説明

自動販売機

【課題】コストの低減化を図ることができる自動販売機を提供すること。
【解決手段】上壁11、一対の側壁12、底壁13、背壁14から成る前面が開口した外箱10の内部に、断熱材から成る板状の断熱ボード21を配設して断熱構造の商品収容室20を構成し、該商品収容室20の内部を断熱仕切板22により複数の商品収容庫23を画成し、各商品収容庫23毎に商品収納ラック30を配設した自動販売機において、底壁13の設置部位に配設された断熱ボード21は、各商品収容庫23に対応する第1通孔部211、第2通孔部212及びドレンパン凹部213がそれぞれ互いの間隔が予め決められた標準化された寸法となるよう設けられた断熱ボード基体21aを、その幅寸法及び奥行き寸法が設置部位の幅寸法及び奥行き寸法に一致するよう必要に応じて裁断加工することにより構成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を販売する自動販売機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を販売する自動販売機においては、前面が開口した自動販売機本体の内部に断熱構造の商品収容庫が設けられているとともに、この商品収容庫の内部に商品を収納するための商品収納ラックが設けられている。そして、商品収容庫の内部雰囲気を冷却、若しくは加熱することによって商品収納ラックに収納された商品を所望の温度状態に維持するようにしている。
【0003】
商品収容庫は、自動販売機本体の上壁、一対の側壁、底壁及び背壁の設置部位に断熱材から成る板状の断熱ボードを配設して断熱構造の室を構成し、該室の内部を仕切板により仕切ることにより画成されるものである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3975620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自動販売機は機種によってその庫内容積が異なる。特に、商品収納ラックの前後に並ぶコラム列数を変えて販売商品のセレクションにバリエーションをもたせるために、自動販売機本体の奥行き寸法が機種によって異なる。そのため、商品収容庫を画成する断熱ボードも機種毎に応じてその大きさが異なる。特に自動販売機本体の底壁の設置部位に配設される断熱ボードは、各商品収容庫毎にドレンパンを設置するための設置用の凹部や、ドレンパイプや冷却ユニットのパイプ類の通し用の孔部を形成しなければならない。よって、機種毎に応じて金型を作製して、底壁に配設される断熱ボードを製作する必要があった。従って、各金型の作製に要する費用も過大なものとなり、製造コストの増大化を招来していた。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて、コストの低減化を図ることができる自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る自動販売機は、上壁、一対の側壁、底壁、背壁から成る前面が開口した自動販売機本体の内部に、断熱材から成る板状の断熱ボードを配設して断熱構造の室を構成し、該室の内部を仕切板により複数の商品収容庫を画成し、各商品収容庫毎に商品収納ラックを配設した自動販売機において、前記底壁の設置部位に配設された断熱ボードは、各商品収容庫に対応する孔部及び凹部がそれぞれ互いの間隔が予め決められた標準化された寸法となるよう設けられた板状体を、その幅寸法及び奥行き寸法が前記設置部位の幅寸法及び奥行き寸法に一致するよう必要に応じて裁断加工することにより構成したものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の自動販売機によれば、底壁の設置部位に配設された断熱ボードは、各商品収容庫に対応する孔部及び凹部がそれぞれ互いの間隔が予め決められた標準化された寸法となるよう設けられた板状体を、その幅寸法及び奥行き寸法が設置部位の幅寸法及び奥行き寸法に一致するよう必要に応じて裁断加工することにより構成したものであるので、適用される自動販売機の機種毎に応じて金型を作製しなくても、単一の金型で板状体を作成し、適用される機種に応じた寸法に一致するよう板状体の外径寸法を裁断すればよい。従って、単一の金型を用いることが可能になるため、コストの低減化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の実施の形態である自動販売機を概念的に示す概念図である。
【図2】図2は、図1に示した自動販売機の外箱及び商品収容室の構成を示す概念図である。
【図3】図3は、図1に示した自動販売機の外箱の内部における1つの商品収容庫の内部構造を示す断面側面図である。
【図4】図4は、図1及び図2に示した商品収容室を構成するもので、底壁の設置部位に配設される断熱ボードを示す平面図である。
【図5】図5は、図4に示した断熱ボードの製造過程を示す説明図である。
【図6】図6は、図4に示した断熱ボードの他の製造過程を示す説明図である。
【図7】図7は、図4に示した断熱ボードの他の製造過程を断面で示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態である自動販売機を概念的に示す概念図である。ここで例示する自動販売機は、例えば缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を冷却、若しくは加熱した状態で販売するもので、外箱10、外扉40及び内扉50を備えている。
【0012】
外箱10は、図2に示すように、複数の金属板を適宜組み合わせることによって構成した自動販売機本体であり、前面が開口した箱状に構成してある。より具体的には、上壁11、一対の側壁12、底壁13、背壁14を接合することによって外箱10を構成している。一対の側壁12は、それぞれ底壁13よりも下方に延在しており、互いの間に台座壁15を接合してある。
【0013】
外箱10には、その内部に断熱構造の商品収容室20が設けてある。本実施の形態では、図2に示すように、上壁11、一対の側壁12、底壁13、背壁14の内壁面の設置部位にそれぞれ予め板状に成形した断熱ボード21を配設することにより、これら断熱ボード21によって囲まれる空間に商品収容室20を構成している。そして、商品収容室20に対して前方側より例えば2つの断熱仕切板22を挿入させることで、外箱10の内部に3つの独立した商品収容庫23が左右に並んだ態様で設けられている。
【0014】
図3は、図1に示した外箱10の内部における1つの商品収容庫23の内部構造を示す断面側面図である。この図3では、最も左側にある商品収容庫(以下、左庫ともいう)23の内部構造について示すが、中央の商品収容庫(以下、中庫ともいう)23及び右側の商品収容庫(以下、右庫ともいう)23の内部構造も左庫23と略同じような構成を有している。尚、本明細書における左側とは、自動販売機を正面側から見た場合の左方を示し、右側とは、自動販売機を正面側から見た場合の右方を示す。
【0015】
左庫23の内部には、搬出シュータ24が設けてあり、この搬出シュータ24よりも下方となる領域(以下、「熱交換領域」ともいう)に温度調節ユニット25が配設してある一方、搬出シュータ24よりも上方となる領域(以下、「商品収納領域」ともいう)に商品収納ラック30が配設してある。
【0016】
搬出シュータ24は、商品収納ラック30から払い出された商品を内扉50の商品搬出口に案内するためのプレート状部材であり、前方側に向けて漸次下方に傾斜する態様で配設してある。この搬出シュータ24には、熱交換領域と商品収納領域との間を連通させる通気孔が多数穿設してある。
【0017】
温度調節ユニット25は、左庫23の内部雰囲気を所望の温度状態に維持するためのもので、蒸発器25a、電熱ヒータ25b及び庫内送風ファン25cを備えて構成してある。
【0018】
蒸発器25aは、圧縮機261、凝縮器262及び膨張弁263と冷媒配管27にて接続されて冷凍サイクルを構成するものであり、自身の流路を通過する冷媒が蒸発することで周囲空気を冷却するものである。ここで、圧縮機261、凝縮器262及び膨張弁263は、外箱10の内部であって商品収容室20の下方に区画された機械室16に配設してある。
【0019】
電熱ヒータ25bは、蒸発器25aの前方域に配設してあり、通電状態となることにより自身の周囲空気を加熱する加熱源である。庫内送風ファン25cは、左庫(商品収容庫)23の内部空気を循環させるための送風手段である。
【0020】
このような温度調節ユニット25においては、例えば冷凍サイクルを運転した状態で庫内送風ファン25cを駆動すると、蒸発器25aにおいて冷却された空気が搬出シュータ24の通気孔を通じて上方に送給されるため、商品収納ラック30(商品収納領域)を低温状態に維持することができる。一方、電熱ヒータ25bに通電した状態で庫内送風ファン25cを駆動すると、電熱ヒータ25bによって加熱された空気が搬出シュータ24の通気孔を通じて上方に送給されるため、商品収納ラック30(商品収納領域)を高温状態に維持することができる。
【0021】
外扉40は、外箱10の前面開口を覆うためのもので、外箱10の一側縁部に開閉可能に配設してある。外扉40の前面には、商品を販売する際に必要となるディスプレイウィンドウ、商品選択ボタン、紙幣挿通口、硬貨投入口、返却レバー、金額表示器、硬貨返却口が設けてあるとともに(いずれも図示せず)、商品取出口41が設けてある。
【0022】
内扉50は、商品収容庫23(商品収容室20)の前面を覆うためのもので、外扉40よりも内方となる位置において外箱10の一側縁部に開閉可能に配設した自動販売機用扉体である。この内扉50は、上下に分割された構造を有しており、上側の扉50aは、商品の補充を行うためのものである。下側の扉50bには、搬出シュータ24を通じて払い出される商品を通過させる商品搬出口51及びこの商品搬出口51を開閉する商品搬出口扉52が設けてある。
【0023】
図4は、図1及び図2に示した商品収容室20を構成するもので、底壁13の設置部位に配設される断熱ボード21を示す平面図である。ここで例示する断熱ボード21は、例えば発泡スチロールや発泡ウレタン等で構成される矩形状の板材であり、底壁13の設置部位を覆うのに十分な大きさを有している。この断熱ボード21には、第1通孔部211及び第2通孔部212が設けてある。
【0024】
第1通孔部211は、複数(図示の例では3つ)設けてあり、断熱ボード21の前端部に設けてある。これら第1通孔部211は、冷凍サイクルを構成する冷媒配管27が挿通するものであり、左側の第1通孔部211には左庫23の蒸発器25aに接続される冷媒配管27が挿通し、中央の第1通孔部211には中庫23の蒸発器25aに接続される冷媒配管27が挿通し、右側の第1通孔部211には右庫23の蒸発器25aに接続される冷媒配管27が挿通する。
【0025】
第2通孔部212は、複数(図示の例では3つ)設けてあり、断熱ボード21の後部に設けてある。これら第2通孔部212は、それぞれドレンパン(図示せず)を設置するためのドレンパン凹部213に形成されている。ここでドレンパンは、上記蒸発器25aの結露水を受け止める皿状のものである。従って、ドレンパン凹部213に設置されたドレンパンの上に上記蒸発器25aが配設されることになる。つまり、左側のドレンパン凹部213に設置されたドレンパンの上には左庫23の蒸発器25aが配設され、中央のドレンパン凹部213に設置されたドレンパンの上には中庫23の蒸発器25aが配設され、右側のドレンパン凹部213に設置されたドレンパンの上には右庫23の蒸発器25aが配設されることになる。第2通孔部212は、それぞれドレンパンにその底部に連通する態様で連結されたドレンパイプが挿通するものである。
【0026】
このような底壁13に配設された断熱ボード21においては、第1通孔部211どうしの互いの間隔や、第2通孔部212どうしの互いの間隔、ドレンパン凹部213どうしの互いの間隔が予め決められた標準化された寸法となるように規定されている。
【0027】
そして、かかる断熱ボード21は次のようにして形成されるものである。図5の(a)に示すように、適用されるもののうち最大のものに合わせた外形を有する断熱ボード(以下、断熱ボード基体ともいう)21aを用意する。かかる断熱ボード基体21aにも互いの間隔が標準化された寸法となる第1通孔部211及び第2通孔部212(ドレンパン凹部213を含む)が形成してある。
【0028】
この断熱ボード基体21aに対して、適用される自動販売機の設置部位の幅寸法及び奥行き寸法に一致するように裁断加工(図5の(a)の二点鎖線で示す個所を裁断加工)することで、図5の(b)に示すように、本実施の形態である自動販売機に適用される断熱ボード21を形成することができる。
【0029】
このように本実施の形態である自動販売機においては、底壁13の設置部位に配設された断熱ボード21が、各商品収容庫23に対応する第1通孔部211、第2通孔部212及びドレンパン凹部213がそれぞれ互いの間隔が予め決められた標準化された寸法となるよう設けられた断熱ボード基体(板状体)21aを、その幅寸法及び奥行き寸法が設置部位の幅寸法及び奥行き寸法に一致するよう必要に応じて裁断加工することにより構成したものである。これにより、適用される自動販売機の機種毎に応じて金型を作製しなくても、単一の金型で断熱ボード基体21aを作成し、適用される機種に応じた寸法に一致するよう断熱ボード基体21aの外径寸法を裁断すればよい。従って、単一の金型を用いることが可能になるため、コストの低減化を図ることができる。
【0030】
上述した実施の形態では、第1通孔部211と第2通孔部212との間隔を変更せずに断熱ボード基体21aを裁断加工した場合について説明したが、第1通孔部211と第2通孔部212との互い間隔を断熱ボード基体21aに設けられたものに対して変更する必要がある場合には、次のようにしても構わない。図6の(a)及び図7の(a)に示すように断熱ボード基体21aを用意し、所定個所(図6の(a)及び図7の(a)の二点鎖線で示す個所)を裁断する。この際、第1通孔部211と第2通孔部212との間で裁断する場合には、図7の(a)に示すように所定角度だけ傾くよう斜めに裁断する。その後、図7の(b)に示すように不要な部分を排除して、第1通孔部211が設けられたものと、第2通孔部212が設けられたものとを接合させることで所望の断熱ボード21が形成される(図7の(b)参照)。この場合、所定角度だけ傾くよう斜めに裁断したことで2つの部材の接合個所では隙間が生じることを抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上のように、本発明に係る自動販売機は、例えば缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を販売するのに有用である。
【符号の説明】
【0032】
10 外箱
11 上壁
12 側壁
13 底壁
14 背壁
20 商品収容室
21 断熱ボード
211 第1通孔部
212 第2通孔部
213 ドレンパン凹部
21a 断熱ボード基体
22 断熱仕切板
23 商品収容庫
24 搬出シュータ
25 温度調節ユニット
30 商品収納ラック
40 外扉
41 商品取出口
50 内扉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上壁、一対の側壁、底壁、背壁から成る前面が開口した自動販売機本体の内部に、断熱材から成る板状の断熱ボードを配設して断熱構造の室を構成し、該室の内部を仕切板により複数の商品収容庫を画成し、各商品収容庫毎に商品収納ラックを配設した自動販売機において、
前記底壁の設置部位に配設された断熱ボードは、
各商品収容庫に対応する孔部及び凹部がそれぞれ互いの間隔が予め決められた標準化された寸法となるよう設けられた板状体を、その幅寸法及び奥行き寸法が前記設置部位の幅寸法及び奥行き寸法に一致するよう必要に応じて裁断加工することにより構成したものであることを特徴とする自動販売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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