説明

自動薄切装置、自動薄切片標本作製装置及び自動薄切方法

【課題】試料ブロックの既切削面を傷つけるおそれが少なく、従前にセットした装置と異なる装置に試料ブロックをセットする場合であっても、試料ブロックの既切削面をナイフの仮想切削面に非接触状態でかつ容易に平行となるよう配置できる。
【解決手段】試料ブロックホルダ11に保持された試料ブロックBの切削面B2に平行光を照射する落射照明手段16と、落射照明手段から試料ブロックの切削面に平行光が照射された状態で、切削面を撮像する撮像手段17と、試料ブロックホルダの傾きを変えながら、その都度、撮像手段による切削面の画像情報から光強度の積分値を求め、その積分値が最も大なるときの試料ブロックホルダの傾きを決定する画像処理制御手段18と、光強度の積分値が最も大なるよう、画像処理制御手段によって決定された傾きに設定された試料ブロックに対してナイフ14を相対移動させて、薄切片を切削する切削手段15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、理化学実験や顕微鏡観察等に用いられる薄切片標本を作製する際に用いられる自動薄切装置、自動薄切片標本作製装置および自動薄切方法に関し、特に、切削台から一旦取り外した薄切片採取済の試料ブロックを、再度切削台にセットして、試料ブロックの既切削面から連続して薄切片を採取することができる自動薄切装置、自動薄切片標本作製装置及び自動薄切方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
理化学実験や顕微鏡観察に用いられる薄切片標本は、厚さが数μm(例えば、3μm〜5μm)の薄切片を、スライドガラス等の基板上に固定させたものである。薄切片標本は、一般的に、ミクロトームを利用して作製されている。ここで、ミクロトームを利用した薄切片標本を作製する方法について説明する。
【0003】
まず、ホルマリン固定された生物や動物等の生体試料をパラフィン置換した後、更に周囲をパラフィンで固めて、ブロック状態の包埋ブロックを作製する。次に、この包埋ブロックを専用の薄切装置であるミクロトームにセットして、粗削りを行う。この粗削りによって、包埋ブロックの表面を平滑とすると共に、実験や観察の対象物である包埋された生体試料を表面に露出させる。
【0004】
この粗削りが終了した後、本削りを行う。これは、ミクロトームが有する切削刃により、包埋ブロックを上述した厚みで極薄にスライスする工程である。これにより、薄切片を得ることができる。
【0005】
次いで、本削りによって得られた薄切片を伸展させる伸展工程に移る。つまり、本削りによって作製された薄切片は、上述したように極薄の厚みでスライスされたものであるので、皺がついた状態や、丸まった状態(例えば、Uの字状)となってしまう。そこで、この伸展工程によって、皺や丸みを取って伸ばす必要がある。
一般的には、水と湯を利用して伸展させる。始めに、本削りによって得られた薄切片を水の中に浸漬させる。これにより、生体試料を包埋しているパラフィン同士のくっつきを防止しながら、薄切片の大きな皺や丸みをとる。その後、薄切片を湯の中に浸漬させる。これにより、薄切片が延び易くなるので、水による浸漬では取りきれなかった残りの皺や丸みをとることができる。
【0006】
そして、湯による伸展が終了した薄切片を、スライドガラス等の基板で掬って基板上に載置する。なお、この時点で仮に伸展が不十分であった場合には、基板ごとホットプレート等に乗せて熱を加える。これにより、薄切片をより伸展させることができる。
最後に、薄切片を乗せた基板を、乾燥器内に入れて乾燥させる。この乾燥により、伸展で付着した水分が蒸発すると共に、薄切片が基板上に固定される。その結果、薄切片標本を作製することができる。
【0007】
このようにして作製された薄切片標本は、例えば、創薬における前臨床等に使用される。つまり、薄切片に含まれる生体試料に対して、新薬を投与して、その効果や副作用等の分析や観察に使用される。
【0008】
ところで、作製された薄切片標本については、染色処理を行った後、観察するが、薄切片に含まれる生体試料に例えば病変等が見つかったときには、さらにその生体試料について詳しく調べる必要が出てくる。つまり、生体試料に対し、例えばある特定の蛋白質だけを染める染色処理を施したり、RNAを染めたりする等の処理を施して、追加観察することが必要になる。そのときには、現に使用した薄切片標本とは別に、新たな薄切片標本を用意しなければならず、このため、一旦、切削台から取り外した薄切片採取済の試料ブロックを、再度切削台にセットし、試料ブロックの既切削面から、さらに連続する複数の薄切片を採取することが必要になる。
【0009】
従来、切削台から取り外した薄切片採取済の試料ブロックからさらに複数の薄切片を採取する方法の一つとして、薄切片採取済の試料ブロックを、再度、ミクロトームの切削台にセットし、実際に、ナイフにより薄切を行い、切削面の形状を観察しながら、手動により、ホルダ傾斜角可変手段を介して試料ブロックホルダの傾きを変えることで、試料ブロックの切削面をナイフの仮想切削面に平行となるように配置させる、いわゆる面合わせを行い、その後薄切片を切削することが行われていた。
【0010】
しかしながら、このような薄切片の採取方法であると、所定の切削面を得るまでに、数百μm程度の予備的な薄切が必要となり、既切削面から数百ミクロンの離れた位置の薄切片しか採取できない問題があった。また、基本的に、手動によって面合わせを行うものであるから、なれない作業者にとっては時間がかかり、かつ大変な辛苦を伴うものであった。
【0011】
このような問題に対処するものとして、下記の特許文献1には、送り台を、動力駆動装置を介して切削面へ送り、試料ブロック表面とナイフとが接触したときを検出する。また、送り台を、動力駆動装置を介して面センサの方向へ送り、試料ブロック表面と面センサとが接触したときを検出する。これら2つの検出値を基に、試料ブロックの送り量を決定する装置が開示されている。
また、他の対処方法として、特許文献2には、配向・位置合わせ可能な試料ホルダ(試料ブロックホルダの位置を指示する装置が開示されている。
【特許文献1】特表2002−539424号公報
【特許文献2】特開2004−354389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前述した従来の技術にあっては、それぞれ以下の問題があった。
すなわち、特許文献1に記載された技術にあっては、試料ブロックの既切削面にナイフや面センサーを接触させて検知する方法であり、試料ブロックの既切削面を傷つけるおそれがあった。
また、特許文献2に記載された技術にあっては、薄切片採取済の試料ブロックを再度装置にセットする場合には、比較的容易に面あわせができるものの、異なる装置にセットするときには、面合わせができない問題があった。
【0013】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的とするところは、試料ブロックの既切削面を傷つけるおそれが少なく、また、従前にセットした装置と異なる装置に試料ブロックをセットする場合であっても、試料ブロックの既切削面をナイフの仮想切削面に容易に平行となるように配置させることができ、もって、薄切片採取済の試料ブロックの既切削面から連続して薄切片を採取することができる自動薄切装置、自動薄切片標本作製装置及び自動薄切方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前記課題を解決するために、以下の構成を採用した。
すなわち、本発明にかかる自動薄切装置は、前記切削台に設けられ、前記試料ブロックを固定する試料ブロックホルダの傾きを変えるホルダ傾斜角可変手段と、ホルダ傾斜角可変手段を制御するホルダ傾斜角制御手段と、前記試料ブロックホルダに保持された前記試料ブロックの切削面に、その上方から平行光を照射する落射照明手段と、該落射照明手段から前記試料ブロックの切削面に平行光が照射された状態で、該切削面を撮像する撮像手段と、前記ホルダ傾斜角制御手段からの指令信号により前記ホルダ傾斜角可変手段を介して前記試料ブロックホルダの傾きを変えながら、その都度、前記撮像手段による前記切削面の画像情報から光強度の積分値を求め、その積分値が最も大なるときの前記試料ブロックホルダの傾きを決定する画像処理制御手段と、前記光強度の積分値が最も大なるよう、前記画像処理制御手段によって決定された傾きに設定された試料ブロックホルダに保持された試料ブロックに対してナイフを相対移動させて、前記試料ブロックの切削面から所定厚さの薄切片を切削する切削手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、例えば、薄切片採取済の試料ブロックあるいは別装置で粗削りを完了した試料ブロックを、切削台の試料ブロックホルダに取り付けて固定する。そして、落射照明手段によって、固定した試料ブロックの既切削面に、その上方から平行光を照射する。この状態で、平行光が照射された既切削面を撮像手段により撮像する。このとき、ホルダ傾斜角制御手段からの指令信号により、ホルダ傾斜角可変手段を介して試料ブロックホルダの傾きを変えながら、その都度、撮像手段により、試料ブロックの既切削面を撮像する。
【0016】
そして、個々の試料ブロックホルダの傾きに応じ、既切削面の撮像情報から光強度の積分値をそれぞれ求め、その積分値が最も大なるときの試料ブロックホルダの傾きを画像処理制御手段により決定する。
これにより、試料ブロックの既切削面をナイフの仮想切削面に容易に平行となるように配置させることができる。なお、ナイフは、予め、落射照明手段及び撮像手段と連動して位置きめされている。つまり、落射照明手段から試料ブロックの切削面に平行光が照射された状態で、撮像手段により切削面を撮像する際に、該切削面の画像情報から光強度の積分値が最大になったときに、試料ブロックの切削面がナイフの仮想切削面に平行となるよう、ナイフは、落射照明手段及び撮像手段に対して、その位置および姿勢を設定されている。
【0017】
その後、このように画像処理制御手段によって決定された傾きに設定した試料ブロックホルダに保持された試料ブロックに対してナイフを相対移動させる。これにより、試料ブロックの既切削面から連続して所定厚さの薄切片を切削することができる。
【0018】
本発明にかかる自動薄切装置は、前記ホルダ傾斜角可変手段が、前記試料ブロックホルダの縦方向の傾きを調整するピッチ角調整部(ここでいう縦、横は、ナイフに対する移動方向を基準として定める)と、前記試料ブロックホルダの横方向の傾きを調整するロール角調整部とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、ホルダ傾斜角可変手段をピッチ角調整部とロール角調整部とを備える構成になっており、試料ブロックの位置を計算する制御系として、互いに直交する直交座標系が使えるので、計算上有利になる。
【0019】
本発明にかかる自動薄切装置は、前記撮像手段による前記切削面の画像情報から光強度の積分値を算出する算出部と、該算出部によって算出した、前記試料ブロックホルダの異なる傾きごとの複数の積分値のうちから最大値を選択する選択部とを備える構成であることを特徴とする。
本発明によれば、算出部により、撮像手段による既切削面の画像情報の各画素の光強度を全画素に渡って加算した値を光強度の積分値として算出し、また、選択手段によって、算出部により算出した複数の積分値のうちから最大値を選択する。
【0020】
本発明にかかる自動薄切片標本作製装置は、前記発明のいずれかの自動薄切装置と、前記自動薄切装置によって採取され、さらに該自動薄切装置から薄切片搬送手段によって搬送された前記薄切片を、少なくとも液体内に浸漬させて伸展させる伸展手段と、伸展された前記薄切片を、基板上に転写させて薄切片標本を作製する転写手段とを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、薄切片搬送手段によって搬送された薄切片は、伸展手段が有する、例えば水との液体内に浸漬されて伸展される。また、この伸展手段によって伸展された薄切片は、転写手段によりスライドガラス等の基板上に転写される。これにより、基板上に薄切片が転写された薄切片標本を作製することができる。
【0021】
本発明にかかる自動薄切方法は、切削台から一旦取り外した試料ブロックを、再度切削台にセットして、該試料ブロックの既切削面から連続して薄切片を採取する自動薄切方法であって、前記切削台の試料ブロックホルダに前記試料ブロックを取り付けて固定する試料ブロック取付工程と、試料ブロックホルダに固定された前記試料ブロックの既切削面に、その上方から平行光を照射する照明工程と、該照明工程による前記試料ブロックの既切削面に平行光が照射された状態で、該既切削面を撮像する撮像工程と、前記試料ブロックの傾きを変えながら、その都度、前記撮像手段による前記既切削面の画像情報から光強度の積分値を求め、その積分値が最も大なるように、前記試料ブロックの傾きを決定する試料ブロック傾斜角決定工程と、該試料ブロック傾斜角決定工程で決定された傾きの前記試料ブロックに対してナイフを相対移動させて、試料ブロックの前記既切削面から連続して所定厚さの薄切片を切削する切削工程と、を備えたことを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、照明工程で試料ブロックの既切削面に平行光が照射され、この状態で、既切削面を撮像する。また、試料ブロックの傾きを変えながら、その都度、撮像した既切削面の画像情報から光強度の積分値を求め、その積分値が最も大なるように、試料ブロックホルダの傾きを決定する。そして、試料ブロック傾斜角決定工程で決定された傾きの試料ブロックに対してナイフを相対移動させて、記試料ブロックの既切削面から連続して所定厚さの薄切片を切削する。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、試料ブロックの既切削面を傷つけるおそれが少なく、従前にセットした装置と異なる装置に試料ブロックをセットする場合であっても、試料ブロックの既切削面をナイフの切削面に非接触状態でかつ容易に合致させることができ、もって、薄切片採取済の試料ブロックの既切削面から連続して薄切片を採取することができる。また、粗削りと本削りを分離することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係る自動薄切装置及び自動薄切片標本作製装置の実施の形態を、図1〜図3を参照して説明する。なお、本実施の形態では、生体試料として、鼠等の実験動物から採取した生体組織を例に挙げて説明する。
本実施の形態の自動薄切片標本作製装置1は、生体組織Sが包理剤に包埋された試料ブロックBから作製された薄切片B1を、スライドガラス(基板)G上に転写させて薄切片標本Hを作製する装置である。
【0025】
すなわち、自動薄切片標本作製装置1は、図1に示すように、試料ブロックBを、自動薄切装置3の切削台10上に搬送するブロックハンドリングロボット2と、搬送された試料ブロックBから薄切片B1を切削する自動薄切装置3と、該自動薄切装置3により切削され、かつ、薄切片ハンドリング機構(薄切片搬送手段)36によって搬送された薄切片B1を、少なくとも水(液体)Wの中に浸漬させて伸展させる伸展機構(伸展手段)4と、伸展された薄切片B1を、スライドガラスG上に転写させて薄切片標本Hを作製するスライドガラスハンドリングロボット(転写手段)5とを備えている。
【0026】
前記自動薄切装置3は、試料ブロックB(試料ブロックとしては、新規な試料ブロック、薄切片採取済の試料ブロック、または、別箇所で粗削りまで完了した試料ブロック等がある)から所定厚みのシート状の薄切片B1を切り出して作製する装置である。
【0027】
すなわち、自動薄切装置3は、図2にも示すように、前記ブロックハンドリングロボット2によって搬送された試料ブロックBを載置固定する切削台10と、切削台10に設けられて、試料ブロックBを固定する試料ブロックホルダ11の傾き及び高さを変えるホルダ傾斜角可変手段12と、ホルダ傾斜角可変手段12を制御するホルダ傾斜角制御手段13と、試料ブロックホルダ11に固定された試料ブロックBに対してナイフ14を相対移動させて、試料ブロックBの切削面B2から連続して所定厚さの薄切片B1を切削する切削手段15と、試料ブロックホルダ11に固定された試料ブロックBの切削面B2に、その上方から平行光を照射する落射照明手段16と、落射照明手段16から試料ブロックの切削面B2に平行光が照射された状態で切削面B2を撮像する撮像手段17と、ホルダ傾斜角制御手段13からの指令信号によりホルダ傾斜角可変手段12を介して試料ブロックホルダ11の傾きを変えながら、その都度、撮像手段17による切削面B2の画像情報から光強度の積分値を求め、その積分値が最も大なるときの試料ブロックホルダ11の傾きを決定する画像処理制御手段18とを備えている。
【0028】
試料ブロックBは、図2に示すように、ホルマリン固定された生体組織S内の水分をパラフィン置換した後、さらに周囲をパラフィン等の包理剤によってブロック状に固めた包埋ブロックを包埋カセット上に固定したものである。これにより、生体組織Sがパラフィン内に包埋された状態となっている。
【0029】
切削台10は、図3にも示すように、固定されたナイフ14に向かうX方向に延びたガイドレール21に沿って移動可能かつ昇降モータ22Aの作動により上下方向へ移動可能なZステージ22と、Zステージ22上に取り付けられ、X方向に延びる軸線を中心とする円弧面に沿ってロールモータ23A(ロール角調整部)の作動により移動自在とされた(ナイフ14に対する移動方向を基準として横方向の傾きを調整自在とされた)ロールステージ23と、ロールステージ23上に取り付けられ、Y方向に延びる軸線を中心とする円弧面に沿ってピッチモータ24A(ピッチ角調整部)の作動により移動自在とされた(ナイフ14に対する移動方向を基準として縦方向の傾きを調整自在とされた)ピッチステージ24と、ピッチステージ24上に取り付けられた試料ブロックホルダ11とから構成されている。また、ガイドレール21は、ナイフ14を越えた反対側にまで延びた状態で取り付けられている。
Zステージ22は、図示しないモータ等によって、ガイドレール21上を往復運動するようになっている。また、この往復運動に同期させて昇降モータ22Aが作動されることにより、Zステージ22は、このZステージ22がガイドレール21を1往復する毎に、一定だけ上昇するように制御されている。
【0030】
これにより、切削台10上、すなわち、試料ブロックホルダ11上に載置固定された試料ブロックBは、切削台10の移動に伴ってナイフ14に向けて移動して、該ナイフ14によって切削されるようになっている。この際、Zステージ22によって高さ制御されているので、所定の厚み(例えば、5μm)で表面が切削される。その結果、シート状の薄切片B1が作製される。これについては、後に詳細に説明する。
【0031】
上述したガイドレール21、切削台10及びナイフ14は、前記切削手段15を構成している。
なお、本実施の形態では、ナイフ14を固定し、該ナイフ14に対して切削台10側を移動させることで試料ブロックBを切削する構成としたが、切削手段15はこの構成に限られるものではない。例えば、切削台10を固定し、該切削台10に対してナイフ14を移動させても構わないし、切削台10とナイフ14とを共に移動させて、切削手段15を構成しても構わない。いずれにしても、切削台10とナイフ14とを、相対的に移動させるように構成すればよい。
また、昇降モータ22A、ロールモータ23A及びピッチモータ24Aは、前記ホルダ傾斜角可変手段12を構成している。
【0032】
ホルダ傾斜角制御手段13は、前記昇降モータ22A、前記ロールモータ23A、前記ピッチモータ24Aにそれぞれ個別に指令信号を送ることで、それらモータを介して試料ブロックホルダ11の傾き及び高さを任意に設定するものである。
【0033】
落射照明手段16は、単色光あるいは多色光を発する光源27と、光源27に隣接されて設けられかつピンホール28aを有する遮光板28と、遮光板28のピンホール28aを貫通する光を平行光に換えるコリメータレンズ29と、コリメータレンズ29によって向きを換えられた光を、試料ブロックホルダ11に固定された試料ブロックBの切削面B2側に反射させるとともに、試料ブロックBの切削面B2からの反射光を透過させるハーフミラー30とを備えている。
【0034】
撮像手段17は、試料ブロックBの切削面B2が正規の位置及び角度にあるときに、切削面B2を撮像することができるCCD等の撮像素子17Aと、試料ブロックBの切削面B2が正規の位置及び角度にあるときに、この切削面B2の表面の法線と平行な光軸をもち、切削面B2からの反射光を撮像素子17A上で結像させる結像レンズ17Bとを備える。撮像手段17による切削面B2の撮像箇所としては切削面B2全面が好ましいが、必ずしも全面である必要はなく、例えば全面積の70パーセント以上等の切削面B2の主要部を撮像できれば足りる。
【0035】
なお、前記ナイフ14は、予め、この撮像手段17及び落射照明手段16と連動して位置きめされている。
つまり、落射照明手段16から試料ブロックBの切削面B2に平行光が照射された状態で、撮像手段17により切削面B2を撮像する際に、既切削面の画像情報から光強度の積分値が最大になったときに、試料ブロックの切削面B2がナイフ14の仮想切削面14Aと平行になるよう、ナイフ14は、撮像手段17及び落射照明手段16に対して、その位置及び姿勢が設定されている。
【0036】
画像処理制御手段18は、ホルダ傾斜角可変手段12を介して試料ブロックホルダ11の傾きがある値に設定されたとき、撮像手段17による試料ブロックBの切削面B2の画像情報から光強度の積分値(実際には輝度データの積分値)を求める算出部32と、この算出部32で得られた積分値を、そのときの試料ブロックホルダの傾きを表すロール角及びピッチ角とそれぞれ関連付けてデータの形で記憶する記憶部33と、前記算出部32によって算出した複数の積分値のうちから最大値を選択するとともに、前記記憶部33に記憶された情報から、最大の積分値が得られたときのロール角及びピッチ角を読み出す選択部34とを備えている。
【0037】
また、切削面B2の画像情報から光強度の積分値(実際には輝度データの積分値)を求めるときの、試料ブロックホルダ11の傾きの走査方法としては、例えば、予めロール角をある値に設定し、この状態でピッチ角をある角度から他のある角度まで達するように所定角度置きにずらしながら、光強度の積分値の最大値を求め、同時にこのときのピッチ角を求める。次に、ピッチ角をその値に保持したまま、今度は、ロール角をある角度から他のある角度まで達するまで所定置きにずらし、そのときの光強度の積分値の最大値を求めるという走査方法が考えられる。
【0038】
また、他の方法としては、予めロール角をある値に設定し、この状態でピッチ角をある角度から他のある角度まで達するように所定角度置きにずらしながら、光強度の積分値を求める。次に、ロール角を若干ずらし、この状態で再び、ピッチ角をある角度から他のある角度まで達するように所定角度置きにずらしながら、光強度の積分値を求める。
以下、これを繰り返すことで、切削面B2の画像情報から光強度の積分値の最大値が得られる、ピッチ角とロール角を見出す走査方法が考えられる。
さらに、他の方法として山登り法(hill climb法)を利用する方法が考えられる。
【0039】
また、切削台10の上方には、例えば、ガイドレール21と同じX方向に延びる水平ガイドレール40が図示しない支持部によって取り付けられている。水平ガイドレール40の下方に位置した状態で、自動薄切装置3側から順に水(液体)Wを貯留した水槽41と、未使用のスライドガラスGを収納するスライドガラス収納棚42と、作製された薄切片標本Hを収納する収納棚43とが設けられている。
【0040】
また、水平ガイドレール40には、該水平ガイドレール40に沿って移動可能な水平ステージ45が取り付けられている。そして、この水平ステージ45には、Z方向に移動可能であると共に、試料ブロックBから切り出された薄切片B1を、例えば静電気を利用して先端に吸着可能なアーム部46が取り付けられている。なお、静電気に限られず、吸引力や接着剤等を利用して薄切片B1を捕らえても構わない。
また、アーム部46は、吸着した薄切片B1を、自動薄切装置3から水槽41まで搬送し、貯留された水Wの中に浸漬させるようになっている。すなわち、上述した水平ガイドレール40、水平ステージ45及びアーム部46は、前記薄切片ハンドリング機構36を構成している。
【0041】
また、水平ガイドレール40には、前記水平ステージ45に加え、該水平ガイドレール40に沿って移動可能な水平ステージ50が取り付けられている。なお、この水平ステージ50は、単に水平方向に移動するだけでなく、Z軸周りに回転可能とされている。この水平ステージ50には、Z方向に直交する一軸周りに回転可能な状態でスライドガラス把持ロボット51が取り付けられている。また、スライドガラス把持ロボット51は、一定距離離間した状態で平行に配されると共に互いの距離を接近離間自在に調整可能な一対のアーム部51aを備えている。
【0042】
そしてこれら水平ステージ50及びスライドガラス把持ロボット51をそれぞれ適宜作動させることで、スライドガラス収納棚42から未使用のスライドガラスGを把持すると共に、水槽41内に浮いている薄切片B1を、把持したスライドガラスG上に転写して薄切片標本Hを作製することができるようになっている。更には、作製した薄切片標本Hを収納棚43に収納することもできるようになっている。これについては、後に詳細に説明する。
これら上述した水平ガイドレール40、水平ステージ50及びスライドガラス把持ロボット51は、前記スライドガラスハンドリングロボット5を構成している。
なお、本実施の形態では、水平ガイドレール40が、薄切片ハンドリング機構36及びスライドガラスハンドリングロボット5を共に構成する兼用部品となっている。
【0043】
また、自動薄切装置3の前段は、図1に示すように、Z方向に延びるZ軸ガイドレール55が取り付けられている。このZ軸ガイドレール55には、Z軸ガイドレール55に沿って移動可能な昇降ステージ56が取り付けられている。また、昇降ステージ56には、水平方向に延びた水平ガイドレール57が取り付けられている。この際、水平ガイドレール57の一端側は、自動薄切装置3側まで延びている。そして、この水平ガイドレール57に、該水平ガイドレール57に沿って移動可能な水平ステージ58が取り付けられている。なお、水平ステージ58は、単に水平方向に移動するだけでなく、Z軸周りに回転可能とされている。
【0044】
また、水平ステージ58には、一定距離離間した状態で平行に配されると共に、互いの距離を接近離間自在に調整可能な一対のアーム部59aを有する把持ロボット59が取り付けられている。そして、昇降ステージ56、水平ステージ58及び把持ロボット59をそれぞれ適宜作動させることで、試料ブロックBを切削台10上に搬送することができるようになっている。
上述したZ軸ガイドレール55、昇降ステージ56、水平ガイドレール57、水平ステージ58及び把持ロボット59は、前記ブロックハンドリングロボット2を構成している。
【0045】
次に、このように構成された自動薄切片標本作製装置1により、試料ブロックBから数枚の薄切片標本Hを作製する場合について、以下に説明する。
まず、作業者は、予め冷却された試料ブロックBを、ブロックハンドリングロボット2の把持ロボット59が有する一対のアーム部59a間に位置させる。すると、把持ロボット59は、試料ブロックBが載置されているカセット20を一対のアーム部59aで挟持し、試料ブロックBを作業者から受け取る。そして、ブロックハンドリングロボット2は、試料ブロックBを受け取った後、カセット20を挟持したまま昇降ステージ56及び水平ステージ58を適宜作動させて、試料ブロックBを、出入口を介して自動薄切装置3側に搬送して切削台10上に載置する。
【0046】
切削台10の試料ブロックホルダ11上に試料ブロックBが載置されると、図示しない固定手段によって、自動的に試料ブロックBが所定位置に位置きめされて固定される。一方、薄切片ハンドリング機構36の水平ステージ45は、水平ガイドレール40に沿って移動して、アーム部46の先端が試料ブロックBの切削開始位置近傍に待機した状態となる。
次いで、切削台10をガイドレール21に沿って移動させて、試料ブロックBの切削を行う。切削には粗削りと本削りがある。まず、切り込み量が大きい粗削りを行うが、それが完了した時点で、ナイフ14を取り替え、試料ブロックBを所定の厚み(例えば、5μm)でシート状にスライスする、いわゆる本削りを行う。これにより、試料ブロックBから薄切片B1を採取することができる。
以上が、一般的に行われる、新規な試料ブロックからの薄切片B1を採取する自動薄切方法である。
【0047】
一方、切削台から一旦取り外した試料ブロックを、再度切削台にセットして、該試料ブロックの既切削面から連続して薄切片を採取する場合、あるいは、事前に、この装置あるいは別の装置で粗削りまで完了した試料ブロックを、切削台にセットして、該試料ブロックの既切削面から連続して薄切片を採取する場合の薄切片を採取する自動薄切方法について説明する。
まず、切削台10の試料ブロックホルダ11に、薄切片採取済の試料ブロックBまたは粗削りが完了した試料ブロックBを、人手により、あるいはブロックハンドリングロボット2を利用して、載置固定する(試料ブロック取付工程)。
【0048】
ついで、試料ブロックホルダ11に固定した試料ブロックBの既切削面B2に対し、落射照明手段16により、上方から平行光を照射する(照明工程)。
つまり、光源27を発光させて、そこから発せられる光を、遮光板28のピンホール28a、コリメータレンズ29及びハーフミラー30を介して、既切削面B2に導き、この既切削面B2を照射する。
照射された光は既切削面B2に当たりここで反射される。この反射光は、ハーフミラー30を透過し、結像レンズ17Bで屈曲された後、撮像素子17A上で結像される。つまり、撮像素子17Aによって既切削面B2を撮像する(撮像工程)。
ただし、撮像素子17Aによって既切削面B2を撮像することができるのは、既切削面B2が、ナイフ14による仮想切削面14Aと平行となったときのみである。それ以外の場合には、ほとんど撮像素子17Aによって既切削面B2を撮像することはできない。
【0049】
そこで、画像処理制御手段18からホルダ傾斜角制御手段13に発せられる信号に基づき、ホルダ傾斜角可変手段12を介して試料ブロックホルダ11、つまり試料ブロックBの既切削面B2の傾きを変えながら、その都度、撮像素子17Aによって既切削面の画像情報を得る。そして、その画像情報から光強度の積分値(輝度の積分値)を算出部32により算出する。すなわち、撮像素子17Aによる既切削面の画像情報の各画素の光強度を全画素に渡って加算した値を光強度の積分値として算出する。この求めた積分値を、そのときの試料ブロックホルダの傾きを表すロール角及びピッチ角とそれぞれ関連付けて記憶部33に記憶する。一方、選択部34によって、算出部32によって算出した複数の積分値のうちから最大値を選択するとともに、記憶部33に記憶された情報から、最大の積分値がえられたときのロール角及びピッチ角を読み出す。こうして読み出されたロール角及びピッチ角の情報は、ホルダ傾斜角制御手段13を介してホルダ傾斜角可変手段12に送られる。これにより、試料ブロックBの既切削面B2の傾きを決定することができる(試料ブロック傾斜角決定工程)。
【0050】
つまり、このように既切削面B2を決定したとき、この既切削面B2は、ナイフ14による仮想切削面14Aと平行となっている。つまり、面合わせが完了したことになる。その後、ホルダ傾斜角制御手段13を介して昇降モータ22Aを操作し、切削台10を昇降させてナイフ14による切削が可能な高さに調整する。ついで、切削台10を、ガイドレール21に沿って移動させ、ナイフ14により、試料ブロックBの前記既切削面B2から連続して所定厚さの薄切片を切削する(切削工程)。
【0051】
以上の操作によって、切削台から一旦取り外した試料ブロックや、この装置とは別の装置で粗削りまで完了した試料ブロックに対して、既切削面B2から連続して薄切片B1を採取することができる。
【0052】
このように採取した薄切片B1は、試料ブロックBの切削開始位置近傍に先端が待機したアーム部46により、ナイフ14によって試料ブロックBから切り出され始めた時点で静電気によって吸着される。そして、切削台10の移動に合わせて、アーム部46が取り付けられた水平ステージ45が水平ガイドレール40に沿って動く。これにより、薄切片B1に外力を加えることなく、アーム部46の先端に、薄切片B1を確実に吸着させることができる。
【0053】
薄切片ハンドリング機構36は、アーム部46の先端に薄切片B1を吸着した後、水平ステージ45を移動させて薄切片B1を所定位置まで搬送する。そして、伸展機構4が有する水槽41の上方にアーム部46が達したときに、該アーム部46をZ方向に下降させて先端を水Wの中に入れる。これにより、アーム部46の先端に吸着されていた薄切片B1は、吸着が解かれて水Wの中に浸漬されて浮かんだ状態となる。水Wの中に浸漬された薄切片B1は、表面張力により切削時に生じた皺や丸みが取れて延び、伸展した状態となる。
【0054】
一方、上述した薄切片B1の切り出し及び搬送に合わせて、スライドガラスハンドリングロボット5は、水平ステージ50及びスライドガラス把持ロボット51を適宜作動させて、スライドガラス収納棚42から未使用のスライドガラスGを1枚取り出し、水槽41上方にて待機している。
すなわち、まず水平ステージ50及びスライドガラス把持ロボット51を適宜作動させて、スライドガラス把持ロボット51の一対のアーム部51aをスライドガラス収納棚42に挿し込ませる。次いで、一対のアーム部51aを互いに接近させるように作動させて、未使用のスライドガラスGを1枚挟み込んで挟持固定する。そして、スライドガラスGを挟持したまま、再度水平ステージ50及びスライドガラス把持ロボット51を適宜作動させて、スライドガラスGを引き出し、水槽41上方に移動させる。そしてこの状態のまま、水槽41に薄切片B1が搬送されてくるまで待機する。
【0055】
そして、上述したように水槽41内に薄切片B1が搬送されて、水Wの中に浸漬された状態が一定時間経過した後、図1に示すように、スライドガラスハンドリングロボット5は、水平ステージ50及びスライドガラス把持ロボット51を適宜作動させて、把持しているスライドガラスGを用いて水Wに浮かんでいる薄切片B1を掬い上げる。これにより薄切片B1は、スライドガラスG上に転写された状態となる。その結果、薄切片標本Hが作製される。最後にスライドガラスハンドリングロボット5は、作製した薄切片標本Hを収納棚43まで搬送し、該収納棚43に入れて保管する。
【0056】
なお、ブロックハンドリングロボット2は、薄切片B1の作製が終了すると、使用済みの試料ブロックBを切削台10上から別の所定位置に搬送する。これにより作業者は、使用済みの試料ブロックBを、新しい次の試料ブロックBに取り替えることができる。そして、上述した各工程を繰り返すことで、次の試料ブロックBから必要枚数の薄切片標本Hを自動的に作製することができる。
【0057】
なお、本発明は、前述の実施の形態に限られることなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々設計変形可能である。
例えば、前記実施の形態では、試料ブロックBの切削面B2の法線方向に、それぞれ落射照明手段16と撮像手段17を配置しているが、これに限られることなく、前記切削面B2を間に挟むよう、一方に落射照明手段16を配置させるとともに、他方に撮像手段17を配置させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る自動薄切片標本作製装置及び自動薄切装置の第1実施の形態を示す構成図である。
【図2】図1に示す自動薄切装置を示す概略構成図である。
【図3】図1に示す自動薄切片標本作製装置の切削台を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0059】
B試料ブロック B1薄切片 Gスライドガラス(基板) H薄切片標本 S生体組織(生体試料) 1自動薄切片標本作製装置 2 ブロックハンドリングロボット(ブロック搬送手段) 3自動薄切装置 4伸展機構(伸展手段) 5スライドガラスハンドリングロボット(転写手段) 10切削台 11試料ブロックホルダ 12ホルダ傾斜角可変手段 13ホルダ傾斜角制御手段 14ナイフ 15切削手段 16落射照明手段 17撮像手段 18画像処理制御手段 21ガイドレール 22Zステージ 23ロールステージ 23Aロールモータ(ロール角調整部) 24ピッチステージ 24Aピッチモータ(ピッチ角調整部) 32算出部 33記憶部 34選択部 36薄切片ハンドリング機構(薄切片搬送手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削台に設けられ、試料ブロックを固定する試料ブロックホルダの傾きを変えるホルダ傾斜角可変手段と、
該ホルダ傾斜角可変手段を制御するホルダ傾斜角制御手段と、
前記試料ブロックホルダに保持された前記試料ブロックの切削面に、その上方から平行光を照射する落射照明手段と、
該落射照明手段から前記試料ブロックの切削面に平行光が照射された状態で、該切削面を撮像する撮像手段と、
前記ホルダ傾斜角制御手段からの指令信号により前記ホルダ傾斜角可変手段を介して前記試料ブロックホルダの傾きを変えながら、その都度、前記撮像手段による前記切削面の画像情報から光強度の積分値を求め、その積分値が最も大なるときの前記試料ブロックホルダの傾きを決定する画像処理制御手段と、
前記光強度の積分値が最も大なるよう、前記画像処理制御手段によって決定された傾きに設定された試料ブロックホルダに保持された試料ブロックに対してナイフを相対移動させて、前記試料ブロックの切削面から所定厚さの薄切片を切削する切削手段と、
を備えたことを特徴とする自動薄切装置。
【請求項2】
前記ホルダ傾斜角可変手段が、前記試料ブロックホルダの縦方向の傾きを調整するピッチ角調整部と、前記試料ブロックホルダの横方向の傾きを調整するロール角調整部とを備えることを特徴とする請求項1記載の自動薄切装置。
【請求項3】
前記画像処理制御手段が、前記撮像手段による前記切削面の画像情報から光強度の積分値を算出する算出部と、該算出部によって算出した、前記試料ブロックホルダの異なる傾きごとの複数の積分値のうちから最大値を選択する選択部とを備えることを特徴とする請求項1または2記載の自動薄切装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の自動薄切装置と、
前記自動薄切装置によって採取され、さらに該自動薄切装置から薄切片搬送手段によって搬送された前記薄切片を、少なくとも液体内に浸漬させて伸展させる伸展手段と、
伸展された前記薄切片を、基板上に転写させて薄切片標本を作製する転写手段とを備えていることを特徴とする自動薄切片標本作製装置。
【請求項5】
切削台から一旦取り外した試料ブロックを、再度切削台にセットして、該試料ブロックの既切削面から連続して薄切片を採取する自動薄切方法であって、
前記切削台の試料ブロックホルダに前記試料ブロックを取り付けて固定する試料ブロック取付工程と、
試料ブロックホルダに固定された前記試料ブロックの既切削面に、その上方から平行光を照射する照明工程と、
該照明工程による前記試料ブロックの既切削面に平行光が照射された状態で、該既切削面を撮像する撮像工程と、
前記試料ブロックの傾きを変えながら、その都度、前記撮像手段による前記既切削面の画像情報から光強度の積分値を求め、その積分値が最も大なるように、前記試料ブロックの傾きを決定する試料ブロック傾斜角決定工程と、
該試料ブロック傾斜角決定工程で決定された傾きの前記試料ブロックに対してナイフを相対移動させて、試料ブロックの前記既切削面から連続して所定厚さの薄切片を切削する切削工程と、
を備えたことを特徴とする自動薄切方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−218616(P2007−218616A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−36619(P2006−36619)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】