自動販売機
【課題】主記憶装置の容量を大きくすることなく広告情報の表示を速やかに行うことができ、しかも設置場所等に適した広告情報を表示することの可能な自動販売機を提供する。
【解決手段】MC37に記憶された複数の広告情報の中から所定の抽出条件を満たす広告情報を抽出し、抽出された各広告情報をRAM24の容量に応じた広告情報だけRAM24に記憶させ、RAM24の広告情報を表示リストの表示順序に基づいてLCD14に表示させるようにしたので、RAM24の容量を大きくすることなく広告情報の表示を速やかに行うことができ、RAM24のコストを増加させることがなく、広告による宣伝効果を向上させることができる。また、例えば時間帯や自動販売機の設置場所等の条件に適した広告情報を表示することができることから、広告による宣伝効果をより向上させることができる。
【解決手段】MC37に記憶された複数の広告情報の中から所定の抽出条件を満たす広告情報を抽出し、抽出された各広告情報をRAM24の容量に応じた広告情報だけRAM24に記憶させ、RAM24の広告情報を表示リストの表示順序に基づいてLCD14に表示させるようにしたので、RAM24の容量を大きくすることなく広告情報の表示を速やかに行うことができ、RAM24のコストを増加させることがなく、広告による宣伝効果を向上させることができる。また、例えば時間帯や自動販売機の設置場所等の条件に適した広告情報を表示することができることから、広告による宣伝効果をより向上させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば缶入り飲料、紙パック飲料、箱入り菓子等の商品を販売するとともに広告を表示する自動販売機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自動販売機として、広告情報を表示可能な表示部と、広告情報を記憶可能な主記憶装置とを備え、所定の外部記憶装置に記憶された広告情報を主記憶装置に記憶するとともに、主記憶装置の広告情報を表示部に表示するようにしたものが知られている。
【0003】
しかしながら、この自動販売機では、単に外部記憶装置に記憶された広告情報を表示部に表示させているので、例えば時間帯や自動販売機の設置場所等に適した広告情報を表示することができず、広告による宣伝効果を向上させることができないという問題点があった。
【0004】
そこで、所定の抽出条件を満たす広告情報を外部記憶装置に記憶された複数の広告情報の中から抽出して表示部に表示するようにしたものも知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−132264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自動販売機の主記憶装置には、冷熱機器等の制御データ等も記憶されていることから、主記憶装置に記憶される広告情報の数が制限される。また、例えば抽出した広告情報を全て記憶するために容量の大きい主記憶装置を用いた場合には、主記憶装置のコストが高くなるという問題点があった。
【0006】
さらに、外部記憶装置の広告情報を一つずつ抽出して主記憶装置に記憶させるようにしたものでは、広告情報を抽出して主記憶装置に転送する必要があることから、例えば複数の広告情報を順次切替えて表示する場合には、新たな広告情報が表示部に表示されるまでの時間が長くなり、結果として広告による宣伝効果を低下させるという問題点があった。
【0007】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、主記憶装置の容量を大きくすることなく広告情報の表示を速やかに行うことができ、しかも設置場所等に適した広告情報を表示することの可能な自動販売機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記目的を達成するために、広告情報を表示可能な表示部と、広告情報を記憶可能な主記憶装置とを備え、所定の外部記憶装置に記憶された広告情報を主記憶装置に記憶するとともに、主記憶装置の広告情報を表示部に表示するようにした自動販売機において、前記外部記憶装置に記憶された複数の広告情報の中から所定の抽出条件を満たす広告情報を抽出する広告情報抽出手段と、広告情報抽出手段によって抽出された複数の広告情報を主記憶装置の容量に応じた広告情報だけ主記憶装置に記憶させ、主記憶装置の広告情報を所定の表示順序に基づいて表示部に表示させる制御手段とを備えている。
【0009】
これにより、抽出された広告情報が主記憶装置の容量に応じた広告情報だけ記憶されることから、主記憶装置の広告情報を順次切替えて表示する場合には、新たな広告情報を速やかに表示することが可能となる。また、所定の抽出条件を満たす広告情報が表示部に表示されることから、例えば時間帯や設置場所等の条件に適した広告情報を表示することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、主記憶装置の容量を大きくすることなく広告情報の表示を速やかに行うことができるので、主記憶装置のコストを増加させることがなく、広告による宣伝効果を向上させることができる。また、例えば時間帯や自動販売機の設置場所等の条件に適した広告情報を表示することができることから、広告による宣伝効果をより向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1乃至図8は本発明の一実施形態を示すもので、図1は自動販売機の正面図、図2は図1に示した自動販売機の側面断面図、図3は図1に示した自動販売機の制御系構成を示すブロック図、図4は広告情報のデータ構造の一例を示す図、図5は図1に示した自動販売機における広告表示動作の流れを示すフロー図、図6は広告画面を示す図、図7は表示リストのデータ構造の一例を示す図、図8は自動販売機の変形例を示すシステム構成図である。
【0012】
まず、図1及び図2を参照して自動販売機の構造について説明する。ここでの説明では図1の手前側を前、奥側を後、左側を左、右側を右と表記する。
【0013】
自動販売機本体1は箱形を成し、前面を開口した断熱室1aをその内側に備えている。断熱室1aは断熱性の仕切り板(図示省略)によって左右に並ぶ複数の庫室SRに区分されている。
【0014】
各庫室SR内には、サーペンタイン式ラックから成る商品収納ラック2がそれぞれ配置されている。各商品収納ラック2は前面側上部に商品投入口2aを有し、蛇行状の収納通路2bに缶入り飲料、瓶入り飲料、ペットボトル入り飲料等の商品Cを横向きで積み重ねた状態で収納している。また、各商品収納ラック2の下部には、収納商品Cを1個宛シュート板3上に落下搬出するための商品搬出機構2cが設けられている。さらに、各庫室SR毎に配置された商品収納ラック2それぞれには、商品Cの有無を収納通路2b単位で検知する売切検知センサ(図示省略)が設けられている。この商品収納ラック2には、サーペンタイン式ラックに限らず、サーペンタイン式ラックと同様に収納商品を1個宛搬出可能な他形式のラックを使用することが可能である。
【0015】
また、各庫室SR内には、その底部から背部にかけてシュート板3とダクト板4が設けられている。シュート板3及びダクト板4下側及び背面側の空間には、冷凍機構成機器のうちの蒸発器5と電熱ヒータ6と冷却・加温空気循環用送風機7等が配置され、ダクト板4の背面側空間はダクトDとして構成されている。さらに、各庫室SR内には、商品収納ラック2内の搬出間近商品の温度を検知する温度センサ(図示省略)が設けられている。
【0016】
断熱室1aの底板1bの下側には機械室MRが設けられており、この機械室MR内には、冷凍機構成機器のうちの凝縮器8、圧縮機9及び膨張手段(図示省略)と排熱用送風機10等が配置されている。
【0017】
また、断熱室1aの前側には、その前面開口を開閉自在に覆う断熱性の内扉11が設けられている。断熱室1aの上下左右の前端部(下側の前端部は底板1bの前端部)と各仕切り板の前端部には、内扉11を閉じた状態で商品収納室(各庫室SR)を気密状態とするためのパッキン(符号無し)が設けられており、各庫室SRは内扉11を閉じた状態で独立した断熱空間となる。さらに、内扉11の下部には、各庫室SRのシュート板3に対応した窓穴11aが複数個形成されており、各窓穴11aには、シュート板3を滑り落ちる商品Cによって押し開けられるフラップドア11bが設けられている。
【0018】
つまり、この自動販売機では、各庫室SRが独立の断熱空間を構成し、しかも、各庫室SRに蒸発器5と電熱ヒータ6が独立して設けられていることから、後述の温度調整用設定器30(図3参照)によって庫室SR毎に冷却と加温と非冷却・加温の3つのモードの何れか1つを任意に選択して実施することができる。
【0019】
外扉12は自動販売機本体1の前面開口に開閉自在に設けられており、この外扉12の表面上部には化粧パネル13が設けられている。この化粧パネル13は、液晶ディスプレイ14の画面を露出するための矩形状窓穴13aと、商品メーカー名や商品名等を文字で表示するための広告部13bを有している。
【0020】
液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、以下LCDと言う)14は後述の広告画面及び商品販売画面を構成する静止画像及び動画像をカラー表示するためのもので、その画面が窓穴13aから露出するように化粧パネル13の内側に配置されている。このLCD14は所定サイズと所定解像度、例えば18インチのサイズと1280×1024ピクセルの解像度を有する。このLCD14の代わりに同様の表示を可能とした周知ディスプレイ、例えばCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイやPDP(Plasma Display Panel)等を使用することが可能である。
【0021】
図1及び図2における図示を省略したが、LCD14の画面には、画面に利用者がタッチした位置を検知して画面上の座標位置を指定するタッチセンサ33(図3参照)が設けられている。このタッチセンサ33には周知の静電式透明タッチパネルや感圧式透明タッチパネルの他に、赤外線センサを構成する発光部と受光部を矩形枠の上下辺と左右辺に等間隔で配置したもの等が適宜使用できる。
【0022】
また、外扉12の前面には、ロック操作レバー15、硬貨投入口16、返却レバー17、紙幣投入口18、硬貨返却口19、商品取出口20が図1に示すレイアウトで設けられている。因みに、ロック操作レバー15は外扉12内に設けられたロック機構(図示省略)を操作するためのもので、専用キーによって使用可能な状態となる。また、商品取出口20には、手動により開放可能なフラップドア21が設けられ、その内側にはフラップドア11bから排出された商品Cを受容する商品受け板22が設けられている。
【0023】
次に、図3を参照して図1及び図2に示した自動販売機の制御系構成について説明する。
【0024】
制御部23は商品Cの温調及び搬出等を制御するとともに、LCD14の表示及び外部とのデータ通信等を制御するためのものである。制御部23はCPUと、ROMと、主記憶装置としてのRAM24と、タイマー回路等とを備えたコンピュータから成り、制御上で必要なデータ交換を相互で行うことができる。また、RAM24には、後述の広告情報を所定数だけ記憶することができる。なお、制御部23は、本願請求項でいう広告情報抽出手段及び制御手段を構成している。
【0025】
制御部23には、硬貨処理機25、紙幣識別機26、搬出駆動部27、圧縮機駆動部28、ヒータ駆動部29、温度調整用設定器30が接続されている。また、制御部23には、各庫室SR毎に配置された商品収納ラック2内の商品Cの有無を収納通路2b単位で検知する売切検知センサ(図示省略)が売切検知部(図示省略)を介して接続され、各庫室SR内の搬出間近商品の温度を検知する温度センサ(図示省略)が温度検知部(図示省略)を介して接続されている。
【0026】
硬貨処理機25と紙幣識別機26は外扉12内に配置されていて、硬貨処理機25は硬貨投入口16を通じて投入された硬貨の真偽識別と計数と貯蔵を行い、投入硬貨の金額に関するデータを制御部23に送出する。紙幣識別機26は紙幣投入口18を通じて投入された紙幣の真偽識別と貯蔵を行い、投入紙幣の金額に関するデータを制御部23に送出する。
【0027】
搬出駆動部27は、各商品収納ラック2に設けられた商品搬出機構2cの動作、詳しくは商品搬出機構2cに用いられているソレノイド等のアクチュエータの動作を制御するためのもので、制御部23からの制御信号に基づいて所定の商品搬出機構2cを動作させて所期の商品搬出を行う。
【0028】
圧縮機駆動部28は、冷凍機を構成する圧縮機9の動作、詳しくは圧縮機9を駆動するためのモータの運転を制御するためのもので、制御部23からの制御信号に基づいて所期の圧縮機駆動を行う。
【0029】
ヒータ駆動部29は、各電熱ヒータ6への通電を制御するためのもので、制御部23からの制御信号に基づいて所定の電熱ヒータ6への通電を行う。
【0030】
温度調整用設定器30は、先に述べた3つのモードの何れか1つを各庫室SR毎に選択するためのもので、モード選択用の押しボタンスイッチ等を備え、選択されたモードに関するデータを制御部23に送出する。
【0031】
また、制御部23には、LCD駆動部31と、座標検出部32と、音声出力部34と、メモリーカードアダプタ(以下MCアダプタと言う)36と、モデム38と、無線通信部40が接続されている。
【0032】
LCD駆動部31は、外扉12に設けられたLCD14の表示を制御するためのもので、制御部23からの画像データ及び制御信号に基づいてLCD14を駆動して所期の画像表示を行う。
【0033】
座標検出部32は、タッチセンサ33の検知信号に基づき画面上の座標に関するデータを制御部23に送出する。後述する広告画面で表示される領域はLCD14の画面上の座標を基準として設定されているので、座標検出部32から制御部32に送られるデータによって広告画面においてどの領域が選択されたかを簡単に判断できる。
【0034】
音声出力部34は、制御部23からの音声信号及び制御信号に基づいてスピーカ35を駆動して所期の音声出力を行う。このスピーカ35は外扉12内のLCD14の両側に少なくとも1個宛配置されていて、ステレオ方式により立体的な音響効果が得られるようになっている。
【0035】
MCアダプタ36は、外部記憶装置としてのメモリーカード(以下MCと言う)37と着脱可能に接続する。モデム38は公衆電話回線39等を利用して外部サーバ等との間でデータ通信を行うためのものであり、無線通信部40は携帯電話網やPHS電話網等を利用して外部サーバ等との間で無線にてデータ通信を行うためのものである。
【0036】
LCD14に表示され得る静止画像及び動画像等の画像データやスピーカ35から出力される音声データは、MC37、モデム38を介してのデータ通信、または、無線通信網40を介してのデータ通信によって、制御部23が備えるハードディスク等の記憶手段に取り込むことができ、データ更新も任意に行うことができる。
【0037】
前記の画像データ及び音声データには、後述する広告画面時の表示画像、表示文字及び出力音声や、商品販売画面時の表示画像(販売可能商品それぞれに対応した複数の商品画像を含む)、表示文字及び出力音声等が含まれる。
【0038】
MC37には、広告画面に表示される複数の広告情報が記憶されている。各広告情報は、図4に示すように広告ID、画像データ、音声データ、広告主、広告カテゴリ、時間帯及び表示優先順位から構成されている。
【0039】
広告IDは広告情報を識別するための属性であり、各広告情報毎にそれぞれ異なるIDが付与されている。広告カテゴリは、広告する商品やサービスのカテゴリを表すための属性であり、例えば「飲料」、「食品」または「自動車」等のカテゴリが付与されている。なお、広告主及び広告カテゴリは、広告内容に関する属性を表すものである。時間帯は、広告情報が表示可能な時間帯を表すための属性であり、各広告情報毎に異なる時間帯が格納されている。表示優先順位は、広告情報の表示順序を優先させるための属性であり、1〜3のうち何れか一つの値が格納されている。この場合、表示優先順位の値が小さくなる程、広告情報の表示順序が他の広告情報よりも優先される。なお、上記の時間帯及び表示優先順位は、広告主との契約内容により任意に設定することが可能である。
【0040】
因みに、制御部23の記憶手段には、商品販売画面で表示される各商品画像が記憶されている。
【0041】
次に、図5〜図7を参照して図1及び図2に示した自動販売機における広告表示動作について説明する。
【0042】
自動販売機の電源を入れると、図6に示す広告画面がLCD14に表示される(ステップS1)。
【0043】
この広告画面には、広告情報の画像データを表示するための広告表示領域A1と、商品販売画面に表示を切替えるための画面切替用領域A2が設定されている。
【0044】
そして、現在時刻を制御部23のタイマー回路から取得し(ステップS2)、表示可能な時間帯に現在時刻を含む広告情報をMC37から抽出する(ステップS3)。例えば、図4の広告情報がMC37に記憶されている場合に、現在時刻が10時であったときには、広告ID0001,0002,0004,0005,0006,0010,0012及び0014の広告情報が抽出される。
【0045】
次に、抽出された広告情報の表示順序を表す表示リストを生成する(ステップS4)。表示リストの生成について具体的に説明すると、まず、ステップS3において抽出した広告情報の広告IDを図7(a)に示すように配列する。そして、表示優先順位に小さい値が設定された広告情報の表示順序を繰り上げる。例えば、表示優先順位に「1」が設定された広告ID0002の広告情報の表示順序を1番目に設定し、表示優先順位に「2」が設定された広告ID0006の広告情報の表示順序を2番目に設定する。次いで、広告内容に関する属性(本実施形態では広告カテゴリ)が同一に設定された複数の広告情報が連続して配列されている場合には、その配列が非連続となるように表示順序を変更する。例えば、互いに広告カテゴリに「食品」が設定された広告ID0012及び0014の広告情報の表示順序が7番目及び8番目であった場合には、広告ID0012の広告情報と表示順序が6番目に設定された広告ID0010の広告情報の表示順序を入替える。これにより、同一の広告カテゴリを有する複数の広告情報が非連続で表示される。そして、上記の処理により図7(b)に示すように生成された表示リストは、RAM24に格納される。
【0046】
次いで、表示リストの表示順序に基づいて広告情報をRAM24に記憶する(ステップS5)。この場合、各広告情報はRAM24の容量に応じた分だけMC37からRAM24に転送される。例えば、RAM24に記憶可能な広告情報の数が2つであった場合には、表示順序が1番目の広告情報から2つずつRAM24に転送される。
【0047】
そして、表示リストの表示順序に基づいてRAM24の広告情報を再生する(ステップS6)。この場合、RAM24の全ての広告情報が再生されるまでステップS6の処理を繰り返し、RAM24の全ての広告情報を再生した場合には、ステップS5に移行する(ステップS7)。なお、この処理を繰り返すことにより表示リストの広告情報を全て再生した場合には、広告情報を表示順序に基づいて順次RAM24に転送することにより広告情報の再生を繰り返す。
【0048】
また、上記フローでは説明を省略したが、所定時間(例えば1時間)経過毎にステップS2以降の処理を行うようにすることで、広告情報の抽出条件を変更することが可能となる。例えば、現在時刻が20時の場合には、広告ID0002,0004,0005,0008,0009,0010,0011,0013,0014及び0015の広告情報が抽出される。
【0049】
なお、広告画面において画面切替用領域A2がタッチされたときには、広告画面を商品販売画面に切替えて所定の商品販売動作を行う。この場合、商品販売画面には各商品画像がLCD14に表示され、商品画像が表示された領域を利用者がタッチすることにより商品が選択される。そして、投入金額が選択商品の価格以上となる場合には、選択商品が収納されている商品収納ラック2の商品搬出機構2cを動作させて商品搬出を行う。また、商品搬出完了後は、商品販売画面を広告画面に戻す。
【0050】
このように、本実施形態の自動販売機によれば、MC37に記憶された複数の広告情報の中から所定の抽出条件を満たす広告情報を抽出し、抽出された各広告情報をRAM24の容量に応じた広告情報だけRAM24に記憶させ、RAM24の広告情報を表示リストの表示順序に基づいてLCD14に表示させるようにしたので、RAM24の容量を大きくすることなく広告情報の表示を速やかに行うことができ、RAM24のコストを増加させることがなく、広告による宣伝効果を向上させることができる。また、例えば時間帯や自動販売機の設置場所等の条件に適した広告情報を表示することができることから、広告による宣伝効果をより向上させることができる。
【0051】
また、各広告情報に付与された属性に基づいて抽出条件を満たす広告情報を抽出するように構成したので、抽出条件を満たす広告情報を速やかに抽出することができ、広告による宣伝効果をより向上させることができる。
【0052】
さらに、各広告情報に属性として付与された表示優先順位に基づいて広告情報の表示順序を設定するようにしたので、所定の商品等の広告情報を他の広告情報よりも優先させて表示させることができ、該商品等の販売促進効果をより向上させることができる。
【0053】
さらにまた、広告カテゴリが同一の複数の広告情報が互いに非連続で表示されるように広告情報の表示順序を設定するようにしたので、例えば自動車のように同じカテゴリに属する商品の広告情報を連続して表示することがないことから、同業他社の広告情報の後に自社商品等の広告情報が表示される等のような広告主の不満を生じさせることがないという利点がある。
【0054】
また、外部記憶装置を、RAM24に着脱可能に接続されるMC37で構成したので、広告情報を任意に更新することができ、季節や場所等に応じた最新の広告情報を利用者に提供することができる。
【0055】
なお、上記実施形態は本発明の一具体例に過ぎず、本発明が上記実施形態のみに限定されることはない。例えば、前記実施形態では、各広告情報に設定された時間帯に基づいて広告情報を抽出するものを示したが、各広告情報に地域、季節、広告の対象者の年齢または性別等の属性を付与して、これらの属性に基づいて広告情報を抽出するようにしてもよい。また、自動販売機の外部温度を検知する温度センサや、自動販売機の外部湿度を検知する湿度センサを制御部23に接続可能に設けるとともに、各広告情報に温度帯または湿度帯等の属性を付与することにより、外部の温度または湿度に基づいて広告情報を抽出することも可能である。
【0056】
また、前記実施形態では、MC37に記憶された各広告情報をRAM24に記憶するものを示したが、各広告情報を記憶するハードディスク101を、図8に示すようにネットワークとしての公衆回線網39、携帯電話網またはPHS電話網を介して接続された広告管理サーバ100に設けるようにしてもよい。この場合、ハードディスク101から抽出された広告情報は、モデム38または無線通信部40を介して制御部23の記憶手段に記憶される。そして、記憶手段の各広告情報は、表示リストが生成された後に、表示リストの表示順序に基づいてRAM24に転送される。これにより、広告情報を広告管理サーバ100に集中して管理することができるので、広告情報の更新等を容易に行うことができ、運用性を向上させることができる。
【0057】
さらに、前記実施形態では、現在時刻の経過に応じて抽出条件を変更するものを示したが、抽出条件設定用のボタン等の入力手段を用いて抽出条件を変更するようにしてもよい。
【0058】
さらにまた、前記実施形態では、広告カテゴリを「食品」や「自動車」に分類したものを示したが、例えば「パン」や「ガム」等のように広告カテゴリを細かく設定可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態を示す自動販売機の正面図
【図2】図1に示した自動販売機の側面断面図
【図3】図1に示した自動販売機の制御系構成を示すブロック図
【図4】広告情報のデータ構造の一例を示す図
【図5】図1に示した自動販売機における広告表示動作の流れを示すフロー図
【図6】広告画面を示す図
【図7】表示リストのデータ構造の一例を示す図
【図8】自動販売機の変形例を示すシステム構成図
【符号の説明】
【0060】
14…LCD、23…制御部、24…RAM、37…メモリーカード、100…サーバ、101…ハードディスク。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば缶入り飲料、紙パック飲料、箱入り菓子等の商品を販売するとともに広告を表示する自動販売機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自動販売機として、広告情報を表示可能な表示部と、広告情報を記憶可能な主記憶装置とを備え、所定の外部記憶装置に記憶された広告情報を主記憶装置に記憶するとともに、主記憶装置の広告情報を表示部に表示するようにしたものが知られている。
【0003】
しかしながら、この自動販売機では、単に外部記憶装置に記憶された広告情報を表示部に表示させているので、例えば時間帯や自動販売機の設置場所等に適した広告情報を表示することができず、広告による宣伝効果を向上させることができないという問題点があった。
【0004】
そこで、所定の抽出条件を満たす広告情報を外部記憶装置に記憶された複数の広告情報の中から抽出して表示部に表示するようにしたものも知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−132264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自動販売機の主記憶装置には、冷熱機器等の制御データ等も記憶されていることから、主記憶装置に記憶される広告情報の数が制限される。また、例えば抽出した広告情報を全て記憶するために容量の大きい主記憶装置を用いた場合には、主記憶装置のコストが高くなるという問題点があった。
【0006】
さらに、外部記憶装置の広告情報を一つずつ抽出して主記憶装置に記憶させるようにしたものでは、広告情報を抽出して主記憶装置に転送する必要があることから、例えば複数の広告情報を順次切替えて表示する場合には、新たな広告情報が表示部に表示されるまでの時間が長くなり、結果として広告による宣伝効果を低下させるという問題点があった。
【0007】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、主記憶装置の容量を大きくすることなく広告情報の表示を速やかに行うことができ、しかも設置場所等に適した広告情報を表示することの可能な自動販売機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記目的を達成するために、広告情報を表示可能な表示部と、広告情報を記憶可能な主記憶装置とを備え、所定の外部記憶装置に記憶された広告情報を主記憶装置に記憶するとともに、主記憶装置の広告情報を表示部に表示するようにした自動販売機において、前記外部記憶装置に記憶された複数の広告情報の中から所定の抽出条件を満たす広告情報を抽出する広告情報抽出手段と、広告情報抽出手段によって抽出された複数の広告情報を主記憶装置の容量に応じた広告情報だけ主記憶装置に記憶させ、主記憶装置の広告情報を所定の表示順序に基づいて表示部に表示させる制御手段とを備えている。
【0009】
これにより、抽出された広告情報が主記憶装置の容量に応じた広告情報だけ記憶されることから、主記憶装置の広告情報を順次切替えて表示する場合には、新たな広告情報を速やかに表示することが可能となる。また、所定の抽出条件を満たす広告情報が表示部に表示されることから、例えば時間帯や設置場所等の条件に適した広告情報を表示することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、主記憶装置の容量を大きくすることなく広告情報の表示を速やかに行うことができるので、主記憶装置のコストを増加させることがなく、広告による宣伝効果を向上させることができる。また、例えば時間帯や自動販売機の設置場所等の条件に適した広告情報を表示することができることから、広告による宣伝効果をより向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1乃至図8は本発明の一実施形態を示すもので、図1は自動販売機の正面図、図2は図1に示した自動販売機の側面断面図、図3は図1に示した自動販売機の制御系構成を示すブロック図、図4は広告情報のデータ構造の一例を示す図、図5は図1に示した自動販売機における広告表示動作の流れを示すフロー図、図6は広告画面を示す図、図7は表示リストのデータ構造の一例を示す図、図8は自動販売機の変形例を示すシステム構成図である。
【0012】
まず、図1及び図2を参照して自動販売機の構造について説明する。ここでの説明では図1の手前側を前、奥側を後、左側を左、右側を右と表記する。
【0013】
自動販売機本体1は箱形を成し、前面を開口した断熱室1aをその内側に備えている。断熱室1aは断熱性の仕切り板(図示省略)によって左右に並ぶ複数の庫室SRに区分されている。
【0014】
各庫室SR内には、サーペンタイン式ラックから成る商品収納ラック2がそれぞれ配置されている。各商品収納ラック2は前面側上部に商品投入口2aを有し、蛇行状の収納通路2bに缶入り飲料、瓶入り飲料、ペットボトル入り飲料等の商品Cを横向きで積み重ねた状態で収納している。また、各商品収納ラック2の下部には、収納商品Cを1個宛シュート板3上に落下搬出するための商品搬出機構2cが設けられている。さらに、各庫室SR毎に配置された商品収納ラック2それぞれには、商品Cの有無を収納通路2b単位で検知する売切検知センサ(図示省略)が設けられている。この商品収納ラック2には、サーペンタイン式ラックに限らず、サーペンタイン式ラックと同様に収納商品を1個宛搬出可能な他形式のラックを使用することが可能である。
【0015】
また、各庫室SR内には、その底部から背部にかけてシュート板3とダクト板4が設けられている。シュート板3及びダクト板4下側及び背面側の空間には、冷凍機構成機器のうちの蒸発器5と電熱ヒータ6と冷却・加温空気循環用送風機7等が配置され、ダクト板4の背面側空間はダクトDとして構成されている。さらに、各庫室SR内には、商品収納ラック2内の搬出間近商品の温度を検知する温度センサ(図示省略)が設けられている。
【0016】
断熱室1aの底板1bの下側には機械室MRが設けられており、この機械室MR内には、冷凍機構成機器のうちの凝縮器8、圧縮機9及び膨張手段(図示省略)と排熱用送風機10等が配置されている。
【0017】
また、断熱室1aの前側には、その前面開口を開閉自在に覆う断熱性の内扉11が設けられている。断熱室1aの上下左右の前端部(下側の前端部は底板1bの前端部)と各仕切り板の前端部には、内扉11を閉じた状態で商品収納室(各庫室SR)を気密状態とするためのパッキン(符号無し)が設けられており、各庫室SRは内扉11を閉じた状態で独立した断熱空間となる。さらに、内扉11の下部には、各庫室SRのシュート板3に対応した窓穴11aが複数個形成されており、各窓穴11aには、シュート板3を滑り落ちる商品Cによって押し開けられるフラップドア11bが設けられている。
【0018】
つまり、この自動販売機では、各庫室SRが独立の断熱空間を構成し、しかも、各庫室SRに蒸発器5と電熱ヒータ6が独立して設けられていることから、後述の温度調整用設定器30(図3参照)によって庫室SR毎に冷却と加温と非冷却・加温の3つのモードの何れか1つを任意に選択して実施することができる。
【0019】
外扉12は自動販売機本体1の前面開口に開閉自在に設けられており、この外扉12の表面上部には化粧パネル13が設けられている。この化粧パネル13は、液晶ディスプレイ14の画面を露出するための矩形状窓穴13aと、商品メーカー名や商品名等を文字で表示するための広告部13bを有している。
【0020】
液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、以下LCDと言う)14は後述の広告画面及び商品販売画面を構成する静止画像及び動画像をカラー表示するためのもので、その画面が窓穴13aから露出するように化粧パネル13の内側に配置されている。このLCD14は所定サイズと所定解像度、例えば18インチのサイズと1280×1024ピクセルの解像度を有する。このLCD14の代わりに同様の表示を可能とした周知ディスプレイ、例えばCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイやPDP(Plasma Display Panel)等を使用することが可能である。
【0021】
図1及び図2における図示を省略したが、LCD14の画面には、画面に利用者がタッチした位置を検知して画面上の座標位置を指定するタッチセンサ33(図3参照)が設けられている。このタッチセンサ33には周知の静電式透明タッチパネルや感圧式透明タッチパネルの他に、赤外線センサを構成する発光部と受光部を矩形枠の上下辺と左右辺に等間隔で配置したもの等が適宜使用できる。
【0022】
また、外扉12の前面には、ロック操作レバー15、硬貨投入口16、返却レバー17、紙幣投入口18、硬貨返却口19、商品取出口20が図1に示すレイアウトで設けられている。因みに、ロック操作レバー15は外扉12内に設けられたロック機構(図示省略)を操作するためのもので、専用キーによって使用可能な状態となる。また、商品取出口20には、手動により開放可能なフラップドア21が設けられ、その内側にはフラップドア11bから排出された商品Cを受容する商品受け板22が設けられている。
【0023】
次に、図3を参照して図1及び図2に示した自動販売機の制御系構成について説明する。
【0024】
制御部23は商品Cの温調及び搬出等を制御するとともに、LCD14の表示及び外部とのデータ通信等を制御するためのものである。制御部23はCPUと、ROMと、主記憶装置としてのRAM24と、タイマー回路等とを備えたコンピュータから成り、制御上で必要なデータ交換を相互で行うことができる。また、RAM24には、後述の広告情報を所定数だけ記憶することができる。なお、制御部23は、本願請求項でいう広告情報抽出手段及び制御手段を構成している。
【0025】
制御部23には、硬貨処理機25、紙幣識別機26、搬出駆動部27、圧縮機駆動部28、ヒータ駆動部29、温度調整用設定器30が接続されている。また、制御部23には、各庫室SR毎に配置された商品収納ラック2内の商品Cの有無を収納通路2b単位で検知する売切検知センサ(図示省略)が売切検知部(図示省略)を介して接続され、各庫室SR内の搬出間近商品の温度を検知する温度センサ(図示省略)が温度検知部(図示省略)を介して接続されている。
【0026】
硬貨処理機25と紙幣識別機26は外扉12内に配置されていて、硬貨処理機25は硬貨投入口16を通じて投入された硬貨の真偽識別と計数と貯蔵を行い、投入硬貨の金額に関するデータを制御部23に送出する。紙幣識別機26は紙幣投入口18を通じて投入された紙幣の真偽識別と貯蔵を行い、投入紙幣の金額に関するデータを制御部23に送出する。
【0027】
搬出駆動部27は、各商品収納ラック2に設けられた商品搬出機構2cの動作、詳しくは商品搬出機構2cに用いられているソレノイド等のアクチュエータの動作を制御するためのもので、制御部23からの制御信号に基づいて所定の商品搬出機構2cを動作させて所期の商品搬出を行う。
【0028】
圧縮機駆動部28は、冷凍機を構成する圧縮機9の動作、詳しくは圧縮機9を駆動するためのモータの運転を制御するためのもので、制御部23からの制御信号に基づいて所期の圧縮機駆動を行う。
【0029】
ヒータ駆動部29は、各電熱ヒータ6への通電を制御するためのもので、制御部23からの制御信号に基づいて所定の電熱ヒータ6への通電を行う。
【0030】
温度調整用設定器30は、先に述べた3つのモードの何れか1つを各庫室SR毎に選択するためのもので、モード選択用の押しボタンスイッチ等を備え、選択されたモードに関するデータを制御部23に送出する。
【0031】
また、制御部23には、LCD駆動部31と、座標検出部32と、音声出力部34と、メモリーカードアダプタ(以下MCアダプタと言う)36と、モデム38と、無線通信部40が接続されている。
【0032】
LCD駆動部31は、外扉12に設けられたLCD14の表示を制御するためのもので、制御部23からの画像データ及び制御信号に基づいてLCD14を駆動して所期の画像表示を行う。
【0033】
座標検出部32は、タッチセンサ33の検知信号に基づき画面上の座標に関するデータを制御部23に送出する。後述する広告画面で表示される領域はLCD14の画面上の座標を基準として設定されているので、座標検出部32から制御部32に送られるデータによって広告画面においてどの領域が選択されたかを簡単に判断できる。
【0034】
音声出力部34は、制御部23からの音声信号及び制御信号に基づいてスピーカ35を駆動して所期の音声出力を行う。このスピーカ35は外扉12内のLCD14の両側に少なくとも1個宛配置されていて、ステレオ方式により立体的な音響効果が得られるようになっている。
【0035】
MCアダプタ36は、外部記憶装置としてのメモリーカード(以下MCと言う)37と着脱可能に接続する。モデム38は公衆電話回線39等を利用して外部サーバ等との間でデータ通信を行うためのものであり、無線通信部40は携帯電話網やPHS電話網等を利用して外部サーバ等との間で無線にてデータ通信を行うためのものである。
【0036】
LCD14に表示され得る静止画像及び動画像等の画像データやスピーカ35から出力される音声データは、MC37、モデム38を介してのデータ通信、または、無線通信網40を介してのデータ通信によって、制御部23が備えるハードディスク等の記憶手段に取り込むことができ、データ更新も任意に行うことができる。
【0037】
前記の画像データ及び音声データには、後述する広告画面時の表示画像、表示文字及び出力音声や、商品販売画面時の表示画像(販売可能商品それぞれに対応した複数の商品画像を含む)、表示文字及び出力音声等が含まれる。
【0038】
MC37には、広告画面に表示される複数の広告情報が記憶されている。各広告情報は、図4に示すように広告ID、画像データ、音声データ、広告主、広告カテゴリ、時間帯及び表示優先順位から構成されている。
【0039】
広告IDは広告情報を識別するための属性であり、各広告情報毎にそれぞれ異なるIDが付与されている。広告カテゴリは、広告する商品やサービスのカテゴリを表すための属性であり、例えば「飲料」、「食品」または「自動車」等のカテゴリが付与されている。なお、広告主及び広告カテゴリは、広告内容に関する属性を表すものである。時間帯は、広告情報が表示可能な時間帯を表すための属性であり、各広告情報毎に異なる時間帯が格納されている。表示優先順位は、広告情報の表示順序を優先させるための属性であり、1〜3のうち何れか一つの値が格納されている。この場合、表示優先順位の値が小さくなる程、広告情報の表示順序が他の広告情報よりも優先される。なお、上記の時間帯及び表示優先順位は、広告主との契約内容により任意に設定することが可能である。
【0040】
因みに、制御部23の記憶手段には、商品販売画面で表示される各商品画像が記憶されている。
【0041】
次に、図5〜図7を参照して図1及び図2に示した自動販売機における広告表示動作について説明する。
【0042】
自動販売機の電源を入れると、図6に示す広告画面がLCD14に表示される(ステップS1)。
【0043】
この広告画面には、広告情報の画像データを表示するための広告表示領域A1と、商品販売画面に表示を切替えるための画面切替用領域A2が設定されている。
【0044】
そして、現在時刻を制御部23のタイマー回路から取得し(ステップS2)、表示可能な時間帯に現在時刻を含む広告情報をMC37から抽出する(ステップS3)。例えば、図4の広告情報がMC37に記憶されている場合に、現在時刻が10時であったときには、広告ID0001,0002,0004,0005,0006,0010,0012及び0014の広告情報が抽出される。
【0045】
次に、抽出された広告情報の表示順序を表す表示リストを生成する(ステップS4)。表示リストの生成について具体的に説明すると、まず、ステップS3において抽出した広告情報の広告IDを図7(a)に示すように配列する。そして、表示優先順位に小さい値が設定された広告情報の表示順序を繰り上げる。例えば、表示優先順位に「1」が設定された広告ID0002の広告情報の表示順序を1番目に設定し、表示優先順位に「2」が設定された広告ID0006の広告情報の表示順序を2番目に設定する。次いで、広告内容に関する属性(本実施形態では広告カテゴリ)が同一に設定された複数の広告情報が連続して配列されている場合には、その配列が非連続となるように表示順序を変更する。例えば、互いに広告カテゴリに「食品」が設定された広告ID0012及び0014の広告情報の表示順序が7番目及び8番目であった場合には、広告ID0012の広告情報と表示順序が6番目に設定された広告ID0010の広告情報の表示順序を入替える。これにより、同一の広告カテゴリを有する複数の広告情報が非連続で表示される。そして、上記の処理により図7(b)に示すように生成された表示リストは、RAM24に格納される。
【0046】
次いで、表示リストの表示順序に基づいて広告情報をRAM24に記憶する(ステップS5)。この場合、各広告情報はRAM24の容量に応じた分だけMC37からRAM24に転送される。例えば、RAM24に記憶可能な広告情報の数が2つであった場合には、表示順序が1番目の広告情報から2つずつRAM24に転送される。
【0047】
そして、表示リストの表示順序に基づいてRAM24の広告情報を再生する(ステップS6)。この場合、RAM24の全ての広告情報が再生されるまでステップS6の処理を繰り返し、RAM24の全ての広告情報を再生した場合には、ステップS5に移行する(ステップS7)。なお、この処理を繰り返すことにより表示リストの広告情報を全て再生した場合には、広告情報を表示順序に基づいて順次RAM24に転送することにより広告情報の再生を繰り返す。
【0048】
また、上記フローでは説明を省略したが、所定時間(例えば1時間)経過毎にステップS2以降の処理を行うようにすることで、広告情報の抽出条件を変更することが可能となる。例えば、現在時刻が20時の場合には、広告ID0002,0004,0005,0008,0009,0010,0011,0013,0014及び0015の広告情報が抽出される。
【0049】
なお、広告画面において画面切替用領域A2がタッチされたときには、広告画面を商品販売画面に切替えて所定の商品販売動作を行う。この場合、商品販売画面には各商品画像がLCD14に表示され、商品画像が表示された領域を利用者がタッチすることにより商品が選択される。そして、投入金額が選択商品の価格以上となる場合には、選択商品が収納されている商品収納ラック2の商品搬出機構2cを動作させて商品搬出を行う。また、商品搬出完了後は、商品販売画面を広告画面に戻す。
【0050】
このように、本実施形態の自動販売機によれば、MC37に記憶された複数の広告情報の中から所定の抽出条件を満たす広告情報を抽出し、抽出された各広告情報をRAM24の容量に応じた広告情報だけRAM24に記憶させ、RAM24の広告情報を表示リストの表示順序に基づいてLCD14に表示させるようにしたので、RAM24の容量を大きくすることなく広告情報の表示を速やかに行うことができ、RAM24のコストを増加させることがなく、広告による宣伝効果を向上させることができる。また、例えば時間帯や自動販売機の設置場所等の条件に適した広告情報を表示することができることから、広告による宣伝効果をより向上させることができる。
【0051】
また、各広告情報に付与された属性に基づいて抽出条件を満たす広告情報を抽出するように構成したので、抽出条件を満たす広告情報を速やかに抽出することができ、広告による宣伝効果をより向上させることができる。
【0052】
さらに、各広告情報に属性として付与された表示優先順位に基づいて広告情報の表示順序を設定するようにしたので、所定の商品等の広告情報を他の広告情報よりも優先させて表示させることができ、該商品等の販売促進効果をより向上させることができる。
【0053】
さらにまた、広告カテゴリが同一の複数の広告情報が互いに非連続で表示されるように広告情報の表示順序を設定するようにしたので、例えば自動車のように同じカテゴリに属する商品の広告情報を連続して表示することがないことから、同業他社の広告情報の後に自社商品等の広告情報が表示される等のような広告主の不満を生じさせることがないという利点がある。
【0054】
また、外部記憶装置を、RAM24に着脱可能に接続されるMC37で構成したので、広告情報を任意に更新することができ、季節や場所等に応じた最新の広告情報を利用者に提供することができる。
【0055】
なお、上記実施形態は本発明の一具体例に過ぎず、本発明が上記実施形態のみに限定されることはない。例えば、前記実施形態では、各広告情報に設定された時間帯に基づいて広告情報を抽出するものを示したが、各広告情報に地域、季節、広告の対象者の年齢または性別等の属性を付与して、これらの属性に基づいて広告情報を抽出するようにしてもよい。また、自動販売機の外部温度を検知する温度センサや、自動販売機の外部湿度を検知する湿度センサを制御部23に接続可能に設けるとともに、各広告情報に温度帯または湿度帯等の属性を付与することにより、外部の温度または湿度に基づいて広告情報を抽出することも可能である。
【0056】
また、前記実施形態では、MC37に記憶された各広告情報をRAM24に記憶するものを示したが、各広告情報を記憶するハードディスク101を、図8に示すようにネットワークとしての公衆回線網39、携帯電話網またはPHS電話網を介して接続された広告管理サーバ100に設けるようにしてもよい。この場合、ハードディスク101から抽出された広告情報は、モデム38または無線通信部40を介して制御部23の記憶手段に記憶される。そして、記憶手段の各広告情報は、表示リストが生成された後に、表示リストの表示順序に基づいてRAM24に転送される。これにより、広告情報を広告管理サーバ100に集中して管理することができるので、広告情報の更新等を容易に行うことができ、運用性を向上させることができる。
【0057】
さらに、前記実施形態では、現在時刻の経過に応じて抽出条件を変更するものを示したが、抽出条件設定用のボタン等の入力手段を用いて抽出条件を変更するようにしてもよい。
【0058】
さらにまた、前記実施形態では、広告カテゴリを「食品」や「自動車」に分類したものを示したが、例えば「パン」や「ガム」等のように広告カテゴリを細かく設定可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態を示す自動販売機の正面図
【図2】図1に示した自動販売機の側面断面図
【図3】図1に示した自動販売機の制御系構成を示すブロック図
【図4】広告情報のデータ構造の一例を示す図
【図5】図1に示した自動販売機における広告表示動作の流れを示すフロー図
【図6】広告画面を示す図
【図7】表示リストのデータ構造の一例を示す図
【図8】自動販売機の変形例を示すシステム構成図
【符号の説明】
【0060】
14…LCD、23…制御部、24…RAM、37…メモリーカード、100…サーバ、101…ハードディスク。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告情報を表示可能な表示部と、広告情報を記憶可能な主記憶装置とを備え、所定の外部記憶装置に記憶された広告情報を主記憶装置に記憶するとともに、主記憶装置の広告情報を表示部に表示するようにした自動販売機において、
前記外部記憶装置に記憶された複数の広告情報の中から所定の抽出条件を満たす広告情報を抽出する広告情報抽出手段と、
広告情報抽出手段によって抽出された複数の広告情報を主記憶装置の容量に応じた広告情報だけ主記憶装置に記憶させ、主記憶装置の広告情報を所定の表示順序に基づいて表示部に表示させる制御手段とを備えた
ことを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
前記広告情報抽出手段を、各広告情報に付与された属性に基づいて抽出条件を満たす広告情報を抽出するように構成した
ことを特徴とする請求項1記載の自動販売機。
【請求項3】
前記制御手段を、各広告情報に属性として付与された表示優先順位に基づいて広告情報の表示順序を設定するように構成した
ことを特徴とする請求項1または2記載の自動販売機。
【請求項4】
前記制御手段を、広告内容に関する属性が同一の複数の広告情報が互いに非連続で表示されるように広告情報の表示順序を設定するように構成した
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の自動販売機。
【請求項5】
前記外部記憶装置を、主記憶装置に着脱可能に接続される記憶媒体で構成した
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の自動販売機。
【請求項6】
前記外部記憶装置を、ネットワークを介して接続された所定のサーバに設けた
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の自動販売機。
【請求項7】
前記抽出条件を任意に変更可能に構成した
ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の自動販売機。
【請求項1】
広告情報を表示可能な表示部と、広告情報を記憶可能な主記憶装置とを備え、所定の外部記憶装置に記憶された広告情報を主記憶装置に記憶するとともに、主記憶装置の広告情報を表示部に表示するようにした自動販売機において、
前記外部記憶装置に記憶された複数の広告情報の中から所定の抽出条件を満たす広告情報を抽出する広告情報抽出手段と、
広告情報抽出手段によって抽出された複数の広告情報を主記憶装置の容量に応じた広告情報だけ主記憶装置に記憶させ、主記憶装置の広告情報を所定の表示順序に基づいて表示部に表示させる制御手段とを備えた
ことを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
前記広告情報抽出手段を、各広告情報に付与された属性に基づいて抽出条件を満たす広告情報を抽出するように構成した
ことを特徴とする請求項1記載の自動販売機。
【請求項3】
前記制御手段を、各広告情報に属性として付与された表示優先順位に基づいて広告情報の表示順序を設定するように構成した
ことを特徴とする請求項1または2記載の自動販売機。
【請求項4】
前記制御手段を、広告内容に関する属性が同一の複数の広告情報が互いに非連続で表示されるように広告情報の表示順序を設定するように構成した
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の自動販売機。
【請求項5】
前記外部記憶装置を、主記憶装置に着脱可能に接続される記憶媒体で構成した
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の自動販売機。
【請求項6】
前記外部記憶装置を、ネットワークを介して接続された所定のサーバに設けた
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の自動販売機。
【請求項7】
前記抽出条件を任意に変更可能に構成した
ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の自動販売機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2008−59091(P2008−59091A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−232751(P2006−232751)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【出願人】(393010570)TIS株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【出願人】(393010570)TIS株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
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