説明

自動試料ワークセルの操作方法

【課題】試料に対する検査オーダーを受け取っていない場合でも、その1つまたは2つ以上の生物学的試料を処理するように動作可能で、それにより遅延を回避し、試料処理を迅速化することが可能な改良型自動試料ワークセルを提供する。
【解決手段】1つまたは2つ以上の生物学的試料を処理する自動試料ワークセルを操作する方法であって、各試料はサンプル管に入っており、各サンプル管はある管タイプのものである工程と、少なくとも1つの生物学的試料に対して、1つまたは2つ以上の第一処理工程を表す検査オーダーが受け取られた場合に、その第一処理工程を自動的に実行するためのワークセルを操作する工程と、前記検査オーダーが受け取られなかった場合、少なくとも1つの生物学的試料が入ったサンプル管の管タイプにしたがって、1つまたは2つ以上の第二処理工程を決定する工程と、1つまたは2つ以上の第二処理工程を実行する工程とを含む方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動試料ワークセルの操作方法と、生物学的試料を処理するように動作可能な自動試料ワークセルとに関する。
【背景技術】
【0002】
分析検査室において、特に、臨床検査室においては、患者の生理的状態を判断するために、生物学的試料の分析が数多く行われる。現在の、市販されている分析前検体処理装置は、血液、尿、脳脊髄液、唾液など、複数の生物学的試料を用意することができる。生物学的液体試料は、典型的には、開放した、または蓋付きのサンプル管に入っている。生物学的試料に化学的または生物学的分析を行う前に、複数の異なる分析前処理工程を患者の試料に対して行うことが必要となることがある。こうした処理工程は、遠心分離、キャップ、キャップ除去、再キャップおよび/または分注工程を含んでよい。この処理工程は、また、試料への化学薬品または緩衝剤の添加、試料の濃縮、試料の培養なども含んでよい。こうした「分析前」工程と手順が、「自動分析前システム」として知られる自動分析前試料ワークセルによって自動的に行われることが増えている。
【0003】
生物学的試料に対して行われる分析検査の種類は、典型的には、検査オーダーにおいて特定される。
【0004】
問題なのは、試料の物理的な移送および処理が、特定の分析検査の生物学的試料への割り当てと常に同時に行われるとは限らないということである。たとえば、患者から採血し、血液試料をサンプル管に採取し、および自動試料ワークセルに自動または手動で移送する時点で、どのような生物学的および/または化学的分析(または「分析検査」とも言われる)が、この試料に対して行われるのかわからないことがある。医師は、どのような分析検査を患者の血液試料に対して行うか決める前に、患者に対してさらなる検査を行うことが必要となることがある。こうしたさらなる検査を医師が行う一方で、患者の血液試料はすでに自動試料ワークセルに到達し、この試料をどうするのか疑問を持ったまま自動試料ワークセルを離れることもありうる。いくつかの検査室の状況によると、複数の試料が、積み重なった紙ベースの検査オーダーとともに受け取られる。このような状況において、特定の試料に対して電子検査オーダーをリクエストできるようにするためには、その前に、紙ベースの検査オーダーのデータを検査室のソフトウェアに手入力する必要があるため、電子検査オーダーの試料への割り当てが遅れうる。
【0005】
ほとんどの従来技術の自動試料ワークセルは、試料に対する検査オーダーを受け取らない限り、特定の分析用に、その生物学的試料を準備するように動作可能とならない。こうした自動ワークセルは、その生物学的試料を全く処理することができず、または検査オーダーを割り当てられていない試料をバッファステーションに運ぶことができるだけで、貴重な時間が失われる。
【0006】
従来技術の自動試料ワークセルの中には、検査オーダーをリクエストせず、生物学的試料のサンプル管のタイプを判定して、その管のタイプに基づいてのみ、その試料を処理するようなものがある。たとえば、特許文献1に記載された自動試料ワークセルは、異なるエリアまたはラックに容器を分配するために、画像解析によって試料容器のタイプを判定する。このやり方の欠点は、特定の分析検査用に特定の生物学的試料を準備するために必要なすべての処理工程を決定するためには、管のタイプの情報だけでは十分でないことが多いことである。さらに、検査室においては、管のタイプよりもさらに多くの処理ワークフローおよび対応する検査オーダーが存在するため、このシステムはフレキシブルではない。
【0007】
要約すると、従来技術の自動試料ワークセルは、完全に検査オーダーに基づいているため、完全に検査オーダーを受け取ることに依存しているか、または、単に管のタイプの判定に基づいている。後者のケースにおいては、そのワークセルはフレキシブルではなく、特定の分析検査のための生物学的試料の前処理を十分に行うことができないことが多い。
【0008】
特許文献2には、検査室ワークセルシステムにおいて化学検査および凝固検査を自動で処理するための方法が記載されており、この方法によって遠心分離プロトコルを適合させる作業が自動化される。患者の試料は、自動臨床ワークセルシステムのインプットステーションにおいて分類され、その分析前遠心分離の要求にしたがって、異なった取り扱いを受ける。
【0009】
特許文献3には、複数の患者試料に対して分析を行う試料ワークセルを自動的に操作するための方法が記載されている。ワークセルは、評価分析を定義された評価分析ルールと比較する。試料は、容器内で、容器識別のしるしを、たとえば患者の身元、および、任意で、遂行する分析手順を示すバーコードをつけられる。特許文献4には、プロトコルレコードデータベースを使用する、1つまたは2つ以上の遠心分離機を操作する方法が記載されている。さらに、自動分析装置用の試料処理システムが、特許文献5および特許文献6に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6599476号明細書
【特許文献2】国際公開第2007/018897号
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0037502号明細書
【特許文献4】米国特許第5865718号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第0902290号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第0795754号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の実施態様の目的は、試料に対する検査オーダーを受け取っていない場合でも、その1つまたは2つ以上の生物学的試料を処理するように動作可能で、それにより遅延を回避し、試料処理を迅速化することが可能な改良型自動試料ワークセルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、独立請求項の特徴によって達成される。好ましい実施態様は従属請求項に記載されている。
【0013】
ここで使用される「自動試料ワークセル」という表現は、1つまたは2つ以上の生物学的試料に対して1つまたは2つ以上の処理工程を自動的に実行するように動作可能な、1つまたは2つ以上の検査装置または「ワークセルユニット」を備えたあらゆる検査室ワークセルを含む。したがって、「処理工程」という表現は、遠心分離や分注などの処理工程を物理的に実行することを指している。「自動試料ワークセル」は、分析前試料ワークセル、分析後試料ワークセル、および、さらに分析ワークセルを含む。特に、自動試料ワークセルには、分析前試料ワークセルをカバーする。自動試料ワークセルの検査装置は機能的ユニットを形成し、言い換えれば、これらは、一連の処理工程を試料に対して実行するように、一括制御される。こうした検査装置は、物理的なユニットを形成してよいが、必ずしもその必要はない。したがって、ワークセルの検査装置は、1つの一体型ブロックを形成してよく、または、移送ユニット(たとえばコンベアー)によって接続される、物理的に分離した検査装置の一式であってもよい。
【0014】
「分析前試料ワークセル」は、1つまたは2つ以上の生物学的試料に対して1つまたは2つ以上の分析前処理工程を実行するための1つまたは2つ以上の検査装置を備えることによって、1つまたは2つ以上の引き続き行われる分析検査のために試料を準備する。分析前処理工程は、たとえば、遠心分離工程、キャップ、キャップ除去または再キャップ工程、分注工程、試料に緩衝剤を添加する工程などであってよい。ここで使用される「分析システム」という表現は、1つまたは2つ以上の生物学的試料に分析検査を実行するように動作可能な1つまたは2つ以上の検査装置または動作ユニットを備えた、あらゆる一体型の、または多モジュールの検査装置を含む。ここで使用される「分析後試料ワークセル」という表現は、1つまたは2つ以上の生物学的試料を自動的に処理および/または保管するように動作可能なあらゆる自動試料ワークセルを含む。分析後処理工程は、再キャップ工程、分析システムから試料を取り出す工程、またはこの試料を保管ユニットまたは生物学的廃棄物を収集するためのユニットへと移送するための工程を含んでよい。
【0015】
ワークセルは移送ユニット(コンベアおよび/またはロボットアーム)によって接続されてよい。あるいは、試料が1つのワークセルから他のワークセルへと手動で移動するか、あるいはワークセルが互いに直接接続される。
【0016】
「生物学的試料」という用語は、人間またはその他の有機体から取り出されたあらゆる種類の組織または体液を含む。具体的には、生物学的試料とは、全血、血清、血漿、尿、脳脊髄液または唾液、またはそれらから派生するものであってよい。
【0017】
「検体」とは、分析する試料の成分、たとえば様々な大きさの分子、イオン、タンパク質、代謝産物などである。検体について集められた情報は、有機体または特定の体内組織への薬品投与の影響を評価するか、または診断を行うために使用される。生物学的試料内の検体およびその濃度の判定は、ここでは「臨床化学」とも呼ばれる。血液試料の細胞成分の特性評価は、「臨床血液」と呼ばれる。個人の凝固メカニズムを評価する検査分析は、「凝固分析」と呼ばれる。
【0018】
分析または「分析検査」は、生物学的試料のパラメータ、たとえば、不透明度、色、密度、または試料検体の有無または濃度などを特性評価する検査手順である。血液の細胞成分によって妨げられる分析検査があるため、通常の分析は、全血ではなく、血漿または血清試料に対して行われる。さらに、血清および血漿は、冷凍または冷蔵することができ、そのため、その後の分析のために、数日または数週間、保管することができる。したがって、試料を保管または分析する前に血漿または血清を得るため、全血試料は、通常、分析前試料ワークセルにおいて遠心分離される。
【0019】
ここで使用される「検査オーダー」という表現は、特定の生物学的試料に対して行われる1つまたは2つ以上の分析検査を示すあらゆるデータオブジェクトを含む。たとえば、検査オーダーはファイル、または関連データベースにおけるエントリーであってよい。たとえば、検査オーダーが、特定の試料について行われる分析検査の識別子を含むか、または、こうした識別子と関連して保存される場合、検査オーダーは分析検査を示すことができる。
【0020】
「サンプル管」という用語は、生物学的試料を移送、保管および/または処理するためのあらゆる個別のコンテナを指す。具体的には、この用語は、任意で上端に蓋を備え、通常は丸みを帯びたU字型の底を備えた、検査用のガラスまたはプラスチック製品であるが、これに限定されない。
【0021】
サンプル管、たとえば血液を採取するのに使用するサンプル管は、試料の処理に影響を及ぼす凝固促進剤または抗凝固物質などの付加的な物質を含むことが多い。この結果、たとえば臨床化学的分析、血液分析または凝固分析といった特定の分析の分析前および分析の要求には、異なるタイプの管が典型的に適合される。サンプル管タイプが混ざると、(血液)試料が分析用に使用できなくなることがある。多くの管製造業者による試料キャップは、試料の採取と取扱上の間違いを防ぐため、既定の、統一された色の組み合わせにしたがってコード化されている。代わりに、またはこれに追加で、サンプル管タイプには、特定の管の寸法、キャップの寸法および/または管の色によって特徴付けられるものがある。管の寸法とは、たとえば、高さ、サイズおよび/またはさらなる特徴的な形状特性を含むものである。
【0022】
「管タイプ」という表現は、少なくとも1つの共通する特性によって特徴付けられるサンプル管のカテゴリーを指し、これによって、共通する特性を検査装置により自動的に検出することができるため、この共通する特性を使用することによって、1つの管タイプのサンプル管一式を他のタイプから識別することができる。現在使用されている典型的な管タイプのいくつかの例が、付録の表1に記載されている。表1は、サンプル管タイプI〜VIIの一覧である。管タイプには、複数の異なる分析検査に使用することができる生物学的試料を運ぶために設計されたものがある。そのような管タイプの例が、セラムチューブである。しかし、管タイプは、1つの分析検査について固有のものであってもよい。
【0023】
血漿とは、血液細胞を含まない、血液の液体成分である。血漿は、抗凝血剤を含んだ血液試料全体を、血漿が管の底で血液細胞から分離するまで、遠心分離機において回転させることによって得られる。血漿試料は、血漿を取り出すための血液試料である。血清サンプルは、一般的に、臨床化学または免疫学分析に使用される。血清は、フィブリノゲンまたは他の凝固因子をもたない血漿である。通常、血清は、法医学研究において、抗体の検出、臨床化学分析、血液型判定、またはDNA分析のための分析など、広範囲の様々な分析用に使用される。それに応じて、血清試料は、このような分析のうちの1つを実行する前に血清を取り出すための血液試料である。凝固サンプル管は、凝固検査で使用する血液を採取するためのサンプル管である
【0024】
「スタット試料(STAT sample)」とは、その分析結果が患者にとって生命に関わるほど重要であるため、大至急処理および分析する必要のある生物学的試料である。
【0025】
「ソート」および「グループ化」という表現は、少なくとも後続の処理工程において、1つのグループのすべての試料を同様に処理するための、特定のグループのすべての試料に共通する特徴に基づいた、生物学的試料のグループ化を指すべく、同意語として、以下において使用されている。
【0026】
以下に、本発明の実施態様を、単に図面を参照しながら、実施例によって、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】自動試料ワークセルのブロック図である。
【図2】自動試料ワークセルを操作する方法のフローチャートである。
【図3】三つの異なるタイプの試料の処理を示す図である。
【図4】分析前試料ワークセルを示す図である。
【図5】2つの分析システムおよび分析後試料ワークセルと接続した分析前試料ワークセルを示す図である。
【図6a】受け取られた検査オーダーにしたがって、1つまたは2つ以上の第一処理工程を特定する、コンピュータ実施の命令の選択を示す図である。
【図6b】管タイプにしたがって、1つまたは2つ以上の第二処理工程を特定する、コンピュータ実施の命令の選択を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
一形態において、本発明は、1つまたは2つ以上の生物学的試料を処理するための自動試料ワークセルを操作するための方法に関し、そのワークセルは試料インプットステーションを備え、その方法は、
各試料がサンプル管に含まれ、各サンプル管が1つの管タイプのものである、1つまたは2つ以上の生物学的試料を、試料インプットステーションによって受け取る工程と、
少なくとも1つの生物学的試料に対して検査オーダーが受け取られた場合に、その少なくとも1つの生物学的試料について1つまたは2つ以上の第一処理工程を自動的に実行するためにワークセルを操作する工程と、
その検査オーダーが受け取られなかった場合に、その少なくとも1つの生物学的試料が入ったサンプル管の管タイプにしたがって、1つまたは2つ以上の第二処理工程を決定し、その少なくとも1つの生物学的試料に対してその1つまたは2つ以上の第二処理工程を実行する工程とを含む。
【0029】
実施態様によると、1つまたは2つ以上の試料を受け取ると、検査オーダーを受け取ったかどうかの評価が行われる。1つまたは2つ以上の試料を受け取ることによって、たとえば、その試料の検査オーダーに対する第一リクエストの実行が開始できる。このような特徴によって、検査オーダーを受け取っていない場合でも、少なくとも1つの生物学的試料について少なくともいくつかの処理工程を実行できるため、こうした特徴は有利である。この結果、遅延が回避され、試料処理ワークフローを、ワークセルによって、より効率的に実行できる。
【0030】
従来技術の試料ワークセルと本発明の実施態様との違いを明確にするために、以下に、二つの使用例シナリオを記載する。本発明の実施態様によってもたらされる利点は、具体的には、検査オーダーがまだ割り当てられていない生物学的試料を受け取った、検査オーダーに基づいた従来技術の試料ワークセルにおいて起こる遅延を回避することである。
【0031】
二つの使用事例シナリオ
シナリオI:従来技術の試料ワークセル
a)生物学的試料が、検査オーダーに基づいた従来技術の試料ワークセルに入れられ、かつ、そのワークセルがその生物学的試料のための検査オーダーを受け取るように動作可能である場合、そのワークセルが、受け取った検査オーダーにしたがって、その受け取った生物学的試料について実行する1つまたは2つ以上の処理工程を決定する。
b)生物学的試料が自動試料ワークセルに入れられ、かつ、そのワークセルがその試料に対する検査オーダーを受け取ることができない場合、1つまたは2つ以上の分析検査のために試料をどのように準備するかについての情報がないため、その従来技術の試料ワークセルは、サンプルを処理するように動作可能ではない。その結果として、試料は、手動または自動でバッファステーションまたは保管ユニットへ運ばれる必要がある。その試料は、対応する試験オーダーが利用可能になるまで、そのバッファステーションまたは保管ユニットにて、保持される。貴重な時間は失われ、バッファ/保管の容量が占有されてしまう。ワークセルのオペレータは、さらに、試験オーダーを割り当てられていない試料をどうするか、決めるという作業を負わされる。
【0032】
シナリオII:本発明の実施態様による試料ワークセル
a)自動試料ワークセルは、その試料インプットステーションによって少なくとも1つの生物学的試料を受け取り、順調にリクエストをするか、あるいはその試料に対する検査オーダーを受け取る。その生物学的試料に対する検査オーダーが受け取られた場合、自動試料ワークセルは、検査オーダーに示されるように、その試料について第一処理工程を実行する。たとえば、受け取った生物学的試料が、血糖レベル分析を実行するための検査オーダーを割り当てられた全血試料である場合、受け取った検査オーダーに示されるように、自動試料ワークセルはその試料を遠心分離機に移送し、示された分析検査に対して適切な遠心分離プログラムにしたがって試料の遠心分離を開始し、遠心分離した試料を1つまたは2つ以上の分析装置に転送する。
【0033】
b)その生物学的試料に対する検査オーダーが受け取られなかった場合、自動試料ワークセルは、受け取った生物学的試料の管タイプにしたがって、1つまたは2つ以上の第二処理工程を実行する。検査オーダーに基づいた従来技術の試料ワークセルは、検査オーダーが受け取られなかった場合には、生物学的試料を処理することはできず、または、試料をバッファステーションへ転送するなどの所定の処理工程を実行することができるのみであるのに対して、本発明の実施態様では、動的に判定された、試料の管タイプにしたがって、その試料について1つまたは2つ以上の複雑な処理工程を実行できる。したがって、本発明の実施態様による自動試料ワークセルは、試料に対する検査オーダーがそのときには利用可能ではなくても、管タイプにしたがって試料をフレキシブルに処理するように動作可能である。検査オーダーをまだ受け取っていない場合であっても、生物学的試料が試料ワークセルに入れられる度に、管タイプの情報は自動的に利用可能となるため、少なくともいくつかの処理工程を決定するための管タイプを使用することは有利である。たとえば、セラムチューブに入った全血試料を試料ワークセルが受け取った場合、試料ワークセルは、全血から血清を用意するために、キャップ除去または再キャップ工程および遠心分離工程を実行することができる。試料の管タイプにしたがって決定されたこの処理工程は、ここではまた「第二処理工程」とも呼ばれる。特定の分析検査用に試料を用意するために必要ないくつかの処理工程は、管タイプだけでは推論できないが、検査オーダーが利用可能でない場合に、管タイプにしたがって1つまたは2つ以上の第二処理工程を決定することによって、検査オーダーを受け取っていない場合でも、ワークセルが生物学的試料を受け取った直後に、必要な処理工程が確実に実行される。
【0034】
凝固検査用の血液試料の前処理
実際に本発明の実施態様を使った具体的な例として、本発明の実施態様による自動試料ワークセルによる凝固試料の処理について説明する。たとえば第一リクエストに対して、「凝固検査」の検査オーダーを患者の少なくとも1つの生物学的試料について受け取った場合、検査オーダーに示されるように、1つまたは2つ以上の第一処理工程が、試料について実行される。第一処理工程は、引き続き行われる凝固分析のための試料を準備する分析前試料処理工程である。第一処理工程は:10分間、3000gの遠心分離工程を実行するように遠心分離をプログラムする工程と;その試料についてその遠心分離工程を実行する工程と;キャップ除去ステーションによって試料のキャップ除去を行う工程と;分注ステーションによって試料を分注する工程とを備える。そして、分注された試料は自動的に適切な分析システムに、または出力バッファに移送され、そこから試料は、凝固検査を実行するための分析システムに手動で移送される。
【0035】
第一リクエストに対して検査オーダーが受け取られなかった場合、ワークセルは、先行技術のシステムのように、検査オーダーを受け取るまで、試料の処理を中止する必要はない。むしろ、ワークセルのインプットステーション内の管タイプ検出ユニットは、管タイプを動的に判定するように動作可能である。そして、1つまたは2つ以上の第二処理工程が、管タイプにしたがって決定される。管タイプが、凝固サンプル管(別表の表1の、凝固検査用のタイプIV)として認識された場合、しかるべく遠心分離プログラムが特定され、試料は、検査オーダーがなくてもそのプログラムにしたがって遠心分離される。この実施例における第二処理工程は、管タイプによって供された情報に基づいて、できるだけ凝固分析を引き続き行うために試料を用意する分析前試料処理工程である。第二処理工程は:10分間、3000gの遠心分離を実行するように遠心分離をプログラムする工程と;その試料にその遠心分離工程を実行する工程と;その後試料がバッファステーションに移送される工程とを含む。たとえば分注といった未処理の処理工程を決定して実行するために使用する凝固試料用の検査オーダーが利用可能になるまで、試料はバッファステーションにおいて保管される。
【0036】
たとえば第二リクエストに対して、遠心分離工程の実行中に、検査オーダーが受け取られた場合、試料をバッファステーションに移送する工程を省略することができ、その受け取った検査オーダーによって示される、未だ実行されていない未処理の処理工程を実行することができる。この実施例において、その処理工程は:その試料を分注するための分注ステーションに試料を転送し;分注された試料を適切な分析システムまたは出力バッファに自動的に移送し、その分析システムまたは出力バッファから、凝固検査を実行するための分析システムにその試料を手動で移送する工程である。
【0037】
臨床分析のための血液試料の前処理
実施態様によると、ワークセルは、様々な異なる臨床検査のために、セラムチューブに入った全血試料を自動的に前処理するように動作可能である。全血から血清を用意するために、その試料は2000gの遠心力で5分間遠心分離される必要がある(同じ遠心分離パラメータが、血漿試料を準備するためにも使用できる)。自動試料ワークセルが、その血液試料に対する検査オーダー(たとえば血糖レベルを判定するための検査を実行するためのリクエスト)を受け取るように動作可能な場合は、試料ワークセルは、1つまたは2つ以上の第一処理工程を実行する。これら第一処理工程は、2000gの遠心力で5分間、その試料を遠心分離させる工程と、血糖濃度を判定するための試料を用意するために必要な追加の分析前工程を実行する工程とを備える。検査オーダーが受け取られなかった場合、少なくとも遠心分離工程および、たとえばいくつかのキャップ除去/再キャップ工程が、サンプル管タイプ(血清試料、別表の表1の管のタイプIおよびII)にしたがって、自動的に実行される。
【0038】
血液学的検査のための血液試料の前処理
実施態様によると、ワークセルは、タイプIIIのサンプル管に採取されたEDTA血液試料を自動的に前処理するように動作可能である。そのサンプル管に採取された血液は、血液細胞を、たとえばその形状や容積単位あたりの数量を検査するために使用される。こうした分析は、血液学的検査とも言われ、遠心分離によってこうした分析が不可能になる可能性がある。したがって、その試料の遠心分離は避けなければならない。したがって、そのような試料に対して実行する第一および第二処理工程は、様々なキャップ除去および/または再キャップ工程を含むが、遠心分離工程は含まない。
【0039】
スタット試料(STAT試料)の前処理
上述の試料ワークセルは、さらに、通常の試料よりも高い優先順位で、STAT試料を自動的に前処理するように動作可能である。少なくとも1つの受け取られた生物学的試料に対して検査オーダーが受け取られた場合、そのSTATステータス、つまりSTAT試料または通常試料としての分類が、受け取った検査オーダーにしたがって判定される。さらに、1つまたは2つ以上の第一処理工程が、検査オーダーに示されるように、その試料について実行される。検査オーダーが受け取られなかった場合、その生物学的試料のSTATステータスは、少なくとも1つの生物学的試料を受け取った試料インプットステーションのインプット位置にしたがって判定される。試料がSTAT試料として分類された場合、その試料は、通常試料よりも高い優先順位で処理される。試料ワークセルがSTAT試料を受け取った場合、その試料に対する検査オーダーを受け取っていなくても、STAT試料はSTAT試料として識別されることができ、その試料を受け取ったインプット位置にしたがって、最も優先して即時に処理されるため、このようにすることは有利である。
【0040】
自動試料ワークセルが試料に対する検査オーダーを受け取っていない場合でも、少なくともいくつかの「第二」処理工程が自動試料ワークセルによって実行されるため、本発明の実施態様による試料ワークセルを操作することは有利である。
【0041】
実施態様にしたがって、少なくとも1つの生物学的試料に対する検査オーダーを、プッシュ法またはプル法に基づいて受け取ることができる。たとえば、プッシュ法で受け取られた検査オーダーは、その検査オーダーが特定の生物学的試料について特定され次第、LISまたは他のラボラトリーソフトウェアから自動試料ワークセルに送信されてよい。以下において、「検査オーダーを受け取る」という表現は、生物学的試料に対する検査オーダーを受け取るためのプッシュ法またはプル法に基づいたいかなる手法をも含むものである。
【0042】
プル法に基づいた実施態様によると、自動試料ワークセルは、第一リクエストを実行することによって、少なくとも1つの生物学的試料に対する検査オーダーの受け取りを試みる。実施態様によっては、第一リクエストの実行には、検査オーダーに対する、ネットワークを介した、ミドルウェアまたはLISへの電子リクエストの送信、たとえば、Webサービス・リクエストや遠隔手続呼び出しなどの送信を含んでいてよい。その第一リクエストはまた、受け取った生物学的試料の検査オーダーがその記憶媒体に保存されているかどうか判定するために、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体で読み取り作業を実行する工程を含んでいてよい。
【0043】
検査オーダーは、1つまたは2つ以上の第一処理工程を示す。「示す」という表現は、検査オーダーそのものが命令を、たとえば生物学的試料に対して1つまたは2つ以上の第一処理工程を実行するための、コンピュータで解釈できる命令を含んでよいということを意味している。代わりに、またはこれに追加で、検査オーダーは、試料について実行される、1つまたは2つ以上の分析検査および/または分析前および/または分析後の処理工程の1つまたは2つ以上の識別子を含んでいてよい。検査オーダーはまた、分析前、分析および/または分析後の試料処理工程を含む複雑な試料処理ワークフローを示してもよい。生物学的試料に対する物理的処理工程を実行するために、自動試料ワークセルの1つまたは2つ以上の検査装置をトリガーするための、コンピュータで解釈できる詳細な命令を、検査オーダーそのものの一部とすることができるし、または、その検査オーダーに含まれる1つまたは2つ以上の識別子に関連して他の場所に記憶することができる。
【0044】
いくつかの実施態様によると、自動試料ワークセルは、分析前処理工程、分析処理工程および分析後処理工程からなる群から組み合わせで選択される、1つまたは2つ以上の処理工程を実行するための検査装置を備える。
【0045】
いくつかの実施態様によると、自動試料ワークセルは、分析前試料ワークセルであって、各検査オーダーは、少なくとも1つの生物学的試料について実行される少なくとも1つの分析検査を特定する。したがって、1つまたは2つ以上の第一処理工程は、たとえば、その少なくとも1つの分析検査によって示される。
【0046】
いくつかの実施態様によると、特定の生物学的試料に対する検査オーダーをリクエストすることには、ラベルによってコード化された試料識別子を判定するため、および試料に対する検査オーダーのリクエストを送信するために、生物学的試料のラベルを読み取ることが含まれ、そのリクエストは、その試料識別子を含む。
【0047】
実施態様によると、自動試料ワークセルは1つまたは2つ以上の検査装置を含む。その方法はさらに、以下の工程を含む。
複数の第一プログラムにアクセスする工程であって、各第一プログラムはコンピュータで解釈できる命令の一式であり、各プログラムは、少なくとも1つの生物学的試料に対して、1つまたは2つ以上の検査装置の1つによって実行されうる、1つまたは2つ以上の処理工程の候補を特定し、
少なくとも1つの生物学的試料に割り当てられた検査オーダーが受け取られた場合、その受け取られた検査オーダーにしたがって、1つまたは2つ以上の第二プログラムが複数の第一プログラムから選択され、この1つまたは2つ以上の第二プログラムは1つまたは2つ以上の第一処理工程を特定し、
検査オーダーが受け取られなかった場合、その少なくとも1つの生物学的試料が入ったサンプル管の管タイプにしたがって、1つまたは2つ以上の第二プログラムが複数の第一プログラムから選択され、この1つまたは2つ以上の第二プログラムは1つまたは2つ以上の第二処理工程を特定する。
【0048】
いくつかの実施態様によると、複数の第一プログラムを記憶した、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体を設けることによって、受け取られた検査オーダーにしたがって、または管タイプにしたがって、複数の第一プログラムから、1つまたは2つ以上の第二プログラムの選択が実現される。さらに、1つまたは2つ以上の第一プログラムは、1つまたは2つ以上の検査オーダー識別子に関連して、それぞれ記憶される。さらに、1つまたは2つ以上の第一プログラムは、1つまたは2つ以上の管タイプ識別子に関連して、それぞれ記憶される。よって、各第一プログラムは、試料に対してどのように処理工程を物理的に実行するか、たとえば、どのように試料を特定の遠心分離機に搬送するか、または、どのように試料に遠心分離工程を実行するかを特定する、コンピュータで解釈可能な命令を含む。
【0049】
この選択の実現は、マッピングによって、1つまたは2つ以上の処理工程を、特定のサンプル管識別子に、および/または特定の検査オーダーに、フレキシブルに割り当てることを可能にするため、このように実施することは有利である。そのマッピングは、たとえば、関連データベースの関連テーブルによって実施でき、そのため、各プログラムは、検査オーダーの1つまたは2つ以上の識別子および/または管タイプの1つまたは2つ以上の識別子にマッピングされる。この結果、自動試料ワークセルのオペレータは、単に関連データベースのテーブルを編集することによって、ワークフロー定義を変更するよう、操作可能である。また、このように実施することによって、検査オーダーが受け取られなかった場合に、動的に判定される試料タイプに基づいて実行される非常に複雑なワークフローをフレキシブルにプログラムすることもできる。
【0050】
いくつかの実施態様によると、試料に対する検査オーダーが受け取られた場合の、1つまたは2つ以上の第一処理工程を実行する工程は、分析検査の識別子または1つの試料処理工程の識別子を受け取る工程を含み、そのため、その識別子は受け取った検査オーダーに含まれる。そして、受け取られた検査オーダーの識別子に関連して記憶された1つまたは2つ以上のコンピュータで解釈可能な命令は、コンピュータで読み取り可能な媒体から読み取られる。その1つまたは2つ以上の受け取られたコンピュータ実施の命令は、生物学的試料について試料ワークセルによって実行される1つまたは2つ以上の第一処理工程を特定する。
【0051】
実施態様によると、管タイプにしたがって1つまたは2つ以上の第二処理工程を実行する工程は、サンプル管タイプを判定する工程、管タイプ識別子を得るためにサンプル管タイプを評価する工程、および、データ記憶媒体からのコンピュータで解釈可能な命令を読み取る工程を含む。そのため、その命令は、1つまたは2つ以上の管タイプ識別子に関連してその記憶媒体に記憶され、得られた管タイプ識別子を割り当てられた命令だけが読み取られる。
【0052】
実施態様によると、自動試料ワークセルは、第一リクエストを実行することによって、少なくとも1つの生物学的試料に対する検査オーダーの受け取りを試みる。
【0053】
いくつかの実施態様によると、ワークセルまたはその構成要素の1つ(例えば、その試料インプットステーション)が少なくとも1つの生物学的試料を受け取ることによって、第一リクエストがトリガーされる。たとえば、試料インプットステーションは、IM(機器管理(Instrument Manager))モジュールに、特定の試料IDを割り当てられた試料を受け取ったことを知らせ、IMモジュールは、第一リクエストにおいて、その試料に対する検査オーダーをリクエストする。
【0054】
さらなる実施態様によると、少なくとも1つの第二リクエストは、検査オーダーを受け取るために自動的に実行される。少なくとも1つの第二リクエストは、以下の群から選択されたタイミングで実行される。
第一リクエストの実行後の所定の期間が経過した後。たとえば、第二リクエストは第一リクエストを送信してから5分後に送信してよい。
第一リクエストの実行後、かつ、1つまたは2つ以上の第二処理工程の1つの実行中。たとえば、自動試料ワークセルは、管タイプにしたがって、第二処理工程の一環として遠心分離工程を実行してよい。遠心分離の実行中、自動試料ワークセルは、遠心分離された試料に対する検査オーダーを受け取るための1つまたは2つ以上の第二リクエストを送信してよい。検査オーダーにしたがって、特定の分析のために生物学的試料を準備するために必要な試料処理工程のすべてを、管タイプにしたがって、「第二処理工程」として決定することができるわけではないため、こうすることは有利である。こうした「検査オーダーに特有の」処理工程を決定するためには、第二処理工程の実行を即時に開始することと、同時に、1つまたは2つ以上の第二リクエストを送信することによってすべての未処理の処理工程の指示を受け取るべく試みを開始することとが、有益である。
1つまたは2つ以上の第二処理工程の1つを実行した後であって、このため、いくつかの実施態様による1つまたは2つ以上の第二処理工程は、すべての他の第二処理工程の完了後に、少なくとも1つの生物学的試料をバッファステーションへ移送するための工程を含む。他のすべての第二処理工程が実行された後に、少なくとも1つの生物学的試料をバッファステーションに移送するという特徴は有利である。なぜなら、こうした工程によって、試料が他の試料の処理を妨げることがないことと、1つまたは2つ以上の第二処理工程の実行が完了した後でもまだ検査オーダーが利用可能でない場合に、試料が適切な保管条件において保管されることとが確実になるからである。たとえば、温度に敏感な試料は、冷却されたバッファステーションに移送されることができ、そのため、試料ワークセルが試料血液を受け取り次第、後に試料を化学分析用に使用できるようになる。
【0055】
いくつかの実施態様によると、1つまたは2つ以上の第二処理工程は、他のすべての第二処理工程を実行した後で、少なくとも1つの生物学的試料を保管ユニットへ移送する1つの最終的な工程を含む。その実施態様のいくつかによると、第二処理工程の1つを実行中に、第二リクエストの1つに対して検査オーダーが受け取られた場合は、その最終的な工程は実行されない。(試料保管ユニットへの、および試料保管ユニットからの)不必要な移送工程を回避するため、そうすることは有利である。
【0056】
実施態様によると、第一リクエストに対して検査オーダーが受け取られなかった場合にのみ、1つまたは2つ以上の第二リクエストは送信される。
【0057】
実施態様によると、自動試料ワークセルは少なくとも1つの遠心分離機を備える。検査オーダーが受け取られた場合、実行された1つまたは2つ以上の第一処理工程は、少なくとも1つの遠心分離工程を含み、そのため、その遠心分離工程は、その少なくとも1つの遠心分離機によって、その検査オーダーによって示されるように実行される。検査オーダーが受け取られなかった場合、実行された1つまたは2つ以上の第二処理工程もまた、前記少なくとも1つの遠心分離工程を含む。この場合、その遠心分離工程は、判定された試料の管タイプにしたがって決定される。遠心分離工程は、相当の時間がかかり、かつ、時限的なワークフロー工程であることが多いため、このようにすることは有利である。したがって、検査オーダーが利用可能でない場合に管タイプにしたがって遠心分離工程を実行することは、ボトルネックの回避に役立つ。多くの場合、試料への検査オーダーの割り当てが遅れる結果として生じる遅延は完全に回避することができる。なぜなら、ワークセルの試料インプットステーションが試料を受け取る際に、検査オーダーを受け取ることができない場合、管タイプにしたがって遠心分離工程を開始できるためである。遠心分離工程は5〜20分かかることがあり、前記遠心分離工程の実行中または実行後に、1つまたは2つ以上の第二リクエストの1つに対する検査オーダーを受け取る良い機会がある。
【0058】
さらなる実施態様によると、自動試料ワークセルは少なくとも1つの分注ステーションを備える。検査オーダーが受け取られた場合、1つまたは2つ以上の実行された第一処理工程は、少なくとも1つの生物学的試料に対して、少なくとも1つの分注ステーションによって実行される少なくとも1つの分注工程を含む。検査オーダーが受け取られなかった場合、1つまたは2つ以上の実行された第二処理工程には、前記少なくとも1つの分注工程が含まれない。生物学的試料を分注する工程は、典型的には、実行される分析検査に依存し、したがって、管タイプだけの情報に基づいて実行されうることが多くないため、こうすることは有利である。検査オーダーが受け取られた場合のみ、試料を分注する工程を実行することは有利である。なぜなら、管タイプから必要性が間違いなく推測される処理工程だけが実行されるようになるからである。
【0059】
さらなる実施態様によると、自動試料ワークセルは、少なくとも1つのキャップ除去および/または再キャップステーションを備える。検査オーダーが受け取られた場合、1つまたは2つ以上の実行された第一処理工程は、少なくとも1つの生物学的試料について、少なくとも1つのキャップ除去および/または再キャップステーションによって実行される、少なくとも1つのキャップ除去および/または再キャップ工程を含む。検査オーダーが受け取られなかった場合、1つまたは2つ以上の実行された第二処理工程は、その少なくとも1つのキャップ除去および/または再キャップ工程を含む。試料のキャップ、キャップ除去および再キャップは、様々な異なるワークフロー設定において必要な分析前手順となりうるため、こうすることは有利である。第一および第二処理工程は、ワークフローにおいて特定の状態で必要とされる順番で、1つまたは2つ以上のキャップ除去および/または再キャップ工程を含んでよい。
【0060】
検査オーダーが受け取られず、かつ、試料がサンプル管にしたがって処理される場合、1つまたは2つ以上の第二処理工程のうちの1つを実行するために使用されるワークセルの検査装置のシーケンスは、1つまたは2つ以上の第一処理工程を実行するために使用されるワークセル検査装置のシーケンスおよび/またはタイプとは異なっていてよい。処理工程には、試料がキャップされることを必要とするものがあり、試料がキャップ除去されることを必要とするものもある。本発明の実施態様によると、第一処理工程および1つまたは2つ以上の第二処理工程は、1つまたは2つ以上のキャップおよび/またはキャップ除去工程を含むため、その第一および/または第二処理工程を実行するワークセル検査装置によって必要とされる通りに、そのキャップおよび/またはキャップ除去工程は、第一および/または第二処理工程中に配置される。
【0061】
さらなる実施態様によると、1つまたは2つ以上の第二処理工程は、1つまたは2つ以上の第一処理工程の一部となる。試料ワークセルが1つまたは2つ以上の生物学的試料を受け取った時に、検査オーダーが受け取られなかった場合、たとえば、第一リクエストに対して検査オーダーが受け取られていない場合、1つまたは2つ以上の第二処理工程が実行される。1つまたは2つ以上の第二処理工程を実行した後で、自動試料ワークセルによって、以下を含むさらなる工程が実行される:1つまたは2つ以上の第二処理工程の実行を完了した後に、検査オーダーを受け取る工程(その検査オーダーは、たとえば、第二処理工程に対して受け取ってよい);1つまたは2つ以上の未処理の処理工程を決定する工程であって、1つまたは2つ以上の未処理の処理工程は、すでに実行された1つまたは2つ以上の第二処理工程に含まれないすべての第一処理工程を含み、および;1つまたは2つ以上の第二処理工程を実行した後に、自動試料ワークセルによって1つまたは2つ以上の未処理の処理工程を実行する工程。言い換えれば、第二処理工程を実行した後、かつ、後に、時間内に、たとえば、第二リクエストに対して、検査オーダーを受け取った後、検査オーダーが示す処理工程であって、かつ、管タイプにしたがった第二処理工程としてまだ実行されていない、すべての処理工程が実行される。
【0062】
このようにすることによって、1つまたは2つ以上の未処理の処理工程を実行することによって、試料の検査オーダーにおいてリクエストされる特定の分析検査のために、試料を用意するために必要な、すべての処理工程が最終的に実行されるようになるため、こうすることが有利である。
【0063】
例として、試料ワークセルは、セラムチューブ内の全血試料を受け取り、そして、試料の受け取りに対して、チューブの検査オーダーに対する第一リクエストを送信してよい。しかし、第一リクエストに対して検査オーダーは受け取られない。ワークセルは、受け取った生物学的試料がセラムチューブに入っていると判定し、その動的に判定されたチューブタイプにしたがって、1つまたは2つ以上の第二処理工程を実行してよい。その第二処理工程は、その試料から血清を用意するための遠心分離工程を含む。管タイプから推測されうる情報が、十分に具体的ではないため、分注工程を行うことができない場合、試料ワークセルは、特定の分析検査のために試料を分注することができない。したがって、ワークセルは、1つまたは2つ以上の第二リクエストを送信し、第二リクエストに対して検査オーダーが受け取られなかった場合、前記第二処理工程を完了した後で、その試料を保管ユニットに転送してよい。しかし、1つまたは2つ以上の第二処理工程の実行中またはその後に、その試料の検査オーダーが受け取られた場合、1つまたは2つ以上の未処理の処理工程は、検査オーダーが示すすべての第一処理工程およびワークセルによってすでに実行されたすべての第二処理工程の共通部分として自動的に決定される。1つまたは2つ以上の未処理の処理工程が決定された後、1つまたは2つ以上の未処理の処理工程は試料ワークセルによって実行される。このため、第一リクエストに対して直ちに検査オーダーが受け取られた場合と同様、すべての第一処理工程が、少なくとも1つまたは2つ以上の生物学的試料について実際に実行される。実施態様によると、特定の分析検査のための試料を分注する工程は、1つまたは2つ以上の第一処理工程の1つとして、または、1つまたは2つ以上の未処理の処理工程の1つとして、実行される。
【0064】
さらなる実施態様によると、少なくとも1つの第二リクエストは、繰り返して、自動的に実行される。ワークセルによる1つまたは2つ以上の第二処理工程の実行中、および/またはその後、第二リクエストは連続して、たとえば、所定の時間間隔の後に、実行されるため、こうすることが有利である。こうすることによって、確実に、検査オーダーができるだけ早く受け取られるため、その一方で受け取られる検査に対する試料が、不必要にバッファユニットに移送されることを回避できる。すべての第二処理工程が実行された時に、検査オーダーが受け取られなかった場合、試料は試料バッファステーションへ移送されてよい。好ましい実施態様によると、試料をそのバッファステーションへ移送した後でも、1つまたは2つ以上の第二リクエストは繰り返して実行される。第二リクエストに対する検査オーダーが受け取られ次第、試料はバッファステーションから取り出され、その試料について1つまたは2つ以上の未処理の処理工程が実行される。
【0065】
実施態様によると、試料ワークセルは、機器管理(instrument manager)(IM)モジュールを備える。そのモジュールは、ハードウェア、ファームウェアまたはソフトウェアモジュール、またはそれらを組み合わせたものであってよい。IMモジュールは、試料ワークセルの検査装置によって実行される処理工程を制御および監視する制御インスタンスとして機能する。IMモジュールは、第一および第二リクエストを送信し、その第一および第二リクエストに対する検査オーダーを受け取るように動作可能である。IMモジュールは、管タイプ検出器によって判定された管タイプを受け取るように動作可能である。実施態様によると、IMモジュールは、ワークセル検査装置によって実行される物理的な処理工程を特定する命令を記憶した、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体にアクセスするよう動作可能である。実施態様によると、IMモジュールは、試料ワークセルの一体的部分である。他の実施態様によると、IMモジュールは、検査室のミドルウェアまたはLISの一部となるソフトウェアであり、そのミドルウェアまたはLISはネットワーク、たとえばイントラネットを介してワークセルに接続される。
【0066】
いくつかの実施態様によると、1つまたは2つ以上の試料が試料ワークセルに入れられるときに、検査オーダーが受け取られない。自動試料ワークセルが試料に対して1つまたは2つ以上の第二処理工程を実行している間、または1つまたは2つ以上の第二処理工程の実行を完了したときに、そのワークセルは検査オーダーを受け取る。たとえば、(たとえば、第二リクエストの1つに対する)検査オーダー、試料ワークセルまたはその構成要素の1つ(たとえばIMモジュール)は、第二処理工程を、その間に受け取られた検査オーダーが示す第一処理工程と比較する。この比較が、1つまたは2つ以上の実行された第二処理工程が検査オーダーによって示されていないという結果として返ってくる場合、ワークセルは、自動的に、その試料を不正に処理された試料として検出する。ワークセルは、不正に処理された試料を表すアラートメッセージを送信する。アラート送信に追加して、またはその代わりに、不正に処理された生物学的試料を保管または破棄するために、その試料はバッファユニットに移送される。たとえば、ワークセルのIMモジュールは、不正な処理を行った試料を自動的に検出し、ネットワークを介して検査室のLISまたはその他のソフトウェアコンポネントへアラートメッセージを送信してよく、GUIに表示してよい。
【0067】
こうすることによって、その管タイプが正しく認識されず、不正に処理された試料を検出および分類することができるため、こうした特徴は有利である。このような試料は、もはや分析検査用に使用することはなく、それらを分類することは、前記ワークセルによって処理される試料について得られる分析検査結果の正確性を確実にするのに役立つ。
【0068】
さらなる実施態様によると、試料ワークセルは、少なくとも1つの生物学的試料の管タイプを判定する。1つまたは2つ以上の第二処理工程の実行には、判定された管タイプに対する遠心分離プログラムを読み出し、その遠心分離プログラムにしたがって遠心分離工程を実行する工程が含まれる。遠心分離プログラムは、たとえば、コンピュータで読み取り可能な不揮発性記憶媒体(たとえば、電磁ディスク、フラッシュドライブ、光学式ドライブなど)に記憶することができ、少なくとも1つの遠心分離機の遠心分離プログラムを特定するために、および、その遠心分離プログラムにしたがってその試料を遠心分離するために、IMモジュールによって読み取られることができる。実施態様によっては、そのコンピュータで読み取り可能な記憶媒体は、自動試料ワークセル、遠心分離機、または、ミドルウェアまたはIMモジュールを介してアクセスできるほかの記憶媒体の一体的部分であってよい。実施態様によっては、遠心分離機は、自動試料ワークセルの一体的部分(たとえばモジュラーユニット)であってよく、または、自動移送ユニット、つまりはコンベアーおよび/またはロボットアームによって自動試料ワークセルに接続された独立した検査装置であってよい。
【0069】
さらなる実施態様によると、管タイプを判別する工程は、前記検査オーダーが受け取られなかった場合にのみ実行される。たとえばカメラまたは他の画像キャプチャリング装置によって、管タイプを判定する工程を省略でき、そのため時間を節約することができるため、こうすることは有利である。
【0070】
他の実施態様によると、管タイプは、自動試料ワークセルの検査装置、たとえばインプットステーションの一部である画像検出装置によって、自動的に判定される。本発明の実施態様によっては、管タイプの判定は以下の群から選択された1つまたは2つ以上の特徴の分析に基づいていてよい。
管の色、
管の蓋の色、
管の寸法(つまり、長さおよび/または直径および/または形状特性)、
管の蓋の寸法(長さおよび/または直径および/または形状特性)、および
管タイプを示す管のラベル(たとえば、バーコードやマトリックスコードといった、2Dコードまたは3Dコード)
形状特性は、たとえば、表面の凹みや隆起であってよい。
【0071】
さらなる実施態様によると、複数の生物学的試料は、受け取られ、それぞれに受け取られた検査オーダーまたは管に基づいてグループ化される:その複数の受け取られた生物学的試料に属する各生物学的試料に対して、検査オーダーが受け取られた場合、1つまたは2つ以上の第一処理工程を実行する前に、それぞれに受け取られた検査オーダーにしたがって、その生物学的試料はグループ化され、各試料グループは、同一の、それぞれ受け取られた検査オーダーを共有する。その複数の生物学的試料に属する各生物学的試料に対して検査オーダーが受け取られなかった場合、1つまたは2つ以上の第二処理工程を実行する前に、その複数の生物学的試料の生物学的試料は、それぞれの生物学的試料の管タイプにしたがってグループ化され、各試料グループの試料は、同じそれぞれの管タイプの管に入っている。
【0072】
受け取られた検査オーダーまたは管タイプにしたがって試料をグループ化することによって、試料グループを異なったワークセル装置に配送することができ、および、個々の試料グループを、まとめて共有される検査オーダーにしたがって処理することができるため、こうすることは有利である。たとえば、遠心分離工程を、同じ検査オーダーを共有する複数の試料について、1つの工程で実行してよい。したがって、検査オーダーが受け取られなかった場合、共有される試料タイプにしたがって試料をグループ化して処理することは有利である。なぜなら、そうすることで、特定の第二処理工程を、多数の試料について同時に実行することができ、このため、全体的な試料処理ワークフローを迅速化できるからである。
【0073】
さらなる態様において、本発明は自動試料ワークセルに関し、
その自動試料ワークセルは、
少なくとも1つの生物学的試料を受け取るための試料インプットステーションであって、各生物学的試料はサンプル管に入っており、各サンプル管は1つの管タイプのものである試料インプットステーションと、
その少なくとも1つの生物学的試料に対する検査オーダーを受け取るためのIMモジュールと、
少なくとも1つの生物学的試料の管タイプを自動的に判定する管タイプ検出器とを備え、
1つまたは2つ以上の第一処理工程を示す検査オーダーが受け取られた場合、自動試料ワークセルが、少なくとも1つの生物学的試料について、1つまたは2つ以上の第一処理工程を自動的に実行し、
その検査オーダーが受け取られなかった場合、自動試料ワークセルは、その少なくとも1つの生物学的試料の入ったサンプル管の管タイプにしたがって、1つまたは2つ以上の第二処理工程を自動的に決定し、少なくとも1つの生物学的試料について、その1つまたは2つ以上の第二処理工程を実行する、自動試料ワークセルに関する。
【0074】
実施態様によると、第一リクエストの実行は、少なくとも1つの生物学的試料を受け取ることによって、トリガーされる。
【0075】
さらなる実施態様によると、自動試料ワークセルはさらに、
少なくとも1つの受け取られた生物学的試料を移送するための移送装置と、
バッファステーションと、
少なくとも1つの検査装置とを備え、
IMモジュールは、第一リクエストにおいて、または第一リクエストおよび少なくとも1つの第二リクエストにおいて、少なくとも1つの生物学的試料に対する検査オーダーを自動的にリクエストし、
第一または少なくとも1つの第二リクエストのいずれに対しても、その少なくとも1つの生物学的試料の検査オーダーが受け取られなかった場合、移送ユニットは、その少なくとも1つの生物学的試料をバッファステーションへと移送し、
少なくとも1つの第二リクエストに対して、その少なくとも1つの生物学的試料の検査オーダーが受け取られた場合、移送ユニットは、その少なくとも1つの生物学的試料を、バッファステーションから取り出して、その少なくとも1つの生物学的試料について1つまたは2つ以上の未処理の処理工程を自動的に実行するために、少なくとも1つの生物学的試料を少なくとも1つの検査装置へと移送するよう動作可能であり、1つまたは2つ以上の未処理の処理工程は、1つまたは2つ以上の第一処理工程に属するが、少なくとも1つの第二リクエストに対して検査オーダーを受け取られたときに第二処理工程として実行されていない処理工程である。
【0076】
さらなる実施態様によると、自動試料ワークセルは、データソースに機能的に連結し、データソースは第一および第二マッピングを記憶しており、第一マッピングは検査オーダーにプログラムを割り当て、第二マッピングはプログラムを管タイプに割り当てるものである。
【0077】
いっそうさらなる実施態様によると、自動試料ワークセルはさらに、1つまたは2つ以上の試料を照射する光源を備え、管タイプ検出器は、1つまたは2つ以上の試料の少なくとも1つの画像をキャプチャーするためのデジタルカメラを備える。
【0078】
本発明の原理は、血液試料分析との関連で前述したが、記載された実施態様は単に本発明の原理と応用を例示しただけである。したがって、処理対象の生物学的試料のタイプ(尿、唾液、脳脊髄液など)、自動試料ワークセルの検査装置によって実行される処理工程、および、第一および第二処理工程を判別するために評価される検査オーダーおよび管タイプについては、数多くの変更形態ができると理解されるべきである。
【0079】
図1は、本発明の1つの実施態様による試料ワークセル102のブロック図である。自動試料ワークセル102は、試料インプットステーション108、少なくとも1つの遠心分離機116、117、生物学的試料125〜130を試料インプットステーション108から遠心分離機116、117の1つへ、または、たとえば、分注ステーション119またはキャップ除去/再キャップステーション121など、他の試料処理ユニット119〜121へと自動的に移送するための、試料コンベアーの形態をとる移送ユニット118を備える。移送ユニットはまた、生物学的試料を試料バッファステーション120へ移送してもよいし、またはその試料をそのバッファステーションから取り出してもよい。記載された実施態様によると、移送ユニットは、1つまたは2つ以上の分析前処理工程を少なくとも1つの受け取られた生物学的試料に実行した後、1つまたは2つ以上の分析システム134、131に、および分析後試料ワークセル132にも、その試料を転送するように動作可能である。
【0080】
各試料には、その試料について、またはその試料が得られた特定の患者について、固有のラベルが貼られる。さらに、試料には、管タイプを識別するための管タイプラベルが添付されていてよい(図示はしていない)。こうした管タイプラベルは、管のタイプを判定する複雑な画像認識ユニットの代りに使用できる。その実施態様によると、管タイプは、色や寸法を評価することによって判定されるのではなく、管タイプラベルから管タイプIDを読み取ることによって判定される。管タイプは、管タイプ検出器110によって検出される。管タイプ検出器110の例として、たとえば、管キャップまたは管の色および/または形状を分析することによって、管タイプを判定するよう動作可能な画像解析装置に接続されたカメラが挙げられる。管タイプ検出器110はまた、RFIDタグリーダー、または、2Dまたは3Dコードリーダーであってもよい。
【0081】
図1に図示されるワークセル102は、さらに、受け取られた検査オーダーにしたがって、および/またはサンプル管の管タイプ122〜124にしたがって選択されうる、コンピュータで解釈可能な命令112〜114を記憶したコンピュータで読み取り可能な記憶媒体115を備える。選択されたコンピュータで実行される一連の命令は、それぞれ、1つまたは2つ以上の第一または第二処理工程を特定する。
【0082】
機器管理(Instrument Manager)(IM)モジュール111は、ソフトウェア、ハードウェア、またはファームウェアのモジュールであって、実施態様によっては、試料ワークセルの一体的部分、または、ネットワーク103を介して自動試料ワークセル102に接続された、LIS101またはラボラトリーミドルウェアの一体的部分であってよい。IMモジュールは、少なくとも1つの生物学的試料に対して実行される第一または第二処理工程を決定するために、受け取られた検査オーダーおよび検出された管タイプを評価するよう動作可能である。IMモジュールは、さらに、生物学的試料について、1つまたは2つ以上の第一または第二処理工程を実行する、移送ユニットを含んだ、1つまたは2つ以上の検査装置116〜121を調整および制御するよう動作可能である。図1によると、サンプル管タイプ122〜124は、試料のキャップの特定のハッチングによって表される。
【0083】
図2は、自動試料ワークセル102を操作する方法のフローチャートを表している。第一工程では、自動試料ワークセルの試料インプットステーション108は、1つまたは2つ以上の生物学的試料125〜130を受け取る。試料ワークセルに入れられたサンプル管には、異なるタイプのサンプル管を含んでいてもよい。試料は、個別に、またはラックにより、試料インプットステーションに入れられてよい。少なくとも1つの生物学的試料を受け取ったときに、自動試料ワークセルは、その少なくとも1つの生物学的試料に対する検査オーダーを受け取ろうと試みる(202)。この工程は、第一リクエストをIMモジュールによってLISまたはミドルウェアコンポネントへ送信する工程を含む。第一リクエストの送信は、データ記憶媒体107上の読み取り作業の実行に基づいていていてもよい。そのデータ記憶媒体には、検査オーダーが特定されて、特定の生物学的試料に割り当てられ次第、検査オーダーが記憶される。
【0084】
判定工程203において、IMモジュールは、リクエストされた検査オーダーが受け取られているかどうか判定する。リクエストされた検査オーダーが、第一リクエストに対して、少なくとも1つの生物学的試料について受け取られている場合、試料ワークセルは、工程204において、1つまたは2つ以上の第一処理工程を、少なくとも1つの生物学的試料に対して自動的に実行する。1つまたは2つ以上の第一処理工程は、受け取られた検査オーダーを評価すること、および、その生物学的試料に対するその検査オーダーにおいてリクエストされる分析検査用に、その試料を準備するために必要な1つまたは2つ以上の第一処理工程を決定することによって、決定され得る。
【0085】
検査オーダーが受け取られなかった場合、1つまたは2つ以上の第二処理工程が、少なくとも1つの生物学的試料が入ったサンプル管の管タイプにしたがって、工程205において決定される。いくつかの実施態様によると、試料が試料ワークセルに入れられるたびに、管タイプは、管タイプ検出器110によって自動的に判定される。他の実施態様によると、第一リクエストに対して検査オーダーを受け取っていないと工程203において判定された場合のみ、管タイプは、該検出器110によって判定される。
【0086】
1つまたは2つ以上の第二処理工程を決定した後、その第二処理工程は、少なくとも1つの生物学的試料について、自動試料ワークセルの1つまたは2つ以上の検査装置/ユニットによって自動的に実行される。
【0087】
図3は、3つの異なる試料グループへの試料のグループ化を表している。グループ化は、試料に対して検査オーダーがそれぞれ受け取られた場合には、検査オーダーに基づいている。グループ化は、検査オーダーが受け取られなかった場合には、管タイプに基づいている。処理工程302においては、複数の受け取られた試料はグループ化され、そのグループは、移送ユニット118によって、ワークセルの異なる検査装置へと転送される。
【0088】
たとえば、血清/尿サンプル管に入ったすべての生物学的試料は、以下の第二処理工程によって処理される:全血から血清を得るための、遠心分離機116における遠心分離306、キャップ除去/再キャップステーション121におけるキャップ除去307、分注ステーション119における分注308、および、試料に対して実行される分析検査312〜318にしたがって1つまたは2つ以上の試料をグループ化するため、および、すべての試料を対応する分析システム131に自動的に移送するための、第二ソート工程309。処理工程308および309は、検査オーダーが受け取られた場合のみ実行されうるが、試料の管タイプだけがわかっている場合には実行されないため、点線の囲み線で表されている。しかし、工程306および307は、検査オーダーを受け取っていない場合でも、サンプル管にしたがって実行することができる。
【0089】
それに対応して、工程310および311もまた、検査オーダーを受け取っていない場合でも、血漿チューブ内の全血試料についても実行できる。血漿試料304は、キャップ除去/再キャップステーション121において、工程310でキャップ除去され、全血から血漿を得るために遠心分離機117で円心分離される(311)。さらなる工程において、第一または第二リクエストに対して、凝固検査をリクエストする検査オーダーが受け取られた場合、試料は、リクエストされた凝固検査319を実行するために分析システム134へ転送される。最終工程において、分析済みの生物学的試料は、さらなる分析のために生物学的試料を保管するための保管場所へ転送されるか、または、試料を破棄するための廃棄物ユニット321へ転送される。
【0090】
EDTA試料305は、遠心分離されるのではなく、まとめて移送ユニット118によって出力バッファへ転送される。この出力バッファから、血液検査320を実施するために、EDTA試料は手動または自動で転送される。
【0091】
図4は、複数の処理検査装置または「ユニット」401〜409を備えた分析前自動試料ワークセル410を表す。各ユニットが、1つまたは2つ以上の生物学的試料に対して、1つまたは2つ以上の分析前処理工程の実行を担っている。各ユニットは、移送ユニットとして機能するコンベアによって、少なくとも1つの他のユニットに接続される。こうした分析前自動試料ワークセルのモジュール構成は有利である。なぜなら、この構成によって、特定の検査室の特定のニーズにしたがって、ユニットを自由に組み合わせることができるからである。試料ワークセル410は、直接、またはネットワークを介して、コンピュータシステム414に接続される。ユーザーは、そのコンピュータシステム414のグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介して、検査オーダーを作成し、試料ワークセルによって処理される1つまたは2つ以上の試料に割り当てるよう操作できる。GUIはさらに、特定の試料について実行するべき処理工程および/またはすでに実行された処理工程を示す、動的に更新されるステータス情報をユーザーに提供する。
【0092】
ユニット401は、試料インプットステーションであり、このインプットステーションに入れられた複数の生物学的試料をバッファリングするよう、動作可能である。ユニット401は、各生物学的試料に付されたバーコードを読み取って評価することによって生物学的試料を識別するための、バーコードリーダーを備える。いくつかの実施態様によると、試料インプットステーションはさらに、割り当てられた検査オーダーに基づいて、または試料のインプット位置に基づいて、受け取られた試料のSTATステータスを判定するための手段を備えている(本発明のいくつかの実施態様によると、試料インプットステーションは、STAT試料と通常(ROUTINE)試料とで異なるエントリーポイントを有する)。そのため、STAT試料をもっとも高い優先順位で処理できる。試料インプットステーションはさらに、たとえば画像解析に基づいて、管タイプを判定するための管タイプ検出器108を備える。管タイプ検出器は、管タイプを判定するための画像解析を実行するように動作可能なソフトウェアモジュールと組み合わせたカメラであってよい。いくつかの実施態様によると、この画像解析モジュールもまた、IMモジュールの一部分であってよい。光源が、試料を十分に照射する。
【0093】
ユニット402は、検査オーダーにしたがって、または、検査オーダーが利用可能でない場合は、受け取られた生物学的試料の管タイプにしたがって、プログラムできる遠心分離機を備える。1つまたは2つ以上の生物学的試料は、自動試料ワークセル410のすべてのユニットを互いに接続する移送ユニットによって、自動的に遠心分離機に入れられ、取り出される。ユニット403は、たとえば、Hemogard、Venosafe、Monovette、KabeおよびKimaといった複数の管タイプの管のキャップ除去を行うことができるキャップ除去モジュールである。
【0094】
ユニット404は、様々な異なった分析システム用に、生物学的試料を分注するように動作可能な分注モジュールである。ユニット405は、複数の試料を、それらに割り当てられた検査オーダーにしたがって、および/または、試料が入った管タイプにしたがって、グループ化するよう動作可能な試料ソートモジュールである。ソートされた試料グループを、その後、移送ユニットによって、異なる分析システムおよび/または分析後試料ワークセルへ転送することができる。ユニット406は、コンピュータで読み取り可能なおよび/または人間が読み取れるデータで生物学的試料にラベルをつけるよう動作可能なバーコードラベラーを備える。ユニット408は、複数の異なる管タイプのキャップおよび/または再キャップするように動作可能な再キャップモジュールである。ユニット409は、処理済であって、かつ、保管および/または破棄の準備が整った複数の試料を一時的に格納するように動作可能な出力試料バッファである。
【0095】
図5は、分析前自動試料ワークセル410、二つの分析システム411、412、および1つの分析後試料ワークセル413の組み合わせを表したものである。これらの分析システムは、一連の分析ユニットA1〜A5およびA1、A2、A3、A7、A8をそれぞれ備える多モジュールの分析システムである。各分析ユニットA1〜A8は、1つまたは2つ以上の生物学的試料に対して特定の分析検査一式を実行するよう動作可能である。少なくとも1つの生物学的試料の1つまたは2つ以上の分注分を、1つまたは2つ以上の分析ユニットA1〜A8において分析した後、長期保管または破棄するために、試料は分析後試料ワークセルに転送されてよい。分析後試料ワークセル413は、たとえば、冷蔵庫やフリーザーのような冷却された保管ユニットや廃棄物ユニットなど、三つの分析後検査装置PO1〜PO3を備える。分析前試料ワークセル410、分析システム411、412、および分析後試料ワークセル413は、たとえばコンベアベルトのような移送ユニット118を介して、互いに接続される。
【0096】
図6aおよび図6bは、複数のプログラムP1〜P11を記憶したコンピュータで読み取り可能な記憶媒体115を表している。各プログラムは、自動試料ワークセル410の1つの特定の検査装置401、…、409によって、1つまたは2つ以上の生物学的試料について物理的に実行されうる特定の処理工程を特定する、コンピュータで解釈可能な命令一式である。記憶媒体115はさらに、各プログラムP1、…、P11を1つまたは2つ以上の検査オーダーO1、…、Onにマッピングする第一マッピング603を含む。この記憶媒体はさらに、各プログラムP1、…、P11を1つまたは2つ以上の管タイプT1、…、Tmにマッピングする第二マッピング604を含む。文字nおよびmは、1よりも大きい整数値をそれぞれ表す。
【0097】
図6aに表されるように、自動試料ワークセルが、特定の生物学的試料に対して、検査オーダーO1 104を受け取った場合、IMモジュールが、受け取られた検査オーダーO1にしたがって、1つまたは2つ以上のプログラムP2、P3、P5〜P7、P9を選択することによって、1つまたは2つ以上の第一処理工程を特定する。自動試料ワークセルが、特定の生物学的試料に対して、検査オーダーO1 104を受け取らなかった場合、IMモジュールは、その生物学的試料の管タイプ122 T4にしたがって、1つまたは2つ以上のプログラムP2、P3、P5、P7を選択することによって、1つまたは2つ以上の第二処理工程を特定する。後者のケースは図6bに表されている。IMモジュールは、自動試料ワークセルによる、1つまたは2つ以上の第一または第二処理工程の実行を制御および監視する。
【0098】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは2つ以上の生物学的試料(125〜130)を処理するための自動試料ワークセル(102、410、301)を操作する方法であって、
前記ワークセルが試料インプットステーション(108、401)を備え、
前記方法が、
各試料がサンプル管に含まれ、各サンプル管が1つの管タイプ(122〜124)のものである、前記1つまたは2つ以上の生物学的試料を、前記試料インプットステーションによって受け取る工程(201)と、
少なくとも1つの前記生物学的試料に対して検査オーダー(104)が受け取られた場合に、前記検査オーダーが1つまたは2つ以上の第一処理工程を示し、前記少なくとも1つの生物学的試料について前記1つまたは2つ以上の第一処理工程を自動的に実行するために前記自動試料ワークセルを操作する工程(204)と、
前記検査オーダーが受け取られなかった場合に、前記少なくとも1つの生物学的試料が入った前記サンプル管の前記管タイプにしたがって、1つまたは2つ以上の第二処理工程を決定し(205)、前記少なくとも1つの生物学的試料に対して前記1つまたは2つ以上の第二処理工程を実行する(206)工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記自動試料ワークセルが1つまたは2つ以上の検査装置(116〜117、119、121、402〜409)を備え、
前記方法がさらに、
複数の第一プログラム(P1〜P9)にアクセスする工程を含み、
各第一プログラムが、コンピュータで解釈可能な命令の一式であって、各プログラムが、前記1つまたは2つ以上の検査装置の1つによって、前記少なくとも1つの生物学的試料について実行されうる、1つまたは2つ以上の処理工程の候補を特定し、
前記少なくとも1つの生物学的試料に割り当てられた前記検査オーダーが受け取られた場合、1つまたは2つ以上の第二プログラムが、前記受け取り済み検査オーダーにしたがって、前記複数の第一プログラムから選択され、前記1つまたは2つ以上の第二プログラムが前記1つまたは2つ以上の第一処理工程を特定し、
前記検査オーダーが受け取られなかった場合、前記少なくとも1つの生物学的試料が入った前記サンプル管の前記管タイプにしたがって、前記1つまたは2つ以上の第二プログラムが選択され、前記1つまたは2つ以上の第二プログラムが、前記1つまたは2つ以上の第二処理工程を特定することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記検査オーダーを受け取るための、1つの第一リクエスト、または、前記第一リクエストと少なくとも1つの第二リクエストが自動的に実行され、
前記少なくとも1つの第二リクエストが、
前記第一リクエストを実行した後に、所定時間が経過した後、
前記第一リクエストを実行した後、かつ前記1つまたは2つ以上の第二処理工程の1つを実行中、および
他のすべての第二処理工程の実行を終了した後で、前記少なくとも1つの生物学的試料をバッファステーション(120)へ移送する処理工程を備える、前記1つまたは2つ以上の第二処理工程の1つを実行した後
の群から選択されたタイミングで実行されることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの生物学的試料を受け取ることによって、前記第一リクエストの実行がトリガーされることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記自動試料ワークセルが、少なくとも1つの遠心分離機(115、117、402)を備え、
前記検査オーダーが受け取られた場合、前記実行された1つまたは2つ以上の第一処理工程が、前記少なくとも1つの遠心分離機によって実行される、少なくとも1つの遠心分離工程を含み、
前記検査オーダーが受け取られなかった場合、前記実行された1つまたは2つ以上の第二処理工程もまた、前記少なくとも1つの遠心分離工程を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記自動試料ワークセルが、少なくとも1つの分注ステーション(119、404)を備え、
前記検査オーダーが受け取られた場合、前記1つまたは2つ以上の実行された第一処理工程が、前記少なくとも1つの生物学的試料について、前記少なくとも1つの分注ステーションによって実行される、少なくとも1つの分注工程を含み、
前記検査オーダーが受け取られなかった場合、前記1つまたは2つ以上の実行された第二処理工程が、前記少なくとも1つの分注工程を含まないことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記自動試料ワークセルが、少なくとも1つのキャップ除去および/または再キャップステーション(121、403、408)を備え、
前記検査オーダーが受け取られた場合、前記1つまたは2つ以上の実行された第一処理工程が、前記少なくとも1つの生物学的試料について、前記少なくとも1つのキャップ除去および/または再キャップステーションによって実行される、少なくとも1つのキャップ除去および/または再キャップ工程を含み、
検査オーダーが受け取られなかった場合、前記1つまたは2つ以上の実行された第二処理工程が、前記少なくとも1つのキャップ除去および/または再キャップ工程を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記1つまたは2つ以上の第二処理工程が、前記1つまたは2つ以上の第一処理工程の一部であり、
前記試料ワークセルが、前記1つまたは2つ以上の試料を受け取った際に、検査オーダーが受け取られず、前記試料ワークセルが、前記1つまたは2つ以上の第二処理工程を完了し、
前記方法がさらに、
前記1つまたは2つ以上の第二処理工程の実行を完了した後で、前記検査オーダーを受け取る工程と、
1つまたは2つ以上の未処理の処理工程を決定する工程であって、前記1つまたは2つ以上の未処理の処理工程が、第二処理工程としてまだ実行されていない、すべての第一処理工程を含む工程と、
前記1つまたは2つ以上の未処理の処理工程が、前記自動試料ワークセルによって実行される工程とを含むことを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記試料ワークセルが、前記1つまたは2つ以上の試料を受け取った際に、前記検査オーダーが受け取られず、
前記方法がさらに、
前記試料ワークセルによる前記1つまたは2つ以上の第二処理工程の実行中に、または、前記1つまたは2つ以上の第二処理工程を完了して、前記検査オーダーを受け取る工程と、
前記第二処理工程を、前記受け取られた検査オーダーが示す前記第一処理工程と比較する工程と、
前記比較が、1つまたは2つ以上の前記実行された第二処理工程が前記検査オーダーによって示されていないという結果として返される場合に、前記少なくとも1つの試料を、不正に処理された試料として自動的に検出する工程と、
前記不正に処理された試料を表すアラートメッセージを送信し、および/または、前記不正に処理された試料を、保管または破棄するためにバッファユニットへ移送する工程とを含むことを特徴とする請求項4〜8のいずれか1項に記載の自動試料ワークセル。
【請求項10】
前記少なくとも1つの第二リクエストが繰り返して実行されることを特徴とする請求項4〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの生物学的試料の前記管タイプを判定する工程をさらに含む方法であって、
前記1つまたは2つ以上の第二処理工程の実行には、前記判定された管タイプに対する遠心分離プログラムを読み出す工程と、前記遠心分離プログラムにしたがって、遠心分離工程を実行する工程とが含まれることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記管タイプを判定する工程が、前記検査オーダーが受け取られた場合にのみ、実行されることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの受け取られた生物学的試料が、複数の生物学的試料を含む方法であって、
前記複数の試料それぞれについて検査オーダーが受け取られた場合、前記1つまたは2つ以上の第一処理工程を実行する前に、前記複数の生物学的試料が、それぞれに受け取られた検査オーダーにしたがってグループ化され、各試料グループが、前記それぞれに受け取られた同じ検査オーダーを共有し、
前記複数の生物学的試料のそれぞれについて、検査オーダーが受け取られなかった場合、前記1つまたは2つ以上の第二処理工程を実行する前に、前記複数の生物学的試料が、各生物学的試料の前記管タイプにしたがってグループ化され、各試料グループが、前記同じそれぞれの管タイプを共有することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの生物学的試料(125〜130)を受け取る(201)ための試料インプットステーションであって、各生物学的試料がサンプル管(122〜124)に入っており、各サンプル管がある管タイプのものである試料インプットステーションと、
前記少なくとも1つの受け取られた生物学的試料に対する検査オーダー(104)を受け取るためのIM(111)モジュールと、および、
前記少なくとも1つの生物学的試料のそれぞれについて、前記管タイプ(122〜124)を自動的に判定する管タイプ検出器(110)とを備え、
1つまたは2つ以上の第一処理工程を表す検査オーダーが受け取られた場合、自動試料ワークセルが、前記少なくとも1つの生物学的試料について、前記1つまたは2つ以上の第一処理工程を自動的に実行し、
前記検査オーダーが受け取られなかった場合に、前記自動試料ワークセルが、前記少なくとも1つの生物学的試料が入った前記サンプル管の前記管タイプにしたがって、1つまたは2つ以上の第二処理工程を自動的に決定し、前記少なくとも1つの生物学的試料について、前記1つまたは2つ以上の第二処理工程を実行することを特徴とする自動試料ワークセル(102、410、301)。
【請求項15】
1つまたは2つ以上の検査装置(116〜117、119、121、402〜409)と、
バッファステーション(120)と、
前記少なくとも1つの受け取られた生物学的試料を移送するための移送ユニット(118)とをさらに備えた自動試料ワークセルであって、
前記IMモジュールが、第一リクエストにおいて、または前記第一および少なくとも1つの第二リクエストにおいて、前記少なくとも1つの生物学的試料に対する前記検査オーダーを自動的にリクエストし、
前記第一または前記少なくとも1つの第二リクエストに対して、前記少なくとも1つの生物学的試料の前記検査オーダーが受け取られなかった場合、前記移送ユニットが、前記少なくとも1つの生物学的試料を前記バッファステーションへ移送し、
前記少なくとも1つの生物学的試料の前記検査オーダーが、前記少なくとも1つの第二リクエストに対して受け取られた場合に、前記移送ユニットが、前記少なくとも1つの生物学的試料を前記バッファステーションから取り出して、前記少なくとも1つの生物学的試料について1つまたは2つ以上の未処理の処理工程を自動的に実行するために、前記少なくとも1つの生物学的試料を前記少なくとも1つの検査装置へ移送するように動作可能であり、前記1つまたは2つ以上の未処理の処理工程が、前記1つまたは2つ以上の第一処理工程に属する処理工程ではあるが、前記少なくとも1つの第二リクエストに対して前記検査オーダーが受け取られる際に、第二処理工程としては実行されていない処理工程であることを特徴とする請求項14記載の自動試料ワークセル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6a】
image rotate

【図6b】
image rotate


【公開番号】特開2012−233893(P2012−233893A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−101932(P2012−101932)
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】