自動車の前部構造
【課題】 自動車の前部構造において、斜め前方からの衝突時における脚払い性能を向上させること。
【解決手段】 自動車の前部構造は、シュラウドアッパー3とシュラウドロア4と左右1対のシュラウドサイド5から構成されるシュラウド2と、バンパーフェースと、前端がバンパーフェースの裏面近くの位置まで延び且つ後端がシュラウドロア4に取付けられるプレート部材20とを備え、プレート部材20に、シュラウドロア4の車幅方向の両側端よりも車幅方向外側へ張り出す張出し部22を形成し、この張出し部22にシュラウドロア4の側端部に沿って後方に突出する突出部22aを設けた。
【解決手段】 自動車の前部構造は、シュラウドアッパー3とシュラウドロア4と左右1対のシュラウドサイド5から構成されるシュラウド2と、バンパーフェースと、前端がバンパーフェースの裏面近くの位置まで延び且つ後端がシュラウドロア4に取付けられるプレート部材20とを備え、プレート部材20に、シュラウドロア4の車幅方向の両側端よりも車幅方向外側へ張り出す張出し部22を形成し、この張出し部22にシュラウドロア4の側端部に沿って後方に突出する突出部22aを設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の前部構造に関し、特に歩行者に対して斜め前方から衝突したときの、バンパーフェースとシュラウドロアの間に配設されるプレート部材による脚払い性能を向上させたものに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車にはラジエータやコンデンサーを取付ける為のシュラウドが設けられ、このシュラウドはシュラウドアッパーとシュラウドロアと左右1対のシュラウドサイドとで矩形枠状に形成され、フロントバンパーの後側近くに配置され車両前部に支持されて取付けられている。シュラウドロアの前側には合成樹脂製のプレート部材が配設され、歩行者との衝突時に、プレート部材で歩行者の脚を払って歩行者が車両下部に潜り込まないようにしている。
【0003】
例えば、特許文献1には、シュラウドロアの車幅方向長さとほぼ同じ長さのプレート部材をシュラウドロアの前側に取付けた車両の前部構造が開示されており、歩行者に対する前方からの衝突時にプレート部材で歩行者の脚を払うようになっている。
【特許文献1】特開2006−1358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の車両の前部構造においては、シュラウドロアの車幅方向長さとほぼ同じ長さのプレート部材がシュラウドロアの前側に取付けられているため、前方からの衝突時には所定の脚払い性能を発揮できるようになっているが、前方だけでなく、例えば斜め前方からの衝突など、自動車の前部において広範囲に亙って脚を払えるようにして、衝突時における歩行者の安全性を高めたいという要望がある。
【0005】
この場合、プレート部材の車幅方向長さのみを拡大することで、脚を払える範囲を拡大することも考えられるが、プレート部材の左右両側端がシュラウドロアの左右両側端よりも張出した状態になるため、合成樹脂製のプレート部材の左右両側端に衝突荷重が作用したときに、その衝突荷重を受け止めるのに十分な剛性を確保することができず、その部分がシュラウドサイドに対して後方から回り込むように変形してしまい、斜め前方からの衝突時に歩行者の脚を払えない虞がある。
【0006】
本発明の目的は、自動車の前部構造において、斜め前方からの衝突時における脚払い性能を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の自動車の前部構造は、自動車の前部構造において、エンジンルームの前部に配設され熱交換器を支持するシュラウドロアと、車体の前端部に配設されるバンパーフェースと、前端がバンパーフェースの裏面近くの位置まで延び且つ後端がシュラウドロアに取付けられるプレート部材とを備え、前記プレート部材に、シュラウドロアの車幅方向の両側端よりも車幅方向外側へ張り出す張出し部を夫々形成すると共に、前記張出し部にシュラウドロアの側端部に沿って後方に突出する突出部を設けたことを特徴とする。
【0008】
この自動車の前部構造では、シュラウドロアとバンパーフェースとプレート部材とを備え、プレート部材に、シュラウドロアの車幅方向の両側端よりも車幅方向外側へ張り出す張出し部が夫々形成され、張出し部にシュラウドロアの側端部に沿って後方に突出する突出部が設けられている。歩行者に対して斜め前方から衝突したとき、その衝突荷重はプレート部材の張出し部に作用するが、プレート部材の張出し部がシュラウドロアの側端部で支持されるので、プレート部材の張出し部に作用する衝突荷重をシュラウドロアの側端部で十分に受け止めることができ、この場合にも歩行者の脚を払うことができる。
【0009】
請求項2の自動車の前部構造は、請求項1の発明において、前記熱交換器の上部を支持するシュラウドアッパーと、このシュラウドアッパーの左右の両端部とシュラウドロアの左右の両端部とを夫々連結する左右1対のシュラウドサイドとを備え、前記プレート部材の前記張出し部を含む左右両端部分に、シュラウドサイドとバンパーフェース間の隙間の少なくとも一部を遮蔽するシール壁部が立設され、このシール壁部と前記突出部に亙って複数のリブを一体的に設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項3の自動車の前部構造は、請求項2の発明において、前記プレート部材をシュラウドサイドの前面に連結する為の連結部を設け、この連結部をシール壁部の車幅方向内端部に一体的に形成したことを特徴とする。
【0011】
請求項4の自動車の前部構造は、請求項1の発明において、前記プレート部材の下面の車幅方向の複数部位に前後方向に延びる縦リブを設け、前記張出し部の下面に設けた複数の縦リブは、前端から後端へ近づく程車幅方向内側へ移行するように前後方向に対し傾斜状に形成されたことを特徴とする。
【0012】
請求項5の自動車の前部構造は、請求項4の発明において、前記プレート部材の下面に車幅方向に延びる複数の横リブを設け、前記張出し部の下面に設けた複数の横リブ部分は、前記張出し部の下面に設けた複数の縦リブとほぼ直交状に配置されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、プレート部材に、シュラウドロアの車幅方向の両側端よりも車幅方向外側へ張り出す張出し部を夫々形成すると共に、張出し部にシュラウドロアの側端部に沿って後方に突出する突出部を設けたので、斜め前方からの衝突時にプレート部材の張出し部がシュラウドロアの側端部で支持され、衝突荷重を受け止めるのに十分な剛性を確保することができる。それ故、プレート部材の突出部に作用する衝突荷重をシュラウドロアの側端部で受け止めることが可能になり、斜め前方からの衝突時における脚払い性能が向上し、衝突時における歩行者の安全性が高まる。
【0014】
請求項2の発明によれば、プレート部材の張出し部を含む左右両端部分に、シュラウドサイドとバンパーフェース間の隙間の少なくとも一部を遮蔽するシール壁部が立設されたので、エンジンや熱交換器から放出された熱気がシュラウドサイドとバンパーフェース間の隙間を通って熱交換器の前方に吹き返すのを防止することができる。また、シール壁部と突出部に亙って複数のリブを一体的に設けたので、プレート部材の突出部の剛性が向上する。しかも、部品点数が増加することなく、エンジンや熱交換器から放出される熱気の吹き返し防止と、プレート部材の突出部の剛性向上とを実現することができるので、製作費が低減する。
【0015】
請求項3の発明によれば、プレート部材をシュラウドサイドの前面に連結する為の連結部を設け、この連結部をシール壁部の車幅方向内端部に一体的に形成したので、シール壁部の構造を利用して、プレート部材に対するシュラウドサイドの支持力を向上させることができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、プレート部材の下面の車幅方向の複数部位に前後方向に延びる縦リブを設け、張出し部の下面に設けた複数の縦リブは、前端から後端へ近づく程車幅方向内側へ移行するように前後方向に対し傾斜状に形成されたので、斜め前方からの衝突時にプレート部材の張出し部に作用する衝突荷重を縦リブで受けることができ、プレート部材の張出し部の剛性が高まる。それ故、斜め前方からの衝突時に、プレート部材の張出し部がシュラウドサイドに対して後方から回り込むように変形するのを抑制できる。
【0017】
請求項5の発明によれば、プレート部材の下面に車幅方向に延びる複数の横リブを設け、張出し部の下面に設けた複数の横リブ部分は、張出し部の下面に設けた複数の縦リブとほぼ直交状に配置されたので、斜め前方からの衝突時にプレート部材の張出し部の縦リブに作用する衝突荷重を横リブで効果的に受けることができ、プレート部材の張出し部が変形するのを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の自動車の前部構造は、シュラウドアッパーと、シュラウドロアと、左右1対のシュラウドサイドから構成されるシュラウドと、バンパーフェースと、前端がバンパーフェースの裏面近くの位置まで延び且つ後端がシュラウドロアに取付けられるプレート部材とを備え、プレート部材に、シュラウドロアの車幅方向の両側端よりも車幅方向外側へ張り出す張出し部を形成し、この張出し部を含む左右両端部分にシュラウドロアの側端部に沿って後方に突出する突出部と、シュラウドサイドとバンパーフェース間の隙間の少なくとも一部を遮蔽するシール壁部とを設けたものである。
【実施例1】
【0019】
以下、本発明の実施例1について図1〜図12に基づいて説明する。
図1、図2に示すように、自動車の前部構造には、前後方向に延びる左右のフロントサイドフレーム(図示略)と、フロントサイドフレームの前端に夫々固定された左右のクラッシュカン1と、左右のフロントサイドフレームと左右のクラッシュカン1に支持固定された合成樹脂製の矩形枠状のシュラウド2と、左右のクラッシュカン1の前端に固定的に連結され車幅方向に延びるバンパーレインフォースメント6と、バンパーレインフォースメント6の前側に配設される発泡合成樹脂製の衝撃吸収体7と、後端が後述のシュラウドロア4に取付けられる合成樹脂製のプレート部材20と、車体の前端部に配設される合成樹脂製のバンパーフェース8等が設けられている。
【0020】
図2に示すように、左右のフロントサイドフレームの前端のフランジ部材9に角筒状のクラッシュカン1が夫々固定され、左右のクラッシュカン1は、車両衝突時にバンパーレインフォースメント6を介して前方から加わる衝突荷重により圧縮変形して潰れることで衝突エネルギーを吸収し、所期のエネルギー吸収機能を達成し得るサイズ、形状に構成されている。
【0021】
左右のクラッシュカン1の前端には、バンパーレインフォースメント6が連結され、バンパーレインフォースメント6は左右方向に延びる閉断面形状に構成されている。バンパーレインフォースメント6の前側には衝撃吸収体7が配設され、衝撃吸収体7は、車両衝突時にバンパーフェース8を介して前方から加わる衝突荷重により圧縮変形することで衝突エネルギーを吸収し、所期のエネルギー吸収機能を達成し得るサイズ、形状に構成されている。
【0022】
シュラウド2は、エンジンルームの前部にほぼ鉛直姿勢に配置され、熱交換器(図示略)の上部を支持するシュラウドアッパー3と、熱交換器の下部を支持するシュラウドロア4と、シュラウドアッパー3の左右の両端部とシュラウドロア4の左右の両端部とを夫々連結する左右1対のシュラウドサイド5とで正面視にて矩形枠状に一体成形されている。
【0023】
シュラウドアッパー3とシュラウドロア4の車幅方向の中央部分よりやや右側には、シュラウドアッパー3とシュラウドロア4を連結する鋼製のシュラウドステー10がほぼ縦向きに配設され、シュラウド2の剛性確保が図られている。シュラウド2の前側において右端部分には、シュラウド2の右端部分の前面を覆う補強板11がシュラウドアッパー3とシュラウドステー10に取付けられている。左右1対のシュラウドサイド5の前側において中段部分には、シュラウドサイド5にバンパーレインフォースメント6を連結するための連結部材12がボルト13,14でもって固定され、連結部材12の前面にバンパーレインフォースメント6が結合されている。
【0024】
図1、図2に示すように、シュラウドロア4の前側には、車幅方向に延びるプレート部材20が設けられ、プレート部材20は、歩行者との衝突時に歩行者の脚を払う所期の脚払い性能を達成し得るサイズ、形状に構成されている。
【0025】
図3〜図6に示すように、プレート部材20は、プレート本体部21と、その左右両側に形成された張出し部22などで構成され、プレート部材20の下面は、周壁20aにより全周を囲繞されている。プレート部材20の前端は、車幅方向中央部から側方に移行する程後方に後退するような湾曲形状に形成され、バンパーフェース8の裏面近くの位置まで延びている。プレート部材20の後端は、プレート部材20をシュラウドロア4に取付けた状態でシュラウドロア4の前端に当接しており、歩行者との衝突時に作用する衝突荷重をシュラウドロア4で受け止め可能に構成されている。
【0026】
左右の張出し部22は、シュラウドロア4の車幅方向の両側端よりも車幅方向外側へ張り出すように夫々形成され、これら張出し部22には、シュラウドロア4の側端部に沿って後方に突出する突出部22aが夫々設けられている。突出部22aの内端面22bは、シュラウドロア4の側端部の前端部分における側端面4cと僅かな間隔をあけて対面しており、斜め前方から衝突したときに、突出部22aの内端面22bがシュラウドロア4の側端面4cと当接し、突出部22aに作用する衝突荷重をシュラウドロア4の側端部で受け止め可能に構成されている。
【0027】
次に、プレート部材20の上面側の構造について説明する。
図4、図5に示すように、プレート本体部21の上面の前半部分には段落ち部21aが形成され、バンパーフェース8の後端部がプレート本体部21に接触しないようになっている。段落ち部21aの左右両端における前側の周壁20aには、切欠き21cが夫々形成されている。プレート部材20の張出し部22を含む左右両端部分の上面には、シュラウドサイド5とバンパーフェース8間の隙間の少なくとも一部を遮蔽するシール壁部23が夫々立設されている。
【0028】
図5、図7、図8、図9、図12に示すように、シール壁部23は、前面壁23aと内側面壁23bから構成されている。前面壁23aは、側方に向かう程前方に前進するような湾曲形状に形成され且つその先端部はやや後方に折曲され、内側面壁23bは、前面壁23aの車幅方向内方側において後方に延びるように一体的に夫々形成され、それ故、シール壁部23は、エンジンや熱交換器から放出された熱気をエンジンルームの左右両側方に流出させて熱交換器の前方に吹き返すのを防止するようになっている。シール壁部23の前面壁23aの後面と突出部22aの上面には、これらに亙って2つのリブ24が夫々一体的に設けられている。
【0029】
図4、図5、図7〜図10に示すように、シール壁部23の内側面壁23bの車幅方向内端部には、縦壁25aがシール壁部23と一体的に夫々形成され、これら縦壁25aにプレート部材20をシュラウドサイド5の前面に連結する為のボルト穴25bが形成されている。縦壁25aの車幅方向内方側においてプレート本体部21の後側の周壁20aの下端部には、ボルト穴29が夫々形成されている。尚、縦壁25aとボルト穴25bが連結部25に相当する。プレート部材20の後端部において車幅方向中央部と左部には、プレート部材20をシュラウドロア4に取付ける際の仮止め用の爪部27,28が後述する後端の横リブ31に夫々設けられ、爪部27,28が後側の周壁20aから後方に突出している。
【0030】
図8〜図11に示すように、シュラウドロア4に対するプレート部材20の取付けは、プレート部材20の後端をシュラウドロア4の前端に当接させ、シュラウドロア4の仮止め用の係合穴にプレート部材20の爪部27,28を前方から係合させて仮止めした状態で、プレート部材20の連結部25のボルト穴25bとシュラウドロア4のボルト穴4aに前方からボルト26を挿通させて、ボルト穴4aの後面側からナット26aを締結すると共に、プレート部材20のボルト穴29とシュラウドロア4のボルト穴4bに前方からボルト27を挿通させて、ボルト穴4bの後面側からナット27aを締結することでプレート部材20がシュラウドロア4に固定されている。
【0031】
次に、プレート部材20の下面側の構造について説明する。
図3、図6に示すように、プレート本体部21と張出し部22の下面には、複数の縦リブ30,30aが車幅方向に所定間隔おきに前後方向に延びるように配設され、複数の横リブ31が前後方向に所定間隔おきに車幅方向に延びるように配設されている。
【0032】
縦リブ30の上下方向の寸法は、横リブ31の上下方向の寸法よりも大きな寸法に構成され、縦リブ30,30aの下端部は周壁20aよりも下方に突出している。張出し部22の下面に設けた2つの縦リブ30aは、前端から後端へ近づく程車幅方向内側へ移行するように前後方向に対し傾斜状に形成されており、それ故、張出し部22は、斜め前方からの衝突時に張出し部22に作用する衝突荷重に耐え得る剛性を確保している。
【0033】
バンパーフェース8は、バンパーレインフォースメント6と衝撃吸収体7の前方に配設され、車幅方向中央部から側方に向かう程後方に後退するような湾曲形状に形成されており、プレート部材20の前部はバンパーフェース8とほぼ平行に対面している。
【0034】
次に、自動車の前部構造の作用、効果について説明する。
シュラウドロア4とバンパーフェース8とプレート部材20とを備え、プレート部材20に、シュラウドロア4の車幅方向の両側端よりも車幅方向外側へ張り出す張出し部22が夫々形成され、張出し部22にシュラウドロア4の側端部に沿って後方に突出する突出部22aが設けられたので、歩行者に対して斜め前方から衝突したとき、その衝突荷重はプレート部材20の張出し部22に作用するが、張出し部22の突出部22aの内端面22bがシュラウドロア4の側端面4cと当接することで、張出し部22がシュラウドロア4の側端部で支持され、プレート部材20の張出し部22に作用する衝突荷重をシュラウドロアの側端部で十分に受け止めることができる。
【0035】
このように、プレート部材20に、シュラウドロア4の車幅方向の両側端よりも車幅方向外側へ張り出す張出し部22を夫々形成すると共に、張出し部22にシュラウドロア4の側端部に沿って後方に突出する突出部22aを設けたので、プレート部材20の張出し部22がシュラウドロア4の側端部で支持され、衝突荷重を受け止めるのに十分な剛性を確保することができる。それ故、プレート部材20の突出部22aに作用する衝突荷重をシュラウドロア4の側端部で受け止めることが可能になり、斜め前方からの衝突時における脚払い性能が向上し、衝突時における歩行者の安全性が高まる。
【0036】
プレート部材20の張出し部22を含む左右両端部分に、シュラウドサイド5とバンパーフェース8間の隙間の少なくとも一部を遮蔽するシール壁部23が立設されたので、エンジンや熱交換器から放出された熱気がシュラウドサイド5とバンパーフェース8間の隙間を通って熱交換器の前方に吹き返すのを防止することができる。また、シール壁部23と突出部22aに亙って2つのリブ24を一体的に設けたので、プレート部材20の突出部22aの剛性が向上する。しかも、部品点数が増加することなく、エンジンや熱交換器から放出される熱気の吹き返し防止と、プレート部材20の突出部22aの剛性向上とを実現することができるので、製作費が低減する。
【0037】
プレート部材20をシュラウドサイド5の前面に連結する為の連結部25を設け、この連結部25をシール壁部23の内側面壁23bの車幅方向内端部に一体的に形成したので、シール壁部23の構造を利用して、プレート部材20に対するシュラウドサイド5の支持力を向上させることができる。また、縦壁25aの車幅方向内方側においてプレート本体部21の後側の周壁20aの下端部にボルト穴29を夫々設けたので、連結部25と異なる高さ位置で締結することで、シュラウドロア4にプレート部材20を確実に固定することができる。
【0038】
プレート部材20の下面に、車幅方向に前後方向に延びる複数の縦リブ30,30aを設け、張出し部22の下面に設けた複数の縦リブ30aは、前端から後端へ近づく程車幅方向内側へ移行するように前後方向に対し傾斜状に形成されたので、斜め前方からの衝突時にプレート部材20の張出し部22に作用する衝突荷重を縦リブ30aで受けることができ、プレート部材20の張出し部22の剛性が高まる。それ故、斜め前方からの衝突時に、プレート部材20の張出し部22がシュラウドサイド5に対して後方から回り込むように変形するのを抑制できる。
【実施例2】
【0039】
次に、本発明の実施例2について、図13〜図17に基づいて説明する。但し、前記実施例と異なる構成についてのみ説明する。
この実施例2においては、実施例1とは別のタイプの自動車の前部に、プレート部材50を適用した場合の一例である。
【0040】
図13に示すように、自動車の前部構造には、前後方向に延びる左右のフロントサイドフレーム(図示略)と、フロントサイドフレームの前端に夫々固定された左右の取付ブラケット39と、左右のフロントサイドフレームと左右の取付ブラケット39に支持固定された合成樹脂製の矩形枠状のシュラウド32と、左右の取付ブラケット39の前端に固定的に連結され車幅方向に延びるバンパーレインフォースメント36と、バンパーレインフォースメント36の前側に配設される発泡合成樹脂製の衝撃吸収体37と、後端がシュラウドロア34に取付けられる合成樹脂製のプレート部材50と、車体の前端部に配設される合成樹脂製のバンパーフェース38(図17参照)等が設けられている。
【0041】
図14〜図17に示すように、プレート部材50は、平面視にてほぼ扇形状に形成され、プレート本体部51と、その左右両側に形成された張出し部52などで構成されている。プレート部材50の前端は、車幅方向中央部から側方に向かう程後方に後退するような湾曲形状に形成され、バンパーフェース58の裏面近くの位置まで延びている。尚、このプレート部材50には実施例1のシール壁部は設けられていない。
【0042】
プレート本体部51の前端部分は前下がり状に傾斜し、更にその前側のプレート本体部51の前端は、バンパーフェース38の後端部がプレート本体部51に接触しないよう下側に湾曲している。プレート本体部51の後側の周壁50aは、その上端から下端部分に亙って後方に傾斜するように構成されている。
【0043】
張出し部52は、シュラウドロア34の車幅方向の両側端よりも車幅方向外側へ張り出すように夫々形成されている。張出し部52には、シュラウドロア34の側端部に沿って後方に突出する突出部52aが夫々設けられている。突出部52aの内端面52bは、シュラウドロア34の側端部の側端面34bにおいてその前端から後端付近に亙って、僅かな間隔をあけて対面しており、斜め前方から衝突したときに、突出部52aの内端面52bがシュラウドロア34の側端部の側端面34bにおいて広範囲に亙って当接し、このときに突出部52aに作用する衝突荷重をシュラウドロア34の側端部で確実に受け止めることができる。
【0044】
図14〜図17に示すように、プレート本体部51の後側の周壁50aにおいて左右端部分と車幅方向中央部分には、シュラウドロア34にプレート部材50を連結する為の3つのボルト穴53,54,55が形成され、プレート部材50は、ボルト56,57とナット56a,57aでもってシュラウドロア34に取付けられる。プレート本体部51の右端部分の連結について説明すると、プレート部材50のボルト穴53とシュラウドロア34のボルト穴34aに前方からボルト56を挿通させて、ボルト穴34aの後面側からナット56aを締結する。プレート本体部51の左端部分と車幅方向中央部分についても同様に連結することで、シュラウドロア34にプレート部材50が連結されている。プレート本体部51の後壁51aにおいて左部と右部と車幅方向中央部分には、プレート部材50をシュラウドロア34に取付ける際の仮止め用の爪部58,59,60が形成されている。
【0045】
図15、図16に示すように、プレート本体部51と張出し部52の下面には、複数の縦リブ70,70aが車幅方向に所定間隔おきに前後方向に延びるように配設されている。これら縦リブ70,70aとほぼ直交となるように、プレート本体部51と張出し部52の下面に、複数の横リブ71が前後方向に所定間隔おきに車幅方向に延びるように配設されている。特に、張出し部52の下面に設けた3つの横リブ71a部分に、張出し部52の下面に設けた2つの縦リブ70aとほぼ直交状に配設されたので、斜め前方からの衝突時にプレート部材50の張出し部52の下面の縦リブ70aに作用する衝突荷重を張出し部52の下面の横リブ71a部分で効果的に受けることができ、プレート部材50の張出し部52が変形するのを抑制できる。
【0046】
次に、前記実施例を部分的に変更した変更例について説明する。
1]上記実施例1において、シール壁部23に形成されるリブ24は2つに限定されることなく3つ以上形成されてもよい。
2]上記実施例2において、実施例1の場合と同様に、プレート部材50の張出し部52を含む左右両端部分に複数のリブを有するシール壁部を設けてもよい。
3]上記実施例において、プレート部材20の張出し部22に形成される縦リブ30aと、プレート部材50の張出し部52に形成される縦リブ70aは、夫々2つに限定されることなく3つ以上形成されてもよい。
4〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能で、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施例1に係る自動車前部の斜視図である。
【図2】自動車の前部構造の要部斜視図である。
【図3】シュラウドロアとプレート部材の要部底面図である。
【図4】プレート部材の斜視図である。
【図5】プレート部材の平面図である。
【図6】プレート部材の底面図である。
【図7】プレート部材の要部の拡大背面斜視図である。
【図8】シュラウドロアとプレート部材の連結部分の要部拡大斜視図である。
【図9】シュラウドロアとプレート部材の連結部分における要部の拡大背面斜視図である。
【図10】図2のX −X 線断面図である。
【図11】図2のXI−XI線断面図である。
【図12】図2のXII −XII 線断面図である。
【図13】実施例2の図2相当図である。
【図14】実施例2の図5相当図である。
【図15】実施例2の図6相当図である。
【図16】実施例2の図3相当図である。
【図17】図16のXVII−XVII線断面図である。
【符号の説明】
【0048】
3,33 シュラウドアッパー
4,34 シュラウドロア
5,35 シュラウドサイド
8,38 バンパーフェース
20,50 プレート部材
22,52 張出し部
22a,52a 突出部
23 シール壁部
24 リブ
25 連結部
30,30a,70,70a 縦リブ
31,71,71a 横リブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の前部構造に関し、特に歩行者に対して斜め前方から衝突したときの、バンパーフェースとシュラウドロアの間に配設されるプレート部材による脚払い性能を向上させたものに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車にはラジエータやコンデンサーを取付ける為のシュラウドが設けられ、このシュラウドはシュラウドアッパーとシュラウドロアと左右1対のシュラウドサイドとで矩形枠状に形成され、フロントバンパーの後側近くに配置され車両前部に支持されて取付けられている。シュラウドロアの前側には合成樹脂製のプレート部材が配設され、歩行者との衝突時に、プレート部材で歩行者の脚を払って歩行者が車両下部に潜り込まないようにしている。
【0003】
例えば、特許文献1には、シュラウドロアの車幅方向長さとほぼ同じ長さのプレート部材をシュラウドロアの前側に取付けた車両の前部構造が開示されており、歩行者に対する前方からの衝突時にプレート部材で歩行者の脚を払うようになっている。
【特許文献1】特開2006−1358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の車両の前部構造においては、シュラウドロアの車幅方向長さとほぼ同じ長さのプレート部材がシュラウドロアの前側に取付けられているため、前方からの衝突時には所定の脚払い性能を発揮できるようになっているが、前方だけでなく、例えば斜め前方からの衝突など、自動車の前部において広範囲に亙って脚を払えるようにして、衝突時における歩行者の安全性を高めたいという要望がある。
【0005】
この場合、プレート部材の車幅方向長さのみを拡大することで、脚を払える範囲を拡大することも考えられるが、プレート部材の左右両側端がシュラウドロアの左右両側端よりも張出した状態になるため、合成樹脂製のプレート部材の左右両側端に衝突荷重が作用したときに、その衝突荷重を受け止めるのに十分な剛性を確保することができず、その部分がシュラウドサイドに対して後方から回り込むように変形してしまい、斜め前方からの衝突時に歩行者の脚を払えない虞がある。
【0006】
本発明の目的は、自動車の前部構造において、斜め前方からの衝突時における脚払い性能を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の自動車の前部構造は、自動車の前部構造において、エンジンルームの前部に配設され熱交換器を支持するシュラウドロアと、車体の前端部に配設されるバンパーフェースと、前端がバンパーフェースの裏面近くの位置まで延び且つ後端がシュラウドロアに取付けられるプレート部材とを備え、前記プレート部材に、シュラウドロアの車幅方向の両側端よりも車幅方向外側へ張り出す張出し部を夫々形成すると共に、前記張出し部にシュラウドロアの側端部に沿って後方に突出する突出部を設けたことを特徴とする。
【0008】
この自動車の前部構造では、シュラウドロアとバンパーフェースとプレート部材とを備え、プレート部材に、シュラウドロアの車幅方向の両側端よりも車幅方向外側へ張り出す張出し部が夫々形成され、張出し部にシュラウドロアの側端部に沿って後方に突出する突出部が設けられている。歩行者に対して斜め前方から衝突したとき、その衝突荷重はプレート部材の張出し部に作用するが、プレート部材の張出し部がシュラウドロアの側端部で支持されるので、プレート部材の張出し部に作用する衝突荷重をシュラウドロアの側端部で十分に受け止めることができ、この場合にも歩行者の脚を払うことができる。
【0009】
請求項2の自動車の前部構造は、請求項1の発明において、前記熱交換器の上部を支持するシュラウドアッパーと、このシュラウドアッパーの左右の両端部とシュラウドロアの左右の両端部とを夫々連結する左右1対のシュラウドサイドとを備え、前記プレート部材の前記張出し部を含む左右両端部分に、シュラウドサイドとバンパーフェース間の隙間の少なくとも一部を遮蔽するシール壁部が立設され、このシール壁部と前記突出部に亙って複数のリブを一体的に設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項3の自動車の前部構造は、請求項2の発明において、前記プレート部材をシュラウドサイドの前面に連結する為の連結部を設け、この連結部をシール壁部の車幅方向内端部に一体的に形成したことを特徴とする。
【0011】
請求項4の自動車の前部構造は、請求項1の発明において、前記プレート部材の下面の車幅方向の複数部位に前後方向に延びる縦リブを設け、前記張出し部の下面に設けた複数の縦リブは、前端から後端へ近づく程車幅方向内側へ移行するように前後方向に対し傾斜状に形成されたことを特徴とする。
【0012】
請求項5の自動車の前部構造は、請求項4の発明において、前記プレート部材の下面に車幅方向に延びる複数の横リブを設け、前記張出し部の下面に設けた複数の横リブ部分は、前記張出し部の下面に設けた複数の縦リブとほぼ直交状に配置されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、プレート部材に、シュラウドロアの車幅方向の両側端よりも車幅方向外側へ張り出す張出し部を夫々形成すると共に、張出し部にシュラウドロアの側端部に沿って後方に突出する突出部を設けたので、斜め前方からの衝突時にプレート部材の張出し部がシュラウドロアの側端部で支持され、衝突荷重を受け止めるのに十分な剛性を確保することができる。それ故、プレート部材の突出部に作用する衝突荷重をシュラウドロアの側端部で受け止めることが可能になり、斜め前方からの衝突時における脚払い性能が向上し、衝突時における歩行者の安全性が高まる。
【0014】
請求項2の発明によれば、プレート部材の張出し部を含む左右両端部分に、シュラウドサイドとバンパーフェース間の隙間の少なくとも一部を遮蔽するシール壁部が立設されたので、エンジンや熱交換器から放出された熱気がシュラウドサイドとバンパーフェース間の隙間を通って熱交換器の前方に吹き返すのを防止することができる。また、シール壁部と突出部に亙って複数のリブを一体的に設けたので、プレート部材の突出部の剛性が向上する。しかも、部品点数が増加することなく、エンジンや熱交換器から放出される熱気の吹き返し防止と、プレート部材の突出部の剛性向上とを実現することができるので、製作費が低減する。
【0015】
請求項3の発明によれば、プレート部材をシュラウドサイドの前面に連結する為の連結部を設け、この連結部をシール壁部の車幅方向内端部に一体的に形成したので、シール壁部の構造を利用して、プレート部材に対するシュラウドサイドの支持力を向上させることができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、プレート部材の下面の車幅方向の複数部位に前後方向に延びる縦リブを設け、張出し部の下面に設けた複数の縦リブは、前端から後端へ近づく程車幅方向内側へ移行するように前後方向に対し傾斜状に形成されたので、斜め前方からの衝突時にプレート部材の張出し部に作用する衝突荷重を縦リブで受けることができ、プレート部材の張出し部の剛性が高まる。それ故、斜め前方からの衝突時に、プレート部材の張出し部がシュラウドサイドに対して後方から回り込むように変形するのを抑制できる。
【0017】
請求項5の発明によれば、プレート部材の下面に車幅方向に延びる複数の横リブを設け、張出し部の下面に設けた複数の横リブ部分は、張出し部の下面に設けた複数の縦リブとほぼ直交状に配置されたので、斜め前方からの衝突時にプレート部材の張出し部の縦リブに作用する衝突荷重を横リブで効果的に受けることができ、プレート部材の張出し部が変形するのを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の自動車の前部構造は、シュラウドアッパーと、シュラウドロアと、左右1対のシュラウドサイドから構成されるシュラウドと、バンパーフェースと、前端がバンパーフェースの裏面近くの位置まで延び且つ後端がシュラウドロアに取付けられるプレート部材とを備え、プレート部材に、シュラウドロアの車幅方向の両側端よりも車幅方向外側へ張り出す張出し部を形成し、この張出し部を含む左右両端部分にシュラウドロアの側端部に沿って後方に突出する突出部と、シュラウドサイドとバンパーフェース間の隙間の少なくとも一部を遮蔽するシール壁部とを設けたものである。
【実施例1】
【0019】
以下、本発明の実施例1について図1〜図12に基づいて説明する。
図1、図2に示すように、自動車の前部構造には、前後方向に延びる左右のフロントサイドフレーム(図示略)と、フロントサイドフレームの前端に夫々固定された左右のクラッシュカン1と、左右のフロントサイドフレームと左右のクラッシュカン1に支持固定された合成樹脂製の矩形枠状のシュラウド2と、左右のクラッシュカン1の前端に固定的に連結され車幅方向に延びるバンパーレインフォースメント6と、バンパーレインフォースメント6の前側に配設される発泡合成樹脂製の衝撃吸収体7と、後端が後述のシュラウドロア4に取付けられる合成樹脂製のプレート部材20と、車体の前端部に配設される合成樹脂製のバンパーフェース8等が設けられている。
【0020】
図2に示すように、左右のフロントサイドフレームの前端のフランジ部材9に角筒状のクラッシュカン1が夫々固定され、左右のクラッシュカン1は、車両衝突時にバンパーレインフォースメント6を介して前方から加わる衝突荷重により圧縮変形して潰れることで衝突エネルギーを吸収し、所期のエネルギー吸収機能を達成し得るサイズ、形状に構成されている。
【0021】
左右のクラッシュカン1の前端には、バンパーレインフォースメント6が連結され、バンパーレインフォースメント6は左右方向に延びる閉断面形状に構成されている。バンパーレインフォースメント6の前側には衝撃吸収体7が配設され、衝撃吸収体7は、車両衝突時にバンパーフェース8を介して前方から加わる衝突荷重により圧縮変形することで衝突エネルギーを吸収し、所期のエネルギー吸収機能を達成し得るサイズ、形状に構成されている。
【0022】
シュラウド2は、エンジンルームの前部にほぼ鉛直姿勢に配置され、熱交換器(図示略)の上部を支持するシュラウドアッパー3と、熱交換器の下部を支持するシュラウドロア4と、シュラウドアッパー3の左右の両端部とシュラウドロア4の左右の両端部とを夫々連結する左右1対のシュラウドサイド5とで正面視にて矩形枠状に一体成形されている。
【0023】
シュラウドアッパー3とシュラウドロア4の車幅方向の中央部分よりやや右側には、シュラウドアッパー3とシュラウドロア4を連結する鋼製のシュラウドステー10がほぼ縦向きに配設され、シュラウド2の剛性確保が図られている。シュラウド2の前側において右端部分には、シュラウド2の右端部分の前面を覆う補強板11がシュラウドアッパー3とシュラウドステー10に取付けられている。左右1対のシュラウドサイド5の前側において中段部分には、シュラウドサイド5にバンパーレインフォースメント6を連結するための連結部材12がボルト13,14でもって固定され、連結部材12の前面にバンパーレインフォースメント6が結合されている。
【0024】
図1、図2に示すように、シュラウドロア4の前側には、車幅方向に延びるプレート部材20が設けられ、プレート部材20は、歩行者との衝突時に歩行者の脚を払う所期の脚払い性能を達成し得るサイズ、形状に構成されている。
【0025】
図3〜図6に示すように、プレート部材20は、プレート本体部21と、その左右両側に形成された張出し部22などで構成され、プレート部材20の下面は、周壁20aにより全周を囲繞されている。プレート部材20の前端は、車幅方向中央部から側方に移行する程後方に後退するような湾曲形状に形成され、バンパーフェース8の裏面近くの位置まで延びている。プレート部材20の後端は、プレート部材20をシュラウドロア4に取付けた状態でシュラウドロア4の前端に当接しており、歩行者との衝突時に作用する衝突荷重をシュラウドロア4で受け止め可能に構成されている。
【0026】
左右の張出し部22は、シュラウドロア4の車幅方向の両側端よりも車幅方向外側へ張り出すように夫々形成され、これら張出し部22には、シュラウドロア4の側端部に沿って後方に突出する突出部22aが夫々設けられている。突出部22aの内端面22bは、シュラウドロア4の側端部の前端部分における側端面4cと僅かな間隔をあけて対面しており、斜め前方から衝突したときに、突出部22aの内端面22bがシュラウドロア4の側端面4cと当接し、突出部22aに作用する衝突荷重をシュラウドロア4の側端部で受け止め可能に構成されている。
【0027】
次に、プレート部材20の上面側の構造について説明する。
図4、図5に示すように、プレート本体部21の上面の前半部分には段落ち部21aが形成され、バンパーフェース8の後端部がプレート本体部21に接触しないようになっている。段落ち部21aの左右両端における前側の周壁20aには、切欠き21cが夫々形成されている。プレート部材20の張出し部22を含む左右両端部分の上面には、シュラウドサイド5とバンパーフェース8間の隙間の少なくとも一部を遮蔽するシール壁部23が夫々立設されている。
【0028】
図5、図7、図8、図9、図12に示すように、シール壁部23は、前面壁23aと内側面壁23bから構成されている。前面壁23aは、側方に向かう程前方に前進するような湾曲形状に形成され且つその先端部はやや後方に折曲され、内側面壁23bは、前面壁23aの車幅方向内方側において後方に延びるように一体的に夫々形成され、それ故、シール壁部23は、エンジンや熱交換器から放出された熱気をエンジンルームの左右両側方に流出させて熱交換器の前方に吹き返すのを防止するようになっている。シール壁部23の前面壁23aの後面と突出部22aの上面には、これらに亙って2つのリブ24が夫々一体的に設けられている。
【0029】
図4、図5、図7〜図10に示すように、シール壁部23の内側面壁23bの車幅方向内端部には、縦壁25aがシール壁部23と一体的に夫々形成され、これら縦壁25aにプレート部材20をシュラウドサイド5の前面に連結する為のボルト穴25bが形成されている。縦壁25aの車幅方向内方側においてプレート本体部21の後側の周壁20aの下端部には、ボルト穴29が夫々形成されている。尚、縦壁25aとボルト穴25bが連結部25に相当する。プレート部材20の後端部において車幅方向中央部と左部には、プレート部材20をシュラウドロア4に取付ける際の仮止め用の爪部27,28が後述する後端の横リブ31に夫々設けられ、爪部27,28が後側の周壁20aから後方に突出している。
【0030】
図8〜図11に示すように、シュラウドロア4に対するプレート部材20の取付けは、プレート部材20の後端をシュラウドロア4の前端に当接させ、シュラウドロア4の仮止め用の係合穴にプレート部材20の爪部27,28を前方から係合させて仮止めした状態で、プレート部材20の連結部25のボルト穴25bとシュラウドロア4のボルト穴4aに前方からボルト26を挿通させて、ボルト穴4aの後面側からナット26aを締結すると共に、プレート部材20のボルト穴29とシュラウドロア4のボルト穴4bに前方からボルト27を挿通させて、ボルト穴4bの後面側からナット27aを締結することでプレート部材20がシュラウドロア4に固定されている。
【0031】
次に、プレート部材20の下面側の構造について説明する。
図3、図6に示すように、プレート本体部21と張出し部22の下面には、複数の縦リブ30,30aが車幅方向に所定間隔おきに前後方向に延びるように配設され、複数の横リブ31が前後方向に所定間隔おきに車幅方向に延びるように配設されている。
【0032】
縦リブ30の上下方向の寸法は、横リブ31の上下方向の寸法よりも大きな寸法に構成され、縦リブ30,30aの下端部は周壁20aよりも下方に突出している。張出し部22の下面に設けた2つの縦リブ30aは、前端から後端へ近づく程車幅方向内側へ移行するように前後方向に対し傾斜状に形成されており、それ故、張出し部22は、斜め前方からの衝突時に張出し部22に作用する衝突荷重に耐え得る剛性を確保している。
【0033】
バンパーフェース8は、バンパーレインフォースメント6と衝撃吸収体7の前方に配設され、車幅方向中央部から側方に向かう程後方に後退するような湾曲形状に形成されており、プレート部材20の前部はバンパーフェース8とほぼ平行に対面している。
【0034】
次に、自動車の前部構造の作用、効果について説明する。
シュラウドロア4とバンパーフェース8とプレート部材20とを備え、プレート部材20に、シュラウドロア4の車幅方向の両側端よりも車幅方向外側へ張り出す張出し部22が夫々形成され、張出し部22にシュラウドロア4の側端部に沿って後方に突出する突出部22aが設けられたので、歩行者に対して斜め前方から衝突したとき、その衝突荷重はプレート部材20の張出し部22に作用するが、張出し部22の突出部22aの内端面22bがシュラウドロア4の側端面4cと当接することで、張出し部22がシュラウドロア4の側端部で支持され、プレート部材20の張出し部22に作用する衝突荷重をシュラウドロアの側端部で十分に受け止めることができる。
【0035】
このように、プレート部材20に、シュラウドロア4の車幅方向の両側端よりも車幅方向外側へ張り出す張出し部22を夫々形成すると共に、張出し部22にシュラウドロア4の側端部に沿って後方に突出する突出部22aを設けたので、プレート部材20の張出し部22がシュラウドロア4の側端部で支持され、衝突荷重を受け止めるのに十分な剛性を確保することができる。それ故、プレート部材20の突出部22aに作用する衝突荷重をシュラウドロア4の側端部で受け止めることが可能になり、斜め前方からの衝突時における脚払い性能が向上し、衝突時における歩行者の安全性が高まる。
【0036】
プレート部材20の張出し部22を含む左右両端部分に、シュラウドサイド5とバンパーフェース8間の隙間の少なくとも一部を遮蔽するシール壁部23が立設されたので、エンジンや熱交換器から放出された熱気がシュラウドサイド5とバンパーフェース8間の隙間を通って熱交換器の前方に吹き返すのを防止することができる。また、シール壁部23と突出部22aに亙って2つのリブ24を一体的に設けたので、プレート部材20の突出部22aの剛性が向上する。しかも、部品点数が増加することなく、エンジンや熱交換器から放出される熱気の吹き返し防止と、プレート部材20の突出部22aの剛性向上とを実現することができるので、製作費が低減する。
【0037】
プレート部材20をシュラウドサイド5の前面に連結する為の連結部25を設け、この連結部25をシール壁部23の内側面壁23bの車幅方向内端部に一体的に形成したので、シール壁部23の構造を利用して、プレート部材20に対するシュラウドサイド5の支持力を向上させることができる。また、縦壁25aの車幅方向内方側においてプレート本体部21の後側の周壁20aの下端部にボルト穴29を夫々設けたので、連結部25と異なる高さ位置で締結することで、シュラウドロア4にプレート部材20を確実に固定することができる。
【0038】
プレート部材20の下面に、車幅方向に前後方向に延びる複数の縦リブ30,30aを設け、張出し部22の下面に設けた複数の縦リブ30aは、前端から後端へ近づく程車幅方向内側へ移行するように前後方向に対し傾斜状に形成されたので、斜め前方からの衝突時にプレート部材20の張出し部22に作用する衝突荷重を縦リブ30aで受けることができ、プレート部材20の張出し部22の剛性が高まる。それ故、斜め前方からの衝突時に、プレート部材20の張出し部22がシュラウドサイド5に対して後方から回り込むように変形するのを抑制できる。
【実施例2】
【0039】
次に、本発明の実施例2について、図13〜図17に基づいて説明する。但し、前記実施例と異なる構成についてのみ説明する。
この実施例2においては、実施例1とは別のタイプの自動車の前部に、プレート部材50を適用した場合の一例である。
【0040】
図13に示すように、自動車の前部構造には、前後方向に延びる左右のフロントサイドフレーム(図示略)と、フロントサイドフレームの前端に夫々固定された左右の取付ブラケット39と、左右のフロントサイドフレームと左右の取付ブラケット39に支持固定された合成樹脂製の矩形枠状のシュラウド32と、左右の取付ブラケット39の前端に固定的に連結され車幅方向に延びるバンパーレインフォースメント36と、バンパーレインフォースメント36の前側に配設される発泡合成樹脂製の衝撃吸収体37と、後端がシュラウドロア34に取付けられる合成樹脂製のプレート部材50と、車体の前端部に配設される合成樹脂製のバンパーフェース38(図17参照)等が設けられている。
【0041】
図14〜図17に示すように、プレート部材50は、平面視にてほぼ扇形状に形成され、プレート本体部51と、その左右両側に形成された張出し部52などで構成されている。プレート部材50の前端は、車幅方向中央部から側方に向かう程後方に後退するような湾曲形状に形成され、バンパーフェース58の裏面近くの位置まで延びている。尚、このプレート部材50には実施例1のシール壁部は設けられていない。
【0042】
プレート本体部51の前端部分は前下がり状に傾斜し、更にその前側のプレート本体部51の前端は、バンパーフェース38の後端部がプレート本体部51に接触しないよう下側に湾曲している。プレート本体部51の後側の周壁50aは、その上端から下端部分に亙って後方に傾斜するように構成されている。
【0043】
張出し部52は、シュラウドロア34の車幅方向の両側端よりも車幅方向外側へ張り出すように夫々形成されている。張出し部52には、シュラウドロア34の側端部に沿って後方に突出する突出部52aが夫々設けられている。突出部52aの内端面52bは、シュラウドロア34の側端部の側端面34bにおいてその前端から後端付近に亙って、僅かな間隔をあけて対面しており、斜め前方から衝突したときに、突出部52aの内端面52bがシュラウドロア34の側端部の側端面34bにおいて広範囲に亙って当接し、このときに突出部52aに作用する衝突荷重をシュラウドロア34の側端部で確実に受け止めることができる。
【0044】
図14〜図17に示すように、プレート本体部51の後側の周壁50aにおいて左右端部分と車幅方向中央部分には、シュラウドロア34にプレート部材50を連結する為の3つのボルト穴53,54,55が形成され、プレート部材50は、ボルト56,57とナット56a,57aでもってシュラウドロア34に取付けられる。プレート本体部51の右端部分の連結について説明すると、プレート部材50のボルト穴53とシュラウドロア34のボルト穴34aに前方からボルト56を挿通させて、ボルト穴34aの後面側からナット56aを締結する。プレート本体部51の左端部分と車幅方向中央部分についても同様に連結することで、シュラウドロア34にプレート部材50が連結されている。プレート本体部51の後壁51aにおいて左部と右部と車幅方向中央部分には、プレート部材50をシュラウドロア34に取付ける際の仮止め用の爪部58,59,60が形成されている。
【0045】
図15、図16に示すように、プレート本体部51と張出し部52の下面には、複数の縦リブ70,70aが車幅方向に所定間隔おきに前後方向に延びるように配設されている。これら縦リブ70,70aとほぼ直交となるように、プレート本体部51と張出し部52の下面に、複数の横リブ71が前後方向に所定間隔おきに車幅方向に延びるように配設されている。特に、張出し部52の下面に設けた3つの横リブ71a部分に、張出し部52の下面に設けた2つの縦リブ70aとほぼ直交状に配設されたので、斜め前方からの衝突時にプレート部材50の張出し部52の下面の縦リブ70aに作用する衝突荷重を張出し部52の下面の横リブ71a部分で効果的に受けることができ、プレート部材50の張出し部52が変形するのを抑制できる。
【0046】
次に、前記実施例を部分的に変更した変更例について説明する。
1]上記実施例1において、シール壁部23に形成されるリブ24は2つに限定されることなく3つ以上形成されてもよい。
2]上記実施例2において、実施例1の場合と同様に、プレート部材50の張出し部52を含む左右両端部分に複数のリブを有するシール壁部を設けてもよい。
3]上記実施例において、プレート部材20の張出し部22に形成される縦リブ30aと、プレート部材50の張出し部52に形成される縦リブ70aは、夫々2つに限定されることなく3つ以上形成されてもよい。
4〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能で、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施例1に係る自動車前部の斜視図である。
【図2】自動車の前部構造の要部斜視図である。
【図3】シュラウドロアとプレート部材の要部底面図である。
【図4】プレート部材の斜視図である。
【図5】プレート部材の平面図である。
【図6】プレート部材の底面図である。
【図7】プレート部材の要部の拡大背面斜視図である。
【図8】シュラウドロアとプレート部材の連結部分の要部拡大斜視図である。
【図9】シュラウドロアとプレート部材の連結部分における要部の拡大背面斜視図である。
【図10】図2のX −X 線断面図である。
【図11】図2のXI−XI線断面図である。
【図12】図2のXII −XII 線断面図である。
【図13】実施例2の図2相当図である。
【図14】実施例2の図5相当図である。
【図15】実施例2の図6相当図である。
【図16】実施例2の図3相当図である。
【図17】図16のXVII−XVII線断面図である。
【符号の説明】
【0048】
3,33 シュラウドアッパー
4,34 シュラウドロア
5,35 シュラウドサイド
8,38 バンパーフェース
20,50 プレート部材
22,52 張出し部
22a,52a 突出部
23 シール壁部
24 リブ
25 連結部
30,30a,70,70a 縦リブ
31,71,71a 横リブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の前部構造において、
エンジンルームの前部に配設され熱交換器を支持するシュラウドロアと、
車体の前端部に配設されるバンパーフェースと、
前端がバンパーフェースの裏面近くの位置まで延び且つ後端がシュラウドロアに取付けられるプレート部材とを備え、
前記プレート部材に、シュラウドロアの車幅方向の両側端よりも車幅方向外側へ張り出す張出し部を夫々形成すると共に、前記張出し部にシュラウドロアの側端部に沿って後方に突出する突出部を設けた、
ことを特徴とする自動車の前部構造。
【請求項2】
前記熱交換器の上部を支持するシュラウドアッパーと、このシュラウドアッパーの左右の両端部とシュラウドロアの左右の両端部とを夫々連結する左右1対のシュラウドサイドとを備え、
前記プレート部材の前記張出し部を含む左右両端部分に、シュラウドサイドとバンパーフェース間の隙間の少なくとも一部を遮蔽するシール壁部が立設され、このシール壁部と前記突出部に亙って複数のリブを一体的に設けたことを特徴とする請求項1に記載の自動車の前部構造。
【請求項3】
前記プレート部材をシュラウドサイドの前面に連結する為の連結部を設け、この連結部をシール壁部の車幅方向内端部に一体的に形成したことを特徴とする請求項2に記載の自動車の前部構造。
【請求項4】
前記プレート部材の下面の車幅方向の複数部位に前後方向に延びる縦リブを設け、
前記張出し部の下面に設けた複数の縦リブは、前端から後端へ近づく程車幅方向内側へ移行するように前後方向に対し傾斜状に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の自動車の前部構造。
【請求項5】
前記プレート部材の下面に車幅方向に延びる複数の横リブを設け、前記張出し部の下面に設けた複数の横リブ部分は、前記張出し部の下面に設けた複数の縦リブとほぼ直交状に配置されたことを特徴とする請求項4に記載の自動車の前部構造。
【請求項1】
自動車の前部構造において、
エンジンルームの前部に配設され熱交換器を支持するシュラウドロアと、
車体の前端部に配設されるバンパーフェースと、
前端がバンパーフェースの裏面近くの位置まで延び且つ後端がシュラウドロアに取付けられるプレート部材とを備え、
前記プレート部材に、シュラウドロアの車幅方向の両側端よりも車幅方向外側へ張り出す張出し部を夫々形成すると共に、前記張出し部にシュラウドロアの側端部に沿って後方に突出する突出部を設けた、
ことを特徴とする自動車の前部構造。
【請求項2】
前記熱交換器の上部を支持するシュラウドアッパーと、このシュラウドアッパーの左右の両端部とシュラウドロアの左右の両端部とを夫々連結する左右1対のシュラウドサイドとを備え、
前記プレート部材の前記張出し部を含む左右両端部分に、シュラウドサイドとバンパーフェース間の隙間の少なくとも一部を遮蔽するシール壁部が立設され、このシール壁部と前記突出部に亙って複数のリブを一体的に設けたことを特徴とする請求項1に記載の自動車の前部構造。
【請求項3】
前記プレート部材をシュラウドサイドの前面に連結する為の連結部を設け、この連結部をシール壁部の車幅方向内端部に一体的に形成したことを特徴とする請求項2に記載の自動車の前部構造。
【請求項4】
前記プレート部材の下面の車幅方向の複数部位に前後方向に延びる縦リブを設け、
前記張出し部の下面に設けた複数の縦リブは、前端から後端へ近づく程車幅方向内側へ移行するように前後方向に対し傾斜状に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の自動車の前部構造。
【請求項5】
前記プレート部材の下面に車幅方向に延びる複数の横リブを設け、前記張出し部の下面に設けた複数の横リブ部分は、前記張出し部の下面に設けた複数の縦リブとほぼ直交状に配置されたことを特徴とする請求項4に記載の自動車の前部構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−246044(P2007−246044A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−76014(P2006−76014)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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