説明

自動販売機用フロントカバー及び取付け方法

【課題】この発明は、自動販売機の外扉を加工することなく、フロントカバーを外扉の正面に取付けることができる自動販売機用フロントカバー及び取付け方法の提供を目的とする。
【解決手段】フロントカバー101を外扉100aの正面に取付ける際、フロントカバー101の左側背面に取付けた取付け金具104の下部金具130を外扉100a下面に係止する。下部連結部131の復元力に抗して、上部金具120を外扉100aの正面と対向する前後方向に揺動して該外扉100aの上面に係止した後、フロントカバー101の左側縁部に上部金具120をネジ固定する。また、フロントカバー101の右側縁部は側部金具150を用いて外扉100aの右側縁部に固定する。これにより、フロントカバー101を、自動販売機100の外扉100a正面に取付ける作業が容易に行え、取付けに要する時間が短くなり作業性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば飲料、煙草、菓子等の商品を販売する自動販売機の外扉を装飾するような自動販売機用フロントカバー及び取付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、ジュースなどの飲料やタバコなどをはじめ様々な商品を手軽に購入できる自動販売機は、その利便性の高さから様々な場所に数多く設置されている。
一方で自動販売機は、企業にとって外観に施した塗装や装飾で新商品などをアピールする広告としての役割もある。ところが、一旦、自動販売機が設置されると、外観に施した塗装などは、時間とともにデザイン的にも古くなり、さらに商品サイクルに合わせて変更することが容易ではなかった。
そこで商品などの入替わりに伴い自由に変更することができ、インパクトのある装飾などができる着脱可能なフロントカバーが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1は、扉カバー取付け治具を、上係止部の扉天井側係止部を扉の天井側に係止し、下係止具の扉底側係止部を扉の底側に係止して、扉の幅方向であって販売機本体との連結側正面に縦向きに且つ扉の手前に突出して取付けた後、扉カバーを、扉カバー取付け治具の外側から扉の正面に被せて扉カバー取付け治具に取付けるカバー付自動販売機が提案されている。
【0004】
しかし、特許文献1では、扉カバー取付け治具を扉カバーの背面に取付けた後、下係止具と上係止具とを連結する連結ネジを締付けることは構造的に不可能である。また、扉カバー取付け治具を扉の連結側正面に取付けた後、扉カバーを扉の正面に被せて扉カバー取付け治具に固定するので、自動販売機が設置された場所にて、扉カバーを扉に取付ける作業に手間及び時間が掛かる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−70677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、自動販売機の外扉を加工することなく、フロントカバーを外扉の正面に取付けることができる自動販売機用フロントカバー及び取付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、自動販売機の販売機本体に対して開閉可能に連結された外扉の正面に取付けられる自動販売機用フロントカバーであって、前記外扉の正面と対向して前記フロントカバーの背面に取付けられたカバー取付け具に、前記外扉の上面に係止される上部係止具と、該外扉の下面に係止される下部係止具とを備え、前記上部係止具又は下部係止具のいずれか一方を、前記外扉の正面と対向する前後方向に対して揺動可能に設けた自動販売機用フロントカバーであることを特徴とする。
【0008】
上述のフロントカバーの背面に、外扉の正面と対向してカバー取付け具を予め取付けておくので、フロントカバーを外扉の正面が覆われるように被せる際、フロントカバーの背面に取付けたカバー取付け具の上部係止具又は下部係止具のいずれか一方を、外扉の正面と対向する前後方向に揺動して、外扉の上面に対して係止が許容される傾き角度に可変調節する。その下部係止具と下部係止具とを外扉の上面と下面とにそれぞれ係止して、外扉の上面と下面とを挟み込むようにして取付ける。
【0009】
これにより、自動販売機の外扉を加工することなく、フロントカバーを外扉の正面に取付けることができる。
この結果、フロントカバーを、例えば既に設置された自動販売機の外扉正面に取付ける作業が現場にて容易に行え、取付けに要する時間が短くなり作業性が向上する。
【0010】
なお、カバー取付け金具を外扉の正面に取付けた後、フロントカバーを取付け金具の外側から外扉の正面に被せてカバー取付け金具に固定することもできるので、自動販売機が設置された場所や状況に応じて、フロントカバーの取付け方法を選択することができる。
【0011】
また、この発明の態様として、前記外扉と前記フロントカバーとの開閉側の側面に取付けられる1つ以上の側部取付け具を備え、前記側部取付け具を、前記外扉の開閉側に対して背面から装着されるフック部と、前記フロントカバーの開閉側に対して背面から固定された挟持部と、前記フック部と前記挟持部とを前記外扉の開閉側が厚み方向に締付けられる方向に対して固定する固定手段とで構成することができる。
【0012】
上述の固定手段は、例えばフック部と挟持部とを外扉の開閉側が厚み方向に締付けることができるネジあるいはボルト等で構成することができる。
すなわち、上述の外扉の開閉側に対して背面から装着したフック部と、フロントカバーの開閉側に対して背面から固定した挟持部とを、外扉の開閉側が厚み方向に締付けられる方向に対して固定手段にて固定する。
この結果、フック部と挟持部とによって外扉の開閉側が厚み方向に締付けられるので、フロントカバーを外扉の正面に被せられた状態にガタ付きなく固定することができる。
【0013】
また、この発明の態様として、前記上部係止具を、前記フロントカバーの背面に取付けられる上部固定部と、前記外扉の上面に係止される上部フックとで構成することができる。
すなわち、上部係止具の上部フックは外扉の上面に係止するだけであるので、外扉に加工を施すことなく、フロントカバーの上側を容易に外れないように外扉の正面にしっかり固定できる。このため、外扉の開閉時に外れることなく商品補充やメンテナンスを容易に行える。
【0014】
また、この発明の態様として、前記下部係止具を、前記フロントカバーの背面に取付けられる下部固定部と、前記外扉の下面に係止される下部フックとで構成することができる。
すなわち、下部係止具の下部フックは外扉の下面に係止するだけであるので、フロントカバーの取付け作業に必要な空間を外扉の下方に確保することが難しくても、上述と同様に外扉に加工を施すことなく、フロントカバーの下側を容易に外れないように外扉の正面にしっかり固定できる。
【0015】
また、この発明の態様として、前記上部係止具を、前記下部係止具の上端に対して前記外扉の正面と対応する前後方向に向けて揺動可能に連結することができる。
上述の上部係止具を外扉の上面に係止する際、上部金具を外扉の正面と対向する前後方向に揺動して、外扉の上面に対して係止が許容される傾き角度に可変する。
これにより、フロントカバーの全体を前後方向に傾けなくても、上部係止具を前後方向に揺動するだけで外扉の上面に係止することができる。
【0016】
また、この発明の態様として、前記上部係止具を、前記下部係止具の上端に対してバネ部を介して連結することができる。
上述のバネ部は、例えば板バネ、コイルスプリング、ゴム部材等で構成することができる。
【0017】
すなわち、上部係止具を、バネ部の復元力に抗して上方に引き上げるか、下方に引き下げる等して外扉の上面に係止するので、外扉の上面の高さに応じて係止される高さを可変することができる。また、バネ部材の復元力によって、上部係止具と下部係止具とが外扉の上面と下面を挟み込むように係止される。
これにより、上部係止具と下部係止具とを、外扉の上面と下面とに対して係止された状態を維持することができる。
この結果、フロントカバーを外扉の正面に取付けた状態を保つことができる。
【0018】
また、この発明の態様として、前記フロントカバーの背面に取付けられた前記カバー取付け具の上部係止具と下部係止具とを上下方向に連結することができる。
上述の上部係止具と下部係止具を、フロントカバーの背面に沿って上下方向に連結して取付けることにより、フロントカバーが撓んだり、変形したりしにくくなる。
この結果、フロントカバーの構造的強度及び耐久性が向上する。
【0019】
また、この発明の態様として、前記フロントカバーの背面上部と背面下部とに、前記カバー取付け具の上部係止具と下部係止具とを上下に分離して取付けることができる。
上述のカバー取付け具を上部係止具と下部係止具とに上下分離して、フロントカバーの背面上部と背面下部とに独立して取付けることにより、例えば連結部材等にて上部係止具と下部係止具を連結して取付けるよりも、その連結部材を取り除いた重量分だけ、フロントカバー全体の重量が軽くなる。
この結果、フロントカバーを持ち上げた際の重量が軽く、外扉の正面に取付ける作業が比較的容易に行える。
【0020】
また、この発明は、自動販売機の販売機本体に対して開閉可能に連結された外扉の正面に取付けられる自動販売機用フロントカバーの取付け方法であって、前記外扉の正面と対向する前記フロントカバーの背面にカバー取付け具を予め取付けておき、前記カバー取付け具に備えた上部係止具又は下部係止具のいずれか一方を、前記外扉の正面と対向する前後方向に揺動し、該上部係止具と下部係止具とを前記外扉の上面と下面とにそれぞれ係止して、前記フロントカバーを前記外扉の正面が覆われるように取付ける自動販売機用フロントカバー取付け方法であることを特徴とする。
上述のフロントカバーの背面に、外扉の正面と対向してカバー取付け具を予め取付けておくので、フロントカバーを外扉の正面に対して作業者一人でも容易に取付けることができる。また、フロントカバーやカバー取付け具の位置調整などが不要であり、フロントカバーの取付け及び交換にかかる時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、カバー取付け具を外扉の正面と対向するフロントカバーの背面に予め取付けておくので、自動販売機の外扉を加工することなく、フロントカバーを外扉の正面に取付ける作業が容易に行えるとともに、取付けに要する時間が短くなり作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】フロントカバーを自動販売機の外扉に取付ける方法の斜視図。
【図2】外扉の開放状態を示す左端側平面図。
【図3】フロントカバーに取付けられる取付け金具の斜視図。
【図4】上部金具及び下部金具の上端側斜視図。
【図5】図4の上部金具及び下部金具の縦断側面図。
【図6】フロントカバーに取付けられる下部金具の下端側斜視図。
【図7】取付け金具を取付けたフロントカバーの縦断側面図。
【図8】下部金具を取付けたフロントカバーの左端側横断面図。
【図9】フロントカバーに取付けられる側部金具の斜視図。
【図10】外扉に取付けられるフロントカバーの縦断側面図。
【図11】外扉に取付けられたフロントカバーの縦断側面図。
【図12】側部金具にて固定される外扉及びフロントカバーの右端側斜視図。
【図13】側部金具にて固定された外扉及びフロントカバーの右端側斜視図。
【図14】図13の側部金具にて固定された外扉及びフロントカバーの右端側横断面図。
【図15】フロントカバーの他の取付け方法の縦断側面図。
【図16】上下に分離した上部金具と下部金具とによるフロントカバーの他の取付け方法の縦断側面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
図1はフロントカバー101を自動販売機100の外扉100aに取付ける方法の斜視図、図2は外扉100aの開放状態を示す左端側平面図である。
【0024】
図1に示すように、フロントカバー101は、自動販売機100における外扉100aの左端正面よりも中央寄り正面と対向するフロントカバー101の左側背面に取付けた取付け金具104と、外扉100a及びフロントカバー101の開閉側右側面に取付けた側部金具150とを介して外扉100aの正面に固定される。
【0025】
自動販売機100は、略箱形状で内部に飲料などの商品が収納されている販売機本体100bと、販売機本体100bの左端正面近傍の連結側に設けた略垂直軸のヒンジ107と、販売機本体100bの正面と同じ大きさで左端近傍をヒンジ107に対して開閉可能に連結した外扉100aとで構成している。このヒンジ107は、販売機本体100bの左端正面より少し販売機本体100bの中央寄りに設けている。
【0026】
外扉100aは、外扉100aの上部から商品サンプルの陳列棚と陳列した商品に対応する商品選択ボタンとを備えた商品展示窓部108と、その下に紙幣や硬貨を投入する貨幣投入口109と、外扉100aの開閉を施錠する施錠部110と、その下に購入した商品を取り出す商品取出口111と、お釣りの硬貨を受取る硬貨返却口112とで構成している。
【0027】
フロントカバー101は、アクリルなどの樹脂部材により略長方形に形成され、外扉100aの正面全体が覆われる大きさ及び形状に形成している。また、フロントカバー101の正面には、外扉100aの商品展示窓部108と、貨幣投入口109と、施錠部110と、商品取出口111と、硬貨返却口112に対応する位置に開口を設けている。
【0028】
フロントカバー101の左側面には、取付け金具104を固定するためのネジ孔101aが略垂直方向に対して等間隔を隔てて複数箇所設けている。また、フロントカバー101の右側面には、側部金具150を固定するためのネジ孔101bが略垂直方向に対して等間隔を隔てて複数箇所設けている。
なお、フロントカバー101の背面には、商品展示窓部108に対応する開口の下部と、商品取出口111に対応する開口の上部に両面粘着テープ113を貼着している。
【0029】
さらに、図2に示すように、フロントカバー101は、外扉100aの全開時において、販売機本体100bの左側正面に対する当接が回避されるように外扉100aの横幅より幅狭に形成している。また、フロントカバー101の左側縁部が外扉100aのヒンジ107よりも該外扉100aの中央寄りとなる大きさに形成している。なお、フロントカバー101の右側面は、外扉100aと右側面とほぼ同一面上で固定されている。
【0030】
これにより、外扉100aの開閉が制限されることがなく、商品の補充やメンテナンスを行うことができる。また、自動販売機100に隣接するほかの自動販売機や自動販売機100の周囲を覆うように設置された化粧パネルなどにも干渉しないようにすることができる。
【0031】
取付け金具104は、外扉100aのヒンジ107よりも中央寄り正面と対向するフロントカバー101の左端背面に取付けられ、外扉100aのヒンジ107近傍の上面と下面を挟み込むようにして取付けられる上部金具120と下部金具130とで構成している。
【0032】
次に、図3〜図6を用いて取付け金具104の構造について説明する。図3はフロントカバー101に取付けられる取付け金具104の斜視図、図4は上部金具120及び下部金具130の上端側斜視図、図5は図4の上部金具120及び下部金具130の縦断側面図、図6はフロントカバー101に取付けられる下部金具130の下端側斜視図である。
【0033】
図4に示すように、上部金具120は、板状の金属部材を屈曲加工して形成されており、主に外扉100aの上面に係止される上部フック121と、主に外扉100aの正面に押し当てられる上部連結部122とが直角に連なる形状に形成している。
【0034】
上部フック121は、外扉100aの上面に対して略水平に載置され該外扉100aの上面の厚みと同程度の奥行きに形成した上面載置部121aと、上面載置部121aの後端を略直角に下方へ屈曲して形成した上部背面係止部121bと、外扉100aの前端側上面に突出する凸部を跨ぐように側面から見て門形状に屈曲して形成した上面跨ぎ部121cとで構成している。
【0035】
上部フック121を係止する外扉100aの上面に、例えばシール処理を施した凸部が存在する場合、上部フック121の上面跨ぎ部121cを、外扉100aの上面に突出する凸部を跨ぐように載置する。
【0036】
上部連結部122は、上面跨ぎ部121cの前端から下方へ略直角に屈曲して形成した上部正面当接部122aと、上部正面当接部122aの左端から前方へ略直角に屈曲して形成した鉛直な上部側壁部122bと、上部正面当接部122aの下端から前方へ略直角に屈曲して形成した上部水平板部122cと、上部水平板部122cの前端から下方へ略直角に屈曲して形成した垂直部122dとで構成している。
【0037】
上部水平板部122cの上面には、後述する垂直部131cの挿入が許容される上方から見て矩形の長孔122eを上部正面当接部122aの下端寄りの位置に幅方向に形成している。また、上部側壁部122bの上端側には、フロントカバー101の左側縁部を固定するためのネジ孔122fを設けている。
【0038】
なお、フロントカバー101のネジ孔101aを縦長に形成しておけば、例えば上部金具120の上部フック121を外扉100aの上面に係止した際、その外扉100a上面の高さに応じて上部側壁部122bのネジ孔122fの位置が上下に変位することがあっても、ネジ孔101a,122fを介して、上部側壁部122bをフロントカバー101の左側縁部にネジ116で固定することができる。
【0039】
下部金具130は、板状の金属バネ部材を屈曲加工して形成されており、主に上部連結部122に連結される下部連結部131と、主に外扉100aの正面に押し当てられる下部固定部132とが直角に連なる形状に形成している。また、図6に示すように、主に外扉100aの下面に係止される下部フック133が下部固定部132の下端と直角に連なる形状に形成している。
【0040】
下部連結部131は、後述する下部固定部132の下部側面当接部132aに固定され該下部側面当接部132aの上端よりも上方に突出する長さに形成した下部起立部131aと、下部起立部131aの上端から後方へ略直角に屈曲して形成した下部水平板部131bと、下部水平板部131bの後端から下方へ略直角に屈曲して形成した垂直部131cとで構成している。
【0041】
垂直部131cは、上部水平板部122cの長孔122eに対して上方から上下動可能及び前後動可能に挿入している。また、長孔122eよりも下方に突出した垂直部131cの下端には、長孔122eの下面側周縁部に対して係止される抜止め片131dを形成している。
【0042】
これにより、上部水平板部122cの長孔122eを中心として、上部金具120を、図5中の仮想線で示す傾斜姿勢と、同図中の実線で示す起立姿勢とに外扉100aの正面と対向する前後方向に対して揺動可能に設けている。
また、金属バネ部材からなる下部連結部131を上下方向に可撓すれば、上部金具120を、外扉100aの上面の高さに応じて該上面に対して係止される高さに上下動することができる。
【0043】
下部固定部132は、下部起立部131aの下端に固定されフロントカバー101の下端に至る長さに形成した下部側面当接部132aと、下部側面当接部132aの前後端から右方へ略直角に屈曲して形成した2つの下部側壁部132bとで構成している。
下部側面当接部132aの中央面には、フロントカバー101の左側縁部を固定するためのネジ孔132cが略垂直方向に等間隔を隔てて複数箇所設けている。
【0044】
下部フック133は、板状の金属部材を屈曲加工して形成され、外扉100aの正面に押し当てられる下部側壁部132bの下端に固定している。また、下部フック133の下端から後方へ略直角に屈曲して外扉100aの下面の厚みと同程度の奥行きに形成した下部平面部133aと、下部平面部133aの後端から上方へ略直角に屈曲して形成した下部背面掛止部133bとで構成している。
【0045】
次に、図7、図8を用いて取付け金具104をフロントカバー101に取付ける方法について説明する。図7は取付け金具104を取付けたフロントカバー101の縦断側面図、図8は下部金具130を取付けたフロントカバー101の左端側横断面図である。
【0046】
図7、図8に示すように、下部金具130をフロントカバー101の左側縁部に沿って該左側背面に装着した後、ネジ孔101a,132cを介して、フロントカバー101の左側縁部と下部側面当接部132aとをネジ115で固定して、取付け金具104をフロントカバー101の左側背面に取付ける。
【0047】
次に、図9を用いて側部金具150の構造について説明する。図9はフロントカバー101に取付けられる側部金具150の斜視図である。
側部金具150は、板状の金属部材を屈曲加工して形成され、外扉100aの開閉側の右側壁部に対して背面から装着される側面フック151と、フロントカバー101の右側縁部に対して背面から固定される側面挟持部153とで構成している。
【0048】
側面フック151は、外扉100aの右側壁部の内面、背面、外面を跨ぐように上方から見てコ字状の部材に形成している。また、コ字状の部材は、背面と対応する中央の部材が外扉100aの右側壁部の幅とほぼ同じ横幅に形成した背面当接部151aと、内面及び外面と対応する左右の部材が背面当接部151aの左右端を略直角に前方へ屈曲して形成した2つの背面係止部151b,151cとで構成している。
【0049】
側面フック151の後端側中央部には、背面当接部151aの中央部から背面係止部151cの後端に連なる開口部151dを開口している。また、開口部151dは、後述する連結片152aの挿入が許容される大きさ及び形状に形成している。
【0050】
背面係止部151bの開口部151dと対応する後端側には、背面係止部151bの後端から後方に延びる連結片151eを形成している。また、連結片151eには、側面フック151と側面挟持部153とを固定するためのネジ孔151fを設けている。
【0051】
側面挟持部153の後端には、外扉100aの右側壁部の外面に対して押し当てられる側面当接部152が連なるように形成している。また、側面当接部152は、外扉100aの厚みと同程度あるいは略半分の奥行きを有している。
【0052】
側面挟持部153は、側面当接部152の前端から前方に延びる金属部材を上下方向に3分割して短冊状の部材に形成している。また、短冊状の部材は、中央の部材が側面当接部152の前端からフロントカバー101の板厚とほぼ同じ横幅で右方向に略L字に屈曲した側面固定部153aと、上下の部材が奥行き方向の根元付近と中央付近とで左方向に緩やかに略L字に屈曲した2つの側面保持部153bとで構成している。
【0053】
側面固定部153aには、フロントカバー101の右側縁部を固定するためのネジ孔153cを設けている。また、側面当接部152の後端側中央部には、側面当接部152の後端から後方に延びる連結片152aを形成している。
【0054】
連結片152aには、略水平方向からネジ116の挿入が許容される孔部152bを設けている。さらに、側面当接部152の右側平面には、背面係止部151cの内面に当接される凸部152cを上下端部付近に形成している。
【0055】
次に、図12を用いて側部金具150をフロントカバー101に取付ける方法について説明する。図12は側部金具150にて固定される外扉100a及びフロントカバー101の右端側斜視図である。
【0056】
同図に示すように、フロントカバー101の右側縁部に対して背面から差し込むようにして、側面挟持部153の側面固定部153aと側面保持部153bとの間にフロントカバー101の右側縁部を挟み込んだ後、ネジ孔101b,153cを介して、側面固定部153aをフロントカバー101の右側縁部に対してネジ116で固定し、側面挟持部153をフロントカバー101の右側縁部に取付ける。
なお。実施形態におけるネジ116は、回動操作具117(図12参照)にて締込み方向及び緩め方向に回動操作する。
【0057】
次に、図10〜図14を用いて、フロントカバー101を、自動販売機100の外扉100aに取付ける方法について説明する。
図10は外扉100aに取付けられるフロントカバー101の縦断側面図、図11は外扉100aに取付けられたフロントカバー101の縦断側面図、図12は側部金具150にて固定される外扉100a及びフロントカバー101の右端側斜視図、図13は側部金具150にて固定された外扉100a及びフロントカバー101の右端側斜視図、図14は図13の側部金具150にて固定された外扉100a及びフロントカバー101の右端側横断面図である。
【0058】
先ず、フロントカバー101の背面に貼着した両面粘着テープ113(図1参照)の離型紙(図示せず)を剥離して、外扉100aのヒンジ107より中央寄り正面が覆われるように被せる。その両面粘着テープ113の粘着力によりフロントカバー101を仮固定する。
【0059】
次に、図10に示すように、フロントカバー101を外扉100aの正面に被せる際、フロントカバー101の左側背面に取付けた取付け金具104の下部金具130の下部フック133を外扉100aの下面に係止する。
【0060】
続いて、図11に示すように、下部連結部131の復元力に抗して、上部金具120を上方に引き上げ、外扉100aの上面に対して係止される高さに可変調節する。
また、フロントカバー101の全体及び上部金具120を外扉100aの正面と対向する前後方向に揺動して、上部金具120の上部フック121を外扉100aの上面に係止する。
【0061】
フロントカバー101のネジ孔101aと上部側壁部122bのネジ孔122fとを連通した後、ネジ116をフロントカバー101の左側からネジ孔101a,122fに螺合して、上部側壁部122bをフロントカバー101の左側背面に固定する。
【0062】
これにより、上部金具120の上部フック121と、下部金具130の下部フック133とが外扉100aのヒンジ107近傍の上面と下面を挟み込んだ状態に固定されるので、フロントカバー101を、外扉100aのヒンジ107より中央寄り正面が覆われるように仮固定することができる。
【0063】
一方、フロントカバー101を外扉100aの正面に被せた際、図12に示すように、フロントカバー101の右側縁部に取付けた側部金具150の側面挟持部153と対応して、側面フック151を、外扉100aの右側縁部に対して背面から引っ掛けるように装着し、背面当接部151aが外扉100aの右側縁部に対して押し当てられる位置まで差し込む。
【0064】
さらに、図13、図14に示すように、フロントカバー101の右側縁部に取付けた側面挟持部153の連結片152aを、側面フック151の開口部151dに正面から挿入して連結片151eに対して左右方向に対向した後、側面当接部152の孔部152bを介して、連結片151eのネジ孔151fにネジ116を螺合し、外扉100aの右側縁部を、側面フック151の背面係止部151bと側面挟持部153の側面当接部152とで厚み方向に締付けて固定する。
これにより、フロントカバー101の右側縁部を外扉100aの右側縁部に固定することができる。
【0065】
この結果、フロントカバー101は、自動販売機100の外扉100aに加工を施すことなく取付けることができる。また、フロントカバー101を外扉100aの正面に対して作業者一人でも容易に取付けることができる取付け方法を実現できる。
【0066】
また、上部金具120と下部金具130とを上下方向に連結したままフロントカバー101の左側背面に沿って取付けるので、フロントカバー101の左側が撓んだり、変形したりしにくくなる。
この結果、フロントカバー101の構造的強度及び耐久性が向上する。
【0067】
また、外扉100aの開閉を妨げることなく、該外扉100aの略正面全面が覆われる大きさのフロントカバー101を取付けることができる。さらに、フロントカバー101の取付け作業を左右方向から行うことにより、フロントカバー101は、着脱作業が容易に行え、かつ固定箇所のないフロントカバー101の上部を活かしたインパクトのある装飾をすることもできる。
【0068】
次に、図15を用いてフロントカバー101を外扉100aに取付ける他の取付け方法を説明する。図15はフロントカバー101の他の取付け方法の縦断側面図である。
先ず、フロントカバー101の左側背面に取付けた取付け金具104の上部金具120の上部フック121を外扉100aの上面に係止した後、下部連結部131の復元力に抗して、フロントカバー101の全体を下方に引き下げながら、フロントカバー101の全体及び下部金具130を外扉100aの正面と対向する前後方向に揺動して、下部金具130の下部フック133を外扉100aの下面に係止して取付ける。
【0069】
このとき、下部連結部131の復元力により、上部金具120の上部フック121と、下部金具130の下部フック133とが外扉100aのヒンジ107近傍の上面と下面を挟み込むように係止される。
一方、フロントカバー101の右側縁部は、図12〜図14に示すように、側部金具150を用いて外扉100aの右側縁部に固定する。
【0070】
つまり、フロントカバー101を、上述のようにして外扉100aの正面が覆われるように取付けるので、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0071】
次に、図16を用いてフロントカバー101を、取付け金具104の上下に分離した上部フック121と下部フック133とにより外扉100aに取付ける他の取付け方法を説明する。図16は上下に分離した上部金具120と下部金具130とによるフロントカバー101の他の取付け方法の縦断側面図である。
【0072】
下部金具130を、フロントカバー101の上下長さよりも短尺に形成した上側金具130aと下側金具130bとに上下分離して、上部金具120の上部フック121を上側金具130aの上端側に連結し、下部金具130の下部フック133を下側金具130bの下端側に固定している。
【0073】
先ず、フロントカバー101の左側背面上部に取付けた上部フック121を外扉100aの上面に係止し、フロントカバー101の左側背面下部に取付けた下部フック133を外扉100aの下面に係止して取付ける。
一方、フロントカバー101の右側縁部は、図12〜図14に示すように、側部金具150を用いて外扉100aの右側縁部に固定する。
【0074】
つまり、フロントカバー101を、上述のようにして外扉100aの正面が覆われるように取付けるので、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0075】
また、取付け金具104を、上部フック121側と下部フック133側とに上下分離して、フロントカバー101の背面上部と背面下部とにそれぞれ取付けるので、例えば連結部材等にて上部フック121と下部フック133を連結して取付けるよりも、その連結部材を取り除いた重量分だけ、フロントカバー101全体の重量が軽くなる。
【0076】
この結果、フロントカバー101を持ち上げた際の重量が軽く、外扉100aの正面に取付ける作業が比較的容易に行える。
この発明の構成と、前記実施形態との対応において、
この発明の自動販売機の外扉は、実施形態の外扉100aに対応し、
以下同様に、
カバー取付け具は、取付け金具104に対応し、
上部係止具は、上部金具120に対応し、
下部係止具は、下部金具130に対応し、
上部固定部及び下部固定部は、下部固定部130に対応し、
バネ部は、下部連結部131に対応し、
側部取付け具は、側部金具150に対応し、
外扉の背面に装着するフック部は、側面フック151に対応し、
フロントカバーの開閉側に固定する挟持部は、側面挟持部153に対応し、
固定手段は、ネジ116に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば下部金具130の下部フック133を、外扉100aの正面と対向する前後方向に対して揺動可能に設けてもよい。
また、取付け金具104を、外扉100aの左右背面にそれぞれ取付けてもよく、この場合、側部金具150を用いることなく、フロントカバー101を外扉100aの正面に取付けることができる。
【符号の説明】
【0077】
100…自動販売機
100a…外扉
101…フロントカバー
101a,101b…ネジ孔
104…取付け金具
107…ヒンジ
116…ネジ
120…上部金具
121…上部フック
122…上部連結部
122f…ネジ孔
130…下部金具
131…下部連結部
132…下部固定部
133…下部フック
150…側部金具
151…側面フック
152…側面当接部
153…側面挟持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動販売機の販売機本体に対して開閉可能に連結された外扉の正面に取付けられる自動販売機用フロントカバーであって、
前記外扉の正面と対向して前記フロントカバーの背面に取付けられたカバー取付け具に、前記外扉の上面に係止される上部係止具と、該外扉の下面に係止される下部係止具とを備え、
前記上部係止具又は下部係止具のいずれか一方を、前記外扉の正面と対向する前後方向に対して揺動可能に設けた
自動販売機用フロントカバー。
【請求項2】
前記外扉と前記フロントカバーとの開閉側の側面に取付けられる1つ以上の側部取付け具を備え、
前記側部取付け具を、
前記外扉の開閉側に対して背面から装着されるフック部と、前記フロントカバーの開閉側に対して背面から固定された挟持部と、
前記フック部と前記挟持部とを前記外扉の開閉側が厚み方向に締付けられる方向に対して固定する固定手段とで構成した
請求項1に記載の自動販売機用フロントカバー。
【請求項3】
前記上部係止具を、
前記フロントカバーの上部背面に取付けられる上部固定部と、前記外扉の上面に係止される上部フックとで構成した
請求項1又は2に記載の自動販売機用フロントカバー。
【請求項4】
前記下部係止具を、
前記フロントカバーの背面に取付けられる下部固定部と、前記外扉の下面に係止される下部フックとで構成した
請求項1〜3のいずれか一つに記載の自動販売機用フロントカバー。
【請求項5】
前記上部係止具を、
前記下部係止具の上端に対して前記外扉の正面と対応する前後方向に向けて揺動可能に連結した
請求項1〜4のいずれか一つに記載の自動販売機用フロントカバー。
【請求項6】
前記上部係止具を、前記下部係止具の上端に対してバネ部を介して連結した
請求項1〜5のいれか一つに記載の自動販売機用フロントカバー。
【請求項7】
前記フロントカバーの背面に取付けられた前記カバー取付け具の上部係止具と下部係止具とを上下方向に連結した
請求項1〜6のいずれか一つに記載の自動販売機用フロントカバー。
【請求項8】
前記フロントカバーの背面上部と背面下部とに、前記カバー取付け具の上部係止具と下部係止具とを上下に分離して取付けた
請求項1〜7のいずれか一つに記載の自動販売機用フロントカバー。
【請求項9】
自動販売機の販売機本体に対して開閉可能に連結された外扉の正面に取付けられる自動販売機用フロントカバー取付け方法であって、
前記外扉の正面と対向する前記フロントカバーの背面にカバー取付け具を予め取付けておき、
前記カバー取付け具に備えた上部係止具又は下部係止具のいずれか一方を、前記外扉の正面と対向する前後方向に揺動し、該上部係止具と下部係止具とを前記外扉の上面と下面とにそれぞれ係止して、前記フロントカバーを前記外扉の正面が覆われるように取付ける
自動販売機用フロントカバー取付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−242939(P2012−242939A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110253(P2011−110253)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(391034765)中井銘鈑株式会社 (29)
【Fターム(参考)】