を、前述した自動給水装置10におけるフラッシュバルブ1と置き換えることにより、第二実施形態の自動給水装置が構成される。
【0031】
このように、ピストンバルブ25の最下端部に弁体24を配置すると、弁体24より下流側に、当該ピストンバルブ25の構成部分が全く存在しなくなるので、フラッシュバルブ21が開弁したときのピストンバルブ25による流路抵抗をなくすことができる。従って、フラッシュバルブ21の流路抵抗の違いにより、洗浄水の瞬間流量に対する発電機6の羽根車6a(図3参照)の回転数がバラつくこともなくなり、正確な定量吐水を実現することができる。その他の部分の構造、機能は前述した自動給水装置10と同じである。
【0032】
次に、図8〜図13に基づいて、本発明の第三実施形態である自動給水装置30について説明する。なお、図8〜図13において図1〜図6と同符号を付している部分は自動給水装置10の構成部分と同じ構造、機能などを有する部分であるため説明を省略する。
【0033】
図8〜図12に示すように、自動給水装置30を構成するフラッシュバルブ31は、弁体34を備えるピストンバルブ35と、ピストンバルブ35を内蔵して圧力室13を形成するバルブケーシング36とからなる。ピストンバルブ35の下方には、洗浄水の流れ方向に対して傾斜した複数の羽根37aを有する羽根部37を設け、羽根部37の周方向の最外径37rと、弁体34が着座する弁座部32の内径32rとが略同一である。図11,図12に示すように、羽根部37を構成する羽根37aは、羽根部37の軸心37cを中心に90度間隔で4枚配置されているが、これに限定するものではない。
【0034】
図13に示すように、羽根部37は、ピストンバルブ35の軸心35cと同軸上に配置された支軸38を介してピストンバルブ35に対して回転自在に取り付けられている。
【0035】
このような構成とすれば、フラッシュバルブ31が開弁したとき、洗浄水の流れが羽根部37の羽根37aに当接することにより、羽根部37が支軸38を中心に安定的に回転する。これにより、開弁時のフラッシュバルブ31の流路抵抗が一定となるので、洗浄水の瞬間流量に対する発電機6の羽根車6aの回転数のバラつきがなくなり、正確な定量吐水を実現することができる。
【0036】
本実施形態では、羽根部37はピストンバルブ35に対して回転自在に取り付けられているが、これに限定しないので、羽根部37をピストンバルブ35と一体化した構成とすることもできる。このような構成とすれば、洗浄水の流れが羽根部37の羽根37aに当接することにより、羽根部37とともにピストンバルブ35が軸心35cを中心に安定的に回転する。従って、開弁時のフラッシュバルブ31の流路抵抗が一定となって、洗浄水の瞬間流量に対する発電機6の羽根車6aの回転数のバラつきがなくなり、正確な定量吐水を実現することができる。
【0037】
次に、図14に基づいて、本発明の第四実施形態である自動給水装置40について説明する。図14は、自動給水装置40を、その上部カバーを取り外した状態で示す平面図であり、図1〜図6と共通する符号を付した部分は自動給水装置10の構成部分と同じ構造、機能を有する部分である。
【0038】
フラッシュバルブ41は、図8に示すフラッシュバルブ31と同様、弁体34と弁体34より下流側に羽根部37を有するピストンバルブ35と、ピストンバルブ35を内蔵して圧力室13を形成するバルブケーシング46とからなり、羽根部37の周方向の最外径37rと、弁体34が着座する弁座部32の内径32rとが略同一である。
【0039】
図14に示すように、自動給水装置40においては、フラッシュバルブ41上流の放水経路12から流下する洗浄水の流れの中心12cと、ピストンバルブ35の中心軸35cとが変位した状態で配置されている。また、フラッシュバルブ41を形成するピストンバルブ35と羽根部37とは一体化されている。
【0040】
このような構成とすれば、フラッシュバルブ41上流の放水経路12から供給される洗浄水は、ピストンバルブ35の中心軸35cから外周側へ変位した部分に向かって流れ込み、図8に示す羽根部37の外周寄りの部分に洗浄水が衝突するので、ピストンバルブ35を回転させる作用が高まる。従って、ピストンバルブ35が安定的に回転するようになり、開弁時のフラッシュバルブ41の流路抵抗が一定になるので、洗浄水の瞬間流量に対する発電機6の羽根車6a(図8参照)の回転数のバラつきがなくなり、正確な定量吐水を実現することができる。
【0041】
なお、自動給水装置40では、フラッシュバルブ41を形成するピストンバルブ35と羽根部37とは一体化されているが、これに限定しないので、フラッシュバルブ35に羽根部37が支軸38(図13)を介して回転自在に取り付けられたものであっても、前述と同様の作用効果を得ることができる。即ち、フラッシュバルブ41上流の放水経路12から供給される洗浄水は、ピストンバルブ35の中心軸35cから外周側へ変位した部分に向かって流れ込み、図8に示す羽根部37の外周寄りの部分に洗浄水が衝突するので、羽根部37が安定的に回転し、開弁時のフラッシュバルブ41の流路抵抗が一定になるので、洗浄水の瞬間流量に対する発電機6の羽根車6a(図8参照)の回転数のバラつきがなくなり、正確な定量吐水を実現することができる。
【0042】
次に、図15,図16に基づいて、本発明の第五実施形態について説明する。なお、図15,図16において図1〜図14と共通の符号を付している部分は前述した実施形態における構成部分と同じ構造、機能を有する部分である。
【0043】
図15,図16に示すように、自動給水装置50においては、便器に対して洗浄水を放水するための放水経路12上にフラッシュバルブ51が設けられ、フラッシュバルブ51の圧力室13内の圧力を変化させることにより、フラッシュバルブ51内の弁体54を開弁位置及び閉弁位置に上下移動させて放水経路12を開閉する。フラッシュバルブ51は、弁体54を備えるピストンバルブ55と、ピストンバルブ55を内蔵して圧力室13を形成するバルブケーシング56とからなり、バルブケーシング56に対してピストンバルブ55が周方向に回転不能に保持されている。
【0044】
ピストンバルブ55の上部にその軸心55cと略平行に突出した複数の突起部57が形成され、バルブケーシング56のピストンバルブ55上方部分に各突起部57が軸心55c方向にスライド可能に嵌合される凹状のガイド部58が形成されている。複数の突起部57がそれぞれガイド部58内に嵌合されることにより、バルブケーシング56に対しピストンバルブ55が周方向(軸心55c周りの方向)に回転不能に保持されている。
【0045】
このような構成とすれば、バルブケーシング56内のピストンバルブ55の弁体54が開弁位置と閉弁位置との間で軸心55c方向に移動する際に、バルブケーシング56に対してピストンバルブ55がその周方向に回転することがなくなり、開弁時におけるフラッシュバルブ51による流路抵抗が一定になるので、瞬間流量に対する発電機6の羽根車6aの回転数のバラつきがなくなり、正確な定量吐水を実現することができる。
【0046】
なお、自動給水装置50においては、ピストンバルブ55上方部分に3個の突起部57が軸心55cを中心に120度間隔で形成され、バルブケーシング56のピストンバルブ55上方部分に3個の突起部57と同位相のガイド部58が形成されているが、これに限定しないので、突起部57及びガイド部58の個数、配置形態は使用条件などに応じて設定することができる。
【0047】
次に、図17〜図21に基づいて、本発明の第六実施形態について説明する。なお、図17〜図21において図1〜図16と共通の符号を付している部分は前述した実施形態における構成部分と同じ構造、機能を有する部分である。
【0048】
図17,図18に示すように、自動給水装置60は、便器に対して洗浄水を放水するための放水経路12上にフラッシュバルブ61を有し、フラッシュバルブ61の圧力室13内の圧力を変化させることにより、フラッシュバルブ61内の弁体64を開弁位置及び閉弁位置に上下移動させて放水経路12を開閉する。フラッシュバルブ61は、弁体64を備えるピストンバルブ65と、ピストンバルブ65を内蔵して圧力室13を形成するバルブケーシング66と、からなる。
【0049】
図19に示すように、バルブケーシング66には、弁体64が閉弁位置にあるときもピストンバルブ65の周面に当接する円周壁状の延長部67が形成され、弁体64が開弁位置にあるときに上流側放水経路12aから流下する洗浄水を下流側放水経路12bに流すための切り欠き部67aが延長部67の一部に設けられている。
【0050】
また、図20,図21に示すように、延長部67の下端内周部に、ピストンバルブ65の軸心65cに向かって突出した複数の凸部69が形成され、ピストンバルブ65の外周面に複数の凹部68が形成され、これらの凸部69と凹部68との嵌合により、バルブケーシング66に対しピストンバルブ65がその周方向に回転不能に保持されている。
【0051】
自動給水装置60においては、バルブケーシング66に対しピストンバルブ65がその周方向(軸心65c周りの方向)に回転することがなくなるので、開弁時のフラッシュバルブ61による流路抵抗が一定となり、洗浄水の瞬間流量に対する発電機6の羽根車6aの回転数のバラつきがなくなり、正確な定量吐水を実現することができる。
【0052】
図20に示すように、自動給水装置60においては、二個一組の凸部69を延長部67の下端内周部に60度間隔で合計5組形成し、同様に、二個一組の凹部68をピストンバルブ65の外周面に60度間隔で合計6組形成している。二個一組の凸部69と二個一組の凹部68とは同位相で配置されているため、切り欠き部67を除く領域において、延長部67の5組の凸部69と、ピストンバルブ65の5組の凹部68とが互いに嵌合している。なお、凹部68及び凸部69の個数や配置形態は限定しないので、使用条件などに応じた状態に設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の自動水栓装置は、一般住宅やホテルあるいは公共施設などの水洗トイレにおいて広く利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1,21,31,41,51,61 フラッシュバルブ
2 人体感知センサ
3 制御回路
4 キャパシタ
5,25,35,55,65 ピストンバルブ
5a 弁体下側部
6 発電機
6a 羽根車
7 電磁弁
8 開閉弁
8a 補助洗浄ボタン
9 補助電池
10,30,40,50,60 自動給水装置
11 便器
12 放水経路
12a 上流側放水経路
12b 下流側放水経路
12c 流れの中心
13 圧力室
14,24,34,54,64 弁体
15,36,46,56,66 バルブケーシング
16,67 延長部
16a,67a 切り欠き部
17,32 弁座部
32r 内径
37 羽根部
37a 羽根
37r 最外径
38 支軸
57 突起部
58 ガイド部
68 凹部
69 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器に対して洗浄水を放水するための放水経路上にフラッシュバルブを設け、フラッシュバルブの圧力室内の圧力を変化させることにより、フラッシュバルブ内の弁体を開弁位置及び閉弁位置に移動させて放水経路を開閉する自動給水装置において、
使用者の動作を検知する検知手段と、前記検知手段による電気的信号に基づいて前記圧力室内の圧力を変化させる電磁弁と、前記フラッシュバルブの下流側に配置された羽根車の回転で発電する発電機と、前記発電機の羽根車の回転数をカウントする制御回路と、を備え、
前記制御回路は、前記電磁弁を開弁した後の前記羽根車の回転数に基づいて前記電磁弁を閉弁するタイミングを決定する閉弁制御を行い、
前記フラッシュバルブは、前記弁体を備えたピストンバルブと、前記ピストンバルブを内蔵して圧力室を形成するバルブケーシングと、からなり、
前記弁体が閉弁位置にあるときも前記ピストンバルブの周面に当接する延長部が前記バルブケーシングに形成され、
前記弁体が開弁位置にあるときに、前記放水経路の上流側より流れてくる洗浄水を前記放水経路の下流側へ流すための切り欠き部が前記延長部に設けられ、
前記弁体より下流側に位置する前記ピストンバルブの弁体下側部は、その周方向の流路抵抗が均一であることを特徴とする自動給水装置。
【請求項2】
便器に対して洗浄水を放水するための放水経路上にフラッシュバルブを設け、フラッシュバルブの圧力室内の圧力を変化させることにより、フラッシュバルブ内の弁体を開弁位置及び閉弁位置に移動させて放水経路を開閉する自動給水装置において、
使用者の動作を検知する検知手段と、前記検知手段による電気的信号に基づいて前記圧力室内の圧力を変化させる電磁弁と、前記フラッシュバルブの下流側に配置された羽根車の回転で発電する発電機と、前記発電機の羽根車の回転数をカウントする制御回路と、を備え、
前記制御回路は、前記電磁弁を開弁した後の前記羽根車の回転数に基づいて前記電磁弁を閉弁するタイミングを決定する閉弁制御を行い、
前記フラッシュバルブは、前記弁体を備えたピストンバルブと、前記ピストンバルブを内蔵して圧力室を形成するバルブケーシングと、からなり、
前記弁体が閉弁位置にあるときも前記ピストンバルブの周面に当接する延長部が前記バルブケーシングに形成され、
前記弁体が開弁位置にあるときに、前記放水経路の上流側より流れてくる洗浄水を前記放水経路の下流側へ流すための切り欠き部が前記延長部に設けられ、
前記弁体は、前記ピストンバルブの最下端部に配置されていることを特徴とする自動給水装置。
【請求項3】
便器に対して洗浄水を放水するための放水経路上にフラッシュバルブを設け、フラッシュバルブの圧力室内の圧力を変化させることにより、フラッシュバルブ内の弁体を開弁位置及び閉弁位置に移動させて放水経路を開閉する自動給水装置において、
使用者の動作を検知する検知手段と、前記検知手段による電気的信号に基づいて前記圧力室内の圧力を変化させる電磁弁と、前記フラッシュバルブの下流側に配置された羽根車の回転で発電する発電機と、前記発電機の羽根車の回転数をカウントする制御回路と、を備え、
前記制御回路は、前記電磁弁を開弁した後の前記羽根車の回転数に基づいて前記電磁弁を閉弁するタイミングを決定する閉弁制御を行い、
前記フラッシュバルブは、前記弁体を備えるピストンバルブと、前記ピストンバルブを内蔵して圧力室を形成するバルブケーシングとからなり、前記ピストンバルブに、洗浄水の流れ方向に対して傾斜した羽根部を設け、前記羽根部の周方向の最外径と、前記弁体が着座する弁座部の内径とが略同一であることを特徴とする自動給水装置。
【請求項4】
便器に対して洗浄水を放水するための放水経路上にフラッシュバルブを設け、フラッシュバルブの圧力室内の圧力を変化させることにより、フラッシュバルブ内の弁体を開弁位置及び閉弁位置に移動させて放水経路を開閉する自動給水装置において、
使用者の動作を検知する検知手段と、前記検知手段による電気的信号に基づいて前記圧力室内の圧力を変化させる電磁弁と、前記フラッシュバルブの下流側に配置された羽根車の回転で発電する発電機と、前記発電機の羽根車の回転数をカウントする制御回路と、を備え、
前記制御回路は、前記電磁弁を開弁した後の前記羽根車の回転数に基づいて前記電磁弁を閉弁するタイミングを決定する閉弁制御を行い、
前記フラッシュバルブは、弁体及び前記弁体より下流側に羽根部を有するピストンバルブと、前記ピストンバルブを内蔵して圧力室を形成するバルブケーシングとからなり、前記羽根部の周方向の最外径と、前記弁体が着座する弁座部の内径とが略同一であって、
前記フラッシュバルブ上流から流下する洗浄水の流れの中心と、前記ピストンバルブの中心軸とを変位させて配置したことを特徴とする自動給水装置。
【請求項5】
便器に対して洗浄水を放水するための放水経路上にフラッシュバルブを設け、フラッシュバルブの圧力室内の圧力を変化させることにより、フラッシュバルブ内の弁体を開弁位置及び閉弁位置に移動させて放水経路を開閉する自動給水装置において、
使用者の動作を検知する検知手段と、前記検知手段による電気的信号に基づいて前記圧力室内の圧力を変化させる電磁弁と、前記フラッシュバルブの下流側に配置された羽根車の回転で発電する発電機と、前記発電機の羽根車の回転数をカウントする制御回路と、を備え、
前記制御回路は、前記電磁弁を開弁した後の前記羽根車の回転数に基づいて前記電磁弁を閉弁するタイミングを決定する閉弁制御を行い、
前記フラッシュバルブは、前記弁体を備えるピストンバルブと、前記ピストンバルブを内蔵して圧力室を形成するバルブケーシングと、からなり、前記バルブケーシングに対して前記ピストンバルブが周方向に回転不能に保持されていることを特徴とする自動給水装置。
【請求項6】
前記ピストンバルブの上部、前記バルブケーシングのいずれか一方に突起部、他方にガイド部が形成され、前記突起部と前記ガイド部との嵌合により、前記バルブケーシングに対し前記ピストンバルブが周方向に回転不能に保持されていることを特徴とする請求項5記載の自動給水装置。
【請求項7】
前記フラッシュバルブは、前記弁体を備えるピストンバルブと、前記ピストンバルブを内蔵して圧力室を形成するバルブケーシングと、からなり、前記バルブケーシングには、前記弁体が閉弁位置にあるときも前記ピストンバルブ本体の周面に当接する延長部が形成され、前記弁体が開弁位置にあるときに前記放水経路の上流側から流下する洗浄水を前記放水経路の下流側に流すための切り欠き部が前記延長部に設けられ、
前記延長部若しくは前記ピストンバルブの外周面の一方に凸部が形成され、他方に凹部が形成され、前記凸部と前記凹部との嵌合により、前記バルブケーシングに対し前記ピストンバルブがその周方向に回転不能に保持されていることを特徴とする請求項5記載の自動給水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−69173(P2011−69173A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223229(P2009−223229)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】