説明

自動販売機

【課題】商品搬出シュートを係止固定する機械的強度を維持しつつ背面ダクト内の循環気流に及ぼす影響を抑えることが可能な自動販売機を提供する。
【解決手段】本体キャビネット1の庫内底部側に商品搬出シュータ70、庫内ファン8付きの冷却/加熱ユニット11を配備し、前記本体キャビネット1の背壁に冷却/加熱ユニット11の風胴11aに連らねて庫内上方に立ち上がる背面ダクト12を設置し、当該背面ダクト12に設けたスリット溝121に前記商品搬出シュータ70の後端側に形成した爪部72を挿入して係止固定した自動販売機であって、前記商品搬出シュータ70の爪部72は商品搬出シュータ70の後端から一体に突き出す筒部として立体形状に形成して爪部70の機械的強度を高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、断熱筐体としてなる本体キャビネットの庫内に冷却ユニット若しくは冷却/加熱ユニットを装備し、該ユニットの風胴に連なる背面ダクトを通じて商品収納庫内に冷気ないし暖気を循環送風して商品収納ラックに収納した缶入り飲料,瓶入り飲料,ペットボトル飲料などの商品を販売適温に冷却ないし加熱して当該商品をコールドないしホット商品として販売するようにした自動販売機に係り、特に商品収納ラックから搬出された商品を商品取出口に搬送する商品搬出シュータの取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
缶入り飲料,瓶入り飲料,ペットボトル飲料などの商品を販売する自動販売機は断熱筐体としてなる本体キャビネットの庫内に前記商品をコールド,ホット状態に区分して保存し、外扉のディスプレイ室内に複数の商品見本を左右に並べて展示し、前記商品見本に対応して設けられた商品選択ボタンの操作に基づいて選択された商品を販売するように構成されている。この種の従来の自動販売機としてサーペンタイン式商品収納ラックを搭載した自動販売機を例にその構成を図4に示す。
図4において、1は前面が開口した断熱筐体としてなる自動販売機の本体キャビネット、2は本体キャビネット1の前面にヒンジにより開閉可能に支持された外扉、3は本体キャビネット1の庫内前面を閉塞する断熱内扉、4は外扉2に形成された商品取出口であり、本体キャビネット1の庫内上部には商品5を収容した商品収納ラック(サーペンタイン式商品ラック)6が搭載されている。前記本体キャビネット1の庫内底部側には商品収納ラック6から搬出落下した商品5を商品取出口4に導くように前傾姿勢に配設された商品搬出シュータ7、および庫内ファン8,熱交換器(冷凍機のエバポレータ)9,ヒータ(加熱器)10を組合せてなる冷却/加熱ユニット11が配備されている。また、本体キャビネット1の背壁には冷却/加熱ユニット11の風胴11aに連ねて庫内上部に立ち上がる背面ダクト12を備えている。前記本体キャビネット1における底面の機械室には圧縮機,凝縮器,庫外ファンなどからなる冷凍機のコンデンシングユニット13が配設されている。なお、冷却/加熱ユニット11が配備された庫内はコールド/ホット兼用室として用いられ、コールド専用室の場合にはヒータを除く庫内ファン8,熱交換器9が設けられて冷却ユニットを構成する。
【0003】
前記商品搬出シュータ7はその底面に多数の通風穴をパンチングした薄板鋼板の加工品からなり、その前端側には下方に折り曲げた固定片が設けられ、後端には商品搬出シュータ7の本体から一体に突き出した左右一対の舌片状の爪部が設けられている。前記背面ダクト12は薄板鋼板をUチャンネル状に加工したものであり、背面ダクト12の下部が冷却/加熱ユニット11の風胴11aと連結しており、さらにその上方箇所には商品搬出シュータ7を係止保持するためのスリット溝が穿孔されている。前記商品搬出シュータ7はその後端側の爪部を背面ダクト12に形成したスリット溝に差し込んで係止させたうえで前端側の固定片を本体キャビネット1の庫内底部の前縁に装着した化粧枠に係止させて取付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このように構成された自動販売機において商品を冷却して販売するコールド運転モードでは、前記冷却器9と熱交換した冷気が庫内ファン8を通じて風胴11aより前方に吹出し、商品搬出シュータ7の通風穴を介して商品収納ラック6の内部を通風した後、庫内の背面に開口している背面ダクト12を通じて熱交換器9に戻るように循環送風され、この送風過程で商品収納ラック6に収容された商品5をコールド商品として販売適温に保冷する。商品を加熱して販売するホット運転モードでは、熱交換器9の代わりに加熱器10としてのヒータを通電し、ヒータで加温された暖気を庫内に循環送風して商品5をホット商品として販売適温に加熱する。かかる構成において、商品選択ボタンの操作に基づいて商品収納ラック6から搬出されて商品搬出シュータ7の上に落下した商品5は当該商品搬出シュータ7上を滑動ないしは転動して商品取出口4に送出される。
【0005】
【特許文献1】特開2000−57427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、商品搬出シュータ7はその後端側から突き出した爪部を背面ダクト12のスリット溝に差し込み、その際商品搬出シュータの爪部がスリットから抜け落ちないようにするために爪部を背面ダクト内に奥深く進出するように構成されている。このため、前記背面ダクト内に進出した爪部は背面ダクト12内の循環気流の流れを妨げる抵抗となる。一方、前記爪部は商品収納ラック6から搬出落下した商品が商品搬出シュータ7に衝突した際の衝撃による応力が集中して加わるので爪部の機械的強度を高めるためには広幅に形成しなければならない。このような相反する要求に応えるために従来構造では商品搬出シュータ7に左右一対の爪部を形成することにより当該爪部に加わる応力が分散するようにしている。しかしながら、爪部の機械的強度を維持するためには爪部の幅を或る程度の広幅に形成しなければならない。したがって、商品搬出シュータ7から突き出した左右一対の爪部により背面ダクト12内を流れる循環気流が妨げられ、冷気・暖気の循環風量が不足して商品の冷却・加熱能力が低下するという課題を有する。
【0007】
前述した課題を解決するため、前記商品搬出シュータ7の板厚を厚くすることが考えられるが、この場合には商品の落下衝撃を吸収することができなくなるとともにコストが嵩む。また、前記商品搬出シュータ7から爪部を削除して薄板の商品搬出シュータ7とは別部品からなり、かつ、前記商品搬出シュータ7よりも厚板の鋼板により爪部を備えた補強金具を設け、この補強金具を商品搬出シュータ7にスポット溶接して取付け、これにより爪部の幅を小さくして背面ダクト12内を流れる循環気流への悪影響を抑えることが考えられる。しかしながら、この場合には商品搬出シュート7とは別部品からなる補強金具を設けねばならないので、部品点数が増加するとともにコストの上昇を招いてしまうので得策ではない。
そこで、本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は前記課題を解決し、商品搬出シュートを係止固定する爪部の機械的強度を維持しつつ背面ダクト内の循環気流に及ぼす影響を抑えることが可能な自動販売機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1に係る発明は、断熱筐体としてなる庫内に商品収納ラックを収納した本体キャビネットの庫内底部側に商品搬出シュータおよび庫内ファン付きの冷却/加熱ユニットを配備し、該冷却/加熱ユニットを通じて庫内に冷気若しくは暖気を循環送風して商品を冷却若しくは加熱する自動販売機であって、前記本体キャビネットの背壁に冷却/加熱ユニットの風胴に連らねて庫内上方に立ち上がる背面ダクトを設置し、当該背面ダクトに設けたスリット溝に前記商品搬出シュータの後端側に形成した爪部を挿入して係止固定した自動販売機において、前記商品搬出シュータの爪部は商品搬出シュータの後端から一体に突き出す筒部として立体形状に形成してなることを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するために請求項2に係る発明は、請求項1に記載の自動販売機において、爪部を形成する筒部は断面略凹状に形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、上記目的を達成するために請求項3に係る発明は、請求項1に記載の自動販売機において、爪部を形成する筒部はカール状に形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するために請求項4に係る発明は、請求項1乃至3に記載の自動販売機において、爪部を形成する筒部は閉塞されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に係る自動販売機によれば、断熱筐体としてなる庫内に商品収納ラックを収納した本体キャビネットの庫内底部側に商品搬出シュータおよび庫内ファン付きの冷却/加熱ユニットを配備し、該冷却/加熱ユニットを通じて庫内に冷気若しくは暖気を循環送風して商品を冷却若しくは加熱する自動販売機であって、前記本体キャビネットの背壁に冷却/加熱ユニットの風胴に連らねて庫内上方に立ち上がる背面ダクトを設置し、当該背面ダクトに設けたスリット溝に前記商品搬出シュータの後端側に形成した爪部を挿入して係止固定した自動販売機において、前記商品搬出シュータの爪部は商品搬出シュータの後端から一体に突き出す筒部として立体形状に形成したことにより、爪部の機械的強度を高めることができるので、背面ダクト内に進入する爪部の幅を従来構造における平板状の爪部に対して小さくすることが可能となり、背面ダクト内を流れる循環気流に与える悪影響を抑えることができる。
【0013】
また、本発明の請求項2に係る自動販売機によれば、爪部を形成する筒部は断面略凹状に形成されていることにより、当該筒部を絞り加工によって簡単に製作することができる。
【0014】
また、本発明の請求項3に係る自動販売機によれば、爪部を形成する筒部はカール状に形成されていることにより、背面ダクト内を流れる循環気流を筒部のカール状表面に沿ってスムーズに流すことができるという利点を有する。
【0015】
また、本発明の請求項4に係る自動販売機によれば、爪部を形成する筒部は閉塞されていることにより背面ダクト内の循環気流は筒部の表面に沿って流れるので、その循環気流が筒部内に留まるような不具合を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明における実施の形態である自動販売機を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施の形態1である自動販売機の全体構成を示す外扉開放状態の斜視図、図2は本発明の実施の形態1の主要部を示し、(a)は商品搬出シュータと背面ダクトの分解斜視図、(b)は商品搬出シュータにおける爪部の拡大図である。なお、自動販売機の全体構成は図4に示したものと同一であり、図4に示すものと同一のものには同一の符号を付している。
【0017】
この発明の実施対象である自動販売機は、図1に示すように前面が開口した本体キャビネット1と、本体キャビネット1の前面にヒンジにより開閉可能に支持された外扉2とからなる。前記本体キャビネット1は鋼板製の外箱の内側、すなわち、上壁,左右側壁,背壁および底壁101にウレタンフォームからなる断熱ボードを配設して断熱筐体として構成されている。前記本体キャビネット1の断熱ボードで囲まれた商品収納庫内は断熱仕切板102により左右方向に複数の商品収納室103,104,105に区画されている。各商品収納室103,104,105には商品を収容するとともにその下端に商品を1個ずつ搬出する商品払出機構を有する商品収納ラック6(この例ではサーペンタイン式と呼ばれる蛇行した商品通路を有する商品収納ラック)がそれぞれ収設され、前記商品収納ラック6の下部には前下がりに傾斜する商品搬出シュート70が配置されている。この商品搬出シュート70の前端は本体キャビネット1の底壁101の前縁にねじ止めされ、後端は背面ダクト12(図4参照)に係止されるように構成されており、この構造については後述する。なお、本体キャビネット1の底壁101の前縁には化粧枠106が装着され、この化粧枠106の前面にはガスケットが形成されている。
【0018】
前記外扉2の前面には良く知られているようにディスプレイ台に載置された商品見本のディスプレイ室が形成され、このディスプレイ室の前面を覆う透明板には各商品見本に対応して設けられた商品選択ボタンを備えた商品選択ボタンユニットが配設されている。また、前記外扉2の前面には、外扉2の背面に取付けられた硬貨処理装置21および紙幣処理装置22の硬貨投入口および紙幣投入口、硬貨処理装置21の釣銭返却口、商品取出口4、返却レバー、シリンダー錠付きのハンドルロック装置などが組付けられている。本体キャビネット1における商品収納庫の前面を閉塞する内扉3は、この例では上下に分割されており、下部内扉には各商品収納室103〜105の下部に配置されるとともに前記商品搬出シュータ70と商品取出口4とを連係する位置に搬出扉3aを有する商品搬出口が設けられている。前記搬出扉3aは上端を軸支されて常時商品搬出口を閉塞して冷気若しくは暖気の流出を防止しており、商品搬出シュータ70を介して送出される商品により押し開かれるように形成されている。
【0019】
前記商品収納室103〜105の下部に配置された商品搬出シュータ70の下部には、それぞれの商品収納室103〜105を冷却もしくは加熱して商品収納ラック6に収容した商品をコールドないしホット状態に保存するところの、図4に示した冷却/加熱ユニット11と同様の冷却/加熱ユニットが配設されている。前記本体キャビネット1の底壁101の下部は機械室として形成され、この機械室には前記冷却/加熱ユニットの冷却ユニットと冷凍サイクルを構成する冷凍機のコンデンシングユニット13(図4参照)が配設されている。なお、図4ではコールド/ホット兼用室の加熱器としてヒータ10を用いているが、このヒータ10に代えて熱交換器(冷凍機のエバポレータ)9を加熱ユニットして利用する場合もある。この場合、前記熱交換器には冷凍機のコンデンシングユニットの冷凍サイクルを構成する回路に加えて、圧縮機からの高温冷媒ガスをコールド/ホット兼用室の熱交換器を経由して冷凍機のコンデンシングユニットの凝縮器に流す冷媒切換回路を設け、ホット運転モードでは冷媒切換回路により熱交換器を凝縮器として機能させるように構成されている。また、コールド/ホット兼用室に設置された熱交換器に加えて加熱専用の熱交換器を加熱器として設置する場合もある。
【0020】
さて、その底面に多数の通風穴をパンチングした薄板鋼板の加工品からなる商品搬出シュータ70を図2に示す。なお、図2に示す商品搬出シュータ70は図1の商品収納室104に設置されたものである。図に示すように商品搬出シュータ70は、その前端側を下方に折り曲げて固定片71が設けられ、後端には商品搬出シュータ70の本体から一体に突き出した左右一対の爪部72が設けられている。ここで、前記爪部72は図2の(b)から分かるように断面略凹状の筒部として立体形状に形成されており、断面略凹状の開放部が下方を向いており、その爪部72の凹状脚片の先端に脱落防止用突起72a,72aが形成されている。また、商品搬出シュータ70の底面の前端寄りには補強リブ73が設けられている。なお、前記商品搬出シュータ70の左端に形成されたガイド部74は商品収納ラック6から搬出された商品が内扉3の商品搬出口に向かうように案内するものであり、商品搬出シュータ70の右端側前方に形成した切欠75は機械室の冷凍機のコンデンシングユニットと庫内の熱交換器との間の配管を通すためのものである。
【0021】
一方、冷却/加熱ユニット11の風胴11a(図4参照)に連ねて庫内上部に立ち上がる背面ダクト12は板金加工によりUチャンネル状に形成され、その下部には前記風胴11aに沿って形成された窓120の上方に左右一対のスリット溝121,121が設けられている。このスリット溝121,121は前記商品搬出シュータ70の左右一対の爪部72を係止保持するものであり、当該スリット溝121,121には前記爪部72の凹部に嵌り込む突起122,122が設けられている。
【0022】
前述した商品搬出シュータ70の庫内への組付けは次のようにして行われる。すなわち、商品搬出シュータ70の後端側に形成した爪部72を背面ダクト12のスリット溝121,121に差し込んだうえで、前端側の固定片71を本体キャビネット1の底壁101の前縁と化粧枠106との間に挿入し、当該固定片71をねじにより底壁101に固定する。なお、商品搬出シュータ70の爪部72を背面ダクト12のスリット溝121,121に差し込む際、前記爪部72の凹部に前記スリット溝121,121に形成した突起122,122が嵌り込むように取付けて爪部72(の凹部)の隙間を塞ぐ。このようにして組付けられた商品搬出シュータ70の爪部72は筒状で立体形状に形成されていることから、従来における平板状の爪部に対して機械的強度を高めることができ、これによって、爪部72の幅を小さくすることが可能となる。したがって、背面ダクト12内を流れる循環気流に対して背面ダクト12内に進出した爪部72が与える影響を抑制することができる。
【0023】
また、前記背面ダクト12のスリット溝121,121に差し込まれた商品搬出シュータ70の爪部72の凹部は前記スリット溝121,121に形成した突起122,122により閉塞されることから商品搬出シュータ70の爪部72の凹部から背面ダクト12内を流れる循環気流が漏れることを防止できる。さらに、爪部72の機械的強度を高めることができるので、商品搬出シュータ70の板厚を薄くして商品の落下衝撃を緩和することも可能となる。商品搬出シュータ70の板厚を薄くした場合、商品の落下によって商品搬出シュータ70の撓みが大きくなり、その撓みによって爪部72が背面ダクト12のスリット溝121,121から抜けようとするが、爪部72に設けた脱落防止用突起72a,72aが背面ダクト12のスリット溝121,121の溝縁に係合するので、商品搬出シュータ70が脱落することはない。
【0024】
なお、前述した実施の形態1においては背面ダクト12のスリット溝121,121に突起122,122を形成して商品搬出シュータ70の爪部72の凹部を閉塞するように構成したものについて述べたが、これに限るものではない。例えば、前記爪部72の凹部にウレタンフォームからなる断熱材を嵌合させることもできる。
【0025】
次に、本発明における実施の形態2に係る自動販売機について図3に示す。図3は本発明の実施の形態2の主要部を示す商品搬出シュータにおける爪部の拡大図である。なお、自動販売機の全体構成は図1に示した実施の形態1の発明と同一であるので、ここではその説明を省略する。この実施の形態2に係る発明が実施の形態1の発明と異なる点は商品搬出シュータ70の爪部76を構成する筒部の形状であり、図3に示すようにこの実施の形態2においては爪部76を構成する筒部がカール状をなしている点である。このように爪部76を構成する筒部がカール状に形成されていることにより、背面ダクト12内を流れる循環気流が背面ダクト12内に進出した爪部76のカール状表面に沿ってスムーズに流れ、背面ダクト12内に進出した爪部76による循環気流への悪影響をより一層小さくすることができる。
【0026】
図3に示したように商品搬出シュータ70の爪部76をカール状に形成した場合、この爪部76を係止保持する背面ダクト12のスリット溝は円形に形成される。このように背面ダクト12のスリット溝を円形とすることにより、例えば四角形のスリット溝のように角部に応力が集中して亀裂が生じるような不具合を防止することができる。そして、前記商品搬出シュータ70の爪部76の先端を栓により閉塞するのことにより中空の爪部76を介して背面ダクト12内の循環気流が漏れるのを防止することができる。この場合、栓に代えて爪部76のカール状内部にウレタンフォームからなる断熱材を嵌め込むことによって背面ダクト12内の循環気流の漏れを防止することが可能となる。
【0027】
前述したとおり本発明によれば、断熱筐体としてなる庫内に商品収納ラック6を収納した本体キャビネット1の庫内底部側に商品搬出シュータ70、庫内ファン8を冷却/加熱ユニット11を配備し、該冷却/加熱ユニット11を通じて庫内に冷気若しくは暖気を循環送風して商品を冷却若しくは加熱する自動販売機であって、前記本体キャビネット1の背壁に冷却/加熱ユニット11の風胴11aに連らねて庫内上方に立ち上がる背面ダクト12を設置し、当該背面ダクト12に設けたスリット溝121に前記商品搬出シュータ70の後端側に形成した爪部72(76)を挿入して係止固定した自動販売機において、前記商品搬出シュータ70の爪部72(76)は商品搬出シュータ70の後端から一体に突き出す筒部(断面略凹状,カール状)として立体形状に形成したことにより、従来構造の平板状の爪部に対して爪部70の機械的強度を高めることができる。したがって、背面ダクト12内に進入する爪部70の幅を従来構造における平板状の爪部に対して小さくすることが可能となり、背面ダクト12内を流れる循環気流に与える悪影響を抑えることができる。
【0028】
なお、前記商品搬出シュータ70の爪部72(76)を構成する筒部の形状は実施の形態に記載した断面略凹状,カール状に限られるものではなく、爪部の機械的強度を高めるために立体形状としたものを含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態である自動販売機の全体構成を示す外扉開放状態の斜視図である。
【図2】図1の自動販売機の主要部を示し、(a)は商品搬出シュータおよび背面ダクトの分解斜視図、(b)は商品搬出シュータの爪部の拡大図である。
【図3】本発明の異なる実施の形態である自動販売機における商品搬出シュータの爪部の拡大図である。
【図4】本発明の実施対象に係る自動販売機の全体構成を示す側面断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 本体キャビネット
2 外扉
4 商品取出口
6 商品収納ラック
8 庫内ファン
9 熱交換器(エバポレータ)
11 冷却/加熱ユニット
70 商品搬出シュータ
72、76 爪部
72a 脱落防止用突起
121 スリット溝
122 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱筐体としてなる庫内に商品収納ラックを収納した本体キャビネットの庫内底部側に商品搬出シュータおよび庫内ファン付きの冷却/加熱ユニットを配備し、該冷却/加熱ユニットを通じて庫内に冷気若しくは暖気を循環送風して商品を冷却若しくは加熱する自動販売機であって、前記本体キャビネットの背壁に冷却/加熱ユニットの風胴に連らねて庫内上方に立ち上がる背面ダクトを設置し、当該背面ダクトに設けたスリット溝に前記商品搬出シュータの後端側に形成した爪部を挿入して係止固定した自動販売機において、前記商品搬出シュータの爪部は商品搬出シュータの後端から一体に突き出す筒部として立体形状に形成してなることを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
請求項1に記載の自動販売機において、爪部を形成する筒部は断面略凹状に形成されていることを特徴とする自動販売機。
【請求項3】
請求項1に記載の自動販売機において、爪部を形成する筒部はカール状に形成されていることを特徴とする自動販売機。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載の自動販売機において、請求項1乃至3に記載の自動販売機において、爪部を形成する筒部は閉塞されていることを特徴とする自動販売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−128550(P2010−128550A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299430(P2008−299430)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】