説明

自動販売機

【課題】大幅な変更を加えることなく存在感や宣伝効果を発揮することが可能な自動販売機を提供する。
【解決手段】本体キャビネットの前面を開閉する片開き式の外扉1を備えた自動販売機において、前記外扉1の上部扉枠に正面視矩形状の自動販売機に対して新たな外観を与える意匠が施された装飾ユニット9を取付けるとともに当該装飾ユニット9の少なくとも前面を覆う透明な保護部材10を設け、前記装飾ユニット9の前面と保護部材10との間に広告表示部材を着脱自在に配設してなり、装飾ユニット9によって自動販売機に新たな外観形状を与えるとともに装飾ユニット9の前面を覆う保護部材10と装飾ユニット9との間に配設される広告表示部材を着脱自在としたことによって広告表示部材の交換を容易に行うことが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機の上部に装飾ユニットを追加装備してその外観形状を変更可能な自動販売機であって、装飾ユニットに広告媒体を着脱自在に装着してなる自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の自動販売機として缶入り飲料,ペットボトル入り飲料等の商品を販売する一般的な自動販売機は断熱筐体としてなる本体キャビネットの前面に片開き式の外扉が設けられ、当該外扉には額縁状の窓を形成して商品展示室が形成されている。この商品展示室の前面は透明パネルで覆われて商品展示室に展示された複数の商品見本を外部から視認できるようにされている。このような自動販売機においては商品展示室を有する外扉の表面部分が自動販売機自身の存在感や宣伝効果に大きな役割を果たしている。このため、外扉における商品展示室の形状や外扉の表面に飲料容器を描くなどのデザインを施して他の自動販売機に対して際立つように工夫されている。しかしながら、自動販売機の標準的な外郭形状や寸法は規制されていることから他の自動販売機に対してインパクトを与えることができない。そこで、標準的な自動販売機に対して差別化を図るために外扉の上部にアーチ形部材を追加装備するようにして差別化を図るようにしたものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−325003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された自動販売機は外扉の上部に追加装備されたアーチ形部材の前面に広告を記載するように構成されており、アーチ形部材を追加装備することにより自動販売機に新たな外観形状を与えることができるとともに当該アーチ形部材を利用して広告宣伝を行うことができるという点で優れている。ところで、自動販売機により販売される缶入り飲料,ペットボトル入り飲料等の商品の開発は日進月歩であり、新たな商品が販売される都度、旧の商品と入れ替えられる。この場合、新発売を宣伝する広告も交換する必要があるが、特許文献1に開示された自動販売機においてはアーチ形部材の前面に広告が記載されているので、広告を交換する場合にはアーチ形部材そのものを交換するか、若しくは不透明のフィルムに新発売の広告が施された広告表示部材を貼り付けねばならない。このため、アーチ形部材を交換する場合には費用が嵩み、広告表示部材を貼り付ける場合には広告表示部材が剥がれるおそれがあるとともに広告表示部材が剥がれないように強力な接着剤を用いた場合にはリサイクルが困難であるという課題を有する。
【0005】
そこで、本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は前記課題を解決し、大幅な変更を加えることなく存在感や宣伝効果を発揮することが可能な自動販売機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1に係る発明は、本体キャビネットの前面を開閉する片開き式の外扉を備えた自動販売機において、前記外扉の上部に正面視矩形状の自動販売機に対して新たな外観を与える意匠が施された装飾ユニットを取付けるとともに当該装飾ユニットの少なくとも前面を覆う透明な保護部材を設け、前記装飾ユニットの前面と保護部材との間に広告表示部材を着脱自在に配設してなることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の自動販売機において、保護部材は広告表示部材を抜き差しする開口を有することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、請求項1に記載の自動販売機において、装飾ユニットは外扉の上部に正面視矩形状の自動販売機に対して新たな外観を与える意匠が施されるとともに下縁が外扉の商品展示室まで延在する装飾部材と、外扉の上部に着脱自在に取付けられる取付部材との組立体からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1に係る発明は、本体キャビネットの前面を開閉する片開き式の外扉を備えた自動販売機において、前記外扉の上部に正面視矩形状の自動販売機に対して新たな外観を与える意匠が施された装飾ユニットを取付けるとともに当該装飾ユニットの少なくとも前面を覆う透明な保護部材を設け、前記装飾ユニットの前面と保護部材との間に広告表示部材を着脱自在に配設してなることにより、装飾ユニットによって自動販売機に新たな外観形状を与えて他の自動販売機との差別化を図るとともに装飾ユニットの前面を覆う保護部材と装飾ユニットとの間に配設される広告表示部材を着脱自在としたことによって広告表示部材の交換を容易に行うことができるという効果を有する。
【0010】
また、本発明の請求項2に係る発明は、請求項1に記載の自動販売機において、保護部材は広告表示部材を抜き差しする開口を有することにより、広告表示部材の装着および交換作業を簡単に行うことができるという効果を有する。
【0011】
また、本発明の請求項3に係る発明は、請求項1に記載の自動販売機において、装飾ユニットは外扉の上部に正面視矩形状の自動販売機に対して新たな外観を与える意匠が施されるとともに下縁が外扉の商品展示室まで延在する装飾部材と、外扉の上部に着脱自在に取付けられる取付部材との組立体からなることにより、外扉に画成された商品展示室を装飾部材の領域まで拡大することができ、従来においては外扉に画成された商品展示室内に設けていた広告文字,図柄,ロゴタイプなどの表示媒体を装飾部材に移動させることが可能となり、この場合、装飾部材は専ら広告文字,図柄,ロゴタイプなどの表示媒体に使用できることから商品展示室内に設けていた表示媒体よりも格段に大きく表示することができるので絶大な宣伝効果を得ることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1である自動販売機の全体構成を示す正面図である。
【図2】図1の外扉の上部に敷設された装飾ユニットおよび保護部材を示し、(a)は外扉の上部に装飾ユニットを敷設した状態の前方右斜め上から見た斜視図、(b)は(a)の背面斜視図である。
【図3】分解した装飾ユニットを保護部材とともに示す分解斜視図である。
【図4】図3の装着ユニットと保護部材の一部を拡大して前面下方から見た斜視図である。
【図5】装飾ユニットを外扉の上部への敷設方法を説明する図であり、(a)はその前方右斜め上から見た斜視図、(b)はその背面斜視図である。
【図6】広告表示部材の装着方法を説明するための前方斜め下から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明における実施の形態である自動販売機を図面に基づいて説明する。なお、本発明はこの実施の形態により限定されるものではない。
【0014】
図1は本発明の実施の形態1である自動販売機の全体構成を示す。図において、1は本体キャビネットの前面に不図示のヒンジ機構により開閉自在に軸支された片開き式の外扉である。図では外扉1に隠れて見えない前記本体キャビネットは前面が開放した断熱筐体として形成されている。この本体キャビネット1の庫内は不図示の断熱仕切壁により左右方向に複数の商品収納室に区分され、各商品収納室には缶入り飲料,ペットボトル飲料等の商品を収容するとともにその下端に後述する商品選択ボタンの操作により商品を搬出する商品払出機構を有する商品収納ラックが収設されている。また、各商品収納室の下部には当該各商品収納室を冷却もしくは加熱して商品収納ラックに収容した商品を冷却・加熱する冷却/加熱ユニットが配設されている。そして、本体キャビネットの前面開口は片開き式の断熱内扉により閉塞されている。
【0015】
前記外扉1の前面の上部域には透明パネル3で覆われ商品展示室2が設けられている。この商品展示室2内には上下方向に複数段、この実施の形態では上下方向に3段に配設された商品展示台(不図示)に商品見本4が載置され、この商品見本4に対応して透明パネル3の前面には商品選択ボタン5が配設されている。前記外扉1の略中央部における正面視右側領域には接客部6が設けられ、この接客部6には硬貨投入口61、紙幣挿入口62、返却レバー63、投入金額,庫内温度,販売中,準備中等の各種情報をディスプレイに表示する販売情報表示部64が組付けられている。また、外扉1における高さ方向略中央であって右端側(反ヒンジ機構側)にはシリンダー錠付きの主ロック装置7が設けられ、前記外扉1における下部領域には硬貨返却口1a、商品販売口1bが設けられている。そしてまた、外扉1の正面視左側領域には外扉1の下端から上端まで曲線により連続するとともに上下端部側の幅が広く中央付近の幅が狭い帯状装飾体8が敷設されている。この帯状装飾体8は合成樹脂製になり、外扉1の表面(前面)に対して前方側に突出する態様であたかも三次元的に浮き出ているような印象を与えるよう立体的に形成されている。
【0016】
前記外扉1の上部にはモジュール部品としての装飾ユニット9が着脱自在に敷設され、この装飾ユニット9の前面は保護部材10で覆われている。前記外扉1の上部に敷設された状態の装飾ユニット9および保護部材10の正面側と背面側から見た拡大斜視図を図2の(a),(b)に示し、装飾ユニット9および保護部材10の分解斜視図を図3に示している。前記装飾ユニット9は図2に示すように、外扉1の横幅に一致した幅を有する薄板鋼板製の装飾部材91と外扉1の上面に固着される薄板鋼板製の取付部材92とからなり、保護部材10は透明な合成樹脂製になる。なお、図2の(a)における30は後述するように保護部材10と装飾部材91との間に配設される広告表示部材である。
【0017】
前記装飾部材91は、図3に示すように水平線に沿う下辺(下縁)に対して上辺(上縁)が湾曲し、その周縁を後方に折り曲げて薄い箱型形状に形成されている。この装飾部材91は下辺(下縁)が商品展示室2の上端と前後方向に重なるように外扉1の表面に配設されるものであり、正面視右端側の上下方向の長さt0が外扉1に形成された商品展示室2の上端から外扉1の上縁までの寸法t1と略同一である一方、左端側の上下方向の長さは寸法t1よりも大きく外扉1の上端よりも上方に突出するように定められ、その正面視左端側には前記帯状装飾体8の延長軌跡に一致する形状に形成された帯状装飾体部911、この帯状装飾体部911に連なる扉頭部912が形成されている。また、装飾部材91の下縁には図4に示すように切欠913が形成されている。
【0018】
前記取付部材92は外扉1の横幅よりも短く、その上下方向の中間部が外扉1の上部扉枠1Aに載置される載置部92Aとして折り曲げられ、この載置部92Aは上部扉枠1Aに腰掛けるように載置される。この取付部材92の上端部には前方に向けて折り曲げられた複数の固定片921が前記装飾部材91の湾曲面に沿うように形成されている。この固定片921の前方側への突出長さは装飾部材91の上縁(後方を向くように折り曲げられている)の長さより短く定められている。また、取付部材92の下端は前方を向くように折り曲げられて下縁92Bとして形成され、この下縁92Bの前端にはフック状の挟持部922が左右方向に3個形成されている。この挟持部922は図4に拡大して示すように、前記下縁92Bよりも一段下方に下がった状態のフック形状をなしている。なお、前記装飾部材91の下縁に形成した切欠913は前記挟持部922に嵌め込まれるものであり、3個の挟持部922に対応して設けられているものである。
【0019】
前記保護部材10は装飾部材91よりも一回り大きく、装飾部材91の左右端部をカットした形状の縦断面コ字状に形成されている。この保護部材10の上縁11には3個の固定用のスリット12が形成されている一方、下縁13には、図4に示すように切欠14および左右方向に延在するスリット15が形成されている。前記の切欠14は装飾部材91の切欠913と同様に、取付部材92の挟持部922に嵌め込まれるものであり、3個の挟持部922に対応して設けられているものである。また、保護部材10の下縁13に左右方向に延在するように形成したスリット15は後述する広告表示部材30を抜き差しするものである。
【0020】
前記装飾ユニット9の組立について説明すると、まず、箱型形状の装飾部材91の背後を塞ぐように取付部材92を組付ける。この場合、取付部材92の下部に設けた挟持部922を装飾部材91の切欠913に嵌め込んだ上で取付部材92の固定片921を装飾部材91の上縁の内側に潜り込ませる。前述したように、取付部材92の下部に設けた挟持部922を装飾部材91の切欠913に嵌め込むと装飾部材91の下縁と取付部材92の下縁92Bとが重なり合い、装飾部材91および取付部材92の下縁にそれぞれ形成したリベット挿通孔を介してリベットR1(図4参照)により両者を固定する。同様に、装飾部材91の上縁と取付部材92の固定片921にそれぞれ形成したリベット挿通孔を介してリベットR2,R3,R4(図3参照)により両者を固着する。これにより装飾部材91と取付部材92が装飾ユニット9として一体化される。前記保護部材10は装飾ユニット9に装着されるのであるが、保護部材10の装飾ユニット9への組付けについては後述する装飾ユニット9の外扉1への組付けとともに説明する。なお、図3における20は前記装飾ユニット9を外扉1に固着する固定金具であり、図2の(b)から理解できるように略Z字状に形成されている。
【0021】
次に、モジュール部品として一体化された装飾ユニット9の外扉1への組付けを図5を参照して説明する。なお、図5の(b)に示すように外扉1の上面の上部扉枠1Aは背面側に向けて下る階段状に形成されている。
前記装飾ユニット9を外扉1の上部に敷設する前段階として上部扉枠1Aに略Z字状の固定金具20(図5の(b)参照)を取付ける。この略Z字状の固定金具20は上部扉枠1Aの背面側に腰掛けるように設置した上でねじ(参照符号省略)により固着される。次いで、装飾ユニット9を装飾部材91が外扉1の前面側を向く姿勢で前記外扉1の上部扉枠1Aの上段部に腰掛けるように載置する。すなわち、装飾ユニット9の取付部材92における載置部92A(図3参照)を前記上部扉枠1Aの上段部に腰掛けるように載置する。この状態で装飾ユニット9の取付部材92が上部扉枠1Aの背面側に固着された固定金具20に対峙しており、前記取付部材92と固定金具20とをねじ(参照符号省略)によりねじ止めする。これにより装飾ユニット9が外扉1の上部に敷設され、装飾ユニット9における装飾部材91の下縁が商品展示室2の上端まで延在している。
【0022】
前述したように装飾ユニット9を外扉1の上部に敷設した後、前記装飾ユニット9の前方から保護部材10を装着する。この場合、保護部材10の下縁13(図4、図5の(a)参照)に形成した切欠14を取付部材92の下縁92Bに形成した挟持部922に嵌合させる。なお、前記挟持部922には装飾部材91の下縁の切欠913が嵌合しており、前記挟持部922は装飾部材91の下縁と保護部材10の下縁13を挟み込むことができるような寸法に定められているものである。一方、装飾部材91の上縁を覆う保護部材10に形成したスリット12にL字状に折り曲げられた固定具21の一方の脚片を差し込む。ここで、保護部材10は装飾部材91よりも一回り大きく形成されており、装飾部材91の上縁を覆う保護部材10の上縁11は取付部材92よりも背面側まで延在し、当該上縁11に形成したスリット12も取付部材92の背面側に位置している。このため、前記スリット12に差し込まれた固定具21の一方の脚片は取付部材92の背後に位置しており、前記固定具21の一方の脚片を取付部材92にねじSによりねじ止めすることにより前記固定具21の他方の脚片が保護部材10を保持して保護部材10が装飾ユニット9に装着される。また、保護部材10が装飾部材91よりも一回り大きく形成されているので、装飾部材91と保護部材10との間には保護部材10の下縁13に形成したスリット15の幅と略同一の隙間が形成されてなるものである。
【0023】
さて、前述したように外扉1の上部に敷設された装飾ユニット9における装飾部材91と保護部材10との間には、図6に示した広告表示部材30が装着される。前記広告表示部材30は可撓性を有するプラスチック成形品としてなり、広告文字,図柄,ロゴタイプなどを表示する広告表示部31と、この広告表示部31の下端を直角に折り曲げて形成された係止部32を備えてなる。この広告表示部材30は保護部材10の下縁13に形成された左右方向に延在するスリット15を介して保護部材10と装飾部材91との間に広告表示部31を挿入しつつ、前記係止部32を装飾ユニット9を構成する取付部材92の下縁92Bに形成した挟持部922に差し込む。ここで、広告表示部材30の係止部32はその自由端が、広告表示部材30を装飾ユニット9に装着した状態で取付部材92の挟持部922の先端部分にまで延在する長さを有し、広告表示部材30の広告表示部31を保護部材10のスリット15に差し込む最終段階において広告表示部31の下端側を前方側に撓ませつつ、係止部32の自由端を取付部材92の挟持部922に圧入する。この場合、挟持部922には装飾部材91と保護部材10の下縁が嵌め込まれて挟持されており、係止部32の全体を圧入するには挟持部922を広げるような労力を必要とするのであるが、この実施の形態においては係止部32の自由端の一部のみを圧入するように定められているので、挟持部922に対して係止部32を容易に差し込むことができる。このように広告表示部材30の係止部32を取付部材92の挟持部922に係止させることにより広告表示部材30の脱落が防止される。また、広告表示部材30の交換に際しては前記係止部32を挟持部922から引き外した上で広告表示部31を保護部材10のスリット15から引き抜けばよい。
【0024】
ここで、装飾ユニット9の装飾部材91の表面(前面)における中央部分91a(図3参照)の領域には商品展示室2の背面を形成する中扉(不図示)と同様に白色塗装が施されているものである。このように、商品展示室2の色彩と装飾部材91の中央部分91aの色彩が同一であって、かつ、装飾部材91の下縁が商品展示室2の上端にまで延在していることによって宛ら商品展示室2が拡大された印象を与えることができる。すなわち、装飾部材91の中央部分91aと商品展示室2の色彩が同一であった場合にも装飾部材91の下縁が商品展示室2の上端まで延在していない場合には外扉1に画成された商品展示室2と装飾部材91との間が外扉1(商品展示室2の周囲のフレームであって商品展示室5の色彩とは異なる色彩が施されている)により区切られることから装飾部材91を商品展示室2の一部として印象付けることができない。かかる点、装飾部材91の色彩を商品展示室2に施された色彩と同一とし、かつ、装飾部材91を商品展示室2にまで延在させたことによって前述したように外扉1に画成された商品展示室2が装飾部材91の領域まで拡大したような印象を与えることができる。したがって、従来においては外扉1に画成された商品展示室2内に設けていた広告文字,図柄,ロゴタイプなどの表示媒体を装飾部材91の領域に移動(この実施の形態では前記表示媒体を表示した広告表示部材30が相当する)させることができる。この場合、装飾部材91は専ら広告文字,図柄,ロゴタイプなどの表示媒体の表示領域として使用できることから商品展示室2内に設けていた表示媒体よりも格段に大きく表示することができるので絶大な宣伝効果を得ることが可能となり、また、外扉1に画成された商品展示室2は広告文字,図柄,ロゴタイプなどの表示媒体の制約を受けることなく専ら商品見本4の展示に使用することができるものである。
【0025】
また、装飾部材91の帯状装飾体部911は外扉1に敷設した帯状装飾体8の延長軌跡の形状、および同一の色彩が施されており、帯状装飾体8と一体である印象、つまり、帯状装飾体8を延長させて表示させることができる。したがって、曲線模様であって三次元的に浮き出すような印象を与える帯状装飾体8をより一層際立たせることが可能となり、他の自動販売機との差別化を図ることができる。なお、装飾部材91の表面(前面)における右端部分91b(図3参照)、および前記帯状装飾体部911に連なる扉頭部912には外扉1の表面の塗装色と同一の色により塗装されているものである。このように装飾ユニット9を構成する装飾部材91には他の自動販売機に対して新たな外観を与える意匠が施されている。
なお、装飾ユニット9は現地(設置場所)において固定金具20のねじを緩めることによって自動販売機(外扉1)から取り外すことができるので、仮に現地において高さ規制がある場合には装飾ユニット9を除去することもできる。さらに、自動販売機を設置した後、他の自動販売機との差別化を図りたい場合には装飾ユニット9を後付することもできるものである。
【0026】
また、この実施の形態1の変形例として、装飾部材91を太陽電池パネルとすることができ、この場合には広告表示部材30を光透過性の材料により形成し、太陽電池パネルにより蓄電したエネルギーを自動販売機の制御電源として利用することができる。
【0027】
前述したとおり本発明によれば、本体キャビネットの前面を開閉する片開き式の外扉1を備えた自動販売機において、前記外扉1の上部(上部扉枠1A)に正面視矩形状の自動販売機に対して新たな外観を与える意匠が施された装飾ユニット9を取付けるとともに当該装飾ユニット9の少なくとも前面を覆う透明な保護部材10を設け、前記装飾ユニット9の前面と保護部材10との間に広告表示部材30を着脱自在に配設してなることにより、装飾ユニット9によって自動販売機に新たな外観形状を与えて他の自動販売機との差別化を図るとともに装飾ユニット9の前面を覆う保護部材10と装飾ユニット9との間に配設される広告表示部材30を着脱自在としたことによって広告表示部材30の交換を容易に行うことができるという効果を有する。
【符号の説明】
【0028】
1…外扉、2…商品展示室、3…透明パネル、4…商品見本、5…商品選択ボタン、6…接客部、8…帯状装飾体、9…装飾ユニット、10…保護部材、14,913…切欠、20…固定金具、30…広告表示部材、31…広告表示部、32…係止部、91…装飾部材、92…取付部材、911…帯状装飾体部、922…挟持部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体キャビネットの前面を開閉する片開き式の外扉を備えた自動販売機において、前記外扉の上部に正面視矩形状の自動販売機に対して新たな外観を与える意匠が施された装飾ユニットを取付けるとともに当該装飾ユニットの少なくとも前面を覆う透明な保護部材を設け、前記装飾ユニットの前面と保護部材との間に広告表示部材を着脱自在に配設してなることを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
請求項1に記載の自動販売機において、保護部材は広告表示部材を抜き差しする開口を有することを特徴とする自動販売機。
【請求項3】
請求項1に記載の自動販売機において、装飾ユニットは外扉の上部に正面視矩形状の自動販売機に対して新たな外観を与える意匠が施されるとともに下縁が外扉の商品展示室まで延在する装飾部材と、外扉の上部に着脱自在に取付けられる取付部材との組立体からなることを特徴とする自動販売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−53767(P2012−53767A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196961(P2010−196961)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】