説明

自動製パン器

【課題】穀物粒からパンを製造できる自動製パン器であって、穀物粒の粉砕に伴うパン原料温度の上昇を抑制できる自動製パン器を提供する。
【解決手段】自動製パン器1は、パン原料が投入されるパン容器(図示せず)と、前記パン容器が収容される焼成室30と、前記パン容器内のパン原料をパン生地に練り上げる混練ブレード(図示せず)と、前記パン容器にパン原料の一部として投入される穀物粒を粉砕する粉砕ブレード(図示せず)と、前記混練ブレードを低速回転するために設けられる第1のモータ50と、前記粉砕ブレードを高速回転するために設けられる第2のモータ60と、焼成室30に設けられる通気孔32、33を利用して焼成室30を冷却する空気の流れを作るダクト16及びファン17と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として一般家庭で使用される自動製パン器に関する。
【背景技術】
【0002】
市販の家庭用自動製パン器は、パン原料を入れたパン容器を本体内の焼成室に入れ、パン容器内のパン原料を混練ブレードで混練して練り上げ(練り工程)、発酵工程を経た後に、パン容器をそのままパン焼き型としてパンを焼き上げる(焼成工程)仕組みのものが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来においては、このような自動製パン器を用いてパンを製造する場合、小麦や米などの穀物を製粉した粉(小麦粉、米粉等)や、そのような製粉した粉に各種の補助原料を混ぜたミックス粉を入手し、これを製パン原料として用いることによってパンを製造していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−116526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般家庭においては米粒に代表されるように、粉の形態ではなく粒の形態で穀物を所持していることがある。このために、自動製パン器を用いて穀物粒から直接パンを製造することができれば非常に便利である。このようなことから、本出願人らは、鋭意研究の末、穀物粒を出発原料としてパンを製造する方法を発明している。なお、これについては、先に特許出願を行っている(特願2008−201507)。
【0006】
先に出願したパンの製造方法について紹介しておく。このパンの製造方法では、まず、穀物粒と液体との混合物の中で粉砕ブレードを回転させて穀物粒の粉砕を行う(粉砕工程)。そして、粉砕工程を経て得られたペースト状の粉砕粉に例えばグルテンやイースト等を加え、混練ブレードによって生地に練り上げ(練り工程)、生地を発酵(発酵工程)させた後、パンに焼き上げる(焼成工程)。
【0007】
このパンの製造工程を実行できる自動製パン器を実現すべく、本出願人らは、焼成室に収容される1つのパン容器内で、粉砕ブレードを高速回転(例えば7000〜8000rpm)して穀物粒の粉砕粉を製造する粉砕工程を行えると共に、この粉砕工程に続いて、混練ブレードを低速回転(例えば180rpm程度)して粉砕した穀物粒を含むパン原料をパン生地に練り上げる練り工程を実行できる自動製パン器の開発を行っている。
【0008】
この中で、粉砕ブレードを高速回転させた場合にベアリング等で発生する摩擦熱や粉砕ブレードと穀物粒との間の摩擦熱が原因となって、パン容器内のパン原料の温度が過度に上昇しやすいことがわかった。粉砕工程に続いて行われる練り工程においては、イーストを活発に働かせるために過度にパン原料の温度が上昇するのは好ましくなく、粉砕工程においてパン原料の温度が過度に上昇することを抑制できる仕組みを備えることが望まれた。
【0009】
そこで、本発明の目的は、穀物粒からパンを製造できる自動製パン器であって、穀物粒の粉砕に伴うパン原料温度の上昇を抑制できる自動製パン器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の自動製パン器は、パン原料が投入されるパン容器と、前記パン容器が収容される焼成室と、前記パン容器内のパン原料をパン生地に練り上げる混練ブレードと、前記パン容器にパン原料の一部として投入される穀物粒を粉砕する粉砕ブレードと、前記混練ブレードを低速回転するために設けられる第1のモータと、前記粉砕ブレードを高速回転するために設けられる第2のモータと、前記焼成室に設けられる通気孔を利用して前記焼成室を冷却する空気の流れを作るダクト及びファンと、を備えることを特徴としている。
【0011】
本構成の自動製パン器は、粉砕ブレード及び粉砕ブレードを高速回転するための第2のモータとを備えるために、穀物粒からパンを製造することができる。そして、本構成の自動製パン器は、焼成室を冷却する空気の流れを作るダクト及びファンを更に備える構成となっている。このために、穀物粒を粉砕するために第2のモータを駆動した場合においても、焼成室に収容されるパン容器内のパン原料の温度が過度に上昇するのを抑制できる。
【0012】
上記構成の自動製パン器において、穀物粒と液体とが投入された前記パン容器内で前記粉砕ブレードを回転させて穀物粒を粉砕する粉砕工程と、穀物粒を粉砕して得られた粉砕粉を含むパン原料が投入された前記パン容器内で前記混練ブレードを回転させてパン生地を練り上げる練り工程と、練り上げられたパン生地を発酵させる発酵工程と、発酵させたパン生地を焼成する焼成工程と、が含まれるパンの製造工程を実行させる制御部を更に備え、前記制御部は、少なくとも前記粉砕工程が実行される場合に前記ファンが駆動するように前記ファンの駆動を制御することとしてもよい。
【0013】
本構成によれば、制御部による制御下で、少なくとも粉砕工程時におけるファンの駆動が制御されるために、ユーザにとって使い勝手がよい。
【0014】
上記構成の自動製パン器において、前記焼成室の温度を検知する温度検知部と、前記温度検知部から得られる温度情報に基づいて前記ファンの駆動を制御する制御部と、を更に備えることとしてもよい。このように構成すれば、環境温度の影響を加味して適切なタイミングでファンを駆動させることが可能となる(例えば粉砕工程時に限らず練り工程時等においても適切なタイミングでファンを駆動させることが可能となる)。このために、本構成の自動製パン器は出来の良いパンを製造しやすい。
【0015】
上記構成の自動製パン器において、前記通気孔は、前記焼成室の側壁の一部を前記焼成室外へと向かう方向に突出させて形成されるようにしてもよい。本構成によれば、焼成室側から通気孔を介して本体内部やダクト内部へと異物が進入し難い構成とできる。また、本構成によれば、焼成室内に突起が形成されないために、焼成室内で引っ掛かり等が発生し難くい構成を実現できる。
【0016】
上記構成の自動製パン器において、前記焼成室に設けられる前記通気孔には、第1の通気孔と第2の通気孔とが含まれ、本体外部に連通する前記ダクトは、前記第2の通気孔を介して前記焼成室に連通しており、前記ファンは、前記第1の通気孔を介して前記焼成室外から前記焼成室内に空気を取り込むと共に、前記第2の通気孔及び前記ダクトを介して前記焼成室内の空気を前記本体外部に排出することとしてもよい。本構成によれば、ファン及びダクトを用いた冷却機構を低コストで容易に実現しやすい。
【0017】
上記構成の自動製パン器において、前記第1の通気孔は前記焼成室の第1の側壁に形成され、前記第2の通気孔は前記焼成室の第2の側壁に形成され、前記第1の側壁と前記第2の側壁とは互いに対向していることとしてもよい。本構成によれば、焼成室内に収容されるパン容器を挟むように吸気口(第1の通気孔)と排気口(第2の通気孔)を設ける構成になり、ファンによって作り出される空気の流れでパン容器を効率良く冷却しやすい。
【0018】
上記構成の自動製パン器において、前記ファンは前記ダクトの途中に設けられているのが好ましい。本構成により、自動製パン器の小型化が図れる。また、ファンが外部側に剥き出しとならず、安全な自動製パン器とできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、穀物粒からパンを製造できる自動製パン器であって、穀物粒の粉砕に伴うパン原料温度の上昇を抑制できる自動製パン器を提供できる。すなわち、本発明によると、穀物粒からパンを製造できる便利な仕組みを備えた自動製パン器を提供できるために、家庭でのパン製造をより身近なものとして、家庭でのパン作りが盛んになることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態の自動製パン器の外観構成を示す概略斜視図
【図2】本実施形態の自動製パン器の本体内部の構成を説明するための模式図
【図3】本実施形態の自動製パン器が備える第1の動力伝達部に含まれるクラッチについて説明するための図
【図4】本実施形態の自動製パン器の概略構成を示す一部断面図
【図5】本実施形態の自動製パン器が備える粉砕ブレード及び混練ブレードの構成を説明するための図で、斜め下方から見た場合の概略図
【図6】本実施形態の自動製パン器が備える粉砕ブレード及び混練ブレードの構成を説明するための図で、下から見た場合の概略図
【図7】混練ブレードが折り畳み姿勢にある場合のパン容器の上面図
【図8】混練ブレードが開き姿勢にある場合のパン容器の上面図
【図9】本実施形態の自動製パン器が備えるガードの構成を示す概略斜視図
【図10】本実施形態の自動製パン器が備える冷却機構の構成を説明するための図
【図11】本実施形態の自動製パン器の構成を示すブロック図
【図12】米粒用製パンコースによって実行されるパンの製造工程の流れを示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の自動製パン器の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本明細書に登場する具体的な時間や温度等はあくまでも例示であり、本発明の内容を限定するものではない。
(自動製パン器の構成)
図1は、本実施形態の自動製パン器の外観構成を示す概略斜視図である。図1に示すように、自動製パン器1の本体10(例えば合成樹脂によって形成される)の上面右側寄りには操作部20が設けられる。この操作部20には、スタートキー、取り消しキー、タイマーキー、予約キー、パンの製造コース(米粒を出発原料に用いてパンを製造するコース、米粉を出発原料に用いてパンを製造するコース、小麦粉を出発原料に用いてパンを製造するコース等)を選択する選択キー等の操作キー群と、操作キー群によって設定された内容やエラー等を表示する表示部が設けられている。なお、表示部は、例えば、液晶表示パネルや発光ダイオードを光源とする表示ランプ等によって構成される。
【0022】
また、本体10には、操作部20の隣側(図1においては左隣)に、パン容器(詳細は後述する)が収容される焼成室30が形成されている。例えば板金によって形成される焼成室30は、平面視略矩形状に形成され、底壁30a及び4つの側壁30b(後述の図4も参照)を有し、上面が開口している。また、本体10には、この焼成室30を覆う蓋40(例えば合成樹脂によって形成される)が設けられる。この蓋40は、図示しない蝶番軸で本体10の背面側に取り付けられており、その蝶番軸を支点として回動することで、焼成室30の開口の開閉が可能となっている。この蓋40には、図示は省略するが、焼成室30内を覗けるように、例えば耐熱ガラスからなる覗き窓が設けられている。
【0023】
図2は、本実施形態の自動製パン器の本体内部の構成を説明するための模式図である。図2は、自動製パン器1を上側から見た場合を想定している。図2に示すように、自動製パン器1には、焼成室30の右横に練り工程で用いられる低速・高トルクタイプの混練モータ50が固定配置され、焼成室30の後ろ側に粉砕工程で用いられる高速回転タイプの粉砕モータ60が固定配置されている。混練モータ50及び粉砕モータ60はいずれも竪軸である。なお、混練モータ50は本発明の第1のモータの実施形態であり、粉砕モータ60は本発明の第2のモータの実施形態である。
【0024】
混練モータ50の上面から突出する出力軸51には第1のプーリ52が固定される。この第1のプーリ52は、第1のベルト53によって、その径が第1のプーリ52よりも大きく形成されると共に、第1の回転軸54の上部側に固定される第2のプーリ55に連結されている。第1の回転軸54の下部側には、その回転中心が第1の回転軸54とほぼ同一となるように第2の回転軸57が設けられている。なお、第1の回転軸54及び第2の回転軸57は、本体10内部に回転可能に支持されている。また、第1の回転軸54と第2の回転軸57との間には、動力伝達と動力遮断を行うクラッチ56が設けられている。このクラッチ56の構成については後述する。
【0025】
第2の回転軸57の下部側には第3のプーリ58が固定されている。第3のプーリ58は、第2のベルト59によって、焼成室30の下部側に設けられる原動軸11に固定される第1の原動軸用プーリ12(第3のプーリ58とほぼ同一の径を有する)に連結されている。混練モータ50自身が低速・高トルクタイプであり、その上、第1のプーリ52の回転が第2のプーリ55によって減速回転される(例えば1/5の速度に減速される)。このため、クラッチ56が動力伝達を行う状態で混練モータ50を駆動すると、原動軸11は低速で回転する。
【0026】
なお、第1のプーリ52、第1のベルト53、第1の回転軸54、第2のプーリ55、クラッチ56、第2の回転軸57、第3のプーリ58、第2のベルト59、及び第1の原動軸用プーリ12で構成される動力伝達部のことを、以下において第1の動力伝達部と表現することがある。第1の動力伝達部は、クラッチ56が動力伝達を行う状態で、混練モータ50の出力軸51と原動軸11とを動力伝達可能に連結する。
【0027】
粉砕モータ60の下面から突出する出力軸61には、第4のプーリ62が固定されている。この第4のプーリ62は、第3のベルト63によって、原動軸11に固定される第2の原動軸用プーリ13(第1の原動軸用プーリ12より下側で固定される)に連結されている。第2の原動軸用プーリ13は第4のプーリ62とほぼ同一の径を有する。粉砕モータ60には高速回転のものが選定され、第4のプーリ62の回転は第2の原動軸用プーリ13においてほぼ同一速度で維持されるために、粉砕モータ60を駆動すると、原動軸11は高速回転(例えば7000〜8000rpm)を行う。
【0028】
なお、第4のプーリ62、第3のベルト63、及び第2の原動軸用プーリ13で構成される動力伝達部のことを、以下において第2の動力伝達部と表現することがある。第2の動力伝達部は、クラッチを有さない構成であり、粉砕モータ60の出力軸61と原動軸11とを常時動力伝達可能に連結する。
【0029】
図3は、本実施形態の自動製パン器が備える第1の動力伝達部に含まれるクラッチについて説明するための図である。図3は、図2の矢印A方向に沿って見た場合を想定した図である。なお、図3(a)はクラッチ56が動力遮断を行う状態を示し、図3(b)はクラッチ56が動力伝達を行う状態を示す。
【0030】
図3に示すように、クラッチ56は、第1のクラッチ部材561と第2のクラッチ部材562とを有する。そして、第1のクラッチ部材561に設けられる爪561aと、第2のクラッチ部材562に設けられる爪562aとが噛み合う場合(図3(b)の状態)に動力伝達を行い、2つの爪561a、562bが噛み合わない場合(図3(a)の状態)に動力遮断を行うようになっている。すなわち、クラッチ56は噛み合いクラッチとなっている。
【0031】
なお、本実施形態では、2つのクラッチ部材561、562のそれぞれには、周方向(第1のクラッチ部材561を下から平面視した場合、或いは、第2のクラッチ部材562を上から平面視した場合を想定)にほぼ等間隔に並ぶ6つの爪561a、562aが設けられているが、この爪の数は適宜変更してもよい。また、爪561a、562aの形状は、適宜好ましい形状を選択すればよい。
【0032】
第1のクラッチ部材561は、抜け止め対策を施された上で、第1の回転軸54に、その軸方向(図3において上下方向)に摺動可能であると共に、回転不能に取り付けられている。第1の回転軸54の第1のクラッチ部材561より上部側には、バネ71が遊嵌されている。このバネ71は、第1の回転軸54に設けられるストッパ部54aと第1のクラッチ部材561とに挟まれるように配置されており、第1のクラッチ部材561を下側に向けて付勢している。一方、第2のクラッチ部材562は、第2の回転軸57の上端に固定されている。
【0033】
クラッチ56の切り替え(動力伝達状態と、動力遮断状態の切り替え)は、第1のクラッチ部材561から固定状態で延出するアーム部72と、永久磁石73aが内蔵された自己保持型のソレノイド73と、を用いて行われる。ソレノイド73のプランジャー73bは、その先端部(図3においては下部側が該当)がアーム部72に設けられる取付部72aに固定された状態となっている。アーム部72(取付部72aを含む)は金属で形成されているために、永久磁石73aに吸着可能となっている。
【0034】
図3(a)の状態から、ソレノイド73に、永久磁石73aの磁界を打ち消すように電圧を印加すると、永久磁石73aのアーム部72(より正確には取付部72a)を吸着する力が低下し、バネ71の付勢力によって第1のクラッチ部材561が下側に押し下げられる。これにより、第1のクラッチ部材561の爪561aと、第2のクラッチ部材562の爪562aとの噛み合いが得られ、クラッチ56は動力伝達を行うようになる(図3(b)の状態となる)。この噛み合いが得られた状態は、バネ71の付勢力によって維持されるために、第1のクラッチ部材561を引き下げるための駆動を行った後は、ソレノイド73はオフとされる。また、この噛み合いが得られた状態では、アーム部72が引き下がるために、ソレノイド73のプランジャー73bは、ハウジング73cからの突出量(下側への突出量)が増した状態となっている。
【0035】
一方、図3(b)の状態から、ソレノイド73に、プランジャー73bを引き上げる方向の電圧(永久磁石73aの磁界を打ち消す方向とは逆方向の電圧)を印加すると、バネ71の付勢力に反して、アーム部72と共に第1のクラッチ部材561が上側に引き上げられる。これにより、第1のクラッチ部材561の爪561aと、第2のクラッチ部材562の爪562aとの噛み合いが解除され、クラッチ56は動力遮断を行うようになる(図3(a)の状態となる)。この噛み合いが解除された状態においては、ソレノイド73に内蔵される永久磁石73aがアーム部72(より正確には取付部72a)を吸着する。このために、第1のクラッチ部材561を引き上げるための駆動を行った後は、ソレノイド73をオフとしても噛み合いが解除された状態を維持できるので、ソレノイド73はオフされる。
【0036】
粉砕モータ60を駆動する際に、クラッチ56が動力伝達を行う状態(図3(b)の状態)であると、原動軸11を高速回転させる回転動力が混練モータ50の出力軸51に伝達される。この場合、粉砕モータ60が例えば8000rpmで回転されるとすると、第1のプーリ52と第2のプーリ55との半径比(例えば1:5)によって、混練モータ50の出力軸51を40000rpmで回転させようとすることになる。この場合、粉砕モータ60に非常に大きな負荷が加わるために、粉砕モータ60が破損する可能性がある。このため、粉砕モータ60を駆動する際には、原動軸11を高速回転させる回転動力が混練モータ50の出力軸51に伝達されないようにする必要があり、自動製パン器1は、動力伝達と動力遮断を行うクラッチ56を第1の動力伝達部に含む構成となっている。
【0037】
なお、上述のように自動製パン器1は、第4のプーリ62、第3のベルト63、及び第2の原動軸用プーリ13で構成される第2の動力伝達部にはクラッチを設けない構成としているが、このように構成しても、混練モータ50に上述のような大きな負荷が加わってモータ破損が生じることはない。これは、混練モータ50を駆動しても原動軸11は低速回転(例えば180rpm等)されるのみであり、原動軸11を回転させる回転動力が粉砕モータ60の出力軸に伝達されても、混練モータ50に大きな負荷が加わることはないからである。そして、このように第2の動力伝達部に敢えてクラッチを設けない構成とすることにより、自動製パン器の製造コストを抑制している。
【0038】
また、本実施形態の自動製パン器1ではクラッチ56を噛み合いクラッチとしているが、これに限定される趣旨ではなく、場合によっては電磁クラッチ等としても構わない。
【0039】
図4は、本実施形態の自動製パン器の概略構成を示す一部断面図である。図4は、自動製パン器を正面側から見た場合を想定している。この図4では、焼成室30にパン原料を投入するパン容器80が収容された状態を示している。図4に示すように、焼成室30の内部にはシーズヒータ31(加熱手段の一例)が、焼成室31に収容されたパン容器80を包囲するように配置され、パン容器80内のパン原料を加熱できるようになっている。
【0040】
また、焼成室30の底壁30aの略中心にあたる箇所には、パン容器80を支持するパン容器支持部14(例えばアルミニウム合金のダイキャスト成型品からなる)が固定されている。このパン容器支持部14は、焼成室30の底壁30aから窪むように形成され、その窪みの形状は上から見た場合に略円形となっている。このパン容器支持部14の中心には、上述の原動軸11が底壁30aに対して略垂直となるように支持されている。
【0041】
パン容器80は例えばアルミニウム合金のダイキャスト成型品であり、バケツのような形状をしており、開口部側縁に設けられる鍔部80aに手提げ用のハンドル(図示せず)が取り付けられている。パン容器80の水平断面は四隅を丸めた矩形である。また、パン容器80の底部には、詳細は後述する粉砕ブレード90とカバー100とを収容する平面視略円形状の凹部81が形成されている。
【0042】
パン容器80の底部中心には、垂直方向に延びるブレード回転軸82が、シール対策が施された状態で回転可能に支持されている。このブレード回転軸82の下端(パン容器80の底部から突き出ている)には容器側カップリング部材82aが固定されている。また、パン容器80の底部外面側には筒状の台座83が設けられており、パン容器80は、この台座83がパン容器支持部14に受け入れられた状態で、焼成室30内に収容されるようになっている。なお、台座83は、パン容器80とは別に形成してもよいし、パン容器80と一体的に形成してもよい。
【0043】
パン容器支持部14の内周面と台座83の外周面とには、それぞれ図示しない突起が形成されており、これらの突起は周知のバヨネット結合を構成する。すなわち、パン容器80をパン容器支持部14に取り付ける際、台座83の突起がパン容器支持部14の突起に干渉しないようにしてパン容器80を下ろす。そして、台座83がパン容器支持部14に嵌り込んだ後、パン容器80を水平にひねると、パン容器支持部14の突起の下面に台座83の突起が係合するようになっている。これにより、パン容器80は上方に抜けなくなる。
【0044】
なお、この操作で、ブレード回転軸82の下端に設けられる前述の容器側カップリング部材82aと、原動軸11の上端に固定される原動軸側カップリング部材11aとの連結(カップリング)も同時に達成される。そして、このカップリングにより、ブレード回転軸82は原動軸11から回転動力が伝えられるようになる。
【0045】
ブレード回転軸82には、パン容器80の底部より少し上の箇所に、粉砕ブレード90が取り付けられている。また、ブレード回転軸82の上端には、平面視略円形のドーム状カバー100が取り付けられている。図5は、本実施形態の自動製パン器が備える粉砕ブレード及び混練ブレードの構成を説明するための図で、斜め下方から見た場合の概略図である。図6は、本実施形態の自動製パン器が備える粉砕ブレード及び混練ブレードの構成を説明するための図で、下から見た場合の概略図である。
【0046】
図5及び図6に示すように、粉砕ブレード90(例えばステンレス鋼板によって形成される)は、飛行機のプロペラのような形状を有し、ブレード回転軸82に対して回転不能に取り付けられる。粉砕ブレード90の中心部はブレード回転軸82に嵌合するハブ90aとなっている。このハブ90aの下面には、ハブ90aを直径方向に横断する溝90bが形成されている。粉砕ブレード90をブレード回転軸82の上から嵌め込んだ場合に、ブレード回転軸82を水平に貫くピン(図示せず)が、ハブ90aを受け止め、また、溝90bに係合し、粉砕ブレード90をブレード回転軸82に対して回転不能に連結する。
【0047】
なお、粉砕ブレード90は、ブレード回転軸82から簡単に引き抜くことができるので、製パン作業終了後の洗浄や、切れ味が悪くなった時の交換を手軽に行うことができる。
【0048】
ドーム状のカバー100(例えばアルミニウム合金のダイキャスト成型品からなる)は、図5に示すように粉砕ブレード90を囲んで覆い隠す。このカバー100は、粉砕ブレード90のハブ90aに回転自在に支持され、座金100aと抜け止めリング100bによってハブ90aから抜けないようにされている(図4参照)。すなわち、本実施形態では、粉砕ブレード90とカバー100は分離できないユニットを構成し、粉砕ブレード90のハブ90aが、カバー100のブレード回転軸82を受け入れる回転軸受入部を兼ねる構成となっている。
【0049】
なお、このカバー100は、粉砕ブレード90と共にブレード回転軸82から簡単に引き抜くことができるために、製パン作業終了後の洗浄を手軽に行うことができる。
【0050】
ドーム状のカバー100の外面には、ブレード回転軸82から離れた箇所に配置された垂直方向に延びる支軸101(図6参照)により、平面形状「く」の字形の混練ブレード102(例えばアルミニウム合金のダイキャスト成型品からなる)が取り付けられている。支軸101は、混練ブレード102に固定ないし一体化されており、混練ブレード102と動きを共にする。
【0051】
なお、本実施形態では、カバー100の外面に、混練ブレード102に並ぶように補完混練ブレード103が設けられている。この補完混練ブレード103は、必ずしも設ける必要がないが、パン生地を練る練り工程における効率を高めるために設けるのが好ましい。本構成の場合、混練ブレード102と補完混練ブレード103が、本発明の混練ブレードの実施形態となる。
【0052】
混練ブレード102の動作について、図5から図8を参照して説明する。なお、図7、図8は、パン容器80を上から見た図で、図7と図8とでは、混練ブレード102が異なる姿勢となっている。
【0053】
混練ブレード102は、支軸101と共に支軸101の軸線周りに回転し、図7に示す折り畳み姿勢と、図8に示す開き姿勢との2姿勢をとる。折り畳み姿勢では、混練ブレード102の下縁から垂下した突起102a(図5参照)がカバー100の上面に設けられた第1のストッパ部100cに当接し、混練ブレード102はそれ以上カバー100に対し時計方向(上から見た場合を想定)の回動を行うことができない。混練ブレード102の先端は、この時、カバー100から少し突き出している。ここから混練ブレード102が反時計方向(上から見た場合を想定)に回動して図8に示す開き姿勢となると、混練ブレード102の先端はカバー100から大きく突き出す。この開き姿勢における混練ブレード102の開き角度は、カバー100の内面に設けられる第2のストッパ部100d(図5、図6参照)によって制限される。後述のカバー用クラッチ104(図6参照)を構成する第2係合体104b(支軸101に固定状態で取り付けられる)が第2のストッパ部100dに当って回転できなくなった時点で、混練ブレード102は最大開き角度となる。
【0054】
なお、混練ブレード102が折り畳み姿勢となっている場合には、図7に示すように補完混練ブレード103は混練ブレード102に整列し、あたかも「く」の字形状の混練ブレード102のサイズが大型化したようになる。
【0055】
カバー100とブレード回転軸82の間には、図6に示すようにカバー用クラッチ104が介在する。カバー用クラッチ104は、混練モータ50が原動軸11を回転させるときのブレード回転軸82の回転方向(この回転方向を「正方向回転」とする。図6では時計方向回転となる。)において、ブレード回転軸82とカバー100を連結する。逆に、粉砕モータ60が原動軸11を回転させるときのブレード回転軸82の回転方向(この回転方向を「逆方向回転」とする。図6では反時計方向回転となる。)では、カバー用クラッチ104はブレード回転軸82とカバー100の連結を切り離す。なお、図7及び図8では、前記「正方向回転」は反時計方向回転となり、前記「逆方向回転」は時計方向回転となる。
【0056】
カバー用クラッチ104について更に詳細に説明する。カバー用クラッチ104は、第1係合体104aと第2係合体104bとによって構成される。第1係合体104aは粉砕ブレード90のハブ90aに固定されるか、又は、ハブ90aと一体成形される。すなわち、第1係合体104aはブレード回転軸82に回転不能に取り付けられた状態となっている。第2係合体104bは混練ブレード102の支軸101に固定されるか、又は支軸101と一体成形され、混練ブレード102の姿勢変更に伴って角度を変える。
【0057】
混練ブレード102が折り畳み姿勢にある場合(例えば図6、図7の状態)は、第2係合体104bは第1係合体104aの回転軌道に干渉する角度となる。このため、ブレード回転軸82が正方向回転(図6では時計方向回転、図7では反時計方向回転)すると、第1係合体104aと第2係合体104bは係合し、ブレード回転軸82の回転力がカバー100及び混練ブレード102に伝達される。
【0058】
一方、混練ブレード102が開き姿勢にある場合(図8の状態)には、第2係合体104bは第1係合体104aの回転軌道から逸脱した角度となる。このために、ブレード回転軸82が逆方向回転(図8では時計方向回転)しても、第1係合体104aと第2係合体104bは係合しない。従って、ブレード回転軸82の回転力はカバー100及び混練ブレード102に伝達されない。以上からわかるように、カバー用クラッチ104は、混練ブレード102の姿勢によってブレード回転軸82とカバー100との連結状態を切り替える。
【0059】
図5及び図6に示すように、カバー100には、カバー内空間とカバー外空間を連通する窓105が形成される。窓105は粉砕ブレード90に並ぶ高さか、それよりも上の位置に配置される。なお、本実施形態では、計4個の窓105が90°間隔で並んでいるが、それ以外の数と配置間隔を選択することもできる。
【0060】
また、カバー100内面には、各窓105に対応して計4個のリブ106が形成されている。各リブ106はカバー100の中心近傍から外周の環状壁まで半径方向に斜めに延び、4個合わさって一種の巴形状を構成する。また、各リブ106は、それに向かって押し寄せるパン原料に対面する側が凸となるように湾曲している。
【0061】
図4に戻って、カバー100の下面にはガード110が着脱可能に取り付けられている。このガード110は、カバー100の下面を覆って粉砕ブレード90への指の接近を阻止する。ガード110は、例えば耐熱性を有するエンジニアリングプラスチックによって形成され、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)等の成型品とできる。図9は、本実施形態の自動製パン器が備えるガードの構成を示す概略斜視図である。
【0062】
図9に示すように、ガード110の中心には、ブレード回転軸82を通すリング状のハブ111がある。また、ガード110の周縁にはリング状のリム112がある。ハブ111とリム112とは複数のスポーク113で連結される。スポーク113同士の間は、粉砕ブレード90によって粉砕される米粒を通す開口部114となる。開口部114は、指が通り抜けられない程度の大きさとなっている。
【0063】
ガード110は、カバー100に取り付けられた時、粉砕ブレード90と近接状態となる。そして、あたかも、ガード110が回転式電気かみそりの外刃で、粉砕ブレード90が内刃のような形になる。
【0064】
リム112の周縁には、90°間隔で計4個(この構成に限定されないのは言うまでもない)の柱115が一体成形されている。この柱115のガード110中心側を向いた側面には、一端が行き止まりになった水平な溝115aが形成される。この溝115aにカバー100の外周に形成される突起100e(実施形態では、45°間隔で計8個配置されている)を係合することによって、ガード110はカバー100に取り付けられる。なお、溝115aと突起100eはバヨネット結合を構成するように設けられている。
【0065】
図10は、本実施形態の自動製パン器が備える冷却機構の構成を説明するための図である。図10は、側面側から見た場合の概略断面図であり、焼成室30にパン容器80が収容されていない場合の状態を示している。図10においては、図の左側が自動製パン器1の正面側に該当し、図の右側が自動製パン器1の背面側に該当する。
【0066】
図10(図2も参照)に示すように、焼成室30の前側壁30bf(本発明の第1の側壁の実施形態)には第1の通気孔32が、深さ方向に複数並ぶように形成されている。この第1の通気孔32は、板金製の前側壁30bfの一部を焼成室30外へと向かう方向(図10の左側方向)に突出させる加工を行うことによって得られている。第1の通気孔32は、焼成室30外へと突出する部分の上部側が開口するように形成されており、この開口から斜め下方(図10では右斜め下方)に向けて焼成室30内へと繋がる空気の通路が形成される構成となっている。
【0067】
また、図10(図2も参照)に示すように、前側壁30bfに対向する後側壁30bb(本発明の第2の側壁の実施形態)には、第2の通気孔33が深さ方向に複数並ぶように形成されている。本実施形態では第1の通気孔32と同数としているが、必ずしも第1の通気孔32と同数でなくてもよい。この第2の通気孔33は、板金製の後側壁30bbの一部を焼成室30外へと向かう方向(図10の右側方向)に突出させる加工を行うことによって得られている。第2の通気孔33は、焼成室30外へと突出する部分の上部側が開口するように形成されており、この開口から斜め下方(図10では左斜め下方)に向けて焼成室30内へと繋がる空気の通路が形成される構成となっている。
【0068】
また、本体10内部においては、焼成室30の後側壁30bbに形成される第2の通気孔33を、焼成室30の外側からその一端部で覆い隠すように、角型形状のダクト16が後側壁30bbに取り付けられている。このダクト16の他端部は、本体10の背面に設けられる複数のスリット部10aを本体10内部側から覆い隠すように本体10に取り付けられている。このように設けられるダクト16は、第2の通気孔33及びスリット部10aを介して焼成室30と本体10外部とを連通する構成となっている。
【0069】
ダクト16の内部であってスリット部10a寄りの位置には、軸流ファン17が取り付けられている。このファン17が駆動すると、図10に破線矢印で示すように、焼成室30の外から第1の通気孔32を介して焼成室30内に空気が取り込まれると共に、第2の通気孔33及びダクト16を介して焼成室30内の空気が本体10外部へと排出されるようになっている。すなわち、ファン17の駆動によって、焼成室30にはその外部から空気(焼成室30内より冷たい空気)が取り込まれると共に、焼成室30内の空気(摩擦熱によって温められた空気)が本体10外部へと排出される空気の流れが作られ、焼成室30内は冷却されるようになっている。
【0070】
なお、第1の通気孔32及び第2の通気孔33の数や位置は、本実施形態の構成に限定される趣旨ではなく、焼成室30に収容されるパン容器80を効率良く冷却できるように、適宜変更して構わない。本実施形態では、第1の通気孔32と第2の通気孔33を形成する位置を、互いに対向する側壁30bf、30bbとしている。これにより、焼成室30内に収容されるパン容器80を挟むように吸気口(第1の通気孔32)と排気口(第2の通気孔33)を設ける構成となり、ファン17によって作り出される空気の流れでパン容器80を効率良く冷却できる。
【0071】
また、本実施形態の自動製パン器1では、第1の通気孔32及び第2の通気孔33を、側壁30bf、30bbの一部を焼成室30外へと向かう方向に突出させる加工を行うことによって得ているが、これに限定される趣旨ではない。例えば、第1の通気孔32及び第2の通気孔33を、側壁30bf、30bbの一部を焼成室30内へと向かう方向に突出させる加工を行うことによって得てもよい。ただし、本実施形態のように構成した方が、焼成室30から本体10内部やダクト16に異物が進入し難い構造とできるので好ましい。また、本実施形態のように構成した方が、焼成室30内に突起がない構成となり、焼成室30内で引っ掛かり等が発生し難くなるので好ましい。また、第1の通気孔32及び第2の通気孔33は、側壁30bf、30bbにドリル等であけた孔としてもよい。
【0072】
また、本実施形態の自動製パン器1ではダクト16内にファン17を設けるとしているが、ダクト16の一方端外部に冷却用のファンを取り付けるようにしても勿論構わない。
【0073】
図11は、本実施形態の自動製パン器の構成を示すブロック図である。図11に示すように、自動製パン器1における制御動作は制御装置120によって行われる。制御装置120は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、I/O(input/output)回路部等からなるマイクロコンピュータ(マイコン)によって構成される。この制御装置120は、焼成室30の熱の影響を受け難い位置に配置するのが好ましい。また、制御装置120には、時間計測機能が備えられており、パンの製造工程における時間的な制御が可能となっている。
【0074】
制御装置120には、上述の操作部20と、焼成室30の温度を検知する温度センサ15と、混練モータ駆動回路121と、粉砕モータ駆動回路122と、ヒータ駆動回路123と、ソレノイド駆動回路124と、ファン用モータ駆動回路125と、が電気的に接続されている。
【0075】
混練モータ駆動回路121は、制御装置120からの指令の下で混練モータ50の駆動を制御するための回路である。また、粉砕モータ駆動回路122は、制御装置120からの指令の下で粉砕モータ60の駆動を制御するための回路である。ヒータ駆動回路123は、制御装置120からの指令の下でシーズヒータ31の動作を制御するための回路である。ソレノイド駆動回路124は、制御装置120からの指令の下でクラッチ56(図3参照)の状態を切り替えるソレノイド73(図3参照)の駆動を制御するための回路である。ファン用モータ駆動回路125は、制御装置120からの指令の下でファン17(図10参照)の駆動を制御するための回路である。
【0076】
制御装置120は、操作部20からの入力信号に基づいてROM等に格納されたパンの製造コース(製パンコース)に係るプログラムを読み出し、混練モータ駆動回路121を介して混練モータ50による混練ブレード102及び補完混練ブレード103の回転の制御、粉砕モータ駆動回路122を介して粉砕モータ60による粉砕ブレード90の回転の制御、ヒータ駆動回路123を介してシーズヒータ31による加熱動作の制御、ソレノイド駆動回路124を介してソレノイド73によるクラッチ56の切替制御、ファン用モータ駆動回路125を介してファン17による冷却動作の制御を行いながら、自動製パン器1にパンの製造工程を実行させる。
(自動製パン器の動作)
次に、以上のように構成される自動製パン器1によってパンを製造する場合の自動製パン器1の動作について説明する。ここでは、自動製パン器1によって、米粒を出発原料に用いてパンを製造する場合を例に自動製パン器1の動作を説明する。
【0077】
米粒を出発原料に用いる場合には、米粒用製パンコースが選択される。図12は、米粒用製パンコースによって実行されるパンの製造工程の流れを示す模式図である。図12に示すように、米粒用製パンコースにおいては、浸漬工程と、粉砕工程と、練り(捏ね)工程と、発酵工程と、焼成工程と、がこの順番で順次に実行される。なお、図12には、焼成室30を冷却する冷却機構の動作の理解がし易いように、ファン17の動作状態を併せて示している。
【0078】
米粒用製パンコースによるパンを製造するにあたって、ユーザは、パン容器80のブレード回転軸82に、粉砕ブレード90と、混練ブレード102及び補完混練ブレード103付きのカバー100とを取り付ける。そして、ユーザは、米粒と水をそれぞれ所定量ずつ計量してパン容器80に入れる。なお、ここでは、米粒と水とを混ぜることにしているが、単なる水の代わりに、例えば、だし汁のような味成分を有する液体、果汁、アルコールを含有する液体等としてもよい。この後、ユーザは、米粒と水とを投入したパン容器80を焼成室30に入れて蓋40を閉じ、操作部20によって米粒用製パンコースを選択し、スタートキーを押す。これにより、制御装置120によって米粒を出発原料に用いてパンを製造する米粒用製パンコースが開始される。
【0079】
米粒用製パンコースがスタートされると、制御装置120の指令によって浸漬工程が開始される。浸漬工程では、米粒と水との混合物が静置状態とされ、この静置状態が予め定められた所定時間(本実施形態では50分)維持される。この浸漬工程は、米粒に水を含ませることによって、その後に行われる粉砕工程において、米粒を芯まで粉砕しやすくすることを狙う工程である。
【0080】
なお、米粒の吸水速度は水の温度によって変動し、水温が高いと吸水速度が高まり、水温が低いと吸水速度が低下する。このために、浸漬工程の時間は、例えば自動製パン器1が使用される環境温度等によって変動させるようにしてもよい。これにより、米粒の吸水度合いのばらつきを抑制できる。また、浸漬時間を短時間とするために、浸漬工程時にシーズヒータ31に通電して焼成室30の温度を高めるようにしてもよい。
【0081】
また、浸漬工程においては、その初期段階で粉砕ブレード90を回転させ、その後も断続的に粉砕ブレード90を回転させるようにしてもよい。このようにすると、米粒の表面に傷をつけることができ、米粒の吸液効率を高められる。
【0082】
上記所定時間が経過すると、制御装置120の指令によって、浸漬工程が終了され、米粒を粉砕する粉砕工程が開始される。この粉砕工程では、米粒と水との混合物の中で粉砕ブレード90が高速回転される。具体的には、制御装置120は、粉砕モータ60を制御してブレード回転軸82を逆方向回転させ、米粒と水との混合物の中で粉砕ブレード90の回転を開始させる。
【0083】
なお、粉砕モータ60を用いて粉砕ブレード90を回転させる場合、制御装置120は、ソレノイド73を駆動させて、クラッチ56が動力遮断を行うようにする(図3(a)の状態とする)。上述したように、このように制御しないとモータ破損の可能性があるからである。また、粉砕工程を開始するにあたって、制御装置120はファン17を駆動させる(図12参照)。粉砕工程においてパン原料(穀物粒(粉)及び水)の温度が過度に上昇しないようにするためである。
【0084】
粉砕ブレード90を回転させるために、ブレード回転軸82が逆方向回転された場合、カバー100もブレード回転軸82の回転に追随して回転を開始するが、次のような動作によってカバー100の回転はすぐに阻止される。粉砕ブレード90を回転させるためのブレード回転軸82の回転に伴うカバー100の回転方向は、図7において時計方向であり、混練ブレード102は、それまで折り畳み姿勢(図7に示す姿勢)であった場合には、米粒と水の混合物から受ける抵抗で開き姿勢(図8に示す姿勢)に転じる。混練ブレード102が開き姿勢になると、カバー用クラッチ104は、第2係合体104bが第1係合体104aの回転軌道から逸脱するために、ブレード回転軸82とカバー100の連結を切り離す。同時に、開き姿勢になった混練ブレード102は図8に示すように、パン容器80の内側壁に当るために、カバー100の回転は阻止される。
【0085】
粉砕工程における米粒の粉砕は、先に行われた浸漬工程によって米粒に水が浸み込んだ状態で実行されるために、米粒を芯まで容易に粉砕することができる。粉砕工程における粉砕ブレード90の回転は本実施形態では間欠回転とされる。この間欠回転は、例えば30秒回転して5分間停止するというサイクルで行われ、このサイクルが10回繰り返される。なお、最後のサイクルでは、5分間の停止は行わない。粉砕ブレード90の回転は連続回転としてもよいが、例えばパン容器80内の原料温度が高くなり過ぎることを防止する等の目的のために、間欠回転とするのが好ましい。
【0086】
粉砕工程においては、粉砕がカバー100内で行われるから、米粒がパン容器80の外に飛び散る可能性が低い。また、回転停止状態にあるガード110の開口部114からカバー100内に入る米粒は、静止したスポーク113と回転する粉砕ブレード90の間でせん断されるので、効率良く粉砕できる。また、カバー100に設けられるリブ106によって、米粒と水とからなる混合物の流動(粉砕ブレード90の回転と同方向の流動である)が抑制されるので、効率良く粉砕できる。
【0087】
また、粉砕された米粒と水との混合物はリブ106によって窓105の方向に誘導されて、窓105からカバー100の外に排出される。リブ106は、それに向かって押し寄せる混合物に対向する側が凸となるように湾曲しているので、混合物はリブ106の表面に対流しにくく、スムーズに窓105の方へ流れていく。更に、カバー100内部から混合物が排出されるのと入れ替わりに、凹部81の上の空間に存在していた混合物が凹部81に入り、凹部81からガード110の開口部114を通ってカバー100に入いる。このような循環をさせつつ粉砕ブレード90による粉砕を行うので、効率良く粉砕できる。
【0088】
また、自動製パン器1では、粉砕工程が実行される場合にファン17を駆動するように制御装置120がファン17の駆動を制御しているために、パン容器80のパン原料の温度が過度に上昇することを抑制できる。
【0089】
なお、自動製パン器1においては所定の時間(本実施形態では50分)で粉砕工程が終了するようにしている。しかしながら、米粒の硬さのばらつきや環境条件によって粉砕粉の粒度にばらつきが生じることがある。このため、粉砕工程の終了を、粉砕モータ60の負荷の大きさ(例えば、モータの制御電流等で判断できる)を指標に判断する構成等としても構わない。
【0090】
粉砕工程が終了すると、続いて練り工程が行われる。なお、この練り工程は、イーストが活発に働く温度(例えば30℃前後)で行う必要がある。このため、パン容器80内の原料温度が所定の温度範囲内(この温度は直接、或いは間接的に測定される)となった時点で練り工程を開始するようにするのが好ましい。上述のように、自動製パン器1では粉砕工程時にファン17を駆動させるようになっているので、パン原料の温度が過度に上昇しておらず、練り工程をスムーズに開始させることが可能である。
【0091】
また、練り工程の開始時には、グルテンや、食塩、砂糖、ショートニングといった調味料がそれぞれ所定量ずつ、パン容器80に投入される。この投入は、例えばユーザの手によって投入するようにしてもよいし、自動投入装置を設けてユーザの手を煩わせることなくそれらを投入するようにしてもよい。
【0092】
なお、グルテンは、パン原料として必須のものではない。このため、好みに応じてパン原料に加えるか否かを判断してよい。また、グルテンの代わりに、或いは、グルテンと共に小麦粉や増粘安定剤(例えばグアガム)を投入するようにしても構わない。また、食塩、砂糖、ショートニングといった調味料は、ユーザの好みで、その量を適宜変更して構わない。
【0093】
練り工程の開始にあたって、制御装置120はソレノイド73を駆動して、クラッチ56が動力伝達を行うようにする(図3(b)の状態)。また、自動製パン器1では、粉砕工程に引き続いて練り工程においても、制御装置120はファン17を駆動状態とする(図12参照)。練り工程における混練モータ50の回転等が原因となって焼成室30内の温度が上昇し、パン原料温度が望ましい温度(イーストを活発に働かせるために望ましい温度で、例えば30度前後)からずれるのを抑制するためである。
【0094】
制御装置120が混練モータ50を制御してブレード回転軸82を正方向回転させると、粉砕ブレード90も正方向に回転し、粉砕ブレード90の周囲のパン原料が正方向に流動する。それにつられてカバー100が正方向(図8では反時計方向)に動くと、混練ブレード102は流動していないパン原料から抵抗を受けて、開き姿勢(図8参照)から折り畳み姿勢(図7参照)へと角度を変えて行く。第2係合体104bが第1係合体104aの回転軌道に干渉する角度となると、カバー用クラッチ104の連結が生じ、カバー100はブレード回転軸82によって本格的に駆動される態勢に入る。カバー100と折り畳み姿勢になった混練ブレード102は、ブレード回転軸82と一体となって正方向に回転する。
【0095】
上述のように、混練ブレード102が折り畳み姿勢になると、混練ブレード102の延長上に補完混練ブレード103が並ぶために、混練ブレード102があたかも大型化したかのようになって、パン原料は力強く押される。このため、生地の練り上げをしっかり行える。
【0096】
練り工程における混練ブレード102及び補完混練ブレード103の回転は、終始連続回転としてもよいが、自動製パン器1では、練り工程の初期の段階は間欠回転とし、後半を連続回転としている。本実施形態では、初期に行う間欠回転が終了した段階で、イースト(例えばドライイースト)を投入するようになっている。このイーストは、ユーザが投入するようにしてもよいし、自動投入するようにしてもよい。なお、イーストをグルテン等と一緒に投入しないのは、イースト(ドライイースト)と水とが直接接触するのをなるべく避けるためである。ただし、場合によっては、イーストをグルテン等と同時に投入してもよい。
【0097】
混練ブレード102及び補完混練ブレード103の回転によってパン原料は混練され、所定の弾力を有する一つにつながった生地(dough)に練り上げられていく。混練ブレード102及び補完混練ブレード103が生地を振り回してパン容器80の内壁にたたきつけることにより、混練に「捏ね」の要素が加わることになる。混練ブレード102及び補完混練ブレード103の回転によりカバー100も回転する。カバー100が回転すると、カバー100に形成されるリブ106も回転するために、カバー100内のパン原料は速やかに窓105から排出され、混練ブレード102及び補完混練ブレード103が混練しているパン原料の塊(生地)に同化する。
【0098】
なお、練り工程においては、カバー100と共にガード110も正方向に回転する。ガード110のスポーク113は、正方向回転時、ガード110の中心側が先行しガード110の外周側が後続する形状とされている。このために、ガード110は、正方向に回転することにより、カバー100内外のパン原料をスポーク113で外側に押しやる。これにより、パンを焼き上げた後に廃棄分となる原料の割合を減らすことができる。
【0099】
また、ガード110の柱115は、ガード110が正方向に回転するときに回転方向前面となる側面115b(図9参照)が上向きに傾斜しているから、混練時、カバー100の周囲のパン原料が柱115の前面で上方に跳ね上げられる。このために、パンを焼き上げた後に廃棄分となる原料の割合を減らすことができる。
【0100】
自動製パン器1においては、練り工程の時間は、所望の弾力を有するパン生地が得られる時間として実験的に求められた所定の時間(本実施形態では10分)を採用する構成としている。ただし、練り工程の時間を一定とすると、環境温度等によってパン生地の出来上がり具合が変動する場合がある。このため、例えば、混練モータ50の負荷の大きさ(例えば、モータの制御電流等で判断できる)を指標に、練り工程の終了時点を判断する構成等としても構わない。
【0101】
なお、具材(例えばレーズン、ナッツ、チーズ等)入りのパンを焼く場合には、この練り工程の途中で投入するようにすればよい。
【0102】
練り工程が終了すると、制御装置120の指令によって発酵工程が開始される。なお、発酵工程の開始にあたって、制御装置120はファン17の駆動を停止させ、以後、パンが焼き上がるまで、ファン17を駆動させない。発酵工程では、制御装置120はシーズヒータ31を制御して、焼成室30の温度を発酵が進む温度(例えば38℃)に維持する。そして、発酵が進む環境下で所定の時間(本実施形態では60分)放置される。
【0103】
なお、場合によっては、この発酵工程の途中で、混練ブレード102及び補完混練ブレード103を回転してガス抜きや生地を丸める処理を行うようにしても構わない。
【0104】
発酵工程が終了すると、制御装置120の指令によって焼成工程が開始される。制御装置120はシーズヒータ31を制御して、焼成室30の温度を、パン焼きを行うのに適した温度(例えば125℃)まで上昇させ、焼成環境下で所定の時間(本実施形態では50分)パンを焼くように制御する。焼成工程の終了については、例えば操作部20の液晶表示パネルにおける表示や報知音等によってユーザに知らされる。ユーザは、製パン完了を検知すると、蓋40を開けてパン容器80を取り出して、パンの製造を完了させる。
【0105】
なお、パンの底には混練ブレード102及び補完混練ブレード103の焼き跡が残るが、カバー100とガード110は凹部81の中に収容された状態であるために、それらがパンの底に大きな焼き跡を残すようなことはない。また、焼成工程が終了した段階で制御装置120によってファン17を駆動させて、パン容器80を冷やすようにしても構わない。
(その他)
以上に示した実施形態は本発明の一例であり、本発明が適用される自動製パン器の構成は、以上に示した実施形態に限定されるものではない。
【0106】
例えば、以上に示した実施形態では、制御装置120が、粉砕工程時及び練り工程時にファン17を駆動させる構成とした。しかし、この構成に限定される趣旨ではなく、例えば粉砕工程時にのみファン17を駆動する構成等としてもよい。また、パンの製造時において、例えば温度センサ15(図11参照、本発明の温度検知部の実施形態)を用いて焼成室30の温度を検知し、この検知された温度に基づいてファン17の駆動を制御するようにしてもよい。自動製パン器1が置かれる環境温度の変動によって、焼成室30に収容されるパン容器80内の原料温度の変化の仕方が変わるために、このような制御も有効である。
【0107】
また、以上に示した実施形態では、ファン17が制御装置120よって自動制御される構成としたが、これに限定されず、例えば、本体10に設けられるスイッチを用いてユーザが好みのタイミングでファン17を駆動させることができる構成等としても構わない。
【0108】
また、以上に示した実施形態では、焼成室30から空気を吸い出す型のファン17を用いて冷却機構を構成したが、この構成に限定される趣旨ではない。すなわち、外部から焼成室30へと空気を送り込む型のファンを用いて、焼成室30を冷却するための冷却機構を構成するようにしても構わない。
【0109】
また、以上においては、自動製パン器によって、米粒を出発原料に用いてパンを製造する場合を示したが、本実施形態の自動製パン器は、例えば小麦粉や米粉を出発原料に用いてパンを製造することもできる。なお、この場合には、粉砕ブレード90は不要であるために、以上に示したのとは異なるパン容器(混練ブレードのみがブレード回転軸に取り付けられる従来型のパン容器)を用いるようにしても構わない。
【0110】
小麦粉や米粉といった穀物粉(製粉した粉)を出発原料に用いる場合には、穀物粒の他に、例えばイースト(ドライイースト等)、調味料(食塩、砂糖、ショートニング等)、グルテン、グアガム等の増粘剤(グルテンや増粘剤は必ずしも必要ではなく、適宜入れればよい。これらは、穀物粉として米粉を用いる場合に使用することが多い)等のパン原料が投入されたパン容器内で混練ブレードを回転させてパン生地を練り上げる練り工程と、練り上げられたパン生地を発酵させる発酵工程と、発酵させたパン生地を焼成する焼成工程と、が含まれるパンの製造工程が制御装置120によって実行される。なお、発酵工程においては、パン生地中のガスを抜くガス抜き工程やパン生地を丸める丸め工程を適宜行ってもよい。そして、このようなパンの製造工程を実行させる場合に、制御装置120は、焼成室30の温度を検知する温度センサ15からの温度情報に基づいてファン17の駆動を制御するようにしてもよい。例えば、夏場には、焼成室30の温度が、各工程における所望の温度より高くなって不出来なパンを製造してしまうことがある。しかし、温度情報に基づいて適宜ファン17を駆動させる(この制御は、例えば練り工程において有効である)ことにより、環境温度による影響を抑制して出来の良いパンを得ることができる。
【0111】
また、以上に示した実施形態においては、米粒を出発原料に用いる場合を例に、自動製パン器の構成及び動作を説明した。しかし、本発明の自動製パン器は、例えば小麦、大麦、粟、稗、蕎麦、とうもろこし、大豆等の米粒以外の穀物粒を出発原料に使用する場合にも適用可能である。
【0112】
また、以上に示した米粒用製パンコースで実行されるパンの製造工程は例示であり、他の製造工程としてもよい。一例を挙げると、粉砕工程の後に、粉砕粉に水を吸水させるために、再度浸漬工程を行ってから練り工程を行う構成等としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は、家庭用の自動製パン器に好適である。
【符号の説明】
【0114】
1 自動製パン器
16 ダクト
17 ファン
30 焼成室
30b 焼成室の側壁
30bf 焼成室の前側壁(第1の側壁)
30bb 焼成室の後側壁(第2の側壁)
32 第1の通気孔
32 第2の通気孔
50 混練モータ(第1のモータ)
60 粉砕モータ(第2のモータ)
80 パン容器
82 ブレード回転軸
90 粉砕ブレード
102 混練ブレード
103 補完混練ブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パン原料が投入されるパン容器と、
前記パン容器が収容される焼成室と、
前記パン容器内のパン原料をパン生地に練り上げる混練ブレードと、
前記パン容器にパン原料の一部として投入される穀物粒を粉砕する粉砕ブレードと、
前記混練ブレードを低速回転するために設けられる第1のモータと、
前記粉砕ブレードを高速回転するために設けられる第2のモータと、
前記焼成室に設けられる通気孔を利用して前記焼成室を冷却する空気の流れを作るダクト及びファンと、
を備えることを特徴とする自動製パン器。
【請求項2】
穀物粒と液体とが投入された前記パン容器内で前記粉砕ブレードを回転させて穀物粒を粉砕する粉砕工程と、穀物粒を粉砕して得られた粉砕粉を含むパン原料が投入された前記パン容器内で前記混練ブレードを回転させてパン生地を練り上げる練り工程と、練り上げられたパン生地を発酵させる発酵工程と、発酵させたパン生地を焼成する焼成工程と、が含まれるパンの製造工程を実行させる制御部を更に備え、
前記制御部は、少なくとも前記粉砕工程が実行される場合に前記ファンが駆動するように前記ファンの駆動を制御することを特徴とする請求項1に記載の自動製パン器。
【請求項3】
前記焼成室の温度を検知する温度検知部と、
前記温度検知部から得られる温度情報に基づいて前記ファンの駆動を制御する制御部と、を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の自動製パン器。
【請求項4】
前記通気孔は、前記焼成室の側壁の一部を前記焼成室外へと向かう方向に突出させて形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の自動製パン器。
【請求項5】
前記焼成室に設けられる前記通気孔には、第1の通気孔と第2の通気孔とが含まれ、
本体外部に連通する前記ダクトは、前記第2の通気孔を介して前記焼成室に連通しており、
前記ファンは、前記第1の通気孔を介して前記焼成室外から前記焼成室内に空気を取り込むと共に、前記第2の通気孔及び前記ダクトを介して前記焼成室内の空気を前記本体外部に排出することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の自動製パン器。
【請求項6】
前記第1の通気孔は前記焼成室の第1の側壁に形成され、前記第2の通気孔は前記焼成室の第2の側壁に形成され、前記第1の側壁と前記第2の側壁とは互いに対向していることを特徴とする請求項5に記載の自動製パン器。
【請求項7】
前記ファンは前記ダクトの途中に設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の自動製パン器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−172723(P2011−172723A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38691(P2010−38691)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】