説明

自動販売機用フロントカバー

【課題】専門の作業者によることなく誰でも容易に取り付けが可能であるとともに、容易に外すことができない自動販売機用フロントカバーを提供すること。
【解決手段】自動販売機のフロント面に着脱自在に装着される自動販売機用フロントカバーであって、少なくとも自動販売機のフロント面の全部又は一部を覆うカバー本体2と、カバー本体2の任意の箇所に形成された商品広告表示部11、12と、カバー本体2の上方部分に連設した、自動販売機のフロント扉32と自動販売機本体31間の上部の隙間33に挿入される係止脚部1302を有する係止部材13と、カバー本体2の裏面任意の箇所に備えられたカバー側連結部材14と、カバー本体2を自動販売機のフロント面に装着した際にカバー側連結部材14に連結可能な配置で自動販売機のフロント面に備えられる自動販売機側連結部材15を具備した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動販売機、ショーケース等のフロント面に装着される自動販売機用フロントカバーに係り、より詳しくは、装着が容易であるとともに容易に取り外すことはできない自動販売機用フロントカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に自動販売機やショーケース(以下「自動販売機」と総称する。)は、設置、あるいは回収に際して、いわゆる「ねこ」と呼ばれる手押しの運搬具を用いて運搬されるが、このとき、自動販売機のフロント面を下側にして運搬具に乗せ、この状態で設置場所等に運搬していくのが一般的である。
【0003】
そのため、自動販売機は、フロント側の形状等に制約が生じてしまい装飾性に富んだインパクトのある自動販売機を製造できないという問題点が従来から指摘されていた。
【0004】
即ち、インパクトのある自動販売機にするためには、フロント側に目立つ装飾を施すことが望ましく、そのためには、例えばフロント面に凹凸を有する商品広告等を形成したり、フロント面を正面側に向けて湾曲したりすることが考えられるが、例えばフロント面に凹凸を形成した場合、あるいはフロント面を正面側に向けて湾曲させた場合には、運搬の際にこの凹凸を形成した部分、あるいは湾曲部分が下側になるため、運搬中の振動等により、これらの凹凸面、湾曲面が損傷してしまうことも十分に考えられる。
【0005】
またこの他、自動販売機の設置、回収に際しては、クレーン、リフトを用いることもあり、例えばクレーンを用いた場合には、自動販売機にロープをかけ、このロープにクレーン先端を引っかけ、これによりクレーンで自動販売機を吊しながら移動、設置を行うが、このとき、フロント面に凹凸を形成してある場合や、フロント面を正面側に向けて湾曲させている場合において、この凹凸部分等にロープがかかってしまった場合には凹凸面等が割れてしまうことも考えられる。更に、クレーンで吊っている途中で作業者が自動販売機の揺れを止めるために自動販売機に触れる場合があるが、このときもまた、自動販売機は一般的に400kg以上の重量であるため、フロント面に凹凸を形成した場合、あるいはフロント面を正面側に向けて湾曲させた場合において、この凹凸部分等に作業者が触れてしまった場合には、凹凸面等が割れてしまうことも考えられる。
【0006】
そのために、従来の自動販売機では、運搬の際の損傷を最小限に抑えることを目的として、フロント面はできるだけフラットにすることが行われており、それにより、特にフロント面の装飾の自由度が制約されてしまい、自由にデコレーションを行うことができず、インパクトのある自動販売機の製造には限界が生じていた。
【0007】
また、自動販売機においては、フロント扉に商品広告等を表示していることが一般的に行われているが、従来はフロント扉に塗装等により商品広告等を表示しており、これを他の広告に変更する場合には少なくともフロント扉全面を再塗装しなければならず、手間がかかるとともにコストも上がってしまうという問題点があった。
【0008】
そしてこのことは、自動販売機の補修の際にも言えることであり、即ち、自動販売機の補修を行う場合には傷等のある箇所を含めてすべての塗装をし直すことが一般的であるため、そのための手間と費用がかかってしまうという問題点が考えられた。
【0009】
そのために、本発明者は過去において、特に自動販売機のフロント面の装飾の自由度を高めてインパクトのある自動販売機にすることが可能であるとともに、装飾の変更、補修等を容易にすることを目的として、自動販売機に用いるフロントカバーを提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平2007−65792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、前述の従来のフロントカバーでは、特に専門の作業者に依頼することなく誰でも容易に取り付けることを可能にするため、接着材、両面テープ等により、自動販売機のフロント扉に装着することとしていた。
【0012】
しかし、接着剤、テープ等により装着した際には、強い力で引っ張った場合には剥がれてしまうおそれが十分に考えられるという問題点があり、その一方、強力な接着剤等を用いた場合には交換等の際の取り外しが困難になってしまうという問題点が考えられる。
【0013】
この点、ビス等を用いて自動販売機に装着する方法も考えられるが、ビス等により装着することとした場合には、専門の作業者が必要になり、素人が容易に取り付けることは困難になってしまう。
【0014】
そこで、本発明は、専門の作業者によることなく誰でも容易に取り付けが可能であるとともに、容易には外すことができない自動販売機用フロントカバーを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の自動販売機用フロントカバーは、
自動販売機等のフロント面に着脱自在に装着される自動販売機用フロントカバーであって、
少なくとも自動販売機のフロント面の全部又は一部を覆うカバー本体と、
該カバー本体の任意の箇所に形成された商品広告表示部と、
前記カバー本体の上方部分に連設した、自動販売機のフロント扉と自動販売機本体間の上部の隙間に挿入される係止脚部を有する係止部材と、
前記カバー本体の裏面任意の箇所に備えられた、前記カバー本体の裏面を自動販売機のフロント面に吸着させるための連結部材と、を具備したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の自動販売機用フロントカバーでは、自動販売機のフロント扉と自動販売機本体間の上部の隙間に挿入される係止脚部を有する係止部材をカバー本体の上方部分に連設し、また、カバー本体の裏面任意の箇所には、カバー本体の裏面任意の箇所を自動販売機のフロント面に吸着させるための、連結部材を備えている。
【0017】
そして、本発明の自動販売機用フロントカバーを装着する場合には、自動販売機のフロント扉と自動販売機本体間の上部の隙間に係止部材の係止脚部が挿入されるようにしてカバー本体を自動販売機のフロント扉に係止するのみでよく、そのため、専門の作業者によることなく、誰でも容易に取り付けが可能である。
【0018】
またその一方、係止部材と連結部材により自動販売機のフロント面に係止及び固定されているとともに、係止、固定の状態を正面側からは知ることができないために、外す権利を有さない者にとっては、容易に外すことができないという効果がある。
【0019】
従って、本発明によれば、専門の作業者によることなく容易に取り付けが可能であるとともに容易には外すことができない自動販売機用フロントカバーを得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の自動販売機用フロントカバーの実施例の正面側斜視図である。
【図2】図1におけるA−A線断面構造を示す図である。
【図3】本発明の自動販売機用フロントカバーの実施例を自動販売機のフロント扉に装着した状態を示す断面図である。
【図4】本発明の自動販売機用フロントカバーの他の形態を説明するための図である。
【図5】本発明の自動販売機用フロントカバーの他の形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の自動販売機用フロントカバーでは、カバー本体を有しており、このカバー本体は、少なくとも自動販売機のフロント面の全部又は一部を覆うこととしている。
【0022】
そして、このカバー本体の任意の箇所には、商品の広告、キャッチフレーズ、商品デザイン等を表示した商品広告表示部を有している。
【0023】
また、前記カバー本体の上方部分には係止部材が連設されており、この係止部材は、自動販売機のフロント扉と自動販売機本体間の上部の隙間に挿入される係止脚部を有している。
【0024】
更に、本発明の自動販売機用フロントカバーでは、前記カバー本体の裏面任意の箇所には、カバー本体の裏面を自動販売機のフロント面に吸着させるための連結部材を有している。
【0025】
ここで、前記カバー本体と、自動販売機のフロント扉と自動販売機本体の間の下部の隙間において自動販売機本体に対向しているフロント扉の裏面と、を連結する下部固定部材を前記カバー本体の下方部分に備えるとよく、これにより、より強固に、本発明の自動販売機用フロントカバーを自動販売機に取り付けることが可能となる。
【0026】
また、前記商品広告表示部は、前記カバー本体を正面側に向けて凸状に立体成型して形成するとよく、これにより、製造コストを上げることなく、自動販売機に接する購買者に強いインパクトを与えることが可能な商品広告を得ることができる。
【0027】
更に、前記連結部材は、カバー本体の裏面任意の箇所に取り付けられたカバー側連結部材と、カバー本体を自動販売機のフロント面に装着した際にカバー側連結部材に連結可能な配置で自動販売機のフロント面に備えられる自動販売機側連結部材とで構成するとともに、カバー側連結部材と自動販売機側連結部材は、互いに係脱可能な面ファスナーにするとよく、これにより、カバー本体を強力に自動販売機のフロント面に取り付けることができる。
【0028】
またその他、連結部材をマグネットで構成してもよく、これにより、カバー本体を強力に自動販売機のフロント面に取り付けることができるとともに、取り付けが極めて容易となる。
【実施例1】
【0029】
本発明の自動販売機用フロントカバー(以下単に「フロントカバー」という。)の実施例について図面を参照して説明すると、図1は本実施例のフロントカバーを説明するための斜視図であり、図2は図1におけるA−A線断面図、具体的には本実施例のフロントカバーの縦断側面構造を示す図であり、図において1が本実施例のフロントカバーである。
【0030】
そして、本実施例におけるフロントカバー1では、カバー本体を有しており、このカバー本体によって、自動販売機のフロント扉の正面、両側面、上面、及び底面を覆うこととしている。
【0031】
ここで、前記カバー本体について説明すると、図において2がカバー本体であり、本実施例においてこのカバー本体2は、自動販売機のフロント面を覆うためのメインカバー3と、自動販売機のフロント扉の両側面を覆うためのサイドカバー4と、自動販売機のフロント扉の上面を覆うためのトップカバー5と、自動販売機のフロント扉の底面を覆うためのボトムカバー6とを有して構成され、全体を硬質な樹脂により一体形成している。
【0032】
そして、前記メインカバー3は、自動販売機のフロント扉の正面側を十分に覆うことが可能な形状及び寸法としており、具体的には自動販売機のフロント扉の形状に合わせて縦長の長方形状とした平板状としている。
【0033】
また、前記サイドカバー4は、前記メインカバー3の上下方向に沿った両端に後方側へ連設することにより形成しており、前記トップカバー5及びボトムカバー6はそれぞれ、前記メインカバー3の上端部分及び下端部分にそれぞれ、後方側へ連設することにより形成している。
【0034】
そしてこれにより、自動販売機のフロント扉の正面側をメインカバー3で覆うことにより、サイドカバー4でフロント扉の両側面を覆い、トップカバー5でフロント扉の上面を覆い、更に、ボトムカバー6でフロント扉の底部分を覆うことを可能にしている。
【0035】
次に、前記メインカバー3について説明すると、図において7は、商品見本展示用窓である。即ち、本実施例における前記メインカバー3は、メインカバー3で自動販売機のフロント扉の正面側を覆った際に自動販売機の商品見本展示部に対応する2箇所にそれぞれ、メインカバー3を切り欠くことにより、商品見本展示用窓7を形成している。
【0036】
また、この商品見本展示用窓部7のそれぞれの下段は、自動販売機の商品選択ボタンの位置に対応する箇所を切り欠いて自動販売機の商品選択ボタンを押圧可能にし、この切り欠いた部分を商品選択ボタン用窓8としている。
【0037】
なお、前記商品展示用窓部7は、必ずしもカバー本体2を切り欠いて形成する必要はなく、メインカバー3で自動販売機のフロント扉の正面側を覆った際に自動販売機の商品見本展示部に対応する箇所等を透明にして、これにより商品展示用窓7としてもよい。
【0038】
あるいは、その他、メインカバー3で自動販売機のフロント扉の正面側を覆った際に自動販売機の商品展示部に対応する箇所に、商品の絵、写真等を表示し、又は、商品の画像を表示した液晶画面等の表示部を備えて、この部分を商品展示用窓7としてもよい。
【0039】
また、このとき、メインカバー3で自動販売機のフロント扉の正面側を覆った際に自動販売機の商品展示部に対応する箇所のすべてを商品展示用窓7とする必要はなく、一部分のみを切り欠き、表示をしてもよい。
【0040】
次に、前記メインカバー3において、メインカバー3で自動販売機のフロント扉の正面側を覆った際に、自動販売機のフロント扉に備えたコイン投入口、払い戻しレバー、釣り銭取り出し口、及び投入金額等の表示部を含むコイン投入領域に対応した部分にも切り欠きが形成されており、この切り欠き部分が、コイン投入用窓9とされている。
【0041】
また、メインカバー3で自動販売機のフロント扉の正面側を覆った際に、自動販売機のフロント扉に備えた商品取り出し口に対応した部分にも切り欠きが形成されており、この切り欠き部分が商品取り出し用窓10とされている。
【0042】
このように、本実施例のフロントカバー1では、メインカバー3において、自動販売機のフロント扉に備えられている商品見本展示部、商品選択ボタン、コイン投入領域、及び商品取り出し口に対応した箇所を切り欠いて、商品の選択、コイン投入、商品の取り出し等を可能にしているため、これを自動販売機のフロント扉の正面に接着した場合でも自動販売機の使用には何らの悪影響もない。
【0043】
なお、自動販売機においては、フロント面にゲーム等を備えたものも存在しているが、かかる自動販売機用に本実施例のフロントカバーを用いる場合には適宜、メインカバー3で自動販売機のフロント扉の正面側を覆った際に、自動販売機のフロント扉に備えたゲーム部分に対応した部分を切り欠いてゲーム用窓とするとよい。
【0044】
なお、本実施例において前記カバー本体2は硬質の樹脂製としているが、必ずしも硬質の樹脂を用いて形成する必要はなく、その他、アルミ等の金属板や木製の板により形成してもよい。
【0045】
次に、図において11、12は、販売している商品等の広告、キャッチフレーズ、商品デザインを表示した商品広告表示部であり、本実施例において商品広告表示部は、メインカバー3における前記商品展示用窓7の上方と、商品取り出し用窓10の上方に設けられている。そして、前記商品展示用窓7の上方の商品広告表示部12では「コーヒー」の文字が表示され、商品取り出し用窓10の上方の商品広告表示部11では、斜め方向に傾けたコーヒー缶の、正面側の半分部分を表示している。
【0046】
そして、本実施例において前記商品広告表示部11、12はそれぞれ、前記メインカバー3を正面側に向けて凸状に押し出して立体成型して形成している。
【0047】
即ち、本実施例における前記商品広告表示部11は、図2にも示されるように、メインカバー3の正面側にコーヒー缶の正面側の半分部分が装着されたような形態になるように、メインカバー3をかまぼこ状に正面側に押し出して形成しており、これにより、メインカバー3における前記商品広告表示部11の部分を、正面側に、コーヒー缶の正面側の半分部分の形態で飛び出させている。
【0048】
また、商品展示用窓7の上方部分の商品広告表示部12に表示した「コーヒー」の文字もまた、化粧カバー本体の正面側に「コーヒー」の文字が飛び出した形態になるように、メインカバー3を、「コーヒー」の文字状に正面側に押し出しており、これにより、「コーヒー」の文字を立体成型して形成している。なお、図1からも明らかなように、本実施例においては、「コーヒー」の文字を構成する部分の表面が円弧状にメインカバー3の正面側に飛び出すようにして立体成型しているが、必ずしもこのようにする必要はなく、角状に飛び出すようにしてもよい。
【0049】
このように、本実施例のフロントカバー1では、メインカバー3を正面側に向けて凸状に立体成型することのみで、商品の広告、キャッチフレーズ、商品デザイン等を表示した商品広告表示部11、12を形成しているため、製造コストを上げることなく、自由にデコレーションを行うことができ、それによって、自動販売機に接する購買者に強いインパクトを与えることができる立体的な商品広告を得ることが可能である。
【0050】
但し、本発明のフロントカバーにおいては、必ずしも、メインカバー3を正面側に向けて凸状に立体成型することで商品広告表示部11、12を形成する必要はない。
【0051】
次に、図2において13は、前記カバー本体2を自動販売機のフロント扉に取り付けるための係止部材である。即ち、本実施例のフロント扉1では、係止部材13を有しており、この係止部材13を用いて、フロントカバー1を自動販売機のフロント扉に取り付けることとしている。
【0052】
ここで、前記係止部材13について説明すると、本実施例における前記係止部材13は、側面形状を鉤状としている。即ち、前記係止部材13は、前記トップカバー5の裏面に取り付けられる取付部1301を有しており、この取付部1301は所定の長さとしている。
【0053】
また、前記取付部1301における反メインカバー側端部には、取付部1301に直交する下方に向けて、所定長とした係止脚部1302が連設され、これにより、側面形状を鉤状としている。
【0054】
そして、前記係止脚部1302を、自動販売機のフロント扉と自動販売機本体との間の上部の隙間に挿入することで、フロントカバー1を自動販売機のフロント扉に係止することとしている。
【0055】
なお、前記係止部材13の幅方向の長さ寸法は特に限定されず、メインカバー3の幅方向全域に取付可能な寸法としてもよく、あるいは、メインカバー3の一部分にのみ取り付けることとしてもよく、更に、係止部材13を複数個備えて、メインカバー3の複数箇所に取り付けてもよい。
【0056】
また、係止部材13の形状及び取付箇所は特に限定されず、自動販売機のフロント扉と自動販売機本体間の上部の隙間に挿入される係止脚部を有するとともに、前記カバー本体2の上方部分に連設してあればよい。
【0057】
次に、図2において14、15は、前記カバー本体2の裏面を自動販売機のフロント面に吸着させるための連結部材であり、本実施例においてこの連結部材14、15は、互いに係脱可能であるとともに結合力が強力な工業用の面ファスナーを用いている。
【0058】
そして、本実施例において前記連結部材は、前記メインカバー3の裏面の下方部分に備えられるカバー側連結部材14と、前記係止脚部1302を自動販売機のフロント扉と自動販売機本体との間の上部の隙間に挿入することでフロントカバー1を自動販売機のフロント扉に係止した際に、前記カバー側連結部材14に結合可能な配置で自動販売機のフロント扉の表面に備えられる自動販売機側連結部材15とを有しており、これにより、フロントカバー1を自動販売機のフロント扉に係止した際に、フロントカバー1の下方部分において、フロントカバー1と自動販売機のフロント扉を連結させることを可能としている。
【0059】
このように、本実施例のフロントカバー1では、前記係止部材13の係止脚部1302を自動販売機のフロント扉と自動販売機本体との間の上部の隙間に挿入することのみでフロントカバー1を自動販売機のフロント扉に係止することができるとともに、係止することで、前記カバー側連結部材14と自動販売機側連結部材15を強力に結合させることができるので、取り付けが容易であるとともに、容易に取り外すことができないフロントカバーとすることができる。
【0060】
なお、本発明において前記連結部材は、必ずしも、互いに係脱可能な面ファスナーで構成する必要はなく、前記カバー本体2の裏面を自動販売機のフロント面に吸着させることが可能な手段であればいずれの手段を採用してもよい。従って、例えば、連結手段をマグネットで構成し、このマグネットの磁力によってカバー本体2の裏面を自動販売機のフロント面に吸着させてもよい。
【0061】
そして、この場合は、カバー側連結部材14及び自動販売機側連結部材15の双方を互いに吸着可能なマグネットで構成してもよく、あるいは一方のみをマグネットにして他方を磁性体により構成してもよい。
【0062】
また、その他、自動販売機のフロント面が金属等の磁性体である場合には、自動販売機側連結部材15を用いず、カバー側連結部材14のみを用いてこれをマグネットにより構成し、このカバー側連結部材14を自動販売機のフロント面に吸着させてもよい。
【0063】
次に、図2において16は下部固定部材である。即ち、本実施例のフロントカバー1では、前記ボトムカバー6の下面に下部固定部材16を備えており、この下部固定部材16によって、フロントカバー1の下部部分を自動販売機のフロント扉に固定している。
【0064】
ここで、前記下部固定部材16について説明すると、本実施例における前記下部固定部材16は、アルミ製テープ等の、強力な吸着力を有するテープとしている。
【0065】
そして、この下部固定部材16で、前記ボトムカバー6の下面と、自動販売機のフロント扉と自動販売機本体の間の下部の隙間において自動販売機本体に対向しているフロント扉の裏面と、を掛け渡し、これによりフロントカバー1を下部において、自動販売機のフロント扉に固定している。
【0066】
即ち、本実施例においては、前記下部固定部材16としてのテープの一端部分を前記ボトムカバー6の下面に貼着しており、他端部分は、自動販売機のフロント扉と自動販売機本体の間の下部の隙間に挿入しつつ、この隙間内で自動販売機本体に対向しているフロント扉の裏面側に貼着することとしている。
【0067】
そのために、本実施例のフロントカバー1では、前記連結部材14、15による連結に加えて下部係止部材16によってもフロントカバー1と自動販売機のフロント扉を固定しているために、強い外力を加えた場合でも容易には外れることが無いフロントカバーを得ることが可能である。
【0068】
但し、この下部固定部材16は必ずしも必要なものではなく、これを備えない構成としてもよく、また、下部固定部材を用いる場合においても、必ずしもアルミ製のテープにする必要はなく、フロントカバーをその下部において、自動販売機のフロント扉と固定可能であれば、いずれの手段を用いてもよい。
【0069】
次に、このように構成される本実施例のフロントカバー1の作用について図3を参照して説明すると、図3は本実施例のフロントカバー1を自動販売機のフロント扉に取り付けている状態を示しており、図においてVが自動販売機、31が自動販売機本体、32が自動販売機Vのフロント扉である。
【0070】
そして、本実施例のフロントカバー1を自動販売機に取り付ける場合には、まず、自動販売機Vのフロント扉32の表面に、自動販売機側連結部材15を、接着剤、両面テープ等の接着手段で取り付けておき、その取り付け箇所は、本実施例のフロントカバー1で自動販売機Vのフロント扉32の正面を覆った際に、前記カバー側連結部材14に対向する箇所として、これにより、フロントカバー1で自動販売機Vのフロント扉32の正面を覆った際に、前記カバー側連結部材14と自動販売機側連結部材15を結合可能とする。
【0071】
そして、その状態で、前述したように、前記係止部材13の係止脚部1302を、自動販売機のフロント扉32と自動販売機本体31との間の上部の隙間33に挿入することで、本実施例のフロントカバー1を自動販売機のフロント扉32に係止する。
【0072】
更にその後、前記下部固定部材としてのテープ16の一端部分を前記ボトムカバー6の下面に貼着するとともに、このテープ16の他端部分を、自動販売機Vのフロント扉32と自動販売機本体31の間の下部の隙間34内において、自動販売機本体31に対向しているフロント扉32の裏面側に貼着する。
【0073】
そうすると、係止部材13の係止によって、メインカバー3、サイドカバー4、トップカバー5及びボトムカバー6で、自動販売機Vのフロント扉32の正面、左右側面、上面及び底面を覆うことができるとともに、前記連結部材14、15による連結でフロントカバー1とフロント扉31を固定することができ、更に下部固定部材16によっても、フロントカバー1をフロント扉32に固定することができ、これにより、自動販売機Vの正面側をインパクトのある広告等で装飾することができるとともに、自動販売機Vのフロント扉31を保護することも可能となる。
【0074】
そしてこのとき、本実施例のフロントカバー1では、前記係止部材13の係止脚部1302を自動販売機のフロント扉32と自動販売機本体31との間の上部の隙間33に挿入することのみで、本実施例のフロントカバー1を自動販売機のフロント扉32に係止することができるので、専門の作業者によることなく、誰でも容易に取り付けが可能である。
【0075】
また、連結部材14、15と下部固定部材16によって、フロントカバー1と自動販売機Vのフロント扉32を強固に固定している一方で、係止部材13によってフロントカバー1がフロント扉32に係止されていることや、連結部材14、15と下部固定部16によってフロントカバー1とフロント扉31が固定されていることは、自動販売機の正面側からは知ることができないので、フロントカバー1を外す権利の有さない者にとっては、フロントカバー1を取り付けている方法が理解できないため、容易に外すことができない。
【0076】
このように、本実施例のフロントカバー1では、専門の作業者によることなく、誰でも容易に取り付けが可能であるとともに、フロントカバー1を外す権利の有さない者にとっては、容易に外すことができない。
【0077】
なお、前述の実施例では、カバー本体2は、メインカバー3、サイドカバー4、トップカバー5及びボトムカバー6を有して構成されるとともに、メインカバー3は自動販売機のフロント扉の正面側を十分に覆うことが可能な形状及び寸法とした場合を説明したが、カバー本体2は必ずしもこの形態には限定されず、少なくとも、自動販売機のフロント面の全部又は一部を覆うことが可能な形態であればよい。従って、サイドカバー、トップカバー及びボトムカバーを有さずにメインカバーのみを有してフロント扉の正面側のみを覆う形態のカバー本体としてもよく、この場合には、前記係止部材13は、メインカバーの裏面に連設するとよい。
【0078】
また、図4、図5は、メインカバー3の上端位置を自動販売機の上端よりも上方へ突出可能な寸法に設定した形態のカバー本体2の場合を示しており、カバー本体2はこのように、上端位置を自動販売機の上端よりも上方へ突出させて構成してもよい。そして、この場合の係止部材13は例えば、図4、図5に示すように、メインカバー3の裏面に取り付けられる取付部1301と、この取付部1301の下端又は上端にメインカバー3と直交する後方へ連設された中間部1303と、この中間部1301の先端に下方に向けて連設された係止脚部1302で構成して、係止脚部1302を、自動販売機Vのフロント扉32と自動販売機本体31との間の上部の隙間33に挿入することで、フロントカバー1を自動販売機のフロント扉に係止することとするとよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明のフロントカバーは、自動販売機、ショーケース等のフロント扉の正面、サイド面、上面に着脱自在に接着されるフロントカバーにおいて、製造コストを上げることなく、自由なデコレーションによって自動販売機に接する購買者に強いインパクトを与えることができる立体的な商品広告を得ることを可能にするとともに、自動販売機に接着する際に、自動販売機、ショーケース等における接着面とフロントカバーとの間に空気が入ってしまうことを有効に防止可能としているため、商品を収納して展示する機器に着脱自在に接着されるフロントカバーの全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 フロントカバー
2 カバー本体
3 メインカバー
4 サイドカバー
5 トップカバー
6 ボトムカバー
7 商品見本展示用窓
8 商品選択ボタン用窓
9 コイン投入用窓
10 商品取り出し用窓
11、12 商品広告表示部
13 係止部材
1301 取付部
1302 係止脚部
1303 中間部
14 カバー側連結部材
15 自動販売機側連結部材
16 下部固定部材
V 自動販売機
31 自動販売機本体
32 フロント扉
33 自動販売機本体とフロント扉の間の上部の隙間
34 自動販売機本体とフロント扉の間の下部の隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動販売機のフロント面に着脱自在に装着される自動販売機用フロントカバーであって、
少なくとも自動販売機のフロント面の全部又は一部を覆うカバー本体(2)と、
該カバー本体(2)の任意の箇所に形成された商品広告表示部(11、12)と、
前記カバー本体(2)の上方部分に連設した、自動販売機のフロント扉(32)と自動販売機本体(31)間の上部の隙間(33)に挿入される係止脚部(1302)を有する係止部材(13)と、
前記カバー本体(2)の裏面任意の箇所に備えられた、前記カバー本体(2)の裏面を自動販売機のフロント面に吸着させるための連結部材と、を具備したことを特徴とする自動販売機用フロントカバー。
【請求項2】
自動販売機のフロント面に着脱自在に装着される自動販売機用フロントカバーであって、
少なくとも自動販売機のフロント面の全部又は一部を覆うカバー本体(2)と、
該カバー本体(2)の任意の箇所に形成された商品広告表示部(11、12)と、
前記カバー本体(2)の上方部分に連設した、自動販売機のフロント扉(32)と自動販売機本体(31)間の上部の隙間(33)に挿入される係止脚部(1302)を有する係止部材(13)と、
前記カバー本体(2)の裏面任意の箇所に備えられた、前記カバー本体(2)の裏面を自動販売機のフロント面に吸着させるための連結部材と、
前記カバー本体(2)の下方部分に備えられた、自動販売機のフロント扉(32)と自動販売機本体(31)間の下部の隙間(34)において自動販売機本体(31)に対向しているフロント扉(32)の裏面と前記カバー本体(2)とを連結する下部固定部材(16)と、を具備したことを特徴とする自動販売機用フロントカバー。
【請求項3】
前記商品広告表示部(11、12)が、前記フロントカバー本体(2)を正面側に向けて凸状に立体成型して形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動販売機用フロントカバー。
【請求項4】
前記連結部材は、前記カバー本体(2)の裏面任意の箇所に取り付けられたカバー側連結部材(14)と、
前記カバー本体(2)を自動販売機のフロント面に装着した際に前記カバー側連結部材(14)に連結可能な配置で前記自動販売機のフロント面に備えられる自動販売機側連結部材(15)と、で構成されるとともに、前記カバー側連結部材(14)及び自動販売機側連結部材(15)は、互いに係脱可能な面ファスナーであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の自動販売機用フロントカバー。
【請求項5】
前記連結部材がマグネットであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の自動販売機用フロントカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−133425(P2012−133425A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282596(P2010−282596)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(505325464)始沢工芸株式会社 (11)
【Fターム(参考)】