説明

自動販売機

【課題】シュータから流出する空気の流れを阻害することなく、商品の起立を回避して、商品の詰まりを効果的に防止する自動販売機を提供すること。
【解決手段】商品収納ラックから払い出された商品を横倒し姿勢で搬出するシュータ7と、シュータ7を搬出される商品を搬出口方向に案内する案内板11とを商品収容庫に備えた自動販売機において、商品が案内板12に衝突した時に案内板11のたわみを抑制するたわみ抑制部材12を商品収容庫の側壁に取り付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機に関し、更に詳しくは、商品収納ラックから払い出した商品の詰まりを防止する自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
自動販売機は、本体キャビネットと、本体キャビネットの開口部に対して開閉可能に配設した外扉とを備えている。本体キャビネットは断熱筐体であって、その内部に、断熱仕切板により仕切られた複数の商品収容庫が左右に並んだ態様で収設してある。そして、商品収容庫と外扉との間には、商品収容庫の開口部に対して開閉可能に配設した内扉を備えている。
【0003】
商品収容庫には、複数の商品収納ラックが収容してある。各商品収納ラックには商品、たとえば缶商品、が収納してあり、商品の選択および商品の対価の収受が行われた場合には、選択された商品が収納してある商品収納ラックから商品が横倒し姿勢で搬出するように構成してある。内扉には商品を搬出する商品搬出口を設けてある。商品搬出口は商品が横倒し姿勢で通過するように、商品よりも若干大きく形成してある。
【0004】
また、商品収容庫には、商品収納ラックから搬出された商品を商品搬出口に送り出すシュータが取り付けてある。シュータは、商品収納ラックの下方から内扉に向けて漸次低くなるように傾斜配置してある。シュータには、商品を商品搬出口に導く案内板が取り付けてある。案内板は、案内部と保護部とを有している。案内部は、シュータから立設した部分であり、案内部は、商品を商品搬出口に漸次近接するように形成するとともに、搬出口に近接するにしたがって漸次高くなるように形成してある。保護部は、案内部の上端部からシュータの下端部側に向けて屈曲して延在する部分である。案内部と保護部とにより形成した稜は、商品の接触面積を減らし、商品を軽やかに転回させる機能を有するものである。
【0005】
このように、シュータに案内板を取り付けた自動販売機において、商品収納ラックから搬出された商品は、横倒し姿勢でシュータを転動、または滑走しながら進行し、案内板に案内されて、内扉の商品搬出口に到達することになる。したがって、複数の商品収納ラックからそれぞれ搬出された商品を一つの商品搬出口に集約して搬出することができる。しかも案内板を適宜取り付けることにより商品搬出口を任意の位置に設けることができる。
【0006】
ところで、商品収納ラックから払い出された商品は必ずしも画一した挙動を示すものではなく、商品の形状や、収納ラックからの搬出姿勢のばらつき等によって様々な挙動があらわれる。搬出された商品の中には案内板の保護部に衝突するものもあるが、商品が保護部に衝突した場合にはその衝撃力により案内板がたわみ、その反動で案内板がバネの働きをして商品を跳ね返す。この商品の跳ね返りによっては、商品をシュータ上で起立させてしまうことがある。この場合にはシュータと商品搬出口との間で商品が詰まり、商品搬出口から商品が搬出できないという事態を招来する。商品の詰まりが発生すると以後の販売を中止することになるので大きな問題となる。
【0007】
このような問題を解決するものとして、本願出願人は、案内板のたわみを抑制するたわみ抑制部材をシュータに取り付けた自動販売機を提案している(たとえば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2004−13538号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した自動販売機では、案内板のたわみを抑制するたわみ抑制部材をシュータに取り付けたために、たわみ抑制部材がシュータから流出する空気の流れを阻害していた。このように、シュータから流出する空気の流れを阻害すると、自動販売機の商品収容庫内の冷却性能、あるいは加温性能に悪影響を及ぼすことになる。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みて、シュータから流出する空気の流れを阻害することなく、商品の起立を回避して、商品の詰まりを効果的に防止する自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、請求項1にかかる自動販売機は、収納部から払い出された商品を横倒し姿勢で搬出するシュータと、該シュータを搬送される商品を搬出口方向に案内する案内板とを商品収容庫に備えた自動販売機において、商品が前記案内板に衝突した時に前記案内板のたわみを抑制するたわみ抑制部材を前記収容庫の側壁に取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる自動販売機は、商品が案内板に衝突した時に案内板のたわみを抑制するたわみ抑制部材を収容庫の側壁に取り付けたので、案内板のたわみを抑制できる。しかも、シュータから流出する空気の流れを損なうことがない。したがって、案内板のたわみに起因する商品の起立を防止でき、商品のつまりを効果的に回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0014】
図1は本発明の実施例にかかる自動販売機を示す斜視図、図2は図1に示した商品収容庫の正面図、図3は図1に示した商品収容庫の側面図、図4は図1に示した商品収容庫を斜め上方から見た斜視図、図5は図4に示した商品収容庫の要部を示す拡大斜視図、図6はたわみ抑制部材の正面図である。
【0015】
ここで例示する自動販売機は、缶入り飲料、ビン入り飲料、ペットボトル入り飲料等の商品を販売するためのもので、図1に示すように、本体キャビネット1を有している。
【0016】
本体キャビネット1は、複数の鋼板を適宜組み合わせることによって構成したもので、前面が開口した直方体形状の断熱筐体である。この本体キャビネット1には、前面に外扉2と内扉3とが設けてあり、その内部に、たとえば二つの断熱仕切板4により仕切られた三つの独立した商品収容庫5a,5b,5cが左右に並んだ態様で収設してある。外扉2は、本体キャビネット1の前面開口を閉塞するものであり、内扉3は、商品収容庫5a,5b,5cの前面を閉塞するものである。商品収容庫5a,5b,5cは、缶入り飲料、ビン入り飲料、ペットボトル入り飲料等の商品を所望の温度に保持した状態で収容するものであり、各商品収容庫5a,5b,5cの開口縁部には、化粧枠が取り付けてある。
【0017】
上記本体キャビネット1の内部において、商品収容庫5a,5b,5cの外部となる機械室6には、圧縮機(図示せず)、凝縮器(図示せず)、膨張器(図示せず)、電磁弁(図示せず)が配設してあり、さらに、凝縮器の後方には、送風ファン(図示せず)が配設してある。
【0018】
図2〜図4に示すように、各商品収容庫5a,5b,5cには、それぞれシュータ7が配設してある。シュータ7は、各商品収容庫5a,5b,5cの内部を上下に仕切るものであって、奥側から手前側に向けて漸次低くなるように傾斜している。そして、シュータ7の上方部に集積室8を構成する一方、該シュータ7の下方部に熱交換室9を構成する。また、シュータ7は、集積室8から内扉3に設けた商品搬出口3aを経由して、外扉2に設けた商品取出口2aに商品を導くものであり、加熱または冷却した空気を集積室8に収納した商品に供給可能とする通気孔7aが形成してある。
【0019】
熱交換室9には、その奥側から手前側に、蒸発器(図示せず)、ヒータ(図示せず)、送風ファン(図示せず)が順番に取り付けてある。蒸発器は、機械室6に配設した圧縮機、凝縮器、膨張機、電磁弁により、冷凍サイクルを構成する。
【0020】
ヒータは、商品収容庫5a,5b,5cに収容した商品を加熱(温蔵)する場合に稼働するものであり、商品収容庫5a,5b,5cに収容した商品を冷却(冷蔵)する場合に稼働することはない。
【0021】
送風ファンは、商品収容庫5a,5b,5cの庫内の空気を循環させるものであり、送風ファンを稼働すると、シュータ7の通気孔7aを経由して集積室8内の空気が循環することになる。
【0022】
集積室8には、商品収納ラック10が収容してある。たとえば、正面向かって左側の商品収容庫5aには、三つの商品収納ラック10が収容してある。商品収納ラック10は、缶入り飲料、ビン入り飲料、ペットボトル入り飲料等の商品を横倒し姿勢とし、上下方向に沿って並ぶ態様で収容するものであり、商品収納ラック10の下部には搬出機構(図示せず)が取り付けてある。搬出機構は、商品収納ラック10に収納された商品群のうち最下部にある商品を横倒し姿勢で一つずつ搬出するものであり、搬出機構から搬出された商品は、上述したシュータ7上を転動し、内扉3に設けた商品搬出口3aを経由して、外扉2に設けた商品取出口2aに導かれることになる。
【0023】
シュータ7には、案内板11が取り付けてある。たとえば、上述した正面左側の商品収容庫5aには、シュータ7の両側縁部に沿って、一対の案内板11が取り付けてある。案内板11は、商品収納ラック10から搬出された商品と当接することにより、内扉3の商品搬出口3aに商品を案内するものである。各案内板11は、案内部11aと保護部11bとを有している。案内部11aは、シュータ7に立設した部分であり、シュータ7の側縁略二分の一の位置から内側に向かって、案内板11の相互間の間隔を次第に減ずるとともに、内扉3の商品搬出口3aに近接するにしたがって次第に高くなるように形成してある。保護部11bは、案内部11aの上端部からシュータ7の手前側に向けて屈曲して延在する部分である。案内部11aと保護部11bとの連接部をなす稜11cは商品の接触面積を減らし、商品を軽やかに転回させる機能を有するものである。さらに、案内板11は保護部11bに連接して形成した三角形状の起立防止部11dを有している。
【0024】
一方、商品収容庫5a,5b,5cをなす両側壁の開口縁部には、化粧枠と共締めすることにより、たわみ抑制部材12が取り付けてある。たわみ抑制部材12は、商品が案内板11に衝突した時に生じるたわみを抑制することを目的とするものであり、図5に示すように、案内板11のシュータ7側の面(裏面)に当接している。たわみ抑制部材12は、取付部12aを有し、当該取付部12aを化粧枠と共締めすることにより、商品収容庫5a,5b,5cの側壁の開口縁部にたわみ抑制部材12が取り付けられる。図6に示すように、取付部12aのシュータ7側に延在する端部には床板当接部12bが形成してあり、取付部12aの案内板11側に延在する端部には案内板当接部12cが形成してある。床板当接部12bは、商品収容庫5a,5b,5cの底壁をなす床板に当接する部分であり、商品収容庫5a,5b,5cの内側方向に延在するように折り曲げて形成してある。案内板当接部12cは、案内板11に当接する部分であり、案内板11の起立防止部11dの裏面と当接するように、折り曲げて形成してある。
【0025】
上述した自動販売機において、商品の選択および商品の代価の収受が行われた場合には、選択された商品が収納してある商品収納ラック10から商品が搬出されることになる。そして、商品収納ラック10から搬出された商品は、横倒し姿勢でシュータ7上を転動または滑走しながら内扉3の商品搬出口3aに搬出されることになる。
【0026】
より詳細には、上述した正面向かって左側の商品収容庫5aの左側の商品収納ラック10から搬出された商品は、シュータ7の左側に配設した案内板11側を進行する。したがって、左側の商品収納ラック10から搬出された商品の大多数が案内板11の案内部11aに沿って進行するか、商品の一端が案内板11の稜11cに乗り上げて進行することになる。案内板11の案内部11aに沿って進行した商品は、そのまま内扉3の商品搬出口3aに到達し、一端が案内板11の稜11cに乗り上げて進行した商品は、適宜、進行方向を換えてシュータ7上に落下することになる。なお、商品の一端が案内板11の稜11cに乗り上げた後の姿勢変化によっては、商品がシュータ7上に起立する虞れがある。しかしながら、本実施例では、商品が起立防止部11dに当接して、その姿勢変化が抑制されるため、商品は起立することなく、シュータ7上に落下することになる。この結果、商品は内扉3の商品搬出口3aの方向に進行方向を変え、案内板11の案内部11aに沿って進行し、内扉3の商品搬出口3aに到達することになる。
【0027】
また、正面向かって左側の商品収容庫5aの右側の商品収納ラック10から搬出された商品は、シュータ7の右側に配設した案内板11側を進行することになる。したがって、右側の商品収納ラック10から搬出された商品の大多数が案内板11の案内部11aに沿って進行するか、商品の一端が案内板11の稜11cに乗り上げて進行することになる。このため、上述した左側の商品収納ラック10から搬出された商品と同様に、案内板11の案内部11aに沿って進行した商品は、そのまま内扉3の商品搬出口3aに到達し、一端が案内板11の稜11cに乗り上げて進行した商品は、適宜、進行方向を換えてシュータ7上に落下することになる。
【0028】
一方、正面向かって左側の商品収容庫5aの中央の商品収納ラック10から払い出された商品は、シュータ7上を転動または滑走するか、シュータ7に配設したいずれか一方の案内板11の案内部11aに沿って進行することになる。したがって、中央の商品収納ラック10から払い出された商品の大多数がそのまま内扉3の商品搬出口3aに到達することになる。
【0029】
また、商品収納ラック10から払い出された商品が上記のいずれかに該当するような挙動をせずに、商品が案内板11の保護部11bに衝突した場合であっても、商品収容庫5aの側壁に取り付けたたわみ抑制部材12が案内板11の裏面に当接して案内板11のたわみを抑制するので、商品を跳ね返すまでには至らない。したがって、商品がシュータ7上で起立するような事態が招来されることはなく、その後、案内板11の案内部11aに案内されて内扉3の商品搬出口3aに到達することになる。
【0030】
また、商品が案内板11の起立防止部11dに衝突した場合であっても、商品収容庫5aの側壁に取り付けたたわみ抑制部材12が案内板11の裏面に当接して案内板11のたわみを抑制するので、商品を跳ね返すまでには至らない。したがって、この場合にも商品がシュータ7上で起立するような事態が招来されることはない。
【0031】
以上説明したように、本発明の実施例にかかる自動販売機によれば、商品収納ラック10から払い出した商品が案内板11の保護部11bまたは起立防止部11dのいずれか一方または両方に渡って衝突してもたわみ抑制部材12により案内板11をたわませることがないので、商品を跳ね返すまでには至らない。したがって、商品が起立するような事態には至らず、案内板11の案内部11aに沿って案内されて、内扉3の商品搬出口3aに到達する。この結果、商品の詰まりも防止することができ、商品の販売を継続することができる。また、たわみ抑制部材12は、商品収容庫5a,5b,5cの側壁に取り付けてあるので、シュータ7の通気孔から流出する空気の流れを阻害することがない。このため、たわみ抑制部材12を商品収容庫5a,5b,5cの側壁に取り付けても、自動販売機の商品収容庫内の冷却性能、あるいは加温性能に悪影響を及ぼすことはない。
【0032】
なお、各商品収容庫5a,5b,5cに収容する商品収納ラック10は三つに限らず、適宜の数の商品収納ラック10を収容することができ、各商品収容庫5a,5b,5cに収容する商品収納ラック10の配置によって、適宜案内板11を配設することができる。たとえば、商品収容庫5aに二つの商品収納ラック10を収容する場合には、一の商品収納ラック10から搬出した商品の搬出方向に商品搬出口3aを設け、他の商品収納ラック10から搬出した商品の搬出方向だけに案内板を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上のように、本発明にかかる自動販売機は、缶入り商品、ビン入り商品、ペットボトル入り商品を販売する自動販売機に有用であり、特に、冷却した商品、あるいは加温した商品を販売する自動販売機に適している。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施例にかかる自動販売機を示す斜視図である。
【図2】図1に示した商品収容庫の正面図である。
【図3】図1に示した商品収容庫の側面図である。
【図4】図1に示した商品収容庫を斜め上方から見た斜視図である。
【図5】図4に示した商品収容庫の要部を示す拡大斜視図である。
【図6】たわみ抑制部材の正面図である。
【符号の説明】
【0035】
2 外扉
2a 商品取出口
3 内扉
3a 商品搬出口
5a,5b,5c 商品収容庫
7 シュータ
7a 通気孔
10 商品収納ラック
11 案内板
11a 案内部
11b 保護部
11c 稜
11d 起立防止部
12 たわみ抑制部材
12a 取付部
12b 床板当接部
12c 案内板当接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品収納ラックから払い出された商品を横倒し姿勢で搬出するシュータと、該シュータを搬出される商品を搬出口方向に案内する案内板とを商品収容庫に備えた自動販売機において、
商品が前記案内板に衝突した時に前記案内板のたわみを抑制するたわみ抑制部材を前記商品収容庫の側壁に取り付けたことを特徴とする自動販売機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−350717(P2006−350717A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−176452(P2005−176452)
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】