説明

自動車に搭載されているGNSS受信機の位置を決定する方法及びシステム

【課題】自動車に搭載されているGNSS受信機の本来機能が妨害源によって意図的に無力化されているときでもGNSS受信機の位置を決定できるようにする。
【解決手段】自動車10が道路交通路上定点を通過するときに、当該道路交通路上定点20のセンサ装置21によって、妨害源12が送出している妨害信号、及び/または、妨害源により毀損されたGNSS受信機の受信信号の検出が行われる。更に、検出された信号に対して信号処理が施されることで、自動車の車上に妨害源が存在しているか否かの判定が行われる。妨害源が存在していたならば、少なくとも当該道路交通路上定点の所在位置と、当該自動車の車上に存在している妨害源とを示すデータが生成され、道路交通路上定点の所在位置に基づいて自動車の位置を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載されているGNSS受信機の本来機能が、当該自動車の車上に存在している妨害源によって意図的に無力化されているときに、所定の複数の道路交通路上定点の夫々に妨害源検出用のセンサ装置を設置してそれらセンサ装置により構築したセンサネットワークを用いて、当該GNSS受信機の位置を決定する方法に関する。本発明は更に、自動車に搭載されているGNSS受信機の本来機能が、当該自動車の車上に存在している妨害源によって意図的に無力化されているときに、当該GNSS受信機の位置を決定するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
GNSSとは、グローバルナビゲーション衛星システムのことであり、GPSとも呼ばれている。GNSS受信機は、多数の衛星から送信されているGNSS信号に基づいてみずからの位置を決定する。GNSS受信機は様々なところに用いられているが、特に自動車に装備して用いられている。自動車が盗難に遭ったときには、GNSS受信機がみずからの現在位置を、自動車の所有者、自動車の製造会社、或いは盗難車の探索請負業者などに通知するようにしたものもあり、それによって盗難車を発見できるようにしている。GNSS受信機が決定した位置を表している位置データは更に、自動車の走行経路に関するデータを残すためにも利用されている。そのデータに基づいて、例えば、課金すべき道路通行料金の算定が行われて、その料金が自動車の使用者ないし所有者に請求される。
【0003】
GNSS受信機が搭載されている自動車には、更に妨害源を搭載することによって、そのGNSS受信機の動作を阻止することができる。その妨害源としては、例えば妨害電波発信機(いわゆるジャマー)などが用いられる。ジャマーは、GNSS受信機が、衛星から送信されているGNSS信号を捕捉すること、その信号に処理を加えること、ないしはその信号を利用することを妨害することにより、GNSS受信機がみずからの位置を決定できないようにする。これによって、例えば上述した盗難対策機能を無力化することができる。妨害源としてはこの他に、スプーファと呼ばれる装置なども用いられる。スプーファは、GNSS受信機に、衛星から送信されているGNSS信号に見せかけた捏造信号をつかませる装置である。この捏造信号を用いてGNSS受信機が決定する位置は、実際の位置とは全く異なったものとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って本発明の目的は、自動車に搭載されているGNSS受信機の本来機能が、当該自動車の車上に存在している妨害源によって意図的に無力化されているときであっても、それにもかかわらず、当該GNSS受信機の位置を決定できるようにする方法及びシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的は、請求項1に記載した特徴を備えた方法、並びに、請求項10に記載した特徴を備えたシステムにより達成される。尚、従属請求項は、特に有用な実施の形態に係る特徴を記載したものである。
【0006】
本発明が提供する方法は、自動車に搭載されているGNSS受信機の本来機能が、当該自動車の車上に存在している妨害源によって意図的に無力化されているときに、所定の複数の道路交通路上定点の夫々に妨害源検出用のセンサ装置を設置してそれらセンサ装置により構築したセンサネットワークを用いて、当該GNSS受信機の位置を決定する方法である。ここで、妨害源という用語は、本発明に関しては、妨害電波発信機(ジャマー)やスプーファなどを意味するものである。ジャマーは、自動車に搭載されているGNSS受信機が、衛星から送信されているGNSS信号を捕捉すること、その信号に処理を加えること、ないしはその信号を利用することを妨害し、それによって、GNSS受信機がみずからの位置を決定できないようにするものである。スプーファは、自動車に搭載されているGNSS受信機が衛星から送信されている正規のGNSS信号であると認識するように捏造したGNSS信号を送出するものである。これによって、GNSS受信機が決定する位置は誤ったものとなる。
【0007】
本発明に係る方法によれば、自動車が道路交通路上定点を通過するときに、当該道路交通路上定点の1つまたは複数のセンサによって、妨害源が送出している妨害信号、及び/または、妨害源により毀損されたGNSS受信機の受信信号の検出が行われる。続いて、その検出された信号に対して信号処理が施されることで、当該自動車の車上に妨害源が存在しているか否かの判定が行われる。そして、妨害源が存在していたならば、少なくとも当該道路交通路上定点の所在位置と、当該自動車の車上に存在している妨害源とを示すデータが生成され、当該道路交通路上定点の所在位置に基づいて当該自動車の位置が決定される。
【0008】
本発明は更に、自動車に搭載されているGNSS受信機の本来機能が、当該自動車の車上に存在している妨害源によって意図的に無力化されているときに、当該GNSS受信機の位置を決定するシステムを提供する。該システムによれば、所定の複数の道路交通路上定点の夫々にセンサ装置が設置されており、該センサ装置は、自動車が道路交通路上定点を通過するときに、妨害源が送出している妨害信号、及び/または、妨害源により毀損されたGNSS受信機の受信信号の検出を行うものである。更に、検出された信号に対して信号処理を施すことで、当該自動車の車上に妨害源が存在しているか否かの判定を行うための演算処理装置を備えている。妨害源が存在していたならば、少なくとも当該道路交通路上定点の所在位置と、当該自動車の車上に存在している妨害源とを示すデータが、該システムによって生成されるようにしてあり、当該道路交通路上定点の所在位置に基づいて当該自動車の位置を決定できるようにしてある。
【0009】
ここで、妨害信号という用語は、妨害源から送出される信号でありさえすれば、いかなる信号をも意味するものである。従ってこの妨害信号は、真正のGNSS信号の受信を妨害するような信号であってもよく、また、真正のGNSS信号を装った信号であってもよい。
【0010】
従って本発明の方式は、自動車の位置を、即ちその自動車に搭載されているGNSS受信機の位置を、間接的に決定するものである。位置の決定が直接的なものではないというのは、GNSS受信機が決定した位置ではないからである。この方式は、GNSS受信機の機能を無力化するためにGNSS受信機と共に搭載されている妨害源の存在を検出し、そして、道路交通路上定点の所在位置に基づいて、GNSS受信機の位置を、即ち自動車の位置を決定するものである。それゆえ本発明は、実際にGNSS受信機の正常な機能が妨げられているか否かを検出し得るものではなく、GNSS受信機の本来機能(上述した盗難対策の機能や、自動車が走行した経路を決定するためのデータを提供する機能など)を少なくとも部分的に回復させるものである。
【0011】
GNSS受信機が自動車の盗難防止用に用いられている場合には、その自動車が通過する道路交通路上定点において妨害源の存在が検出されることによって、その自動車の位置が検出される。そして、その自動車が多数の道路交通路上定点を通過して走行することによって、その自動車の移動経路を決定することが可能になる。一方、GNSS受信機の正常な機能を妨げているということが発覚しないように、道路交通路上定点を通過する際に妨害源をオフにするということが行われたならば、それによってGNSS受信機はみずからの真正の位置を決定して上位システムに伝送できる状態に復帰するため、その自動車の位置を特定することが可能になる。また、GNSS受信機が、自動車が利用した有料道路の利用走行経路を決定するために利用されている場合には(その場合、その走行経路に沿った所定の複数の道路交通路上定点のセンサ装置によって適宜のセンサネットワークが構築されていることが前提となる)、GNSS受信機がオンになっていなくても、その自動車の走行経路を決定することができる。
【0012】
本発明の特に有利な1つの実施の形態によれば、妨害電波発信機が存在しているか否かの判定のために、前記道路交通路上定点において、スペクトルモニタリング法が実行される。別法として、或いはこれと併用して、妨害電波発信機が存在しているか否かの判定のために、前記道路交通路上定点において、GNSS信号の捕捉及び追跡に関する基準GNSS受信機の動作状態及びそのパラメータの判定が行われるようにするのもよい。これら2つの方法のいずれか一方もしくは両方を実行する方法とすることで、妨害電波発信機を検出することが可能となる。尚、前記基準GNSS受信機は、このように利用するために前記道路交通路上定点に設置しておくことが好ましい。
【0013】
スプーファが存在しているか否かの判定のためには、前記道路交通路上定点において、当該スプーファから送出されているGNSS信号と少なくとも1つの衛星から送信されているGNSS信号との相関特性の判定が行われるようにするのがよい。別法として、或いはこれと併用して、スプーファが存在しているか否かの判定のために、前記道路交通路上定点において、当該スプーファから送出されているGNSS信号の受信強度及び少なくとも1つの衛星から送信されているGNSS信号の受信強度の判定が行われるようにするのもよい。
【0014】
また、前記センサ装置を設置するための前記道路交通路上定点としては、国境通過点、有料道路の通行料金算定地点、制限区域の入構/出構ゲート、また特に屋内外の駐車場の入構/出構ゲート、高速道路の進入路/退出路、自動車専用道路の進入路/退出路、道路交差点、港湾、及び、鉄道駅のうちの少なくとも1つを選択するとよい。尚、当然のことながら、妨害源検出用のセンサ装置を備えた道路交通路上定点は、以上に列挙した以外の地点に設置するのもよい。妨害源検出用のセンサ装置を備えた道路交通路上定点の数を増やせば増やすほど、通常は違法に使用されている妨害源をより高い信頼性をもって検出することが可能になる。
【0015】
また別の好適な1つの実施の形態によれば、前記道路交通路上定点において生成されるデータが更に、前記妨害源の存在が検出された時刻を含んでいるようにしている。妨害源の検出時刻と道路交通路上定点の所在位置とを組合せることによって、当該自動車の現在位置に関するより高精度のデータが得られる。この検出時刻と所在位置との組合せが特に有用であるのは、妨害源をオンにしたままで、当該自動車が多数の道路交通路上定点を通過して走行した場合である。そのような場合には、当該自動車の走行経路を割り出すことができる。
【0016】
また別の好適な1つの実施の形態によれば、前記道路交通路上定点において、当該自動車を特定する自動車データが採取され、該自動車データが、当該道路交通路上定点で生成される前記データの1つの成分要素として前記データに組込まれるようにしている。かかる自動車データは、例えば、当該自動車の特徴が明確に把握でき、場合によっては当該自動車の運転者を特定することもできる写真画像データやビデオ画像データとするとよい。この実施の形態が有用であるのは、妨害源の違法使用それ自体を摘発する必要がない場合や、摘発することができない場合などである。例えば、有料道路の通行料金の課金業務などはそのような場合に該当する。
【0017】
更に、前記道路交通路上定点において生成された前記データが、データを集中管理している管轄当局へ伝送されるようにしておくとよい。このようにすることで、例えば、違法行為の取締りが可能となる。ただし、管轄当局の他に、盗難車の探索請負業者に伝送されるようにしておくのもよく、そうすれば、決定された位置データに基づいて探索請負業者が盗難車を発見することができる。
【0018】
以下に添付図面に示した実施の形態に即して本発明について更に詳細に説明して行く。添付図面については以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るシステムであって、自動車に搭載されているGNSS受信機の本来機能が、当該自動車の車上に存在している妨害源によって意図的に無力化されているときに、当該GNSS受信機の位置を決定するシステムの模式図である。
【図2】本発明に係る方法の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は自動車10を示した模式図であり、この自動車10にはGNSS受信機11が搭載されている。GNSS受信機11は、図示した状況では4基の衛星30、31、32、33からGNSS信号S30、S31、S32、S33を受信している。GNSS受信機11は、それらGNSS信号S30、S31、S32、S33に基づいて、みずからの位置を、またひいては自動車10の位置を決定することのできる状態にある。自動車10の位置を示す位置データは、この自動車の内部で利用される他に、この自動車の外部でも利用され、例えば多数の自動車の位置データを収集して集中利用している利用主体などがある。そのような利用主体は、図1には示していないが、自動車の位置データを一定周期もしくは不定周期で受信しており、そのデータ受信は、これも図1には示していないが、例えば非接触通信インターフェースなどを介して行われる。
【0021】
GNSS受信機11の位置データは取りも直さず自動車10の位置データであり、この位置データは、例えば、自動車10が利用した有料道路の利用走行距離を決定するためなどに用いられる。その利用走行距離に基づいて、例えば利用により発生した道路通行料金が算定され、自動車の使用者ないし所有者に請求される。
【0022】
GNSS受信機11の位置データは更に、例えば自動車が盗難に遭ったときにその盗難車の現在位置を突き止めるのにも用いられる。それには、GNSS受信機が決定した位置を示す位置データが、データを集中管理している管轄当局へ伝送されるようにしておくとよく、そうすることで、管轄当局はその盗難車の現在位置を特定することができ、その盗難車の回収に取りかかることができる。
【0023】
ただし、GNSS受信機の機能を無力化することが可能であり、それには妨害源12を自動車10に搭載してもよく、或いは車内に一時的に持ち込むだけでもよい。妨害源12としては、例えばジャマーと呼ばれている妨害電波発信機や、スプーファなどが用いられる。図1に具体例として示した妨害源12は、ジャマー13とスプーファ14の両方を備えた装置である。妨害電波発信機であるジャマー13は、衛星30、31、32、33から送信されているGNSS信号S30、S31、S32、S33の捕捉及び追跡を不可能にするものである。それによってGNSS受信機11は、位置の決定を行えなくなる。
【0024】
スプーファ14は、GNSS受信機11が検出可能な信号を送出する。GNSS受信機11はその送出された信号を、衛星から送信されたGNSS信号であるものとして認識する。スプーファ14が送出する信号は、衛星から受信するGNSS信号S30、S31、S32、S33と同様の相関特性を有するため、GNSS受信機11は、そのときの状況によっては、スプーファ14から送出された信号を用いて位置の決定を行うことができる。しかしながら、その信号は意図的に操作された信号であるため、そのようにしてGNSS受信機が決定した位置は、真正の位置ではない。
【0025】
そこで本発明においては、複数の道路交通路上定点20の夫々に妨害源検出用のセンサ装置21を設置し、そして、それら複数の道路交通路上定点20のそれら複数のセンサ装置21によってセンサネットワークを構築するようにしている。図1にはそれら複数の道路交通路上定点20のうちの1つだけを図示した。道路交通路上定点20は、センサ装置21と、カメラ22と、演算処理装置23と、基準GNSS受信機24とを備えている。センサ装置21は、自動車の車上の妨害源を検出するための1つまたは複数のセンサを含んでいる。また、センサ装置21は、例えばそれらセンサに対応した適宜の信号探査アンテナなどを備えている。
【0026】
自動車の車上に存在しているジャマーの検出のためには、道路交通路上定点20において、センサ装置21によってスペクトルモニタリング法が実行されるようにしている。別法として、或いはこれと併用して、ジャマーの検出のために、道路交通路上定点20において、GNSS信号の捕捉及び追跡に関する基準GNSS受信機24の動作状態及びそのパラメータの判定が行われるようにするのもよい。それらを行うための適宜の様々な方法は当業者には周知のものであるため、それらについてはここではこれ以上詳細に説明しない。
【0027】
スプーファの検出のためには、道路交通路上定点20において、スプーファから送出されているGNSS信号と少なくとも1つの衛星30、31、32、33から送信されているGNSS信号S30、S31、S32、S33との相関特性の判定が行われるようにしている。別法として、或いは、これと併用して、スプーファから送出されているGNSS信号の受信強度及び少なくとも1つの衛星30、31、32、33から送信されているGNSS信号S30、S31、S32、S33の受信強度の判定が行われるようにするのもよい。スプーファを検出するために以上のことを行う上で必要とされる様々な手段及び方法は当業者には周知のものであるため、それらについてもここではこれ以上詳細に説明しない。
【0028】
図2に模式的に示した本発明に係る方法の基本的な流れは以下の通りである。先ずステップS1において、自動車10が道路交通路上定点20を通過するときに、当該道路交通路上定点20のセンサ装置21によって、妨害源12が送出している妨害信号、及び/または、妨害源12により毀損されたGNSS受信機の受信信号S30、S31、S32、S33の検出が行われる。続くステップS2では、検出されたその信号に対して信号処理が施されることで、当該自動車の車上に妨害源が存在しているか否かの判定が行われる。もしそれによって妨害源が検出されたならば、続くステップS3において、当該道路交通路上定点20の演算処理装置23によって、当該道路交通路上定点の所在位置と、当該自動車の車上に存在している妨害源(ジャマーまたはスプーファ)とを示すデータが生成され、当該データには更に、オプションとして、当該自動車が当該道路交通路上定点を通過した時刻が含まれるようにするのもよい。以上によって、当該道路交通路上定点の所在位置に基づいて当該自動車10の位置を決定できるようにしている。また、当該道路交通路上定点において生成されるデータに、更に、当該道路交通路上定点20を通過している自動車10や、場合によってはその運転者などを撮影した、写真画像データないしビデオ画像データが含まれるようにするのもよい。尚、通常は違法に装備されている妨害電波発信機は、道路交通路上定点を通過するか否かにかかわらず、一時的にのみ使用されることがある。
【0029】
妨害源検出用のセンサを備えた道路交通路上定点の設置数が多いほど、自動車の走行経路をより高い精度で割り出すことが可能になる。尚、夫々の道路交通路上定点20で生成された前記データは、データを集中管理している管轄当局へ伝送されるようにして、そこで更なるデータ処理が行われるようにするのもよい。
【0030】
以上に説明した道路交通路上定点20としては、例えば、国境通過点、有料道路の通行料金算定地点、制限区域の入構/出構ゲート、また特に屋内外の駐車場の入構/出構ゲート、高速道路の進入路/退出路、自動車専用道路の進入路/退出路、道路交差点、港湾、鉄道駅、等々を選択するとよい。
【0031】
以上に説明した方式は、例えば盗難車の探索及び回収を支援する手段となり得るものである。たとえ道路交通路上定点20を通過する際に妨害源12がオフにされたとしても、その場合、妨害源12がオフ状態にある間は、自動車10に搭載されているGNSS受信機11がみずから位置を決定することができるため、その位置データが、例えば盗難車の探索請負業者などに伝送されることになる。
【0032】
有料道路を無賃走行することを目的として妨害源を使用している妨害源使用者なども、本発明に従って多数の道路交通路上定点を適宜の分布密度で設けておけば、いずれ発見することができ、また場合によっては、無賃通行した経路を割り出すことも可能である。
【符号の説明】
【0033】
10 自動車
11 GNSS受信機
12 妨害源
13 妨害電波発信機
14 スプーファ
20 道路交通路上定点
21 センサ装置
22 カメラ
23 処理装置
24 基準GNSS受信機
30、31、32、33 衛星

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(10)に搭載されているGNSS受信機(11)の本来機能が、当該自動車(10)の車上に存在している妨害源(12)によって意図的に無力化されているときに、所定の複数の道路交通路上定点(20)の夫々に妨害源検出用のセンサ装置(21)を設置してそれらセンサ装置により構築したセンサネットワークを用いて、当該GNSS受信機(11)の位置を決定する方法において、
−自動車が道路交通路上定点を通過するときに、当該道路交通路上定点(20)のセンサ装置(21)によって、妨害源(12)が送出している妨害信号、及び/または、妨害源(12)により毀損されたGNSS受信機の受信信号の検出が行われるようにし、
−検出された信号に対して信号処理が施されることで、当該自動車(10)の車上に妨害源(12)が存在しているか否かの判定が行われるようにし、
−妨害源(12)が存在していたならば、少なくとも当該道路交通路上定点(20)の所在位置と、当該自動車(10)の車上に存在している妨害源(12)とを示すデータが生成されるようにし、当該道路交通路上定点(20)の所在位置に基づいて当該自動車(10)の位置を決定できるようにした、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記妨害源(12)である妨害電波発信機(13)が存在しているか否かの判定のために、前記道路交通路上定点(20)において、スペクトルモニタリング法が実行されるようにすることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記妨害源(12)である妨害電波発信機(13)が存在しているか否かの判定のために、前記道路交通路上定点(20)において、GNSS信号の捕捉及び追跡に関する基準GNSS受信機の動作状態及びそのパラメータの判定が行われるようにすることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記妨害源(12)であるスプーファ(14)が存在しているか否かの判定のために、前記道路交通路上定点(20)において、当該スプーファ(14)から送出されているGNSS信号と少なくとも1つの衛星から送信されているGNSS信号との相関特性の判定が行われるようにすることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の方法。
【請求項5】
前記妨害源(12)であるスプーファ(14)が存在しているか否かの判定のために、前記道路交通路上定点(20)において、当該スプーファ(14)から送出されているGNSS信号の受信強度及び少なくとも1つの衛星から送信されているGNSS信号の受信強度の判定が行われるようにすることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の方法。
【請求項6】
前記センサ装置(21)を設置するための前記道路交通路上定点(20)として、国境通過点、有料道路の通行料金算定地点、制限区域の入構/出構ゲート、また特に屋内外の駐車場の入構/出構ゲート、高速道路の進入路/退出路、自動車専用道路の進入路/退出路、道路交差点、港湾、及び、鉄道駅のうちの少なくとも1つが選択されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の方法。
【請求項7】
前記道路交通路上定点(20)において生成されるデータが更に、前記妨害源(12)の存在が検出された時刻を含んでいるようにすることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載の方法。
【請求項8】
前記道路交通路上定点(20)において、当該自動車(10)を特定する自動車データが求められ、該自動車データが、当該道路交通路上定点(20)で生成される前記データの1つの成分要素として前記データに組込まれるようにすることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項記載の方法。
【請求項9】
前記道路交通路上定点(20)において生成された前記データが、データを集中管理している管轄当局へ伝送されるようにすることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項記載の方法。
【請求項10】
自動車(10)に搭載されているGNSS受信機(11)の本来機能が当該自動車(10)の車上に存在している妨害源(12)によって意図的に無力化されているときに、当該GNSS受信機(11)の位置を決定するシステムにおいて、
−所定の複数の道路交通路上定点(20)の夫々にセンサ装置(21)が設置されており、該センサ装置(21)は、自動車が道路交通路上定点を通過するときに、妨害源(12)が送出している妨害信号、及び/または、妨害源(12)により毀損されたGNSS受信機の受信信号の検出を行うものであり、
−検出された信号に対して信号処理を施すことで、当該自動車(10)の車上に妨害源(12)が存在しているか否かの判定を行うための演算処理装置(23)を備えており、
−妨害源(12)が存在していたならば、少なくとも当該道路交通路上定点(20)の所在位置と、当該自動車(10)の車上に存在している妨害源(12)とを示すデータが生成されるようにしてあり、当該道路交通路上定点(20)の所在位置に基づいて当該自動車(10)の位置を決定できるようにしてある、
ことを特徴とするシステム。
【請求項11】
前記妨害源(12)である妨害電波発信機(13)が存在しているか否かの判定のために、前記道路交通路上定点(20)において、スペクトルモニタリング法が実行されるようにすることを特徴とする請求項10記載のシステム。
【請求項12】
前記妨害源(12)である妨害電波発信機(13)が存在しているか否かの判定のために、前記道路交通路上定点(20)において、GNSS信号の捕捉及び追跡に関する基準GNSS受信機の動作状態及びそのパラメータの判定が行われるようにすることを特徴とする請求項10又は11記載のシステム。
【請求項13】
前記妨害源(12)であるスプーファ(14)が存在しているか否かの判定のために、前記道路交通路上定点(20)において、当該スプーファ(14)から送出されているGNSS信号と少なくとも1つの衛星から送信されているGNSS信号との相関特性の判定が行われるようにすることを特徴とする請求項10乃至12の何れか1項記載のシステム。
【請求項14】
前記妨害源(12)であるスプーファ(14)が存在しているか否かの判定のために、前記道路交通路上定点(20)において、当該スプーファ(14)から送出されているGNSS信号の受信強度及び少なくとも1つの衛星から送信されているGNSS信号の受信強度の判定が行われるようにすることを特徴とする請求項10乃至13の何れか1項記載のシステム。
【請求項15】
前記センサ装置(21)を設置するための前記道路交通路上定点(20)として、国境通過点、有料道路の通行料金算定地点、制限区域の入構/出構ゲート、また特に屋内外の駐車場の入構/出構ゲート、高速道路の進入路/退出路、自動車専用道路の進入路/退出路、道路交差点、港湾、及び、鉄道駅のうちの少なくとも1つが選択されていることを特徴とする請求項10乃至14の何れか1項記載のシステム。
【請求項16】
前記道路交通路上定点(20)において生成されるデータが更に、前記妨害源(12)の存在が検出された時刻を含んでいるようにすることを特徴とする請求項10乃至15の何れか1項記載のシステム。
【請求項17】
前記道路交通路上定点(20)において、当該自動車(10)を特定する自動車データが求められ、該自動車データが、当該道路交通路上定点(20)で生成される前記データの1つの成分要素として前記データに組込まれるようにすることを特徴とする請求項10乃至16の何れか1項記載のシステム。
【請求項18】
前記道路交通路上定点(20)において生成された前記データが、データを集中管理している管轄当局へ伝送されるようにすることを特徴とする請求項10乃至17の何れか1項記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−4098(P2013−4098A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−134822(P2012−134822)
【出願日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【出願人】(500466717)アストリウム・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (34)
【Fターム(参考)】