説明

自動車のコントロールパネル用の表示装置

自動車のコントロールパネル用の表示装置(100)に関し、このコントロールパネルは、表示スクリーン(130)が配置される開口部(111)を備え、表示装置(100)は、開口部(111)の周辺部の少なくとも一部に配置されるシール(120)を備えることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のコントロールパネル用の表示装置に関する。より詳細には、本発明は、自動車のコントロールパネルのフロントパネルと、それに接している表示装置との密閉度を改善することに関する。本発明の主な狙いは、ユーザが、コントロールパネルから制御する種々の装備品を、安全に操作できるようにすることである。
【0002】
本発明は、コントロールパネルの中に存在する電子部品の保護の分野に属する。
【背景技術】
【0003】
自動車は、一般に、ダッシュボードに1つ以上の装備品を備えている。これらの装備品は、例えば、カーラジオ、車室内に取り付けられているエアコン、さらにはナビゲーションシステムである。これらの装備品は、たいてい快適さを向上させるためのものである。すなわち、車両の本来の機能、または重大な機能である移動にとって不可欠ではない、任意的な部材である。これらの装備品のコントロールパネルは、専用スクリーンを介して、当該装備品に関する情報をユーザに知らせることができる表示装置を備えていることが多い。
【0004】
現在の装備品の多くは、1つ以上のスクリーン、特に、液晶ディスプレイ(LCD)スクリーン、すなわち薄膜トランジスタマトリクスに関する、いわゆるTFTすなわち「薄膜トランジスタ」技術を使用するスクリーンを備えるコントロールパネルを有している。また、コントロールパネルは、例えば蛍光表示管(VFD)スクリーンなどの他の種類のスクリーンも含んでいることもある。
【0005】
コントロールパネルは、通常、次のものから構成されている。
−ユーザから見える、装備品の一部を成すフロントパネルと、
−フロントパネルに配置されている、情報を表示できる例えばLCDなどのスクリーンと、
−例えばLEDまたはランプを備え、情報を見易く表示するために、LCDスクリーンに十分な光エネルギーを与えることができるライトボックスと、
−電子部品を備えるプリント回路と、
−スクリーンとプリント回路とを電気的に接触させる、ゼブラピンもしくは他のピンまたはリボンケーブル接続部。
【0006】
上に列挙した種々の要素は、スクリーンがコントロールパネルのフロントパネルを押すように、一定の圧力を維持するように取り付けられている。しかし、それらの要素によって加えられる圧力では、器具のコントロールパネルのスクリーンとフロントパネルとの間を、空気が通過するのを止めることはできない。
【0007】
静電気を帯電しているユーザが、器具のフロントパネルに向かって指を動かすと、指とフロントパネルとの間に存在する電位差のために、放電が起こる。実際、フロントパネルとスクリーンとの間にある空気は、ユーザの静電気を1mm当たり1kVの割合で伝導する。夏の空気が乾燥しているときには、電位差は、25kVにもなることがあり、25mmの距離に亘って放電する。
【0008】
プリント回路の電子部品を保護するために、静電気を引き付ける種々のシステムがある。例えば、金属板を使用するシステムが公知であり、このシステムでは、金属板をスクリーンに連結している領域の上に置いている。静電気放電が起こると、電気は、金属板に引き付けられ、直接グランドに伝導されるようになっている。このシステムは、電子部品を保護し、従って、器具全体を保護して、その寿命を延ばしている。
【0009】
このシステムの大きな欠点は、器具の外形を完全に取り囲むように、金属板が配置されていないことである。従って、静電気は金属板に引き付けられるが、別のパスも通って、電子部品を損傷することがある。1つの解決手段は、外形の周りを、全て金属板の枠で覆うことであるが、費用の面から、この解決手段は満足できない。さらに、スクリーンの周り全てに、金属板を配置すると、かさばる。前述のように、ユーザから伝わる静電気は、電子部品を損傷する。コントロールパネルの電子部品または接続部が、コントロールパネルのフロントパネルから25mmより短い距離にある場合、これは、プリント回路の場合、およびLCDスクリーンをカードに接続するコネクタの場合に相当し、電子部品に高い過電圧を導くことができ、電子部品は、損傷または破壊するおそれがある。
【0010】
さらに、洗剤は、攻撃力がますます強くなっている化学物質を含んでいる。ユーザが車両のコントロールパネルを清掃する時、ある種の化学物質がフロントパネルとスクリーンとの間からコントロールパネルに侵入し、「ITO」の薄い酸化する金属トラックで作られているLCDスクリーンの接続部、電子部品、またはコントロールパネルの要素を損傷する。
【0011】
従って、コントロールパネルのフロントパネルとスクリーンとの間がきつく密閉されていないと、コントロールパネル内にある電子部品を著しく損傷させやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、前述の種々の問題を解決することである。従って、本発明は、ユーザが引き起こす静電気放電も化学物質も、車両の装備品の電子部品を損傷しないように、自動車のコントロールパネル上にある表示装置を確実に密閉できる解決手段を提供するものである。このため、本発明は、コントロールパネルのスクリーンの位置にシールを付加することを提案している。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、基本的に、表示スクリーンを配置する開口部が設けられているフロントパネルを備える自動車用のコントロールパネルに関し、液体の侵入、および静電気放電から、フロントパネルの背後にある電子部品を保護するために、少なくとも開口部の周辺の部分にシールを配置することを特徴としている。
【0014】
前のパラグラフで述べた主な特徴に加えて、本発明によるコントロールパネルは、次の特徴の中の1つ以上の追加の特徴を有することがある。
−シールは、開口部の周辺部の全体にわたって配置されている。
−シールは、スクリーンに接着剤で接着されている。
−シールは、開口部の周辺部に接着剤で接着されている。
−シールは、スクリーンの後面に加えられる圧力で保持されている。
−シールは、開口部の周辺部に形成されている溝の中に配置されている。
−シール(120)は、開口部(111)の周辺部に形成されている溝の中に、押し出されることにより配置されている。
−シール(120)は、開口部(111)の周辺部にオーバーモールドされることにより配置されている。
−シールに加えられる圧力は、締め付け手段によって作り出されている。
−スクリーンは、LCDスクリーンである。
−シールは、可撓性材料からなっている。
−可撓性材料は、シリコーンエラストマー、またはプラスチック、もしくはゴム材料から作られるセルラーフォームである。
【0015】
本発明によるコントロールパネルの種々の追加の特徴は、相互に排他的ではないので、可能な全ての組み合わせに従って組み合わせて、本発明の様々な例示的実施形態を得ることができる。
【0016】
本発明およびその様々な装置および方法は、添付の図面を参照して、以下の説明を読むことにより、より良く理解されると思う。
【0017】
説明および図面は、単なる例であり、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明によるコントロールパネルの分解斜視図である。
【図2】本発明によるコントロールパネルの第1の例を示す。
【図3】本発明によるコントロールパネルの第2の例を示す。
【図4】本発明によるコントロールパネルを上方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
各図における種々の要素には、特に明記しない限り、同じ符号を付してある。
【0020】
ダッシュボードにおける装備品は多数ある。図では、純粋に一例としての制御パネルを示している。
【0021】
図1は、本発明によるコントロールパネル100の分解組立図である。
【0022】
コントロールパネル100は、多数の要素を備えており、具体的には次の要素を備えている。
−フロントパネル110と、
−シール120と、
−スクリーン130と、
−ライトボックス140と、
−ゼブラエラストマーのコネクタ150と
−プリント回路160と、
−締め付け手段170。
【0023】
この説明において、フロントパネル110は、コントロールパネル100の全ての要素を支える固定部である。さらに、フロントパネル110は、開口部111を有しており、スクリーン130に表示される情報を、それを通して見ることができる。
【0024】
シール120は、フロントパネル110とスクリーン130との間に位置している。シール120は、可とう性材料、特にエラストマー材料、より具体的にはシリコーンエラストマーから作成されている。洗剤に含まれる化学物質は、ある種の可とう性材料を損傷する。シリコーンは、中性材料であり、化学物質によって損傷されない。この図では、シール120は長方形であり、ユーザから見えないように、開口部111の周辺部より少しだけサイズが大きい。
【0025】
スクリーン130は、ここではLCDスクリーンであり、フロントパネル110の開口部111の正面に置かれている。スクリーン130は、情報を表示し、それをユーザが見ることができる。
【0026】
ライトボックス140は、プリント回路160に固定されているランプまたはLEDダイオードが発散する光を、反射し均一に拡散することができるホワイトボックスである。
【0027】
ゼブラ回路150は、スクリーン130とプリント回路160との間を接続している。ゼブラ回路150は、可とう性材料で作成され、接続部を形成する薄いブレード状を成している。
【0028】
この例示的実施形態の締め付け手段170は、プリント回路160を通過し、フロントパネル110にねじ込まれるねじから成っているが、他の任意のやり方で行ってもよい。
【0029】
前述のコントロールパネル100の種々の要素は、互いに圧縮され、それにより、シール120を押しつぶして、空気および/または化学物質が通過できないように、確実に密閉することができる。
【0030】
別の実施形態における締め付け手段は、フロントパネルの裏カバーであり、この裏カバーにより、コントロールパネルの全ての要素に圧力を掛けるようになっている。
【0031】
例示的実施形態においては、フロントパネル110は、ダッシュボードとは別の構成要素ではなく、車両のダッシュボードと一体でもよい。
【0032】
図2は、本発明による第1のコントロールパネル200を、後方から見た図である。この第1のコントロールパネル200の正面図は、ユーザから見える部分に相当する。
【0033】
コントロールパネル200の装置は、図1を参照して説明した種々の要素を備えている。
【0034】
この例では、長方形のシール120は、開口部111の周辺部全体にわたって配置されている。一般に、開口部111の周辺部という表現は、シール120を配置することができる開口部の輪郭部を指すために使用している。
【0035】
シール120は、フロントパネル110またはスクリーン130上に、あるいはフロントパネル110およびスクリーン130上に形成され、直接接着剤で接着されている。
【0036】
例えば、フロントパネルの裏側に形成されている溝の中に、プログラムされた押し出しノズルから、LCDの表面を囲むように密閉する、硬化するかまたは硬化しない、接着するかまたは接着しない糊状材料を堆積できる。
【0037】
あるいは、射出操作、または前の手順によって、前もって形成された溝を備えているフロントパネルを捕捉するオーバーモールド手段を提供し、シールまたはシーリングリップを形成する方法において硬化する第2の液体または糊状材料を、その溝の中に射出させることもできる。
【0038】
他の例示的実施形態においては、シールがまず作成され、次いで、そのシールは、次のいずれか1つにより処理する。
−スクリーンに接着剤で接着する。
−フロントパネルに接着剤で接着する。
−フロントパネルおよびスクリーンに接着剤で接着する。
−フロントパネルとスクリーンとの間に配置し、締め付け手段の圧力で保持する。
−ユーザから見えないフロントパネルの部分に、前もって形成されている溝に配置する。
【0039】
図3は、本発明による第2のコントロールパネル300を後方から見た図である。
【0040】
コントロールパネル300を構成する種々の要素は、前述の第1の例から変更されていない。
【0041】
この第2の実施形態における前述の第1の例示的実施形態との本質的な違いは、シール120が、フロントパネル110の開口部111の周辺部の一部分にしか配置されていないことである。シール120は、この開口部111の両側および底部に配置されており、従って「U」字状である。
【0042】
この実施形態において、重要な領域は、図3の下部の破線で示されている接続部またはコントロールボタンのところにあるので、電子部品は、確実に保護されている。一方において、洗剤は、常に下方に流れる傾向が有るので、シールによって阻止され、他方において、コントロールボタンの両側に配置されているシールは、ユーザの指の接近時における静電気放電を阻止できる。この例は、スクリーンの周り全体をシールで覆う必要がなく、電子部品の保護を確実に良好にするために必要な場所だけに、シールを配置することができることを示している。
【0043】
図4は、本発明によるコントロールパネル200を上方から見た図である。
【0044】
図4は、要素が組み立てられる状態、すなわち、ねじ170がねじ込まれる前の状態を示している。
【符号の説明】
【0045】
100 コントロールパネル
110 フロントパネル
111 開口部
120 シール
130 スクリーン
140 ライトボックス
150 ゼブラエラストマーのコネクタ、ゼブラ回路
160 プリント回路
170 締め付け手段
200 第1のコントロールパネル
300 第2のコントロールパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示スクリーン(130)を配置する開口部(111)が設けられているフロントパネルを備える、自動車用のコントロールパネルであって、前記開口部(111)の周辺部の少なくとも一部にシール(120)が配置され、前記フロントパネルの背後にある電子部品を液体の侵入および静電気放電から保護するようになっていることを特徴とするコントロールパネル。
【請求項2】
前記シール(120)は、前記開口部(111)の周辺部全体にわたって配置されていることを特徴とする請求項1に記載のコントロールパネル(100)。
【請求項3】
前記シール(120)は、前記スクリーン(130)に接着剤で接着されていることを特徴とする請求項1または2に記載のコントロールパネル(100)。
【請求項4】
前記シール(120)は、前記開口部(111)の周辺部に接着剤で接着されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコントロールパネル(100)。
【請求項5】
前記シール(120)は、前記スクリーン(130)の後面に加えられる圧力によって保持されるようになっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のコントロールパネル(100)。
【請求項6】
前記シール(120)は、前記開口部(111)の周辺部に形成されている溝の中に配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のコントロールパネル(100)。
【請求項7】
前記シール(120)は、前記開口部(111)の周辺部に形成されている前記溝の中に押し出されることにより配置されることを特徴とする請求項6に記載のコントロールパネル(100)。
【請求項8】
前記シール(120)は、前記開口部(111)の周辺部にオーバーモールドされることにより配置されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のコントロールパネル(100)。
【請求項9】
前記シール(120)に加えられる圧力は、締め付け手段(170)によって作られるようになっていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のコントロールパネル(100)。
【請求項10】
前記スクリーン(130)は、LCDスクリーンであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のコントロールパネル(100)。
【請求項11】
前記シール(120)は、可撓性材料で作られていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のコントロールパネル(100)。
【請求項12】
前記可撓性材料は、シリコーンエラストマー、またはプラスチックもしくはゴム材料から作られるセルラーフォームであることを特徴とする請求項11に記載のコントロールパネル(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−511423(P2013−511423A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539381(P2012−539381)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【国際出願番号】PCT/FR2010/000777
【国際公開番号】WO2011/061421
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(510337414)
【Fターム(参考)】