説明

自動販売機、携帯情報端末器、および自動販売機の案内情報提供装置

【課題】 ICタグを利用し視覚障害者等に対して簡単・確実に有用情報を提供でき、情報内容を簡単に変更でき、融通性が高い案内情報を行える自動販売機、携帯情報端末器、および自動販売機の案内情報提供装置を提供する。
【解決手段】 自動販売機の一例である自動券売機10は、複数の情報提示箇所、入力操作箇所、出力箇所を備え、入力操作箇所での入力操作に基づき出力箇所から販売対象物を排出する自動販売機であり、複数の情報提示箇所、入力操作箇所、出力箇所のそれぞれに対応して、各配置箇所に、短い通信距離での通信を行いかつそれぞれ個別のID番号を有したICタグ16a,20a,22a,30a,32a,40a,44a,46a,48a,50aを設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機、携帯情報端末器、および自動販売機の案内情報提供装置に関し、特に、短距離通信機能を有したICタグを利用して自動販売機の利用者に必要な案内情報を提供する自動販売機の案内情報提供装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動券売機等の従来の自動販売機では、行き先等の販売対象に応じた複数の操作ボタンやコイン投入口等が設けられている。各操作ボタン等またはその周辺部には、必要な案内情報を提供するために、通常の健常者に対しては、その視覚能力および識字能力により確認し得る販売対象に関する所要の表記・表示が行われている。
【0003】
他方、視覚障害者を考慮して、上記の表記・表示に併せて、点字表記によって案内情報が提供されている。
【0004】
上記の自動販売機での操作等に関する従来の案内情報の提供の仕方は、通常の健常者用の表記・表示、視覚障害者用の点字表記のいずれも、内容が固定的であって、状況に応じてその内容を容易に変えることは困難であった。
【0005】
また点字による情報提供は、点字に対する識字能力が必要となり、例えば高齢になって視力が衰え、特に点字識別のトレーニングを受けていない人にとっては利用できないという問題があった。点字は、点字の識字能力を有する視覚障害者向けの情報提供手段であって、普通の人が利用することは難しいものである。
【0006】
利用者に対して必要な情報を提供する案内情報提供装置としては、従来では、例えば、特許文献1に記載される視覚障害者用誘導案内システム、あるいは特許文献2に記載される情報案内システム等が提案されている。
【0007】
特許文献1による視覚障害者用誘導案内システムは、駅構内等において視覚障害者が歩行する場合に安全にかつ的確に誘導案内できるようにするシステムである。このシステムは、視覚障害者の有する案内杖にタグリーダを設け、移動路に多数のタグを埋設し、タグや外部装置等から位置や状況の情報を得て、音声等で視覚障害者に誘導案内情報を提供する。
【0008】
特許文献2による情報案内システムは、利用者への情報提供の可能性を高め、情報源まで正しく案内できるシステムである。このシステムは、運用区域内の適当な箇所に、当該箇所に対応する個別化された赤外通信機能部を有するICタグを配置する。他方、利用者は携帯器を所持し、当該携帯器は、その内蔵記憶部に予め箇所に与えられたコードに対応する案内情報を記憶し、かつ赤外通信機能部を有している。利用者は、携帯器を所持して移動すると、携帯器と各箇所のICタグが赤外通信を行って各箇所の位置情報等を得ることができる。
【特許文献1】特開2000−262
【特許文献2】特開平10−302184
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、自動販売機では、視覚障害者、目の不自由な高齢者等に対して、簡単に、確実に、有用な情報を提供でき、さらに情報内容を簡単に変更することができ、融通性が高い案内情報を行うことができる装置が望まれている。
【0010】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、無線通信機能を有したICタグを利用し、視覚障害者、目の不自由な高齢者等、一般的何人に対しても、簡単に、確実に、有用な情報を提供でき、さらに情報内容を簡単に変更することができ、融通性が高い案内情報を行うことができる自動販売機、携帯情報端末器、および自動販売機の案内情報提供装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る自動販売機、携帯情報端末器、および自動販売機の案内情報提供装置は、上記目的を達成するために、次のように構成される。
【0012】
本発明に係る自動販売機(請求項1に対応)は、複数の情報提示箇所(販売対象物の説明箇所等)、入力操作箇所(硬貨、紙幣、カード等の投入口、取消ボタン、返却ボタン等)、出力箇所(商品出口等)を備え、入力操作箇所での入力操作に基づき出力箇所から販売対象物を排出する自動販売機であり、複数の情報提示箇所、入力操作箇所、出力箇所のそれぞれに対応して、それぞれの配置箇所に、短い通信距離での通信を行いかつそれぞれ個別のID番号を有したICタグを設けるように構成される。
【0013】
上記の自動販売機では、案内情報を提供すべき箇所のそれぞれに短距離通信を行うことが可能なICタグを付設され、利用者は、別途に用意された携帯情報端末器のICタグ読取り機能を利用して、各ICタグに記憶された個別のID番号に基づいて配置場所に対応する情報を得ることが可能となる。ID番号に対応する情報は自由に変更することができるので、融通性の高い案内情報提供装置の実現することができる。ICタグは例えば電子点字としての機能を有している。
【0014】
他の本発明に係る自動販売機(請求項2に対応)は、上記の構成において、好ましくは、タッチパネルを有し、このタッチパネルの表示・入力面に、この表示・入力面の表示内容に応じたICタグを配置したことを特徴とする。
【0015】
他の本発明に係る自動販売機(請求項3に対応)は、上記の構成において、好ましくは、利用者からの情報提供要求の送信を受けて、ID番号に係る詳細情報を利用者に対して送信する詳細情報提供部を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る携帯情報端末器(請求項4に対応)は、ICタグ読取り部と、情報提供要求のための送信部とを備え、所定の複数の個所にそれぞれ個別のID番号を有する通信可能なICタグを配置した自動販売機に対して、ICタグ読取り部でICタグのID番号を読取り、このID番号に基づき送信部で詳細情報を要求するように構成される。
【0017】
本発明に係る自動販売機の案内情報提供装置(請求項5に対応)は、複数の情報提示箇所、入力操作箇所、出力箇所のそれぞれに対応して、それぞれの配置箇所に、短い通信距離での通信を行いかつそれぞれ個別のID番号を有したICタグを設けた自動販売機と、ICタグ読取り部と、情報提供要求のための送信部とを備える利用者側の携帯情報端末器と、から構成される。この自動販売機の案内情報提供装置では、利用者が、複数のICタグを配置した自動販売機に対して携帯情報端末器を接近させ、携帯情報端末器を用いて触診操作を行うと、ICタグ読取り部でICタグのID番号を読取り、このID番号に基づき送信部で詳細情報を要求することが可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、自動販売機において案内情報を提供すべき所定の複数の箇所に個別のID番号を記憶したICタグを配置し、他方、利用者にICタグ読取り機能を有した携帯情報端末器を所持させ、自動販売機のICタグと利用者の携帯情報端末器との間での通信作用を介してID番号に基づいて案内情報を得られるようにしたため、どのような人にも利用できるユニバーサルな案内情報提供手段を実現できる。またICタグに記憶されたID番号に対応する詳細情報は別途に用意されるので、案内情報を自由に変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
【0020】
図1と図2は本発明に係る自動販売機の一例を示す図である。この自動販売機は例えば自動券売機である。以下では自動券売機の例について説明する。図1は自動券売機を前方から見た全体外観図を示し、図2は自動券売機の正面要部の拡大した正面図を示す。図1では、さらに、自動券売機10を利用しようとしている利用客(利用者)11の使用の状況が示されている。また図1において、誇張して描かれた複数のマーク13は、以下に説明する通り、自動券売機10の所定の位置に配置された複数のICタグを示している。
【0021】
図1および図2において、自動券売機10は、その正面部に、自動券売機10が発売中等の案内を表示する案内表示部12と、利用客11が各種の入力操作するための複数の操作ボタン等が設けられている接客部14とを有している。利用客11は視覚障害者や目の不自由な老人等を想定しているが、これに限定されるものではない。
【0022】
接客部14は、金額ボタンを中心とした上部接客部14aと、貨幣や乗車券等の出力処理を中心とした下部接客部14bとから構成されている。
【0023】
上部接客部14aには、押しボタン形式の金額ボタン16が例えば上下二段となるよう複数設けられている。各段の金額ボタン16は、複数の押しボタンからなっている。これら金額ボタン16は、例えばセグメントにより金額が表示されるようになっており、路線変更ボタン18の押下により変更された該路線に対応した金額が表示される。この金額ボタン16の表示は、初期状態として、例えば××路線の18の表示が金額ボタン16に表示されるようになっている。
【0024】
さらに、上部接客部14aの左上部には、駅務員を呼出すための呼出しボタン20と自動券売機10をリセットするための取消しボタン22とが設けられている。符号24はマイクであり、符号26はスピーカである。呼出しボタン20を押下することにより、これらマイク24およびスピーカ26を介して利用客は、駅務員と会話を行う。符号28は乗車券の発券枚数を指定するための枚数ボタンである。この枚数ボタン28は、初期状態として1枚ボタンが点灯している。上部接客部14aの右下部には、大人選択ボタン30と、小人選択ボタン32が設けられている。
【0025】
下部接客部14bの右上部には、硬貨投入口40が設けられている。符号42は、投入された金額を表示するための投入金額表示部である。
【0026】
下部接客部14bの略々中央部分には、紙幣挿入口44が設けられている。この紙幣挿入口44の左隣には、プリペイドカード等を挿入するためのカード挿入口46が設けられている。カード挿入口46の下には、乗車券を発券するための乗車券発券口48が設けられている。この乗車券発券口48は、乗車券が落ちないようにキャッチング式となっている。符号50は、釣銭受皿である。
【0027】
正面部で上記のごとき接客部14を備える自動券売機10において符号16a,20a,22a,30a,32a,40a,44a,46a,48a,50aのそれぞれは、自動券売機10に付設または埋設すること等により、自動券売機に設けられたICタグを示している。これらのICタグは、図1で示した複数のICタグ13を具体的に示したものである。図1ではICタグは誇張したマークで示され、図2ではICタグは小さい丸で示されているが、実際には、自動券売機10の正面表面部において利用客11が気がつかない程度の微小な要素として設けられている。
【0028】
上記ICタグの取付けに関して、より詳細には、次の通りである。各金額ボタン16の上部領域には個別の金額用ICタグ16aが設けられている。呼出しボタン20には呼出し用ICタグ20aが設けられ、取消したボタン22には取消し用ICタグ22aが設けられる。さらに、大人選択ボタン30の上部には大人選択用ICタグ30aが設けられ、小人選択ボタン32の上部には小人選択用ICタグ32aが設けられている。さらに、硬貨投入口40の上部には硬貨投入用ICタグ40aが設けられ、紙幣挿入口44の上部には紙幣挿入用ICタグ44aが設けられ、カード挿入口46の上部にはカード挿入用ICカード46aが設けられている。また乗車券発券口48の上部には発券用ICタグ48aが設けられ、釣銭受皿50の上部には釣銭用ICタグ50aが設けられている。
【0029】
上記のICタグ16a,20a,22a,30a,32a,40a,44a,46a,48a,50aの各々の構成は基本的には同じである。図3に、1つのICタグ(代表的に符号13で表す)の内部構成を示す。このICタグ13はICチップ13aとアンテナ13bとを有している。ICチップ13aは、通常、メモリと、送受信を行う無線通信部と、制御部等とを有している。上記のICチップ13aのそれぞれのメモリには、その設置場所に応じた操作ボタン等に関係する個別のID番号を記憶している。ICタグ16a,20a,22a,30a,32a,40a,44a,46a,48a,50aの各々のメモリに記憶されるID番号は、それぞれ、異なるものである。無線通信部は、通常、外部から与えられる電波61を受け、ID番号等の情報を含む電波を送信する。無線通信部は、送受信機能を有する他の端末との間で、比較的に短い距離(例えば10cm程度の距離)で無線通信を行う機能を有している。
【0030】
次に、同じく前述した図3、および図4を参照して、上記利用客11に関係する装置構成について説明する。図4は、携帯情報端末の内部構成を示すブロック図である。図3において、62は、利用客11によって所持されかつ操作・使用される携帯情報端末である。利用客11による携帯情報端末62の使用状況の一例が上記の図1に示されている。携帯情報端末62には、触診アンテナ63とイヤホン64が付設されている。触診アンテナ63は、把持しやすいマウス形状を有し、さらに図4に示すごとくアンテナ65を内蔵し、かつID番号に対応する処理動作を指示する選択ボタン66と、再案内の要求を指示するための再案内ボタン67とを備えている。利用客11は、自動券売機10を利用するとき、触診アンテナ63を把持し、自動券売機10の接客部14等の適当な箇所に接近させ、触診行為を行う。
【0031】
携帯情報端末62の本体部分には、外側正面部に、複数の入力キーからなる入力キー群71と、表示部72とを備えている。さらに内部には信号処理部73を備える。信号処理部73は、メモリ74を有し、かつ受信した電波61からID番号を読み取るリードライト75の機能部を有している。携帯情報端末62は、アンテナ65を介して電波61の送受信を行い、近接したICタグ13から与えられるID番号の情報を取り込み、リードライト75の機能でID番号を読み取る。
【0032】
なお上記の複数のICタグのそれぞれは個別のID番号等の情報を有するだけであり、詳細な情報は記憶していない。詳細な情報については、取得したID番号に基づいて、他の情報源である記憶装置またデータベースにアクセスして取得する。なお、この記憶装置またはデータベースに格納される、ID番号に対応する詳細情報は、自由にかつ簡単に変更することが可能である。
【0033】
図4において、触診アンテナ63のアンテナ65、選択ボタン66、再案内ボタン67のそれぞれは入力インターフェース76を介して信号処理部73に接続されるようになっている。表示部72に所要の文字情報等を表示する場合、信号処理部73は、表示制御部77に指令とデータを出し、表示制御部77が表示部72の表示動作を制御する。また信号処理部73が取得した音声情報に関するデータは音声出力部78を経由してイヤホン64に送られ、音声として出力される。さらに前述したごとく、いずれかのICタグからID番号を取得したとき、信号処理部73は、利用客11が再案内ボタン67を操作したことを条件に、当該ID番号に関連する詳細情報を得るための要求信号を、通信部79およびアンテナ80を経由して電波81の形式で出力する。電波81は、詳細情報を備えかつ通信機能を備えた詳細情報提供部82で受信される。当該詳細情報提供部82は、詳細情報要求の信号を受けると、携帯情報端末62に対して、電波によって上記ID番号に係る詳細情報を送信する。この詳細情報提供部82は、図1に示すごとく、例えば自動券売機10の内部に別途に設けられている。
【0034】
次に、複数のICタグを備えた自動券売機10と、利用客11が所持する携帯情報端末62と、から構成される自動販売機の案内情報提供装置の動作・工程を、図5を参照して説明する。図5は、利用客11の動きおよびその操作行為と、これに関連する自動券売機10と携帯情報端末62のそれぞれでの処理動作とを、手順の流れとして示している。
【0035】
最初に利用客11は、自動券売機10から乗車券を購入すべく自動券売機10に接近する(ステップS31)。利用客11は例えば視覚障害者であるとする。利用客11は、上記の携帯情報端末62を所持し、通常は、手先に触診アンテナ63を把持し、かつイヤホン64を耳に装着している。利用客11は、自動券売機10の接客部14の正面に立って、触診アンテナ63を接客部14等に接近させ、触診行為を行う(ステップS32)。この触診行為は、接客部14をなぞり、最も近くにあるICタグのID番号を取得する行為である。
【0036】
利用客11によって携帯情報端末62が操作され、上記触診行為が行われている間、自動券売機10と携帯情報端末62との間では、次のような処理動作が行われる。
【0037】
携帯情報端末62は自動券売機10に対して電波61を出し(ステップS21)、自動券売機10に対してICタグのID番号送信のサービスを要求する(手順P1)。その後、自動券売機10の側から、当該電波61を介して、前述した複数のICタグのうちの最も近傍にあるICタグからのID番号を読取り検知する(ステップS22)。
【0038】
自動券売機10では、いずれかのICタグが電波61を受信し、サービス要求(手順P1)を受けると、自動券売機10で実装された選択ボタンの入力操作の受入れを禁止する(ステップS11)。また同時に電波61を受けたICタグは、自身が記憶するID番号情報を含む電波を携帯情報端末62に送信する(ステップS12、手順P2)。このICタグからの送信を受けて、上記のごとく、携帯情報端末62では当該ICタグからのID番号を読取り検知する(ステップS22)。
【0039】
次に、携帯情報端末62は、検知したID番号を自動券売機10の詳細情報提供部82に対して送信し(ステップS23)、詳細情報提供部82にID番号を通知する(手順P3)。詳細情報提供部82は、ID番号を受信すると、ID番号に対応した詳細な案内情報を作成し送信する(ステップS13)。この詳細な案内情報は、携帯情報端末62に通知される(手順P4)。詳細な案内情報を受けた携帯情報端末62では、当該案内情報に関する音声情報と画像表示情報(文字や図形等)を作成し(ステップS24)、その表示部72およびイヤホン64を介して利用客11に提供する(手順P5)。
【0040】
利用客11において、提供された音声情報と画像表示情報を参照して、必要とする選択対象を見出す(ステップS33)。その後、選択対象を取得するための指示を選択ボタン66を操作することで出す(ステップS34、手順P6)。
【0041】
携帯情報端末62は、選択ボタン66が操作されると、案内情報に基づく処理指令を作成し(ステップS25)、処理指令要求を送信する(手順P7)。
【0042】
自動券売機10は、携帯情報端末62から送信された処理指令要求に基づいて、利用客11の選択に対応した処理動作を実行する(ステップS14)。自動券売機10における当該処理動作に基づい利用客11に対して必要な乗車券等が出力される(手順P8)。
【0043】
上記の実施形態の構成においては、自動券売機10の種類や操作方法に応じて、触診時の誤操作を防止するため、利用客11の携帯情報端末に予め設定された情報(例えば視覚障害者等であるという情報)から、または、初期の利用客11の操作により触診操作中は自動券売機10側に実装された各種の選択ボタン等の押下げ入力を無効とする制御を施している。
【0044】
上記の実施形態による自動券売機10は押しボタン形式の入力操作部等を備える機械であったが、一般的な自動販売機としての顧客操作形式のタッチパネル型機器に対しても本発明を適用できるのは勿論である。この場合にはタッチパネル面に一定間隔でチップ状の超小型の複数のICタグが配置され、各ICタグにより当該配置位置に対応した表示内容の案内を行うことが可能となる。
【0045】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎず、また数値および各構成の組成(材質)については例示にすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、自動販売機の接客部等に配置される入力操作部等の案内情報に関して視覚障害者等に対してユニバーサルな形式で案内情報を提供するのに利用される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る自動販売機の実施形態を示す自動券売機の外観斜視図である。
【図2】図1に示した自動券売機の要部の正面図である。
【図3】本実施形態に係る自動券売機に設けられたICタグの内部構成と、本発明に係る携帯情報端末の実施形態と、ICタグと携帯情報端末との関係を示す図である。
【図4】本実施形態に係る携帯情報端末の内部構成を示すブロック図である。
【図5】本発明に係る自動販売機の案内情報提供装置の処理動作に一例を示す工程図である。
【符号の説明】
【0048】
10 自動券売機
11 利用客
13 ICタグ
14 接客部
16 金額ボタン
40 硬貨投入口
41 紙幣挿入口
62 携帯情報端末
63 触診アンテナ
64 イヤホン
82 詳細情報提供部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の情報提示箇所、入力操作箇所、出力箇所を備え、前記入力操作箇所での入力操作に基づき前記出力箇所から販売対象物を排出する自動販売機において、
複数の前記情報提示箇所、前記入力操作箇所、前記出力箇所のそれぞれに対応して、それぞれの配置箇所に、短い通信距離での通信を行いかつそれぞれ個別のID番号を有したICタグを設けたことを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
タッチパネルを有し、前記タッチパネルの表示・入力面に、この表示・入力面の表示内容に応じて複数の前記ICタグを配置したことを特徴とする請求項1記載の自動販売機。
【請求項3】
利用者からの情報提供要求の送信を受けて、前記ID番号に係る詳細情報を前記利用者に対して送信する詳細情報提供手段を備えることを特徴とする請求項1または2記載の自動販売機。
【請求項4】
ICタグ読取り手段と、情報提供要求のための送信手段とを備え、
所定の複数の個所にそれぞれ個別のID番号を有する通信可能なICタグを配置した自動販売機に対して、前記ICタグ読取り手段で前記ICタグの前記ID番号を読取り、このID番号に基づき前記送信手段で詳細情報を要求することを特徴とする携帯情報端末器。
【請求項5】
複数の情報提示箇所、入力操作箇所、出力箇所のそれぞれに対応して、それぞれの配置箇所に、短い通信距離での通信を行いかつそれぞれ個別のID番号を有したICタグを設けた自動販売機と、
ICタグ読取り手段と、情報提供要求のための送信手段とを備える利用者側の携帯情報端末器と、から成り、
利用者が、複数の前記ICタグを配置した前記自動販売機に対して前記携帯情報端末器を接近させ、前記携帯情報端末器を用いて触診操作を行うと、前記ICタグ読取り手段で前記ICタグの前記ID番号を読取り、このID番号に基づき前記送信手段で詳細情報を要求することが可能であることを特徴とする自動販売機の案内情報提供装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−195743(P2006−195743A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−6729(P2005−6729)
【出願日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】