説明

自動販売機

【課題】商品落下後の商品跳ね上がりによる不具合を抑制するために、簡素な構造でシュートのたわみを抑制し、低コストで安定した品質を確保する。
【解決手段】商品収納室から落下した商品126を商品取出口107へ案内するシュート108を商品収納室の下方に傾斜して備えた自動販売機101において、シュート108の前端面に固定部119を備え、固定部119を自動販売機本体に固定するもので、シュート108の前端面の固定部周辺にスリット122を設けたことにより、商品落下後のシュート108への衝撃荷重は、スリット122により分散され、コスト削減と、構成の簡素化による組立性を向上した上で、商品跳ね上がりによる不具合を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品払出装置を備えた商品収納室から搬出された商品をシュートを介して取出口に送出する自動販売機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自動販売機は、商品収納部から搬出される商品をシュート上を滑走または転動させ取出口まで誘導するために、シュート上に構成した商品誘導部材により取出口に誘導させている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
図10は特許文献1に記載された従来の自動販売機を示すものである。図10に示す様に、自動販売機1の図示しない内側天井部に吊り下げられ横方向に複数並ぶ商品収納室2と自動販売機1前面下部に設けられた図示しない取出口との間に、断熱を目的として構成された開閉自在の内扉3と、商品収納室2と取出口との間に商品収納室2より搬出された商品4が滑降または転動するように傾斜して配されたシュート5を備えている。内扉3には商品4が通過可能な大きさの開口部6が設けられており、商品収納室2から商品4が搬出された際に、シュート5上を転動または滑降する商品4を開口部6へ寄せ集めるために、複数の傾斜面からなる商品誘導部材7が設けられている。
【0004】
以上のように構成された自動販売機について、以下その動作を説明する。
【0005】
商品収納部2より搬出された商品はシュート5上に落下し、取出口の方向へ傾斜したシュート5上を転動または滑降しながら移動する。その際、商品はシュート5上に構成された商品誘導部材7によって横方向に誘導され、内扉3の開口部6に寄せ集められて取出口まで搬出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−13538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の自動販売機では、シュート5における商品落下後の商品跳ね上がりによる不具合が発生する点に関しては具体的な開示がなく、一般的には自動販売機本体にビス等で前端を固定するが、その場合、シュート5のたわみにより商品が跳ね上がり、安定した転動または滑降が損なわれる課題を有している。また、シュート5のたわみを抑制するために、シュート5の挙動をダンパー部材で抑制する構造も考えられるが、部品点数の増加や構成の複雑化によりコストが高くなってしまうという課題を有している。
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、商品落下後の商品跳ね上がりによる不具合を抑制するために、簡素な構造でシュートのたわみに起因する商品跳ね上げを抑制し、低コストで安定した品質を確保できる自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記従来の課題を解決するために、本発明の自動販売機は、商品収納室から落下した商品を商品取出口へ案内するシュートを商品収納室の下方に傾斜して備え、商品収納室内に収納された商品が横倒し姿勢でシュートに落下送出される自動販売機において、シュートの前端面に固定部を備え、固定部を自動販売機本体に固定するもので、シュートの前端面
の固定部周辺に開口部を設けたものである。
【0010】
これによって、商品落下後のシュートへの衝撃荷重は、シュートの前端面の固定部周辺に設けた開口部により分散され、シュート部品構成を1部品化することができ、コスト削減と、構成の簡素化による組立性を向上した上で、商品跳ね上がりによる不具合を抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の自動販売機は、コスト削減した上で、商品払出時のシュート上での商品誘導性を向上することができるため、自動販売機の搬出時の品質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態における自動販売機の側面図
【図2】実施の形態1の自動販売機の要部斜視図
【図3】実施の形態1の自動販売機の動作説明図
【図4】実施の形態1の自動販売機の動作説明図
【図5】実施の形態1の自動販売機の要部斜視図
【図6】実施の形態1の自動販売機の動作説明図
【図7】実施の形態1の自動販売機の動作説明図
【図8】実施の形態2の自動販売機の要部斜視図
【図9】実施の形態2の自動販売機の動作説明図
【図10】従来の自動販売機の要部斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
請求項1に記載の発明は、商品収納室から落下した商品を商品取出口へ案内するシュートを前記商品収納室の下方に傾斜して備え、前記商品収納室内に収納された前記商品が横倒し姿勢で前記シュートに落下送出される自動販売機において、前記シュートの前端面に固定部を備え、前記固定部を自動販売機本体に固定するもので、前記シュートの前端面の固定部周辺に開口部を設けたものであり、商品落下時のシュートへの衝撃荷重は、シュートの前端面の固定部周辺に設けた開口部により分散され、商品跳ね上がりによる不具合を抑制することで、コスト削減した上で、商品払出時のシュート上での商品誘導性を向上することができるため、自動販売機の搬出時の品質を向上することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記開口部は、一部をシュートの前端面の端辺に開放した構成としたものであり、商品落下時のシュートへの衝撃荷重を、前端面の端辺に開放した開口部構造とすることで、より効率的に分散することができ、商品跳ね上がりによる不具合を確実に抑制することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記開口部は前記シュートの商品送出方向に平行なスリット形状としたものであり、商品落下時のシュートへの衝撃荷重を、平行なスリット形状とした開口部構造とすることで、より効率的に分散することができ、商品跳ね上がりによる不具合を確実に抑制することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記開口部は固定部を挟んで複数形成したものであり、商品落下時のシュートへの衝撃荷重を、固定部を挟んで複数形成した開口部構造とすることで、より効率的に分散することができ、商品跳ね上がりによる不具合を確実に抑制することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、前記シュートの前端面の固定部を段付形状としたものであり、商品落下時のシュートの変形自
由度が高まり、効率的な荷重分散により商品跳ね上がりによる不具合を確実に抑制することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明において、前記シュートの前端面の固定部は自動販売機本体に対してクリアランスを有して固定したものであり、商品落下時のシュートの変形自由度がさらに高まり、効率的な荷重分散により商品跳ね上がりによる不具合を確実に抑制することができる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における自動販売機の側面図である。
【0021】
図1で本発明の自動販売機101は自動販売機本体102とその前面を開閉する外扉103を備えている。外扉103と自動販売機本体102の間には内扉104が配置され、自動販売機本体102の前面は開閉自在に構成されている。自動販売機本体102内には缶商品などを収納する複数の商品収納部105を形成し、商品は上下に積み重ねて収納されている。商品収納部105の下部には、選択された商品を搬出する商品払出装置106が商品収納部105ごとに配置されている。
【0022】
商品払出装置106の下方には、搬出された商品を外扉103に構成した取出口107へ排出するシュート108が傾斜配置して形成されている。また内扉104の下部には搬出扉109があり、取出口107とシュート108の間に構成され、販売待機時は搬出扉109によって、この間が仕切られている状態となっている。
【0023】
シュート108の下部には、冷却システムを構成する蒸発器110や加温装置(図示しない)が配置され、各室へは庫内ファン111によって収納室内を所定温度に冷却または加温する。
【0024】
また自動販売機本体102の下部には断熱板112で区画された機械室113が形成されており、機械室113の前方側には冷却システムの凝縮器114を配置し、その後方に凝縮器ファン115が備えられ、凝縮器ファン115によって自動販売機101の前方から空気を吸い込み凝縮器114を通過して風下側にある蒸発皿(図示しない)や圧縮機116に導かれる構成となっている。
【0025】
図2は本発明の実施の形態1におけるシュートの斜視図である。
【0026】
シュート108の構成は、1部品から一体に形成されており、具体的には、シュート108の傾斜面117は、比較的なだらかな傾斜で形成された第1傾斜面117aと第1傾斜面117aよりもやや大きな傾斜を有する第2傾斜面117bと第2傾斜面よりもさらに大きな傾斜を有する第3傾斜面117cからなり、第3傾斜面117cには複数の面からなる商品誘導部118がシュート108のそれぞれ左右端(またはどちらか一方)に構成されている。
【0027】
シュート108の第3傾斜面117c左側には、第3傾斜面117cからおおむね鉛直方向でかつ奥方向から前方の搬出扉109に向かって、第3傾斜面117cの幅寸法を徐々に狭めるように形成された第1誘導部118aと、第1誘導部118aの上端面から外方へ向かって傾斜した第2誘導部118bが形成されている。また、第1誘導部118aと第2誘導部118bの境界は比較的大きな半径(おおむねR20程度)を有する形状で
構成されている。
【0028】
シュート108の第3傾斜面117c右側には、第3傾斜面117cから外方へ向かって傾斜しかつ奥方向から前方の搬出扉109に向かって形成された第3誘導部118cが、第1誘導部118aおよび第2誘導部118bと幅方向で対峙するように構成されている。
【0029】
また、商品の落下距離が比較的大きな前側通路(前から2通路程度)より商品を搬出した際に、少なくとも落下商品の一部が、先に商品誘導部118に当接するように、商品誘導部118の位置を設定している。
【0030】
また、シュート108の第3傾斜面117c前端には第3傾斜面117cよりもさらに傾斜の大きな第4傾斜面117dが形成されており、第4傾斜面117dの前端から下方かつ奥方向に延在された第1固定部119aと、第1固定部119a下端から下方(鉛直方向)に延在された第2固定部119bからなる固定部119が構成されている。
【0031】
第2固定部119b下方中央付近には、第2固定部119bよりもやや前方に突出した突出面120と突出面120に固定穴121を有した段付形状としている。
【0032】
また、第2固定部119bの突出面120の近傍周辺には、開口部としての複数のスリット122を有し、複数のスリット122は、第2固定部119bの下端辺から下方に開放した状態で形成されている。そして、複数のスリット122は、固定穴121を挟んで左右に形成し、スリット122はシュート108の商品送出方向に平行で、第2固定部119bから第1構成部119aに跨って構成している。
【0033】
また、自動販売機101庫内下方前側に垂直方向に直延しかつ左右に延在して構成された取付部材123には各庫内毎にシュート108を取り付けるための穴124が形成されており、この取付用の穴124とシュート108の前側に形成された穴121に合わせてビス125にて取り付けされている。自動販売機101庫内奥側にはシュート108の奥側が取り付けられており(詳細は図示しない)、シュート108は前側と奥側で両端支持された状態で自動販売機101の庫内に取り付けられている。
【0034】
以上のように構成された自動販売機について、以下その動作、作用を説明する。
【0035】
商品126購入時に任意の商品払出装置106作動により、商品126は商品収納部105の下積みの方から1個だけ搬出される。この時商品126はシュート108に接触するまで自由落下し、それ以降は、商品126はシュート108の傾斜面117上を滑降または転動し、途中商品誘導部材118による方向規制を受けつつ取出口107の方に誘導される。この、商品126がシュート108上を滑降または転動して取出口107まで誘導される過程について以下説明する。
【0036】
図3は商品126が商品払出装置106作動により搬出された場合の動作を示すものである。商品126が商品払出装置106作動により搬出されると商品126は自由落下にてシュート108上に落下する。その際にシュート108には商品126の落下衝撃が加わるが、シュート108はその前側と奥側をそれぞれ自動販売機庫内の取付部に固定された両端支持の取り付け構造であるため、商品126の落下地点に対したわみ(A)を生じる。このたわみは瞬時に復元するが、この復元の際に落下商品を跳ね上げるという問題が従来よりあった。商品が跳ね上げられることにより、商品の搬出挙動が悪化し、時にはシュート108上に立直する等による商品詰まりを生じる。しかしながら、本実施の形態においては、第2固定部119bの突出面120の近傍周辺には、開口部としての複数のス
リット122を有しているので、固定部への衝撃の伝達を複数のスリット122により分散し、衝撃伝達を吸収、緩和することができるため、商品126の跳ね返しを緩和することができる。したがって、コスト削減した上で、商品払出時のシュート上での商品誘導性を向上することができるため、自動販売機の搬出時の品質を向上することができる。
【0037】
また、複数のスリット122は、第2固定部119bの下端辺から下方に開放した状態で形成されているので、より効率的に衝撃が吸収され、伝達を分散することができ、商品跳ね上がりによる不具合を確実に抑制することができる。
【0038】
また、スリット122はシュート108の商品送出方向に平行で、第2固定部119bから第1構成部119aに跨って構成しているので、さらに効率的に衝撃が吸収され、伝達を分散することができ、商品跳ね上がりによる不具合を確実に抑制することができる。
【0039】
また、複数のスリット122は、固定穴121を挟んで左右に形成しているので、バランスよく衝撃が吸収され、伝達を分散することができ、商品跳ね上がりによる不具合を確実に抑制することができる。
【0040】
また、図4は、シュート108の第2固定部119b近傍を示すものである。第2固定部119b下方中央付近には、第2固定部119bよりもやや前方に突出した突出面120と突出面120に固定穴121を有した段付形状とし、また、自動販売機101庫内下方前側に左右に延在して構成された取付部材123には各庫内毎にシュート108取付用の穴124が形成されており、シュート108の前側はこの取付用の穴124に合わせてビス125により取り付けされていることにより、第2構成部119bは取付部材123に対して段付形状分のスペース(B)を有する構成となっていることから、商品の落下衝撃によりシュートがたわみで変形する際に変形量B´(B>B´)においては取付部材123に干渉することが無く変形できることから、商品落下時のシュートの変形自由度が高まり、効率的な荷重分散により商品跳ね上がりによる不具合を確実に抑制することができる。
【0041】
これらから、商品払出装置106作動により搬出された商品は、シュート108による商品の跳ね上げを抑制することができるため、詰まり等なく安定した商品の送出ができる。
【0042】
図5は商品が奥側の通路から搬出された場合の商品の挙動を示すものである。シュート108の第3傾斜面117c左側には、第3傾斜面117cからおおむね垂直方向に直延しかつ奥方向から前方の搬出扉109に向かって形成された第1誘導部118aと第1誘導部118aの上端から外方へ向かって傾斜した第2誘導部118bが形成されている。また、第1誘導部118aと第2誘導部118bの境界は比較的大きな半径(おおむねR20程度)を有する形状で構成されている。
【0043】
商品が奥側の通路から搬出される際に、転動して前側に送出され、かつ商品誘導部118により取出口107へ誘導される。その際に、もし第1誘導部が無い、あるいは傾斜したものである場合は第2誘導面に商品が乗り上げることにより、商品姿勢が傾き、なおかつ搬出扉に衝突した際の跳ね返しが加わることにより、商品がシュート上で立直する等による商品詰まりのリスクがある。しかしながら、本発明では、第1誘導部118aは第2傾斜面117bからおおむね垂直方向に鉛直面(おおむね商品胴径の半分程度)を有しているため、商品が第2誘導部118bの上に乗り上げることなく第1誘導面による商品誘導ができる。すなわち、奥側の通路から搬出された商品を安定して取出口まで誘導することができる。
【0044】
また、図6および図7は前側通路より商品を搬出した動作を示す図である。商品の落下距離が比較的大きな前側通路(前から2通路程度)より商品を搬出した際に、少なくとも落下商品の一部が、先に商品誘導部118に当接するように、商品誘導部118の位置を設定しているので、落下距離が大きな通路からの商品搬出においても、落下衝撃を2段階に分散することができるとともに、鉛直方向の衝撃力をシュート108の商品誘導部118により横方向に変換することでシュートへの衝撃を分散することができるため、シュートのたわみによる商品跳ね上げを抑制することができる。
【0045】
また、シュート108の傾斜面は、比較的なだらかな傾斜で形成された第1傾斜面117aと第1傾斜面117aよりもやや大きな傾斜を有する第2傾斜面117bと第2傾斜面よりもさらに大きな傾斜を有する第3傾斜面117cという複数の傾斜面を形成しているので、シュート108の下方に配置される冷却、加熱用機能部品、送風機等を収納するスペースを広くすることになり、シュート108の下方のスペースの有効利用が可能となる。また、シュート108を上記複数の傾斜面とすることで、奥側から前方への商品の搬出をスムーズに行うことができる。
【0046】
また、シュート108は商品誘導部118を含めて一体に形成しているので、構造バラツキを抑え、低コスト化を図ることができる。
【0047】
(実施の形態2)
図8は本発明の実施の形態2におけるシュートの斜視図である。なお、実施の形態1と同一構成については、詳細な説明を省略し、異なる部分のみ説明する。
【0048】
図8において、シュート108の構成は、1部品から一体に形成されており、具体的には、シュート108の傾斜面117は、比較的なだらかな傾斜で形成された第1傾斜面117aと第1傾斜面117aよりもやや大きな傾斜を有する第2傾斜面117bと第2傾斜面よりもさらに大きな傾斜を有する第3傾斜面117cからなり、第3傾斜面117cには複数の面からなる商品誘導部118がシュート108のそれぞれ左右端(またはどちらか一方)に構成されている。
【0049】
シュート108の第3傾斜面117c左側には、第3傾斜面117cからおおむね鉛直方向でかつ奥方向から前方の搬出扉109に向かって、第3傾斜面117cの幅寸法を徐々に狭めるように形成された第1誘導部118aと、第1誘導部118aの上端面から外方へ向かって傾斜した第2誘導部118bが形成されている。また、第1誘導部118aと第2誘導部118bの境界は比較的大きな半径(おおむねR20程度)を有する形状で構成されている。
【0050】
シュート108の第3傾斜面117c右側には、第3傾斜面117cから外方へ向かって傾斜しかつ奥方向から前方の搬出扉109に向かって形成された第3誘導部118cが、第1誘導部118aおよび第2誘導部118bと幅方向で対峙するように構成されている。
【0051】
また、商品の落下距離が比較的大きな前側通路(前から2通路程度)より商品を搬出した際に、少なくとも落下商品の一部が、先に商品誘導部118に当接するように、商品誘導部118の位置を設定している。
【0052】
シュート108の第3傾斜面117c前端には第3傾斜面117cよりもさらに傾斜の大きな第4傾斜面117dが形成されており、第4傾斜面117dの前端から下方かつ奥方向に延在された第1固定部119aと、第1構成部119a下端から下方(鉛直方向)に延在された第2固定部119bからなる固定部119が構成されている。第2固定部1
19b下方中央付近には、固定穴121を有している。
【0053】
また、第2固定部119bの突出面120の近傍周辺には、開口部としての複数のスリット122を有し、複数のスリット122は、第2固定部119bの下端辺から下方に開放した状態で形成されている。そして、複数のスリット122は、固定穴121を挟んで左右に形成し、スリット122はシュート108の商品送出方向に平行で、第2固定部119bから第1構成部119aに跨って構成している。
【0054】
また、自動販売機101庫内下方前側に左右に延在して構成された取付部材123には各庫内毎にシュート108取付用の穴124が形成されており、シュート108の前側はこの取付用の穴124に合わせてカラー付ビス127により取り付けされているが、穴124はカラー付ビス127のカラー部127aの径よりも大きな径を有しており、カラー部127aが挿通保持されておりカラー部127aの長さ寸法の範囲でおおむね2〜3mm程度のスライドが可能となっている。すなわち、シュート108の前側固定部は、取付部材123に対し、前後方向にスライドが可能な構成とし、シュートの前端面の固定部は自動販売機本体に対してクリアランスを有して固定したものである。そして、自動販売機101庫内奥側にはシュート108の奥側が取り付けられており(詳細は図示しない)、シュート108は前側と奥側で両端支持された状態で自動販売機101の庫内に取り付けられている。
【0055】
図9は、シュート108の第2固定部119b近傍を示すものである。第2固定部119b下方中央付近には固定穴121を有しており、また、自動販売機101庫内下方前側に左右に延在して構成された取付部材123には各庫内毎にシュート108取付用の穴124が形成されており、穴124はカラー付ビス127のカラー部127aの径よりも大きな径を有しており、カラー部127aが挿通保持されておりカラー部127aの長さ寸法の範囲(B)(おおむね2〜3mm程度)のスライドが可能となっている。すなわち、シュートの前側固定部は、取付部材123に対し、前後方向にスライドが可能な構成となっている。このことから、商品の落下衝撃によりシュートがたわみで変形する際に変形量B´(B>B´)においては取付部材123に干渉することが無く変形できることから、衝撃を分散することができる。
【0056】
以上のように構成された自動販売機について、以下その動作、作用を説明する。
【0057】
商品126購入時に任意の商品払出装置106作動により、商品126は商品収納部105の下積みの方から1個だけ搬出される。この時商品126はシュート108に接触するまで自由落下し、それ以降は、商品126はシュート108の傾斜面117上を滑降または転動し、途中商品誘導部材118による方向規制を受けつつ取出口107の方に誘導される。この、商品126がシュート108上を滑降または転動して取出口107まで誘導される過程について以下説明する。
【0058】
商品126が商品払出装置106作動により搬出されると商品126は自由落下にてシュート108上に落下する。その際にシュート108には商品126の落下衝撃が加わるが、シュート108はその前側と奥側をそれぞれ自動販売機庫内の取付部に固定された両端支持の取り付け構造であるため、商品126の落下地点に対したわみ(A)を生じる。このたわみは瞬時に復元するが、この復元の際に落下商品を跳ね上げるという問題が従来よりあった。商品が跳ね上げられることにより、商品の搬出挙動が悪化し、時にはシュート108上に立直する等による商品詰まりを生じる。しかしながら、本実施の形態においては、シュート108の前側固定部は、取付部材123に対し、前後方向にスライドが可能な構成とし、シュートの前端面の固定部は自動販売機本体に対してクリアランスを有して固定している。すなわち、商品の落下衝撃によりシュートがたわみで変形する際に変形
量B´(B>B´)においては取付部材123に干渉することが無く変形できることから、衝撃を分散することができ、商品払出装置106作動により搬出された商品は、シュート108による商品の跳ね上げを抑制することができるため、詰まり等なく安定した商品の送出ができる。
【0059】
なお、本実施の形態では固定部のクリアランスを前後方向にスライドが可能な構成としたもので説明したが、カラー付ビス127の内径に対し、取付部材123の穴124の径を充分に大きく設定して、上下方向のスライドも可能としてもよい。この場合、前後方向のスライドと上下方向のスライドにより、衝撃をさらに効率よく分散することができ、詰まり等なく安定した商品の送出ができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上のように、本発明にかかる自動販売機は、商品払出時のシュート上での商品誘導性を向上することができるので、シュートを備えたあらゆる自動販売機器の用途に適用できる。
【符号の説明】
【0061】
101 自動販売機
105 商品収納部
106 商品払出装置
107 取出口
108 シュート
117 (シュートの)傾斜面
117a (シュートの)第1傾斜面
117b (シュートの)第2傾斜面
117c (シュートの)第3傾斜面
117d (シュートの)第4傾斜面
118 商品誘導部
118a 第1誘導部
118b 第2誘導部
118c 第3誘導部
119 固定部
119a 第1固定部
119b 第2固定部
120 突出面
121 固定穴
122 スリット
123 取付部材
124 穴
125 ビス
126 商品
127 カラー付ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品収納室から落下した商品を商品取出口へ案内するシュートを前記商品収納室の下方に傾斜して備え、前記商品収納室内に収納された前記商品が横倒し姿勢で前記シュートに落下送出される自動販売機において、前記シュートの前端面に固定部を備え、前記固定部を自動販売機本体に固定するもので、前記シュートの前端面の固定部周辺に開口部を設けたことを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
前記開口部は、一部をシュートの前端面の端辺に開放した構成としたことを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項3】
前記開口部は前記シュートの商品送出方向に平行なスリット形状としたことを特徴とする請求項1または2に記載の自動販売機。
【請求項4】
前記開口部は固定部を挟んで複数形成したことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の自動販売機。
【請求項5】
前記シュートの前端面の固定部を段付形状としたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の自動販売機。
【請求項6】
前記シュートの前端面の固定部は自動販売機本体に対してクリアランスを有して固定したことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の自動販売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−95968(P2011−95968A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248733(P2009−248733)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】