説明

自動臨床アナライザにおける患者サンプルの自動保管及び再処理システム

或る期間自動臨床アナライザの環境的に制御された条件で一時保管部に保持されたサンプル・アリコートを、操作者の介入を必要とすることなく、自動的に検査するシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体サンプルを処理するための、特に尿、血清、血漿、脳脊髄液などの体液を処理するための自動臨床アナライザに関する。特に、本発明は、操作者の介入なしに自動臨床アナライザ中の制御された環境内に保管された患者の原サンプルを自動的に再検査または付加検査を行う方法および装置を提供する。
【背景技術】
【0002】
尿、血清、血漿、脳脊髄液などの体液の化学測定、免疫測定を行う完全自動診断アナライザは市販されている。一般的に、サンプル中の測定しようとしている被検物質と評価分析中の試薬との反応により、計器によって測定することができる或る種の信号が発生し、この信号から患者サンプル内の被検物質の濃度を算出することができる。診断アナライザは、一般に、多種の処理ステーションを使用する。これらの処理ステーションにおいて、サンプルと試薬の添加、混合、洗浄、分離などの作業が行われる。このようなアナライザでは、自動臨床アナライザを用いて得た結果の正確さ(accuracy)が種々の評価分析プロセス段階を実施する際に使用される種々の試薬およびサンプル分析手順によって、特に測定技術によって悪影響を受けることがないように多大の努力が費やされている。高処理量および分析の正確さを維持する課題を含めて、複雑な免疫評価分析の自動処理に多くの努力が払われていることは知られている。しかしながら、先行技術で見過されてきたのは、免疫評価分析の正確さ、精密さ(precision)および処理量が強調されたにもかかわらず、最も大きい潜在的なエラー源のいくつが、サンプル収集法およびサンプル取り扱い方法に関係しており、さらにはサンプルを採取される前の患者の扱い方にさえ関係しているということである。
【0003】
たとえば、手術の前後に患者のトランスフェリン・レベルを測定する場合、術後ストレスから簡単にレベル変化が生じる可能性があり、このような変化は、もし原サンプルを再検査に利用できたならば決して到達することはない誤った結論に導くことがあり得る。この例では、トランスフェリンは約3時間後に低下する可能性があり、その後直ぐにフェリチンが上昇し始める。甲状腺ホルモン濃度が手術後に抑制されることも多い。
【0004】
個人の摂食状態が、原サンプルを再検査のために利用できたならば決して到達しているはずのない結論の原因となることもあり得る。脂肪食の後に脂質レベルが変化すること、肝臓酵素がアルコール摂取によって影響を受けること、レニン・アルドステロン・アンギオテンシン系が姿勢によって強く影響を受けること、経口避妊薬がチロキシンおよびコルチゾールに対する影響を含め多くの結合タンパク質に顕著な影響を与えることは知られている。
【0005】
2回目の患者サンプルが適切に採集されなかった場合にも、免疫評価分析結果について解釈の誤りが生じる可能性がある。乳房切除術が最近行われた身体側から採られたサンプルは、リンパうっ滞のために患者の健康状態を正しく表していない可能性がある。他の例としては、注射針と、トリス(2−ブトキシ−エチル)のようなプラスチック製のゴム栓を有する使用した、一次サンプル・チューブによって2回目の患者サンプルを採取した場合、栓自体を原因としてタンパク結合部位からのいくつかの薬物および他の被検物質の置換(displacement)が生じ、その結果、赤血球と血漿間の再分布を引き起こす可能性がある。さらにまた、尿サンプル収集にかかわる予測できない変化もよく知られている。
【0006】
このような例においては、最も大きい潜在的なエラー源のいくつが、検体収集法および検体取り扱い方法に関係しており、さらには検体を採取する前の患者の扱い方にさえ関係している。さらに、先に検査したサンプルで同じ評価分析を繰り返すか、または別の評価分析を行うことが望ましい場合がある。たとえば、先に行なわれた評価分析の結果が、多数の「正常な」患者サンプルについて測定された「予測」検査結果の範囲からかなり外れている場合、確認のために2回目の評価分析を繰り返すことが望ましい場合がある。これらの理由により、サンプルのアリコート部分を分析した後しばらく制御された環境で患者の原サンプルを保管することが多い。
【0007】
さらに、評価分析結果は、リフレックス検査またはスポーンド検査と呼ばれる、先に検査されたサンプルのアリコートについての付加的な検査評価分析を示唆するか要求する基盤となり得る。このリフレックス検査は、先の評価分析の結果に基づいてそれ以降の評価分析の選択を特定し、それに付随して検査を選択する際の人間の意思決定の必要性を排除し、実行しなければならない必要検査数を最小限に抑え、診断をより速く、より信頼できるものにするアルゴリズムによって確定することができる。このような特徴は、診断効果およびコスト効果と同等の意味があり、臨床化学での使用が普及している。したがって、患者の追加サンプルを再採取することとは対照的に全く同じ患者サンプルを評価するということが重要であるが、そうすれば患者の原サンプルを保管するという別の必要性が生じる。
【0008】
患者サンプルの自動保管および、取り出しを行う多くの市販システムは、検査室全自動化(TLA)に基づいている。TLAシステムは、代表的には、コンベヤ・システムを利用して一次サンプル・チューブを検査室のあちこちにある機器から機器へ移送し、後にアクセスできるように巨大な冷蔵庫にチューブを保管する。この概念では、コストがかかり、操作者の介入を伴い、かなり大きな床スペースを必要とする。
【0009】
CRSロボティックス・コーポレイションの製造する、SRSと呼ばれる保管・取り出し・廃棄処理システムは、一次サンプル・チューブを保管し、必要時に取り出す大型のスタンドアロン型自動システムである。操作者は、サンプルを分析機器に採取し、上乗せ検査(add−on−test)をスケジュールに入れなければならない。米国特許第6,068,437号にはこのようなシステムの典型例が示されており、サンプル容器を保管するための複数のラックを含有する保管領域が記載されている。このシステムでは、ラックが保管領域の全体にわたって移動することができ、保管領域の上端にある開口部からすべてのラックにアクセスできるようになっている。ロボット移送装置が使用可能で保管領域の選定ラックから、またはそれにサンプル容器を出し入れし、保管領域とハウジング上のバッファー領域との間、ならびにこのバッファー領域とハウジングに隣接して設けたコンベヤとの間でサンプル容器を移動させる。このコンベヤは、中にサンプル容器を収容したサンプル・キャリアを移送するタイプのものであり、バッファー領域にはサンプル容器の中間保管のためのラックが含まれる。
【0010】
あるいは、このような保管システムの出費を回避すると共にサンプルの利用能を促進するために患者サンプルをアナライザ自体に保管してもよい。これらの目的を達成すべく行われてきた多大の努力は、最新のアナライザの種々の側面を検討することで明らかとなる。
【0011】
米国特許第6、793、888号には、空の容器を供給するためのピックアンドプレイス機構を備えたサンプル・アリコート保管ホイールと、サンプルをサンプル・チューブから吸引し、保管ホイール上の空の容器にサンプルを等分に分配するサンプル・ピペッタが記載されている。このサンプル・アリコート保管ユニットは、前記サンプル保管ホイール上の保管環境を制御する冷却装置、ならびにサンプル容器を等分分配ステーションによるアクセス用に位置決めするようホイールを駆動するための、およびサンプル・アリコートを含有しているサンプル容器を保管ホイールに輸送して戻すための、手段を有する。
【0012】
米国特許第5,964,095号には、エンクロージャによって密閉された環状ラックを保持する保管容器が開示されている。このエンクロージャは、外側の固定トロイドと回転可能なコアとを包含する。移動可能なロボットアームがコアによって支持されている。このロボットアームはエンクロージャの内部にアクセスすることができる。アクセス入口により、ホルダによって拘束された熱に不安定な製品の取り出しおよび配置が可能となっている。ロボットアームは、製品およびホルダにアクセスし、引き続いて取り出すまで製品およびラック内のその位置の制御凍結を開始する。コンピュータが保管された製品すべての位置をメモリに蓄積する。ロボットアームは、保管中の製品を読み出し、正しい製品にアクセスしているかを確認する。
【0013】
米国特許第5,921,102号には、チャンバ内部に配置してあって複数のサンプルを所定のアレイに支持するキャリアと、ハウジング上にあって、キャリアからのまたはそれへのサンプルの出し入れのためにチャンバへのアクセスを可能にするアクセス・ポートとを備えた保管チャンバが記載されている。アクセス・ポートは、ハウジング内の開口を含み、ドライブがキャリアを移動させてアクセス・ポートに種々のサンプルを並置する。あるいは、出し入れ機構が、作業中にアクセス・ポートを介してチャンバから、またはそれにサンプルを出し入れする。
【0014】
米国特許第5,233,844号には、保管チャンバと、薄切りパイ形(pie−slice−shaped)の開口を有する環状棚の形状をしており、チャンバ内部に重ねて配置された複数のサンプル・キャリアとを記載されている。回転駆動装置が、キャリアに作動可能に連結してあって、キャリアを垂直軸線まわりに個別に回転させる。作動中、すべての棚(標的棚を除いて)のすべての開口部をアクセス開口部と垂直方向に整列させ、出し入れ機構が、開口を経てチャンバから、またはそれにサンプルを交互に出し入れするように機能する。このようなシステムには、異なったサンプルを抽出しようと望む毎にすべての棚を回転させて整列させなければならないという不利がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
これらの従来技術によるサンプル保存・取り出しシステムは、共通の目的を持っているが、再検査のためにアナライザに保管されたサンプルを直接供給することと組み合わせて保管サンプルへの効率的なランダムアクセスを可能にするという望ましい利点をなんら提供していない。
【課題を解決するための手段】
【0016】
先の一回目の検査に続いて同じ患者サンプルで二回目の検査を確実にすることに加えて、本発明の装置は、再検査または追加検査のためにアナライザに保管されたサンプルを直接供給することと組み合わせて、操作者の介入を必要とすることなく保管サンプルへの効率的なランダムアクセスを可能にする。本発明は、自動臨床アナライザの環境的に制御された状況で一時的な保管部に保持されているサンプル・アリコートの二回目の検査サンプルを自動的に再処理するためのシステムを提供する。このアナライザは、コンピュータ制御・作動式であり、アリコート・アレイ検査サンプル採取トラックに置かれたアリコート・アレイを有し、これらのアレイは患者の原サンプル容器のアリコート・サンプル部分を含有する。環境的に制御されたチャンバ内にアリコート・アレイを保管するためにアリコート・アレイ保管ラックが設けてあり、エレベータ様の装置が、チャンバ内に保管ラックを置き、またはチャンバからそれらを取り出す。保管後、アリコート・アレイは検査サンプル採取トラック上に再設置され、検査サンプル部分がアリコート・アレイ内のサンプル・アリコート部分から吸引され、検査用に分配される。
【0017】
検査すべき入って来るサンプルは、たとえば原サンプル容器に設けたバーコード記号によって確認され、項目の中でもとりわけ患者のIDが確認される。患者のIDに基づいて、コンピュータ制御式アナライザは、多数の必要な評価分析を行ない、所定イベントの完了後、指定期間患者の原サンプルのアリコート部分を保持するように作動する。2つの原アリコート・サンプル部分を原サンプル容器から吸引し、そして、本発明の一実施形態に従って、アリコート・アレイ中の2つの個別のウェル内に分配してもよい。次いで、検査サンプル流体、すなわち検査サンプルをウェルのいずれか一方または両方から吸引し、アナライザによって分析する。検査サンプルの吸引後、アリコート・アレイは、制御された環境条件の下でアナライザ内の保管コンパートメントに保持される。たとえば、リフレックス検査を提供するため、または非常に異常な分析結果後に検査を繰り返すイベントにおいて、一回目の検査サンプルについての検査が完了した後に患者サンプルを再検査または追加検査することが望ましくなる場合、原アリコート・サンプル部分を含有するアリコート・アレイを、本発明のランダムアクセス環境保管チャンバを使用して制御された環境保管部から取り出し、適切なウェルから検査サンプルを吸引し、操作者の介入なしに再検査する。再検査における効率および操作者介入の排除に加えて、本発明は、サンプル採集の繰り返しの際に存在する潜在的なエラー源を完全に排除しないまでも最小限に抑えて検査すべく同じ患者の原サンプルを提供する。
【0018】
本発明は、本出願の一部をなす添付図面と関連して行う以下の詳細な説明からより完全に理解して貰えよう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明を有利に利用できる自動アナライザの概略平面図である。
【図2】図1のアナライザに有用なアリコート・アレイである。
【図3】図1に見られるような自動臨床アナライザにおいて患者サンプルを自動的に保管、再検査するための本発明の自動サンプル保管・再検査システム典型例の透視図である。
【図4】図3の装置の部分的な透視図であり、図2に見られるようなアリコート・アレイをアリコート・アレイ移送部材を介して図3のサンプル保管・再検査システムのアリコート・アレイ保管ラック内への自動移送を示す。
【図5】図4の装置の透視図であり、制御された環境チャンバから、またはそれに部分的に出し入れされるサンプル保管ラックを示す。
【図6】図4の装置の透視図であり、図4の装置の制御された環境チャンバ内から、またはそれに部分的に取り出されたり、その中に完全に収容されたりしているサンプル保管ラックを示す。
【図7】図4の制御された環境チャンバ内の装置に収容された保管ラックの断面図である。
【図8】図4の装置の透視図であり、図4の装置の制御された環境チャンバ内の回転可能な保管円形コンベヤ内に保管された3つのサンプル保管ラックを示す。
【図9】図8の回転可能な保管円形コンベヤの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明を有利に実施することができる在来の自動化学アナライザ10の諸要素を概略的に示している。このアナライザ10は、キュベット・ポート15の外側キュベット環14およびキュベット・ポート17の内側キュベット環16を支持している反応回転コンベヤ12と、を含む。外側キュベット環14および内側キュベット環16は、溝18によって隔てられている。キュベット・ポート15は、底部が閉じていて、試薬およびサンプル液の添加を可能にするための上部開口を有する開放式中央反応部分を有する、小さくて、平らな壁のU字形容器として典型的に成形される複数の反応キュベットを受け入れるように適合されている。キュベット・ポート17は、円い壁となっていることを除いて同じような複数の反応キュベットを受け入れるように適合されている。反応回転コンベヤ12は、一定速度で一定方向に段階的な動きを使って回転可能であり、この段階的な動きは一定の停止時間によって仕切られてあり、この停止時間中、回転コンベヤ12が静止状態に維持され、センサ、試薬添加ステーション、混合ステーションなどの個々のコンピュータ制御式電気機械装置20がよく知られた臨床評価分析で要求される作業を行なう。このような装置およびその制御、作業は、たとえば米国特許第5,876,668号、同第5,575,976号および同第5,482,861号およびそこで引用された参考文献に記載されている。
【0021】
3つの温度制御式試薬保管領域22、24、26は、それぞれ、所与の評価分析を行なうのに必要な試薬を収容する複数の試薬容器を保管している。シャトル手段(図示せず)が、個々のカートリッジをプローブ28、30、および32にそれぞれ移動させる。保管領域22および24は、便利には外側キュベット環14の円周の外に位置していてもよく、試薬保管領域26は、便利には内側キュベット環16の円周の内側に位置していてもよい。種々の評価分析手段21が、外側キュベット回転コンベヤ14の近くに位置しているとよく、これらは、よく知られたの分析技術を用いてサンプル液内の被検物質の存在を測定するのに用いることができる種々の波長の光でキュベット15への、またはそれからの光吸収または発光を測定するように適合されている。手段21は、典型的には、反応回転コンベヤ12が静止している間に任意の都合の良い時間間隔で検査測定を行なうようになっている光度測定装置21A、蛍光測定装置21Bまたは発光測定装置21Cを包含する。
【0022】
アナライザ10は、イリノイ州のディアフィールドのDade Behring Inc.が販売するDimension(R)臨床化学アナライザで使用され、コンピュータ・ベースの電気機械制御プログラミングの分野で当業者によって広範囲に使用されているような、機械語で書かれたソフトウェアに基づいてコンピュータ34によって制御される。コンピュータ34は、検査室員が必要に応じ患者、患者評価分析リクエスト、評価分析結果、アナライザ状況などに関する情報に即時にアクセスできるように公知のインタフェース・ソフトウェア・アプリケーションを使用して検査室情報システム(LIS)もしくは病院情報システム(HIS)またはこれら両方に連結している。コンピュータ34は、操作者インタフェース・モジュールを含み、このモジュールは、典型的には、キーボードおよびモニタもしくはフラットパネル・タッチ・ビューイング・スクリーンなどを含む。この上に、明細書に記載されているようなアナライザ10の作業状況についての情報を呼び出し、かつ表示することができ、またはこれによって、アナライザ10を自動制御して評価分析、および関連した作業を行ない、患者サンプルのID、および評価分析リクエスト、評価分析結果および所望のオンボード保管状態を与えられ得る。
【0023】
自動臨床アナライザに患者サンプルを自動的に保管、再検査するための本発明の典型的な方法および装置を明確に説明するために、本発明を実施しているときのアナライザ10の作業を以下に説明するが、多数のよく知られた電気機械作業を、プログラムしたコンピュータ34の制御の下に在来通りどのように行えるかについての詳細は説明しない。在来通りの作業とは、サンプル・ラックおよびチューブおよびアリコート・アレイの移動および設置を制御すること、サンプル採取アームおよびプローブによる液体吸引および分配作業、駆動モータ、回転モータ、抽出モータおよび持ち上げモータの整列および起動の調整、コンピュータ34に作業状況を送る際の近接センサ、位置センサ、バーコード・リーダの役割などであり、これらはこの技術分野ではよく知られており、入手容易な刊行物に記載されている。
【0024】
図1でわかるように、入って来る検査しようとする1つまたは複数のサンプルは、典型的には、装填レーン40aおよび送出レーン40bを含むサンプル・チューブ・ラック移送システム40によって移送可能なサンプル・チューブ・ラック38に支持されたサンプル容器またはサンプル・チューブ36に収容されている。サンプル・チューブ36上のバーコード記号は、在来のバーコード・リーダを使用して走査され、任意であるが項回の中でもとりわけ患者ID、行なうべき検査、後に説明する環境保管チャンバ42内にサンプル・アリコートを保持した方が良いかどうかを決定する。
【0025】
アリコート抽出プローブ44が、在来の液体吸引プローブを支持しており、回転自在に装着されていて、アリコート・プローブ44の動きは、図3に見られるサンプル・チューブ移送システム40およびアリコート・アレイ移送システム46によって移送される患者の原サンプル・チューブ36と交差する線を描く。アリコート・アレイ移送システム46は、DCS9146に記載されているものと同様のアリコート・アレイ保管・取り扱いユニット50を含み、このユニットは、図2に見られるものと同様のアリコート・アレイ48が、アリコート・アレイ在庫シャフト51内に収容された垂直方向に積み重なったアリコート・アレイ48から、中に形成された多数の平行なアリコート・アレイ検査サンプル採取トラック54を有する平らなアリコート・アレイ移送部材52上へ自動的に移送され得るように適合されている。アリコート・アレイ48の検査サンプル採取トラック54内への供給を容易にするのに往復動機構53を使用することができる。アリコート・アレイ48は基板上に規則正しく形成された開放ウェル49のアレイを有する。このウェルのアレイは、基板から対になった平行な側壁間を上方に延びている。また、アリコート・アレイ48は、短い前縁部分にバックラッシュ無しの引っかけ孔を有する。各アリコート・アレイ48は、マーク付けしてあり、たとえば機械読み取り可能マークを備えていて、その結果、コンピュータ34内の型どおりのコンピュータ支援式追跡プログラムを使用して、アレイ48のID、したがって各ウェル49内の各サンプル・アリコートのIDおよび位置を追跡し、かつ位置決めすることができる。場合により、アレイ48を、吸引プローブまわりを部分的にシールする働きをする隣接セグメントを形成しているI形、X形あるいは星形のスリットを有するリッドストック(lidstock)で覆ってもよい。双方向アリコート・アレイ駆動モータ55が、アレイ移送部材52の下方に設置してあり、これはコンピュータ34によって制御され、たとえば検査サンプル採取トラック54内の検査サンプル採取位置まで検査サンプル採取トラック54内を前後いずれかの方向に独立して移動できるモータ駆動ドーリ57によってアリコート・アレイ48を検査サンプル採取トラック54内を長手方向に往復動させるようになっている。
【0026】
アリコート・プローブ44は、コンピュータ34によって在来通りに制御され、必要な評価分析を行ない、環境チャンバ42内にアナライザ10によって保持するべき少なくとも1つのアリコート部分を与えるのに必要なサンプル量に応じて、サンプル液をサンプル・チューブ36から吸引し、患者の原サンプルの1つまたはそれ以上のアリコート部分をアリコート・アレイ48内の1つまたはそれ以上のウェル49内に分配する。図示実施形態においては、2つの個別のサンプル・アリコート部分がアリコート・アレイ48内の2つの個別のウェル49に分配される。患者の原サンプルのアリコート部分をウェル49に分配するのに続いて、駆動モータ55がコンピュータ34によって制御され、反応回転コンベヤ12(図1)に近接して位置する検査サンプル採取プローブ33の下方の容器アレイ・トラック54内の検査サンプル採取位置のところでアリコート・アレイ48を位置させる。次いで、検査サンプル採取プローブ33がコンピュータ34によって制御され、キュベット・ポート15、17内の反応キュベットに必要な検査サンプル分を吸引し、このサンプルについて決められた初期評価分析メニューを実施する。サンプルを反応キュベットに分配した後、アリコート・アレイ48が検査サンプル採取トラック54のうちの1つのトラック内にある間に、保管ラック・エレベータシステム60のアリコート・アレイ保管ラック58内の空のスロット59(図4および7に示してあり、後に説明する)を、固定軸駆動モータ・フレーム・ユニット61(図3)によってアリコート・アレイ48および検査サンプル採取トラック54と垂直方向に整列させ、次いでアレイ駆動モータ55がコンピュータ34によって制御され、後に説明するようなアリコート・アレイ保管システム62内に引き続き保管するためにアリコート・アレイ48をスロット57に挿入する(図4)。
【0027】
アリコート・アレイ保管システム62は、患者サンプルの再検査を迅速化し、容易にするためにアナライザ10の一体化部分として設けてあり、先の1回目の検査に続いて2回目の検査を行うために再検査が望ましいときにはいつでも同じ患者サンプルが確実に自動的に利用可能となるようにコンピュータ34によって操作される。図4〜9でわかるように、本発明のアリコート・アレイ保存システム62は、上部開口63を有する環境的に制御された保管コンパートメント42を備えており、ウェル49内に患者の原サンプルのアリコート部分を有するアリコート・アレイ48を収容しているアリコート・アレイ保管ラック58がこの上部開口63を通して垂直方向に並進可能なラッチ・アーム64として図示した昇降手段によって昇降され得るようになっている。保管コンパートメント42は、好ましくは、断熱頂部42Tを有する回転可能な断熱構造発泡体製ラック回転コンベヤ42Cと、回転コンベヤ42Cのホーム位置を示すようにならびに断熱頂板58Tを有する保管ラック58の存在を識別するように内部に光遮断センサを設けた一体の空気分配流路42Aとを包含する。在来の温度・湿度制御ユニットが保管コンパートメント42に接続してあり、内部環境を約−4℃から+20℃までの温度範囲内に維持すると共に、約80〜100%の相対湿度(非結露)の湿度範囲内に維持する。ラッチ・アーム64が、コンピュータ制御式垂直方向駆動手段に取り付けてあり、そこから直角に延びている。この垂直方向駆動手段は、典型的には、軸駆動モータ61Mによって駆動され、チャンバ42の上部外面に取り付けた軸駆動モータ/フレーム・ユニット61の頂部のところに位置した在来のネジ式駆動軸65を包含する。保管ラック58は、一対のノブ66(図6)を備えており、これらのノブは、ラッチ・アーム64の下面から垂下している一対の端部開放、底部開放のC字形フック67と係合することができる。図6は、説明の便宜上、チャンバ42内に完全に納まっている3つの保管ラック58と、軸駆動モータ/フレーム・ユニット61の例示位置のところで部分的に取り出した1つの保管ラック58とを示している。環境チャンバ42の重要な特徴は、適切な伝動装置によってラック回転コンベヤ42Cに連結されたチャンバ・ステッピング・モータ68であり、かつコンピュータ34によって制御されてチャンバ42内に4つの保管ラック58を円形パターンで収容する。ラック回転コンベヤ42Cは、たとえば、ステッピング・モータ68によって外部ベルト駆動部を介して回転可能であり、その結果、ラック58のうちの任意の1つが開口63およびラッチ・アーム64の下方の垂直方向整列位置に位置することができる。ノブ66は、ラック58が回転するにつれてC字形フック67内のロック位置に摺動可能であり、したがって、ラッチ・アーム64による環境チャンバ42からの保管ラック58の取り出しを確保することが可能になる。
【0028】
軸駆動モータ61は、コンピュータ34によって制御されて、軸65に取り付けたラッチ・アーム64により、回転コンベヤ42Cの内部から保管ラック58をチャンバ42上方の多数の階段的な高さまで垂直方向に取り出すことができる。段階的高さの各々は、容器アレイ検査サンプル採取トラック54との一連の平行整列高さに相当する。本発明によれば、保管ラック58は、多数の位置に垂直方向に位置決めすることができる。これらの位置のところで、対応する数のアリコート・アレイ48が、コンピュータ34の制御の下に作動するアレイ移送部材46のアレイ駆動モータ55によって多数の閉じ込め保管スロット59内に単数で挿入され得る。スロット59は、垂直方向に向いた外部保管装置ラック・レール70の内面、および垂直方向に向いた中央保管ラック・レール71の2つの対向した内面に形成された、対になった平行で水平方向的に隔たったトラック69によって形成される(図7)。重要なのは、保管ラック58の断面図である図7で最も良くわかるように、保管ラック58が、互いに間隔を置いて設けた2つの外部レール70と2つの内部レール71を含み、各々がトラック59間に1つのアリコート・アレイ48を保持する寸法となっている3つのアリコート・アレイ保管シャフト72を形成しているということである。また重要なのは、アリコート・アレイ保管シャフト72も、容器アレイ検査サンプル採取トラック54と同様に同じ距離隔たっており、その結果、3つのアリコート・アレイ保管シャフト72が容器アレイ検査サンプル採取トラック54のうちの対応するものと整列させることができるということである(図4A)。したがって、アリコート・アレイ保管シャフト72を、アレイ駆動モータ55によってアリコート・アレイ移送部材46のアリコート・アレイ検査サンプル採取トラック54に作動可能状態で接続することができ、その結果、保管ラック58およびサンプル採取トラック54を、アリコート・アレイ48をサンプル採取トラック54に直接挿入するように接続することができる。
【0029】
図8は、環境チャンバ42内に入れにされた円形コンベヤ42C内の保管された3つの保管ラック58を示す図である。円形コンベヤ42Cは、円形コンベア42Cの外壁面75内で、まわりに円形トラフ74が形成された開放式の中央コア73を含むように示してある。図9は、多数の一体の空気分配流路42Aをさらに示している円形コンベヤ58の断面図である。
【0030】
図3において、アレイ移送部材46はわかりやすいように吊るした状態で示してあるが、図1に示すように、当然ながらアレイ移送部材46が、アナライザ10の作動面の一体部分であり、アリコート・アレイ保管・取り扱いユニット50と保管ラック昇降システム60との間に固定してある。上述の保管ラック58位置決め特徴により、ラッチ・アーム64の、チャンバ42内の保管ラック58のいずれかへの迅速なアクセスが可能となり、対応するアリコート・アレイ検査サンプル採取トラック54と整列して保管ラック58内に保管された任意のアリコート・アレイ48を垂直方向に位置決めするラッチ・アーム64の能力と連動させて用いることにより、チャンバ42内のオンボードアナライザ10上で保管された任意のアリコート・アレイ48にランダムに急速アクセスし、アリコート・アレイ検査サンプル採取トラック54内で置き換えることが可能になる。ひとたびアリコート・アレイ検査サンプル採取トラック54上へ再設置したならば、コンピュータ34の制御の下に駆動モータ55が、反応円形コンベヤ12近くで検査サンプル採取プローブ33の下方にある、容器アレイ・トラック54内の検査サンプル採取位置のところでアリコート・アレイ48を再位置決めし、この位置で、患者の原アリコート・サンプルが必要に応じて吸引し、それについて評価分析を行い、必要に応じて反応キュベット19内に分配することができる。同じ患者サンプルを1回目の検査の後に2回目の検査を行うことを確実にすることに加えて、コンピュータ34の制御の下に、そして、アリコート・アレイ保管・取り扱いユニット50と連動して上述したように作動する本発明のアリコート・アレイ保管システム62による保管サンプルへの効率的なランダムアクセス能により、操作者介入の必要性を排除することができる。環境チャンバ42内からの保管ラック58の取り出しは、環境チャンバ42内にアリコート・アレイ48を設置する上記のプロセスを逆にすることによって簡単に行うことができる。
【0031】
上記のように、本発明は、一時期環境チャンバ42に設置し、そこで保持していた少なくとも1つもしくは追加の、またはこれら両方の患者の原サンプル・アリコートから採ったサンプルを自動的かつ迅速に再検査することができるシステムを備えたアナライザ10を提供する。検査しようとする入って来るサンプルは、検査項目の中でもとりわけ患者のID、行なうべき検査およびサンプル・アリコートをどのくらい保持すべきことが望まれるかを規定するサンプル容器に設けた在来のバーコード・リーダ・マークを読み取ることによって識別される。アリコート・アレイ48の第1のウェル49F(図2)に分配され、次いでサンプル採取プローブ33によって吸引されて反応キュベット15または17に分配される検査すべきサンプルを収容しているサンプル・チューブ36からアリコート抽出プローブ44によって採取された1回目のサンプル・アリコート部分に加えて、第2サンプル・アリコート部分もアリコート抽出プローブ44によってサンプルから吸引することができる。この2回目のサンプル・アリコートを、アナライザ10によって、環境チャンバ42内のアリコート・アレイ48の第2ウェル49S内に保持し、サンプル採取プローブ33によってサンプル採取し、アナライザ10で再検査することができる。本発明の重要な特徴は、第1、第2のウェル49F、49Sに保存された第1、第2のアリコート・サンプル部分の利用可能性であり、1回目の部分はサンプル採取プローブ33によってサンプル採取され、通常の評価分析感度レベルを有する検査用のサンプルを与え、したがって、標準の吸引プローブ清浄化作業を必要とするのに対し、2回目の部分は、サンプル採取プローブ33によって採取されるが、より高い評価分析感度レベルを有する検査用のサンプルを与え、したがって、より高いレベルの吸引プローブ清浄化を必要とする。プローブ清浄化レベルを高めるということは、余計な時間および浄化源を必要とし、再検査に利用できる2つの別々の原サンプル・アリコート部分を有することであり、そのため、通常の評価分析感度レベルを有する検査用の1回目アリコート部分から検査サンプル採取することによってアナライザ処理量を増大させることができる。
【0032】
一実施形態においては、1つのアリコート部分から検査サンプル採取プローブ33によって採ったサンプルについて検査が完了した後、2つのサンプル・アリコート部分をアナライザ10に与えられた患者の原サンプルごとに一時期環境チャンバ42内に保持する。この例では、サンプル・アリコート部分を追加の検査または再検査のために保持する期間は、アナライザに要求される評価分析量に依存する。これは、サンプル・アリコート部分を保管ラック58内に置いてからそこから取り出し、先入れ先出し方式で配置することになるからである。例示的な実施形態においては、各アリコート・アレイ48に57個のウェル49があり、4つの保管ラック58がそれぞれ18個のアレイ48を保持している。もし2つのアリコート部分を個別のウェル49に保存するならば、合計約2000の患者の原サンプルをアナライザ10によって保管することができる。アナライザ10は、1日あたり約6,000の評価分析を行える高容量アナライザになり得るし、そして、患者サンプルあたり平均6回の評価分析で、アリコート部分を約2日間にわたってアナライザ10に保持することになる。この期間の任意の時点で、アリコート部分がアナライザ10に保持され、そして検査を繰り返すかまたは先に検査された患者サンプルについて付加的な検査を実施するかするようにリクエストがなされ、このリクエストが、アナライザ10に、操作者によって、またはアナライザ10に電子的に接続した検査室情報システム(LIS)によって自動的に与えられる。LISまたは稼働中のコンピュータ34のいずれかが、患者の原サンプルのアリコート部分をプローブ44によってアリコート抽出した後に分析評価を安全に行うことができる最大保管時間量を識別する評価分析特定情報を備えている。アリコート部分が最大保管時間量よりも保管円形コンベヤ42C内に保持されている期間が短い場合、アナライザ10の稼働中のコンピュータ34が、適切な電気機械指示をラック円形コンベヤ・ステッピング・モータ68に与え、先に検査された患者サンプルの2回目のアリコートを収容している適切なアリコート・アレイ48を有する保管ラック58を円形コンベヤ42C内で開口63の下方の位置まで回転させる。上記のように、ラック58がこのように回転させられるにつれて保管ラック58上のノブ66がC字形フック67内のロック位置へ摺動し、ラッチ・アーム64による保管ラック58の、環境チャンバ42Cから取り出しの確保を可能にする。次いで、コンピュータ34が軸駆動モータ61Mを作動させ、患者の原サンプルの2回目のアリコートを収容しているアリコート・アレイ48が容器アレイ検査サンプル採取トラック54の1つと垂直方向に整列する高さまで保管ラック58を持ち上げる。次いで、コンピュータ34がアレイ駆動モータ55を作動させ、保管スロット59からアリコート・アレイ48を取り出し、アリコート・アレイ48をアリコート・アレイ移送部材52のアリコート・アレイ検査サンプル採取トラック54に挿入する。ひとたびアリコート・アレイ検査サンプル採取トラック54に挿入したならば、コンピュータ34の制御の下に駆動モータ55がアリコート・アレイ48を再位置決めし、先に検査された患者の原サンプルの2回目のアリコートを検査サンプル採取プローブ33に与え、そこにおいて、2回目のサンプル・アリコートの一部またはすべてが、必要に応じて検査サンプル採取プローブ33によって吸引され、反応キュベット15または17に分配され、先に検査された患者サンプルについて要求された検査が完了する。その後も、アナライザ10の動作が進み、2回目の患者サンプルを得る必要なしに、先に検査された患者サンプルの2回目のサンプル・アリコートについて要求される検査を完了する。それと対照的に、もし行うべきことを要求された評価分析についての安全な最大保存時間量よりも長くアリコート部分が保管円形コンベヤ42C内に保持されてしまったならば、アナライザ10の稼働中のコンピュータ34が警告信号を与え、新しい患者の原サンプルが利用可能となるまで評価分析が行われることない。
【0033】
別の実施形態においては、2回目のサンプル・アリコートは、このようにオンボードアナライザ10に2回目のサンプルアリコートを保持する指示に関連したバーコード・マークを有するサンプル・チューブ36のみからアリコート抽出プローブ44によって採取され得る。この例では、バーコード・マークは、対応する1回目のサンプル・アリコートについての検査が完了した後、環境チャンバ42内でアリコート・アレイ48内に2回目のサンプル・アリコートを保持する特別な期間を確立させる指示をも含んでいてよい。明らかに、この第2の実施形態では、バーコード・マークにより、或る標準期間環境チャンバ42内に2回目のサンプル・アリコートを保持せよという指示を簡単に行うことができる。先の実施形態と同様に、2回目のサンプル・アリコートを環境チャンバ42C内に保持する期間中の任意の時点で、アリコート部分が対応する評価分析特定の安全な最大保存時間量よりも保管円形コンベヤ42C内に保持されている期間が短かい場合、2回目の患者の原サンプルを得る必要なしに、検査を繰り返すよう、または先に検査された患者サンプルについて付加的な検査を行なうようリクエストがアナライザ10によって自動的に行われ得る。
【0034】
別の実施形態においては、或る種の分析検査または検査群を行なうようアナライザ10に対する指示を有するバーコード・マークを有し、そのバーコード・マークは、このような2回目のサンプル・アリコートをアナライザ10上に保管せよという指示、またはこのような2回目のサンプル・アリコートをオンボードアナライザ10に保管する特定の期間に関する指示を含んでいないサンプル・チューブ36のみから2回目のサンプル・アリコートがアリコート抽出プローブ44によって採取され得る。この実施形態においては、コンピュータ34は、2回目のサンプル・アリコートを環境チャンバ42内でアリコート・アレイ48内に保持すべきであるかどうかを要求された分析検査または検査群から自動的に確立するルックアップテーブルをメモリ内に持っている。たとえば、Na、K、CI、CO2、GLUC、BUN、CREA、CAを含む標準代謝パネル(Standard Metabolic Panel:CHEM8)を行おうとしている場合、2回目のサンプル・アリコートは、確立した期間アリコート・アレイ48内に自動的に保持され得る。
【0035】
別の例において、患者の原サンプルを薬剤濫用または前立腺特異抗原の異常レベルの適応について、検査しようとする場合、決まりきった採用試験の一環として、または高度に特異的な疾患を診断するためになされる可能性がある検査であり、2回目のサンプル・アリコートを環境チャンバ42内に保持する期間は、付加的検査または反復検査が予想されないので、1日ほどの短かさとなるかも知れない。それと対照的に、患者の原サンプルを異常なPSA値の適応について検査しようとする場合、付加的な検査または反復検査が完全な診断の一部として予想され得るので、決まりきった試験の一貫としてなさるものではない検査であり、2回目のサンプル・アリコートを環境チャンバ内に保持する期間は、それが円形コンベヤ42C内に安全に保管され得るのと同じくらい長くなる可能性がある。明らかに、このような例では、アリコート・サンプルを管理するための上記の先入れ先出し方式プロトコルは、コンピュータ34によってオーバーライドされ、例外的な保管要求を可能にし得る。
【0036】
またさらに別の実施形態においては、2回目のサンプル・アリコートは、アリコート抽出プローブ44によってすべての患者サンプルから採取され、対応する1回目のサンプル・アリコートについて検査が完了した後、或る比較的短い期間環境チャンバ42内のアリコート・アレイ48内に保持される。この実施形態においては、すべての患者サンプルからの2回目のサンプル・アリコートを保管する目的は、たとえば未確認の操作者のエラーまたは試薬またはアナライザの欠陥の結果として発生する可能性のある通常予想される検査結果からの異常に大きい変動を可能にすることにある。
【0037】
当業者であれば、本発明が広範囲にわたる用途に適用可能であることは容易に理解できるはずである。本明細書で説明したもの以外の本発明の実施形態および適合、ならびに多くの変形、改変および均等配置は、本発明および先の説明から明らかであり、あるいは本発明の本質または範囲から逸脱することなく本発明および先の説明によって合理的に示唆されている。
【0038】
したがって、本発明を特定の実施形態に関して詳しくここに説明してきたが、当然ながらこの開示が本発明の例示に過ぎず、単に発明の完全で可能にする開示を提供する目的のためにのみなされたものである。前述の開示は、本発明を限定したり、任意他の実施形態、適合、変形、改変および均等配置を排除することを意図しておらず、またはそのように解釈されるべきではなく、本発明は添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査用アナライザに、アリコート・アレイに収容されたサンプル・アリコートを操作者の介入なしに直接的に再供給するシステムであって、
多数のアリコート・アレイ検査サンプル採取トラックを有するアナライザ;
少なくとも1つのアリコート・アレイ;
患者の原サンプル容器からアリコート・サンプル部分を吸引し、少なくとも1つのアリコート・サンプル部分を上記アリコート・アレイに分配する手段;
アリコート・アレイを保管するように適合された少なくとも1つのアリコート・アレイ保管ラック;
アリコート・アレイをアリコート・アレイ保管ラック内に置く手段;
環境的に制御されたチャンバ;
該チャンバ内に取り付けられ、上記アリコート・アレイ保管ラックを保管するように適合された円形コンベヤ;
を含み、ここで、保管ラックおよびサンプル採取トラックを、作動可能に接続してサンプル採取トラック内に上記アリコート・アレイを直接挿入させる、上記システム。
【請求項2】
さらに、アリコート・アレイ保管ラックを円形コンベヤ内に置き、この円形コンベヤから該アリコート・アレイ保管ラックを取り出すための手段を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
さらに、保管されたサンプル・アリコート部分から検査サンプル部分を吸引し、検査するために該検査用サンプル部分を分配するための手段を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
さらに、1回目のサンプル・アリコートを吸引した後にサンプル・アリコート部分を保管コンパートメント内に保存すべき期間を示すマークが患者の原サンプル容器上に設けてある、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
さらに、患者のサンプルに対して行なうべき検査を示すマークが患者の原サンプル容器上に設けてあり、コンピュータが、行なうべき検査を調べて保管コンパートメント内にアリコート保管容器を保管する期間を確認するようにプログラムしてある、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
アリコート・アレイ保管ラックが、多数の保管シャフトを含み、各シャフトが、間隔を置いた垂直方向のスロットのアレイを有し、各スロットが1つのアリコート・アレイを保持するサイズとなっている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
回転可能な円形コンベヤからアリコート・アレイ保管ラックを垂直方向に取り出す手段が、垂直駆動軸に取り付けたラッチ・アームを含み、このラッチ・アームから底部開放のC字形フックが垂下している、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
アリコート・アレイ保管ラックが、さらに回転可能な円形コンベヤ内に保管中ラッチ・アームのC字形フックで摺動可能に係合されノブを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
アリコート・アレイ保管ラックの数が、アリコート・アレイ検査サンプル採取トラックと同数であり、ラックおよびトラックが、互いに整列して水平方向に隔てられている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
保管ラックおよびサンプル採取トラックが、アリコート・アレイ検査サンプル採取トラック内のいずれの方向にも独立して移動できるモータ駆動式ドーリを介して作動可能に接続してある、請求項3に記載のシステム。
【請求項11】
アナライザが、検査サンプル部分を吸引する前にアリコート・サンプル部分が評価分析特定長さの期間より短い期間チャンバ内に保持されていることを確認するようにプログラムされたコンピュータによって制御される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
アナライザが、アリコート・サンプル部分が評価分析特定長さの期間より長く環境制御状況内に保持されている場合、サンプル・アリコートを再供給しないようにプログラムされたコンピュータによって制御される、請求項1に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−501859(P2010−501859A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525732(P2009−525732)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/076398
【国際公開番号】WO2008/024758
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(508147326)シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド (23)
【Fターム(参考)】