説明

自動車のロッカ構造

【課題】金属部品を追加して補強する場合よりもコストを抑制でき、しかも側面衝突時にロッカの車室内側への変形を抑制することができる自動車のロッカ構造を提供する。
【解決手段】車体側部10の下部にはロッカ16が車両前後方向に沿って配設されている。ロッカ16の車両幅方向外側にはロッカモール28が外装されている。このロッカモール28の裏面側には、無負荷時には柔軟性を有し衝撃荷重が入力されると硬化するダイラタント特性を有するシート材58が接合されている。側面衝突時に衝突荷重がシート材58に入力されると、瞬時に硬化してロッカ16の剛性向上に寄与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のロッカ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ロッカモールの内側に発泡材を嵌め込み、当該発泡材に形成された凹部に金属パイプを装着させることで、側面衝突時にロッカモールに入力された荷重をロッカに的確に伝達する技術が開示されている。
【0003】
また、下記特許文献2には、ロッカリインフォースメントにおける少なくともロッカとセンタピラーとの結合部下方に位置する部分に、ハット型の断面形状とされた補強パネルを溶接した技術が開示されている。これにより、側面衝突の初期にセンタピラーが車室内側へ倒れ、それに伴いロッカが車室内側へ捩れたとしても、側面衝突の中期にはハット型断面の前記補強パネルが車両幅方向外側を向くため、ロッカの剛性を確保できる、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−254702号公報
【特許文献2】特許第4272626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記いずれの先行技術に開示された構成においても、金属製の別部品を追加することによりロッカモールやロッカの剛性を上げる手法となっている。このため、新しく金型を製作する必要があり、製造コストが嵩む。また、この種の補強部品は通常の状態で非常に硬い部材であるため、車種が変わると新に設計することとなり、部品の共通化を図り難いという意味からもコストが嵩む傾向にある。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、金属部品を追加して補強する場合よりもコストを抑制でき、しかも側面衝突時にロッカの車室内側への変形を抑制することができる自動車のロッカ構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の本発明に係る自動車のロッカ構造は、車体側部の下部に車両前後方向に沿って配置され、車室内側に配置されたロッカインナパネルと車室外側に配置され当該ロッカインナパネルと結合されたロッカアウタパネルとを備えて中空閉断面形状に形成されたロッカと、前記ロッカアウタパネルの車室外側に外装されたロッカ外装材と、前記ロッカ外装材の裏面又はロッカアウタパネルにおけるロッカ外装材との対向面若しくはその裏面に接合され、無負荷時には柔軟性を有し衝撃荷重が入力されると硬化するダイラタント特性を備えたシート材と、を有している。
【0008】
請求項2記載の本発明に係る自動車のロッカ構造は、請求項1記載の発明において、前記ロッカ外装材は、ロッカアウタパネルの少なくとも側壁部を覆うロッカモールとされており、当該ロッカモールの裏面に前記シート材が接合されている、ことを特徴としている。
【0009】
請求項3記載の本発明に係る自動車のロッカ構造は、請求項2記載の発明において、前記ロッカの下部には、前記ロッカインナパネルの下端部と前記ロッカアウタパネルの下端部とを接合するためのフランジ部が下向きに形成されており、前記ロッカモールは、前記ロッカアウタパネルの側壁部と車両幅方向に対向する側部と、前記ロッカアウタパネルの底壁部と車両上下方向に対向する底部と、を備えていると共に、底部には前記フランジ部と車両幅方向に対向する縦壁部が立設されており、さらに、前記シート材は、側部から少なくとも底部の縦壁部に亘る範囲に配設されている、ことを特徴としている。
【0010】
請求項4記載の本発明に係る自動車のロッカ構造は、請求項3記載の発明において、前記ロッカモールの底部は、前記側部と前記縦壁部との間に設定されたヒンジ回りに車両幅方向に回動可能とされており、前記シート材は、当該ヒンジも含んで配設されている、ことを特徴としている。
【0011】
請求項1記載の本発明によれば、シート材はダイラタント特性を備えているため、無負荷時には柔軟性を有している。このため、成形用の型作製が不要であり、その分、原価を低減することが可能である。さらに、他車系間でシート材を流用可能なサイズとすることで部品の共通化を図ることも可能である。
【0012】
一方、側面衝突時においては、衝突荷重がロッカ外装材からロッカアウタパネル、ロッカインナパネルの順に入力される。このとき、本発明では、ロッカ外装材の裏面又はロッカアウタパネルにおけるロッカ外装材との対向面若しくはその裏面にダイラタント特性を備えたシート材が接合されているため、当該シート材が瞬時に硬化する。シート材がロッカ外装材の裏面に接合されている場合には、ロッカ外装材自体の剛性が上がり、その結果、ロッカ外装材が装着されたロッカの剛性が上がる。また、シート材がロッカアウタパネルにおけるロッカ外装材との対向面若しくはその裏面に接合されている場合には、ロッカ自体の剛性が上がる。このようにしてロッカの剛性を上げることができるため、ロッカの車室内側への変形が抑制される。
【0013】
請求項2記載の本発明によれば、ロッカ外装材の裏面にシート材が接合されているため、ボディーとは無関係に予めロッカモール側にシート材をモジュール化することができる。
【0014】
請求項3記載の本発明によれば、側面衝突時の衝突荷重は、ロッカモールに入ってからロッカに伝達される。ここで、本発明では、ロッカモールが側部と底部とを備えており、底部には更にフランジ部に対向する縦壁部が立設されているので、側面からの衝突荷重がロッカモールの側部に入力されると、底部を介して縦壁部がフランジ部に当接する。これにより、フランジ部から縦壁部に衝突反力が伝達されるので、シート材が瞬時に硬化する。
【0015】
請求項4記載の本発明によれば、側部と縦壁部との間にヒンジが設定されているため、底部に縦壁部が立設される構成であっても、型抜きができる。すなわち、成形時には、ヒンジ回りに底部を開く方向に回動させてセットし、ロッカへの組付時に底部をヒンジ回りに閉じる方向へ回動させて組付けることができる。
【0016】
ここで、シート材は無負荷時には柔らかいので、例えばロッカモールをその底部が開いた形に成形した後にその裏面にシート材を接合し、ロッカモールの組付時に底部をヒンジ回りに回動させて組付けることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、請求項1記載の本発明に係る自動車のロッカ構造は、金属部品を追加して補強する場合よりもコストを抑制でき、しかも側面衝突時にロッカの車室内側への変形を抑制することができるという優れた効果を有する。
【0018】
請求項2記載の本発明に係る自動車のロッカ構造は、ボディー側の製造工程に何らの変更も生じないという優れた効果を有する。
【0019】
請求項3記載の本発明に係る自動車のロッカ構造は、側面衝突時にシート材を瞬時に硬化させることができるという優れた効果を有する。
【0020】
請求項4記載の本発明に係る自動車のロッカ構造は、成形性と側面衝突時のロッカの剛性向上の両立を図ることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態に係る自動車のロッカ構造の全体構成を示す図3の1−1線に沿った拡大縦断面図である。
【図2】第1実施形態に係る自動車のロッカ構造の全体構成を示す図3の2−2線に沿った拡大縦断面図である。
【図3】第1実施形態に係る自動車のロッカ構造が適用されたロッカ全体の外観斜視図である。
【図4】第2実施形態に係る自動車のロッカ構造の全体構成を示す図2に対応する拡大縦断面図である。
【図5】第2実施形態に係る自動車のロッカ構造の変形例を示す図4に対応する拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔第1実施形態〕
以下、図1〜図3を用いて、本発明に係る自動車のロッカ構造の第1実施形態について説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印OUTは車両幅方向外側を示している。
【0023】
図3に示されるように、車体側部10の下部には、フロントピラー12の下端部からクォータホイールハウス14の前端部に亘って車体骨格部材を構成するロッカ16が車両前後方向に沿って配設されている。なお、ロッカ16の長手方向の中間部には、センタピラー18の下端部が接合されている。
【0024】
図1及び図2に示されるように、ロッカ16は、車両幅方向外側に凸となる断面ハット状に形成されると共に車室外側に配置されたロッカアウタパネル20と、車両幅方向内側に凸となる断面ハット状に形成されると共に車室内側に配置されたロッカインナパネル22と、を備えている。ロッカアウタパネル20の上フランジ20Aとロッカインナパネル22の上フランジ22Aとがスポット溶接され、かつロッカアウタパネル20の下フランジ20Bとロッカインナパネル22の下フランジ22Bとがスポット溶接されることにより、ロッカ16は中空閉断面構造に形成されている。
【0025】
ロッカ16について更に詳細に説明すると、ロッカアウタパネル20は、上フランジ20Aの下端部から車両幅方向外側へ屈曲された頂壁部20Cと、この頂壁部20Cの車両幅方向外側の端部から車両下方側へ屈曲された側壁部20Dと、この側壁部20Dの下端部から車両幅方向内側へ屈曲されて下フランジ20Bに至る底壁部20Eと、を備えている。同様に、ロッカインナパネル22は、上フランジ22Aの下端部から車両幅方向内側へ屈曲された頂壁部22Cと、この頂壁部22Cの車両幅方向内側の端部から車両下方側へ屈曲された側壁部22Dと、この側壁部22Dの下端部から車両幅方向外側へ屈曲されて下フランジ22Bに至る底壁部22Eと、を備えている。ロッカアウタパネル20の頂壁部20C及び側壁部20Dの上部には、略アングル状に形成されて頂壁24A及び側壁24Bを備えた補強部材24が接合されている。また、ロッカインナパネル22の側壁部22Dの下端部には、フロアパネル26の車両幅方向外側の端部が接合されている。
【0026】
図1〜図3に示されるように、上述したロッカアウタパネル20の側壁部20D及び底壁部20Eの車室外側には、ロッカ外装材としてのロッカモール28が外装されている。ロッカモール28は樹脂製とされており、車両幅方向に切断したときの縦断面形状が略L字状に形成されている。
【0027】
具体的には、ロッカモール28は、ロッカアウタパネル20の側壁部20Dに対して略平行に配置された側部28Aと、底壁部20Eに対して略平行に配置された底部28Bと、を備えている。底部28Bの車両幅方向の内側の端部は下フランジ20Bの近傍まで延出されており、当該内側の端部の上面には下フランジ20Bと車両幅方向に対向する縦壁部28Cが立設されている。縦壁部28Cの高さは、先端部がロッカアウタパネル20の底壁部20Eに近接する高さに設定されている。また、底部28Bの車両幅方向中間部(側部28Aと縦壁部28Cとの間)の上面には、凹溝として構成されたヒンジ30が車両前後方向に沿って形成されている。従って、ロッカモール28の底部28Bの内側部分32は、ヒンジ30回りに車両幅方向に回動可能とされている。
【0028】
図1及び図3に示されるように、上記ロッカモール28の側部28Aの上端部には、車両前後方向の複数個所に取付座34が形成されている。この取付座34に設けられた取付具36を補強部材24の側壁24Bに形成された取付孔38に差し込むことにより、ロッカモール28の側部28Aがロッカ16に固定されている。また、ロッカモール28の前端部28D及び後端部28Eにも取付点40(図3参照)が設定されている。さらに、図2に示されるように、上記ロッカモール28の底部28Bの内側部分32には、車両前後方向の複数個所に別の取付座42が形成されている。この取付座42の底部には貫通孔44が形成されている。これに対応してロッカアウタパネル20の底壁部20Eにも同軸上に貫通孔46形成されている。これらの貫通孔44、46には、後述するシート材58を介してキャップ48が嵌着されている。
【0029】
補足すると、上述したロッカ16の上フランジ20A、22Aには、弾性材料で構成されたドアオープニングウェザーストリップ50が嵌着されている。また、図1及び図2に二点鎖線で図示されたドアウェザストリップ52はサイドドア側に装着されている部品であり、サイドドアが閉止されると、補強部材24の頂壁24Aと側壁24Bとが交差する角部に当たり弾性的に圧接されるようになっている。補強部材24の頂壁24Aの上面には、ドアオープニングウェザストリップ50とドアウェザストリップ52との間に細長い平板状に形成された樹脂製のアウタスカッフプレート54が装着されている。さらに、ロッカインナパネル22の頂壁部22Cには、縦断面形状が略L字状に形成された樹脂製のインナスカッフプレート56が装着されている。
【0030】
ここで、上述したロッカモール28の裏面には、無負荷時及び低負荷時には柔軟性を有し衝撃荷重が入力されると瞬時に硬化するダイラタント特性を備えたシート材58が接合されている。このダイラタント特性を有するシート材58としては、例えば英国のd3oTMlab社が製造する「d3oTM」を用いることができる。この「d3oTM」は、衝撃が加わっていないときや衝撃が弱いときは柔軟であるが、強い衝撃が加えられると瞬時に硬化すると共に、優れたエネルギ吸収性能を発揮する材料である。なお、シート材58の接合は、溶着、接着等、種々の方法が適用可能である。
【0031】
また、シート材58は、ロッカモール28の側部側取付部の端面である図1図示位置では、ロッカモール28の側部28Aから底部28Bの縦壁部28Cの上端部に亘る範囲に配設されている。なお、ヒンジ30も含んでシート材58は配設されている。また、ロッカモール28の底部側取付部の断面である図2図示位置では、ロッカモール28の側部28Aから底部28Bの取付座42のフランジ側端部42Aまで配設されている。なお、このフランジ側端部42Aは、縦壁部28Cの一部でもある。
【0032】
(本実施形態の作用・効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0033】
側面衝突時ではない場合には、ロッカモール28には負荷がかからないので、シート材58は柔らかい性質を有している。このため、成形用の型作製が不要であり、その分、原価を低減することが可能である。さらに、他車系間でシート材58を流用可能なサイズとすることで部品の共通化を図ることも可能である。
【0034】
一方、側面衝突時においては、衝突荷重がロッカモール28からロッカアウタパネル20、ロッカインナパネル22の順に入力される。このとき、ロッカモール28の裏面にダイラタント特性を備えたシート材58が接合されているため、当該シート材58が瞬時に硬化する。このためロッカモール28自体の剛性が上がり、その結果、ロッカモール28が装着されたロッカアウタパネル20ひいてはロッカ16全体の剛性が上がる。このようにしてロッカ16の剛性を上げることができるため、ロッカ16の車室内側への変形が抑制される。
【0035】
以上より、本実施形態に係る自動車のロッカ構造は、金属部品を追加して補強する場合よりもコストを抑制でき、しかも側面衝突時にロッカ16の車室内側への変形を抑制することができる。
【0036】
また、本実施形態では、ロッカモール28の裏面にシート材58を接合したので、ボディー(ロッカ16を構成する部材)とは無関係に予めロッカモール28側にシート材58をモジュール化することができる。このため、ボディー側の製造工程に何らの変更も生じないという利点がある。
【0037】
さらに、本実施形態では、ロッカモール28が下フランジ20Bと対向する縦壁部28Cを備えており、側面衝突荷重がロッカモール28の側部28Aに入力されると、底部28Bを介して縦壁部28Cが下フランジ20Bに当接する。これにより、下フランジ20Bから縦壁部28Cに衝突反力が伝達されるので、シート材58を瞬時に硬化させることができる。
【0038】
また、本実施形態では、ロッカモール28の側部28Aと縦壁部28Cとの間にヒンジ30が設定されているため、底部28Bに縦壁部28Cが立設される構成であっても、型抜きができる。すなわち、成形時には、図1及び図2に二点鎖線で示されるように、ヒンジ30回りに底部28Bの内側部分32が開いた形になるように成形し、ロッカ16への組付時に底部28Bの内側部分32をヒンジ30回りに閉じる方向へ回動させて組付けることができる。
【0039】
ここで、シート材58は無負荷時には柔らかいので、例えばロッカモール28の成形後にその裏面にシート材58を接合し、底部28Bをヒンジ30回りに回動させることができる。このように本実施形態に係る自動車のロッカ構造では、ロッカモール28の成形性と側面衝突時のロッカ16の剛性向上の両立を図ることができる。
【0040】
〔第2実施形態〕
次に、図4及び図5を用いて、本発明に係る自動車のロッカ構造の第2実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0041】
第2実施形態に係る自動車のロッカ構造では、ロッカモール28側にではなく、ロッカアウタパネル20側にシート材58を配設した点に特徴がある。図4に示される実施形態では、ロッカアウタパネル20の側壁部20D及び底壁部20Eにおけるロッカモール28との対向面に、前述したシート材58が接合されている。また、図5に示される実施形態では、ロッカアウタパネル20の側壁部20D及び底壁部20Eの車室内側の面に、前述したシート材58が接合されている。
【0042】
(作用・効果)
上記構成によれば、側面衝突時、衝突荷重はロッカモール28からロッカアウタパネル20に入力される。ロッカモール28は樹脂材料で構成されているので、衝突荷重はロッカアウタパネル20に瞬時に伝達され、シート材58に伝達される。このため、シート材58が瞬時に硬化して、ロッカ16の剛性を直接的に高める。その結果、この第2実施形態によっても、金属部品を追加して補強する場合よりもコストを抑制でき、しかも側面衝突時にロッカ16の車室内側への変形を抑制することができるという効果が得られる。
【0043】
〔上記実施形態の補足説明〕
上述した第1実施形態では、ロッカ外装材としてロッカモール28の裏面側にダイラタント特性を有するシート材58を接合する構成を採ったが、これに限らず図1等に示されるアウタスカッフプレート54及びインナスカッフプレート56の少なくとも一方の裏面にダイラタント特性を有するシート材58を接合してもよい。この場合においても、側面衝突時には衝突荷重が入力されるので、シート材58が瞬時に硬化し、ロッカ16の剛性向上に寄与する。特に、ロッカアウタパネル20側に配置されるアウタスカッフプレート54の裏面にシート材58を設けた場合は、ロッカインナパネル22側に配置されるインナスカッフプレート56の裏面にシート材58を設ける場合よりも効果的である。さらに、ロッカモール28とアウタスカッフプレート54及びインナスカッフプレート56の少なくとも一方とを組合わせてダイラタント特性を有するシート材58を接合してもよい。このように本発明の「ロッカ外装材」にはロッカモール28が含まれる他、アウタスカッフプレート54及びインナスカッフプレート56が含まれる。
【符号の説明】
【0044】
10 車体側部
16 ロッカ
20 ロッカアウタパネル
20B 下フランジ(フランジ部)
20D 側壁部
22 ロッカインナパネル
22B 下フランジ(フランジ部)
28 ロッカモール(ロッカ外装材)
28A 側部
28B 底部
28C 縦壁部
30 ヒンジ
54 アウタスカッフプレート
56 インナスカッフプレート
58 シート材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側部の下部に車両前後方向に沿って配置され、車室内側に配置されたロッカインナパネルと車室外側に配置され当該ロッカインナパネルと結合されたロッカアウタパネルとを備えて中空閉断面形状に形成されたロッカと、
前記ロッカアウタパネルの車室外側に外装されたロッカ外装材と、
前記ロッカ外装材の裏面又はロッカアウタパネルにおけるロッカ外装材との対向面若しくはその裏面に接合され、無負荷時には柔軟性を有し衝撃荷重が入力されると硬化するダイラタント特性を備えたシート材と、
を有する自動車のロッカ構造。
【請求項2】
前記ロッカ外装材は、ロッカアウタパネルの少なくとも側壁部を覆うロッカモールとされており、
当該ロッカモールの裏面に前記シート材が接合されている、
ことを特徴とする請求項1記載の自動車のロッカ構造。
【請求項3】
前記ロッカの下部には、前記ロッカインナパネルの下端部と前記ロッカアウタパネルの下端部とを接合するためのフランジ部が下向きに形成されており、
前記ロッカモールは、前記ロッカアウタパネルの側壁部と車両幅方向に対向する側部と、前記ロッカアウタパネルの底壁部と車両上下方向に対向する底部と、を備えていると共に、底部には前記フランジ部と車両幅方向に対向する縦壁部が立設されており、
さらに、前記シート材は、側部から少なくとも底部の縦壁部に亘る範囲に配設されている、
ことを特徴とする請求項2記載の自動車のロッカ構造。
【請求項4】
前記ロッカモールの底部は、前記側部と前記縦壁部との間に設定されたヒンジ回りに車両幅方向に回動可能とされており、
前記シート材は、当該ヒンジも含んで配設されている、
ことを特徴とする請求項3記載の自動車のロッカ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−171611(P2012−171611A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39063(P2011−39063)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】