説明

自動縫合器用縫合補綴材

本発明は、外科手術等に汎用される自動縫合器に好適に用いられる筒状縫合補綴材に関し、筒状化への生産性を高め、併せて、糸抜き操作を容易にしたものである。従来の仮接着による剥れ、ぐし縫いによる生産性の低さと熟練の課題、シート状体の種類、縫いピッチによってスムーズに糸が抜け難い課題の解消を目的としたものである。具体的には、シート状体の両端部を縫合し、筒状とした自動縫合器用縫合補綴材の構成において、その縫い仕様を1本の糸で構成する自糸ルーピングステッチとし、縫い終わりにおける糸端を適宜延出したことを特徴とする自動縫合器用縫合補綴材に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、外科手術等に汎用される自動縫合器に用いて好適な筒状縫合補綴材に関し、筒状化が容易で生産性が高く、併せて、糸抜き操作が容易である筒状縫合補綴材に関する。
【背景技術】
従来、多数のステープルを埋入したホッチキスタイプの自動縫合器は組織の縫合に用いられているが、肺等への適用においては縫合部からの空気漏れの問題があり、また、軟弱組織への適用においては組織の損傷、断裂等の問題が生じることがあった。
かかる課題に対し、本出願人は、当該空気漏れの防止、補強を目的としてステープル部に装着して使用する筒状の縫合補綴材について、既にいくつかの出願を行っている(例えば、日本国実用新案登録第2604025号公報、日本国特許第3136392号公報、日本国特許第3237749号公報、日本国特許第3237750号公報、日本国特開平9−24050号公報、日本国特開平9−308635号公報、日本国特開2000−157622号公報、日本国特開2000−316963号公報、日本国特開2001−70433号公報)。
また、他の出願人による筒状の縫合補綴材に関連する出願として、日本国特許第3040930号公報、日本国特開平8−299427号公報などもある。
上記の出願には、例えば、生体内分解吸収性素材よりなる不織布、或いはフィルム等のシート状体を筒状にした構成、或いは生体内分解吸収性素材よりなる不織布と伸縮性編地を組み合わせて筒状にした構成などが示されている。かかる筒状化に際しては、重ねたシート状体の両端部(両耳部)を軽く仮接着する方法、重ねたシート状体の両端部を粗く仮縫いする方法が例示されている。具体的には、重ねたシート状体の表面と裏面を交互に運針させたぐし縫いする方法が例示されている。
このようにシート状体を仮接着或いは仮縫いするのは、縫合補綴材が装着された自動縫合器により患部を縫合し病変部を正常組織部から分断した後、病変部を体外に撤去する際に、病変部と共に取り出す補綴材の部分と、体内に残存させる補綴材の部分とを分離しやすいようにするためである。
しかしながら、かかる仮接着により製造される筒状縫合補綴材ではシート状体が剥れやすく、また、ぐし縫いにより製造される筒状縫合補綴材では縫製に時間と熟練を要し、また、シート状体の種類、縫いピッチ等によっては、スムーズに糸が抜け難いという課題を有していた。
【発明の開示】
本発明は、かかる課題を解決したもので、高度な技術を要することなく製造でき、また、補綴材の素材や縫いピッチにかかわらず補綴材からの糸抜けが極めてスムーズに行える新規な自動縫合器用縫合補綴材を提供するものである。
しかるに、本発明は以下の構成に特徴を有する。
項1.シート状体の両端部を縫製し筒状とした自動縫合器用縫合補綴材であって、その縫い仕様を1本の糸で構成する自糸ルーピングステッチとし、縫い終わりにおける糸端を適宜延出したことを特徴とする自動縫合器用縫合補綴材。
項2.先端部を先細状又は袋状に縫製してなる項1に記載の自動縫合器用縫合補綴材。
項3.前記シート状体の少なくとも一部に、生体内分解吸収性素材より成る、編物、織物、不織布及びフィルムからなる群から選択される少なくとも一種を用いたことを特徴とする項1又は2に記載の自動縫合器用縫合補綴材。
項4.前記シート状体と伸縮性を有する編物地又は織物地とを一体化して筒状とした項1に記載の自動縫合器用縫合補綴材。
項5.筒状を構成するシート状体の縫い終り側端部につまみ部を設けた項1〜4のいずれかに記載の自動縫合器用縫合補綴材。
項6.延出した縫い終りの糸端同士が輪状に連結されている項1〜4のいずれかに記載の自動縫合器用縫合補綴材。
項7.延出した糸端のループにストッパーを挿通してほつれ防止をはかった項1〜4のいずれかに記載の自動縫合器用縫合補綴材。
項8.延出した糸端を当該糸端に連なる前ループに挿通してほつれ防止をはかった項1〜4のいずれかに記載の自動縫合器用縫合補綴材。
項9.縫い終り側のループの1つをその直前のループに結び付けてほつれ防止をはかった項1〜4のいずれかに記載の自動縫合器用縫合補綴材。
項10.シート状体の両端部を縫合し筒状とした自動縫合器用縫合補綴材の製法であって、1本の糸で構成する自糸ルーピングステッチにより該シート状体の両端部を縫製して筒状とし、縫い終わりにおける糸端を適宜延出することを特徴とする自動縫合器用縫合補綴材の製法。
項11.ステープル内蔵のカートリッジ部とステープル受け溝を有するフレーム部を備えた自動縫合器であって、該カートリッジ部及び/又は該フレーム部に項1〜9のいずれかに記載の自動縫合器用縫合補綴材を装着してなる自動縫合器。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明を構成する縫仕様の模式図を示す。
図2は、本発明を構成する縫仕様の模式図を示す。
図3は、本発明を構成する縫仕様の模式図を示す。
図4は、本発明を構成する縫仕様の模式図を示す。
図5は、本発明を構成する縫仕様の模式図を示す。
図6は、本発明を構成する縫仕様の模式図を示す。
図7は、本発明を構成する縫仕様の模式図を示す。
図8は、本発明の構成を例示した斜視図を示す。
図9は、本発明の他の構成を例示した斜視図を示す。
図10は、本発明の縫合補綴材を装着した自動縫合器の正面図を示す。
図11は、図10における本発明の縫合補綴材を自動縫合器に装着する状態を示した一部拡大正面図を示す。
図12は、本発明の他の構成を例示した斜視図を示す。
図13は、本発明の糸端抜け防止を例示した斜視図を示す。
図14は、本発明の他の糸端抜け防止を例示した斜視図を示す。
図15は、本発明の他の糸端抜け防止を例示した斜視図を示す。
図16は、本発明のつまみ部を設けた構成を例示した斜視図を示す。
図面中の符号を以下に示す。
なお、図1〜図16中、1:縫い始め糸端、2:縫い終り糸端、3:ループ、4:筒状縫合補綴材、5:生体内分解吸収性不織布、6:パワーネット生地、7:表側縫目、8:裏側縫目、9:ストッパー、10:自動縫合器、11:カートリッジ部、12:フレーム部、13:結び目、14:つまみ部、及び15:結び目を表す。
発明の詳細な記述
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明を構成するシート状体は、ポリアミド、ポリエステル、シリコン、フッ素樹脂等の生体内で非吸収性の素材、及びポリグリコール酸、ポリ乳酸、グリコール酸と乳酸の共重合体、乳酸とカプロラクトンの共重合体、グリコール酸とカプロラクトンの共重合体あるいはそれらの混合物、更にはポリパラジオキサノン、ポリカプロラクトン、キチン、動物組織等の生体内で分解吸収される素材の中から適宜選択して製造される。該シート状体の形態としては、上記の生体内非吸収性素材、及び/又は生体内分解吸収性素材からなる、編物、織物、不織布、フィルム、シート、スポンジシート等が例示できる。
特に好ましい態様としては、柔軟性、通気性、腰、厚さ、吸血性、ステープルラインの形成性、加水分解性等において優れる、ポリグリコール酸を素材とした不織布が例示できる。かかる不織布はニードルパンチ法、メルトブロー法等の任意の方法によって製造され得る。
本発明の縫合補綴材は、1枚のシート状体を丸めてその両端部を縫製し、或いは2枚のシート状体を重ねてその両端部を縫製して筒状とする。2枚のシート状体を重ねて筒状とする場合、そのうちの1枚のシート状体が伸縮性を有するシート状体であってもよい。ここで、伸縮性を有するシート状体としては、好適には、その組織の中に、ゴム糸、ポリウレタン系弾性糸、捲縮加工糸、嵩高加工糸等が適宜交編又は交織され、縦及び/又は横方向に伸縮性を有する、編物地又は織物地が例示される。このように、伸縮性生地と組み合わせた縫合補綴材の場合は、自動縫合器への装着、装着後のアジャスト(位置修正)操作等が行いやすいため好ましい。
なお、かかる伸縮性シート状体の編織組織については特に限定しないが、裁断作業、筒状体形成時の縫製作業の容易性、形態安定性等の面から、ポリウレタン糸にナイロン糸をカバリングして得た伸縮性糸を用い、経編組織に編成したパワーネット生地が好適なものとして例示できる。
前記シート状体の筒状化は、1枚のシート状体を用いる場合は、縫合器の外周サイズに合わせて裁断された生地を丸めその両端部を縫製することにより行える。また、2枚のシート状体を用いる場合には、両者を重ねあわせてその両端部同士を縫製することにより行える。
なお、本発明において「筒状」とは、シート状体の両端部が一体化して接合されていることを示し、円筒状、角柱状、平面状のいずれの形態であってもよい。
かかる縫製は、両端をパラレルに縫製する方法、先端部を先細となるよう縫製する方法、先端部を袋状になるよう連続して縫製する方法等が挙げられ、任意に選択できる。なお、先端部が先細であったり、袋状であると縫合器への装着がしやすい利点がある。
かかる縫製に用いる縫糸は、通常衣類等の縫製に用いられるものをそのまま用いることもできるが、特に医療用途という特殊性から、誤って体内に残留するケースを想定すると、手術用の縫合糸、例えば、ポリグリコール酸、グリコール酸/乳酸の共重合体、乳酸/カプロラクトンの共重合体等による生体内分解吸収性の縫合糸が好ましい。
本発明は、その縫い仕様において、1本の糸(針糸)で構成する自糸ルーピングステッチとしたことを特徴とする。かかる1本の糸で構成する自糸ルーピングステッチとは、1本の糸のみによりループ形成した縫目である。
本発明の縫い仕様の具体例を図1〜図7に示すが、これに限定されるものではない。なお、下記で用いられる「針側」とは、重ねたシート状体の針を刺す側、即ち各図の上側を意味し、「裏側」とは重ねたシート状体の針を刺す側と反対側、即ち各図の下側を意味する。また、図1〜図6では、重ねたシート状体を省略している。
図1は、ループ3が針側からシート状体を通り抜け、シート状体の裏側で自糸ルーピングする例である。なお、本発明において、自糸ルーピングとは、糸の一つのループが、同じ糸の他のループを通り抜けることを意味する。
図2は、ループ3が針側からシート状体の中に入り、シート状体の一部を通って針側にあらわれ、次の針貫通点で自糸ルーピングする例である。以下、「シート状体の一部を通って針側にあらわれ」とは、重ねたシート状体の端を廻りこむようにして針側にループがあらわれる場合や、シート状体を貫通してループが針側にあらわれる場合などが含まれる。
図3は、ループ3が針側からシート状体を通り抜け、少し進んでシート状体を通って針側にあらわれ、次の針貫通点でシート状体の針側で自糸ルーピングする例である。
図4は、ループ3が針側からシート状体の中に入り、そのシート状体の一部を通って針側にあらわれ、ステッチ形成線上(縫い目線上)の次の針貫通点で自糸ルーピングする例である。
図5は、図1における縫仕様の変形で、ジグザグ模様を形成したものである。
図6は、ループ3が針側からシート状体の裏面に通り抜け、少し戻って、シート状体を通って針側にあらわれる。この糸は、次のループがシート状体を通り抜けて自糸ルーピングする例である。
図7は、ループ3がシート状体の針側に既に渡っているループとシート状体を通り抜け、更に、この通り抜けたループをシート状体の端部を回って次の針貫通点まで引き延ばした例である。
なお、各図において、1は縫い始めの、2は縫い終りの糸端を示す。また、図1において、3はループを、7は表側縫目、及び8は裏側縫目を表す。
以上の例は、何れも1本の糸(針糸)で構成されるルーピングステッチであり、縫い終わりの糸端2を引っ張ることによって、形成されたループから糸が抜け、抵抗無く縫目がほつれて行く縫仕様である。かかる縫仕様は手縫いによって行うこともできるが、市販されるミシンを用いて行うことができ、この場合、極めて効率的に縫製することができる。
その糸端は、病変部と共に取り出す補綴材の部分(例えば、パワーネット生地)と、体内に残存させる補綴材の部分(例えば、生体内分解吸収性素材)とを分離しやすいようにするため、適宜の長さに延出しておくのが好ましい。また、延出した縫い終りの糸端同士が輪状に連結されていてもよい。さらに、縫い始めの糸端をシート状体(例えば、パワーネット生地)に結びつけて一体化し、延出された両端の縫い終わり糸端同士を結び合わせリング状(輪状)に連結してもよい。この場合、引き抜き操作が極めて容易であり、術後においてシート状体(例えば、パワーネット生地)を縫糸と共に取り出しやすくなる。
なお、不用意に補綴材から糸が引き抜かれることを防止するために、縫い終り糸端のループにストッパーを設けたり、縫い終わりの糸端に連なる前ループに該糸端をくぐらせたり、或いは縫い終り側のループをその直前のループにくぐらせ、1回結びした結び目により固定したりしてもよい。
本発明の縫合補綴材が適用される自動縫合器としては、U.S.SURGICAL社製のマルチファイヤーGIA80、マルチファイヤーGIA60、GIA50P、GIA90P、エチコン社製のプロキシメイトリニアカッター55mm及び75mm、U.S.SURGICAL社製のエンドGIA▲2▼30、エンドGIA▲2▼45、エンドGIA▲2▼60、エチコン社製のエンドパスエンドカッターETS45、EZ45等が例示できる。
本発明の縫合補綴材の縫合器への適用は、ステープル内臓のカートリッジ部とステープル受け溝を有するフレーム部の一方或いは両方に被包(装着)させることにより行う。
この場合、筒状縫合補綴材を自動縫合器へ容易に装着できるようにするため、筒状縫合補綴材を構成するシート状体の縫い終り側端部を延設して、つまみ部を設けることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の縫合補綴材について例示した図面をもとに説明するが、これにより本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
図8及び図9は夫々図1に示す縫仕様により形成した本発明の縫合補綴材であり、図8は、生体内分解吸収性の不織布5と伸縮性を有するパワーネット6を重ね合わせ、その両端をペガサス社製のDH型環縫ミシンにより縫製して得た筒状縫合補綴材4である。また、図9は、前記した1枚の不織布5を丸め、その端部同士を重ね合わせて前記と同一ミシンにて輪状に縫製して得た、先端部が閉鎖した袋状の筒状縫合補綴材4である。
また、図示しないが、図8の変形例として、先端部を細めるよう先細に縫製したものも本発明の一態様として例示できる。
なお、何れの例においても、縫い終わりの糸端2は引き抜き易いように適宜延出して設けられる。
このようにして得た縫合補綴材4は、図10に示す自動縫合器10のステープルを埋入したカートリッジ部11とフレーム部12に、夫々図11の拡大図に示すように装着して使用する。なお、この装着に際しては、延出した縫い終わりの糸端2が手前側、即ち、自動縫合器10の手元側に位置するよう装着する。
【実施例2】
図12には、他の構成例を示す。かかる構成は、図8のように生体内分解吸収性の不織布5と伸縮性を有するパワーネット生地6を重ね合わせ、両端を縫製して得た筒状縫合補綴材の構成であり、縫い始めの糸端1をパワーネット生地6に結びつけて一体化し、両端の縫い終わり糸端2同士を結び合わせリング状(輪状)としたものである。
かかる構成においては、縫い終わりの糸端2が輪状であるので取扱い易く、引き抜き操作も容易となる。また、パワーネット生地6に縫い始めの糸端1が結びつけてあるので、術後において当該部を縫糸と共に取り出しやすい利点がある。
【実施例3】
図13及び図14には、縫い終わり糸端2のほつれ防止のための構成例を示す。
図13は、縫い終り糸端2のループ3にストッパー9を挿通したものである。かかるストッパー9は、糸であっても、細かく切断した生地、フィルム等であっても、また、繊維以外の素材によるものであっても何れでもよい。好ましくは挿通しやすく引き抜き易い腰を有するものを適宜選択して用いる。
図14は、同様に縫い終わりの糸端2に連なる前ループ3に該糸端をくぐらせることによって、同様にほつれ防止をはかったものである。その操作は、図例▲1▼〜▲4▼の手順により行い、縫い終り糸端2を前ループ3に挿通し、最後に糸端2を引張ることにより固定して行う。
これらのほつれ防止手段は、不用意に糸端2にテンションがかかり、糸が補綴材から引き抜かれることを防止するものである。従って、所定の縫合処理が完了した後は、ストッパーを外したり、或いは、前ループ3にくぐらせた糸端を元へ戻したり、引張ることにより糸の引き抜きを行う。
更に、図15に他のほつれ防止手段を例示する。
かかる構成は、縫い終り側のループ3をその直前のループにくぐらせ、1回結びした結び目15により固定したもので、これによりループ3の抜けを防止する。即ち、かかる構成によれば、特に、カートリッジ部、フレーム部に装着する際に付加される張力によって生じる縫目のほつれを防止することができる。なお、縫合操作完了後は、糸端を引張ることで生体内分解吸収性の不織布5の縁が破れ、続いて縫目がほつれて行くため縫糸と共にパワーネット生地6を容易に取り出すことができる。
なお、かかるほつれ防止手段は、上記例示したものの他、例えば、シート状体に接着剤を塗布して糸端をシート状体に仮接着したり、粘着テープを貼って糸端をシート状体に仮止めする等、その方法は任意である。
【実施例4】
図16には、筒状縫合補綴材の自動縫合器への装着操作を容易にするための構成、即ち、筒状縫合補綴材を構成するシート状体の縫い終り側端部を延設して、つまみ部14を設けた構成を例示する。本例では、パワーネット生地6の縫い終り端部を凸状に裁断してつまみ部14としたもので、当該部を掴んで引っ張ることより、筒状縫合補綴材を自動縫合器へ容易に装着にすることができる。
かかるつまみ部14は、操作性を勘案し、任意の形状、寸法を設定すればよい。また、裁断による方法の他、任意の方法によりパワーネット生地6につまみ部を付設してもよい。例えば、布、フィルム等の他の素材を、接着、縫製等してつまみ部を付設してもよい。更に、これを生体内分解吸収性の不織布5側に設けてもよいし、両方に設けてもよい。
【発明の効果】
本発明の縫合補綴材は、既存のミシン等を用いて容易に縫目の形成ができる特徴を有する。そのため、熟練を要することなく筒状縫合補綴材を製造することができ、生産性も高く、品質のバラツキも生じない。また、従来のぐし縫の縫目に比べて、引き抜き性に優れ、術後のシート状体の分離操作をスムーズに行うことができる。更に、自動縫合器への装着作業性の改善、操作中のほつれ防止機能も併せて付与したものである。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状体の両端部を縫製し筒状とした自動縫合器用縫合補綴材であって、その縫い仕様を1本の糸で構成する自糸ルーピングステッチとし、縫い終わりにおける糸端を適宜延出したことを特徴とする自動縫合器用縫合補綴材。
【請求項2】
先端部を先細状又は袋状に縫製してなる請求項1に記載の自動縫合器用縫合補綴材。
【請求項3】
前記シート状体の少なくとも一部に、生体内分解吸収性素材より成る、編物、織物、不織布及びフィルムからなる群から選択される少なくとも一種を用いたことを特徴とする請求項1又は2に記載の自動縫合器用縫合補綴材。
【請求項4】
前記シート状体と伸縮性を有する編物地又は織物地とを一体化して筒状とした請求項1に記載の自動縫合器用縫合補綴材。
【請求項5】
筒状を構成するシート状体の縫い終り側端部につまみ部を設けた請求項1〜4のいずれかに記載の自動縫合器用縫合補綴材。
【請求項6】
延出した縫い終りの糸端同士が輪状に連結されている請求項1〜4のいずれかに記載の自動縫合器用縫合補綴材。
【請求項7】
延出した糸端のループにストッパーを挿通してほつれ防止をはかった請求項1〜4のいずれかに記載の自動縫合器用縫合補綴材。
【請求項8】
延出した糸端を当該糸端に連なる前ループに挿通してほつれ防止をはかった請求項1〜4のいずれかに記載の自動縫合器用縫合補綴材。
【請求項9】
縫い終り側のループの1つをその直前のループに結び付けてほつれ防止をはかった請求項1〜4のいずれかに記載の自動縫合器用縫合補綴材。
【請求項10】
シート状体の両端部を縫合し筒状とした自動縫合器用縫合補綴材の製法であって、1本の糸で構成する自糸ルーピングステッチにより該シート状体の両端部を縫製して筒状とし、縫い終わりにおける糸端を適宜延出することを特徴とする自動縫合器用縫合補綴材の製法。
【請求項11】
ステープル内蔵のカートリッジ部とステープル受け溝を有するフレーム部を備えた自動縫合器であって、該カートリッジ部及び/又は該フレーム部に請求項1〜9のいずれかに記載の自動縫合器用縫合補綴材を装着してなる自動縫合器。

【国際公開番号】WO2005/007208
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【発行日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−511934(P2005−511934)
【国際出願番号】PCT/JP2004/010566
【国際出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】