説明

自動車の前方ボンネット用停止支持体

本発明は、自動車の前方ボンネットの停止体(24)のための支持体(22)に関する。閉鎖状態にあるとき、前方ボンネットは停止体(24)に押し付けられる。歩行者衝突によって生じる応力に相当する、所定の閾値を上回る概ね垂直の応力をボンネットが被るとき、支持体(22)は座屈する。本発明はまた、前方ボンネット支持体に関する。本発明はさらに、この支持体(22)を設けた自動車の任意の部品(16)に、特に技術的前方表面横材(16)、バンパー補強材(12)、及びバンパースキン(14)に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の前方にあるボンネットのためのアバットメント(abutment)支持体に関し、同ボンネットは閉鎖状態にあるときにアバットメントに支承される。
【背景技術】
【0002】
自動車の前部における歩行者との衝突の結果、歩行者の頭または大腿は、概ね垂直の軌道をたどりながら高速度にて前方ボンネットに衝突することがある。ボンネットは、ボンネットの後部に位置する蝶番を介して水平軸を中心に回り、前部にて垂直に平らになる。
【0003】
残念ながら、閉鎖状態のボンネットは前方にて、概して自動車の前方横材沿いに配置された少なくとも一つのアバットメントに支承され、この横材は構造上すこぶる強固である。
【0004】
そのような衝突から生じる損傷は特に重篤であり、頭は、これがゼロ速度まで減速されるときに高い負の加速度を被る。
【0005】
この負の加速度は、ボンネットによってもたらされる反力に、そして横材等の自動車のすこぶる強固な部分によって頭が止められる前に減速の目的として得られるストロークに依存する。
【0006】
歩行者を保護するには、ボンネットによる反力を制限すると同時に、減速の目的として得られるストロークにわたって頭をもたせかけるのが望ましい。
【0007】
アバットメントが同様に強固であるとき、歩行者の頭にかかる反力は非常に大きい。反力を十分に制限するには、衝突時のボンネットの変形だけでは事足りない。
【0008】
そこで反力を制限するため、衝突時にボンネットの押し込みを可能にするスプリングを設けたアバットメントの使用が知られている。
【0009】
ただし、そのようなアバットメントは複雑であって特段に高価である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、そのようなスプリングアバットメントに頼ることなく、歩行者の頭を守ることを可能にする、簡素且つ廉価な装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明はこの目的のため、前方ボンネットを有する自動車のアバットメントのための支持体を提供し、同前方ボンネットは閉鎖状態にてアバットメントに支承され、支持体は、歩行者との衝突から生じる力に相当する所定の閾値を上回る概ね垂直の力をボンネットが受けるときに支持体が座屈するのに適しており、このアバットメント支持体は、自動車のプラスチック材料部品とともに一体的に成形されることを特徴とする。
【0012】
よって本発明により、支持体に座屈する能力を与える形状及びタイプの材料でできた支持体を選ぶことにより、減速ストロークと反力の制限とが簡素な方式で得られる。加えて、このような支持体へ従来のアバットメントを取り付けることは非常に容易い。
【0013】
加えて、支持体は自動車部品と一体的に成形されるため、ボンネットと車体部分との間の一連の寸法は短縮され、これによりボンネットと、ボンネットの周囲に配置される車体部分との間の隙間の管理を改善する。
【0014】
本発明のアバットメント支持体はまた、以下の特徴のうち一つ以上を含んでよい。
・ アバットメント支持体は可塑的に変形することにより座屈するのに適する、
・ これの変形は、特定の幾何学的形状を有することによって、許容される反力、すなわち所定の閾値に近いそれを維持するようプログラムされる、
・ アバットメント支持体は壊れることによって座屈するのに適する。
【0015】
本発明はまた自動車前方ボンネットのための担体を提供し、同担体は閉鎖状態の前方ボンネットが支承されるアバットメントを含むタイプのものであり、担体は、本発明のアバットメント支持体を含むことを特徴とする。
【0016】
本発明はまた、本発明のアバットメント支持体を設けた自動車部品を提供する。
【0017】
本発明はまた、本発明のアバットメント支持体を設けた前方パネル横材を提供する。
【0018】
本発明はまた、本発明のアバットメント支持体を設けた前方パネル横材カバーを提供する。
【0019】
本発明はまた、本発明のアバットメント支持体を設けたバンパー強化材を提供する。
【0020】
最後に本発明は、本発明のアバットメント支持体を設けたバンパースキンを提供する。
【0021】
純粋に例示の目的で提示され、且つ添付の図面を参照しながら果たされる以下の説明を読むことにより、本発明はよりよく理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1a及び図1bは、全体を通して参照符号10が付された自動車前部を示す。自動車の前部10は、バンパー強化材12とバンパースキン14とを含む。バンパースキン14はバンパー強化材12によって支えられ、且つこれを覆う。
【0023】
自動車前部10はまた、車両の幅にわたって延在し図1bに示されている横材16を有する前方パネルを含む。バンパー強化材12とバンパースキン14とは横材16まで延在する。
【0024】
横材16はまた、横材カバー18によって部分的に覆われ、同横材カバー18は、手前のバンパースキン14から後ろの横材16のリブ20にかけて、車両の長さ方向に延在する。
【0025】
横材16は、自動車の前方ボンネット(図示せず)のアバットメント24のための支持体22を備える。横材16と支持体22とはプラスチック材料で作られる。
【0026】
支持体22は、横材16と同じ成形プロセスから得られる。よって支持体22は、アバットメント24を支える働きをする、側部29へ接続された平らな上部28を有する、円錐台の形に横材16の壁を形成することによって作られる。アバットメントは一般的に、平らな部分28を通過する円柱形の本体30を備え、円柱30の上端を塞ぐパッド32をともない、閉鎖状態のときの前方ボンネットはこれに支承される。
【0027】
横材16を覆う横材カバー18は丸い開口部を有し、同開口部を通じて支持体22が突出する。
【0028】
概ね垂直で、且つ歩行者との衝突から生じる力に一致する所定の閾値を上回る力をボンネットが受けるとき、支持体22は可塑的に変形することにより座屈するのに適する。
【0029】
より厳密には、アバットメント24が垂直の力の作用を受けて押し込まれるとき、頂上の平坦部分28は変形し、アバットメント24の付近に沈み、さらに側部29は相応に曲がる。
【0030】
変形は初めに弾性的に起こり、これにともない少量の変形は反力の大きな増加をもたらす。この弾性変形により支持体22は、ボンネットが上に置かれること、または繰り返し勢いよく閉ざされることによる永久的な変形応力をともなうことなく、耐えるのに適する。その後変形は可塑的に起こり、変形の関数としてごく僅かな反力の増加をともない、このとき支持体22は座屈するといえる。
【0031】
支持体のための材料と幾何学的形状との適切な選択によって、所定の閾値に概ね等しい反力を維持するよう変形をプログラムできる。
【0032】
別態様において支持体22は、可塑的に変形する代わりに部分的に壊れることによって退いてよい。
【0033】
図2a及び図2bは本発明の第二の実施形態を示す。図1a及び図1bの第一の実施形態について説明したものに類似する部分には、同じ参照符号が付されている。
【0034】
この実施形態におけるバンパー強化材12とバンパースキン14は、第一の実施形態のものと同じである。
【0035】
この場合の支持体22は、横材16を覆う横材カバー18と一体的に成形される。よって支持体22は、アバットメント24を支える平らな上部28をともなう円錐台となるよう横材カバー18の壁を形成することによって作られる。アバットメントは、第一の実施形態について説明したものと同じである。
【0036】
図3a及び図3bは本発明の第三の実施形態を示す。上記の実施形態について説明したものと同じ部分には同じ参照符号が付されている。
【0037】
この第三の実施形態において、バンパー強化材12は横材16を覆う壁32を有する。支持体22は、アバットメント24を支える頂上の平坦部分28をともなう円錐台の形を有するべく横材16の壁32を形成することによって作られる。
【0038】
図4a及び図4bは本発明の第四の実施形態を示す。上記の実施形態について説明したものに類似する部分には、同じ参照符号が付されている。
【0039】
第四の実施形態においてバンパースキン14は、横材16とこれのカバー18の上に延在する拡張部34を有する。拡張部34は、バンパースキン14の外面に、すなわち見える表面につなげてバンパースキン14と一体的に成形される。
【0040】
拡張部34は、横材16から隔てて横材16の上部壁に対し概ね平行に延在する、平らな長方形の形をとる。
【0041】
拡張部34は、バンパースキンへ接続された一端と、この一端とは反対側の他端とを有する。拡張部34は、これの二つの末端の間に置かれた二つの概ね垂直のサイドエッジ(図示せず)によって横材16へ接続される。サイドエッジもまた、バンパースキン14と同じ成形品の部分である。
【0042】
拡張部34全体が、これのサイドエッジとともに、アバットメント24のための支持体22を構成する。この第四の実施形態において円柱30が拡張部34を通過する点を除き、アバットメント24は上記の実施形態について説明したものと同じである。
【0043】
本発明が説明した実施形態に限定されないことに留意されたい。
【0044】
特に、支持体は自動車の他の部分と一体的に成形されてよく、且つこれは、説明したものとは異なる形状を、それらが説明したものと同じ特性をこれに与える限りにおいて、有してよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1a】本発明の第一の実施形態を構成するアバットメント支持体を設けた前方パネル横材を示す、自動車の前部の斜視図である。
【図1b】図1aの自動車前部の縦断面図である。
【図2a】本発明の第二の実施形態を構成するアバットメント支持体を設けた前方パネルカバーを示す、自動車の前部の斜視図である。
【図2b】図2aの自動車前部の縦断面図である。
【図3a】本発明の第三の実施形態を構成するアバットメント支持体を設けたバンパー強化材を示す、自動車の前部の斜視図である。
【図3b】図3aの自動車前部の縦断面図である。
【図4a】本発明の第四の実施形態を構成するアバットメント支持体を設けた前方バンパースキンを示す、自動車の前部の斜視図である。
【図4b】図3aの自動車前部の縦断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖状態においてアバットメント(24)に支承される前方ボンネットを有する自動車のアバットメント(24)のための支持体(22)であって、支持体は、歩行者との衝突から生じる力に一致する、所定の閾値を上回る概ね垂直の力をボンネットが受けるときに座屈するのに適しており、前記アバットメント支持体は自動車のプラスチック材料部品(16、18、12、14)と一体的に成形されることを特徴とする、支持体。
【請求項2】
可塑的に変形することによって座屈するのに適することを特徴とする、請求項1に記載のアバットメント支持体(22)。
【請求項3】
特定の幾何学的形状を有することにより、許容される反力を、すなわち所定の閾値に近い反力を維持するようプログラムされた変形を呈する、請求項2に記載のアバットメント支持体(22)。
【請求項4】
壊れることによって座屈するのに適することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のアバットメント支持体(22)。
【請求項5】
閉鎖状態において前方ボンネットが支承されるアバットメント(24)を含むタイプの、自動車前方ボンネットのための担体であって、請求項1から4のいずれか一項に記載のアバットメント支持体(22)を含むことを特徴とする、担体。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載のアバットメント支持体(22)が設けられる、自動車部品(16、18、12、14)。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか一項に記載のアバットメント支持体(22)が設けられる、前方パネル横材(16)。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか一項に記載のアバットメント支持体(22)が設けられる、前方パネル横材カバー(18)。
【請求項9】
請求項1から4のいずれか一項に記載のアバットメント支持体(22)が設けられる、バンパー強化材(12)。
【請求項10】
請求項1から4のいずれか一項に記載のアバットメント支持体(22)が設けられる、バンパースキン(14)。

【図1a】
image rotate

【図1b】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate


【公表番号】特表2007−537091(P2007−537091A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512269(P2007−512269)
【出願日】平成17年5月4日(2005.5.4)
【国際出願番号】PCT/FR2005/001134
【国際公開番号】WO2005/120907
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(504037391)コンパニ・プラステイツク・オムニウム (11)
【Fターム(参考)】