説明

自動車で使用される継手装置

【課題】 自動車で使用される継手装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、自動車で使用される継手装置、特に等速ジョイントまたはトリポード型ジョイントであって、継手ハウジング(4)と、継手ハウジング(4)に固定して接続されている入力シャフト(6)と、トリポード軸受アセンブリ(10)によって結合して回転するように継手ハウジング(4)に配置されている接合シャフト(8)とを有し、曲げ弾性接続機構(14)が、固定領域(20)によって入力シャフト(6)に接続されている、継手装置であり、曲げ弾性接続機構(14)が少なくとも1つの画定された曲げ領域(16、34)を提供することを特徴とする継手装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車で使用される、継手装置(a joint arrangement)、特に等速ジョイントまたはトリポード型ジョイント(a tripod joint)であって、継手ハウジングと、継手ハウジングに固定して接続されている入力シャフトと、トリポード軸受アセンブリ(a tripod bearing assembly)によって結合して回転するように継手ハウジングに配置されている接合シャフトとを有し、入力シャフトおよび接合シャフトを互いに接続する曲げ弾性接続機構が設けられ、曲げ弾性接続機構が、固定領域によって入力シャフトに接続されている、継手装置に関する。
【背景技術】
【0002】
これらの継手装置には多くの用途があり得る。自動車では、この種の継手装置は、特に等速(homokinetic)動力伝達装置で使用されており、そこでは、たとえばモーターレースにおいて大きい動力が伝達されなければならない。ここでの一用途では、動力伝達装置の出力軸は、この種の継手装置によって接合シャフトに接続され、接合シャフトはホイールハブに結合されている。
【0003】
下記特許文献1は、入力シャフトと接合シャフトとの間に曲げ弾性接続部材を提供する継手装置を開示しており、これは、可動性を保証するように意図されており、曲げ弾性接続部材は、入力シャフトと接合シャフトとの両方に配置されている。この継手装置には、特に連接ロッドを備えている実施形態の場合、大きい内向きおよび外向きの偏り走行ならびに急な操舵移動の場合に、連接ロッドを破壊する可能性がある曲げ荷重がかかるという不都合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2007 015 413号明細書
【特許文献2】独国特許第34 37 782 C1号明細書
【特許文献3】独国特許第31 34 270 A1号明細書
【特許文献4】米国特許第2010/0 022 314 A1号明細書
【特許文献5】米国特許第3 041 858 A号明細書
【特許文献6】欧州特許第0 968 867 A1号明細書
【特許文献7】欧州特許第1 352 770 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、上述した不都合を回避し、非常に高い荷重に耐えることができると同時に、接合シャフトに対して高い位置決め精度を保証する継手装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、曲げ弾性接続機構が少なくとも1つの画定された(定められた)曲げ領域を提供するという事実によって達成される。このように、高い移動性、および同時に特に低コストでかつ単純に高い位置決め精度を保証する継手装置を提供することができる。ここでは、曲げ弾性接続機構が、曲げ領域を画定する曲げ弾性ロッド状領域と、接合シャフトの継手によって弾性接続機構を支持するための継手ヘッドとを有する場合に特に有利である。継手の摩耗を可能な限り低く維持し、曲げ領域に対する曲げ荷重を最小限にするために、継手は玉継手(a ball joint)として設計され、その中心点がトリポード軸受アセンブリの中心点と一致する場合に、有利である。この場合、継手は2シェル(two−shell、2つの貝殻状の)嵌合部材を有することができ、継手ヘッドは、保持リングによって嵌合部材に軸方向に固定されている。
【0007】
曲げ領域をさらにより明確に画定するために、ロッド状領域が少なくとも部分的に先細り設計(テーパをつけた設計)である場合に有利である。曲げ応力をさらに最小限にするために、ロッド状領域が少なくとも部分的に楕円形設計であることも可能である。
【0008】
さらに、固定領域が、単純にかつ低コストに弾性曲げ領域を形成する、特にカバー要素としての、弾性変形可能なダイアフラムを有することができる。この場合、ダイアフラムは液密式に継手ハウジングをさらに閉鎖することができる。
【0009】
さらに、曲げ弾性接続機構に対して軸方向に予荷重を加えることができる。この場合、引張要素を設けることができ、引張要素は、ねじ継手によって固定領域に接続され、かつ入力シャフトの軸方向面に支持される。
【0010】
本発明について、以下、図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による継手装置の第1実施形態の断面図を示す。
【図2】本発明による継手装置の第2実施形態の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、自動車(特に図示せず)で使用される、本発明による継手装置2の断面図を示す。図示する継手装置2を使用して、特にホイールハブ(図示せず)を自動車の動力伝達装置に接続する。この目的で、継手装置2は継手ハウジング4を有し、それは、対象としている実施形態では入力シャフト6に一体的に連結されており、入力シャフト6は、動力伝達装置の出力シャフトを表すことができる。継手ハウジング4に、接合シャフト8がトリポード軸受アセンブリ10によって既知の方法で配置されている。ここで、ダイアフラム12が、継手ハウジング4の可撓性封止を確実にする。
【0013】
接合シャフト8の非常に確実な位置決めと組み合わせた高度な可動性を確実にするために、曲げ弾性接続機構14が設けられている。本発明によれば、この曲げ弾性接続機構14は、画定された曲げ領域16を有している。例示的な第1実施形態では、曲げ弾性接続機構14はロッド状領域18からなり、それは、曲げ領域16を画定するためにわずかに先細り設計である。特には図示しない実施形態では、曲げ応力をさらに最小限にするために、ロッド状領域18の少なくとも一部を楕円形にすることもさらに可能である。ロッド状領域は固定領域20を有し、それは、入力シャフト6に固定して配置されている。この場合、この接続は、引張要素22によって確立され、引張要素22は、ねじ24によって固定領域20に接続されている。引張要素22は、その回転によって接続機構14に軸方向の予荷重がかかるように、軸方向面26に既知の方法で支持されている。
【0014】
さらに、ロッド状領域20は継手ヘッド28を有し、それは、対象としている例示的な実施形態では球形ヘッドとして設計されている。この球形ヘッド28は、2シェル嵌合部材30で支持されており、保持リング32によって軸方向に固定されている。たとえばホイールの内向きまたは外向きの偏り中、入力シャフト6に関連する接合シャフト8の偏りにより、曲げ領域16における画定された曲げのみがもたらされる。接続機構18の予荷重を、入力シャフト6に通される引張要素22によって特に単純に達成することができる。このように、入力シャフト6および接合シャフト8は、圧縮および引張に耐えるように接続機構14によって互いに接続されている。
【0015】
図2は、本発明による継手機構2の第2実施形態の断面図を示す。ここでもまた、入力シャフト6はこの場合も継手ハウジング4と一体的に形成されている。この場合もまた、曲げ弾性接続機構18は、玉継手28によって2シェル継手ヘッド30に配置され、かつ保持ワッシャ32によって軸方向に固定されている。しかしながら、この場合、固定領域20は弾性変形可能なダイアフラム34を有し、それは、この例示的な実施形態では曲げ領域を形成している。この種の実施形態は、特に、ロッド状領域18をより短くかつ堅くすることができるという利点を提供する。さらに、接合シャフトを、カバー要素として作用するこの種のダイアフラム34によって液密式に封止することもさらに可能である。
【0016】
当然ながら、それぞれの曲げ領域における曲げ荷重をさらに最小限にするために、図1および図2に示す2つの実施形態を組み合わせることも考えられる。
【符号の説明】
【0017】
4 継手ハウジング
6 入力シャフト
8 接合シャフト
10 トリポード軸受アセンブリ
14 曲げ弾性接続機構
16 曲げ領域
20 固定領域
34 ダイアフラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車で使用される継手装置であって、継手ハウジング(4)と、前記継手ハウジング(4)に固定して接続されている入力シャフト(6)と、トリポード軸受アセンブリ(10)によって結合して回転するように前記継手ハウジング(4)に配置されている接合シャフト(8)とを有し、曲げ弾性接続機構(14)が、固定領域(20)によって前記入力シャフト(6)に接続されている、継手装置であり、前記曲げ弾性接続機構(14)が少なくとも1つの画定された曲げ領域(16、34)を提供することを特徴とする継手装置。
【請求項2】
前記曲げ弾性接続機構(14)が、前記曲げ領域(16)を画定する曲げ弾性ロッド状領域(18)と、前記接合シャフトの継手によって前記弾性接続機構を支持するための継手ヘッドとを有することを特徴とする、請求項1に記載の継手装置。
【請求項3】
前記継手が玉継手(28、30)として設計され、前記玉継手(28、30)の中心点が前記トリポード軸受アセンブリ(10)の中心点と一致することを特徴とする、請求項2に記載の継手装置。
【請求項4】
前記継手(28、30)が2シェル嵌合部材(30)を有し、前記継手ヘッド(28)が、保持リング(32)によって前記嵌合部材(30)に軸方向に固定されることを特徴とする、請求項2または3に記載の継手装置。
【請求項5】
前記ロッド状領域(18)が少なくとも部分的に先細り設計であることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか一項に記載の継手装置。
【請求項6】
前記ロッド状領域(18)が少なくとも部分的に楕円形設計であることを特徴とする、請求項2〜5のいずれか一項に記載の継手装置。
【請求項7】
ダイアフラム(34)が、液密式に前記接合シャフト(8)を閉鎖することを特徴とする、請求項6に記載の継手装置。
【請求項8】
前記曲げ弾性接続機構(14)に対して軸方向に予荷重が加えられることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の継手装置。
【請求項9】
ねじ継手(24)によって前記固定領域(20)に接続されかつ前記入力シャフト(6)の軸方向面(26)に支持される、引張要素(22)が設けられることを特徴とする、請求項8に記載の継手装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−36611(P2013−36611A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−170720(P2012−170720)
【出願日】平成24年8月1日(2012.8.1)
【出願人】(510238096)ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト (63)
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D−70435 Stuttgart, Germany