説明

自動販売機の筐体構造及び筐体組み立て方法

【課題】筐体を構成する部材同士の位置決めが容易となるとともに、筐体の寸法精度を向上させることのできる自動販売機の筐体構造及び筐体組み立て方法を提供する。
【解決手段】背板補強リブ12aに、側板補強リブ11aに設けられた複数の平面に面接触することによって、背板12に対して一対の側板11を幅方向及び前後方向に位置決めする複数の平面を設け、背面部フランジ13aに、上部フランジ12bに設けられた複数の平面に面接触することによって、背板12に対して天板13を前後方向及び上下方向に位置決めする複数の平面を設け、天板13の上面及び幅方向両側面に、一対の側板11の幅方向内側及び上部フランジ11cの下面に設けられた複数の平面を面接触させることによって、天板13に対して一対の側板11を幅方向及び上下方向に位置決めする複数の平面を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ビン、缶、ペットボトル入り飲料を販売する自動販売機の筐体構造及び筐体組み立て方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自動販売機の筐体は、幅方向に対面するように配置された一対の側板と、一対の側板の背面側に配置された背板と、一対の側板及び背板の上端側に配置された天板と、一対の側板及び背板の下端側に配置された底板と、を備えている。
この筐体の製造において、例えば、背板と一対の側板を組み立てる場合には、背板の幅方向両側に設けられたフランジを一対の側板の背面側に設けられた溝に挿入することによって、背板と一対の側板とを前後方向及び幅方向に位置決めし、その後溶接や、硬質ポリウレタンフォームを充填し固着する等によってそれぞれの部材を互いに固定するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭58−111891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記筐体は、フランジと溝との関係で背板に対して一対の側板が前後方向及び幅方向に位置決めすることができるが、上下方向については位置決めすることができない。このため、背板に対する一対の側板の上下方向の位置関係については、目視によって位置決めし、その一対の側板及び背板に対して天板や底板が組み立てられるため、組み立て作業が容易でなく、また、組み立てられた筐体の寸法精度が低く品質の向上を図ることができない。
【0005】
本発明の目的とするところは、筐体を構成する部材同士の位置決めが容易となるとともに、筐体の寸法精度を向上させることのできる自動販売機の筐体構造及び筐体組み立て方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記目的を達成するために、幅方向に対面するように配置された一対の側板と、前記一対の側板の後端側に配置された背板と、前記一対の側板及び前記背板の上端側に配置された天板と、前記一対の側板及び前記背板の下端側に配置された底板と、を備えた自動販売機の筐体構造において、前記背板の幅方向両端側には、それぞれ上下方向に延びるように形成され、隣り合う面に対して異なる角度をなす複数の当接面が設けられ、前記側板の後端側には、それぞれ上下方向に延びるように形成され、前記背板の幅方向両端側に設けられた複数の当接面にそれぞれ面接触させることによって、前記背板に対して前記側板を幅方向及び前後方向に位置決めする複数の当接面が設けられ、前記背板の上端側には、それぞれ幅方向に延びるように形成され、隣り合う面に対して異なる角度をなす複数の当接面が設けられ、前記天板の後端側には、それぞれ幅方向に延びるように設けられ、前記背板の上端側に設けられた複数の当接面にそれぞれ面接触させることによって、前記背板に対して前記天板を上下方向及び前後方向に位置決めする複数の当接面が設けられ、前記側板の上端側には、それぞれ前後方向に延びるように形成され、隣り合う面に対して異なる角度をなす複数の当接面が設けられ、前記天板の幅方向両端側には、それぞれ前後方向に延びるように設けられ、前記側板の上端側に設けられた複数の当接面にそれぞれ面接触させることによって、前記天板に対して前記側板を上下方向及び幅方向に位置決めする複数の当接面が設けられている。
【0007】
また、本発明は、前記目的を達成するために、幅方向に対面するように配置された一対の側板と、前記一対の側板の後端側に配置された背板と、前記一対の側板及び前記背板の上端側に配置された天板と、前記一対の側板及び前記背板の下端側に配置された底板と、を備えた自動販売機の筐体構造において、前記背板の幅方向両端側には、上下方向に延びるように形成された凸形状または凹形状の嵌合部が設けられ、前記側板の後端側には、上下方向に延びるように形成され、前記背板の幅方向両端側に設けられた嵌合部を嵌合させることによって、前記背板に対して前記側板を幅方向及び前後方向に位置決めする凹形状または凸形状の被嵌合部が設けられ、前記背板の上端側には、幅方向に延びるように形成された凸形状または凹形状の嵌合部が設けられ、前記天板の後端側には、幅方向に延びるように設けられ、前記背板の上端側に設けられた嵌合部を嵌合させることによって、前記背板に対して前記天板を上下方向及び前後方向に位置決めする凹形状または凸形状の被嵌合部が設けられ、前記側板の上端側には、それぞれ前後方向に延びるように形成された凸形状または凹形状の嵌合部が設けられ、前記天板の幅方向両端側には、前後方向に延びるように設けられ、前記側板の上端側に設けられた嵌合部を嵌合させることによって、前記側板に対して前記天板を上下方向及び幅方向に位置決めする凹形状または凸形状の被嵌合部が設けられている。
【0008】
また、本発明は、前記目的を達成するために、幅方向に対面するように配置された一対の側板と、前記一対の側板の後端側に配置された背板と、前記一対の側板及び前記背板の上端側に配置された天板と、前記一対の側板及び前記背板の下端側に配置された底板と、を備えた自動販売機の筐体組み立て方法において、前記背板の幅方向両端側にそれぞれ上下方向に延びるように設けられ、隣り合う面に対して異なる角度をなす複数の当接面に、前記側板の後端側にそれぞれ上下方向に延びるように設けられた複数の当接面をそれぞれ面接触させることによって、背板に対して側板を幅方向及び前後方向に位置決めし、前記背板の上端側にそれぞれ幅方向に延びるように設けられ、隣り合う面に対して異なる角度をなす複数の当接面に、前記天板の後端側にそれぞれ幅方向に延びるように設けられた複数の当接面をそれぞれ面接触させることによって、背板に対して天板を上下方向及び前後方向に位置決めし、前記側板の上端側にそれぞれ前後方向に延びるように設けられ、隣り合う面に対して異なる角度をなす複数の当接面に、前記天板の幅方向両端側にそれぞれ前後方向に延びるように設けられた複数の当接面をそれぞれ面接触させることによって、天板に対して側板を上下方向及び幅方向に位置決めしている。
【0009】
また、本発明は、前記目的を達成するために、幅方向に対面するように配置された一対の側板と、前記一対の側板の後端側に配置された背板と、前記一対の側板及び前記背板の上端側に配置された天板と、前記一対の側板及び前記背板の下端側に配置された底板と、を備えた自動販売機の筐体構造において、前記背板の幅方向両端側を上下方向に延びるように形成された凸形状または凹形状の嵌合部と、前記側板の後端側を上下方向に延びるように形成された凹形状または凸形状の被嵌合部とを嵌合させることによって、前記背板に対して前記側板を幅方向及び前後方向に位置決めし、前記背板の上端側を幅方向に延びるように形成された凸形状または凹形状の嵌合部と、前記天板の後端側を幅方向に延びるように設けられた凹形状または凸形状の被嵌合部とを嵌合させることによって、前記背板に対して前記天板を上下方向及び前後方向に位置決めし、前記側板の上端側をそれぞれ前後方向に延びるように形成された凸形状または凹形状の嵌合部と、前記天板の幅方向両端側を前後方向に延びるように設けられた凹形状または凸形状の被嵌合部とを嵌合させることによって、前記側板に対して前記天板を上下方向及び幅方向に位置決めしている。
【0010】
これにより、背板と一対の側板とを組み立てることによって、背板に対して一対の側板が幅方向及び前後方向に位置決めされ、背板と天板とを組み立てることによって、背板に対して天板が上下方向及び前後方向に位置決めされ、背板に組み立てられた状態の天板と一対の側板を組み立てることによって、天板に対して一対の側板が上下方向及び幅方向に位置決めされることから、背板、一対の側板及び天板を組み立てることによって、それぞれの部材が互いに3方向に位置決めされる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、背板、一対の側板及び天板を組み立てることによってそれぞれの部材が互いに3方向に位置決めされるので、筐体を構成する部材同士の位置決めが容易となり、製造コストの低減を図ることが可能となる。また、背板、一対の側板及び天板を組み立てることによって確実に位置決めされるので、寸法精度が向上し、品質の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態を示す自動販売機の全体斜視図である。
【図2】筐体の斜視図である。
【図3】筐体の正面断面図である。
【図4】筐体の側面断面図である。
【図5】筐体の平面断面図である。
【図6】筐体の概略分解斜視図である。
【図7】底板の組付け方法を示す筐体の要部側面断面図である。
【図8】側板補強部材及び底板の要部斜視図である。
【図9】仕切板の組付け方法を示す筐体の要部側面断面図である。
【図10】補強板の組付け方法を示す筐体の平面断面図である。
【図11】その他の例を示す筐体の平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1乃至図10は、本発明の一実施形態を示すものである。
【0014】
本発明の筐体構造を備えた自動販売機は、図1に示すように、前面を開口した筐体10と、筐体10の前面開口を開閉する外扉20とを備えている。
【0015】
筐体10内には、上部側に商品収納室10aが設けられ、下部側に機械室10bが設けられている。商品収納室10a内には、図示しない周知のサーペンタイン式の商品収納コラムが収納され、商品収納コラムから落下搬出された商品が外扉20側に搬出されるようになっている。また、機械室10b内には、商品収納室10a内を冷却または加熱するための機器が収納されるようになっている。
【0016】
外扉20には、商品サンプル展示室21、商品選択スイッチ22、硬貨投入口23、紙幣投入口24、表示パネル25、返却レバー26、外扉開閉用のハンドル27、硬貨返却口28及び商品取出口29が設けられている。
【0017】
筐体10は、幅方向に対面するように配置された一対の側板11と、一対の側板11間の後端側に配置された背板12と、一対の側板11及び背板12の上端側に配置された天板13と、一対の側板11及び背板12の下端側に配置された底板14と、一対の側板11間を商品収納室10a側と機械室10b側とに仕切る仕切板15と、底板14と仕切板15との間の幅方向両側に設けられた一対の補強板16とを有している。一対の側板11、背板12、天板13、底板14、仕切板15及び一対の補強板16は、それぞれ薄鋼板を板金加工することにより形成される。
【0018】
一対の側板11の背面側には、端部を屈曲形成することによって、溝底を背面側に向けて上下方向に延びる溝形状に設けられ、背板12の幅方向端部側と係合する側板補強リブ11aが設けられている。側板補強リブ11aは、互いに異なる角度をなすと共にそれぞれ上下方向に延びるように設けられ、背板12の幅方向端部側に設けられた複数の平面と面接触する複数の平面を有している。また、一対の側板11の前面側には、幅方向内側を上下方向に延びるように設けられ、筐体10の前面開口を補強するための開口補強部としての側板補強部材11bが取り付けられている。また、一対の側板11の上端には、端部を屈曲することによって前後方向に亘って幅方向内側に延びる側板上部フランジとしての上部フランジ11cが設けられている。一対の側板11の上端側は、上部フランジ11cの下面に天板13の上面が面接触する当接面が設けられ、幅方向内側面に天板13の幅方向側面が面接触する当接面が設けられている。更に、一対の側板11の下端には、端部を屈曲することによって前後方向に亘って幅方向内側に延びる下部フランジ11dが設けられている。また、一対の側板11の下端の前側には、一対の側板11及び背板12に対して底板14を組付け可能とするために、下部フランジ11dに切り欠き部11eが形成されている。
【0019】
また、側板補強部材11bの下端には、底板14に設けられた後述する第1係合孔及び第2係合孔に係合する第1突起部11f及び第2突起部11gが前後方向に配置されている。第1突起部11fは、下方に延びるように形成され、所定の幅方向寸法に形成されている。第2突起部11gは、第1突起部11fの前方に設けられ、下方に延びるとともに、先端が前方に延びる鉤状に形成されている。また、側板補強部材11bの背面には、仕切板15の前端が係合可能な幅方向に延びるスリット状の長孔11hが形成されている。
【0020】
背板12の幅方向両側には、端部を屈曲形成することによって、側板11の側板補強リブ11aと嵌合可能な前面に向かって凸形状の背板補強リブ12aが上下方向に延びるように設けられている。背板補強リブ12aは、互いに異なる角度をなすと共にそれぞれ上下方向に延びるように設けられ、両側板補強リブ11aに設けられた複数の当接面と面接触する複数の当接面を有している。背板補強リブ12aと側板補強リブ11aとを嵌合させることによって、側板11は背板12に対して前後方向及び幅方向に位置決めされる。また、背板12の上端には、前方に延びるとともに端部が下方に屈曲形成された断面L字状の背板上部フランジとしての上部フランジ12bが設けられている。上部フランジ12bは、天板13の後述する背面部フランジに設けられた平面と面接触する当接面を上面及び前面に有している。更に、背板12の下端には、端部を前方に屈曲形成することによって幅方向に亘って前方に延びる下部フランジ12cが設けられている。
【0021】
一対の側板11と背板12との間には、側板11の側板補強リブ11aに背板12の背板補強リブ12aを嵌合させることにより補強部17が構成される。補強部17は、下端が側板11の下部フランジ11d及び背板12の下部フランジ12cから所定の間隔をおいて上方に位置している。また、補強部17は、上端が背板12の上部フランジ12bの下面に位置している。更に、補強部17には、仕切板15を支持するための切り欠き部17aが設けられている。
【0022】
天板13は、上面に側板11の上部フランジ11cの下面と面接触する当接面を有し、幅方向両側面に側板11の幅方向内側面と面接触する当接面を有している。天板13の背面側端部は、他の端部よりも下方に延びるように形成され、背板12の上部フランジ12bに面接触可能なように、幅方向に亘って前方に延びるとともに、端部が下方に屈曲形成された断面L字状の天板後部フランジとしての背面部フランジ13aが設けられている。背面部フランジ13aは、背板12の上部フランジ12bの上面及び前面と面接触する当接面を下面及び背面に有している。天板13は、背面部フランジ13aが背板12の上部フランジ12bに面接触することによって、背板12に対して上下方向及び前後方向に位置決めされる。また、天板13は、上面に側板11の上部フランジ11cが面接触するとともに、側面に側板11の幅方向内側面が面接触することによって、天板13に対して側板11を上下方向及び幅方向に位置決めする。また、天板13の前側には、下面側を幅方向に延びるように設けられ、筐体10の前面開口を補強するための天板補強部材13bが取り付けられている。
天板13の背面側は、背面部フランジ13aが背板12の上部フランジ12bに当接することによって背板12に支持される。また、天板13の前面側の幅方向両側は、各側板11の側板補強部材11bの上端と上部フランジ11cとの間に支持される。
【0023】
底板14の下面の四隅には、それぞれ脚部14aが設けられている。底板14の上面の前側には、第1突起部11fが挿入可能に設けられ、挿入された第1突起部11fが所定の範囲内で前後方向に移動自在に設けられ、挿入された第1突起部11fの幅方向の移動を規制する被係止部としての第1係合孔14bが設けられている。また、底板14の上面の第1係合孔14bの前方には、第2突起部11gが挿入可能に設けられ、第2突起部11gを挿入した状態で底板14を後方に移動させることにより、側板補強部材11bに底板14を係止可能な第2係合孔14cが設けられている。
底板14は、背面側が補強部17の下端と側板11の下部フランジ11d及び背板12の下部フランジ12cとの間に支持され、前面側が側板補強部材11bに係止される。側板11の下端側の前側は、底板14の第1係合孔14bと側板補強部材の第1突起部11fとの係合によって、底板14に対して幅方向に位置決めされる。
【0024】
仕切板15は、背面側の左右両端部が補強部17の切り欠き部17aに係合することにより支持され、前面側の左右両端部が側板補強部材11bの長孔11hに係合することにより支持される。
【0025】
一対の補強板16は、前後方向の寸法が側板11の側板補強リブ11aと側板補強部材11bの後面との間の寸法と略同一に形成され、上下方向の寸法が底板14の上面と仕切板15の下面との間の寸法と略同一に形成されている。補強板16の背面側の端部には、側板11の側板補強リブ11aの幅方向外側に位置する溝11iに嵌合する嵌合部16aが設けられている。補強板16の前面側の端部は、側板補強部材11bの後面側に取り付けられる。補強板16の上端には、仕切板15の下面にネジ止めするための幅方向内側に延びる上部フランジ16bが設けられている。また、補強板16の下端には、底板14の上面にネジ止めするための幅方向内側に延びる下部フランジ16cが設けられている。
【0026】
以上のように構成された自動販売機の筐体構造において、筐体10の組み立て方法を説明する。ここで、筐体10は、背面側を下方に向け、正面側を上方に向けた横倒しの状態で各部材が組み立てられる。
【0027】
まず、作業床面上に背板12を、背面側を下方に向けて置き、背板12の各背板補強リブ12aと、側板11の側板補強リブ11aとを嵌合させる。この状態では、背板補強リブ12aの隣り合う面に対して異なる角度をなす複数の当接面と側板補強リブ11aの互いに異なる角度をなす複数の当接面とが面接触することから、背板12に対して両側板11の幅方向及び前後方向の2方向が位置決めされる。
【0028】
次に、各背板補強リブ12aと側板補強リブ11aとが嵌合した状態の背板12及び側板11に、天板13を取り付ける。詳しくは、天板13の背面部フランジ13aと、一対の側板11の前面側を幅方向外側に開きながら背板12の上部フランジ12bとを面接触させた後、天板13の幅方向両側を、各側板11の側板補強部材11bと上部フランジ11cとの間に挿入する。この状態では、上部フランジ12bの上面及び前面の当接面に背面部フランジ13aの当接面が面接触し、天板13の上面の当接面に側板11の上部フランジ11cの下面の当接面が面接触し、天板13の幅方向両側面に側板11の幅方向内側面の当接面が面接触する。これにより、背板12に対して天板13の上下方向及び前後方向が位置決めされ、天板13に対して側板11の上下方向及び幅方向が位置決めされる。つまり、天板13は、一対の側板11を介して背板12に対して幅方向に位置決めされることから、側板11、背板12及び天板13は、それぞれの部材を組み立てることによって互いに3方向に位置決めされる。
【0029】
一対の側板11、背板12及び天板13が仮組みされた後、底板14を取り付ける。詳しく説明すると、図7に示すように、まず、底板14を、側板11の下部フランジ11dの前側に設けられた切り欠き部11eから第1突起部11f及び第2突起部11gと接触しないように斜め上方から挿入する。その後、図8に示すように、底板14の第1係合孔14bに第1突起部11fを挿入可能な位置で、底板14を上面が上下方向に向くように回転させて第1係合孔14bに第1突起部11fを挿入させるとともに、第2係合孔14cに第2突起部11gを挿入させ、底板14を下方に移動させる。これにより、底板14は、背面側が補強部17の下端と側板11の下部フランジ11d及び背板12の下部フランジ12cとの間に挿入されるとともに、前面側が側板補強部材11bの第2突起部11gに係止される。これにより、底板14は、一対の側板11、背板12及び天板13に対して上下方向、幅方向及び前後方向に位置決めされる。このとき、一対の側板11の下端側の前面側は、側板補強部材11bの第1突起部11fが底板14の第1係合孔14bに挿入されることによって幅方向の位置ずれが規制される。
【0030】
一対の側板11、背板12、天板13及び底板14が仮組みされた後、仕切板15を取り付ける。詳しくは、図9に示すように、まず、仕切板15を一対の側板11間の補強部17と側板補強部材11bとの間に配置する。次に、仕切板15の背面側の幅方向両端部を補強部17の切り欠き部17aに挿入させる。その後、仕切板15の前面側の幅方向両端部を下方に向けて移動させて側板補強部材11bの長孔11hに係合させる。このとき、仕切板15は、一対の側板11間の補強部17と側板補強部材11bとの間で撓みながら移動可能である。
【0031】
一対の側板11、背板12、天板13、底板14及び仕切板15が仮組みされた後、一対の補強板16を取り付ける。詳しくは、図10に示すように、補強板16の嵌合部16aを側板11の溝11iに嵌合させた後、補強板16の前面側の端部を側板11の側板補強部材11bの背面側に取り付ける。
【0032】
最後に、仮組みされた筐体10をスポット溶接、接着剤やネジ止め等によって固定することによって、筐体10の組み立て作業が終了する。
【0033】
このように、本実施形態の自動販売機の筐体構造によれば、背板補強リブ12aに、側板補強リブ11aに設けられた複数の当接面に面接触することによって、背板12に対して一対の側板11を幅方向及び前後方向に位置決めする複数の当接面を設け、背面部フランジ13aに、上部フランジ12bに設けられた複数の当接面に面接触することによって、背板12に対して天板13を前後方向及び上下方向に位置決めする複数の当接面を設け、天板13の上面及び幅方向両側面に、一対の側板11の幅方向内側及び上部フランジ11cの下面に設けられた複数の当接面を面接触させることによって、天板13に対して一対の側板11を幅方向及び上下方向に位置決めする複数の当接面を設けている。これにより、背板12、一対の側板11及び天板13を組み立てることによってそれぞれの部材が互いに3方向に位置決めされるので、筐体10を構成する部材同士の位置決めが容易となり、製造コストの低減を図ることが可能となる。また、背板12、一対の側板11及び天板13を組み立てることによって確実に位置決めされるので、寸法精度が向上し、品質の向上を図ることが可能となる。
【0034】
また、一対の側板11の後端側には、上下方向に延びる溝状に形成された側板補強リブ11aが設けられ、背板12の幅方向両端側には、溝状に形成された側板補強リブ11aに嵌合する上下方向に延びる前面に向かって凸状の背板補強リブ12aが設けられている。これにより、側板補強リブ11aと背板補強リブ12aとを嵌合させることによって、背板12に対して一対の側板11を幅方向及び前後方向に確実に位置決めすることができるので、組み立て作業を容易に行うことができるとともに、組み立て後の筐体10の寸法精度を向上させることが可能となる。
【0035】
また、天板13の後端側には、背板12の断面L字状の上部フランジ12bに当接するように、端部を屈曲することによって前方に延びるとともに、先端が下方に向けて延びる断面L字状の背面部フランジ13aが設けられている。これにより、断面L字状の上部フランジ12bと背面部フランジ13aとを当接させることによって背板12に対して天板13を上下方向及び前後方向に位置決めすることができるので、組み立て作業を容易に行うことができるとともに、組み立て後の筐体10の寸法精度を向上させることが可能となる。
【0036】
また、天板13は、上面が一対の側板11の上部フランジ11cに当接するとともに、幅方向側面が一対の側板11の幅方向内側面に当接している。これにより、天板13に対して一対の側板11を幅方向及び上下方向に位置決めすることができるので、組み立て作業を容易に行うことができるとともに、組み立て後の筐体10の寸法精度を向上させることが可能となる。
【0037】
また、前記一対の側板11の幅方向内側の前面側には、上部フランジ11cと間隔をおいて上下方向に延びる側板補強部材11bが設けられ、天板13は、上部フランジ11cと側板補強部材11bの上端との間に嵌合している。これにより、天板13に対して一対の側板11を上下方向に確実に位置決めすることができ、溶接によって固定することなく、天板13と一対の側板11を組み立てた状態を保持することが可能となる。
【0038】
尚、前記実施形態では、補強部17を、一対の側板11の背面側に設けられた溝底が背面側に向けられた溝形状の側板補強リブ11aと、背板12の幅方向両側に設けられ、側板補強リブ11aに嵌合可能な前面に向かって凸形状の背板補強リブ12aと、から構成したものを示したが、これに限られるものではない。背板12に対して一対の側板11がそれぞれ幅方向及び前後方向に位置決めすることが可能であれば、背板補強リブ12a側を溝状に形成し、背板補強リブ12aと側板補強リブ11aとを嵌合させるようにしてもよい。また、側板補強リブ11aの前側に背板補強リブ12aが位置することによって互いに嵌合するようにしたものでもよい。また、側板11及び背板12に、隣り合う面に対して異なる角度をなす少なくとも二つの当接面を設け、側板11の各当接面を背板12の各当接面に面接触させれば、背板12に対して一対の側板11を幅方向及び前後方向の2方向の位置決めが可能となる。
【0039】
また、前記実施形態では、背板補強リブ12aに設けられた複数の当接面と、側板補強リブ11aに設けられた複数の当接面とを面接触させることによって、背板12に対して一対の側板11を幅方向及び前後方向に位置決めし、背面部フランジ13aに設けられた複数の当接面と、上部フランジ12bに設けられた複数の当接面とを面接触することによって、背板12に対して天板13を前後方向及び上下方向に位置決めし、天板13の上面及び幅方向両側面に設けられた当接面と、一対の側板11の幅方向内側及び上部フランジ11cの下面に設けられた複数の当接面とを面接触させることによって、天板13に対して一対の側板11を幅方向及び上下方向に位置決めするようにしたものを示している。しかし、背板12に対して一対の側板11を幅方向及び前後方向に位置決めし、背板12に対して天板13を前後方向及び上下方向に位置決めし、天板13に対して一対の側板11を幅方向及び上下方向に位置決めすることができるものであればこれに限られるものではない。例えば、図11に示すように、側板11、背板12及び天板13のそれぞれの接合部の一方に断面半円形の突条からなる嵌合部18aを形成するとともに、接合部の他方に断面半円形の溝からなる被嵌合部18bを形成し、嵌合部18aと被嵌合部18bとを嵌合させることによっても、前記実施形態と同様に、背板12に対して一対の側板11を幅方向及び前後方向に位置決めし、背板12に対して天板13を前後方向及び上下方向に位置決めし、天板13に対して一対の側板11を幅方向及び上下方向に位置決めすることができる。この場合、嵌合部18a及び被嵌合部18bは、曲面形状であれば、断面半円形に限られるものではない。
【0040】
また、前記実施形態では、断面L字状の上部フランジ12bと断面L字状の背面部フランジ13aとを面接触させることによって背板12に対して天板13を位置決めするようにしたものを示したが、これに限られるものではない。例えば、前記補強部17と同様の構成によって背板12に対して天板13を上下方向及び前後方向に位置決めするようにしてもよい。また、一対の側板11と天板13との関係においても同様に、天板13に対して一対の側板11を幅方向及び上下方向に位置決めが可能であれば、前記補強部17と同様の構成によって天板13に対して一対の側板11を幅方向及び上下方向に位置決めするようにしてもよい。
【0041】
また、前記実施形態では、側板11の側板補強リブ11aに背板12の背板補強リブ12aを嵌合させることにより筐体10の上下方向に亘って補強部17が構成されているが、これに限られるものではない。例えば、複数の側板補強リブを互いに上下方向に間隔をおいて側板11に設けるとともに、複数の背板補強リブを互いに上下方向に間隔をおいて背板12に設け、各側板補強リブに各背板補強リブを嵌合させることにより、上下方向に延びる補強部を互いに上下方向に間隔をおいて複数構成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0042】
10…筐体、11…側板、11a…側板補強リブ、11b…側板補強部材、11c…上部フランジ、12…背板、12a…背板補強リブ、12b…上部フランジ、13…天板、13a…背面部フランジ、14…底板、17…補強部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向に対面するように配置された一対の側板と、
前記一対の側板の後端側に配置された背板と、
前記一対の側板及び前記背板の上端側に配置された天板と、
前記一対の側板及び前記背板の下端側に配置された底板と、を備えた自動販売機の筐体構造において、
前記背板の幅方向両端側には、それぞれ上下方向に延びるように形成され、隣り合う面に対して異なる角度をなす複数の当接面が設けられ、
前記側板の後端側には、それぞれ上下方向に延びるように形成され、前記背板の幅方向両端側に設けられた複数の当接面にそれぞれ面接触させることによって、前記背板に対して前記側板を幅方向及び前後方向に位置決めする複数の当接面が設けられ、
前記背板の上端側には、それぞれ幅方向に延びるように形成され、隣り合う面に対して異なる角度をなす複数の当接面が設けられ、
前記天板の後端側には、それぞれ幅方向に延びるように設けられ、前記背板の上端側に設けられた複数の当接面にそれぞれ面接触させることによって、前記背板に対して前記天板を上下方向及び前後方向に位置決めする複数の当接面が設けられ、
前記側板の上端側には、それぞれ前後方向に延びるように形成され、隣り合う面に対して異なる角度をなす複数の当接面が設けられ、
前記天板の幅方向両端側には、それぞれ前後方向に延びるように設けられ、前記側板の上端側に設けられた複数の当接面にそれぞれ面接触させることによって、前記天板に対して前記側板を上下方向及び幅方向に位置決めする複数の当接面が設けられている
ことを特徴とする自動販売機の筐体構造。
【請求項2】
前記側板の後端側には、端部を屈曲することによって、上下方向に延びる溝状に形成された側板補強リブが設けられ、
前記背板の幅方向両端側には、端部を屈曲することによって、溝状に形成された前記側板補強リブに嵌合する上下方向に延びる凸状の背板補強リブが設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の自動販売機の筐体構造。
【請求項3】
前記背板の上端側には、端部を屈曲することによって、前方に延びるとともに、先端が下方に延びる背板上部フランジが設けられ、
前記天板の後端側には、前記背板上部フランジに当接するように、端部を屈曲することによって、前方に延びるとともに、先端が下方に向けて延びる天板後部フランジが設けられている
ことを特徴とする請求項1または2記載の自動販売機の筐体構造。
【請求項4】
前記側板の上端側には、端部を屈曲することによって、幅方向内側に向かって延びる側板上部フランジが設けられ、
前記天板は、上面が前記側板上部フランジに当接するとともに、幅方向両側面が前記一対の側板の幅方向内側に当接する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の自動販売機の筐体構造。
【請求項5】
前記側板の幅方向内側の前面側には、前記側板上部フランジと間隔をおいて上下方向に延びる開口補強部が設けられ、
前記天板は、前記側板上部フランジと開口補強部の上端との間に嵌合する
ことを特徴とする請求項4記載の自動販売機の筐体構造。
【請求項6】
幅方向に対面するように配置された一対の側板と、
前記一対の側板の後端側に配置された背板と、
前記一対の側板及び前記背板の上端側に配置された天板と、
前記一対の側板及び前記背板の下端側に配置された底板と、を備えた自動販売機の筐体構造において、
前記背板の幅方向両端側には、上下方向に延びるように形成された凸形状または凹形状の嵌合部が設けられ、
前記側板の後端側には、上下方向に延びるように形成され、前記背板の幅方向両端側に設けられた嵌合部を嵌合させることによって、前記背板に対して前記側板を幅方向及び前後方向に位置決めする凹形状または凸形状の被嵌合部が設けられ、
前記背板の上端側には、幅方向に延びるように形成された凸形状または凹形状の嵌合部が設けられ、
前記天板の後端側には、幅方向に延びるように設けられ、前記背板の上端側に設けられた嵌合部を嵌合させることによって、前記背板に対して前記天板を上下方向及び前後方向に位置決めする凹形状または凸形状の被嵌合部が設けられ、
前記側板の上端側には、それぞれ前後方向に延びるように形成された凸形状または凹形状の嵌合部が設けられ、
前記天板の幅方向両端側には、前後方向に延びるように設けられ、前記側板の上端側に設けられた嵌合部を嵌合させることによって、前記側板に対して前記天板を上下方向及び幅方向に位置決めする凹形状または凸形状の被嵌合部が設けられている
ことを特徴とする自動販売機の筐体構造。
【請求項7】
幅方向に対面するように配置された一対の側板と、
前記一対の側板の後端側に配置された背板と、
前記一対の側板及び前記背板の上端側に配置された天板と、
前記一対の側板及び前記背板の下端側に配置された底板と、を備えた自動販売機の筐体組み立て方法において、
前記背板の幅方向両端側にそれぞれ上下方向に延びるように設けられ、隣り合う面に対して異なる角度をなす複数の当接面に、前記側板の後端側にそれぞれ上下方向に延びるように設けられた複数の当接面をそれぞれ面接触させることによって、背板に対して側板を幅方向及び前後方向に位置決めし、
前記背板の上端側にそれぞれ幅方向に延びるように設けられ、隣り合う面に対して異なる角度をなす複数の当接面に、前記天板の後端側にそれぞれ幅方向に延びるように設けられた複数の当接面をそれぞれ面接触させることによって、背板に対して天板を上下方向及び前後方向に位置決めし、
前記側板の上端側にそれぞれ前後方向に延びるように設けられ、隣り合う面に対して異なる角度をなす複数の当接面に、前記天板の幅方向両端側にそれぞれ前後方向に延びるように設けられた複数の当接面をそれぞれ面接触させることによって、天板に対して側板を上下方向及び幅方向に位置決めする
ことを特徴とする自動販売機の筐体組み立て方法。
【請求項8】
幅方向に対面するように配置された一対の側板と、
前記一対の側板の後端側に配置された背板と、
前記一対の側板及び前記背板の上端側に配置された天板と、
前記一対の側板及び前記背板の下端側に配置された底板と、を備えた自動販売機の筐体構造において、
前記背板の幅方向両端側を上下方向に延びるように形成された凸形状または凹形状の嵌合部と、前記側板の後端側を上下方向に延びるように形成された凹形状または凸形状の被嵌合部とを嵌合させることによって、前記背板に対して前記側板を幅方向及び前後方向に位置決めし、
前記背板の上端側を幅方向に延びるように形成された凸形状または凹形状の嵌合部と、前記天板の後端側を幅方向に延びるように設けられた凹形状または凸形状の被嵌合部とを嵌合させることによって、前記背板に対して前記天板を上下方向及び前後方向に位置決めし、
前記側板の上端側をそれぞれ前後方向に延びるように形成された凸形状または凹形状の嵌合部と、前記天板の幅方向両端側を前後方向に延びるように設けられた凹形状または凸形状の被嵌合部とを嵌合させることによって、前記側板に対して前記天板を上下方向及び幅方向に位置決めする
ことを特徴とする自動販売機の筐体組み立て方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−208742(P2012−208742A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74038(P2011−74038)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】