説明

自動車のルーフサイドレイルとセンタピラーとの連結部構造

【課題】センタピラーに高張力鋼板を使用したとしても、良好な成形性を確保して、所定の骨格強度を保持するとともに、センタピラーにおける縦壁をルーフサイドレイルに連結結合することによって良好な骨格剛性を同時に保持することができる自動車のルーフサイドレイルとセンタピラーとの連結部構造を提供する。
【解決手段】後部ルーフサイドレイルアウタ11Bにおける前部ルーフサイドレイルアウタ11Aとの重合部11Cに、自動車の下方向に延在する補強用連結壁部4を形成するとともに、センタピラーアウタ31の上端部に補強用連結壁部4に対向するように平板状連結片部31Aを形成し、平板状連結片部31Aを、前部ルーフサイドレイルアウタ11Aと後部ルーフサイドレイルアウタ11Bとの間で挟合した状態で共に接合し、補強用連結壁部4とセンタピラーアウタ31とを更に接合連結した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車のルーフサイドレイルとサイドシルとの間にセンタピラーを橋渡し連結することにより構成する車体側部骨格におけるルーフサイドレイルとセンタピラーとを連結すべくなした自動車のルーフサイドレイルとセンタピラーとの連結部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のルーフサイドレイルとセンタピラーとの連結部構造は、ルーフサイドレイルアウタとルーフサイドレイルインナとを互いに接合することにより閉断面構造を有して構成されたルーフサイドレイルにセンタピラーの上部を結合することにより構成している。かかる自動車のルーフサイドレイルとセンタピラーには所定の骨格強度と骨格剛性を有する事が求められる。骨格強度とは側面衝突(以下、単に「側突」と称する)に遭遇した自動車の車室内の乗員を保護するために、車体側部骨格が塑性変形して側突に対しする衝撃を吸収するために必要な強度である。一方、骨格剛性とは自動車の駆動時に弾性変形による骨格のたわみや振動を抑制して、自動車の乗り心地を良くするために必要な剛性である。
【0003】
そこで、従来のこの種の自動車のルーフサイドレイルとセンタピラーとの連結部構造として、例えば、特許文献1に記載の車両のセンタピラー上部構造が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−125808号公報
【0005】
特許文献1に記載された車両のセンタピラー上部構造は、センタピラー上部の板厚を厚くすることなく、センタピラー上部の強度を向上させるべくなされたもので(以下に使用する符号は、特許文献1に使用された符号をそのまま記載したものである)、ルーフサイドレイルアウタ19とルーフサイドレイルインナ20とが互いに接合され閉断面構造をなすルーフサイドレイルに、センタピラー11の上部が結合されたセンタピラー上部構造である。そして、かかる構造は、センタピラー11の上部が、ルーフサイドレイルアウタ19の近傍に設けられた外側壁25と、ルーフサイドレイルインナ20の近傍に設けられた一対の内側壁26と、外側壁25と内側壁26の各々とを連結する一対の連結壁27とを有する。これら外側壁25、内側壁26及び連結壁27が設けられた部分は、車室内側が開放された横断面略ハット状に形成されている。
【0006】
そして、これら外側壁25、内側壁26及び連結壁27が構成するセンタピラー11の上部は、ルーフサイドレイルに沿うように自動車の前後方向に延在する形状を呈して、ルーフサイドレイルに連結することによって、所定の骨格剛性を確保する構成となっている。又、センタピラー11(センタピラーアウタ)は、通常、薄板の高張力鋼板を使用することによって、軽量化を図るとともに所定の骨格強度を確保するようになされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の車両のセンタピラー上部構造は、センタピラー11の上部において、外側壁25、内側壁26及び連結壁27からなる補強構造を高張力鋼板製のセンタピラー11と一体的に成形するという構成を採っていることから、センタピラー11が必ずしも良好な成形性を有しているとはいえないばかりか、外側壁25、内側壁26及び連結壁27が重合するルーフサイドレイルアウタの重合部位に、センタピラー11を向かえて連結接合する縦壁を設けることができなくなってしまう。
【0008】
かかることから、センタピラー11の縦壁は、ルーフサイドレイルアウタ19に連結接合していないことになって、その分、自動車の側突時において、閉断面形状が圧潰しやすくなって、骨格剛性を弱めてしまうことになり兼ねない。この点に鑑み、従来、別部材を用いて当該縦壁を構成する場合もあるが、この場合、部品点数が増加するとともに、組立工数や材料コストの増加につながってしまう。
【0009】
そこで、この発明は、かかる従来の技術における未解決課題に鑑み、センタピラーに高張力鋼板を使用したとしても、良好な成形性を確保して、所定の骨格強度を達成するとともに、センタピラーにおける縦壁をルーフサイドレイルに連結結合することによって別部材の追加などの対策を採らずして良好な骨格剛性を同時に達成することができる自動車のルーフサイドレイルとセンタピラーとの連結部構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る自動車のルーフサイドレイルとセンタピラーとの連結部構造は、ルーフサイドレイルアウタとルーフサイドレイルインナとが互いに接合され閉断面構造を有してルーフサイドレイルを構成し、ルーフサイドレイルにセンタピラーの上部が結合されて構成する自動車のルーフサイドレイルとセンタピラーとの連結部構造であって、ルーフサイドレイルアウタが、自動車の前後方向に分割した前部ルーフサイドレイルアウタと後部ルーフサイドレイルアウタとで構成し、前部ルーフサイドレイルアウタと後部ルーフサイドレイルアウタとが各一端部同士を互いに重合させた状態で連結接合されており、且つ、後部ルーフサイドレイルアウタにおける前部ルーフサイドレイルアウタとの重合部に、自動車の下方向に延在する補強用連結壁部を形成するとともに、センタピラーインナとともに前記センタピラーを構成するセンタピラーアウタの上端部に補強用連結壁部に対向するように平板状連結片部を形成し、平板状連結片部を、前部ルーフサイドレイルアウタと後部ルーフサイドレイルアウタとの間で挟合した状態で共に接合し、補強用連結壁部とセンタピラーアウタとを更に接合連結したことを特徴とするものである。
【0011】
この発明は、センタピラーアウタがその上端部に平板状連結片部を形成するだけで補強用連結壁部のような複雑な形状を一体形成していないことから、たとえセンタピラーアウタを所定の骨格強度を確保すべく高張力鋼板にて構成したとしても、良好な成形性を達成することができるとともに、平板状連結片部を前部ルーフサイドレイルアウタと後部ルーフサイドレイルアウタとの間で挟合した状態で共に接合し、且つ補強用連結壁部とセンタピラーアウタとを更に接合連結したことから、良好な骨格剛性を達成するとともに、同時に別部材の追加などにより縦壁を構成する等の対策を採らずして、良好な骨格強度を達成することができる。
【0012】
また、この発明は、ルーフサイドレイルアウタを、前部ルーフサイドレイルアウタと後部ルーフサイドレイルアウタとに分割構成して、後部ルーフサイドレイルアウタに補強用連結壁部を形成したことから、従来のように、比較的長尺のセンタピラー11の上部に外側壁25、内側壁26及び連結壁27からなる補強構造を形成するものに比して、原材料の歩留まり率を向上させることができ、しかも、後部ルーフサイドレイルアウタを含めてルーフサイドレイルアウタは、センタピラーアウタを構成する高張力鋼板より比較的に低張力の鋼板を使用して構成できることから、後部ルーフサイドレイルアウタに補強用連結壁部を形成したとしても、良好な成形性を保持することができる。
【0013】
上記発明における後部ルーフサイドレイルアウタは、実施例として、自動車の前後方向に更に分割して、前方側後部ルーフサイドレイルアウタと後方側後部ルーフサイドレイルアウタとで構成し、前方側後部ルーフサイドレイルアウタに、補強用連結壁部を形成するようにしてもよい。
【0014】
かかる構成を有するこの発明は、後部ルーフサイドレイルアウタの成形性を更によくするとともに、後部ルーフサイドレイルアウタの原材料の歩留まり率をさらに向上させることができる。
【0015】
この発明に係る自動車のルーフサイドレイルとセンタピラーとの連結部構造は、ルーフサイドレイルアウタとルーフサイドレイルインナとが互いに接合され閉断面構造を有してルーフサイドレイルを構成し、ルーフサイドレイルにセンタピラーの上部が結合されて構成する自動車のルーフサイドレイルとセンタピラーとの連結部構造であって、センタピラーアウタの上端部に平板状連結片部を形成して、平板状連結片部をルーフサイドアウタに接合し、かつ、自動車に対して前後方向延在片及び下方向延在片を略T字状に一体形成した補強用連結壁部材を有し、補強用連結壁部材とルーフサイドアウタとの間で平板状連結片部を挟合した状態で、補強用連結壁部をセンタピラーインナとともにセンタピラーを構成するセンタピラーアウタに接合連結したことを特徴とするものである。
【0016】
この発明は、センタピラーアウタがその上端部に平板状連結片部を形成するだけで補強用連結壁部のような複雑な形状を一体形成していないことから、たとえセンタピラーアウタを所定の骨格強度を確保すべく高強度の高張力鋼板にて構成したとしても、良好な成形性を達成することができるとともに、平板状連結片部をルーフサイドレイルアウタと補強用連結壁部材との間で挟合した状態で共に補強用連結壁部材をセンタピラーに接合連結したことから、良好な骨格剛性を達成するとともに、同時に別部材の追加などにより縦壁を構成する等の対策を採らずして、良好な骨格強度を達成することができる。
【0017】
また、この発明は、補強用連結壁部材がセンタピラーアウタに対して別体で構成されていることから、従来のように、比較的長尺のセンタピラー11の上部に外側壁25、内側壁26及び連結壁27からなる補強構造を形成するものに比して、原材料の歩留まり率を向上させることができ、しかも、補強用連結壁部材は、センタピラーアウタを構成する高張力鋼板より比較的に低張力の鋼板を使用して構成できることから、良好な成形性を保持することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明は、センタピラーアウタにはその上端部に平板状連結片部を形成するだけで補強用連結壁部のような複雑な形状を一体形成していないことから、たとえセンタピラーアウタを所定の骨格強度を確保すべく高強度の高張力鋼板にて構成したとしても、良好な成形性を達成することができるとともに、平板状連結片部を前部ルーフサイドレイルアウタと後部ルーフサイドレイルアウタとの間で挟合した状態で共に接合して補強用連結壁部とセンタピラーアウタとを更に接合連結するか、又は、平板状連結片部をルーフサイドレイルアウタと補強用連結壁部材との間で挟合した状態で共に補強用連結壁部材をセンタピラーに接合連結したことから、良好な骨格強度を達成することができる。
【0019】
また、ルーフサイドレイルアウタを、前部ルーフサイドレイルアウタと後部ルーフサイドレイルアウタとに分割構成して、後部ルーフサイドレイルアウタに補強用連結壁部を形成するか、又は、補強用連結壁部材をセンタピラーアウタに対して別体構成にしていることから、従来のように、比較的長尺のセンタピラー11の上部に外側壁25、内側壁26及び連結壁27からなる補強構造を形成するものに比して、原材料の歩留まり率を向上させることができ、しかも、補強用連結壁部が一体形成されたセンタピラーアウタを構成する高張力鋼板より比較的に低張力の鋼板比較的に低張力の鋼板を使用して構成できることから、良好な骨格剛性を達成するとともに、同時に別部材の追加などにより縦壁を構成する等の対策を採らずして、良好な骨格強度を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の一実施例に係る自動車のルーフサイドレイルとセンタピラーとの連結部構造を採用した自動車の側部骨格を概略的に描画した分解斜視図である。
【図2】図1におけるルーフサイドレイルとセンタピラーとの連結部を拡大して描画した要部斜視図である。
【図3】図1におけるA−A断面図である。
【図4】図1におけるB−B断面図である。
【図5】この発明の他の実施例に係る自動車のルーフサイドレイルとセンタピラーとの連結部構造における要部構成を描画した分解斜視図である。
【図6】この発明の更に他の実施例に係る自動車のルーフサイドレイルとセンタピラーとの連結部構造における要部構成を描画した分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明に係る実施例における自動車のルーフサイドレイルとセンタピラーとの連結部構造は、センタピラーに高張力鋼板を使用したとしても、良好な成形性を確保して、所定の骨格強度を保持するとともに、センタピラーにおける縦壁をルーフサイドレイルに連結結合することによって別部材の追加などの対策を採らずして良好な骨格強度を同時に保持することができるように構成している。
【0022】
次に、図を用いて、この発明を採用した実施例に係る自動車車体骨格における補強構造について説明する。 先ず、図1〜図5を用いて、本発明に係る一実施例を車体側部骨格として採用した場合について説明する。 即ち、図1及び図2に示すように、自動車の車体側部骨格は、自動車の前後方向に延在し互いに離間した状態のルーフサイドレイル1とサイドシル2との間に、センタピラー3が配設されて構成されている。
【0023】
ルーフサイドレイル1は、自動車の前後方向に延在するとともに、ルーフサイドレイルアウタ11とルーフサイドレイルインナ12とがフランジ部同士を互いに接合することによって形成された閉断面構造を有して構成している。ルーフサイドレイルアウタ11は、自動車の前後方向に二分割した前部ルーフサイドレイルアウタ11Aと後部ルーフサイドレイルアウタ11Bとで構成している。前部ルーフサイドレイルアウタ11Aと後部ルーフサイドレイルアウタ11Bとは、各一端部同士を互いに重合させた状態で連結接合されている。そして、後部ルーフサイドレイルアウタ11Bにおける前部ルーフサイドレイルアウタ11Aとの重合部には、前端部より若干自動車の後部側に引っ込んだ位置において、自動車の下方向に延在する補強用連結壁部4が突出形成されている。
【0024】
センタピラー3は、車外側に配置されるセンタピラーアウタ31と車室側に配置されるセンタピラーインナ32とをフランジ部同士を互いに溶接等により接合することによって形成された閉断面構造を有して構成している(図4参照)。センタピラーインナ32の上端部には、ルーフサイドレイルインナ12に連結接合する断面略コ字状に形成された連結片部12Aが形成されている。又、センタピラーアウタ31の上端部には、補強用連結壁部4に対向するように、平板状連結片部31Aが突出形成されている。
【0025】
平板状連結片部31Aは、図3に示すように、補強用連結壁部4と前部ルーフサイドレイルアウタ11Aとの間に挟合した状態で、補強用連結壁部4と前部ルーフサイドレイルアウタ11Aとともに溶接等で接合されている。
【0026】
更に、補強用連結壁部4は、図2及び図3に示すように、センタピラーアウタ31の上端部と対接した状態で、センタピラーアウタ31に溶接等により接合連結されている。
【0027】
このように構成するこの発明に係る一実施例においては、センタピラーアウタ31がその上端部に平板状連結片部31Aを形成するだけで補強用連結壁部4のような複雑な形状を一体形成せずに構成していることから、たとえセンタピラーアウタ31を所定の骨格強度を確保すべく高張力鋼板にて構成したとしても、良好な成形性を達成することができるとともに、平板状連結片部31Aを前部ルーフサイドレイルアウタ11Aと後部ルーフサイドレイルアウタ11Bとの間で挟合した状態で共に接合し、且つ補強用連結壁部4とセンタピラーアウタ31とを更に接合連結したことから、良好な骨格剛性を達成するとともに、同時に別部材の追加などにより縦壁を構成する等の対策を採らずして、良好な骨格強度を達成することができる。
【0028】
また、ルーフサイドレイルアウタ11は、前部ルーフサイドレイルアウタ11Aと後部ルーフサイドレイルアウタ11Bとに分割構成して、後部ルーフサイドレイルアウタ11Bに補強用連結壁部4を形成したことから、従来のように、比較的長尺のセンタピラー11の上部に外側壁25、内側壁26及び連結壁27からなる補強構造を形成するものに比して、原材料の歩留まり率を向上させることができ、しかも、後部ルーフサイドレイルアウタ11Bを含めてルーフサイドレイルアウタ11は、センタピラーアウタを構成する高張力鋼板より比較的に低張力の鋼板を使用して構成できることから、後部ルーフサイドレイルアウタ11Bに補強用連結壁部4を形成したとしても、良好な成形性を達成することができる。
【0029】
図5は、この発明における他の実施例を描画したものである。図5によれば、後部ルーフサイドレイルアウタ11Bは、自動車の前後方向に更に分割された前方側後部ルーフサイドレイルアウタ11B−1と後方側後部ルーフサイドレイルアウタ11B−2とを互いに溶接等で連結接合して構成し、前方側後部ルーフサイドレイルアウタ11B−1に、補強用連結壁部4を形成した点を特徴としている。そして、センタピラーアウタ31の上端部に平板状連結片部31Aが形成されて、ルーフサイドレイルアウタ11とルーフサイドレイルインナ12とで挟合接合されている点、及び、補強用連結壁部4が、センタピラーアウタ31に接合連結している点は、上記一の実施例と同様である。
【0030】
従って、かかるこの発明の他の実施例においても、センタピラーアウタ31がその上端部に平板状連結片部31Aを形成するだけで補強用連結壁部4のような複雑な形状を一体形成せずに構成することから、たとえセンタピラーアウタ31を所定の骨格強度を確保すべく高張力鋼板にて構成したとしても、良好な成形性を達成することができるとともに、平板状連結片部31Aを前部ルーフサイドレイルアウタ11Aと後部ルーフサイドアウタ11Bとの間で挟合した状態で共に接合し、且つ補強用連結壁部4とセンタピラーアウタ31とを更に接合連結したことから、良好な骨格剛性を達成するとともに、同時に別部材の追加などにより縦壁を構成する等の対策を採らずして、良好な骨格強度を達成することができる。
【0031】
また、ルーフサイドレイルアウタ1は、前部ルーフサイドレイルアウタ11Aと後部ルーフサイドレイルアウタ11Bとに分割構成して、後部ルーフサイドレイルアウタ11Bに補強用連結壁部4を形成したことから、従来のように、比較的長尺のセンタピラー11の上部に外側壁25、内側壁26及び連結壁27からなる補強構造を形成するものに比して、原材料の歩留まり率を向上させることができ、しかも、後部ルーフサイドレイルアウタ11Bを含めてルーフサイドレイルアウタ11は、センタピラーアウタを構成する高張力鋼板より比較的に低張力の鋼板を使用して構成できることから、後部ルーフサイドレイルアウタ11Bに補強用連結壁部4を形成したとしても、良好な成形性を保持することができる。
【0032】
更に、他の実施例においては、後部ルーフサイドレイルアウタ11Bが、自動車の前後方向に更に分割して、前方側後部ルーフサイドレイルアウタ11B−1と後方側後部ルーフサイドレイルアウタ11B−2とで構成し、前方側後部ルーフサイドレイルアウタ11B−1に、補強用連結壁部4を形成したことから、後部ルーフサイドレイルアウタ11Bの成形性を更によくするとともに、後部ルーフサイドレイルアウタ11Bの原材料の歩留まり率をさらに向上させることができる。
【0033】
また、図6は、この発明における更に他の実施例を描画したものである。図6に示す更に他の実施例は、上記2つの実施例における後部ルーフサイドレイルアウタ11Bに形成した補強用連結壁部4に代えて、別体構成の補強用連結壁部材41にて構成しているとともに、ルーフサイドレイルアウタ11を、前部ルーフサイドレイルアウタ11Aと後部ルーフサイドレイルアウタ11Bの二分割構成とせずに、一体構成とした点、相違している。センタピラーアウタ31の先端部に、平板状連結片部31Aを形成した点は上記二つの実施例と同様である。
【0034】
補強用連結壁部材41は、自動車の前後方向延在片41Aと下方向延在片41Bとを略T字状に一体形成した形状を有する。
【0035】
そして、かかるさらに他の実施例は、平板状連結片部31Aをルーフサイドアウタ11に接合し、かつ、補強用連結壁部材41の前後方向延在片41Aとルーフサイドアウタ11との間で平板状連結片部31Aを挟合した状態で、補強用連結壁部材41の下方向延在片41Bをセンタピラーインナと共にセンタピラーアウタ31に接合連結することにより構成している。
【0036】
このように構成する本発明の更に他の実施例は、 センタピラーアウタ31がその上端部に平板状連結片部31Aを形成するだけで補強用連結壁部材41のような複雑な形状を一体に形成しないことから、たとえセンタピラーアウタ31を所定の骨格強度を確保すべく高張力鋼板にて構成したとしても、良好な成形性を達成することができるとともに、平板状連結片部31Aをルーフサイドレイルアウタ31と補強用連結壁部材41との間で挟合した状態で共に補強用連結壁部材41をセンタピラーアウタ31に連結していることから、良好な骨格剛性を達成するとともに、同時に別部材の追加などにより縦壁を構成する等の対策を採らずして、良好な骨格強度を達成することができる。
【0037】
また、さらに他の実施例は、ルーフサイドレイルアウタ11に対して、補強用連結壁部材41が別体で構成されていることから、従来のように、比較的長尺のセンタピラー11の上部に外側壁25、内側壁26及び連結壁27からなる補強構造を形成するものに比して、原材料の歩留まり率を向上させることができ、しかも、補強用連結壁部材41は、ルーフサイドレイルアウタ11と同様に、通常普通鋼板を使用して構成できることから、良好な成形性を保持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上説明したこの発明は、センタピラーに高張力鋼板を使用したとしても、良好な成形性を確保して、所定の骨格強度を達成するとともに、センタピラーにおける縦壁をルーフサイドレイルに連結結合することによって良好な骨格剛性を同時に達成することができることから、自動車のルーフサイドレイルとサイドシルとの間にセンタピラーを橋渡し連結することにより構成する車体側部骨格におけるルーフサイドレイルとセンタピラーとを連結すべくなした自動車のルーフサイドレイルとセンタピラーとの連結部構造等に好適であるといえる。
【符号の説明】
【0039】
1 ルーフサイドレイル
11 ルーフサイドレイルアウタ
11A 前部ルーフサイドレイルアウタ
11B 後部ルーフサイドレイルアウタ
11B−1 前方側後部ルーフサイドレイルアウタ
11B−2 後方側後部ルーフサイドレイルアウタ
12 ルーフサイドレイルインナ
3 センタピラー
31 センタピラーアウタ
31A 平板状連結部
32 センタピラーインナ
4 補強用連結壁部
41 補強用連結壁部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーフサイドレイルアウタとルーフサイドレイルインナとが互いに接合され閉断面構造を有してルーフサイドレイルを構成し、該ルーフサイドレイルにセンタピラーの上部が結合されて構成する自動車のルーフサイドレイルとセンタピラーアウタとの連結部構造であって、前記ルーフサイドレイルアウタが、前記自動車の前後方向に分割した前部ルーフサイドレイルアウタと後部ルーフサイドレイルアウタとで構成し、該前部ルーフサイドレイルアウタと後部ルーフサイドレイルアウタとが各一端部同士を互いに重合させた状態で連結接合されており、且つ、前記後部ルーフサイドレイルアウタにおける前記前部ルーフサイドレイルアウタとの重合部に、前記自動車の下方向に延在する補強用連結壁部を形成するとともに、センタピラーインナとともに前記センタピラーを構成するセンタピラーアウタの上端部に前記補強用連結壁部に対向するように平板状連結片部を形成し、該平板状連結片部を、前記前部ルーフサイドレイルアウタと前記後部ルーフサイドレイルアウタとの間で挟合した状態で共に接合し、前記補強用連結壁部と前記センタピラーアウタとを更に接合連結したことを特徴とする自動車のルーフサイドレイルとセンタピラーとの連結部構造。
【請求項2】
前記後部ルーフサイドレイルアウタは、前記自動車の前後方向に更に分割して、前方側後部ルーフサイドレイルアウタと後方側後部ルーフサイドレイルアウタとで構成し、前記前方側後部ルーフサイドレイルアウタに、前記補強用連結壁部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の自動車のルーフサイドレイルとセンタピラーとの連結部構造。
【請求項3】
ルーフサイドレイルアウタとルーフサイドレイルインナとが互いに接合され閉断面構造を有してルーフサイドレイルを構成し、該ルーフサイドレイルにセンタピラーの上部が結合されて構成する自動車のルーフサイドレイルとセンタピラーアウタとの連結部構造であって、前記センタピラーアウタの上端部に平板状連結片部を形成して、該平板状連結片部を前記ルーフサイドアウタに接合し、かつ、前記自動車に対して前後方向延在片及び下方向延在片を略T字状に一体形成した補強用連結壁部材を有し、該補強用連結壁部材と前記ルーフサイドアウタとの間で前記平板状連結片部を挟合した状態で、前記補強用連結壁部をセンタピラーインナとともに前記センタピラーを構成するセンタピラーアウタに接合連結したことを特徴とする自動車のルーフサイドレイルとセンタピラーとの連結部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−86788(P2012−86788A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237372(P2010−237372)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000178804)ユニプレス株式会社 (83)
【Fターム(参考)】