説明

自動臨床アナライザで試薬を補給する方法

自動臨床アナライザにオンボード在庫管理した試薬を補給する方法であって、一連の特に定めた時間周期にわたる評価分析についてのアナライザの平均評価分析需要パターンをアナライザにオンボード在庫管理した試薬と比較して、この一連の特に定めた時間周期に続く次の特に定めた時間周期前にどの試薬が使い尽くされることになるかを決定し、そして、適切に試薬を補給することによる方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿、血清、血漿、脳脊髄液などのような患者の生物学的流体を自動的に処理する方法および装置に関する。特に、本発明は、自動臨床アナライザで化学在庫品を補給する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
重要な被検物質として患者の感染部、体液または膿瘍部のサンプルを分析することによって患者の診断や治療に関連した様々なタイプの検査を実施できる。患者サンプルは、代表的には、密閉サンプル・チューブに入れ、このチューブを臨床検査室へ運んで自動臨床アナライザ上のラックに置き、このチューブからサンプルを抽出する。その後、サンプルを反応容器内で試薬容器から抽出した種々の試薬と混ぜ合わせる。おそらくは、この混合物を分析前にインキュベートしてから患者の治療の手助けとする。検査用測定、すなわち、比濁測定または蛍光測定等を行ってエンドポイント値または反応率値を確認し、これらの値から、周知の較正技術を使用してサンプル内の被検物質の量を決定できる。
【0003】
自動臨床アナライザは、作業者または技術者のエラーを最小限に抑えながらより迅速に結果を得ることで作業効率を改善する。評価分析処理量に関する要求が臨床検査室で高まっていることにより、アナライザ内での患者サンプルおよび試薬の取り扱い効率は絶えず向上させることが必要である。重要な要因は、試薬、品質管理および較正溶液の適切な在庫をオンボードで維持して、このようなアナライザを容易に利用できるという能力である。以下、試薬、品質管理および較正溶液を標準化学溶液と称することがある。
【0004】
サンプル・ラックは、通常、アナライザの入力部分にオペレータによって置かれ、アナライザによって自動的にアリコート抽出位置へ移動させられる。このアリコート抽出位置で、患者サンプル液のアリコートが、通常、中空プローブを使用して吸引することによってサンプル容器から抽出される。多くの異なった患者サンプルからのアリコート・サンプルが、本発明の譲受人に譲渡されている米国特許出願番号10/037512に記載されているように、口の開いた小さなカップ状容器の一体化されたアレイ(本明細書では、アリコート容器アレイと呼ぶ)として形成された複数の暫定的な容器またはウェルに分配されることがある。アリコート容器アレイはサンプル採取位置へ運ばれ、この位置で、サンプル採取プローブによって適量のアリコート・サンプルが抽出され、サンプル採取プローブによって反応キュベットに分配される。さらに、指定の評価分析を行うのに必要な標準化学溶液を、試薬添加位置で、中空プローブを使用して適切な評価分析化学容器(単数または複数)から抽出し、次いで、この中空プローブを評価分析化学溶液分配位置へ移動させ、この評価分析化学溶液分配位置で標準化学溶液を反応キュベットに分配する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、アナライザが実施するように用意した種々の評価分析についてアナライザに履歴的に記録した需要パターンを分析することによって臨床アナライザ上の試薬容器および較正溶液バイアルから標準化学溶液を自動的に補給する方法を提供する。アナライザの試薬サーバ内でのすべての標準化学溶液容器の標準化学溶液が使い尽くされると予想される前のユーザが選定した時間周期で履歴日特定の消費量をすでに利用している標準化学溶液の在庫量と比較することで、オペレータが適切な措置を取ってアナライザ内での標準化学溶液の連続的でタイムリな供給を確保できるように警告メッセージが発生する。
【0006】
本発明は、本出願の一部をなす添付図面と関連して行った以下の詳細な説明からより完全に理解して貰えよう。
図1は、本発明が有効に使用され得る自動アナライザの概略平面図である。
図2は、図1のアナライザの一部拡大概略平面図である。
図3Aは、図1のアナライザで役に立ち、本発明を実施する際に役に立つ試薬容器の斜視図である。
図3Bは、図1のアナライザで役に立ち、本発明を実施する際に役に立つ較正溶液バイアル容器の斜視図である。
図4は、図1のアナライザで役に立つアリコート容器アレイ保管・取り扱いユニットの斜視図である。
図5は、図1のアナライザで役に立つアリコート容器アレイの斜視図である。
図6は、図1のアナライザで役に立ち、本発明を実施する際に役に立つ容器移送システムの概略平面図である。
図7は、図1のアナライザで役に立ち、本発明を実施する際に役に立つ容器シャトルの斜視図である。
図8は、図1のアナライザで役に立ち、本発明を実施する際に役に立つ容器トレイ・シャトルの斜視図である。
【0007】
図1は、図2と共に、本発明を有利に実行できる自動化学アナライザ10の諸要素を概略的に示している。このアナライザ10は、キュベット・ポート20を形成した外側キュベット回転コンベヤ14と、容器ポート22を形成した内側キュベット回転コンベヤ16とを支持している反応回転コンベヤ12を含む。外側キュベット回転コンベヤ14と内側キュベット回転コンベヤ16は開放溝18によって分離されている。キュベット・ポート20は、本発明の譲受人に譲渡された審査係属中の米国特許出願番号09/949,132に開示されているような複数の反応キュベット24を受け入れるようになっている。反応キュベットは、在来の臨床評価分析および免疫測定評価分析のための種々の試薬およびサンプル液を収容している。一方、容器ポート22は、超高感度発光免疫測定専用の試薬を収容している複数の反応容器25を受け入れるようになっている。反応回転コンベヤ12は、一定方向に段階的に移動するように回転可能である。この段階的移動は一定の停止時間によって分けてあり、この停止時間中、回転コンベヤ12は静止状態に保たれ、センサ、試薬添加ステーション、混合ステーションなどのようなコンピュータ制御される評価分析操作装置13が、必要に応じて、キュベット24および反応容器25内に収容されている評価分析混合物に作用する。
【0008】
アナライザ10は、イリノイ州ディアフィールドのDade Behring Inc.の販売しているDimension(登録商標)臨床化学アナライザで使用されており、コンピュータ・ベースの電気機械制御プログラミングの分野で当業者によって、広く使用されているような機械語で書かれたコンピュータ・プログラムに基づいてコンピュータ15により実行されるソフトウェアによって制御される。コンピュータ15は、アナライザ10内の種々の分析手段17によって行われる評価分析を実施するためのアプリケーション・ソフトウェア・プログラムも実行する。コンピュータ15は、公知のインタフェース・ソフトウェア・アプリケーションを使用して臨床検査情報システム(LIS)および/または病院情報システム(HIS)と相互連携しており、検査室作業員が、必要に応じて、患者、患者評価分析リクエスト、評価分析結果、アナライザ状況などに関する情報に直接アクセスすることができる。
【0009】
温度制御された試薬保管領域26、27及び28が図3Aに示すように複数の細長い多区画試薬容器30を格納しており、これらの試薬容器30は、多数のウェル32内に所与の評価分析を実施するのに必要な試薬を収容している。各ウェルは、3.4ミリリットルほどの所与の試薬を収容している。試薬容器30は、それが新しくて未使用であるかどうか、または、それが既に使用されていて、最初にアナライザ上へ置いたときはいつでも汚染されるおそれがあるかどうかをアナライザ10が自動的に決定するのを可能にする特徴を有する。図3Bは、較正溶液バイアル30V内に既知の被検物質濃度の較正溶液を収容している較正バイアル・キャリア30Aを示しており、これらの溶液は、アナライザ10内で周知の較正、品質管理手順を行うのに使用される。較正バイアル・キャリア30Aは、また、アナライザ10の試薬保管領域26、27及び28内に格納される。
【0010】
入力レーン34Aおよび出力レーン34Bを有する双方向装入・送出サンプル・チューブ移送システム36が、試験しようとしている検体液を収容し、サンプル・チューブ・ラック42内に装着された個々の装入サンプル・チューブ40を液体サンプル採取アーム44のサンプル採取円弧内へ移送する。サンプル・チューブ40に収容された検体液は、その上に取り付けられたバーコード記号を在来のバーコードリーダを用いて読み取ることにより識別され、項目の中でも特に患者の身元、実施されるべき検査、サンプル・アリコートをアナライザ10内に保持すべきであるかどうか、その場合にどのくらいの期間保持するかという諸点を決定する。また、サンプル・チューブ・ラック42上にバーコード記号を設け、アナライザ10全体にわたって据え付けた多数の在来のバーコードリーダを使用してサンプル・チューブ40およびサンプル・チューブ・ラック42の位置を確認、制御、追跡することもよく行われている。
【0011】
サンプル採取アーム44は、回転可能シャフト48に装着された液体サンプル採取プローブ46を支持しており、サンプル採取アーム44の動きは、図4に示すように、サンプル・チューブ移送システム36およびアリコート容器アレイ移送システム50を横切る円弧を描くようになっている。サンプル採取アーム44は、サンプル・チューブ40から液体サンプルを吸い込み、必要な評価分析を実施するのに必要なサンプルの量に応じて図5に示すようにアリコート容器アレイ52の複数の容器52Vのうちの1つまたはそれ以上にアリコート・サンプルを分配し、アナライザ10によって、環境室38内に保持されるべきサンプル・アリコートを提供するように作動可能である。
【0012】
アリコート容器アレイ移送システム50は、アリコート容器アレイ保管・分配モジュール56と、反応回転コンベヤ12に接近して設置したサンプル吸引・分配アーム54の下方にある多数のアリコート容器アレイ・トラック57内でアリコート容器アレイ52を双方向に移動させるようになっている多数のリニア駆動モータ58とを含む。サンプル吸引・分配アーム54は、コンピュータ15によって制御され、在来の液体プローブ54Pを使用してトラック57内のサンプル採取位置に位置した個々の容器52Vから制御量のサンプルを吸引するようになっている。次いで、液体プローブ54Pが分配位置に動かされ、ここにおいて、適量の吸引サンプルがキュベット・ポート20にある1つまたはそれ以上のキュベット24に分配され、1つまたはそれ以上の被検物質についてアナライザ10が検査を行う。サンプルが反応キュベット24に分配された後、在来の移送手段が、必要に応じて、アリコート容器アレイ移送システム50、環境室38、廃棄領域(図示せず)間でアリコート容器アレイ52を動かす。
【0013】
多数の試薬吸引・分配アーム60、61及び62(各々、少なくとも1つの在来型の液体試薬プローブ60P、61P及び62P)が、それぞれ、独立して装着してあり、それぞれ、試薬保管領域26、27及び28間で移動可能となっている。プローブ60P、61P及び62Pは、試薬添加位置で適切な試薬容器30のウェル32から指定評価分析を行うのに必要な試薬を吸引できる在来型の機構である。その後、プローブ60P、61P及び62Pは、試薬が反応キュベット24に分配される試薬分配位置に戻される。プローブ60P、61P及び62Pは、また、必要に応じて較正溶液バイアル30Vから較正溶液および制御溶液を吸引し、アナライザ10の適切な作業を確実にするのに必要な較正手順および制御手順を実行するのにも使用される。その後、プローブ60P、61P及び62Pは、溶液が反応キュベット24に分配され、分析手段17によって分析される較正溶液分配位置に戻される。
【0014】
反応キュベット装填ステーション61および反応容器装填ステーション63が、それぞれ、外側キュベット回転コンベヤ14および内側容器回転コンベヤ16に接近して設置してあり、たとえば移動可能なロボットアーム65を使用して、後に説明するように反応キュベット24を横向きにキュベット・ポート20に装填し、また、反応容器25を容器ポート22に装填するようになっている。操作に当たって、評価分析を最終的に行った使用済みのキュベット24は、本発明の譲受人に譲渡された審査係属中の米国特許出願番号10/623,360に開示されるように洗浄ステーション67で洗浄、乾燥させられる。
本発明の譲受人に譲渡された審査係属中の米国特許出願番号10/318,804に開示されているような理由のために他の指示がない限り、以降の評価分析が清掃された使用済みのキュベット24で行われる。キュベット取り出しステーション59が、再び装填ステーション61、63に示すような移動可能なロボットアーム65を使用してキュベット・ポート20から使用不可な反応キュベット24を取り出すようになっている。
【0015】
評価分析試薬および較正溶液を補給するために本方法を実施すべく、アナライザ10は、図6に示す単一の双方向リニア容器シャトル72を含み、この容器シャトル72は、その下方の装填位置に容器30および較正バイアル・キャリア30Aを自動的に位置決めするモータ駆動式レーキ73を有する容器装填トレイ29から試薬容器30および較正バイアル・キャリア30Aを取り出すようになっている。シャトル72は、さらに、試薬保管領域27または28内の少なくとも1つのスロット付き試薬容器トレイ27Tまたは28Tのスロットに試薬容器30または較正バイアル・キャリア30Aをそれぞれ配置するようにもなっている。同様にして、シャトル72は、さらにまた、試薬容器トレイ27T、28Tから試薬容器30または較正バイアル・キャリア30Aを取り出し、試薬保管領域26内の2つの同心の試薬用回転コンベヤ26A、26Bのいずれかにこれらの試薬容器30または較正バイアル・キャリア30Aを配置するようになっている。シャトル72は、また、2つの同心の試薬用回転コンベヤ26A、26B間で試薬容器30および較正バイアル・キャリア30Aを移動させるようにもなっている。双頭円弧状矢印で示すように、試薬用回転コンベヤ26Aは、左右両方向に回転してそこに配置された試薬容器30のうちの任意特定のものを試薬吸引アーム60下方に置くことができる。試薬用回転コンベヤ26Bは、試薬吸引アーム60、62によってアクセスできる試薬容器30および較正バイアル・キャリア30Aを収容してもよいが、過剰な在庫の試薬容器30および較正バイアル・キャリア30Aだけを格納するようになっていると好ましい。試薬容器トレイ27T、28T内に配置された試薬容器30のうち任意のものを、試薬保管領域27、28の中の試薬容器シャトル27S、28Sによって試薬容器シャトル72下方にある装填位置または吸引・分配アーム61、62下方の試薬吸引位置にそれぞれ位置決めすることができる。試薬吸引アーム60、62は点線で示してあって、回転コンベヤ26Bに格納された試薬容器30、試薬容器トレイ27T、28Tの表面上方にそれぞれ位置していることを表している。外側キュベット回転コンベヤ14に支持された反応キュベット24も点線で示してあるが、これは試薬容器30の表面よりも上方に位置していることを同様に表している。図6に示すような容器シャトル・システムは、本発明の譲受人に譲渡された審査係属中の米国特許出願番号10/623,310に記載されている。
【0016】
図7に示す容器シャトルは、本発明の譲受人に譲渡された審査係属中の米国特許出願番号10/623,311に開示されている自動テンショナ72Tによって、モータ72Mで駆動される駆動ベルト72Bの未知の長さ変化を自動的に補正するようになっており、また、駆動方向の急な変化にも関わらず駆動ベルト72Bを一定の張力に維持するようになっている。その結果、クランプ72Cによって駆動ベルト72Bに取り付けられた試薬容器30および較正バイアル・キャリア30Aは、双頭矢印でしめすような駆動ベルト72Bの方向に沿って正確に位置決めすることができ、駆動ベルト72Bが摩滅したときに試薬容器シャトル72下方または保管領域26、27または28内の意図した位置に配置できる。試薬容器シャトル27S、28Sは、設計が互いに類似しており、図8に示すように、駆動ベルト28Bの一方の脚部に固定してあって、双頭矢印で示すように駆動ベルト28Bの方向に沿って前後に自由に駆動される試薬容器トレイ28Tを含む。したがって、トレイ28Tのスロット内にある試薬容器30を容器シャトル72下方にあるピックアップ位置に自動的に位置決めすることができる。
【0017】
アナライザ10についての先の説明から当業者にとって明らかなように、コンピュータ15の制御下でのアナライザ10能力には、容器装填トレイ29、試薬容器トレイ27T、28T、試薬用回転コンベヤ26A、26B間で試薬容器30および較正バイアル・キャリア30Aを自動的に移動させるという能力がある。試薬用回転コンベヤ26A、26Bの能力と組み合わせて、試薬吸引アーム60P、61P及び62Pの下方に任意の試薬容器30または較正バイアル・キャリア30Aを設置できるようにシャトル27S、28Sによってアナライザ10は、さらに、プローブ61P、62Pによって試薬容器トレイ27T、28T内の試薬容器30および較正バイアル容器を適切な吸引位置(または、シャトル72下方の装填位置)へそれぞれ移動させることができる。アナライザ10は、したがって、多数の異なった試薬および較正溶液を異なった吸引位置に位置決めするという融通性を持った自動ランダム・アクセス試薬・較正溶液補給システムを含む。
【0018】
アナライザ10内で最適な評価分析処理量を維持する際における主たる要因は、内部の試薬が使い尽くされるようになる前に試薬保管領域26、27及び28内に試薬容器30を適切な時機に補給する能力である。較正と較正間の時間、直前の較正からの実施された評価分析の数、正常範囲から外れた評価分析結果の数、あるいはアナライザの性能の変化のいずれかをベースにして、必要に応じて較正手順および管理手順を行い得るように内部に収容されている溶液が使い尽くされるようになる前にバイアル・キャリア30Aに適切な時機に較正溶液および品質管理溶液を補給する能力も同様に重要である。使い尽くされる前に較正手順および管理手順で使用される付加的な必要のある較正溶液および品質管理溶液(便宜上本明細書では標準化学溶液と呼ぶ)を適切な時機にアナライザ10に与え、中断せずにアナライザ10の評価分析処理量を維持することによってこのチャレンジに応じることができる。
【0019】
評価分析処理能力の継続性を維持するために、本発明が教示するように、コンピュータ15は、時間経過に沿った試薬および評価分析化学溶液の消費量、および各試薬容器30毎の消費されたすべての試薬の消費日、および、特に定めた時間周期についての、試薬容器当り、較正バイアル容器当り、品質管理容器当り、評価分析当り、および較正基準当りの各バイアル・キャリア30A毎の消費された評価分析化学溶液の量を追跡するようにプログラムする。この消費量データ、時間および既に保管領域26、27及び28内に装填してある標準化学溶液についての試薬容器30および較正バイアル・キャリア30Aの現在の在庫データを用いることによって、コンピュータ15は、特に定めた時間周期についての将来の評価分析在庫需要を決定するように特に定めた時間周期についての在庫需要分析を行い、試薬容器30および較正/品質管理バイアル・キャリア30Aが実際に必要となる前に将来の適切な時機に必要となる試薬容器30および較正/品質管理バイアル・キャリア30Aすべてのリストをオペレータに表示または発行するようにプログラムする。いくつかの例では、試薬容器30の試薬は、使用前に水和するか希釈しなければならず、このような時間要因も在庫需要分析に含まなければならない。オペレータによる前記試薬容器30および較正/品質管理バイアル・キャリア30Aの追加は、アナライザ10の将来の必要に合わせた充分な試薬、較正溶液供給を保証する。
【0020】
本明細書の読者には明らかなように、特に定めた時間周期についての在庫需要分析を行うことは、特に定めた時間周期にわたって平均した在庫需要分析を使用することとは対照的に、本発明を実践する際の主要な要因である。それで発見されたのは、たとえば月曜日の評価分析需要負荷パターンが、たとえば木曜日の評価分析需要負荷パターンから非常に異なっている可能性があるということである。さらに、たとえば所与の火曜日の評価分析需要負荷パターンが、どうも以前の何回かの火曜日の需要負荷パターンと非常に類似したものになりそうだということも発見されている。特に定めた時間周期の評価分析需要負荷分析の根拠は、いくつかの要因によるが、とりわけ、たとえば、代表的には週末にあるスポーツ行事、および/または休日に増える社交行事などの或る範囲の社会的慣行による。さらに、効率の理由のために、或る種の臨床検査室は、選んだ評価分析、たとえば、週の中程の或る日にPSA検査を行うとかのスケジュールを組み、また、或る種の通院患者検査(たとえば、糖検査)を週の始めにスケジュールに入れるとかする。最後に、或る外科医のスケジュールでは、週の始めに選んだタイプの手術を行い、他のタイプの手術を週末近くに行うので、手術前患者評価分析について日々のパターンが異なることになる。さらに評価分析需要負荷パターンに関与するのは、たとえば、検査室が地方コミュニティよりもトラウマがありそうな都市コミュニティを取り扱っているかどうか、検査室が医学研究大学の役に立っているかどうか、検査室が小児科病院のような専門病院に役に立っているかどうかなどに応じて異なった試験所が異なった評価分析需要パターンを有するという事実である。
【0021】
定期的という基準、たとえば毎日という基準に基づいて、本発明が教示するように、化学溶液消費量データは、また、臨床検査情報システム(LIS)または病院情報管理システム(HIS)内で置かれる外部コンピュータ・システムにも、または遠隔の試薬容器30および較正/品質管理バイアル30Aの製造業者の製造業者情報システム(MIS)にも送られる。外部コンピュータ・システムは、将来の使用のために試薬容器30の試薬およびバイアル・キャリア30Aの標準化学溶液をローカルな在庫において確実に利用できるように消費量データを使用して、適切な時機に試薬容器30およびバイアル・キャリア30Aの再注文するニーズを決定する。本発明の好ましい実施形態においては、試薬容器30、バイアル・キャリア30Aの消費量データを試薬容器30および較正バイアル・キャリア30Aの製造業者が使用し、製造業者の出荷データと比較して再注文量を決定する。製造業者は、継続的な供給を確保すべく、必要に応じて、アナライザ10のある場所へ自動的に追加の試薬容器30、較正バイアル・キャリア30Aを出荷する。
【0022】
女性患者に専門化している病院に据え付けたアナライザ10の例では、表1の第2欄に掲げてある最初の8つの評価分析は、一般的に、残り16の評価分析よりもしばしば2回行う必要がある。これらの評価分析についての需要は、一般的に、アメリカ合衆国の病院で40〜80%であり、或る種の例では、いくつかのヨーロッパ諸国の需要負荷の100%である。それと対照的に、残り16の評価分析を求める需要は、一般的に、アメリカ合衆国、いくつかのヨーロッパ諸国両方の病院においては5〜30%となる。病院および検査室で扱われる個体群のために、そして、その個体群の活動およびその個体群の環境が一般的に特に定めた時間周期ベースで一定であるかまたは非常にゆっくりと変化するため、特に定めた時間周期についての将来の評価分析需要にかなり正確な履歴パターンが応じ得る。特に定めた時間周期についての評価分析需要および表1の第1欄に示すような、代表的な試薬容器30を使用して日常的に行うことができる評価分析の数に関するデータを与えた場合、コンピュータ15は、アナライザ10上ですべての評価分析の連続的な処理能力を維持することを要求された試薬容器30およびバイアル・キャリア30Aが、実際に、試薬保管領域26、27または28のうちの1つで適切な時機に利用可能となるように、たとえば12時間後に容器装填トレイ29に置くことを要求されることになっている試薬容器30およびバイアル・キャリア30Aを特定するメッセージをオペレータに表示または発行するようにプログラムされる。
【0023】
【表1】

【0024】
本発明の或る実施形態例においては、特に定めた時間周期は、一週間のうちの7日に対応する24時間の時間周期である。従来は、これらは月曜日、火曜日などと呼ばれることになる。本発明によれば、たとえば月曜日に、コンピュータ15は、コンピュータ15の記憶装置に保持されている評価分析の履歴記録内から以前の4回の火曜日についての評価分析需要パターンを調べ、これら以前の4回の火曜日についての評価分析需要パターンを数学的に平均化してアナライザ10が実施するように準備したすべての評価分析についての火曜日の平均評価分析需要を作成し、数学的に平均化した分析に基づいて個々の評価分析毎に3つの標準偏差を加えることになる。こうして得た評価分析需要パターンは、火曜日に発生すると予測された予想火曜日評価分析需要パターンであり、また、較正および品質管理溶液の需要も含むことになる。コンピュータ15は、さらに、月曜日に保管領域26、27及び28内に既に存在している試薬容器30内の試薬およびバイアル30V内の較正・品質管理溶液のオンボード在庫量を検査するようにもプログラムされる。次に、コンピュータ15は、予想火曜日評価分析需要パターンと、試薬および較正・品質管理溶液の月曜日オンボード在庫量との差を決定して火曜日にトレイ29に置く必要のある試薬容器30およびバイアル・キャリア30Aを特定し、その結果、アナライザ10が火曜日評価分析需要パターンを実行するための試薬および較正・品質管理容器の完全な在庫を備えることになるようにプログラムされる。最後に、コンピュータ15は、火曜日にトレイ29にオペレータが置く必要のある試薬容器30およびバイアル・キャリア30Aを特定するメッセージを月曜日にオペレータに表示するようにプログラムされる。火曜日に、オペレータは、在来の保管ユニットからトレイ29に置く必要のある試薬容器30およびバイアル・キャリア30Aを獲得し、それらをトレイ29に置く。代表的には、上記の分析は、試薬および較正・品質管理溶液の在庫レベルに関して可能な限り最も正確な情報を使用するために、そして、翌日の朝または或る特定の作業シフトの始めに容器装填トレイ29に置く必要のある試薬容器30およびバイアル・キャリア30Aをオペレータが得るのに充分な時間を利用できるように、出勤日の終り近くまたは或る特定の作業シフトの終りに行われる可能性がある。
【0025】
本発明の非常に簡略化した説明が表2に示してある。この表2において、前4回の火曜日での、それぞれ1255、1140及び1050である総CO2量、クレアチニン、BUNについての最新履歴火曜日特定評価分析需要を使って平均評価分析需要を月曜日に行っている。総CO2量、クレアチニンおよびBUNの評価分析を実施するのに必要な試薬を収容している異なった試薬容器30の1つ毎において行うことができる評価分析の回数を考慮し、そして、示した異なった試薬容器30のオンボード在庫量を考慮すると、総CO2量についての1つの付加的な試薬容器30が火曜日について必要とされ、そして、クレアチニンおよびBUNについての2つの付加的な試薬容器30が火曜日について必要とされることは明らかである。この情報は、必要な異なった試薬容器30が、適切な時機にアナライザのトレイ29に供給され、必要に応じて図6に示すようなシャトル・システムによってアナライザ10を通じて往復動させられてアナライザ内で連続処理能力を維持するように上記の通りに提供される。
【0026】
【表2】

【0027】
よって、試薬および較正・品質管理溶液を補給するための本方法のこの実施形態は、本発明によってアナライザ10が水曜日評価分析パターンを実行するための試薬および較正・品質管理溶液の完全な在庫を備えることが可能であるように火曜日に繰り返され、前4回の水曜日についての評価分析需要パターンを数学的に平均してアナライザ10が実施することになっているすべての評価分析についての水曜日の平均評価分析需要を創り出す。この特に定めた時間周期の評価分析需要分析・補給方法は、週を通じて毎日絶えず実行され、週単位で繰り返される。
【0028】
当業者には明らかなように、数多くの変更を上記の方法で行うことができるが、それでもなお本発明の本質を達成できる。異なった特に定めた時間周期を定義してもよいし、または、以前と同じ特に定めた時間周期を使用してこの特に定めた時間周期についての平均評価分析需要を算出してもよく、また、他の変更を使用してもよく、それでもなお開示した方法の範囲内にあり得る。これらの理由により、本発明は、本明細書で明示し、説明した実施形態に限定されることがなく、特許請求の範囲によって、のみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明が有効に使用され得る自動アナライザの概略平面図である。
【図2】図1のアナライザの一部拡大概略平面図である。
【図3A】図1のアナライザで役に立ち、本発明を実施する際に役に立つ試薬容器の斜視図である。
【図3B】図1のアナライザで役に立ち、本発明を実施する際に役に立つ較正溶液バイアル容器の斜視図である。
【図4】図1のアナライザで役に立つアリコート容器アレイ保管・取り扱いユニットの斜視図である。
【図5】図1のアナライザで役に立つアリコート容器アレイの斜視図である。
【図6】図1のアナライザで役に立ち、本発明を実施する際に役に立つ容器移送システムの概略平面図である。
【図7】図1のアナライザで役に立ち、本発明を実施する際に役に立つ容器シャトルの斜視図である。
【図8】図1のアナライザで役に立ち、本発明を実施する際に役に立つ容器トレイ・シャトルの斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動臨床アナライザにオンボード在庫管理した試薬を補給する方法であって、
一連の特に定めた時間周期にわたる評価分析についてのアナライザに記録された評価分析需要パターンを平均すること;
特に定めた時間周期の次に続く特に定めた時間周期に先立って、平均した評価分析需要パターンをアナライザにオンボード在庫管理した試薬と比較し、それにより一連の特に定めた時間周期の次に続く時間周期の前にどの試薬が使い尽くされると予測されるかを決定すること;および
アナライザ内での試薬の連続した供給を確保するために適切な措置を取ること;
による上記方法。
【請求項2】
自動臨床アナライザにオンボード在庫管理した標準化学溶液を補給する方法であって、 一連の特に定めた時間周期にわたる較正および管理手順についてのアナライザに記録された較正および管理手順需要パターンを平均すること;
特に定めた時間周期の次に続く特に定めた時間周期に先立って、平均した較正および管理手順需要パターンをアナライザにオンボード在庫管理した標準化学溶液と比較し、それにより一連の特に定めた時間周期の次に続く時間周期の前にどの標準化学溶液が使い尽くされると予測されるかを決定すること;および
アナライザ内での標準化学溶液の連続した供給を確保するために適切な措置を取ること;
による上記方法。
【請求項3】
適切な措置が、使い尽くされると予測され、補給することが必要である試薬のタイプまたは数を特定する警告メッセージを、オペレータに表示することまたは発行することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
適切な措置が、使い尽くされると予測され、補給される必要がある試薬のタイプまたは数を特定する警告メッセージを、アナライザを設置したLISまたはHISに表示することまたは発行することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
適切な措置が、使い尽くされると予測され、補給される必要がある試薬のタイプまたは数を特定する警告メッセージを、MISに表示することまたは発行することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
一連の特に定めた時間周期が、多くの24時間の期間を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
特に定めた時間周期が、週の7つの異なる日を含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
需要パターンを分析することが、時間経過に沿った試薬および較正溶液の消費量、並びに試薬容器当り、較正バイアル容器当り、評価分析当り、および較正基準当りの消費されたすべての試薬の消費日を追跡することを含む、請求項1記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−524080(P2007−524080A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520356(P2006−520356)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/022842
【国際公開番号】WO2005/010491
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(500029718)デイド・ベーリング・インコーポレイテッド (20)
【氏名又は名称原語表記】DADE BEHRING INC.
【Fターム(参考)】