説明

自動販売機

【課題】稼働中の負荷変動を考慮した運転制御を行うことにより、運転効率を一層向上させることができる自動販売機を提供する。
【解決手段】自動販売機10は、商品収納室12の室内温度が予め設定された温度域になるように冷却加熱装置14の運転を制御する制御装置16を備える。制御装置16には、商品収納室12での加熱負荷及び冷却負荷の指標となる負荷指標値を自動販売機10の稼働中に測定する負荷指標値測定部70と、負荷指標値に応じた最適な運転パラメータが予め設定された記憶部72から、測定した負荷指標値に対応する最適な運転パラメータを取得する運転パラメータ取得部74と、取得した最適な運転パラメータを用いて冷却加熱装置14の運転制御を行う運転制御部78とが設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品を収納する商品収納室内の温度を予め設定された温度域とするように冷却加熱装置の運転を制御する制御装置を備えた自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
自動販売機では、商品収納室を構成する加熱庫を加熱し冷却庫を冷却するために、圧縮機、凝縮器、蒸発器及び膨張装置を備えた冷却加熱装置を用いることが一般に行われている。
【0003】
特許文献1には、このような冷却加熱装置を用いた自動販売機において、商品収納ラックの設置段数に応じた最適負荷で運転できる制御温度を予め求めた温度テーブルに準備しておき、この温度テーブルからラックの設置段数に適合した制御温度を選定すると共に、選定した制御温度で室内の温度制御を行うことにより、運転効率を向上させ、省エネルギ化を図ろうとする制御方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−109082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1の制御方法では、商品収納室内の加熱負荷及び冷却負荷として商品収納ラックの設置段数を用い、この設置段数に応じて設定される制御温度によって各庫の加熱及び冷却を行う。換言すれば、この制御方法では、商品収納ラックの設置段数に基づいて加熱負荷及び冷却負荷を決定し、この負荷の値に対応する制御温度のみを運転パラメータとして冷却加熱装置を運転している。
【0006】
ところが、加熱庫や冷却庫での加熱負荷や冷却負荷は、自動販売機の稼働中にも変動するものであり、その要因としては、収納される商品の在庫量や周囲温度等を挙げることができる。つまり、特許文献1の制御方法の場合、自動販売機の稼働中に変動する負荷に対しては最適な運転制御をすることができず、予め設定されたラック設置段数に基づく負荷によって設定された制御温度のみを目標として一義的な運転制御を行うため、稼働中に負荷変動を生じた場合、過剰な能力や過少な能力で冷却加熱装置が運転され、運転効率の低下を惹起する可能性がある。
【0007】
従って、自動販売機の運転効率をさらに向上させるためには、加熱庫や冷却庫に収納される商品の在庫量や周囲温度等、稼働中の負荷変動にも逐次対応した運転制御を行うことが望ましい。
【0008】
本発明は、上記従来技術に関連してなされたものであり、稼働中の負荷変動を考慮した運転制御を行うことにより、運転効率を一層向上させることができる自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る自動販売機は、冷媒を吸引して圧縮する圧縮機と、該圧縮機で圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器と、該凝縮器で凝縮された冷媒を減圧する膨張装置と、該膨張装置で減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器とを備えた冷却加熱装置を用い、商品収納室に対する加熱及び冷却の両方又はいずれかを行うと共に、所定の運転パラメータに依拠して消費電力が変化する自動販売機であって、前記商品収納室内に設定された温度センサの検出温度に基づき、室内温度が予め設定された温度域になるように前記冷却加熱装置の運転を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記商品収納室での加熱負荷及び冷却負荷のうち少なくとも一方の負荷の指標となる負荷指標値を当該自動販売機の稼働中に測定する負荷指標値測定部と、負荷指標値毎の最適な運転パラメータが予め設定された最適運転パラメータ記憶部から、前記負荷指標値測定部で測定した負荷指標値に対応する最適な運転パラメータを取得する運転パラメータ取得部と、前記最適運転パラメータ取得部で取得した最適な運転パラメータを用いて冷却加熱装置の運転制御を行う運転制御部とを有することを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、商品収納室を加熱し冷却する冷却加熱装置が、自動販売機の稼働中に計測される負荷指標値に対応した最適な運転パラメータによって逐次運転制御されるため、当該自動販売機の稼働中に、例えば商品の在庫量や周囲温度の変化によって生じる負荷変動に対応した運転制御が可能となり、運転効率を向上させ、消費電力を可及的に低減させることが可能となる。
【0011】
前記運転制御部は、前記圧縮機の回転数を変化させる回転数補正部と、前記膨張装置の開度を変化させる開度補正部とを有し、前記制御装置は、前記最適運転パラメータ取得部で取得した最適な運転パラメータに基づき、前記回転数補正部及び前記開度補正部によって圧縮機の回転数及び膨張装置の開度を変化させてもよい。そうすると、運転パラメータ取得部で設定された最適な運転パラメータの値に基づき、圧縮機の回転数及び膨張装置の開度を適宜調整しながら冷却加熱装置を運転することができ、過剰な能力や過少な能力で冷却加熱装置が運転されることが回避され、自動販売機の運転効率を一層向上させることができる。
【0012】
前記負荷指標値として、前記商品収納室における加熱庫での加熱運転の運転率と冷却庫での冷却運転の運転率との比である運転率比、及び、前記加熱庫での加熱運転の運転率、及び、前記冷却庫での冷却運転の運転率、及び、当該自動販売機の周囲温度のうち、1つ又以上を用いるとよい。
【0013】
前記運転パラメータとして、前記加熱庫内の設定温度、及び、前記冷却庫内の設定温度、及び、前記圧縮機の回転数、及び、前記膨張装置の開度、及び、前記凝縮器に送風する凝縮器ファンの回転数、及び、前記蒸発器に送風する蒸発器ファンの回転数、及び、前記加熱庫に設置されるヒータの出力のうち、1つ以上を用いてもよい。また、前記制御装置は、前記凝縮器での冷媒の凝縮温度及び前記蒸発器での冷媒の蒸発温度を目標値に追従させるフィードバック制御を実行し、前記運転パラメータとして、さらに、前記凝縮温度の目標値、及び、前記蒸発温度の目標値のうち、1つ以上を用いてもよい。
【0014】
前記運転パラメータ記憶部は、前記負荷指標値毎の最適な運転パラメータをテーブル又は関数として記憶していると、運転パラメータ取得部は負荷指標値に応じた最適な運転パラメータを迅速に取得することができる。
【0015】
この場合、前記負荷指標値毎の最適な運転パラメータを記憶したテーブル又は関数は、当該自動販売機の実機又はシミュレータを用い、運転パラメータの値を変化させながら前記実機又はシミュレータの運転を行い、その運転時に最小の消費電力を発生する運転パラメータを最適な運転パラメータとして負荷指標値毎に設定して作成されてもよい。
【0016】
また、本発明に係る自動販売機は、冷媒を吸引して圧縮する圧縮機と、該圧縮機で圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器と、該凝縮器で凝縮された冷媒を減圧する膨張装置と、該膨張装置で減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器とを備えた冷却加熱装置を用い、商品収納室に対する加熱及び冷却の両方又はいずれかを行うと共に、所定の運転パラメータに依拠して消費電力が変化する自動販売機であって、前記商品収納室内に設定された温度センサの検出温度に基づき、室内温度が予め設定された温度域になるように前記冷却加熱装置の運転を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、当該自動販売機の稼働中の電力を測定し又は推定する電力取得部と、前記運転パラメータを変動させて冷却加熱装置を運転し、前記電力取得部で取得される電力測定値又は電力推定値を最小とする運転パラメータを探索して取得する運転パラメータ探索部と、前記運転パラメータ探索部で取得した運転パラメータを用いて冷却加熱装置の運転制御を行う運転制御部とを有することを特徴とする。
【0017】
このような構成によれば、商品収納室内を加熱し冷却する冷却加熱装置は、自動販売機の稼働中に計測又は推定される消費電力を最小とする運転パラメータによって逐次運転制御されるため、当該自動販売機の稼働中に、例えば商品の在庫量や周囲温度の変化によって生じる負荷変動に対応した運転制御が可能となり、運転効率を向上させ、消費電力を可及的に低減させることが可能となる。
【0018】
この場合、前記圧縮機の回転数を変化させるインバータを備え、前記電力取得部は、前記電力推定値を前記インバータによって制御される圧縮機の回転数から推定して算出してもよい。これにより、稼働中の電力を逐次計測する構成を持たない自動販売機であっても、電力推定値に基づき最適な運転制御を行うことができる。
【0019】
前記運転パラメータ探索部は、前記商品収納室での加熱負荷及び冷却負荷のうち少なくとも一方の負荷の指標となる負荷指標値に応じて、前記運転パラメータの探索初期値又は探索領域を変化させてもよい。そうすると、負荷指標値に応じた最適運転パラメータを初期値として探索開始でき、又は、負荷指標値に応じて運転パラメータの探索領域を絞り込むことができるため、探索に要する時間や処理負担を低減してその効率化を図ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、商品収納室を加熱し冷却する冷却加熱装置が、自動販売機の稼働中に計測される負荷指標値に対応した最適な運転パラメータによって逐次運転制御される。このため、当該自動販売機の稼働中に、例えば商品の在庫量や周囲温度の変化によって生じる負荷変動に対応した運転制御が可能となり、運転効率を向上させ、消費電力を可及的に低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る自動販売機の構成図である。
【図2】図2は、図1に示す自動販売機の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、第1の制御方法の手順を示すフローチャートである。
【図4】図4は、HCC運転時の運転サイクル毎の各庫内の温度変化を電磁弁の開閉タイミングや圧縮機回転数との関係で示すタイミンググラフであり、図4(A)は、左庫の加熱運転時の庫内温度と左庫熱交換器への冷媒流通をON/OFFする電磁弁の開閉タイミングとの関係を示し、図4(B)は、中庫の冷却運転時の庫内温度と第1熱交換器への冷媒流通をON/OFFする電磁弁の開閉タイミングとの関係を示し、図4(C)は、右庫の冷却運転時の庫内温度と第2熱交換器への冷媒流通をON/OFFする電磁弁の開閉タイミングとの関係を示し、図4(D)は、圧縮機の運転回転数を示し、図4(E)は、図4(D)に示す圧縮機回転数と、これと略比例関係になる冷却加熱装置の推定消費電力との関係を示している。
【図5】図5は、負荷指標値と最適運転パラメータとの対応関係のテーブルの一例を示す図であり、図5(A)は、HCC運転時のテーブルであり、図5(B)は、HHC運転時のテーブルであり、図5(C)は、CCC運転時のテーブルである。
【図6】図6は、第3の制御方法の手順を示すフローチャートである。
【図7】図7は、テーブル作成システムの一例である実験手段の構成図である。
【図8】図8は、テーブル作成方法の一例を示すフローチャートでる。
【図9】図9は、図7に示す実験手段による運転指標値の測定データの一例を示す表である。
【図10】図10は、変形例に係るテーブル作成方法の手順を示すフローチャートである。
【図11】図11は、第2の実施形態に係る自動販売機の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図12】図12は、第4の制御方法の手順を示すフローチャートである。
【図13】図13は、運転パラメータとして圧縮機回転数を用いた場合の最適運転パラメータの探索方法の説明図である。
【図14】図14は、図13に示される最適運転パラメータの探索方法の一手順を示すフローチャートである。
【図15】図15は、HCC運転時の探索領域テーブルの一例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る自動販売機について、その制御方法との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
1.第1の実施形態に係る自動販売機の説明
1.1 全体構成の説明
図1は、本発明の第1の実施形態に係る自動販売機10の構成図である。この自動販売機10は、3つの庫に仕切られた商品収納室12と、商品収納室12内を加熱及び冷却する冷却加熱装置14と、冷却加熱装置14の運転を制御すると共に当該自動販売機10の全体的な制御も行う制御装置16とを備え、商品収納室12内に収納した缶入り飲料やペットボトル飲料等の商品を冷やした状態で又は温めた状態で販売するものである。
【0024】
図1に示すように、自動販売機10は、冷却加熱装置14及び制御装置16を収納した本体キャビネット18を備える。本体キャビネット18の上部は、2枚の仕切板20、20によって仕切られることで左庫12L、中庫12M及び右庫12Rの3庫を有する商品収納室12を構成し、下部は仕切床22によって商品収納室12と仕切られた機械室24を構成する。
【0025】
本体キャビネット18の前面には図示しない開閉扉が設けられ、この開閉扉には、商品ディスプレイ、商品選択ボタン、商品取出口及び硬貨(紙幣)投入口等が配設される。なお、図1では、制御装置16を機械室24に配置した構成を例示しているが、制御装置16は、例えば前記開閉扉の裏面位置や商品収納室12の前面位置、機械室24の前面位置等に配設してもよく、本体キャビネット18内又は本体キャビネット18外の適切な箇所に適宜配設されればよい。
【0026】
冷却加熱装置14は、機械室24に配設される圧縮機26、庫外熱交換器28及び電子膨張弁(EEV。膨張装置)30と、左庫12Lに配設される左庫熱交換器(凝縮器、蒸発器)32と、中庫12Mに配設される第1蒸発器34と、右庫12Rに配設される第2蒸発器36とを備え、これらが所定量の冷媒を封入した配管によって接続されることで冷媒回路(冷媒サイクル)を構成している。本実施形態の場合、冷却加熱装置14は、さらに、左庫12L及び中庫12MにそれぞれヒータH1、H2を備える。
【0027】
圧縮機(モータコンプレッサ)26は、低温低圧の冷媒を吸引側配管42aを介して吸引口から吸引し、それを圧縮することで高温高圧状態にして吐出口から吐出側配管42bへと吐出するものであり、インバータ40によって回転数可変に構成されている。吐出側配管42bは2方に分岐しており、一方の配管44aは、電磁弁46を介して左庫12L内へと配設されて左庫熱交換器32に接続され、他方の配管48aは、電磁弁50を介して庫外熱交換器28に接続される。電磁弁46、50を交互に開閉することにより、圧縮機26から吐出された冷媒は左庫熱交換器32又は庫外熱交換器28に択一的に流通される。電磁弁46、50は、制御装置16の制御下に開閉される開閉弁(ON−OFF弁)であり、後述する他の電磁弁についても同様である。
【0028】
左庫熱交換器32の出口側の配管は2方に分岐しており、一方の配管44bは、電磁弁52を介して庫外熱交換器28の出口側の配管48bと合流した後、電磁弁54を介して電子膨張弁30の入口側に接続される。他方の配管44cは、電磁弁56を介して吸引側配管42aに接続される。
【0029】
電子膨張弁30は、制御装置16からの開度指令によって開度(絞りの程度)を可変に構成されており、流入する冷媒を出口側の左庫熱交換器32、第1蒸発器34及び第2蒸発器36に至るまでに所定の圧力(流量)まで低下させ、これら各熱交換器における冷媒の蒸発温度を制御する。電子膨張弁30の出口側の配管は、分配器58によって3方に分岐されており、各配管60a、60b、60cは、それぞれ電磁弁62、64、66を介して左庫熱交換器32、第1蒸発器34、第2蒸発器36の入口側に接続される。なお、配管60aは、吐出側配管42bから分岐した配管44aに合流して左庫熱交換器32へと接続される。また、第1蒸発器34及び第2蒸発器36の出口側の配管は、それぞれ吸引側配管42aに接続される。
【0030】
左庫熱交換器32にはファンF1が近接配置され、第1蒸発器34にはファンF2が近接配置され、第2蒸発器36にはファンF3が近接配置され、庫外熱交換器28にはファンF4が近接配置される。ファンF1〜F3は庫内送風用であり、左庫熱交換器32、第1蒸発器34及び第2蒸発器36の周囲を通過して加熱又は冷却された空気を各庫内に循環させるためのものである。ファンF4は庫外送風用であり、庫外熱交換器28の周囲に外気を通過させて外部へと送出するためのものである。
【0031】
冷却加熱装置14では、上記のような冷媒回路を構成したことにより、各庫12L、12M、12R内にそれぞれ配設された温度センサT1、T2、T3による測定温度に基づき、制御装置16の制御下で圧縮機26の回転数や電子膨張弁30の開度を変化させ、さらに、各電磁弁46、50、52、56、62、64、66を適宜開閉制御することにより、各庫内を所望の温度域で管理することができる。温度センサT4は、当該自動販売機10の周囲温度(外部の環境温度)を測定するためのものである。なお、電磁弁46、50(52、56)に代えて2つの流路を択一的に切り換える2方弁を用いてもよく、同様に、電磁弁62、64、66に代えて3つの方の流路を択一的に切り換える3方弁を用いてもよい。
【0032】
このような自動販売機10では、商品収納室12に収納される商品種類や気候条件等に応じて、例えば3つの運転モード(HCC運転、CCC運転、HHC運転)を実行することができる。HCC運転は、左庫12Lを加熱(HOT)運転し、右庫12M及び右庫12Rを冷却(COLD)運転する運転モードであり、CCC運転は、左庫12L、右庫12M及び右庫12Rを全て冷却(COLD)運転する運転モードであり、HHC運転は、左庫12L及び中庫12Mを加熱(HOT)運転し、右庫12Rを冷却(COLD)運転する運転モードである。
【0033】
具体的には、HCC運転では、電磁弁46、52、54、64、66を開き、電磁弁50、56、62を閉じる。従って、圧縮機26から吐出された高温高圧の冷媒は、配管44aから左庫熱交換器32に流入して左庫12L内の空気に放熱して凝縮された後、配管44bを通じて電子膨張弁30で減圧されて断熱膨張し、配管60b、60cから第1蒸発器34及び第2蒸発器36に流入して中庫12M及び右庫12R内の空気から吸熱して蒸発し、低温低圧になって吸引側配管42aから圧縮機26へと戻るサイクルを繰り返す。つまり、HCC運転では、左庫熱交換器32が凝縮器として機能することで左庫12Lが加熱され、第1蒸発器34及び第2蒸発器36が蒸発器として機能することで中庫12M及び右庫12Rが冷却される。この際、左庫熱交換器32による左庫12Lの加熱を補助するために、ヒータH1を適宜動作させてもよい。勿論、左庫熱交換器32に代えて庫外熱交換器28を凝縮器として用い、左庫12Lの加熱はヒータH1のみによって行ってもよい。
【0034】
CCC運転では、電磁弁50、54、56、62、64、66を開き、電磁弁46、52を閉じる。従って、圧縮機26から吐出された高温高圧の冷媒は、配管48aから庫外熱交換器28に流入して外気に放熱して凝縮された後、配管48bを通じて電子膨張弁30で減圧されて断熱膨張し、配管60a、60b、60cから左庫熱交換器32、第1蒸発器34及び第2蒸発器36に流入して左庫12L、中庫12M及び右庫12R内の空気から吸熱して蒸発し、低温低圧になって吸引側配管42aから圧縮機26へと戻るサイクルを繰り返す。つまり、CCC運転では、左庫熱交換器32、第1蒸発器34及び第2蒸発器36が蒸発器として機能することで各庫12L、12M、12Rが全て冷却される。
【0035】
HHC運転では、電磁弁46、52、54、66を開き、電磁弁50、56、62、64を閉じる。従って、圧縮機26から吐出された高温高圧の冷媒は、配管44aから左庫熱交換器32に流入して左庫12L内の空気に放熱して凝縮された後、配管44bを通じて電子膨張弁30で減圧されて断熱膨張し、配管60cから第2蒸発器36に流入して右庫12R内の空気から吸熱して蒸発し、低温低圧になって吸引側配管42aから圧縮機26へと戻るサイクルを繰り返す。この際、中庫12Mの加熱はヒータH2を動作させることで実施される。つまり、HHC運転では、左庫熱交換器32が凝縮器として機能することで左庫12L内が加熱され、第2蒸発器36が蒸発器として機能することで右庫12Rが冷却され、ヒータH2によって中庫12Mが加熱される。勿論、左庫熱交換器32による左庫12Lの加熱を補助するために、適宜ヒータH1を動作させてもよいし、左庫熱交換器32に代えて庫外熱交換器28を凝縮器として用い、左庫12Lの加熱はヒータH1のみによって行ってもよい。
【0036】
1.2 制御装置の構成の説明
図2は、図1に示す自動販売機10の制御装置16の構成を示すブロック図である。制御装置16は、負荷指標値測定部70と、記憶部(最適運転パラメータ記憶部)72と、運転パラメータ取得部74と、出力部76と、運転制御部78とを備え、温度センサT1〜T3の測定温度に基づき、商品収納室12の室内温度、つまり各庫の庫内温度を予め設定された所望の温度域とするように冷却加熱装置14の運転を制御し、さらに当該自動販売機10の販売管理や在庫管理等の全体的な制御も行うコントローラである。
【0037】
負荷指標値測定部70は、当該自動販売機10の稼働中(運転中)に所定のサンプリングタイムで逐次、つまりオンラインで、加熱庫(左庫12L、中庫12M)での加熱負荷と、冷却庫(左庫12L、中庫12M、右庫12R)での冷却負荷との指標となる負荷指標値(例えば、運転率比)を測定・演算する。
【0038】
記憶部72には、自動販売機10の消費電力を可及的に低減するための最適な運転パラメータ(例えば、各庫内の設定温度)が負荷指標値毎に予め設定され、テーブル又は関数として記憶されている(図5も参照)。
【0039】
運転パラメータ取得部74は、負荷指標値測定部70によってオンラインで測定した負荷指標値に対応する最適な運転パラメータ(最適運転パラメータ)を記憶部72のテーブル(又は関数)から取得する。運転パラメータ取得部74で取得した最適運転パラメータは、出力部76から運転制御部78へと出力される。
【0040】
運転制御部78は、冷却加熱装置14の運転を制御する機能を有し、当該自動販売機10での消費電力を最小に又は可及的に低減すべく、出力部76から受信した最適運転パラメータを用いて冷却加熱装置14の運転制御を行う。運転制御部78は、圧縮機制御部(回転数補正部)80と、膨張弁制御部(開度補正部)82と、ファン制御部84と、ヒータ制御部86と、電磁弁制御部88とを備える。
【0041】
圧縮機制御部80は、圧縮機26を運転開始(ON)及び運転停止(OFF)させるための運転指令や、運転回転数を変化させるための回転数補正指令等を生成し、これらの指令に従ってインバータ40を制御することで圧縮機26を運転制御する。圧縮機26にインバータ40が接続されない構成の場合には、圧縮機制御部80が圧縮機26を直接的にON/OFFさせてもよい。膨張弁制御部82は、電子膨張弁30の開度を変化させるための開度補正指令を生成し、この指令に従って電子膨張弁30の開度を制御する。
【0042】
ファン制御部84は、各ファンF1〜F4の運転開始(ON)及び運転停止(OFF)を制御すると共に、送風回転数をファンF1〜F4毎に個別に制御する。つまり、ファン制御部84は、凝縮器(庫外熱交換器28、左庫熱交換器32)に設置されるファンF1、F4のON/OFFや回転数を制御する凝縮器ファン制御部としての機能と、蒸発器(左庫熱交換器32、第1熱交換器34、第2熱交換器36)に設置されるファンF1〜F3のON/OFFや回転数を制御する蒸発器ファン制御部としての機能とを有する。ヒータ制御部86は、各ヒータH1、H2の運転開始(ON)及び運転停止(OFF)を制御すると共に、ヒータ出力を個別に制御する。また、電磁弁制御部88は、各電磁弁46、50、52、56、62、64、66の開閉を個別に制御する。
【0043】
1.3 自動販売機の制御方法の説明
次に、自動販売機10の制御方法について説明する。
【0044】
1.3.1 第1の制御方法の説明
先ず、自動販売機10の第1の制御方法について、図3のフローチャートを参照しながら説明する。この第1の制御方法は、自動販売機10の稼働中に運転サイクル(例えば、図4中の時刻t1〜t4間)毎に逐次実行されることにより、自動販売機10の運転状態をそのときの負荷状態に応じて最適に制御し、消費電力を可及的に低減しようとするものである。
【0045】
図3は、第1の制御方法の手順を示すフローチャートである。図4は、HCC運転時の運転サイクル毎の各庫内の温度変化を電磁弁の開閉タイミングや圧縮機回転数との関係で示すタイミンググラフであり、図4(A)は、左庫12Lの加熱(HOT)運転時の庫内温度(℃)と左庫熱交換器32への冷媒流通をON/OFFする電磁弁46の開閉タイミングとの関係を示し、図4(B)は、中庫12Mの冷却(COLD)運転時の庫内温度(℃)と第1熱交換器34への冷媒流通をON/OFFする電磁弁64(又は電磁弁54又は電子膨張弁30)の開閉タイミングとの関係を示し、図4(C)は、右庫12Rの冷却(COLD)運転時の庫内温度(℃)と第2熱交換器36への冷媒流通をON/OFFする電磁弁66(又は電磁弁54又は電子膨張弁30)の開閉タイミングとの関係を示し、図4(D)は、圧縮機の運転回転数(rpm)を示している。なお、図4(E)は、図4(D)に示す圧縮機回転数と、これと略比例関係になる冷却加熱装置14の推定消費電力(W)との関係を示しているが、この第1の制御方法では図4(E)に示すグラフを用いる必要はない。
【0046】
自動販売機10が運転開始されると、制御装置16は、各庫内の温度センサT1〜T3での検出結果に基づき、各庫12L、12M、12Rの庫内温度を予め設定された温度域(例えば、HOTでは63℃〜67℃、COLDでは3℃〜7℃)に管理するように、冷却加熱装置14を運転制御し、この運転制御を自動販売機10の稼働中継続する。
【0047】
このような自動販売機10の稼働中、先ず、図3のステップS1において、冷却加熱装置14の運転サイクル(1サイクル)の開始及び終了を検出する。
【0048】
冷却加熱装置14の1サイクルは、図4(A)〜図4(D)に示すように、圧縮機26の運転開始(ON)から次の運転開始(ON)までの期間(時刻t1〜t4間、時刻t4〜t5間、時刻t5〜t6間、時刻t6〜t7間)として特定され、その周期は例えば30分程度である。そして、この1サイクルの間、例えばHCC運転では、左庫熱交換器32への冷媒の流通の可否が電磁弁46によって制御され(図4(A)参照)、同様に、第1熱交換器34及び第2熱交換器36への冷媒の流通の可否が電磁弁64、66(又は電磁弁54又は電子膨張弁30)によって制御されることになり(図4(B)及び図4(C)参照)、CCC運転及びHHC運転についても略同様である。
【0049】
従って、図4に示すHCC運転では、圧縮機26は、時刻t1でONして最大回転数で起動した後すぐに回転数を若干下げた状態で時刻t2まで運転し、時刻t2で回転数をさらに下げて時刻t3まで運転し、時刻t3から次の1サイクルの始点となる時刻t4まではOFFされる(図4(D)参照)。
【0050】
この際、図4(A)に示すように、左庫12Lは、時刻t1で電磁弁46がONされることにより、時刻t1〜t3の間、左庫熱交換器32内で凝縮する冷媒からの放熱によって庫内温度が次第に上昇し、温度センサT1による検出温度が設定温度域(OFF点とON点の間)の上限温度(OFF点)に達した際、電磁弁44がOFFされる。このため、左庫熱交換器32への冷媒の流通が停止されて庫内温度が次第に低下し、次の1サイクル目の始点となる時刻t4で再び電磁弁44がONされる。略同様、図4(B)に示すように、中庫12Mは、時刻t1で電磁弁64(又は電磁弁54又は電子膨張弁30)がONされることにより、時刻t1〜t2の間、第1蒸発器34内で蒸発する冷媒による吸熱によって庫内温度が次第に低下し、温度センサT2による検出温度が設定温度域(ON点とOFF点との間)の下限温度(OFF点)に達した際、電磁弁64がOFFされる。このため、第1蒸発器32への冷媒の流通が停止されて庫内温度が次第に上昇し、次の1サイクル目の始点となる時刻t4で再び電磁弁64がONされることになり、図4(C)に示す右庫12Rについても中庫12Mと略同様に動作する。
【0051】
ステップS2では、各庫12L、12M、12Rについて、それぞれ上記ステップS1で検出した運転サイクル中での各電磁弁のON/OFFタイミング、つまり左庫熱交換器32、第1蒸発器34及び第2蒸発器36への冷媒流通をON/OFFするタイミング(この場合は、時刻t2又は時刻t3)を検出する。
【0052】
ステップS3では、ステップS2での検出結果に基づき、各庫12L、12M、12Rでの加熱動作及び冷却動作の動作時間、つまり左庫熱交換器32、第1蒸発器34及び第2蒸発器36への冷媒の流通時間(ON時間)及び非流通時間(OFF時間)を計測する。左庫12Lでは、時刻t1〜t3間がON時間となっており、時刻t3〜t4間がOFF時間となっている(図4(A)参照)。略同様に、中庫12M及び右庫12Rでは、時刻t1〜t2間がON時間となっており、時刻t2〜t4間がOFF時間となっている(図4(B)及び図4(C))。この際、計測されるON時間の比率が1サイクルの間で大きいほど、多くの加熱動作や冷却動作が必要であったことを示し、つまり各庫での加熱負荷や冷却負荷が大きかったことを示している。
【0053】
ステップS4では、各庫12L、12M、12Rについて、それぞれの加熱動作や冷却動作における1サイクル中のON時間の比率である運転率(=ON時間/(ON時間+OFF時間))を算出する。算出した各庫の運転率は、各庫の加熱負荷や冷却負荷の指標となる値(負荷指標値)であるが、この第1の制御方法では、自動販売機10全体の負荷指標値として、加熱庫である左庫12Lと冷却庫である中庫12M又は右庫12Rとの間の運転率の比(運転率比)を用いる。
【0054】
すなわち、ステップS5では、加熱庫である左庫12Lと冷却庫である中庫12M又は右庫12Rとの間の運転率比を算出する。この運転率比は、加熱負荷と冷却負荷の比を表しており、自動販売機10の稼働中の所定時間(1サイクル)における加熱負荷状況と冷却負荷状況とをまとめて考慮することができる負荷指標値となる。なお、冷却庫が複数庫(本実施形態では、中庫12M及び右庫12Rの2庫)ある場合には、各庫のうちで最大値を示す運転率を用いて運転率比を算出すればよい。
【0055】
以下、運転率比として加熱運転率に対する冷却運転率の比率(冷却運転率/加熱運転率。C/H運転率比)を用いるが、運転率比として冷却運転率に対する加熱運転率の比率(加熱運転率/冷却運転率。H/C運転率比)を用いてもよいことは勿論である。
【0056】
なお、運転率比が1の場合には、加熱負荷と冷却負荷とが一致していることになる。一般に、自動販売機の冷却加熱装置は、運転率比が1となる負荷状況を標準条件として設計されることが多いため、ステップS5で算出される運転率比は前記標準条件からの現在状態のずれを判断する上でも有用な指標となる。
【0057】
ステップS5までに算出する運転率比は、冷却加熱装置の運転サイクル単位(1サイクル単位)という短時間での値として計測・算出されるため、サイクル毎に計測誤差やバラつきを生じる可能性もある。そこで、過去数サイクル分の運転率比(負荷指標値)の平均値として移動平均を演算し、算出される運転率比の精度を高めてもよい(ステップS6)。このステップS6は必ずしも実行する必要はなく、自動販売機10の状態や各サイクルの運転率比の変遷等を考慮して必要に応じて実行するとよい。
【0058】
上記したステップS1〜S6は、主に負荷指標値測定部70によって実行されるものであり、次は、ステップS5(又はS6)で算出した運転率比を用い、運転パラメータ取得部74によって最適運転パラメータを取得するステップS7を実行する。
【0059】
ステップS7において、運転パラメータ取得部70は、予め実験やシミュレーションによって設定されている負荷指標値(ここでは運転率比)毎の最適運転パラメータのうち、ステップS5(又はS6)で算出した運転率比に対応する最適運転パラメータを所定の記憶部72のテーブルから取得する。
【0060】
図5は、負荷指標値(運転率比又は運転率又は周囲温度)と最適運転パラメータとの対応関係のテーブルの一例を示す図であり、図5(A)は、HCC運転時のテーブルであり、図5(B)は、HHC運転時のテーブルである。なお、図5(C)は、CCC運転時のテーブルであり、このテーブルは後述する第2の制御方法において用いるものである。
【0061】
記憶部72に記憶されるテーブルについて、HHC運転では、負荷指標値である運転率比の各値に対して、例えばそれぞれ4つの最適運転パラメータの項目が設定される(図5(A)参照)。各項目としては、例えば、第1蒸発器34及び(又は)第2蒸発器36での蒸発温度目標値(℃)と、左庫熱交換器32での凝縮温度目標値(℃)と、加熱単独運転時の電子膨張弁開度(msec)と、加熱単独運転時の圧縮機回転数(rpm)とを挙げることができる。なお、図5(B)に示すHHC運転でも、負荷指標である運転率比の各値に対して、例えばそれぞれ4つの最適運転パラメータを設定するとよく、この最適運転パラメータの項目は図5(A)に示すHCC運転時のものと同様でよい。
【0062】
この場合、加熱単独運転とは、図4(A)〜図4(C)に示されるように、加熱運転(左庫12L)と冷却運転(中庫12M、右庫12R)での冷媒流通のON/OFFタイミングが異なる場合に、冷却運転が先にOFFとなり(図4中の時刻t2)、加熱運転のみが単独で行われる状態(図4中の時刻t2〜t3)である。略同様に、後述する冷却単独運転とは、図4のグラフとは異なり、加熱運転が先にOFFとなり、冷却運転のみが単独で行われる状態である。
【0063】
電子膨張弁開度(msec)とは、電子膨張弁30の最大開度(msec)に対する開弁時間(msec)を指定する値であり、例えば、図5(A)中の電子膨張弁開度1600msecは、最大5000msecのうち1600msecだけ弁を開ける、つまり開度32%に相当することを示している。
【0064】
従って、ステップS7では、このように設定された記憶部72のテーブル(図5参照)から、ステップS5(又はS6)で算出した運転率比に対応する最適運転パラメータを取得する。例えば、HCC運転時に、算出された運転率比が0.25の場合には、最適運転パラメータは、それぞれ「蒸発温度目標値:−4(℃)」、「凝縮温度目標値:68(℃)」、「膨張弁開度:1600(msec)」、「圧縮機回転数:2600(rpm)」となり、これら最適運転パラメータが出力部76から運転制御部78へと出力され、他の運転(CCC運転及びHHC運転)についても略同様でよい。
【0065】
なお、ステップS5で算出される負荷指標値は、必ずしも記憶部72のテーブルに設定された値にはならず、通常は、所定の2点間の値となる。例えば、図5(A)に示すHCC運転時に負荷指標値である運転率比が0.4と算出された場合、この運転率比0.4は、0.25と0.5の間の値となっている。そこで、このような場合には、算出された負荷指標値(運転率比0.4)を含む2点(運転率比0.25、0.5)での最適運転パラメータの値を抽出し、それを線形補間することで算出された負荷指標値(運転率比0.4)に対応する最適運転パラメータを求めるとよい。換言すれば、負荷指標値の連続的な変化に対し、その負荷指標値毎の最適運転パラメータの値も連続的に変化することになる。そこで、図5に示すようなテーブルを作成する場合には、現実に発生し得ると想定される負荷指標値を十分に網羅することができるように、広い範囲に対して細かく値を設定した負荷指標値及び最適運転パラメータを設定しておけば、2点間を線形補間する場合の抽出精度を向上させることができる。
【0066】
記憶部72に記憶する負荷指標値毎の最適運転パラメータの値は、図5に示すようなテーブルではなく関数として記憶してもよい。関数を用いる場合には、例えば、負荷指標値をx0と称し、最適運転パラメータ値をy0(複数種類を取り得る)と称した場合に、y0=f(x0)、との関数を設定しておくことにより、計測された負荷指標値に対応する最適運転パラメータを容易に算出することできる。
【0067】
次に、ステップS8において、運転制御部78は、ステップS7で取得した最適運転パラメータによって冷却加熱装置14の運転パラメータを再設定し、圧縮機制御部80、膨張弁制御部82、ファン制御部84、ヒータ制御部86、電磁弁制御部88を動作させることにより、再設定した最適運転パラメータによって冷却加熱装置14を運転制御する。
【0068】
ステップS8での運転制御部78による運転制御についてより具体的に説明すると、例えば、HCC運転では、取得された最適運転パラメータである蒸発温度目標値、凝縮温度目標値、膨張弁開度及び圧縮機回転数の各値に基づき、回転数補正部となる圧縮機制御部80によって圧縮機26の回転数を変化させると共に、開度補正部となる膨張弁制御部82によって電子膨張弁30の開度を変化させる。そして、目標温度と実際の測定温度との間でフィードバック制御を行うことで定まる凝縮温度及び蒸発温度により、庫内温度を所望の制御温度域(図4中の庫内温度の上下限域であるON点とOFF点の間)に維持すべく、電磁弁46、64、66等を開閉制御して、加熱動作及び冷却動作を適宜ON/OFFさせるとよい。勿論、他の運転(CCC運転及びHHC運転)についても略同様に行えばよい。
【0069】
従って、冷却加熱装置14は、自動販売機10の稼働中にリアルタイム計測(例えば、1サイクル毎に計測)される負荷指標値に対応する最適な運転パラメータによって運転制御されるため、当該自動販売機10の運転効率を向上させ、その消費電力を可及的に低減させることが可能となる。そして、このようなステップS1〜S8で示される第1の制御方法は、自動販売機10の稼働中に逐次繰り返し実行されることにより、稼働中に時々刻々と変化する負荷変動に追従した制御運転が可能となり、自動販売機10(冷却加熱装置14)での消費電力を最小限に抑えつつ、各庫内温度を設定された温度域に維持することができる。
【0070】
なお、運転パラメータとしては、上記した蒸発温度目標値、凝縮温度目標値、膨張弁開度、及び、圧縮機回転数以外に、例えば、加熱庫(左庫12L、中庫12M)の設定温度、冷却庫(左庫12L、中庫12M、右庫12R)の設定温度、凝縮器ファン(ファンF1、F4)の回転数、蒸発器ファン(ファンF1〜F3)の回転数、及び、ヒータH1、H2の出力を用いてもよく、これらのうち、1つ以上の運転パラメータを用いるとよい。
【0071】
1.3.2 第2の制御方法の説明
ところで、冷却加熱装置14で加熱運転と冷却運転を同時に行なっていない場合には、加熱運転率と冷却運転率との比である運転率比を算出することができない。この運転状態としては、例えば、CCC運転や、HCC運転時に左庫12Lの加熱が十分であって左庫熱交換器32の代わりに庫外熱交換器28を凝縮器として用いた運転(HCC運転時に電磁弁46を閉じて電磁弁50を開いた運転)等が挙げられる。これらの運転時には、庫内への加熱がなされず、冷却のみが実施された状態にある。
【0072】
そこで、次に、加熱運転のみ又は冷却運転のみの運転状態において特に有効となる自動販売機10の第2の制御方法について説明する。この第2の制御方法は、全体的な制御フローは図3に示す第1の制御方法と略同様であるが、負荷指標値として運転率比の代わりに運転率を用いる点が相違している。第2の制御方法については、図3のフローチャートを代用して説明する。
【0073】
先ず、冷却運転のみ又は加熱運転のみが行われている場合には、ステップS4で算出した各庫の運転率のうち、最大の運転率を負荷指標値として用い、ステップS5は省略する。例えば、CCC運転時に、左庫12Lの運転率が最大の場合には、該左庫12Lの運転率を負荷指標値として採用する。
【0074】
次いで、必要に応じてステップS6を行った後、ステップS4(又はS6)で算出した運転率を用いて、運転パラメータ取得部74で最適運転パラメータを取得するステップS7を実行する。
【0075】
ステップS7において、運転パラメータ取得部70は、予め実験やシミュレーションによって設定されている運転率(負荷指標値)毎の最適運転パラメータのうち、ステップS4(又はS6)で算出した運転率に対応する最適運転パラメータを所定の記憶部72のテーブルから取得する。CCC運転では、負荷指標値である運転率の各値に対して、例えばそれぞれ2つの最適運転パラメータの項目が設定される(図5(C))。各項目としては、例えば、第1蒸発器34及び第2蒸発器36での冷却単独運手時の蒸発温度目標値(℃)と、冷却単独運転時の圧縮機回転数(rpm)とを挙げることができる。
【0076】
すなわち、ステップS7では、例えばCCC運転時、算出された運転率(最大値)が0.5の場合には、最適運転パラメータは、それぞれ「蒸発温度目標値:−5(℃)」、「圧縮機回転数:2400(rpm)」となり(図5(C)参照)、これらの最適運転パラメータが出力部76から運転制御部78へと出力される。そして、上記第1の制御方法の場合と同様、運転制御部78は、この最適運転パラメータによって冷却加熱装置14の運転パラメータを再設定し、運転を制御することになる(ステップS8)。
【0077】
1.3.3 第3の制御方法の説明
上記第1及び第2の制御方法では、負荷指標値として、加熱負荷及び冷却負荷の指標となる運転率比、又は、加熱負荷若しくは冷却負荷の指標となる運転率を用いるものとして説明した。しかしながら、自動販売機10における負荷指標値としては、運転率比や運転率以外のパラメータを用いることも勿論可能である。
【0078】
そこで、次に、自動販売機10の第3の制御方法について、図6のフローチャートを参照して説明する。この第3の制御方法では、負荷指標値として温度センサT4(図1参照)で測定される自動販売機10の周囲温度を用いる。周囲温度が高い場合には、外部から自動販売機10への熱の侵入が増加して冷却負荷が増加すると同時に加熱負荷は低下する一方、周囲温度が低い場合には、自動販売機10から外部への熱の放出が増加して加熱負荷が増加すると同時に冷却負荷は低下することになる。このように、周囲温度は、自動販売機10の運転状態によっては加熱負荷及び冷却負荷の両方の指標又はいずれか一方の負荷の指標となり得る。
【0079】
自動販売機10の稼働中、先ず、図6中のステップS11において、負荷指標値測定部70は、温度センサT4によって測定される周囲温度を検出する。この周囲温度は、運転サイクル(例えば、図4中の時刻t1〜t4間)毎に、任意の1点を抽出したものでよく、又は運転サイクルの全時間分若しくは所定時間分の検出値の平均値や積算値を算出したものでもよい。
【0080】
ステップS12、S13は、上記した第1及び第2の制御方法のステップS7、S8と略同様である。すなわち、ステップS12において、運転パラメータ取得部70は、予め実験やシミュレーションによって設定されている周囲温度(負荷指標値)毎の最適運転パラメータのうち、ステップS11で取得した周囲温度に対応する最適運転パラメータを所定の記憶部72のテーブルから取得する。
【0081】
負荷指標値として周囲温度を用いる場合には、図5(A)〜図5(C)に例示したテーブルにおいて、運転率比及び運転率の代わりに、周囲温度(℃)毎にそれぞれ設定された最適運転パラメータを用いるとよい。例えば、HCC運転時に、検出された周囲温度が5(℃)の場合には、最適運転パラメータは、それぞれ「蒸発温度目標値:−4(℃)」、「凝縮温度目標値:68(℃)」、「電子膨張弁開度:1600(msec)」、「圧縮機回転数:2600(rpm)」となり、これらの最適運転パラメータが出力部76から運転制御部78へと出力され、他の運転(CCC運転及びHHC運転)についても略同様である。
【0082】
ステップS13において、運転制御部78は、上記第1及び第2の制御方法の場合と同様に、取得した最適運転パラメータによって冷却加熱装置14の運転パラメータを再設定し、運転を制御することになる。
【0083】
1.4 テーブル作成方法の説明
ここで、記憶部72に記憶しておくテーブル(又は関数)の作成方法、及びこの作成のためのシステムについて説明する。
【0084】
図7は、テーブル作成システムの一例である実験手段100の構成図である。図7に示す実験手段100は、実機の自動販売機101を用いて実験を行い、各負荷指標値毎の最適運転パラメータを決定し、図5に示されるようなテーブル(又は関数)を作成するためのものである。なお、実機を用いた実験ではなく、シミュレーションによってテーブル(又は関数)を作成する場合には、実機の自動販売機101を代替し得るシステム(シミュレーション手段。シミュレータ)を構成すればよい。
【0085】
図7に示すように、この実験手段100では、データインターフェースカード(記録メディア)102に運転パラメータの値の変更法則を指定したリストである運転パラメータ値リストを保存し、このリストをデータインターフェースカード102経由で自動販売機101に入力(コピー)する。そして、入力された運転パラメータ値リストに基づき、所定の負荷条件下に運転パラメータを逐次変更しながら運転実験を行い、得られた運転指標値(例えば、電力値)を計測装置(データロガー)104で計測し、PC106で保存・処理する。なお、図7中の参照符号108は、自動販売機101の各設定を手動操作するためのリモコンである。
【0086】
図8は、テーブル作成方法の一例を示すフローチャートでる。図9は、図7に示す実験手段100による運転指標値の測定データの一例を示す表であり、図7に示す実験手段100において負荷条件として運転率を用い、運転パラメータ(冷却単独運転時の蒸発温度目標値(℃)、冷却単独運転時の圧縮機回転数(rpm))の値を変更しながら実験運転を実施し、そのとき計測される負荷指標値(例えば、運転率)毎の電力(kW)を、運転時の消費電力の指標となる運転指標値として測定し、負荷指標値毎に並べたものである。
【0087】
先ず、図8中のステップS21では、負荷条件変更設定手段110によって負荷条件を変更設定する。負荷条件としては、上記した負荷指標である運転率比や運転率、周囲温度が挙げられる。なお、負荷条件変更設定手段110は、例えば、後述する運転パラメータ設定値変更手段112、負荷指標値計測・計算手段114、運転指標値測定・計算手段116、最適設定値決定手段118と共に、実験手段100(又は前記シミュレーション手段)のPC106(又は自動販売機101の制御装置)の一機能として構成される(図7参照)。
【0088】
ステップS22では、運転パラメータ設定値変更手段112により、ステップS21で設定された負荷条件に対応する運転パラメータを変更設定し、自動販売機101を運転するか、又はシミュレーション手段を用いてシミュレーションを実施する。続いて、負荷指標値計測・計算手段114により、ステップS22での実験時(又はシミュレーション時)の自動販売機101の負荷指標値を計測・計算し(ステップS23)、このときの運転指標値(例えば、電力量)を運転指標値測定・計算手段116によって計測・計算する(ステップS24)。
【0089】
次に、ステップS24で計測・計算された運転指標値(例えば、電力量)を、計測した負荷指標値(例えば、運転率)及び設定した運転パラメータ(例えば、蒸発温度目標値及び圧縮機回転数)と共に、図9に示されるようなデータテーブルとして保存する(ステップS25)。例えば、図9中の一番上の行(欄)は、CCC運転において負荷条件を運転率とし、運転パラメータを「冷却単独運転時の蒸発温度目標値:−4(℃)」、「冷却単独運転時の圧縮機回転数:2400(rpm)」として設定した際、計測・計算された負荷指標値(運転率)が0.5であり、運転指標値(電力)が1.24(kW)(電力量が0.07(kWh))であることを示している。
【0090】
ステップS25で1つの測定データの取得が完了すると、次に、ステップS22に戻り、運転パラメータの値を変更した上で再びステップS23〜S25を行い、このステップS22〜S25までを繰り返すことにより、測定データ(負荷指標値及び運転指標値)を蓄積する。最終的に、ステップS21で設定された負荷条件について、所望の運転パラメータによるデータ測定が全て完了すると、続いて、別の負荷条件(例えば、運転率比や周囲温度)でのデータ測定を行う場合には、ステップS21に戻って同様な実験を繰り返す。
【0091】
ステップS21〜S25で必要な負荷条件についての必要なデータ測定が完了した場合には、最適設定値決定手段118により、負荷指標値毎の運転パラメータ値及び運転指標値の測定データを並べると共に(図9参照)、1種類の負荷指標値中で最良な運転指標値を示した運転パラメータを最適運転パラメータとして抽出し保存する(ステップS27)。例えば、負荷指標値である運転率が0.5の場合には、測定した9通りの運転パラメータに基づく運転指標値(電力量)のうち、矢印A1で示すデータが最良の運転指標値、つまり最も低い電力量であることがわかる。そこで、この矢印A1で示すデータ中の運転パラメータを負荷指標値0.5での最適運転パラメータとして決定し、他の負荷指標値についても同様に決定する(矢印A2及び矢印A3参照)。このように抽出した負荷指標値毎の最適運転パラメータを並べてテーブルを作成することにより、図5に示されるようなテーブルを得ることができる。
【0092】
ステップS27の抽出・保存工程の前に、ステップS26を実行することもできる。ステップS26では、ステップS25で蓄積した測定データのうち、運転パラメータ値及び運転指標値のデータについて曲面近似し、次いでステップS27において、その曲面上の各運転パラメータ値の一定の範囲で運転指標値が最良となる運転パラメータ値を当該負荷指標値における最適運転パラメータとして抽出し保存する。例えば、図9に示すCCC運転実験での測定データにおいて、運転パラメータである冷却単独運転時の蒸発温度目標値(℃)を「x1」と称し、冷却単独運転時の圧縮機回転数(rpm)を「x2」と称し、負荷指標値である電力量(kW)を「y」と称した場合、負荷指標値毎に次の曲面近似式を得ることができる。
【0093】
負荷指標値0.5の場合には、y=2.21(x1)−0.002(x2)+0.12(x1)^2+0.00001(x2)^2+0.09、との曲面近似式が得られる。そこで、この関数上での各運転パラメータの範囲「−8≦x1≦−4、2400≦x2≦2800」における最適値として、(x1、x2)=(−5.5、2650)との最適運転パラメータを得ることができる。同様に、負荷指標値0.75の場合には、y=1.71(x1)−0.0012(x2)+0.21(x1)^2+0.00002(x2)^2+0.11、との曲面近似式が得られる。そこで、この関数上での各運転パラメータの範囲「−8≦x1≦−4、2400≦x2≦2800」における最適値として、(x1、x2)=(−6.7、2755)との最適運転パラメータを得ることができる。また、負荷指標値1.0の場合には、y=1.21(x1)−0.003(x2)+0.32(x1)^2+0.00003(x2)^2+0.23、との曲面近似式が得られる。そこで、この関数上での各運転パラメータの範囲「−8≦x1≦−4、2400≦x2≦2800」における最適値として、(x1、x2)=(−8.5、2350)との最適運転パラメータを得ることができる。
【0094】
なお、ステップS21〜S27での最適運転パラメータの決定は、ステップS25の後、ステップS21には戻らずにステップS22に戻るのみのループを実行してからステップS27(S26)に進むことにより、一つの負荷条件毎に得られた測定データから最適運転パラメータを定めてからステップS21に戻る手順で行ってもよいし(図8中のステップS27からステップS21までの2点鎖線の矢印参照)、ステップS25の後、ステップS22に戻るループを実行してからステップS21に戻ることにより、負荷条件を変化させて得られた全ての測定データから負荷条件毎にまとめて最適運転パラメータを定める手順で行ってもよい。
【0095】
テーブルに代えて関数を作成する場合にも、図8に示す手順と同様な工程を行えばよく、例えば、ステップS27での最適設定値決定手段118による最適運転パラメータの抽出に際し、各負荷指標値と最適運転パラメータとの関係を関数によって規定し、この関数を保存するようにすればよい。
【0096】
1.5 テーブル作成方法の変形例の説明
次に、テーブル(又は関数)作成方法の変形例について、図10のフローチャートを参照して説明する。
【0097】
上記したテーブル作成方法は、予め定められた運転パラメータ値リストに基づいて実験(又はシミュレーション)を行い、得られた測定データ全体から最適パラメータを求めるものである。これに対して、この変形例に係る作成方法は、負荷条件毎の運転パラメータに応じて得られた運転指標値に基づき、他の運転パラメータを探索し、これにより自動販売機の実機又はシミュレータをモデルとする探索ベースの最適化手法を実行して、当該負荷条件(負荷指標値)における最適運転パラメータを求める手法である。
【0098】
先ず、図10中のステップS31では、負荷条件(運転率比又は運転率又は周囲温度)を変更設定すると共に、その負荷条件における所定の負荷指標値を設定する。例えば、図9に示されるように、負荷条件として運転率を設定し、そのときの負荷指標値として0.5を設定する。
【0099】
続いて、設定された負荷条件に対応する運転パラメータについて、実験又はシミュレーションの開始時の運転パラメータ値である初期値を設定し(ステップS32)、この運転パラメータ初期値によって実験手段100を構成する自動販売機101や前記シミュレーション手段の運転を開始する(ステップS33)。
【0100】
ステップS34では、ステップS33での実験時(又はシミュレーション時)の自動販売機101の運転指標値(例えば、電力量)を計測・計算する(ステップS34)。そして、得られた運転指標値の評価、例えば(m+1)秒前の測定データとm秒前の測定データを比較し(ステップS35)、運転指標値が最良値(最適値)に収束したか否かを判定する(ステップS36)。
【0101】
運転指標値が設定された負荷条件及び負荷指標値における最良値に収束していない場合には(ステップS36のNO)、次にステップS37を実行して運転パラメータ値の変更幅を計算した後、運転パラメータ値を変更設定する(ステップS38)。次いで、ステップS33に戻り、ステップS38で変更した運転パラメータ値によって自動販売機101やシミュレーション手段の運転を繰り返し、ステップS36において運転指標値が最良値に収束するまで当該ループを繰り返す。なお、ステップS38での運転パラメータ値の変更は、例えば公知のシンプレックス法等を用いて最適化するようにしてもよい。
【0102】
ステップS36において、運転指標値が設定された負荷条件及び負荷指標値における最良値に収束したと判断された場合(ステップS36のYES)、つまり、運転指標値が電力量(kWh)の場合にはこの電力量が当該負荷条件及び負荷指標値における最小値に収束したと判断されると、次に、ステップS39を実行する。ステップS39では、図8中のステップS27と略同様に、最良な運転指標値を示した運転パラメータ値を最適運転パラメータとして抽出し保存する。その後は、再びステップS31に戻って負荷条件や負荷指標値を変更してステップS32〜S39の工程を行うと共に、ステップS31〜S39の工程を繰り返すことにより、負荷指標値毎の最適運転パラメータを取得し、図5に示されるようなテーブルを作成するとよい。なお、この変形例においても、テーブルに代えて関数を作成してもよいことは勿論である。
【0103】
以上のように、本実施形態に係る自動販売機10は、所定の運転パラメータに依拠(依存)して消費電力が変化する構成であって、商品収納室12(各庫12L、12M、12R)内に設定された温度センサT1〜T3の検出温度に基づき、室内温度(庫内温度)が予め設定された温度域になるように冷却加熱装置14の運転を制御する制御装置16を備える。そして、制御装置16には、加熱庫(左庫12L、中庫12M)での加熱負荷及び冷却庫(左庫12L、中庫12M、右庫12R)での冷却負荷のうち少なくとも一方の負荷の指標となる負荷指標値(例えば、運転率比又は運転率又は周囲温度)を当該自動販売機10の稼働中に測定する負荷指標値測定部70と、負荷指標値毎の最適な運転パラメータ(蒸発温度目標値等)が予め設定された記憶部72から、負荷指標値測定部70で測定した負荷指標値に対応する最適な運転パラメータを取得する運転パラメータ取得部74と、取得した最適な運転パラメータを用いて冷却加熱装置14の運転制御を行う運転制御部78とが設けられる。
【0104】
このように、冷却加熱装置14は、自動販売機10の稼働中にオンライン計測される負荷指標値に対応する最適な運転パラメータによって逐次運転制御されるため、当該自動販売機10の稼働中に、例えば商品の在庫量や周囲温度の変化によって時々刻々と変化する負荷の値(負荷変動)に追従した運転制御が可能となり、運転効率を向上させ、消費電力を可及的に低減させることが可能となる。
【0105】
この際、運転制御部78には、圧縮機26の回転数を変化させる回転数補正部である圧縮機制御部80と、電子膨張弁30の開度を変化させる開度補正部である膨張弁制御部82とが設けられ、制御装置16は、運転パラメータ取得部74で取得した最適な運転パラメータに基づき圧縮機26の回転数及び電子膨張弁30の開度を変化させることができる。このため、設定された最適な運転パラメータの値に基づき、圧縮機26の回転数及び電子膨張弁30の開度を適宜調整しながら冷却加熱装置14を運転することができ、過剰な能力や過少な能力で冷却加熱装置14が運転されることが回避され、自動販売機10の運転効率を一層向上させることができる。
【0106】
2.第2の実施形態に係る自動販売機の説明
次に、本発明の第2の実施形態に係る自動販売機10aについて説明する。この第2の実施形態に係る自動販売機10aは、図2に示す制御装置16と構成の異なる制御装置16aを備える以外は、第1の実施形態に係る自動販売機10と同様な構成である。このため、以下の説明では、第1の実施形態に係る自動販売機10と同一又は同様な機能及び効果を奏する要素には同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。
【0107】
2.1 制御装置の構成の説明
図11は、第2の実施形態に係る自動販売機10aの制御装置16aの構成を示すブロック図である。制御装置16aは、制御装置16の構成に加えて、さらに、電力計Wでの検出電力値に基づき当該自動販売機10aの稼働中の電力(消費電力)を逐次(オンラインで)取得する電力取得部120と、電力取得部120で取得される電力値を最小とする運転パラメータ値を探索して取得する運転パラメータ探索部122とを備える。
【0108】
2.2 第4の制御方法の説明
次に、第2の実施形態に係る自動販売機10aの第1の制御方法(但し、上記第1の実施形態における第1〜第3の制御方法との混同を避けるため、以下では、第4の制御方法と呼ぶ)について、図12のフローチャートを参照しながら説明する。この第4の制御方法は、自動販売機10aの稼働中に運転サイクル(例えば、図4中の時刻t1〜t4間)毎に、又は所定時間毎に逐次実行され、自動販売機10aの運転状態をそのときの消費電力に応じて制御することで消費電力を可及的に低減しようとするものである。
【0109】
図12は、第4の制御方法の手順を示すフローチャートである。先ず、図12中のステップS41において、運転パラメータの初期値を設定し、この運転パラメータ初期値によって自動販売機10aを運転制御する(ステップS42)。自動販売機10aの運転中、制御装置16aは、各庫内の温度センサT1〜T3での検出結果に基づき、各庫12L、12M、12Rの庫内温度を予め設定された温度域(例えば、HOTでは63℃〜67℃、COLDでは3℃〜7℃)に管理すべく、冷却加熱装置14を運転制御し、この運転制御を自動販売機10aの稼働中継続する。
【0110】
ステップS43では、自動販売機10aの運転指標値(例えば、電力量)を計測・計算する。そして、得られた運転指標値について、必要に応じて移動平均等によるフィルタ処理を行った後(ステップS44)、その評価、例えば(m+1)秒前の測定データとm秒前の測定データとを比較し(ステップS45)、運転指標値が最良値(最適値)に収束したか否かを判定する(ステップS46)。
【0111】
運転指標値が最良値に収束していない場合には(ステップS46のNO)、次にステップS47を実行して運転パラメータ値の変更幅を計算した後、運転パラメータ値を変更設定する(ステップS48)。次いで、ステップS42に戻り、ステップS48で変更した運転パラメータによって自動販売機10aを運転し、このループをステップS46において運転指標値が最良値に収束するまで繰り返す。なお、ステップS48での運転パラメータの変更は、例えば公知のシンプレックス法や、後述する図13に示される方法等を用いて最適化するようにしてもよい。
【0112】
ステップS46において、運転指標値が最良値に収束したと判断された場合(ステップS46のYES)、つまり、運転指標値が電力量の場合にはこの電力量が最小値に収束したと判断されると、次に、ステップS49を実行し、最良な運転指標値を示した運転パラメータ値を最適運転パラメータとして抽出し、出力部76から運転制御部78へと出力する。そこで、ステップS50において、運転制御部78は、この探索した最適運転パラメータによって冷却加熱装置14の運転パラメータを再設定し、運転を制御する。その後は、自動販売機10aの稼働中に、逐次ステップS41〜S50を実行することにより、消費電力を可及的に抑制しながら運転を継続することができる。
【0113】
2.2.1 最適運転パラメータの探索方法の説明
次に、上記した第4の制御方法における最適運転パラメータの探索方法の具体例として、運転パラメータに圧縮機回転数を用いた場合の探索方法を説明する。
【0114】
図13は、運転パラメータとして圧縮機回転数を用いた場合の最適運転パラメータの探索方法の説明図であり、圧縮機回転数を変化させたときの1サイクル当たりの電力量の変化を示すグラフである。図14は、図13に示される最適運転パラメータの探索方法の一手順を示すフローチャートである。
【0115】
この探索方法では、運転パラメータとなる圧縮機26の回転数を、所定の初期値(例えば、図13中の回転数R1)として運転開始し、初期値から変化させた値(例えば、図13中の回転数R2)で各サイクルを運転し、サイクル毎にその消費電力量を計測する。そして、今回のサイクルで測定した消費電力量(電力測定値)が前回サイクルの電力測定値と比較して増加している場合には、次回のサイクルでは前回から今回への回転数の変化方向と反対方向に変化させた回転数で圧縮機26を運転する。一方、今回の電力測定値が前回の電力測定値と比較して減少している場合には、次回のサイクルでは前回から今回への回転数の変化方向と同一方向に変化させた回転数で圧縮機26を運転し、これらの動作を繰り返すことにより、電力測定値を極小値に収束させてそのときの回転数を最適運転パラメータとして抽出する。
【0116】
先ず、圧縮機26の回転数の初期値R1を設定した後(ステップS51)、この初期値R1の回転数で圧縮機26を駆動して1サイクル目の運転を実施する(ステップS52)。そして、圧縮機26の1サイクル目の運転が停止(OFF)された時点で(例えば、図4(D)中の時刻t3)、その直前までの電力量を当該1サイクル目の電力量P1として計測した後(ステップS53)、ステップS54においてiに1を代入し(i=1)、続いてステップS55に進む。例えば、圧縮機26の回転数の初期値R1と、そのときの電力測定値である電力量P1との関係は、図13に示されるように表される。
【0117】
ステップS55では、次のサイクルに備えて圧縮機26の回転数設定値を変化させるために、回転数をR(i+1)=Ri+ΔR、に設定する。つまり、次のサイクルが2サイクル目の場合には、R2(=R1+ΔR)となる。この場合、ΔRは、前回のサイクルでの回転数に対する次のサイクルでの回転数の増加分を示し、例えば100(rpm)等に設定される。従って、前回の回転数が、例えば2500(rpm)であって、増加分であるΔRが100の場合、次のサイクルの回転数は2600(rpm)となる。
【0118】
ステップS56では、ステップS55で設定された回転数R(i+1)で(i+1)サイクル目の運転を実施する。つまり、前回のサイクルが1サイクル目の場合、今回のサイクルは2サイクル目となり、R2(=R1+ΔR)で圧縮機26を運転する。そして、圧縮機26の(i+1)サイクル目の運転が停止された時点で、当該(i+1)サイクル目の電力量P(i+1)を計測する(ステップS57)。つまり、今回のサイクルが2サイクル目の場合には、電力量P2を計測する。
【0119】
次いで、ステップS58では、前回のサイクルでの電力測定値である電力量Piと今回のサイクルでの電力測定値である電力量P(i+1)とを比較する。その結果、P(i+1)≧Piの場合には、ΔRに(−αΔR)を代入する(ΔR=(−αΔR))。一方、P(i+1)<Piの場合には、ΔRにαΔR(α>0)を代入する(ΔR=αΔR)。この場合、αは、今回の回転数から次回の回転数への進み幅であるΔRを調整するための係数であり、係数αを調整することにより、次回の回転数を例えば電力量の減少幅等を考慮した最適な値に調整できる。
【0120】
ここで、前回の回転数R1から今回の回転数R2に変化させて運転を行った場合、図13に示す例では、1サイクル当たりの電力量がP1からP2(P2<P1)へと減少しているため、次回の回転数は、ΔR=αΔRに設定される。一方、図13に示されるように、前回の回転数がR4の場合に回転数R5に変化させて今回の運転を行った場合には、1サイクル当たりの電力量が増加しているため、次回の回転数は、ΔR=(−αΔR)に設定され、これにより次回の回転数は今回の回転数よりも低下するため、図13では回転数R5の位置からR4の位置へと戻る方向に変化する。
【0121】
ステップS59では、電力量が所定の極小値に収束したか否かを判定する。例えば、図13中の回転数R3のように、極小値への収束が確認されない場合には(ステップS59のNO)、ステップS60においてiに(i+1)を代入した後(i=i+1)、ステップS55に戻り、ステップS55〜S60の工程を繰り返す。一方、例えば、図13中の回転数R4のように、極小値への収束が確認された場合には(ステップS59のYES)、この極小値を得る回転数R4を最適運転パラメータとして抽出し(ステップS61)、これにより最適運転パラメータの探索を終了する。なお、極小値とは、運転パラメータ(この場合は圧縮機26の回転数)を適宜変化させた際に、極小となる電力量を示す点を示すものであるが、多少の幅を設けてもよいことは勿論である。また、運転パラメータが複数ある場合には、例えば公知のシンプレックス法等を用いて運転パラメータを最適化してもよい。
【0122】
2.3 第5の制御方法の説明
上記した第4の制御方法は、図11に示すように制御装置16aが電力計W等によってリアルタイム(オンライン)で電力量を計測できる場合に適用されるが、実際上、オンラインで電力量を計測できない自動販売機も数多い。そこで、この第5の制御方法は、電力量をオンラインで計測する設備(例えば、電力計W)を持たない構成からなる自動販売機10aであっても適用可能な方法である。
【0123】
一般に自動販売機の消費電力の大部分を占めるのは圧縮機26の消費電力である。そこで、この第5の制御方法では、圧縮機26の消費電力を推定し、この推定値によって自動販売機10aの消費電力を低減する運転パラメータを探索する。
【0124】
通常、交流電源によって駆動される圧縮機26が、インバータ40の制御によって回転数可変に運転される場合には、圧縮機26の消費電力はその回転数に比例する。この際、自動販売機10aでは、圧縮機26の回転数を制御する運転制御部78(圧縮機制御部80)から回転数指令値をインバータ40へと出力すると共に、運転制御部78内部に圧縮機26の回転数情報が保持される構成を有し、一般的な自動販売機でも略同様な構成を有する。なお、回転数指令値と実際の回転数(実測値)とは通常略一致することが知られており、従って、実測値の代わりに指令値を用いても特に問題は生じない。
【0125】
そして、図4(D)及び図4(E)から諒解されるように、圧縮機制御部80からの回転数指令値は、一定のサンプリング周期毎に出力され、各瞬間での電力はインバータ40によって制御される圧縮機26の回転数指令値に比例するため、この回転数指令値の一定期間の積分値、つまり回転数指令値をサンプリング周期毎に積算してサンプリング周期で除した値は、当該期間における消費電力(推定される消費電力)に比例する。
【0126】
このように、運転サイクル毎の消費電力が圧縮機26、つまり自動販売機10aの消費電力を示す指標となるため、図4(D)に示される圧縮機26の回転数を1サイクルの間について積分すると、その結果が図4(E)に示されるように、1サイクル分の電力量に比例し、この電力量に所定の比例係数を乗じたものを当該1サイクルの消費電力量の推定値として特定することができる。この際、最適運転パラメータの探索では、電力量の絶対値は不要であり、電力量の相対的な変化が得られれば十分であるため、前記比例係数を省略し、圧縮機26の回転数を積分したものを電力量とみなすこともできる。
【0127】
以上より、電力をオンラインで計測することができない構成であっても、運転サイクル毎の消費電力を推定計算することができるため、当該第5の制御方法では、この推定電力値に基づき最適運転パラメータの探索を行う。具体的には、上記第4の制御方法及び最適運転パラメータの探索方法と略同様な手順でよく、図12中のステップS45や図14中のステップS53、S57の電力量計測工程に代えて、上記した推定方法による電力量推定工程を実行すればよい。
【0128】
2.4 最適運転パラメータの探索効率の向上方法の説明
第2の実施形態に係る自動販売機10aにおいて、上記した第4及び第5の制御方法に適用される最適運転パラメータの探索方法では、例えば探索する運転パラメータの初期値や探索する領域を適宜最適化することにおり、その探索効率を一層向上させることができる。
【0129】
ここで、自動販売機10aについても、上記第1の実施形態に係る自動販売機10と同様に、負荷指標値をオンラインで計測又は計算して取得することができる。この際、運転パラメータを変数とみなし、その変数によって構成される空間において最適運転パラメータが存在する領域は、自動販売機10aの負荷に応じて変化すると考えられる。つまり、当該向上方法は、負荷指標値を用いることで最適運転パラメータの探索効率を向上させようとするものである。
【0130】
先ず、探索する運転パラメータの初期値を最適化する場合には、上記した最適運転パラメータの探索方法において最適運転パラメータの探索を行うに際し(例えば、図14のステップS51)、負荷指標値毎に探索の初期値となる運転パラメータ値を求めた初期値テーブルを予め作成しておく。この初期値テーブルは、図5(A)〜図5(C)に示されるテーブルと同様でよく、例えば、運転パラメータを圧縮機26の回転数とした場合には、図5(A)〜図5(C)に示される各負荷指標値に対応する回転数が探索の初期値となる。
【0131】
すなわち、図5(A)〜図5(C)に例示されるテーブルに基づき、逐次計測・計算された負荷指標値に対応する最適運転パラメータを、探索の初期値として取得し、この初期値から探索を行う。例えば、HCC運転において負荷指標値が1の場合には、初期値(R1)は回転数2500(rpm)として、図14中のステップS51を実行する。これにより、負荷指標値に応じた最適運転パラメータを初期値として探索を行うことができるため、探索に要する時間や処理負担を低減してその効率化を図ることができる。
【0132】
次に、探索領域を最適化する場合には、上記した最適運転パラメータの探索方法において最適運転パラメータの探索を行うに際し、負荷指標値毎の探索領域を定めたテーブル(探索領域テーブル)を予め作成しておく(図15参照)。
【0133】
図15に、HCC運転時の探索領域テーブルの一例を示す。図15に示すように、探索領域テーブルは、負荷指標値毎に運転パラメータの上限及び下限を定めたテーブルであり、例えば、図15では、運転パラメータとして蒸発目標温度及び凝縮目標温度を採用し、これらの上限及び下限の値を示している。そして、逐次計測・計算された負荷指標値に対応する運転パラメータの探索領域(範囲)を、探索領域テーブルから取得し、この探索領域について探索を行う。例えば、HCC運転において負荷指標値が1の場合には、その探索範囲は、蒸発温度目標値の下限が−6(℃)、上限が−3(℃)となり、凝縮温度目標値の下限が63(℃)、上限が73(℃)となり、この探索領域について、上記した最適運転パラメータの探索方法を実行する。これにより、負荷指標値に応じて運転パラメータの探索領域を絞り込むことができるため、探索に要する時間や処理負担を低減してその効率化を図ることができる。
【0134】
以上のように、本実施形態に係る自動販売機10aは、商品収納室12に対する加熱及び冷却の両方又はいずれかを行うと共に、所定の運転パラメータに依拠して消費電力が変化する構成であって、商品収納室12内に設定された温度センサT1〜T3の検出温度に基づき、室内温度が予め設定された温度域になるように冷却加熱装置14の運転を制御する制御装置16aを備える。そして、制御装置16aには、当該自動販売機10aの稼働中の消費電力を測定し又は推定する電力取得部120と、運転パラメータを変動させて冷却加熱装置14を運転し、電力取得部で120取得される電力測定値又は電力推定値を最小とする運転パラメータを探索して取得する運転パラメータ探索部122と、運転パラメータ探索部122で取得した運転パラメータを用いて冷却加熱装置14の運転制御を行う運転制御部78とが設けられる。
【0135】
このように、冷却加熱装置14は、自動販売機10aの稼働中にオンライン計測又は推定される消費電力を最小とする運転パラメータによって逐次運転制御されるため、当該自動販売機10aの稼働中に、例えば商品の在庫量や周囲温度の変化によって生じる負荷変動に対応した運転制御が可能となり、運転効率を向上させ、消費電力を可及的に低減させることが可能となる。
【0136】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0137】
例えば、上記各実施形態に係る自動販売機10、10aとしては、3庫構成からなる商品収納室12を備えた構成を例示したが、1庫や2庫又は4庫以上の構成であってもよい。例えば、左庫12Lのみの1庫構成にする場合には、左庫熱交換器32と庫外熱交換器28とをそれぞれ凝縮器又は蒸発器として機能できるような回路構成を構築すればよい。同様に、例えば、左庫12L及び中庫12Mのみの2庫構成にする場合には、右庫12R内の第2蒸発器36を省略すると共に、この第2蒸発器36に関わる配管等を適宜省略等した回路構成を構築すればよい。また、図1に示す冷媒回路の構成は、適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0138】
また、上記第1及び第2の実施形態に係る自動販売機10では、負荷指標値として、上記した運転率比、加熱庫での運転率、冷却庫の運転率及び周囲温度のいずれか1つを用いる方法を例示したが、このうち複数の負荷指標値を用いて制御を行うようにしてもよい。例えば、負荷指標値として、運転率比と周囲温度を用いる場合には、それぞれの負荷指標値に基づく各最適運転パラメータについて、それぞれ所定の重み付け係数を掛けた上で平均化する等の手法を採用してもよい。
【符号の説明】
【0139】
10、10a、101 自動販売機
12 商品収納室
12L 左庫
12M 中庫
12R 右庫
14 冷却加熱装置
16、16a 制御装置
26 圧縮機
30 電子膨張弁
32 左庫熱交換器
34 第1蒸発器
36 第2蒸発器
40 インバータ
70 負荷指標値測定部
74 運転パラメータ取得部
76 出力部
78 運転制御部
120 電力取得部
122 運転パラメータ探索部
F1〜F4 ファン
H1、H2 ヒータ
T1〜T4 温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を吸引して圧縮する圧縮機と、該圧縮機で圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器と、該凝縮器で凝縮された冷媒を減圧する膨張装置と、該膨張装置で減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器とを備えた冷却加熱装置を用い、商品収納室に対する加熱及び冷却の両方又はいずれかを行うと共に、所定の運転パラメータに依拠して消費電力が変化する自動販売機であって、
前記商品収納室内に設定された温度センサの検出温度に基づき、室内温度が予め設定された温度域になるように前記冷却加熱装置の運転を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記商品収納室での加熱負荷及び冷却負荷のうち少なくとも一方の負荷の指標となる負荷指標値を当該自動販売機の稼働中に測定する負荷指標値測定部と、
負荷指標値毎の最適な運転パラメータが予め設定された最適運転パラメータ記憶部から、前記負荷指標値測定部で測定した負荷指標値に対応する最適な運転パラメータを取得する運転パラメータ取得部と、
前記最適運転パラメータ取得部で取得した最適な運転パラメータを用いて冷却加熱装置の運転制御を行う運転制御部と、
を有することを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
請求項1記載の自動販売機において、
前記運転制御部は、前記圧縮機の回転数を変化させる回転数補正部と、前記膨張装置の開度を変化させる開度補正部とを有し、
前記制御装置は、前記最適運転パラメータ取得部で取得した最適な運転パラメータに基づき、前記回転数補正部及び前記開度補正部によって圧縮機の回転数及び膨張装置の開度を変化させることを特徴とする自動販売機。
【請求項3】
請求項1又は2記載の自動販売機において、
前記負荷指標値として、前記商品収納室における加熱庫での加熱運転の運転率と冷却庫での冷却運転の運転率との比である運転率比、及び、前記加熱庫での加熱運転の運転率、及び、前記冷却庫での冷却運転の運転率、及び、当該自動販売機の周囲温度のうち、1つ又以上を用いることを特徴とする自動販売機。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動販売機において、
前記運転パラメータとして、前記加熱庫内の設定温度、及び、前記冷却庫内の設定温度、及び、前記圧縮機の回転数、及び、前記膨張装置の開度、及び、前記凝縮器に送風する凝縮器ファンの回転数、及び、前記蒸発器に送風する蒸発器ファンの回転数、及び、前記加熱庫に設置されるヒータの出力のうち、1つ以上を用いることを特徴とする自動販売機。
【請求項5】
請求項4記載の自動販売機において、
前記制御装置は、前記凝縮器での冷媒の凝縮温度及び前記蒸発器での冷媒の蒸発温度を目標値に追従させるフィードバック制御を実行し、
前記運転パラメータとして、さらに、前記凝縮温度の目標値、及び、前記蒸発温度の目標値のうち、1つ以上を用いることを特徴とする自動販売機。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動販売機において、
前記運転パラメータ記憶部は、前記負荷指標値毎の最適な運転パラメータをテーブル又は関数として記憶していることを特徴とする自動販売機。
【請求項7】
請求項6記載の自動販売機の制御装置において、
前記負荷指標値毎の最適な運転パラメータを記憶したテーブル又は関数は、当該自動販売機の実機又はシミュレータを用い、運転パラメータの値を変化させながら前記実機又はシミュレータの運転を行い、その運転時に最小の消費電力を発生する運転パラメータを最適な運転パラメータとして負荷指標値毎に設定して作成されることを特徴とする自動販売機。
【請求項8】
冷媒を吸引して圧縮する圧縮機と、該圧縮機で圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器と、該凝縮器で凝縮された冷媒を減圧する膨張装置と、該膨張装置で減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器とを備えた冷却加熱装置を用い、商品収納室に対する加熱及び冷却の両方又はいずれかを行うと共に、所定の運転パラメータに依拠して消費電力が変化する自動販売機であって、
前記商品収納室内に設定された温度センサの検出温度に基づき、室内温度が予め設定された温度域になるように前記冷却加熱装置の運転を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、当該自動販売機の稼働中の電力を測定し又は推定する電力取得部と、
前記運転パラメータを変動させて冷却加熱装置を運転し、前記電力取得部で取得される電力測定値又は電力推定値を最小とする運転パラメータを探索して取得する運転パラメータ探索部と、
前記運転パラメータ探索部で取得した運転パラメータを用いて冷却加熱装置の運転制御を行う運転制御部と、
を有することを特徴とする自動販売機。
【請求項9】
請求項8記載の自動販売機において、
前記圧縮機の回転数を変化させるインバータを備え、
前記電力取得部は、前記電力推定値を前記インバータによって制御される圧縮機の回転数から推定して算出することを特徴とする自動販売機。
【請求項10】
請求項8又は9記載の自動販売機において、
前記運転パラメータ探索部は、前記商品収納室での加熱負荷及び冷却負荷のうち少なくとも一方の負荷の指標となる負荷指標値に応じて、前記運転パラメータの探索初期値又は探索領域を変化させることを特徴とする自動販売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−256298(P2012−256298A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130299(P2011−130299)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】