説明

自動販売機の商品見本展示装置

【課題】シート状商品見本の一部のみを保持した場合にもシート状商品見本の姿勢を維持してディスプレイ台に展示することが可能な自動販売機の商品見本展示装置を提供する。
【解決手段】本体キャビネットの前面を開閉する外扉に形成されたディスプレイ室内に配設され、左右方向に複数の商品見本80を展示するディスプレイ台1の前面に、商品価格を表示する液晶表示部41の前面に位置して当該液晶表示部41を保護する横長帯状の透明なカバー部材44を装備してなる商品情報デジタルディスプレイ4を設置してなる自動販売機の商品見本展示装置であって、薄い矩形平板からなるシート状商品見本81を備え、当該シート状商品見本81を前記商品情報デジタルディスプレイ4の前面に装備された横長帯状の透明なカバー部材44の内側に差し込んで自立させることにより、立体状の商品見本81とシート状商品見本80を一つのディスプレイ台に混合して展示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動販売機における本体キャビネットの庫内に缶入り飲料,ペットボトル入り飲料などの商品をコールド,ホット状態に区分して保存し、外扉のディスプレイ室内に設置したディスプレイ台上に複数の商品見本を左右に並べて展示した自動販売機の商品見本展示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の自動販売機の商品見本展示装置について図4を用いて説明する。図4は一般的な缶入り飲料,ペットボトル入り飲料を販売する自動販売機の斜視図である。図に示すように、この自動販売機は、前面が開放した断熱筐体として形成された本体キャビネット10と、本体キャビネット10の前面に開閉可能に支持された外扉20とからなる。本体キャビネット10の商品収納庫の前面は開閉可能な断熱内扉30によって閉塞されている。本体キャビネット10の庫内には、断熱仕切壁により左右方向に複数の商品収納室に区分され、各商品収納室には商品を横倒し状態で収納するとともに下端部に商品搬出装置を有する商品ラックが収設され、また、各商品収納室の下端には、当該各商品収納室を冷却もしくは加熱して商品ラックに収納した商品をコールド・ホット状態に保存する冷却/加熱ユニットが配設されている。
【0003】
外扉20の前面の上部域は透明板40で覆われ、この透明板40と外扉20に開閉可能に支持された中扉60との間の空間がディスプレイ室50として形成されている。前記中扉60の前面には、本体キャビネット10の庫内に収納した商品に対応した複数の商品見本80を左右に一列に並べて載置したディスプレイ台70が上下方向に3段並べて取付けられている。前記透明板40には、各ディスプレイ台70と対峙する位置に商品選択ボタンユニット90が設けられ、商品選択ボタンユニット90は、ディスプレイ台70に載置された各商品見本80に対応して左右に一列に並べて設けた商品選択ボタン(不図示)を有している。さらに、外扉20の前面には、硬貨識別装置201に連通する硬貨投入口、紙幣識別装置202に連通する紙幣挿入口、硬貨返却口、返却レバーおよびロック付ハンドル、商品取出口203などが設けられている。
【0004】
前記ディスプレイ台70は、周知であるので詳細な図示は省略するが、中扉60に固定された左右一対の固定部材とこの左右一対の固定部材に着脱自在に装着される商品載置台からなる。前記商品載置台は、縦断面略コ字形で下方が開放した横長箱状体の内部に蛍光灯などの照明光源が設けられ、その上面壁には商品見本80を嵌合保持する係合穴が左右方向に複数並設されている。また、商品載置台の前面壁には各商品見本80に対応する商品のコールド,ホット状態を表す冷温パターンを表示する冷温表示板および商品の価格情報を表示する価格表示板が装着される。なお、前記冷温表示板,価格表示板に替えて液晶ディスプレイ(LCD)を備えた商品情報デジタルディスプレイを用いて冷温表示(寒色である青色,暖色である赤色)を行うとともに価格表示を行うものも知られている。
【0005】
前記商品見本80は光透過材料により形成された中空状の本体の底面に光導入部を設け、前記光導入部から本体の内部に光を導入して本体を内側から照明するように構成されている。前記商品見本80は前記ディスプレイ台70に形成した係合穴に嵌合保持されると、ディスプレイ台70の内部に設けた照明光源からの光がディスプレイ台70の係合穴と商品見本80の底部に形成した光導入部とを通して中空状の商品見本の内部に照射され、商品見本が恰も発光しているように展示されることは周知である。前記商品見本80は立体、具体的には、缶,瓶,ペットボトルなどの容器形状に一致させた中空状の本体を備えた商品見本や、前記中空状の本体を半分に切断した半割り状の商品見本などがディスプレイ台に形成した開口部に嵌合保持するようにされている。前記商品見本80は立体状、具体的には、缶,瓶,ペットボトルなどの容器形状に一致させた中空状の本体を備えたもの、前記中空状の本体を半分に切断した半割り状のものなどが一般的であるが、ディスプレイ台70の係合穴に嵌合させることができない、例えば、缶,瓶,ペットボトルなどの容器から中身飲料などを抜いた空容器などを展示する場合には、ディスプレイ台70の係合穴に着脱自在な商品見本展示用アタッチメントを用いて空容器を展示するように構成されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−242505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に記載された立体状の商品見本に加え、プラスチックシートに商品の外観意匠を印刷した矩形平板状のシート状商品見本が知られており、このシート状商品と立体状の商品見本を同一のディスプレイ台に並べて展示することが望まれている。しかしながら、シート状商品見本は立体状の商品見本のようにディスプレイ台の開口部に直接嵌合させることが困難である。このため、シート状商品見本を保持するとともにディスプレイ台の開口部と係合する係合部を備えた商品見本展示用アタッチメントを設けることが考えられる。ところが、シート状商品見本は剛性の弱い薄いプラスチックシートからなることからシート状商品見本の下端のみを保持した場合にはシート状商品見本は起立姿勢を維持することができずに折れ曲がってしまう。このため、商品見本展示用アタッチメントを細長いシート状商品見本の周縁を保持するような大形のものとせねばならず、コストが嵩むという課題を有する。
【0008】
そこで、本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は前記課題を解決し、シート状商品見本の一部のみを保持した場合にもシート状商品見本の姿勢を維持してディスプレイ台に展示することが可能な自動販売機の商品見本展示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため請求項1に係る発明は、本体キャビネットの前面を開閉する外扉に形成されたディスプレイ室内に配設され、左右方向に複数の商品見本を展示するディスプレイ台と、前記ディスプレイ台上に展示された複数の商品見本に対応して少なくとも商品価格を表示する液晶表示部を有し、当該液晶表示部の前面に位置して前記液晶表示部を保護する横長帯状の透明なカバー部材を装備してなる商品情報デジタルディスプレイとを備え、前記商品情報デジタルディスプレイをディスプレイ台の前面に設置してなる自動販売機の商品見本展示装置において、薄い矩形平板からなるシート状商品見本を備え、当該シート状商品見本を前記商品情報デジタルディスプレイの前面に装備された横長帯状の透明なカバー部材の内側に差し込んで自立させてなることを特徴とする。
【0010】
また、上記目的を達成するため請求項2に係る発明は、請求項1に記載の自動販売機の商品見本展示装置において、前記シート状商品見本は下端近傍の両側縁に係止片を一体成形してなり、当該係止片を前記商品情報デジタルディスプレイのカバー部材よりも背面側に係止させてなることを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するため請求項3に係る発明は、請求項2に記載の自動販売機の商品見本展示装置において、前記商品情報デジタルディスプレイは液晶表示部を内蔵するデジタル表示ユニットの前面に化粧枠を介してカバー部材が配備されてなり、当該化粧枠の頭部にシート状商品見本の係止片が係合する係合穴を形成してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に係る発明によれば、本体キャビネットの前面を開閉する外扉に形成されたディスプレイ室内に配設され、左右方向に複数の商品見本を展示するディスプレイ台と、前記ディスプレイ台上に展示された複数の商品見本に対応して少なくとも商品価格を表示する液晶表示部を有し、当該液晶表示部の前面に位置して前記液晶表示部を保護する横長帯状の透明なカバー部材を装備してなる商品情報デジタルディスプレイとを備え、前記商品情報デジタルディスプレイをディスプレイ台の前面に設置してなる自動販売機の商品見本展示装置において、薄い矩形平板からなるシート状商品見本を備え、当該シート状商品見本を前記商品情報デジタルディスプレイの前面に装備された横長帯状の透明なカバー部材の内側に差し込んで自立させてなることにより、立体状の商品見本を展示するディスプレイ台に追加部品を設けることなくシート状商品見本を展示することができるので、立体状の商品見本とシート状商品見本を一つのディスプレイ台に混合して展示することができる。
【0013】
また、本発明の請求項2に係る発明によれば、請求項1に記載の自動販売機の商品見本展示装置において、前記シート状商品見本は下端近傍の両側縁に係止片を一体成形してなり、当該係止片を前記商品情報デジタルディスプレイのカバー部材よりも背面側に係止させてなることによりシート状商品見本は係止片によって左右側縁が後方に引っ張られて左右方向に湾曲するので、その剛性を高めることができ、これによりシート状商品見本の自立を安定して維持することができる。
【0014】
また、本発明の請求項3に係る発明によれば、請求項2に記載の自動販売機の商品見本展示装置において、前記商品情報デジタルディスプレイは液晶表示部を内蔵するデジタル表示ユニットの前面に化粧枠を介してカバー部材が配備されてなり、当該化粧枠の頭部にシート状商品見本の係止片が係合する係合穴を形成してなることにより、僅かの設計変更によりシート状商品見本の剛性を高めて自立させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1に係る自動販売機の商品見本展示装置を示し、(a)はディスプレイ台の要部斜視図、(b)はシート状商品見本の正面図である。
【図2】図1に示したディスプレイ台を示し、(a)はディスプレイ台の分解斜視図、(b)は(a)の右端側の拡大斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係る自動販売機の商品見本展示装置を示し、(a)はディスプレイ台の要部斜視図、(b)はシート状商品見本の斜視図、(c)は(a)におけるA部の平面図である。
【図4】本発明が対象とする自動販売機の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係る自動販売機の商品見本展示装置について添付図面を参照して説明する。なお、本発明の実施の形態に係る自動販売機の商品見本展示装置が従来装置と相違する点は特にディスプレイ台の周辺であり、ここでは従来装置と相違するディスプレイ台の周辺について説明することとし、また、自動販売機の全体構成は図4に示したものと同一であるので適宜図4を参照しつつ説明を行う。
【0017】
図1は本発明の実施の形態1に係る自動販売機の商品見本展示装置を示し、図において1はディスプレイ台であり、このディスプレイ台1は鋼板製の固定部材2と商品載置台3とからなる。前記固定部材2は商品載置台3を支持する腕木としてのブラケット21(図2参照)を有し、当該ブラケット21が中扉60(図4参照)に係止固定されている。4は液晶ディスプレイ(LCD)を備えた商品情報デジタルディスプレイであり、商品載置台3に載置された複数の商品見本80若しくは後述するシート状商品見本81に対応して当該商品見本80のコールド,ホット状態を表す冷温表示および商品価格の価格表示を行う液晶表示部41を備えている。5は左右方向に延在する鋼板製の取付金具であり、前記固定部材2にねじ止めされて商品情報デジタルディスプレイ4の下端を保持するものである。なお、商品情報デジタルディスプレイ4は液晶表示部41に商品価格の価格表示を行うものとし、冷温表示については周知の冷温表示板を用いることもできるものである。
【0018】
前記固定部材2は、図2に示すように左右のブラケット21を天板22により連結してなり、天板22には複数の開口221が形成されるとともに天板22の前縁には前方斜め上方に折り曲げられた係止片222が設けられている。前記固定部材2の左右のブラッケット21は左右対称であるので、ここでは正面視右側のブラケット21を代表として説明する。前記ブラッケット21には上面に向けて開放した挿脱溝部21aが形成されるとともに前縁に商品情報デジタルディスプレイ4を係止する係止部21b、およびねじSが螺合するねじ穴21cが形成されている。前記ブラケット21の後縁には内方に向けて折り曲げられた後壁23(図2の(a)参照)が形成され、この後壁23に切起しにより係止片231が形成されている。この係止片231を中扉60(図4参照)に設けた係止穴に嵌合させることにより固定部材2が中扉60に係止固定される。
【0019】
前記商品載置台3は、図2に示すように、上面壁31の両端から下方に延在された左右側壁32を備えてなり、上面壁31には商品見本80を嵌合保持する係合穴311が左右方向に複数並設されている。前記商品載置台3の左右側壁32は左右対称であるので、ここでは正面視右側の側壁32を代表として説明する。前記側壁32には、前方斜め下方向に開放した切欠33が形成されている。また、前記側壁32には内側に向けて切起した当接片34が形成されている。
【0020】
前記商品情報デジタルディスプレイ4は、図2に示すように、液晶表示部41が実装された回路基板を内蔵する横長のデジタル表示ユニット42の前面に白色塗装が施された化粧枠43を組付けてなるものである。前記化粧枠43には液晶表示部41に対応する箇所に窓431が形成されており、化粧枠43の上端部(頭部)は後方斜め下方に向けて傾斜した係合片432が形成されている。この係合片432は固定部材2の天板22に形成された係止片222に係合するものである。なお、図2の(b)に示すように、化粧枠43の前面から側方寄りには切り起こしにより係止爪433が形成されている。図示は省略したが、化粧枠43の左端側にも前記係止爪433と向う合うように係止爪が切り起こしにより形成されているものである。これらの係止爪433により化粧枠43の前面に配備された横長帯状の透明なカバー部材44が保持されているものである。前記透明なカバー部材44は、デジタル表示ユニット42の液晶表示部41を保護するものである。
【0021】
前記取付金具5は縦断面が略L字形に形成された鋼板製になり、白色塗装が施されている。また、前記取付金具5の前面側の板面(L字形における長辺側の板面)には階段状の段差部51(図2の(b)参照)が形成されているとともにねじSが挿通するねじ挿通穴52が穿孔されている。
【0022】
次に、ディスプレイ台1の組立てについて説明すると、まず、左右一対の固定部材2を中扉60(図4参照)に取付ける。この固定部材2の中扉60への取付けは、左右ブラケット21の後壁23に切起しにより形成された係止片231を中扉60の所定位置に穿孔した係合穴に嵌合させることにより固定部材2が中扉60に固着される。次いで、中扉60に固着された固定部材2の左右ブラケット21に対して商品載置台3を、固定部材2の上方から被せるように装着する。この場合、商品載置台3の左右側壁32に内側に向けて切起した当接片34を左右ブラケット21の挿脱溝部21aに対峙させた上で、商品載置台3を固定部材2に被せる。そして、商品載置台3の上面壁31が固定部材2の天板22に当接すると、商品載置台3の左右側壁32の当接片34が左右ブラケット21の挿脱溝部21aに嵌合した状態で固定部材2にセットされる。ここで、商品載置台3の左右側壁32に内側に向けて切起した当接片34が固定部材2の挿脱溝部21aに嵌合しているので、商品載置台3の前後方向への移動が規制される。
【0023】
次いで、前記商品情報デジタルディスプレイ4を中扉60(図4参照)に固着された前記固定部材2に次のように組付ける。すなわち、商品情報デジタルディスプレイ4の背面を固定部材2の左右ブラケット21の前縁に当接させ、その際、商品情報デジタルディスプレイ4の下面を左右ブラケット21の係止部21bの上方に位置させた上で、商品情報デジタルディスプレイ4を左右ブラケット21の前縁に沿わせた状態で商品情報デジタルディスプレイ4の下面が左右ブラケット21の係止部21bに当接するまで下方にスライドさせる。前記商品情報デジタルディスプレイ4の下面が前記係止部21bに当接すると商品情報デジタルディスプレイ4が固定部材2に位置決めされるとともに前記商品情報デジタルディスプレイ4における化粧枠43の係合片432が固定部材2の天板22の前縁に形成した係止片222に係合する。この状態で取付金具5を、その段差部51が商品情報デジタルディスプレイ4の下面に沿うように配設し、ねじSにより左右ブラケット21にねじ止めする。これにより、商品情報デジタルディスプレイ4が固定部材2に固定される。なお、前記固定部材2の左右ブラケット21の外扉60(図4参照)への固着位置を適宜定めることにより、商品情報デジタルディスプレイ4の左右端部は、当該左右ブラケット21よりも外側に突出しているものである。
【0024】
前述したように固定部材2に商品載置台3をセットするとともに固定部材2に商品情報デジタルディスプレイ4を取付けたディスプレイ台1には、図1に示すように、商品載置台3に載置された立体状の商品見本80とシート状商品見本81が起立姿勢で展示している。シート状商品見本81は可撓性の薄いプラスチックシートに商品の外観意匠を印刷した矩形平板状の透明若しくは半透明のシートからなるものである。このシート状商品見本81は前記商品情報デジタルディスプレイ4を利用してディスプレイ台1に取り付けられるが、これについては後述する。そして、ディスプレイ台1の前面に位置する商品情報デジタルディスプレイ4における各液晶表示部41にそれぞれの商品見本80,81のコールド,ホット状態を表す冷温状態および商品価格が表示される。なお、商品情報デジタルディスプレイ4の下端を保持する取付金具5は、図4に示したディスプレイ室50の前面の透明板40に設けられた商品選択ボタンユニット90の背後に位置しており、自動販売機の正面からは商品選択ボタンユニット90に隠れて見えないようになっている。
【0025】
さて、シート状商品見本81は前記商品情報デジタルディスプレイ4を利用して次のようにディスプレイ台1に取り付けられる。すなわち、前記商品情報デジタルディスプレイ4は、図2で説明したように、デジタル表示ユニット42の前面に白色塗装が施された化粧枠43が組付けられ、さらに、化粧枠43の前面に横長帯状の透明なカバー部材44が組付けられている。本発明は前記透明なカバー部材44に着目し、この透明なカバー部材44の内側にシート状商品見本81の下端を差し込んで自立させたものである。この場合、カバー部材44が可撓性を有することから当該カバー部材44の内側に差し込まれたシート状商品見本81は下端部が化粧枠43とカバー部材44に挟着、つまり、両者に密着した状態で保持され、これによって薄いプラスチックシートからなるものであっても自立させることができる。
【0026】
前述したように実施の形態1においては、本体キャビネット10の前面を開閉する外扉20に形成されたディスプレイ室50内に配設され、左右方向に複数の立体状の商品見本80を展示するディスプレイ台1と、前記ディスプレイ1台上に展示された複数の商品見本80に対応して少なくとも商品価格を表示する液晶表示部41を有し、当該液晶表示部41の前面に位置して前記液晶表示部41を保護する横長帯状の透明なカバー部材44を装備してなる商品情報デジタルディスプレイ4とを備え、前記商品情報デジタルディスプレイ4をディスプレイ台1の前面に設置してなる自動販売機の商品見本展示装置において、薄い矩形平板からなるシート状商品見本81を備え、当該シート状商品見本81を前記商品情報デジタルディスプレイ4の前面に装備された横長帯状の透明なカバー部材44の内側に差し込んで自立させてなることにより、立体状の商品見本80を展示するディスプレイ台1に追加部品を設けることなくシート状商品見本81を展示することができるので、立体状の商品見本80とシート状商品見本81を一つのディスプレイ台1に混合して展示することができる。
【0027】
次に本発明の実施の形態2に係る自動販売機の商品見本展示装置において図3を用いて説明する。この実施の形態2に係る自動販売機の商品見本展示装置が実施の形態1と相違する点はシート状商品見本82、および商品情報デジタルディスプレイ4の化粧枠43であり、その他の構成は実施の形態1と同一であるので、同一のものには同一の符号を付して説明を省略する。なお、ディスプレイ台1、および商品情報デジタルディスプレイ4の構成については図2に示すものと同一であるので、適宜図2を参照しつつ説明を行う。
【0028】
図3において、82はシート状商品見本であり、可撓性の薄いプラスチックシートに商品の外観意匠を印刷した矩形平板状の透明若しくは半透明のシートからなるものである。このシート状商品見本82の下端近傍の左右側縁には切り込みにより略L字状の係止片821,821が一体成形されている。一方、商品情報デジタルディスプレイ4の化粧枠43の上端部(頭部)には、図3の(c)に示すように、シート状商品見本82が装着される箇所には左右対称の係合穴433,433が形成されている。図3の(c)においては図面下方側が自動販売機の前面側である。左右一対の係合穴433,433は細幅スリットと太幅スリットとの組み合わせからなり、細幅スリットが向かい合うとともに逆ハの字状に傾斜して形成されている。係合穴433,433の長さはシート状商品見本82の係止片821,821におけるL字状下辺の長さよりも長く定められ、太幅スリットの長さは係止片821,821におけるL字状脚片の幅よりも大きく定められている。
【0029】
次に、シート状商品見本82の取付けについて説明すると、このシート状商品見本82も実施の形態1と同様に商品情報デジタルディスプレイ4のカバー部材44の内側に差し込まれるものである。この実施の形態2においては、シート状商品見本82の下端を差し込むとシート状商品見本82の係止片821,821が化粧枠43の頭部に徐々に接近するので、その係止片821,821が化粧枠43の頭部に接近した段階で、当該係止片821,821の自由端側を後方に撓ませて化粧枠43の頭部に形成した係合穴433,433に差し込む。前記係止片821,821におけるL字状下辺が係合穴433,433に貫通した状態で、係止片821,821から手を離すと当該係止片821,821が復元力により前方に移動し、係止片821,821におけるL字状脚片が係合穴433,433の太幅スリットに係合し、かつ、係止片821,821におけるL字状下辺が係合穴433,433の細幅スリットの前方側に移動、つまり、化粧枠43の頭部裏面側に潜り込んで係止される。これによりシート状商品見本82の商品情報デジタルディスプレイ4のカバー部材44内側への装着が完了する。
【0030】
この実施の形態2においては、シート状商品見本82が商品情報デジタルディスプレイ4に装着された状態においては、シート状商品見本82の左右両端が係止片821,821により後方に引っ張られて前方側に凸となるように湾曲している。したがって、薄いプラスチックシートからなるシート状商品見本82の剛性を高めることができるので、シート状商品見本82を起立姿勢に自立ことが可能となる。
【0031】
ここで、前記シート状商品見本82には切欠822(図1の(a)参照)が設けられている。この切欠822について次に説明する。前述したような矩形平板状のシート状商品見本82の下端を湾曲させた際、シート状商品見本82の全体が湾曲してしまうことがある。そこで、シート状商品見本82には左右側縁の下部側に切欠822を設けている。このように、切欠822を有するシート状商品見本82の下端を湾曲させた場合、シート状商品見本82の切欠822よりも下部側は湾曲(曲率の小さい湾曲)するが、前記切欠822によって下部側との繋がりが一部絶たれた切欠822よりも上部側の湾曲は下部側の湾曲に対して比較的小さくなる(曲率の大きな湾曲となる)。このように、切欠822を形成することによりシート状商品見本82の湾曲を抑えることができる一方、切欠822よりも下部側は湾曲することから薄いプラスチックシートからなるシート状商品見本82を安定して起立姿勢に維持することができる。なお、切欠822は角型に限らず円弧形状とすることもでき、さらに、切欠822に代えて切り込みを入れることもできるものである。
【0032】
前述したように実施の形態2においては、本体キャビネット10の前面を開閉する外扉20に形成されたディスプレイ室50内に配設され、左右方向に複数の商品見本80を展示するディスプレイ台1と、前記ディスプレイ台1上に展示された複数の商品見本80に対応して少なくとも商品価格を表示する液晶表示部41を有し、当該液晶表示部41の前面に位置して前記液晶表示部41を保護する横長帯状の透明なカバー部材44を装備してなる商品情報デジタルディスプレイ4とを備え、前記商品情報デジタルディスプレイ4をディスプレイ台1の前面に設置してなる自動販売機の商品見本展示装置において、薄い矩形平板からなるシート状商品見本82を備え、当該シート状商品見本82を前記商品情報デジタルディスプレイ4の前面に装備された横長帯状の透明なカバー部材44の内側に差し込んで自立させてなることにより、立体状の商品見本82を展示するディスプレイ台1に追加部品を設けることなくシート状商品見本82を展示することができるので、立体状の商品見本82とシート状商品見本80を一つのディスプレイ台に混合して展示することができる。
【0033】
また、実施の形態2においては、前記シート状商品見本82は下端近傍の両側縁に係止片821,821を一体成形してなり、当該係止片821,821を前記商品情報デジタルディスプレイ4のカバー部材44よりも背面側に係止させてなることによりシート状商品見本82は係止片821,821によって左右側縁が後方に引っ張られて左右方向に湾曲するので、その剛性を高めることができ、これによりシート状商品見本82の自立を安定して維持することができる。
【0034】
また、実施の形態2においては、前記商品情報デジタルディスプレイ4は液晶表示部41を内蔵するデジタル表示ユニット42の前面に化粧枠43を介してカバー部材44が配備されてなり、当該化粧枠43の頭部にシート状商品見本82の係止片821,821が係合する係合穴433,433を形成してなることにより、僅かの設計変更によりシート状商品見本82の剛性を高めて自立させることが可能となる。
【0035】
なお、前記実施の形態ではシート状商品見本81,82と立体状の商品見本80とを一つのディスプレイ台1に混合して展示することについて説明したが、立体状の商品見本80の前面にシート状商品見本81,82と同様な装着方法で広告シートを装着することもできる。この場合、広告シートはシート状商品見本81と同様に可撓性の薄い透明なプラスチックシートからなり、「新発売」などの広告を表示したものである。したがって、シート状商品見本81,82に加えて広告シートをも含むものであり、前述した実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【符号の説明】
【0036】
1…ディスプレイ台、2…固定部材、3…商品載置台、4…商品情報デジタルディスプレイ、5…取付金具、6…商品見本展示用アタッチメント、10…本体キャビネット、20…外扉、30…内扉、41…液晶表示部、42…デジタル表示ユニット、43…化粧枠、44…カバー部材、50…ディスプレイ室、60…中扉、80…(立体状の)商品見本、81、82…シート状商品見本、433…係合穴、821…係合片。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体キャビネットの前面を開閉する外扉に形成されたディスプレイ室内に配設され、左右方向に複数の商品見本を展示するディスプレイ台と、前記ディスプレイ台上に展示された複数の商品見本に対応して少なくとも商品価格を表示する液晶表示部を有し、当該液晶表示部の前面に位置して前記液晶表示部を保護する横長帯状の透明なカバー部材を装備してなる商品情報デジタルディスプレイとを備え、前記商品情報デジタルディスプレイをディスプレイ台の前面に設置してなる自動販売機の商品見本展示装置において、薄い矩形平板からなるシート状商品見本を備え、当該シート状商品見本を前記商品情報デジタルディスプレイの前面に装備された横長帯状の透明なカバー部材の内側に差し込んで自立させてなることを特徴とする自動販売機の商品見本展示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動販売機の商品見本展示装置において、前記シート状商品見本は下端近傍の両側縁に係止片を一体成形してなり、当該係止片を前記商品情報デジタルディスプレイのカバー部材よりも背面側に係止させてなることを特徴とする自動販売機の商品見本展示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の自動販売機の商品見本展示装置において、前記商品情報デジタルディスプレイは液晶表示部を内蔵するデジタル表示ユニットの前面に化粧枠を介してカバー部材が配備されてなり、当該化粧枠の頭部にシート状商品見本の係止片が係合する係合穴を形成してなることを特徴とする自動販売機の商品見本展示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−3823(P2013−3823A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133990(P2011−133990)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】