説明

自動販売機用フロントカバー及び取付け方法

【課題】この発明は、自動販売機の外扉を加工することなく、フロントカバーを外扉に対して取付けることができる自動販売機用フロントカバー及び取付け方法の提供を目的とする。
【解決手段】フロントカバー101の上部フック121を外側へ撓ませながら外扉100aの上部外面に被せて、上面係止部121bを外扉100aの背面側上縁部に係止する。下部フック131を外側へ撓ませながら外扉100aの下部外面に被せて、下面係止部131bを外扉100aの背面側下縁部に係止する。左右の側部フック141を外側へ撓ませながら外扉100aの左右外面に被せて、側面係止部141bを外扉100aの背面側左右縁部にそれぞれ係止する。これにより、フロントカバー101を外扉100aの正面が覆われる状態に取付けることができ、外扉100aに対する取付ける作業が容易に行え、取付けや交換に要する時間が短くなり作業性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば飲料、煙草、菓子等の商品を販売する自動販売機の外扉を装飾する際に用いられる自動販売機用フロントカバー及び取付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、ジュースなどの飲料やタバコなどをはじめ様々な商品を手軽に購入できる自動販売機は、その利便性の高さから様々な場所に数多く設置されている。
一方で自動販売機は、企業にとって外観に施した塗装や装飾で新商品などをアピールする広告としての役割もある。ところが、一旦、自動販売機が設置されると、外観に施した塗装などは、時間とともにデザイン的にも古くなり、さらに商品サイクルに合わせて変更することが容易ではなかった。
そこで商品などの入替わりに伴い自由に変更することができ、インパクトのある装飾などができる着脱可能なフロントカバーが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1は、扉カバー取付け治具を、上係止部の扉天井側係止部を扉の天井側に係止し、下係止具の扉底側係止部を扉の底側に係止して、扉の幅方向であって販売機本体との連結側正面に縦向きに且つ扉の手前に突出して取付けた後、扉カバーを、扉カバー取付け治具の外側から扉の正面に被せるようにして扉カバー取付け治具に固定するものである。
しかし、上述の扉カバーを扉正面に取付ける際、扉カバー取付け治具を扉の連結側正面に取付けてから、扉カバーを扉の正面に被せるようにして扉カバー取付け治具に固定しなければならず、扉カバーを扉に取付ける作業に手間及び時間が掛かる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−70677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、自動販売機の外扉を加工することなく、フロントカバーを外扉に対して取付けることができる自動販売機用フロントカバー及び取付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、自動販売機の販売機本体に対して開閉可能に連結された外扉の正面に取付けられる自動販売機用フロントカバーであって、前記フロントカバーの背面側縁部を、前記外扉の背面側縁部に対する被せが許容される大きさ及び形状に形成し、該フロントカバーの背面側縁部に、前記外扉の背面側縁部に対して係止される係止部を設けた自動販売機用フロントカバーであることを特徴とする。
【0007】
上述のフロントカバーを外扉の正面に取付ける際、フロントカバーの背面側縁部を外扉の背面側縁部に対して被せた状態に装着するとともに、フロントカバーの背面側縁部に設けた係止部を外扉の背面側縁部に係止して、フロントカバーを外扉の正面が覆われる状態に取付ける。
【0008】
これにより、例えばネジやボルト、取付け金具等の取付け治具を用いる必要がないので、自動販売機の外扉を加工することなく、フロントカバーを外扉に対して取付けることができる。
この結果、フロントカバーを、自動販売機の外扉に取付ける作業が現場にて容易に行え、取付けや交換などに要する時間が短くなり作業性が向上する。
【0009】
この発明の態様として、前記係止部を、前記外扉の背面側上下縁部に被せられる前記フロントカバーの背面側上下縁部に設けることができる。
上述のフロントカバーを外扉の正面に対して被せた状態に装着した際、フロントカバーの背面側上下縁部に設けた係止部を外扉の背面側上下縁部に係止して、フロントカバーを外扉の正面に取付けるので、係止部をフロントカバーの背面側左右縁部に設けなくても、フロントカバーを外扉の正面が覆われる状態に取付けることができる。
【0010】
この結果、係止部を背面側左右縁部に設けたフロントカバーよりも構造及び構成を簡素化して、該フロントカバーの成形に要する工程数を少なくするので、成形が容易に行え、成形コストの低減を図ることができる。
【0011】
また、この発明の態様として、前記係止部を、前記外扉の背面側左右縁部に被せられる前記フロントカバーの背面側左右縁部に設けることができる。
上述のフロントカバーを外扉の正面に対して被せた状態に装着した際、前記フロントカバーの背面側上下縁部に設けた係止部を外扉の背面側上下縁部に係止するのに加え、フロントカバーの背面側左右縁部に設けた係止部を外扉の背面側左右縁部にも係止して、フロントカバーを外扉の正面に取付ける。
この結果、係止部を外扉の背面側上下縁部のみに係止するよりも、フロントカバーを外扉に対してガタ付くことなく強固に固定することができる。
【0012】
また、この発明の態様として、前記係止部を、前記外扉の背面側上縁部に被せられる前記フロントカバーの背面側上縁部と、該外扉の背面側左右縁部に被せられる前記フロントカバーの背面側左右縁部とに設けることができる。
【0013】
上述のフロントカバーを外扉の正面に対して被せた状態に装着した際、フロントカバーの背面側上縁部に設けた係止部を外扉の背面側上縁部に係止し、フロントカバーの背面側左右縁部に設けた係止部を外扉の背面側左右縁部にも係止して、フロントカバーを外扉の正面に取付ける。
【0014】
この結果、係止部を外扉の背面側上下縁部のみに係止するよりも、フロントカバーを外扉に対して強固に固定することができる。また、係止部を背面側下縁部に設けたフロントカバーよりも構造及び構成を簡素化して、該フロントカバーの成形に要する工程数を少なくすることができる。
【0015】
また、この発明の態様として、前記係止部を、前記外扉の背面側上縁部に係止される上部係止部と、該外扉の背面側下縁部に係止される下部係止部とで構成し、該上部係止部及び/又は下部係止部を、前記外扉の背面側上下縁部に対して係止される方向に対して上下動可能に設けることができる。
【0016】
上述のフロントカバーを外扉の正面に対して被せた状態に装着した際、上部係止部を外扉の背面側上縁部に係止し、下部係止部を外扉の背面側下縁部に係止して、フロントカバーを外扉の正面に取付ける。
この結果、上部係止部と下部係止部とが外扉の背面側上縁部と背面側下縁部とを挟み込むように係止されるので、係止部を外扉の背面側上下縁部に係止するよりも、フロントカバーを強固に固定することができる。
【0017】
また、この発明の態様として、前記フロントカバーの背面側縁部と、該背面側縁部が被せられる前記外扉の背面側縁部との対向面に、該フロントカバーの背面側縁部を前記外扉の背面側縁部に被せた際に互いに係合される凹部と凸部とを設けることができる。
【0018】
上述のフロントカバーを外扉の正面に対して被せた状態に装着した際、フロントカバーと外扉との対向縁部に形成した凹部と凸部とを互いに係合するので、前記係止部の係止力に加えて、凹部及び凸部の係合力が相乗して得られる。
【0019】
これにより、フロントカバーを、外扉の正面が覆われる状態の取付け位置に規制することができ、フロントカバーの取付け位置が変位したり、ガタ付いたりすることを防止できる。
この結果、フロントカバーを、外扉の正面に取付けた状態を長期に亘り維持することができる。
【0020】
また、この発明の態様として、前記フロントカバーの背面側縁部に、該背面側縁部が被せられる前記外扉の背面側縁部と対向してカバー装着手段を取付けることができる。
上記カバー装着手段は、例えばマグネット、両面粘着テープ、面ファスナー、吸着子等で構成することができる。
【0021】
すなわち、フロントカバーを外扉の正面に対して被せた状態に装着した際、フロントカバーと外扉との対向縁部をカバー装着手段により固定するので、前記係止部の係止力に加えて、カバー装着手段の固定力が相乗して得られる。
この結果、フロントカバーを、外扉の正面が覆われる状態に取付けることができるとともに、フロントカバーの取付けや交換などの作業が簡単かつ容易に行える。
【0022】
この発明は、自動販売機の販売機本体に対して開閉可能に連結された外扉の正面に取付けられる自動販売機用フロントカバー取付け方法であって、前記フロントカバーの背面側縁部を前記外扉の背面側縁部に被せて、該フロントカバーの背面側縁部に設けた係止部を前記外扉の背面側縁部に係止し、該フロントカバーを外扉の正面が覆われる状態に取付ける自動販売機用フロントカバー取付け方法であることを特徴とする。
【0023】
上述のフロントカバーの背面側縁部に、外扉の背面側縁部に対して係止される係止部を設けているので、例えばネジやボルト、取付け金具等の取付け治具を用いることなく、フロントカバーを外扉に対して作業者一人でも容易に取付けることができる。また、フロントカバーの取付け及び交換にかかる時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、自動販売機の外扉を加工することなく、フロントカバーを外扉に対して取付けることができるとともに、取付け作業に要する時間を短縮して、作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】フロントカバーを自動販売機の外扉に取付ける取付け方法の斜視図。
【図2】図1のフロントカバーを外扉に取付けた状態の縦断側面図。
【図3】フロントカバーを外扉に取付けた他の取付け状態の縦断側面図。
【図4】フロントカバーをマグネットにて取付ける他の取付け方法の斜視図。
【図5】フロントカバーの上部及び側部を係止する他の取付け方法の斜視図。
【図6】フロントカバーの上部及び下部を係止する他の取付け方法の斜視図。
【図7】フロントカバーを上下係止具にて取付ける他の取付け方法の斜視図。
【図8】図7のフロントカバーを外扉に取付けた状態の縦断側面図。
【図9】幅狭型のフロントカバーを取付ける他の取付け方法の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
図1はフロントカバー101を自動販売機100の外扉100aに取付ける取付け方法の斜視図、図2はフロントカバー101を外扉100aに取付けた状態の縦断側面図である。
図1に示すように、フロントカバー101は、自動販売機100における販売機本体100bの正面側開口部に対して左右開閉自在に連結した外扉100aの正面に取付けられる。
【0027】
自動販売機100は、図1に示すように、例えば缶型、瓶型、ボトル型、箱型、袋型等の商品を販売するものであり、略箱形状で内部に飲料などの商品が収納されている正面側が開口された販売機本体100bと、販売機本体100bの正面と同じ大きさで正面側開口部を開閉する外扉100aとを備えている。また、外扉100aは、販売機本体100bの幅方向一端側に対しヒンジ107を介し左右開閉自在に連結している。
【0028】
外扉100aの上部正面には、自動販売機100が取り扱う商品に酷似した商品見本と該商品見本に対応する商品選択ボタンとを備えた商品展示窓部108を設けている。また、外扉100aの下部正面には、商品展示窓部108の下方に紙幣や硬貨を投入する貨幣投入口109と、外扉100aの開閉を施錠する施錠部110と、その下に購入した商品を取り出す商品取出口111と、お釣りの硬貨を受取る硬貨返却口112とを設けている。
【0029】
フロントカバー101は、アクリルなどの樹脂部材により略長方形に形成され、外扉100aの正面全体が覆われる大きさ及び形状に形成している。また、フロントカバー101の正面には、外扉100aの商品展示窓部108と、貨幣投入口109と、施錠部110と、商品取出口111と、硬貨返却口112に対応する位置に開口を設けている。
【0030】
また、フロントカバー101の背面側上下縁部と背面側左右縁部は、外扉100aの背面側上下外面と背面側左右外面とに対して被せが許容される大きさ及び形状に形成している。また、フロントカバー101の背面側上縁部には、外扉100aの背面側上縁部に対して係止される上部フック121を形成している。
【0031】
かつ、フロントカバー101の背面側下縁部には、外扉100aの背面側下縁部に対して係止される下部フック131を形成している。
また、フロントカバー101の背面側左縁部及び背面側右縁部には、外扉100aの背面側左縁部と背面側右縁部とに対して係止される側部フック141をそれぞれ形成している。
なお、フック121,131,141は、図2中の実線で示す係止状態と、同図中の仮想線で示す変形状態とに可撓可能に形成している。
【0032】
上部フック121は、外扉100aの上部外面に対して略水平に載置され、該外扉100aの上部外面の厚みと同程度の奥行きに形成した上面押当て部121aと、上面押当て部121aの後端を略直角に下方へ屈曲して形成した上面係止部121bとで構成している。
【0033】
下部フック131は、外扉100aの下部外面に対して略水平に押し当てられ、該外扉100aの下部外面の厚みと同程度の奥行きに形成した下面押当て部131aと、上面押当て部131aの後端を略直角に上方へ屈曲して形成した下面係止部131bとで構成している。
【0034】
左右の側部フック141は、フロントカバー101の幅方向中央部を通る仮想縦線を基準として左右対称に形成しているので、一方の側部フック141の構造について説明する。
【0035】
側部フック141は、外扉100aの側部外面に対して略垂直に押し当てられ、該外扉100aの側面の厚みと同程度の奥行きに形成した側面押当て部141aと、側面押当て部141aの後端を略直角にフロントカバー101の背面と向い合う方向へ屈曲して形成した側面係止部141bとで構成している。
なお、フロントカバー101の背面には、商品展示窓部108に対応する開口の下部と、商品取出口111に対応する開口の上部に両面粘着テープ113を貼着している。
【0036】
次に、図1を用いて、フロントカバー101を外扉100aに取付ける取付け方法について説明する。
先ず、フロントカバー101を外扉100aの正面に取付ける際、フロントカバー101の背面に貼着した両面粘着テープ113(図1参照)の離型紙(図示せず)を剥離して、外扉100aの正面全体が覆われる状態に被せるとともに、その両面粘着テープ113の粘着力によりフロントカバー101を外扉100aの正面に仮固定する。
【0037】
仮固定時において、図2に示すように、フロントカバー101の上部フック121を、図2中の仮想線で示す変形状態に外側へ撓ませながら外扉100aの上部外面に対して被せた状態に装着する。
かつ、上部フック121を、図2中の実線で示す係止状態に復元させ、上面押当て部121aを外扉100aの上部外面に押し当てるとともに、上面係止部121bを外扉100aの背面側上縁部に係止する。
【0038】
また、下部フック131を、図2中の仮想線で示す変形状態に外側へ撓ませながら外扉100aの下部外面に対して被せた状態に装着する。
かつ、下部フック131を、図2中の実線で示す係止状態に復元させ、下面押当て部131aを外扉100aの下部外面に押し当てるとともに、下面係止部131bを外扉100aの背面側下縁部に係止する。
【0039】
これと同様にして、左右の側部フック141を変形状態に外側へ撓ませながら外扉100aの左右外面に対して被せた状態に装着した際、側部フック141を係止状態に復元させ、側面押当て部141aを外扉100aの左右外面にそれぞれ押し当てるとともに、側面係止部141bを外扉100aの背面側左右縁部にそれぞれ係止する。
【0040】
すなわち、例えばネジやボルト、取付け金具等の取付け治具を用いる必要がないので、自動販売機100の外扉100aに加工を施すことなく、フロントカバー101を外扉100aの正面が覆われる状態に取付けることができる。また、フロントカバー101を外扉100aに対して作業者一人でも容易に取付けることができる取付け方法を実現できる。
【0041】
この結果、上部フック121と下部フック131とを外扉100aの背面側上下縁部のみに係止するよりも、フロントカバー101を外扉100aに対してガタ付くことなく強固に固定することができる。
また、フロントカバー101を外扉100aに取付ける作業が簡単かつ容易に行え、取付けや交換などに要する作業時間を短縮して、作業性の向上を図ることができる。
【0042】
次に、図3を用いて、フロントカバー101を自動販売機100の外扉100aに取付ける他の取付け方法を説明する。図3はフロントカバー101を外扉100aに取付けた他の取付け状態の縦断側面図である。
【0043】
フロントカバー101の上部フック121の上面押当て部121aと、該上面押当て部121aが押し当てられる外扉100aの上部外面との対向面に、互いに係合される凹部115と凸部116とを形成している。
【0044】
また、下部フック131の下面押当て部131aと、該下面押当て部131aが押し当てられる外扉100aの下部外面との対向面にも、凹部115と凸部116とを形成している。
なお、凹部115は、押当て部121a,131aに形成している。また、凸部116は、外扉100aの上部外面及び下部外面に形成している。
【0045】
つまり、フロントカバー101の上部フック121と下部フック131を、外扉100aの背面側上下縁部に係止した際、上部フック121の上面押当て部121aに形成した凹部115と、外扉100aの上部外面に形成した凸部116とを互いに係合する。
また、下部フック131の下面押当て部131aに形成した凹部115と、外扉100aの下部外面に形成した凸部116とを互いに係合する。
これにより、フロントカバー101を外扉100aの正面が覆われる状態の取付け位置に規制することができる。
【0046】
フック121,131の係止力に加えて、凹部115及び凸部116の係合力が相乗して得られるので、フロントカバー101の取付け位置が左右方向や前後方向に変位したり、フロントカバー101がガタ付いたりすることがなく、フロントカバー101が外扉100aの外面から脱落することを防止できる。
この結果、フロントカバー101を、外扉100aの正面に取付けた状態を長期に亘り維持することができる。
【0047】
なお、凹部115を、側部フック141の側面押当て部141aに設け、凸部116を、該側面押当て部141aが押し当てられる外扉100aの側部外面に設けもよい。
また、凹部115を外扉100a側に設け、凸部116をフロントカバー101側に設けてもよい。
【0048】
次に、図4を用いて、フロントカバー101をマグネット114の吸着力により外扉100aに取付ける他の取付け方法を説明する。図4はフロントカバー101をマグネット114にて取付ける他の取付け方法の斜視図である。
【0049】
フロントカバー101の上部フック121の上面押当て部121aと、下部フック131の下面押当て部131aには、該押当て部121a,131aが押し当てられる外扉100aの上下外面と対向してプレート状又はシート状のマグネット114をそれぞれ取付けている。
なお、外扉100aの上下外面は、永久磁石で構成されたマグネット114により吸着可能な金属で形成している。
【0050】
つまり、フロントカバー101の上部フック121と下部フック131とを、外扉100aの背面側上下縁部に係止した際、押当て部121a,131aに取付けたマグネット114を外扉100aの上下外面に押付けて、そのマグネット114の吸着力により、フロントカバー101の押当て部121a,131aを、外扉100aの上部外面と下部外面とに対して吸着固定する。
【0051】
フック121,131の係止力に加えて、マグネット114の吸着力が相乗して得られるので、フロントカバー101の取付け位置が左右方向や前後方向に変位したり、フロントカバー101がガタ付いたりすることがなく、フロントカバー101が外扉100aの外面から脱落することを防止できる。
この結果、フロントカバー101を、外扉100aの正面に取付けた状態を長期に亘り維持することができる。
【0052】
なお、マグネット114を、左右の側部フック141の側面押当て部141aに取付けてもよい。また、マグネット114の代わりに、例えば両面粘着テープ、面ファスナー等を用いてもよく、実施形態のマグネット114のみに限定されるものではない。
【0053】
次に、図5を用いて、フロントカバー101を、上部フック121と側部フック141により外扉100aに取付ける他の取付け方法を説明する。図5はフロントカバー101の上部及び側部を係止する他の取付け方法の斜視図である。
【0054】
つまり、フロントカバー101の上縁部に形成した上部フック121を外扉100aの背面側上縁部に係止し、左右縁部に形成した側部フック141を外扉100aの背面側左右縁部にそれぞれ係止して、フロントカバー101を外扉100aの正面が覆われる状態に取付ける。
【0055】
すなわち、前記実施形態の上部フック121と下部フック131とを外扉100aの背面側上下縁部のみに係止するよりも、フロントカバー101を外扉100aに対して強固に固定することができる。
【0056】
この結果、下部フック131を背面側下縁部に形成したフロントカバー101よりも構造及び構成を簡素化して、フロントカバー101の成形に要する工程数を少なくするので、成形が容易に行え、成形コストの低減を図ることができる。
【0057】
次に、図6を用いて、フロントカバー101を、上部フック121と下部フック131により外扉100aに取付ける他の取付け方法を説明する。図6はフロントカバー101の上部及び下部を係止する他の取付け方法の斜視図である。
【0058】
つまり、フロントカバー101の上部フック121と下部フック131を、外扉100aの背面側上下縁部に係止した際、フロントカバー101の左右縁部を外扉100aの左右外面にそれぞれ押し当てて、フロントカバー101を外扉100aの正面が覆われる状態に取付ける。
【0059】
この結果、側部フック141を背面側左右縁部に形成したフロントカバー101よりも構造及び構成を簡素化して、該フロントカバー101の成形に要する工程数を少なくするので、成形が容易に行え、成形コストの低減を図ることができる。
なお、フロントカバー101の左右縁部は、例えばネジやボルト、両面粘着テープ、マグネット、連結金具等の固定手段を用いて外扉100aの左右外面に固定してもよい。
【0060】
次に、図7、図8を用いて、フロントカバー101を、上部係止具150と下部係止具160とにより外扉100aに取付ける他の取付け方法を説明する。
図7はフロントカバー101を上部係止具150と下部係止具151にて外扉100aに取付ける他の取付け方法の斜視図、図8は図7のフロントカバー101を外扉100aに取付けた状態の縦断側面図である。
【0061】
上部係止具150は、フロントカバー101の背面側上部の左右内壁面にそれぞれ取付けられ、フロントカバー101の背面側上部内壁面に沿って垂直に固定された上部固定部150aと、該上部固定部150aの上端を後方へ略直角に屈曲して形成した上面押当て部150bと、上面押当て部150bの後端を下方へ略直角に屈曲して形成した上面係止部150cとで構成している。
【0062】
下部係止具160は、フロントカバー101の背面側下部の左右内壁面にそれぞれ取付けられ、フロントカバー101の背面側下部内壁面に沿って垂直に固定された下部固定部160aと、該下部固定部160aの下端を後方へ略直角に屈曲して形成した下面押当て部160bと、下面押当て部160bの後端を上方へ略直角に屈曲して形成した下面係止部160cとで構成している。
【0063】
また、下部係止具160は、フロントカバー101の背面側下部内壁面に対して上下動可能に取付けられており、下面係止部160cが外扉100aの下部外面に係止される図8中の実線で示す係止位置と、下面係止部160cが外扉100aの下部外面から離脱される図8中の仮想線で示す解除位置とに上下動可能に設けている。
【0064】
さらに、下部固定部160aには、下部係止具160を外扉100aの下部外面に対して係止される位置に規制するためのラチェット機構170を設けている。
ラチェット機構170は、外扉100aの正面と対向して下部固定部160aの背面に形成した複数の段部170aと、下部固定部160aの一側縁部に軸支され上記段部170aに対して係止される爪部170bと、該爪部170bの軸心に直結されフロントカバー101の左右下部外面に対して回動可能に取付けた操作部170cとで構成している。
【0065】
段部170aは、下部固定部160aの背面に沿って上下方向に複数配列している。また、爪部170bは、トーションバネなどの弾性体により段部170aに対して係止される図8中の実線で示す係止姿勢に回動付勢している。また、操作部170cは、爪部170bを段部170aから離脱させ図8中の仮想線で示す解除姿勢に回動操作するものである。
【0066】
つまり、フロントカバー101の背面側左右上部に取付けた上部係止具150の上面押当て部150bを外扉100aの上部外面に押し当て、上面係止部150cを外扉100aの背面側上縁部に係止した後、上部係止具150を支点として、フロントカバー101の下端側を外扉100aの正面と対向する方向に揺動させ、背面側左右下部の下部係止具160を外扉100aの下部外面と対向する。
【0067】
この後、下部係止具160を、外扉100aの下部外面に対して押し当てられる方向に上昇移動させ、下面押当て部160bを外扉100aの下部外面に押し当てるとともに、下面係止部160cを外扉100aの背面側下縁部に係止する。
【0068】
このとき、ラチェット機構170の爪部170bが図8中の実線で示す係止姿勢に回動して段部170aに係止され、下部係止具160の下面係止部160cが外扉100aの背面側下縁部に対して係止された位置に固定される。
【0069】
これにより、上部係止具150と下部係止具160とが外扉100aの上部外面と下部外面とを挟み込むように係止されるので、フロントカバー101を外扉100aの正面が覆われる状態に取付けることができる。
この結果、前記実施形態の上部フック121と下部フック131とを外扉100aの背面側上下縁部に係止よりも、フロントカバー101を外扉100aに対して強固に固定することができる。
【0070】
次に、フロントカバー101を外扉100aから取り外す場合、操作部170cを解除方向に回動操作して、ラチェット機構170の爪部170bを、図8中の仮想線で示す解除姿勢に回動し、該爪部170bを段部170aから離脱させて係止解除する。
【0071】
この後、下部係止具160を、図8中の仮想線で示す解除位置に下降させ、下面係止部160cを外扉100aの下部外面から離脱する。また、フロントカバー101を上方へ持ち上げて、上部係止具150の上面係止部150cを外扉100aの上部外面から離脱すれば、フロントカバー101を外扉100aから取り外すことができる。
【0072】
なお、下部係止具160を、例えばコイルスプリング、板バネ、合成ゴム等の弾性体により外扉100aの下部外面に対して押し当てられる方向に付勢してもよい。
また、上部係止具150を、下部係止具160と同様に、フロントカバー101の背面側上部内壁面に対して上下動可能に取付けてもよい。さらに、その上部係止具150にラチェット機構170を設けてもよい。
さらにまた、下部係止具160を設けなくても、側部フック141と上部係止具150とを設ければ、フロントカバー101を外扉100aの正面に取付けることが可能である。
【0073】
次に、図9を用いて、フロントカバー101を自動販売機100の外扉100aに取付ける他の取付け方法を説明する。図9は幅狭型のフロントカバー101を取付ける他の取付け方法の斜視図である。
【0074】
フロントカバー101は、外扉100aの全開時において、販売機本体100bの左側正面に対する当接が回避されるように外扉100aの横幅より幅狭に形成している。
また、フロントカバー101の左側縁部が外扉100aのヒンジ107よりも該外扉100aの中央寄りとなる大きさに形成している。なお、フロントカバー101の右側面は、外扉100aと右側面とほぼ同一面上で固定されている。
【0075】
つまり、フロントカバー101の上部フック121と下部フック131を、外扉100aの背面側上下縁部に係止し、フロントカバー101の右縁部のみに形成した側部フック141を外扉100aの背面側右縁部に係止するので、フロントカバー101の左縁部に側部フック141がなくても、フロントカバー101を外扉100aの正面が覆われる状態に取付けることができる。
【0076】
これにより、フロントカバー101を外扉100aのヒンジ107より中央寄り正面が覆われる状態に取付けることができる。また、外扉100aの開閉が制限されることがなく、商品の補充やメンテナンスを行うことができる。
さらに、自動販売機100に隣接するほかの自動販売機100あるいは自動販売機100の周囲を覆うように設置された化粧パネルなどにも干渉しないようにすることができる。
【0077】
この発明の構成と、前記実施形態との対応において、
この発明のフロントカバーの背面側縁部は、実施形態のフロントカバー101の背面側上下縁部及び背面側左右縁部に対応し、
以下同様に、
外扉の背面側縁部は、外扉100aの背面側上下縁部と背面側左右縁部に対応し、
係止部は、上部フック121と、下部フック131と、側部フック141に対応し、
上部係止部は、上部係止具150に対応し、
下部係止部は、下部係止具160に対応し、
カバー装着手段は、マグネット114に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
【0078】
例えばフロントカバー101を、外扉100aの上部正面あるいは下部正面のいずれか一方が部分的に覆われる大きさ及び形状に形成してもよい。
また、フロントカバー101の背面側上下縁部に沿って形成した上部フック121及び下部フック131と、背面側左右縁部に沿って形成した側部フック141とを、各縁部の長手方向に対して部分的に配置するか、複数に分割して配置してもよい。
【符号の説明】
【0079】
100…自動販売機
100a…外扉
100b…販売機本体
101…フロントカバー
114…マグネット
115…凹部
116…凸部
121…上部フック
131…下部フック
141…側部フック
150…上部係止具
160…下部係止具
170…ラチェット機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動販売機の販売機本体に対して開閉可能に連結された外扉の正面に取付けられる自動販売機用フロントカバーであって、
前記フロントカバーの背面側縁部を、前記外扉の背面側縁部に対する被せが許容される大きさ及び形状に形成し、
該フロントカバーの背面側縁部に、前記外扉の背面側縁部に対して係止される係止部を設けた
自動販売機用フロントカバー。
【請求項2】
前記係止部を、
前記外扉の背面側上下縁部に被せられる前記フロントカバーの背面側上下縁部に設けた
請求項1に記載の自動販売機用フロントカバー。
【請求項3】
前記係止部を、
前記外扉の背面側左右縁部に被せられる前記フロントカバーの背面側左右縁部に設けた
請求項1又は2に記載の自動販売機用フロントカバー。
【請求項4】
前記係止部を、
前記外扉の背面側上縁部に被せられる前記フロントカバーの背面側上縁部と、該外扉の背面側左右縁部に被せられる前記フロントカバーの背面側左右縁部とに設けた
請求項1に記載の自動販売機用フロントカバー。
【請求項5】
前記係止部を、
前記外扉の背面側上縁部に係止される上部係止部と、該外扉の背面側下縁部に係止される下部係止部とで構成し、
該上部係止部及び/又は下部係止部を、前記外扉の背面側上下縁部に対して係止される方向に対して上下動可能に設けた
請求項1〜4のいずれか一つに記載の自動販売機用フロントカバー。
【請求項6】
前記フロントカバーの背面側縁部と、該背面側縁部が被せられる前記外扉の背面側縁部との対向面に、該フロントカバーの背面側縁部を前記外扉の背面側縁部に被せた際に互いに係合される凹部と凸部とを設けた
請求項1〜5のいずれか一つに記載の自動販売機用フロントカバー。
【請求項7】
前記フロントカバーの背面側縁部に、該背面側縁部が被せられる前記外扉の背面側縁部と対向してカバー装着手段を取付けた
請求項1〜6のいずれか一つに記載の自動販売機用フロントカバー。
【請求項8】
自動販売機の販売機本体に対して開閉可能に連結された外扉の正面に取付けられる自動販売機用フロントカバー取付け方法であって、
前記フロントカバーの背面側縁部を前記外扉の背面側縁部に被せて、該フロントカバーの背面側縁部に設けた係止部を前記外扉の背面側縁部に係止し、該フロントカバーを外扉の正面が覆われる状態に取付ける
自動販売機用フロントカバー取付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−252668(P2012−252668A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126923(P2011−126923)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(391034765)中井銘鈑株式会社 (29)
【Fターム(参考)】