説明

自動車のアクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違い防止装置

【課題】右のペダルがアクセル、左のペダルがブレーキであることを、それぞれと同じ側のランプを点灯させて、目で常時、確認させる。
【解決手段】運転席前面の計器パネル2の右側で速度計10の近くに設けられる青色のアクセルペダルランプ3と、左側に設けられる赤色のブレーキペダルランプ4と、アクセルペダル5が踏まれたときにこれを検出するアクセルペダル踏込み検知装置6と、ブレーキペダル7が踏まれたときにこれを検出するブレーキペダル踏込み検知装置8と、これら検知装置6,8から出力された電気信号をもとにアクセルペダルランプ3及びブレーキペダルランプ4を発光させる電子制御回路9を備える。電子制御回路9は、どちらのランプも両ペダルが踏まれていないときには、赤色、青色が分かる程度の弱い光で光るように制御し、アクセルペダル5が踏まれたときには青色アクセルペダルランプ3が、またブレーキペダル7が踏まれたときには赤色ブレーキペダルランプ4が強く光るように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のアクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違い防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車のアクセルペダルとブレーキペダルは、運転席の足元の右側にアクセルペダルが、また左側にブレーキペダルが設けられており、運転中、運転者は前方を見ながら足元を見ることなく左右に位置する両ペダルの踏み分けを行ってアクセルとブレーキの操作を行うようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、自動車のアクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違いによる事故が近年、増加している。この踏み間違いが生じるのは、アクセルペダルもブレーキペダルも運転席の足元にあり、運転中、運転者は通常は、前方を見ていて足元を見ることはなく、いわば、勘と慣れだけで両者の踏み分けを行っているためと考えられる。実際、高齢者による踏み分け間違いの事故が増加していることから推測すると、とっさの場合に気が動転し、右側のペダルがアクセルで、左側のペダルがブレーキであるということを瞬間的に失念する結果、誤ったペダルを踏んで、事故に至ることが多いと考えられる。
【0004】
そこで、本発明は、右側のペダルがアクセル、左側のペダルがブレーキであることを、それぞれと同じ側のランプを異なる色で点灯させ、目で常時、確認することで、無意識に体に記憶させ、とっさの場合でも、条件反射的に左右のペダルを間違えずに踏むことができる自動車のアクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違い防止装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、運転席前面の計器パネルに設けられる青色のアクセルペダルランプ及び赤色のブレーキペダルランプと、アクセルペダルが踏まれたときにこれを検出するアクセルペダル踏込み検知装置と、ブレーキペダルが踏まれたときにこれを検出するブレーキペダル踏込み検知装置と、これら検知装置から出力された電気信号をもとにアクセルペダルランプ及びブレーキペダルランプを発光させる電子制御回路を備えており、アクセルペダルランプを右に、ブレーキペダルランプを左にして一体的に計器パネルに配置すると共に、アクセルペダルランプを速度計の近くにくるように配置し、かつ、上記電子制御回路により、どちらのランプも両ペダルが踏まれていないときには、青色、赤色が分かる程度の弱い光で光るように制御され、アクセルペダルが少しでも踏まれているときには、青色のアクセルペダルランプが強く光るように制御され、ブレーキペダルが少しでも踏まれているときには、赤色のブレーキペダルランプが強く光るように制御されることを特徴とする。
なお、上記ランプとは、発光ダイオードや電球などの発光体を含む概念である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の自動車のアクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違い防止装置によれば、運転席前面の計器パネルに、一般自動車のアクセルペダルとブレーキペダルとの配置に合わせて、右側に青色のアクセルペダルランプ、左側に赤色のブレーキペダルランプを一体的に配置しているので、アクセルペダルは右側、ブレーキペダルは左側であることを、運転者はペダルを踏む足の感覚だけでなく、常に目でも確認していることになる。また、ランプの色を、青が進め、赤が止まれの信号機の色と同じにすることで、特に学習することなく、青色のアクセルペダルランプがアクセルペダル、赤色のブレーキペダルランプがブレーキペダルに連結していることを運転者は常時、目で確認していることになる。その結果、運転者は足の感覚だけでなく、目でも、踏んでいるペダルを認識することになるので、とっさの場合であっても無意識に体が反応し、左右のペダルを踏み間違える可能性は低くなる。また、万一、踏み違えてもそれを目で確認できるので、より迅速にペダルの踏み替えを行うことができ、事故防止に大きな効果が期待できる。
また、実用化に際しても簡単な構造なので、安価に製作することができる。さらに、本発明踏み間違い防止装置は自動車製造時に計器パネル内に取り付けるものと、計器パネル上に外付けするものとが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係るペダルの踏み間違い防止装置の正面図である。
【図2】同装置のアクセルペダルランプとブレーキペダルランプの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明に係る自動車のアクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違い防止装置を図に基づいて説明する。
【0009】
図1は、本発明に係る自動車のアクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違い防止装置を示し、この防止装置1は、運転席前面の計器パネル2に配設される青色のアクセルペダルランプ3及び赤色のブレーキペダルランプ4と、アクセルペダル5が踏まれたときにこれを検出するアクセルペダル踏込み検知装置6と、ブレーキペダル7が踏まれたときにこれを検出するブレーキペダル踏込み検知装置8と、これら検出装置6,8から出力された電気信号をもとにアクセルペダルランプ3及びブレーキペダルランプ4を点灯させる電子制御回路(ランプ制御回路)9を備えている。
【0010】
そして、アクセルペダルランプ3は、図2に示すように強く光る主青色ランプ3aと弱く光る補助青色ランプ3bとを有し、ブレーキペダルランプ4の右側に配置される。また、アクセルペダルランプ3は速度計10の近くに(図1では真上)位置するように取り付けられている。また、ブレーキペダルランプ4は、図2に示すように強く光る主赤色ランプ4aと弱く光る補助赤色ランプ4bとを有し、アクセルペダルランプ3の左側に配置される。その場合、特にアクセルペダルランプ3とブレーキペダルランプ4をペアで、相対的に右と左に配置して一体的に計器パネル2に設ける構造とし、これら両ランプ3,4がアクセル5とブレーキ7の位置関係を示すようにしている。本実施の形態では、主青色ランプ3a、補助青色ランプ3b、主赤色ランプ4a、補助赤色ランプ4bとして、それぞれ発光ダイオードを用いているが、その他電球などの発光体を採用してもよいし、或いは一つの青色ランプと一つの赤色ランプを用い、それぞれのランプを強弱発光させるようにしたものであってもよい。
【0011】
アクセルペダル踏込み検知装置6及びブレーキペダル踏込み検知装置8としては、たとえばアクセルペダル5やブレーキペダル7の移動ストロークを検出する光センサーや接触センサーなどを採用すればよい。あるいは、(自動車後部の)ブレーキランプをオン・オフする電源から電気信号を取り出してブレーキペダル踏込み検知装置としてもよい。
【0012】
電子制御回路9は、主としてエンジンのキースイッチ回路に接続され、キースイッチのオン・オフ操作に連動してオン・オフされる。
【0013】
次に、以上のように構成した自動車のアクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違い防止装置の作用について説明する。
【0014】
まず、キースイッチがオン状態のもとで、アクセルペダル5及びブレーキペダル7が踏まれていないときは、アクセルペダル及びブレーキペダル踏み込み検知装置6,8からの踏込み無しの電気信号を基に電子制御回路9から補助青色ランプ3bと補助赤色ランプ4bとに電流が流れて、両ランプ3,4は青色、赤色が分かる程度の弱い光で光っている。これにより、アクセルペダルランプ3とブレーキペダルランプ4とは前面計器パネル2上に弱い光で光っているので、運転者は目視によりアクセルペダル5及びブレーキペダル7が踏まれていない状態であることを認識できる。
【0015】
次に、アクセルペダル5が少しでも踏まれているときには、アクセルペダル踏込み検知装置6からの踏込み有りの電気信号を基に電子制御回路9からアクセルペダルランプ3に電流が流れて主青色ランプ3aが強く光ることになる。これにより運転者はアクセルペダル5を踏む足による感覚だけでなく、目でもアクセルペダル5を踏んだことを確認することができる。一方、ブレーキペダル7が少しでも踏まれているときには、ブレーキペダル踏込み検知装置8からの踏込み有りの電気信号を基に電子制御回路9からブレーキペダルランプ4に電流が流れて主赤色ランプ4aが強く光ることになる。これにより運転者はブレーキペダル7を踏む足による感覚だけでなく、目でもブレーキペダル7を踏んだことを確認することができる。
【0016】
以上のように、本発明の自動車のアクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違い防止装置によれば、運転席前面の計器パネル1に、一般自動車のアクセルペダル5とブレーキペダル7の配置に合わせて、右側に青色のアクセルペダルランプ、左側に赤色のブレーキペダルランプを一体的に配置しているので、アクセルペダル5は右側、ブレーキペダル7は左側であることを、運転者はペダルを踏む足の感覚だけでなく、常に目でも確認していることになる。また、ランプの色を、青が進め、赤が止まれの信号機の色と同じにすることで、特に学習することなく、アクセルペダルランプ(主青色ランプ3a、補助青色ランプ3b)3がアクセルペダルに、またブレーキペダルランプ(主赤色ランプ4a、補助赤色ランプ4b)4がブレーキペダル7に連結していることを運転者は常時、目で確認していることになる。その結果、運転者は足の感覚だけでなく、目でも、踏んでいるペダルを認識することになるので、とっさの場合であっても無意識に体が反応し、左右のペダルを踏み間違える可能性は低くなる。また、万一、踏み間違えてもそれを目で確認できるので、より迅速にペダルの踏み替えを行うことができ、事故防止に大きな効果が期待できる。
また、実用化に際しても簡単な構造なので、安価に製作することができる。さらに、本発明踏み間違い防止装置は自動車製造時に計器パネル内に取り付けるものと、計器パネル上に外付けするものとが考えられる。
【符号の説明】
【0017】
1 踏み間違い防止装置
2 計器パネル
3 アクセルペダルランプ
4 ブレーキペダルランプ
5 アクセルペダル
6 アクセルペダル踏込み検知装置
7 ブレーキペダル
8 ブレーキペダル踏込み検知装置
9 電子制御回路
10 速度計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席前面の計器パネルに設けられる青色のアクセルペダルランプ及び赤色のブレーキペダルランプと、アクセルペダルが踏まれたときにこれを検出するアクセルペダル踏込み検知装置と、ブレーキペダルが踏まれたときにこれを検出するブレーキペダル踏込み検知装置と、これら検知装置から出力された電気信号をもとにアクセルペダルランプ及びブレーキペダルランプを発光させる電子制御回路を備えており、アクセルペダルランプを右に、ブレーキペダルランプを左にして一体的に計器パネルに配置すると共に、アクセルペダルランプを速度計の近くにくるように配置し、かつ、上記電子制御回路により、どちらのランプも両ペダルが踏まれていないときには、青色、赤色が分かる程度の弱い光で光るように制御され、アクセルペダルが少しでも踏まれているときには、青色のアクセルペダルランプが強く光るように制御され、ブレーキペダルが少しでも踏まれているときには、赤色のブレーキペダルランプが強く光るように制御されることを特徴とする自動車のアクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違い防止装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−46161(P2012−46161A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224316(P2010−224316)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願変更の表示】意願2010−6187(D2010−6187)の変更
【原出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(592232030)
【Fターム(参考)】