説明

自動車の前部構造

【課題】この発明は、バンパフェースロア補強部支持のための部品点数の増加を抑制しつつ、バンパフェースロア補強部の後方への変位を確実に防止して脚払い性能を向上させることができる自動車の前部構造を提供することを目的とする。
【解決手段】バンパメッシュ12より高剛性でサブフレーム本体部の左右両側部の前端から前方に延びる、延長部としてのクラッシュカン35、35と、バンパフェースロア補強部15より高剛性でその後方に隣接し、左右のクラッシュカン35間を橋渡すビーム部36とから構成されるサブフレーム3を備え、ビーム部36を、バンパフェースロア補強部15と上下方向において重複する位置に配設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車の前部構造に関し、特に、車体前部の左右両側部に配設され、前後方向に延びるフロントサイドフレームと、バンパフェースと、メッシュ本体、バンパフェースロア補強部から構成されるバンパメッシュとを備えたものに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の前部構造としては、従来より、バンパフェースをアッパ部とロア部とから構成し、バンパフェースのロア部の内方に、バンパフェースロア補強部を設けたものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
前記特許文献1では、バンパフェースロア補強部を設けることにより、車両走行中に歩行者と接触した際、歩行者の脚払いが確実になされる(車両の下側へ歩行者の脚を巻き込むことを確実に防止できる)とされている。
【0004】
さらに、前記特許文献1では、車両走行抵抗を低減すべく車両の前方部下面を覆うアンダーカバーを介してバンパフェースロア補強部をクロスメンバに連結する構造が開示されている。これにより、重量増加を抑制しつつ、高い強度でもってバンパフェースロア補強部を後方にて支持することができ、車両走行中に歩行者と接触した際の脚払い性能が向上するとされている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−203158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、アンダーカバーは、あくまでも、車両走行時の走行抵抗を低減するために設けられた部材であり、車体下部の強度の向上を目的として設けられた部材ではないため、さほど高い剛性を有するものではない。
【0007】
故に、高い強度を有するクロスメンバにバンパフェースロア補強部を連結するとはいえ、バンパフェースロア補強部を上述したようにアンダーカバーに連結した構造は、補強部の支持強度が充分であるとは言い難い。従って、車両走行中における歩行者との接触時において、バンパフェースロア補強部が後方に変位してしまうおそれがあり、バンパフェースロア補強部が脚払い性能を向上させる部材として充分機能しないおそれがある。
【0008】
さらに、前記特許文献1に開示の構造では、バンパフェースロア補強部を支持するためにアンダーカバーを設けることが必須となるため、その分、部品点数の増大を招いてしまうという問題がある。
【0009】
この発明は、バンパフェースロア補強部支持のための部品点数の増加を抑制しつつ、バンパフェースロア補強部の後方への変位を確実に防止して脚払い性能を向上させることができる自動車の前部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の自動車の前部構造は、車体前部の左右両側部に配設され、前後方向に延びるフロントサイドフレームと、バンパフェースとを備え、該バンパフェースを、上記フロントサイドフレームの前方に配設したアッパ部とロア部とから構成するとともに、該アッパ部とロア部との間に開口部を形成し、上記バンパフェースの開口部に位置するメッシュ本体と、上記バンパフェースのロア部の内方に位置し、下端を上記バンパフェースのロア部の下端に締結したバンパフェースロア補強部とから構成されるバンパメッシュを備え、上記バンパフェースのロア部の後方で、且つ、上記フロントサイドフレームの下方に配設したサブフレーム本体部と、上記バンパメッシュより高剛性で上記サブフレーム本体部の左右両側部の前端から前方に延びる延長部と、上記バンパメッシュより高剛性で、上記バンパフェースロア補強部の後方に隣接し、左右の延長部間を橋渡すビーム部とから構成されるサブフレームを備え、上記ビーム部を、上記バンパフェースロア補強部と上下方向において重複する位置に配設したことを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、バンパフェースロア補強部をメッシュ本体と一体成形していることにより、部品点数の増加を抑制しつつも、車両走行中における歩行者との接触時において、車両前方から荷重が作用したとしても、前記補強部がビーム部に当接することにより、車両前方から作用する荷重を受止めつつ、前記補強部の後方への大幅な変位を確実に防止できる。このため、歩行者との接触時において、歩行者の脚払いが確実になされることとなり、車両の脚払い性能を向上させることができる。
【0012】
また、前記補強部、ビーム部、延長部により、歩行者との接触時における脚払い性能の向上と、障害物との前方衝突時における衝撃エネルギー吸収性の向上とを両立させることができる。
【0013】
また、前記補強部をメッシュ本体とともに一体成形してバンパメッシュ側に設け、サブフレーム側に対して独立した構造とすることにより、ビーム部の高さ位置に依存することなく、その高さ位置を、前記脚払い性能を最も発揮する最適の高さ位置に設定することができる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、前記バンパフェースロア補強部の後部に、逃げ部を形成するとともに、前記ビーム部を上記逃げ部に侵入させたことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、前記補強部における脚払い性能を維持しつつも、ビーム部をより前方に配して、延長部の長さを確保することができるため、エネルギー吸収性を向上させることができる。
【0016】
この発明の一実施態様においては、前記逃げ部に、前記ビーム部の前端部と対向し、上下方向に延びる直立面を形成したことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、前記補強部がビーム部に当接した際、さらに車両前方から荷重が加わったとしても、前記補強部がビーム部をスライドして後方へすり抜けることを防止できる。結果的に、前記補強部の後方への変位をより確実に防止できる。
【0018】
この発明の一実施態様においては、前記サブフレームの本体部に、前記ビーム部の後方に位置しつつ車幅方向に延びるフロント側クロスメンバを設けるとともに、前記バンパメッシュに、前記バンパフェースロア補強部の下端から後方に延びる延出部を設け、該延出部を上記フロント側クロスメンバに締結したことを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、前記補強部とビーム部との間の相対的な位置関係を保持できるため、前記補強部のビームへの当接前に互いの位置がずれることに起因して、該当接時に脚払い性能が低下することを防止できる。
【0020】
この発明の一実施態様においては、前記延出部の外表面に、複数の凹凸部を形成したことを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、延出部は、歩行者との接触時における、車両前方からの荷重に対して高い剛性を有することができる。
【0022】
この発明の自動車の前部構造は、車体前部の左右両側部に配設され、前後方向に延びるフロントサイドフレームと、バンパフェースとを備え、該バンパフェースを、上記フロントサイドフレームの前方に配設したアッパ部とロア部とから構成するとともに、該アッパ部とロア部との間に開口部を形成し、上記バンパフェースの開口部に位置するメッシュ本体と、上記バンパフェースのロア部の内方に位置し、下端を上記バンパフェースのロア部の下端に締結したバンパフェースロア補強部とから構成されるバンパメッシュを備え、上記バンパフェースの後方に、アッパ部、サイド部、ロア部により構成され、上記バンパメッシュより高剛性な材質からなる樹脂製のシュラウドを備え、該シュラウドのロア部には、前端が上記バンパフェースロア補強部に近接する位置まで延びる前方延出部を一体成形したことを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、車両走行中における歩行者との接触時において、車両前方から荷重が作用したとしても、バンパフェースロア補強部が前方延出部に当接することにより、前方向から作用する荷重を受止めつつ、前記補強部の後方への大幅な変位を確実に防止できる。このため、歩行者との接触時において、歩行者の脚払いが確実になされることとなり、車両の脚払い性能を向上させることができる。
【0024】
また、前方延出部がシュラウドのロア部と一体成形されていることにより、前記補強部がメッシュ本体に一体成形されている点と併せて、部品点数を増加を抑制しつつ変位の防止を実現できる。
【0025】
この発明の一実施態様においては、前記前方延出部の外表面に、複数の凹凸部を形成したことを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、別途補強部材を設けることなく、前方延出部の剛性を向上させることができるため、前記補強部に対して車両前方から荷重が作用したとしても、より確実に前記補強部の後方への変位を防止できる。
【0027】
この発明の一実施態様においては、前記バンパメッシュに、前記バンパフェースロア補強部の下端から後方に延びる後方延出部を形成し、該後方延出部を前記シュラウドのロア部に締結したことを特徴とする。
【0028】
この構成によれば、前記補強部と前方延出部との間の相対的な位置関係を保持できるため、前記補強部の前方延出部への当接前に互いの位置がずれることに起因して、該当接時に脚払い性能が低下することを確実に防止できる。
【0029】
この発明の一実施態様においては、前記後方延出部の両側部を、前記シュラウドのロア部の両側部に締結したことを特徴とする。
【0030】
この構成によれば、延出部の複数の締結部位同士が車幅方向において互いに離れて位置するため、上記締結部位が中央部寄りに設けられる場合に比べて、バンパフェースロア補強部を含むバンパメッシュ補強部の支持状態を安定させることができる。
【発明の効果】
【0031】
この発明によれば、サブフレームのビーム部を、バンパフェースロア補強部と上下方向において重複する位置に配設したことにより、部品点数の増加を抑制しつつ、車両走行中において歩行者と接触した時、車両前方から荷重が作用したとしても、前記補強部をビーム部に当接させることで、車両前方から作用する荷重を受止めつつ、前記補強部の後方への大幅な変位を確実に防止できる。このため、歩行者の脚払いが確実になされることとなり、車両の脚払い性能を向上させることができる。
【0032】
また、シュラウドのロア部に、前端が上記バンパフェースロア補強部に近接する位置まで延びる前方延出部を一体成形することにより、部品点数の増加を抑制しつつ、車両走行中において歩行者と接触した時、車両前方から荷重が作用したとしても、前記補強部を前方延出部に当接させることで、車両前方から作用する荷重を受止めつつ、前記補強部の後方への大幅な変位を確実に防止できる。このため、歩行者の脚払いが確実になされることとなり、車両の脚払い性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
【0034】
(第1実施形態)
まず、図1〜図6に示す第1実施形態について説明する。図1はこの発明の第1実施形態に係る自動車の前部構造を示す後方斜視図であり、図2は、図1におけるA−A線矢視断面図、図3は、この発明の第1実施形態に係る自動車の前部構造を示す側面図、図4は、バンパ構造体1のうち、バンパメッシュ12を示す後方斜視図、図5(a)、(b)、(c)は、それぞれ図4におけるB−B線矢視断面図、図5(a)におけるC−C線矢視断面図、図4におけるD−D線矢視断面図である。さらに、図6は、図1における、バンパフェースロア補強部15と第2ビーム36との位置関係を示す側断面図である。本実施形態における自動車の前部構造は、図1に示すように、主にバンパ構造体1と、バンパ構造体1の後方に配設され、車体前部の左右両側部において、前後方向に延びるフロントサイドフレーム(フロントフレーム)2と、フロントサブフレーム3とを備えた構成である。なお、図中において矢印(F)は車両前方を示し、矢印(R)は車両後方を示す。
【0035】
フロントサイドフレーム2の下方には、フロントサブフレーム3のうち、車両前後方向に延設される左右一対のサイドフレーム31、31と、サイドフレーム31、31のそれぞれの前部同士及び後端部同士を橋渡すように車幅方向に延びて固定されるフロント側クロスメンバ32及びリヤ側クロスメンバ33とから構成されるサブフレーム本体部が配置されている。なお、フロントサイドフレーム2は、上述したように、車幅方向左右両側部に一対設けられるものであるが、両側ともその作用等は同様であるため、図1においては、便宜上片側のみを図示している。
【0036】
各サイドフレーム31、31の前端部には、前端支持部4a、4aが形成され、後端部には、後端支持部4b、4bが形成されるとともに、リヤ側クロスメンバ33よりも若干前方の中間部には、サイドフレーム31、31の上面から上方に向けて延びる縦メンバ34、34を介してその先端に中間支持部4c、4cが形成されており、これらの支持部は、それぞれ直ぐ上方のフロントサイドフレーム2、2の下面にて対応する位置に、ラバーブッシュを介して支持されている。これにより、フロントサブフレーム3は、計6ヶ所にて、フロントサイドフレーム3、3に支持されることになる。
【0037】
これら各支持部のうち、例えば前端支持部4aについて見ると、図2に示すように、フロントサイドフレーム2上面から下方に突出したボルト21を被覆する内筒41と、外面でサイドフレーム31(サブフレーム3)に取付けられた外筒42との間にラバー43を挟んだ構造となっている。この構造により、フロントサブフレーム3はフロントサイドフレーム2(車体)に対して弾性的に支持されている。
【0038】
なお、本発明においては、サイドフレーム31、31は、必ずしもフロントサイドフレーム2、2に支持される必要はなく、車体フレームを構成するいずれかの構造体であってもよい。
【0039】
また、フロントサブフレーム3においては、サブフレーム本体部の他、図1、図2に示すように、サイドフレーム31、31の前端部から前方側に延びるように、延長部としてのクラッシュカン35、35が、ボルト等の締結部材により取付けられ、着脱可能とされている。クラッシュカン35は、車両前後方向の衝突荷重に対して積極的に縮合されて衝撃エネルギーを吸収可能とされ、衝撃吸収部材の役割を果たす部材である。
【0040】
そして、このクラッシュカン35、35の前端部間は、フロントサイドフレーム2の前端部に位置する後述のバンパビーム6(図6参照)の略直ぐ下方において、例えば、特開2005−281810号公報にて開示されているように、車幅方向に延びる第2ビーム(レインフォースメント)36により橋渡され、固定されている。また、第2ビーム36は、前記バンパ構造体1の略直ぐ後方側に位置するよう配設される。ここで、クラッシュカン35、35は鋼鉄製で内部が空洞となるよう筒状に形成されるが、第2ビーム36は樹脂製となっている。
【0041】
なお、図1において二点鎖線で示す部材5a、5bは、サスペンション機構の2本のロアアームである。具体的には、図1に示すように、サイドフレーム31、31の後方部後側部位の車両外方側に、フロント側ロアアーム支持部37が形成され、縦メンバ34、34より後方側のサイドフレーム31、31の車両外方側に、リア側ロアアーム支持部38が形成されている。
【0042】
そして、フロント側ロアアーム支持部37とリア側ロアアーム支持部38には、それぞれ車両外方側に向けて、フロント側ロアアーム5a、リア側ロアアーム5bが揺動可能に接続されており、これらフロント側ロアアーム5a及びリア側ロアアーム5bの各外方側端部は、前輪を直接支持するホイールサポート(図示せず)に揺動可能に接続されている。さらに、図示しないが、フロントサイドフレーム2、2に接続されるアッパーアームもホイールサポートに接続されており、これらの構成により、サスペンション機構をなしている。
【0043】
なお、本発明では、フロント側ロアアーム5aとリア側ロアアーム5bとは別体として説明したが、ロアアームを所謂A型ロアアームとし、フロント側ロアアーム5aとリア側ロアアーム5bとが車両外方側で固定されたものであってもよい。
【0044】
ところで、本実施形態では、図1に示すように、フロントサイドフレーム2、フロントサブフレーム3の前方にバンパ構造体1が配設されているが、このバンパ構造体1は、主にバンパフェース11、バンパメッシュ12から構成され、車体前部に組付けられている。
【0045】
バンパフェース11は、図3に示すように、フロントサイドフレーム2の前方に配設されたアッパ部11aと、ロア部11bとからなり、射出成形により一体的に成形されている。アッパ部11aとロア部11bとの間には車幅方向に長い開口部13が形成され、開口部13には格子状に成形されて外気をエンジンルーム側に導入するメッシュ本体14が車両前方側から挿入、固定されている。
【0046】
バンパフェース11のロア部11bの内方には、平面視で略円弧状のバンパフェースロア補強部15(以下、補強部15と略記する。)が車幅方向に延びるように設けられ、バンパメッシュ12は、開口部13に位置するメッシュ本体14と、上記補強部15とから構成されている。
【0047】
特に、本実施形態においては、補強部15が開口部13に設けられるメッシュ本体14と一体成形された構造を有しており、図4はその後方からの斜視図を示している。
【0048】
バンパメッシュ12においては、メッシュ本体14の下方の縁部が垂下面14aを介して補強部15と一体的に繋がっており、垂下面14aには複数の係合孔14bが形成されている。
【0049】
また、補強部15には、その下端から車幅方向に亘って後方に延びる延出部16が一体成形され、延出部16にはさらに、ボルト孔16b、16bが穿設され、後方に延びる2つの締結突部16a、16aが左右両側部に形成されている。
【0050】
この延出部16は、前後方向に延びる多数の凹凸部を車幅方向に沿って複数形成したリブ状に形成され、歩行者との接触時における、車両前方からの荷重に対して高い剛性を有する形状となっている。
【0051】
そして、本実施形態では、後に詳述するが、延出部16の締結突部16aが、バンパフェース11のロア部11bの後方に配設されるフロントサブフレーム3のフロント側クロスメンバ32の下面に締結され、補強部15が支持される構造となっている。
【0052】
なお、延出部16表面の形状としては、上述したような、前後方向に延びる複数の凹凸部を形成したものに限定されない。例えば、延出部16表面上において複数のリブをスラント方向に延びるように形成し、所謂ハニカム構造体としたものでもよい。
【0053】
ここで、バンパ構造体1の構成についてさらに図4、図5を用いて説明する。
図4において、補強部15は、車幅方向左右両端部で後方に延びる側面部15aと、車両前方に向かって延びる上面部15b(図5参照)と、上面部15bから下方に延びる前面部15c(図5参照)、及び前面部15cから後方に向かって延びる下面部15dとによって外面枠が形成され、両端部の側面部15a同士を結ぶ横リブ15eが前面部15cから後方に向かって延び、さらに上面部15bと前面部15cと下面部15dとを結び、横リブ15eと略直交する複数の縦リブ15fが形成された構造を有している。この縦リブ15fにはいずれも図示のように、上側部においては、前方に凹んだ凹部15f1が形成されている。なお、図5では横リブは2本としているが、1本設けられても良く、また、3本以上設けられていても良い。
【0054】
ここで、横リブ15eと縦リブ15fの前方部は、前面部15cと一体的に形成され、前方部が突出した形状とされていないので、車両との接触時、歩行者の接触部位への衝撃吸収体先端部による衝撃力の集中が防止でき、接触部位の損傷度合いを低減することも可能である。
【0055】
ところで、補強部15とバンパフェース11との連結構造であるが、図5(a)に示すように、補強部15の下面部15dの後部に複数の肉厚部15gが形成され、バンパフェース11の後端部11cと連結部材17で締結されている。これにより、補強部15のみならず、バンパフェース11のロア部11bをもフロント側クロスメンバ32(図1参照)により連結、支持されていることになる。
【0056】
この肉厚部15gに至る補強部15の下面部15dは、図5(b)に示すように、上部方向に向かって突出した補強凸部15hを有している。つまり下面部15dは、バンパフェース11後端部11cとの締結部である肉厚部15gの前方部で三方に壁を有する立体的構造を有しているため、歩行者との接触時において締結部付近が容易に破壊しない高強度構造となっている。
【0057】
バンパフェース11のロア部11bの後端部11cの上部と補強部15との関係であるが、図5(c)に示すように、図5(a)と異なり、補強部15における下面部15dの後方に肉厚部15gが形成されておらず、バンパフェース11のロア部11bの後端部11cと締結されていない。しかし、補強部15の上方に形成された垂下面14aに係合孔14b(いずれも図4参照)が設けられ、係合孔14bにはバンパフェース11のロア部11bの上面部11dから後方に延びる爪部11eが挿通されるとともに、爪部11eは、補強部15の上面部15bの後端に形成され、且つ係合孔14bの下面である爪係合部15iと係合している。なお、爪部11eの形状は上下逆にされて、メッシュ本体14側に係合される構造であっても良い。
【0058】
ところで、上述したように補強部15を備えたバンパ構造体1と、フロントサブフレーム3との関係であるが、フロントサブフレーム3は、バンパメッシュ11のロア部11bよりその後方に配設されており、特に、図6に示すように、補強部15の後方に補強部15の縦リブ15fと所定間隔を隔てて隣接するように、第2ビーム36が配設されている。さらに、この第2ビーム36は、その前端部が、補強部15と上下方向において長さH1だけ重複する位置に配設されている。
【0059】
このように、補強部15の後方に第2ビーム36を隣接させつつ、補強部15と第2ビーム36とを上下方向において重複させるように配設することにより、車両走行中における歩行者との接触時において、バンパ構造体1に車両前方から荷重が作用したとしても、図中の二点鎖線で示すように、補強部15の縦リブ15fが第2ビーム36に当接することにより、車両前方から作用する荷重を受止めつつ、補強部15の後方への大幅な変位を確実に防止できる。このため、歩行者との接触時において、歩行者の脚払いが確実になされることとなり、車両の脚払い性能を向上させることができる。
【0060】
また、補強部15をメッシュ本体14と一体成形している点と併せて、しかも、前記特許文献1に開示の技術において必要とされる、アンダーカバーといった連結部材を本実施形態では省略できるため、部品点数の増加を抑制しつつ前記車両の脚払い性能の向上を実現できる。
【0061】
さらにまた、本実施形態においては、元々、高さの低い障害物と前方衝突等した場合、衝撃エネルギーを吸収し、衝撃荷重をある程度低減するために設けられた、バンパメッシュ12に比べて高剛性のクラッシュカン35、35、第2ビーム36を補強部15の後方に配設している。このため、前記特許文献1におけるアンダーカバーを補強部に連結する場合に比べて、確実に補強部15の後方への変位を抑制できる。
【0062】
ここで、前記特許文献1においては、歩行者の脚払い性能を向上させる点のみが開示されているに過ぎない。しかしながら、自動車の前部構造としては、歩行者の脚払い性能のみならず、自動車の前方衝突時における車両前方部での衝突エネルギー吸収性をも要求される。
【0063】
そこで、本実施形態においては、第2ビーム36を設け、特開2005−281810号公報と同様に、クラッシュカン35、35との協働により、車両が、高さの低い障害物と前方衝突等した場合、障害物から受けた衝突荷重が、第2ビーム36及びクラッシュカン35、35(図1参照)に入力され、これらが前後方向に圧縮されながら縮合されることで、衝撃エネルギーを吸収し、衝撃荷重をある程度低減することを可能にしている。
【0064】
また、第2ビーム36は車幅方向に延設されているために、障害物が左右のクラッシュカン35、35の中間部分のみ衝突した場合も、衝撃荷重をクラッシュカン35、35に伝達でき、これにより衝撃荷重の低減が可能となる。
【0065】
以上より、バンパ構造体1の補強部15とフロントサブフレーム3(図1参照)の第2ビーム36との位置関係により、歩行者との接触時における脚払い性能の向上と、障害物との前方衝突時における衝撃エネルギー吸収性の向上とを両立させることができるのである。
【0066】
さらにまた、本実施形態においては、補強部15がバンパ構造体1側に設けられ、フロントサブフレーム3側に対して独立した(フロントサブフレーム3に直接的に取付けられていない)構造となっている。
【0067】
これは、フロントサブフレーム3の高さ位置が、フロントサイドフレーム2(図1参照)との関係等により予め決められている一方、上述した足払い性能の効果を最も発揮する補強部15の高さ位置は、図示のように、必然的に第2ビーム36(フロントサブフレーム3)の高さよりも若干低い位置に設定されているからである。
【0068】
即ち、仮に補強部15を第2ビーム36側に取付けようとすると、上述したように、第2ビーム36の高さ位置と脚払い性能を考慮した補強部15の高さ位置とがずれているために、補強部15の形状が必然的に複雑なものとなる。そして、この補強部15の形状次第では、補強部15の剛性の低下を招くおそれもある。そこで、本実施形態のように、バンパ構造体1側に補強部15を取付ければ、第2ビーム36の高さ位置に依存することなく、その高さ位置を上記最適の高さ位置に設定することができるのである。
【0069】
ところで、補強部15の後部となる縦リブ15fについてであるが、この縦リブ15fに形成された前記凹部15f1に対して、第2ビーム36が侵入するように配設されている。凹部15f1により、縦リブ15fの後部の一部に空きスペースが形成されているため、その分、第2ビーム36を前方に配することを可能にしている。
【0070】
ここで、クラッシュカン35、35は、衝撃エネルギー吸収性を考慮してその前後方向の長さは予め決められるものであり、該長さを確保するためには第2ビーム36は可及的に前方へ位置させることが好ましい。また、補強部15においては、縦リブ15fの一部を切欠いたとしても、脚払い性能への影響はさほど大きくない。以上より、補強部15側の縦リブ15fに凹部15f1を形成することによって、補強部15における脚払い性能を維持しつつも、第2ビーム36を前方に配して、クラッシュカン35、35の長さを確保することができるため、エネルギー吸収性を向上させることができる。
【0071】
さらにまた、凹部15f1の一部には、上下方向に延びる直立面15f2を形成しており、この直立面15f2が第2ビーム36の前端部と対向する位置にある。これにより、二点鎖線で示すように、補強部15の縦リブ15fが第2ビーム36に当接した際、さらに車両前方から荷重が加わったとしても、縦リブ15fが第2ビーム36の前面部をスライドして後方へすり抜けることを防止し、補強部15の後方への変位をより確実に防止することができる。
【0072】
さらにまた、より確実に補強部15の後方への変位を防止するために、上述したように、延出部16が締結突部16a、16aにおいてフロント側クロスメンバ32の下面に、ボルト39B、ナット39Nで締結されている。具体的には、ボルト39Bが、締結突部16aのボルト孔16b、前側クロスメンバ32の下面に穿設されたボルト孔32aに挿通され、ナット39Nで締め付けられている。これにより、補強部15と第2ビーム36との間の相対的な位置関係を保持でき、補強部15の第2ビーム36への当接前に、互いの位置がずれることに起因して、該当接時に脚払い性能が低下することを確実に防止できる。
【0073】
ここで、締結突部16a、16aについて、これらを、延出部16の左右両側部に形成すれば、2箇所の締結部位同士が車幅方向において互いに離れて位置しているため、締結部位が中央部寄りに設けられる場合に比べて、フロント側クロスメンバ32による補強部15の支持状態を安定させることができる。
【0074】
また、延出部16の外表面に形成された凹凸部により、延出部16は、歩行者との接触時における、車両前方からの荷重に対して高い剛性を有することができる。
【0075】
ところで、図6において、バンパフェース11のアッパ部11aの内方に位置する部材6、7はそれぞれバンパビーム、エネルギー吸収部材である。バンパビーム6は、フロントサイドフレーム2の前端部のバンパブラケット(不図示)に取付けられている。
【0076】
このバンパビーム6は車幅方向に延びる部材で、このバンパビーム6の前部にエネルギー吸収部材7を取付けている。上述のエネルギー吸収部材7はバンパフェース11の内方において該バンパフェース11の長手方向略全幅にわたって車幅方向に延びる部材であって、このエネルギー吸収部材7の取付け高さ位置は歩行者の膝の高さに相当する。なお、このエネルギー吸収部材7としてはウレタン等のEAフォーム(エネルギ・アブソーバ・フォーム)を用いている。
【0077】
(第2実施形態)
次に、図7に示す第2実施形態について説明する。図7は、補強部15と第2ビーム36との位置関係を示す側断面図である。なお、第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0078】
第1実施形態では、補強部15の縦リブ15fの一部と、第2ビーム36の一部とが上下方向において長さH1だけ重複し、第2ビーム36の上部が開放された構成となっている。これに対し、開口部13の上下方向の長さが短く設定され、その分、バンパフェース11のロア部11bの上下方向の長さが長く設定された仕様である場合、第2実施形態では、図7に示す縦リブ15jのように、第2ビーム36の上部も含めて、前端部を所定間隔を隔てて覆う凹部15j1を形成している。
【0079】
凹部15j1のように、第2ビーム36を覆う形状とすることにより、第1実施形態の縦リブ15fに比べて、縦リブ15fが第2ビーム36の前面部をスライドして後方へすり抜ける可能性はさらに低くなり、補強部15の後方への変位はより確実に防止される。
【0080】
(第3実施形態)
次に、図8〜図10に示す第3実施形態について説明する。図8は、第3実施形態に係る自動車の前部構造における、補強部15とシュラウド8の前方延出部84との位置関係を示す側断面図、図9は、シュラウド8の構造を示す前方斜視図、図10は、補強部15の後方延出部17とシュラウド8との締結状態を示す底面図、図11は、シュラウド2にラジエータ9を取付けた状態を示す断面図である。なお、第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0081】
上述した第1、第2実施形態においては、補強部15の後方への変位を、フロントサブフレーム3の第2ビーム36により防止することとしたが、この第3実施形態においては、補強部15の後方への変位を図8に示すように、バンパフェース11の後方に配設されたシュラウド8によりを防止することとしている。なお、図示を省略しているが、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、バンパフェース11のアッパ部11a、11bは、フロントサイドフレーム2(図1参照)の前方に配設されているものとする。
【0082】
シュラウド8は、図9に示すように、主にアッパ部81、サイド部82、ロア部83から構成された略矩形枠形状の樹脂製の部材であり、ロア部83から前方へ向けて略水平状に突出する前方延出部84が一体成形されている。
【0083】
さらに、前方延出部84の外表面は、左右及び前方の三辺を囲繞する枠部84a、84b、84cと、左右の枠部84a、84b間に前後方向に所定間隔を隔てて設けられた横方向のリブ84dと、枠部84a〜84c内においてスラント方向に延びる複数のリブ84e、84fとを、シュラウド8のロア部83とともに樹脂により一体成形し、その平面から見た表面の全体形状を略扇形になした樹脂構造体(ハニカム構造体)とされている。この樹脂構造体は枠部84a〜84cやリブ84d〜84fの肉厚またはリブ密度、リブの方向によりその荷重特性を設定することができる。
【0084】
ところで、本実施形態における、補強部15を備えたバンパ構造体1と、シュラウド8との関係であるが、補強部15の後方に、第1、第2実施形態と略同様に補強部15の縦リブ15fと所定間隔を隔てて近接するように、前記前方延出部の84前端の枠部84cが配設されている。
【0085】
さらに、この前方延出部84は、その枠部84cが、補強部15と上下方向において長さH2だけ重複する位置に配設されている。
【0086】
ここで、元々、シュラウド8は、ラジエータ9(図10参照)を支持するための部材であり、バンパメッシュ12よりも高剛性な素材からなり、高剛性のものとされている。このため、シュラウド8のロア部83と一体成形された前方延出部84においても高い剛性を有しており、前記特許文献1におけるアンダーカバーを補強部に連結する場合に比べて、確実に補強部15の後方への変位を抑制できる。
【0087】
このように、補強部15に近接する位置まで延びる前方延出部84をシュラウド8のロア部83に一体成形することにより、車両走行中における歩行者との接触時において、バンパ構造体1に車両前方から荷重が作用したとしても、図8の二点鎖線で示すように、補強部15の縦リブ15fが前方延出部84の枠部84cに当接することにより、前方向から作用する荷重を受止めつつ、補強部15の後方への大幅な変位を確実に防止できる。このため、車両走行中における歩行者との接触時において、歩行者の脚払いが確実になされることとなり、車両の脚払い性能を向上させることができる。
【0088】
ここで、車両走行中に歩行者と接触した時、歩行者に対して付与される衝撃力に関与するのは、高剛性のシュラウド8の前方延出部84ではなく、あくまでも補強部15の横リブ15e、縦リブ15fの前方部であるため、第1実施形態において既に述べたように、歩行者の接触部位への衝撃吸収体先端部による衝撃力の集中が防止でき、接触部位の損傷度合いを低減することが可能になる。
【0089】
また、前方延出部84をシュラウド8のロア部83と一体成形することにより、補強部15がメッシュ本体14とともに一体成形されている点と併せて、前記特許文献1に開示の技術において必要とされる、アンダーカバーといった連結部材を本実施形態においても省略できるため、部品点数の増加を抑制しつつ前記車両の脚払い性能の向上を実現できる。
【0090】
さらにまた、上述したように、前方延出部84外表面をハニカム構造体とすることにより、別途補強部材を設けることなく、前方延出部84の剛性を向上させることができるため、補強部15に対して車両前方から荷重が作用したとしても、より確実に補強部15の後方への変位を防止できる。
【0091】
さらにまた、より確実に補強部15の後方への変位を防止するために、図8、図10に示すように、補強部15には、その下端から後方に延びる後方延出部18が形成されており、この後方延出部18がシュラウド8のロア部83に、ボルト85B、ナット85Nで締結されている。具体的には、後方延出部18の両側部には締結突部18a、18aが形成されており、この締結突部18a、18aがシュラウド8のロア部83の両側部に締結されている。この締結部位においては、ボルト85Bが、締結突部18aのボルト孔18b、ロア部83の下面に穿設されたボルト孔83aに挿通され、ロア部23の上面からナット85Nで締め付けられている。
【0092】
これにより、補強部15と前方延出部84との間の相対的な位置関係を保持でき、補強部15の前方延出部84への当接前に、互いの位置がずれることに起因して、該当接時に脚払い性能が低下することを確実に防止できる。
【0093】
ここで、締結突部18a、18aを後方延出部18の左右両側部に形成すれば、2箇所の締結部位同士が車幅方向において互いに離れて位置するため、締結部位が中央部寄りに設けられる場合に比べて、シュラウド8(ロア部83)による補強部15を含むバンパメッシュ12の支持状態を安定させることができる。
【0094】
ところで、本実施形態のように、シュラウド8が樹脂製とされている場合、図11に示すように、シュラウド8のロア部83の下面においては、多数の凹凸が形成されたリブ状の部位により、他よりも断面剛性の高い支持部86が形成されている。そこで、前記締結突部18aを、この支持部86に隣接する部位に締結するようにしてもよい。
【0095】
この支持部86の中心部分には挿通孔87が形成されており、この挿通孔87には、図11に示すように、熱交換器としてのラジエータ9の下部に設けられた2本の棒体91、91が嵌め込まれ、図9においては便宜上図示を省略しているが、ラジエータ9は、棒体91に取付けられたマウントラバー92を介してシュラウド8のロア部83にラバーマウントされている。
【0096】
なお、ラジエータ9は、棒体91に対応して上方に延びる棒体93を上部に設けており、この棒体93は、シュラウド8のアッパ部81に形成された挿通孔88に嵌め込まれている。
【0097】
因みに、ラジエータ9としては、一側のサイドタンク94、ラジエータコア95、他側のサイドタンク96を備えた公知のものが用いられている。
【0098】
このように、シュラウド8のロア部83において、他よりも断面剛性が高い支持部86にてラジエータ9を支持することにより、ラジエータ9の支持剛性の向上を実現している。
【0099】
さらに、断面剛性が高い支持部86に隣接する部位に、後方延出部18の締結突部18aを締結することにより、専用の補強部を形成することなく、補強部15を含むバンパメッシュ12の支持剛性をも向上させることができる。
【0100】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の延長部は、クラッシュカン35に対応し、
以下同様に、
逃げ部は、凹部15f1、15j1に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の第1実施形態に係る自動車の前部構造を示す前方斜視図。
【図2】図1におけるA−A線矢視断面図。
【図3】本発明の第1実施形態に係る自動車の前部構造を示す側面図。
【図4】図1におけるバンパ構造体のうち、バンパメッシュを示す後方斜視図。
【図5】(a)図4(a)におけるB−B線矢視断面図、(b)(a)におけるC−C線矢視断面図、(c)図4(a)におけるD−D線矢視断面図。
【図6】図1における、バンパフェースロア補強部と第2ビームとの位置関係を示す側断面図。
【図7】本発明の第2実施形態に係る自動車の前部構造における、バンパフェースロア補強部と第2ビームとの位置関係を示す側断面図。
【図8】第3実施形態に係る自動車の前部構造における、バンパフェースロア補強部とシュラウドの前方延出部との位置関係を示す側断面図。
【図9】シュラウドの構造を示す前方斜視図。
【図10】バンパフェースロア補強部の後方延出部とシュラウドとの締結状態を示す底面図。
【図11】シュラウドにラジエータを取付けた状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0102】
1…バンパ構造体
2…フロントサイドフレーム
3…フロントサブフレーム
8…シュラウド
11…バンパフェース
12…バンパメッシュ
13…開口部
15…バンパフェースロア補強部
15f1、15j1…凹部
15f2…直立面
16…延出部
18…後方延出部
32…フロント側クロスメンバ
35…クラッシュカン
84…前方延出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の前部構造において、
車体前部の左右両側部に配設され、前後方向に延びるフロントサイドフレームと、
バンパフェースとを備え、
該バンパフェースを、上記フロントサイドフレームの前方に配設したアッパ部とロア部とから構成するとともに、
該アッパ部とロア部との間に開口部を形成し、
上記バンパフェースの開口部に位置するメッシュ本体と、上記バンパフェースのロア部の内方に位置し、下端を上記バンパフェースのロア部の下端に締結したバンパフェースロア補強部とから構成されるバンパメッシュを備え、
上記バンパフェースのロア部の後方で、且つ、上記フロントサイドフレームの下方に配設したサブフレーム本体部と、上記バンパメッシュより高剛性で上記サブフレーム本体部の左右両側部の前端から前方に延びる延長部と、上記バンパメッシュより高剛性で、上記バンパフェースロア補強部の後方に隣接し、左右の延長部間を橋渡すビーム部とから構成されるサブフレームを備え、
上記ビーム部を、上記バンパフェースロア補強部と上下方向において重複する位置に配設した
自動車の前部構造。
【請求項2】
前記バンパフェースロア補強部の後部に、逃げ部を形成するとともに、
前記ビーム部を上記逃げ部に侵入させた
請求項1記載の自動車の前部構造。
【請求項3】
前記逃げ部に、前記ビーム部の前端部と対向し、上下方向に延びる直立面を形成した
請求項2記載の自動車の前部構造。
【請求項4】
前記サブフレームの本体部に、前記ビーム部の後方に位置しつつ車幅方向に延びるフロント側クロスメンバを設けるとともに、
前記バンパメッシュに、前記バンパフェースロア補強部の下端から後方に延びる延出部を設け、
該延出部を上記フロント側クロスメンバに締結した
請求項2または3記載の自動車の前部構造。
【請求項5】
前記延出部の外表面に、複数の凹凸部を形成した
請求項4記載の自動車の前部構造。
【請求項6】
自動車の前部構造において、
車体前部の左右両側部に配設され、前後方向に延びるフロントサイドフレームと、
バンパフェースとを備え、
該バンパフェースを、上記フロントサイドフレームの前方に配設したアッパ部とロア部とから構成するとともに、
該アッパ部とロア部との間に開口部を形成し、
上記バンパフェースの開口部に位置するメッシュ本体と、上記バンパフェースのロア部の内方に位置し、下端を上記バンパフェースのロア部の下端に締結したバンパフェースロア補強部とから構成されるバンパメッシュを備え、
上記バンパフェースの後方に、アッパ部、サイド部、ロア部により構成され、上記バンパメッシュより高剛性な材質からなる樹脂製のシュラウドを備え、
該シュラウドのロア部には、前端が上記バンパフェースロア補強部に近接する位置まで延びる前方延出部を一体成形した
自動車の前部構造。
【請求項7】
前記前方延出部の外表面に、複数の凹凸部を形成した
請求項6記載の自動車の前部構造。
【請求項8】
前記バンパメッシュに、前記バンパフェースロア補強部の下端から後方に延びる後方延出部を形成し、
該後方延出部を前記シュラウドのロア部に締結した
請求項6または7記載の自動車の前部構造。
【請求項9】
前記後方延出部の両側部を、前記シュラウドのロア部の両側部に締結した
請求項8記載の自動車の前部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−203777(P2007−203777A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−21996(P2006−21996)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】