説明

自動車の前部構造

【課題】本発明では、車両前部の樹脂製のシュラウドパネルで熱交換器を支持する自動車の前部構造において、重衝突時における車体への荷重分散性能を確保しつつ、軽衝突時における熱交換器とシュラウドパネルの破損をできるだけ防いで、修理コストを低減できる自動車の前部構造を提供することを目的とする。
【解決手段】中央位置での締結構造は、センターメンバー部63の後側のつば部(フランジ部)63cで、シュラウドパネル5のアッパ部51を、上下方向に延びる中央締結ボルト66aと中央締結ナット66bで締結固定している。また、この締結部位の後方位置には、後方側に開放した中央切欠部66cを形成している。この中央切欠部66cは、車両前方側から衝突荷重がシュラウドパネル5に作用した際に、中央締結ボルト66aと中央締結ナット66bが、車両後方側に移動して、センターメンバー部63のつば部63cから離脱するように設定している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車の前部構造に関し、特に、車両前部に設置した樹脂製のシュラウドパネルでラジエータ等の熱交換器を支持する自動車の前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車体前部のエンドパネルを構成するシュラウドパネルを樹脂製部材で成形して、この樹脂製のシュラウドパネルでラジエータ等の熱交換器を支持する自動車の前部構造が知られている。この前部構造によると、車体前部のモジュール化(ユニット化)が可能であり、車体の組立作業性を高めることができるため、近年、多くの自動車で採用されている。
【0003】
もっとも、このような樹脂製のシュラウドパネルで車体前部を構成した場合には、剛性不足によって、ボンネットの支持等を充分に行えないおそれがある。
【0004】
そこで、下記特許文献1に示すように、シュラウドパネル上部で車幅方向に延びるアッパーメンバーに金属製レインフォースメンバーをインサート成形等によって一体成形して、樹脂製シュラウドパネルでありながらシュラウドパネル上部で金属製シュラウドパネルと同様の剛性を得るものが知られている。
【0005】
なお、このような前部構造によると、シュラウドパネル上部がエンジンルーム上部のエプロンレインメンバーに締結固定されるため、車両衝突時には、車両前方からの衝突荷重が、シュラウドパネルからエプロンレインメンバーに伝達され、衝突荷重の分散を行なうことができ、車両の衝突安全性能を高めることもできる。
【0006】
【特許文献1】特開平10−264855号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年、車室の拡大ニーズやエンジンの大型化等により、エンジンルーム内のレイアウトスペースが減少している。また、ボンネット前端の高さ位置も低下しているため、シュラウドパネルの位置も後退してきている。このため、シュラウドパネルに支持される熱交換器は、エンジンルーム側ではなく、車両前方側にレイアウトされることがある。
【0008】
一方、自動車のフロントオーバーハングは、できるだけ短くして自動車の操安性を高めたいという要求もあり、フロントバンパーの位置が車両後方側に後退してきている。
【0009】
こうしたことから、近年、フロントバンパーの直後に熱交換器を配置するレイアウト構造を採用する自動車が増加している。
【0010】
しかし、こうしたレイアウト構造を採用した場合には、軽衝突した際に、フロントバンパーの後退によって、簡単に熱交換器が破損してしまい、高価な熱交換器を交換しなければならず、修理コスト(リペアコスト)が増加してしまうという問題がある。
【0011】
この問題に対しては、シュラウドパネルの支持剛性を落として、軽衝突の際に、シュラウドパネル全体を後退させる構造を採用することも考えられる。
【0012】
しかし、こうした構造を採用すると、重衝突が生じた際に、前述の特許文献1のように、シュラウドパネルからエプロンレインメンバー等の車体部材に対して衝突荷重を分散伝達することができないため、衝突安全性能が低下するという新たな問題が生じる。
【0013】
また、シュラウドパネル全体を後退させると、シュラウドパネル自体の変形等によって、シュラウドパネル全体を交換する必要が生じて修理コストが増加するという問題がある。
【0014】
そこで、本発明では、車両前部の樹脂製のシュラウドパネルで熱交換器を支持する自動車の前部構造において、重衝突時における車体への荷重分散性能を確保しつつ、軽衝突時における熱交換器とシュラウドパネルの破損をできるだけ防いで、修理コストを低減できる自動車の前部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明の自動車の前部構造は、車幅方向に延びるアッパ部、車幅方向に延びるロア部、該アッパ部及びロア部を上下方向に延びて繋ぐサイド部を備えて熱交換器を支持する樹脂製のシュラウドパネルと、該シュラウドパネルの車両前方側で車幅方向に延びるフロントバンパーとを備えた自動車の前部構造であって、車両前後方向に延びる左右のエプロンレインメンバーを車幅方向に延びて連結する骨格部材と、該骨格部材よりも車両前方側位置に設置した前記シュラウドパネルと、該シュラウドパネルのアッパ部を前記骨格部材に固定すると共に車両前方側から衝突荷重が作用した際に該アッパ部が骨格部材から離脱するように設定した固定手段とを備えるものである。
【0016】
上記構成によれば、車両衝突時にはフロントバンパーが後退して、その衝突荷重を受けてシュラウドパネルが後退する。軽衝突の際には、固定手段によって固定されたアッパ部が骨格部材から離脱するため、シュラウドパネルとフロントバンパー等との干渉を防ぐことができる。一方、重衝突の際には、さらに骨格部材にも衝突荷重が作用して、この骨格部材を通じて衝突荷重が車両後方側のエプロンレインメンバーに分散伝達されることになる。
このため、軽衝突時には、フロントバンパーが後退しても、熱交換器やシュラウドパネルが破損しないようにできる。一方、重衝突時には、骨格部材を通じて衝突荷重を車両後方側のエプロンレインメンバーに分散することができる。
また、この構成によると、シュラウドパネルに支持される熱交換器のサイズがほぼ同じであれば、デザインが異なる車種についても、骨格部材を作り分けるだけで、シュラウドパネルの共通化を図ることができる。
なお、ここでの「固定手段」とは、車両前方側から衝突荷重が作用した際に、アッパ部が骨格部材から離脱するように設定されているものであれば、どのようなものであってもよく、例えば、締結固定、係合固定、圧着固定、接着固定、さらには、脆弱部を備えた破断部材を別途設けるものであってもよい。
また、「熱交換器」には、ラジエータ、エアコン装置のコンデンサー、さらには加給装置のインタークーラー等が含まれる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、前記骨格部材が、ヘッドランプの後方位置で後端がエプロンレインメンバー前部に固定されて前端がフロントサイドフレーム前部の上方近傍位置まで延びる側方メンバー部と、上端が該側方メンバー部の前端に固定されて下端が前記フロントサイドフレーム前部に固定される縦メンバー部と、前記側方メンバー部間に着脱自在に締結固定されるセンターメンバー部とを備えるものである。
上記構成によれば、骨格部材を、エプロンレインメンバーに固定される側方メンバー部と、側方メンバー部とフロントサイドフレームを繋ぐ縦メンバー部と、側方メンバー部間を着脱自在に締結固定されるセンターメンバー部とで構成することで、骨格部材のうち、センターメンバー部のみを着脱自在にすることができる。
このため、センターメンバー部を取り外した状態で、シュラウドパネルを、車両上方位置から組付けることが可能となる。
よって、シュラウドパネルの上方位置に骨格部材を設置しつつも、車両組立て作業の自由度を高めることができる。
【0018】
この発明の一実施態様においては、前記センターメンバー部を、車両組付け時に、前記シュラウドパネルのアッパ部の上方に仮組み固定したものである。
上記構成によれば、センターメンバー部をシュラウドパネルと共に、ユニット体として、車両上方位置から組付けることができる。
よって、車両組立ラインのメインラインにおいて、別々に組付け作業を行なう必要がないため、作業工数を削減でき、組立時間を短縮することができる。
【0019】
この発明の一実施態様においては、前記シュラウドパネルのサイド部を、前記フロントバンパーのバンパービームに固定したものである。
上記構成によれば、シュラウドパネルのサイド部をフロントバンパーのバンパービームに固定することで、車両衝突時に、シュラウドパネルもフロントバンパーの後退と同時に必ず後退することになる。
このため、シュラウドパネルに支持される熱交換器がバンパービームに、直接干渉することがないため、確実に熱交換器の破損を防ぐことができる。
よって、確実に熱交換器の破損を防いで、修理コストの低減を図ることができる。
【0020】
この発明の一実施態様においては、前記骨格部材が、側面視でハット断面形状部を有し、前記シュラウドパネルのアッパ部を、該ハット断面形状部のつば部に締結固定したものである。
上記構成によれば、骨格部材のハット断面形状部のうち、剛性低下の影響が低い「つば部」に締結穴を設けて、締結固定を行なうため、骨格部材の剛性低下を防ぐことができる。
よって、重衝突の際の骨格部材の荷重伝達性能を低下させることなく、シュラウドパネルを、骨格部材に締結固定できる。
【0021】
この発明の一実施態様においては、前記ハット断面形状部の後側のつば部の締結部位に、後端を開放した切欠部を設けたものである。
上記構成によれば、骨格部材のハット断面形状部の後側のつば部に切欠部を設けることによって、衝突荷重が作用した際、この切欠部を通じてシュラウドパネルを離脱させることができる。
よって、骨格部材に切欠部といった簡単な構造を設けることにより、シュラウドパネルを容易に後方に離脱させることができる。
【0022】
この発明の一実施態様においては、前記ハット断面形状部の前側のつば部が締結されるシュラウドパネルのアッパ部に、締結部位から前端部まで延びる切欠部を設けたものである。
上記構成によれば、シュラウドパネルのアッパ部の前側部分に切欠部を設けることによって、衝突荷重が作用した際、この切欠部を通じてシュラウドパネルを離脱させることができる。
よって、シュラウドパネルに切欠部といった簡単な構造を設けることにより、シュラウドパネルを容易に後方に離脱させることができる。
【0023】
この発明の一実施態様においては、前記骨格部材に、ボンネットをロックするフードロック機構を収容するポケット部を設けたものである。
上記構成によれば、フードロック機構を収容するポケット部を骨格部材に設けているため、軽衝突時に、シュラウドパネルが骨格部材から離脱して後退しても、フードロック機構が車体側部材から切り離されることを防ぐことができる。
よって、軽衝突時の熱交換器の破損を防ぎつつ、衝突時におけるフードロック機構のボンネット支持剛性を高めることができる。
【0024】
この発明の一実施態様においては、前記ポケット部の下部に、前記シュラウドパネルのアッパ部に固定されると共に、車両前方側から衝突荷重が作用した際には該固定を解除するように設定した固定フランジを設けたものである。
上記構成によれば、ポケット部の下部に固定フランジを設けて、シュラウドパネルのアッパ部を固定することにより、ポケット部の支持剛性を高めることができ、シュラウドパネルを使ってフードロック機構の支持剛性を高めることができる。
一方、衝突時には、固定フランジの固定が解除されるため、シュラウドパネルの後退が阻害されることがない。
よって、フードロック機構の支持剛性の向上と衝突時のシュラウドパネルの後退の両立を図ることができる。
【0025】
この発明の一実施態様においては、前記フロントサイドフレームの前端部にクラッシュボックスを設置して、前記シュラウドパネルを、該クラッシュボックスと側面視で略一致する位置に設置したものである。
上記構成によれば、シュラウドパネルがクラッシュボックスと側面視で略一致する位置に設置されるため、軽衝突でクラッシュボックスが座屈変形する際に、シュラウドパネルが確実に後方移動することになる。
このため、シュラウドパネルにおける軽衝突時の後退変位をより促進することができる。
よって、より確実に、衝突時にシュラウドパネルを後退させることができ、熱交換器の保護を図ることができる。
【発明の効果】
【0026】
この発明によれば、軽衝突時には、フロントバンパーが後退しても、熱交換器やシュラウドパネル等が破損しないようにできる。一方、重衝突時には、骨格部材を通じて衝突荷重を車両後方側のエプロンレインメンバーに分散することができる。
よって、車両前部の樹脂製のシュラウドパネルで熱交換器を支持する自動車の前部構造において、重衝突時における車体への荷重分散性能を確保しつつ、軽衝突時における熱交換器とシュラウドパネルの破損をできるだけ防いで、修理コストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図1は本発明の第一実施形態の自動車の前部構造を採用した自動車の正面図、図2は車体前部の前方斜視図、図3は図1のA−A線矢視断面図、図4は図1のB−B線矢視断面図、図5はシュラウドパネルと上部フレーム部の中央位置での締結構造を示した断面図、図6はシュラウドパネルと上部フレーム部の側部位置での締結構造を示した断面図である。
【0028】
この実施形態の前部構造は、車両前端部で車幅方向に延びるフロントバンパー1と、フロントバンパー1の内部で車幅方向に延びるバンパービーム2と、バンパービーム2の後方位置で車両前後方向に延びるフロントサイドフレーム3,3と、車幅方向側端部で車両前後方向に延びるエプロンレインメンバー4,4と、バンパービーム2の後方位置で上下及び車幅方向に延びてエンジンルームERの前端壁を構成するシュラウドパネル5と、シュラウドパネル5の上方及び側方で車幅方向に延びる上部フレーム部材6とを備える。なお、7はヘッドランプ、8はエンジンEと変速機Mから構成されるパワートレインである。
【0029】
このうち、まず前述のバンパービーム2は、車両前後方向剛性を確保するように、上下二段に略ハット形状に折り曲げ形成したメンバー部材で構成している。このバンパービーム2において、正面衝突荷重やオフセット衝突荷重を受けるように構成している。
【0030】
前述のフロントサイドフレーム3,3は、図2及び図4に示すように、エンジンルームER内の車幅方向両側位置に設置しており、車両前後方向に延びる左右一対の略長方形の閉断面形状のメンバー部材で構成している。このフロントサイドフレーム3,3の前端には、クラッシュボックス9,9(図2,3,4参照)を介して前述のバンパービーム2を固定している。
このため、このフロントサイドフレーム3,3に対して、車両前方側から衝突荷重が作用すると、車室下方の車体フレーム(図示せず)に荷重を分散することになり、いわゆる「アンダーロードパス」経路が形成されている。
【0031】
前述のエプロンレインメンバー4,4は、エンジンルームER内の上部の側端位置に設置しており、車両前後方向に延びる矩形閉断面形状のメンバー部材で構成している。
このエプロンレインメンバー4,4は、前端4a,4aで上部フレーム部材6の両端部を固定して、後端部(図示せず)で車室前部のフロントピラーの基端部(図示せず)に固定されている。このため、このエプロンレインメンバー4,4に車両前方側から衝突荷重が作用すると、車室上方側のルーフパネル(図示せず)に荷重を分散することになり、いわゆる「アッパーロードパス」経路が形成されている。
【0032】
前述のシュラウドパネル5は、図1,図2に示すように、上部で車幅方向に延びるアッパ部51と、中央両側位置で上下方向に延びるサイド部52,52と、中央下部位置で車幅方向に延びるロア部53とを有する矩形の略枠形状部材で構成している。このシュラウドパネル5は、パネル全体を樹脂製部材で成形しており、金属製のシュラウドパネルよりも軽量化を図っている。
【0033】
また、このシュラウドパネル5は、その内部で熱交換器であるラジエータRを支持しており、図2で示すように、予めラジエータRを組み込んでいわゆるモジュール化している。このように、シュラウドパネル5とラジエータRをモジュール化することにより、車両の組立ラインのメインラインにおいて車両上方からシュラウドパネル5を組付けるだけで、ラジエータRを組付けることが可能となり、車体前部の組付け作業を容易にできる。
【0034】
前述の上部フレーム部材6は、図2に示すように、エプロンレインメンバー4の前端4aに固定される側方メンバー部61、61と、側方メンバー部61とフロントサイドフレーム3を連結する縦メンバー部62、62と、左右の側方メンバー部61,61を車幅方向に延びて連結するセンターメンバー部63とを備えている。
【0035】
また、センターメンバー部63の中央前側部には、ボンネットをロックするためのボンネットロック機構BL(図5参照)を収容するポケット部を設けている。このポケット部60は、略矩形の上面開放のボックス形状に形成している。
【0036】
まず、側方メンバー部61は、後端61aをエプロンレインメンバー4の前端4aに溶接固定して、前端62aを縦メンバー62の上端に接合固定した略四角断面形状のメンバー材で構成している。そして、図2に示すように、前端61bを後端61aよりやや車幅内方側に位置するように、略ハの字状に傾斜配置している。
【0037】
また、側方メンバー部61の前端61bには、センターメンバー部63の側端部を載置して固定する載置部64を形成している。
【0038】
縦メンバー部62は、この載置部64の下方で上下方向に延びる略四角断面形状のメンバー材で構成している。この縦メンバー部62で側方メンバー部61の載置部64とフロントサイドフレーム3を上下方向に延びて連結している。このように縦メンバー部62を設けることで、側方メンバー部61の載置部64の支持剛性を高めている。
【0039】
また、縦メンバー部62を設けることで、フロントサイドフレーム3とエプロンレインメンバー4を間接的に連結できるため、車体前部における衝突荷重の分散性能も高めることができる。
【0040】
センターメンバー部63は、シュラウドパネル5上方で直線状に車幅方向に延びるフレーム部材で構成しており、側面視で断面ハット状のメンバー材63Aと平板状のプレート材63Bを、上下方向で接合して閉断面を形成するように構成している。
【0041】
このセンターメンバー部63は、その両側端部63a、63bを、それぞれ側方メンバー部61の載置部64に設置して、締結ボルト・ナットの締結具65によって、着脱自在に締結固定している。
【0042】
また、センターメンバー部63は、中央位置と左右両側位置の3点で、シュラウドパネル5のアッパ部51に締結固定しており、図2に示すように、モジュール化したシュラウドパネル5の上部に予め組み付けられている。
【0043】
このように、センターメンバー部63を予めシュラウドパネル5に組み付けておくことにより、車両の組立ラインのメインラインにおいて、シュラウドパネル5とセンターメンバー部63を別々に組付ける必要がないため、車体前部の組立作業を、さらに簡略化することができる。
【0044】
センターメンバー部63とシュラウドパネル5のアッパ部の具体的な締結構造について、図5、図6を使って説明する。
【0045】
まず、図5に示すように、中央位置での締結構造は、センターメンバー部63の後側のつば部(フランジ部)63cで、シュラウドパネル5のアッパ部51を、上下方向に延びる中央締結ボルト66aと中央締結ナット66bで締結固定している。
【0046】
また、この締結部位の後方位置には、後方側に開放した中央切欠部66cを形成している。この中央切欠部66cは、車両前方側から衝突荷重がシュラウドパネル5に作用した際には、中央締結ボルト66aと中央締結ナット66bが、車両後方側に移動して、センターメンバー部63のつば部63cから離脱するように設けている。
【0047】
この中央切欠部66cを設けることによって、車両衝突時には、この中央位置の締結固定を解除することができる。
【0048】
また、センターメンバー部63の前端下部には、前述したポケット部60を一体的に設けているが、このように、ポケット部60を一体的に設けることによって、衝突時には、シュラウドパネル5が後退してセンターメンバー部63との締結が解除された場合であっても、ボンネットロック機構BLを、車体側部材であるセンターメンバー部63で確実に保持することができる。
【0049】
一方、図6に示すように、側部位置での締結構造は、センターメンバー部63の前側のつば部63dで、シュラウドパネル5のアッパ部51を、上下方向に延びる側部締結ボルト68aと側部締結ナット68bで締結固定している。なお、側部締結ナット68bは、いわゆる「半割りナット」で形成しており、側部締結ボルト68aの後側でのみ締結状態を維持している。
【0050】
また、この締結部位においても、シュラウドパネル5のアッパ部51の前部位置に、前方側に開放した側部切欠部51aを形成している。この側部切欠部51aも、車両前方側から衝突荷重がシュラウドパネル5に作用した際には、側部締結ナット68bが、車両後方側に移動して、センターメンバー部63のつば部63dから離脱するように設けている。
この側部切欠部51aを設けることによって、車両衝突時には、この側部位置の締結固定についても解除することができる。
【0051】
また、図5、図6に示すように、シュラウドパネル5は、その前端部5Aをセンターメンバー部63よりも車両前方側に位置するように設置している。これは、ラジエータRの支持位置を、パワートレイン8(図1参照)と干渉しないように、エンジンルームER側よりも車両前方側に設定しているからである。また、後述するように、前方からの衝突荷重を受ける際に、センターメンバー部63よりも、衝突荷重を受け易くするためである。
【0052】
また、このシュラウドパネル5を、より安定して車体側部材に固定するため、図4に示すように、シュラウドパネル5のサイド部52とバンパービーム2との間に、車両前後方向に延びる連結ブラケット10,10を左右一対に設けている。
【0053】
この連結ブラケット10は、断面略クランク状のブラケット部材によって形成しており、前端フランジ部10aをバンパービーム2の後面に固定して、後端フランジ部10bをシュラウドパネル5のサイド部52に固定している。
【0054】
この連結ブラケット10を設けることによって、衝突荷重を受けた際には、バンパービーム2からシュラウドパネル5に、直接衝突荷重を伝達することができる。また、連結ブラケット10があることで、バンパービーム2とシュラウドパネル5の間の前後スペースが確保されるため、バンパービーム2がシュラウドパネル5に直接干渉するおそれもない。
【0055】
さらに、車両衝突後においても、シュラウドパネル5をバンパービーム2で支持することができるため、シュラウドパネル5が車両から完全に脱落するのを防止することができる。
【0056】
次に、このように構成した前部構造の衝突時の挙動について、図7によって説明する。図7は、車両衝突時における前部構造の側面図を示した模式図であり、(a)が軽衝突時の挙動を示した図、(b)が重衝突時の挙動を示した図である。
【0057】
軽衝突時においては、(a)に示すように、衝突物Xが車両前部に衝突すると、車両後向きの衝突荷重がフロントバンパー1やバンパービーム2に作用する。このとき、バンパービーム2はクラッシュボックス9によって支持されているため、まず、クラッシュボックス9が座屈変形をして衝突エネルギーを吸収する。そして、クラッシュボックス9の座屈変形により、バンパービーム2が後退する。
【0058】
バンパービーム2が後退すると、連結ブラケット10(図4参照)によって連結固定されているシュラウドパネル5にも、後方移動の挙動が生じる。このとき、前述のようにセンターメンバー部63とシュラウドパネル5の締結構造が、シュラウドパネル5の後方移動によって、容易に解除されうる構造になっているため、センターメンバー部63を残した状態で、シュラウドパネル5のみが後方に移動して脱落する。
【0059】
特に、このシュラウドパネル5がセンターメンバー部63より前方側に配置されているため、軽衝突であっても、シュラウドパネル5には後方移動の挙動が生じる。
【0060】
また、図3で示すように、シュラウドパネル5の前端部5Aが側面視でクラッシュボックス9と略一致する位置に配置されているため、クラッシュボックス9だけが座屈変形する軽衝突の場合でも、確実にシュラウドパネル5に後方移動の荷重が作用して、シュラウドパネル5がセンターメンバー部63から脱落する。
【0061】
こうして、軽衝突の場合には、シュラウドパネル5が後退するとともに、ラジエータRも後退するため、バンパービーム2が干渉するおそれが生じず、ラジエータRに破損が生じることはない。
【0062】
また、シュラウドパネル5の後退移動についても、シュラウドパネル5自体に破断等が生じることなく発生するため、シュラウドパネル5が破損することもない。
【0063】
仮に、シュラウドパネル5の一部に破損等が生じた場合でも、センターメンバー部63を含めた上部フレーム部材6には、全く破損が生じることがないため、安価な樹脂製シュラウドパネル5、フロントバンパー1、バンパービーム2を交換して、車両前部の修理を行なうことができる。
【0064】
一方、重衝突時においては、さらに大きな衝突荷重がフロントバンパー1やバンパービーム2に作用する。このときには、クラッシュボックス9が座屈変形して衝突エネルギーを吸収するのはもちろんのこと、フロントサイドフレーム3にも衝突荷重が伝達される。これにより、前述した「アンダーロードパス」で衝突荷重が車体下部に分散される。
【0065】
また、センターメンバー部63も、そのまま、シュラウドパネル5の上方位置に位置しているため、衝突荷重が作用して、上部フレーム部材6を通じてエプロンレインメンバー4に衝突荷重が伝達される。これにより、前述した「アッパーロードパス」で、衝突荷重が車体上部に分散される。
【0066】
このように、重衝突の際には、上部フレーム部材6が存在することによって、フロントサイドフレーム3だけでなく、エプロンレインメンバー4にも確実に衝突荷重を伝達できるため、衝突荷重の分散を適切に行なうことができ、車体の衝突安全性能を高めることができる。
【0067】
なお、この(b)にも示すように、衝突時には、ボンネット11が折れ曲るような変形が生じて、ボンネット11には、上方に跳ね上がるような挙動が生じるが、前述したように、センターメンバー部63にポケット部60を設け、ボンネットロック機構BLを強固に固定保持しているため、ボンネット11の挙動も抑えることができる。
【0068】
次に、このように構成された本実施形態の作用効果について説明する。
この実施形態では、左右のエプロンレインメンバー4,4を車幅方向に延びて連結する上部フレーム部材6と、この上部フレーム部材6よりも車両前方側位置に設置したシュラウドパネル5と、車両前方側から衝突荷重が作用した際には、シュラウドパネル5が上部フレーム部材6から離脱するように設定した中央締結ボルト・ナット66a・66b、側部締結ボルト・ナット68a・68bとを備えている。
【0069】
これにより、軽衝突の際には、中央締結ボルト・ナット66a・66b、側部締結ボルト・ナット68a・68bによって固定されたシュラウドパネル5が、上部フレーム部材6から離脱するため、フロントバンパー1等との干渉を防ぐことができる。一方、重衝突の際には、さらに上部フレーム部材6にも衝突荷重が作用して、この上部フレーム部材6を通じて衝突荷重が車両後方側のエプロンレインメンバー4,4に分散伝達されることになる。
このため、軽衝突時には、フロントバンパー1が後退しても、ラジエータRやシュラウドパネル5も後退移動するため、ラジエータRやシュラウドパネル5が破損しないようにできる。一方、重衝突時には、上部フレーム部材6を通じて衝突荷重を車両後方側のエプロンレインメンバー4に分散することができる。
よって、車両前部の樹脂製のシュラウドパネル5でラジエータRを支持する自動車の前部構造において、重衝突時における車体上部への荷重分散性能を確保しつつ、軽衝突時におけるラジエータRとシュラウドパネル5の破損をできるだけ防いで、修理コストを低減できる。
【0070】
また、この実施形態によると、シュラウドパネル5に支持される熱交換器のサイズがほぼ同じであれば、デザインが異なる車種についても、上部フレーム部材6やセンターメンバー部63を作り分けるだけで、シュラウドパネル5の共通化も図ることができる。
【0071】
なお、この実施形態では、ラジエータRのみを支持するシュラウドパネル5で説明したが、その他、エアコン装置のコンデンサーや加給装置のインタークーラー等を支持するシュラウドパネルであってもよい。
【0072】
また、この実施形態では、上部フレーム部材6が、側方メンバー部61,61と、縦メンバー部62,62と、側方メンバー部61,61間に着脱自在に締結固定したセンターメンバー部63とによって構成している。
これにより、上部フレーム部材6のうち、センターメンバー部63のみを着脱自在にすることができる。
このため、センターメンバー部63を取り外した状態で、シュラウドパネル5を、車両上方位置から組付けることが可能となる。
よって、シュラウドパネル5の上方位置に上部フレーム部材6を設置しつつも、車両組立て作業の自由度を高めることができる。
【0073】
また、この実施形態では、このセンターメンバー部63を、車両組付け時に、シュラウドパネル5のアッパ部51の上方に仮組み固定している。
これにより、センターメンバー部63をシュラウドパネル5と共に、ユニット体として、車両上方位置から組付けることができる。
よって、車両の組立ラインのメインラインにおいて、別々に組付け作業を行なう必要がないため、作業工数を削減でき、組立時間を短縮することができる。
【0074】
また、この実施形態では、シュラウドパネル5のサイド部52,52と、車両前方側に位置するバンパービーム2とを、連結ブラケット10,10を介して固定している。
これにより、車両衝突時には、シュラウドパネル5もフロントバンパー1の後退と同時に後退することになる。
このため、シュラウドパネル5に支持されるラジエータRが、直接バンパービーム2に干渉することがないため、確実にラジエータRの破損を防ぐことができる。
よって、確実にラジエータRの破損を防いで、修理コストの低減を図ることができる。
【0075】
また、この実施形態では、シュラウドパネル5のアッパ部51を、センターメンバー部63のつば部63c、63dに締結固定している。
これにより、センターメンバー部63のハット断面形状のうち、剛性低下の影響が低いつば部63c、63dに締結穴を設けて、締結固定を行なうことになるため、センターメンバー部63の剛性低下を防ぐことができる。
よって、重衝突の際のセンターメンバー部63(上部フレーム部材6)の荷重伝達性能を低下させることなく、シュラウドパネル5を、センターメンバー部63に締結固定できる。
【0076】
また、この実施形態では、センターメンバー部63の後側のつば部63cに、後端を開放した中央切欠部63cを形成している。
これにより、衝突荷重が作用した際、この中央切欠部63cを通じてシュラウドパネル5を後方に離脱させることができる。
よって、センターメンバー部63に中央切欠部63cといった簡単な構造を設けることにより、シュラウドパネル5を容易に後方に離脱させることができる。
【0077】
また、この実施形態では、センターメンバー部63の前側のつば部63dが締結されるシュラウドパネル5のアッパ部51に、前端部5Aまで延びる側部切欠部51aを形成している。
これにより、衝突荷重が作用した際には、この側部切欠部51aを通じてシュラウドパネル5を後方に離脱させることができる。
よって、シュラウドパネル5に側部切欠部51aといった簡単な構造を設けることにより、シュラウドパネル5を容易に後方に離脱させることができる。
【0078】
また、この実施形態では、センターメンバー部63に、ボンネットロック機構BLを収容するポケット部60を設けている。
これにより、軽衝突時に、シュラウドパネル5がセンターメンバー部63から離脱して後退しても、ボンネットロック機構BLが、車体側部材から切り離されることを防ぐことができる。
よって、軽衝突時のラジエータRの破損を防ぎつつ、ボンネットロック機構BLによるボンネット支持剛性を高めることができる。
【0079】
なお、このポケット部60は、図8に示すように、その下部両側に固定フランジ60aを設けて、この固定フランジ60aを介してシュラウドパネル5のアッパ部51に締結固定するように構成してもよい。また、このときには、固定フランジ60aにU字ノッチ部60bを形成することで、衝突荷重が作用した際には、この固定が解除されるように構成するのが望ましい。
【0080】
このように、構成することで、ポケット部60の支持剛性を高めることができ、シュラウドパネル5を使って、ボンネットロック機構BLの支持剛性を高めることができる。また、衝突時には、固定フランジ60aの締結固定が解除されるため、シュラウドパネル5の後退が阻害されることがない。
【0081】
よって、こうした構造によって、ボンネットロック機構BLの支持剛性の向上と、衝突時のシュラウドパネル5の後退の両立を図ることができる。
【0082】
また、この実施形態では、シュラウドパネル5を、クラッシュボックス9と側面視で略一致する位置に設置している。
これにより、シュラウドパネル5がクラッシュボックス9と側面視で略一致する位置に設置されるため、軽衝突で、クラッシュボックス9が座屈変形する際に、シュラウドパネル5を確実に後退移動させることができる。
このため、軽衝突時のシュラウドパネル5の後退移動を、より促進することができる。
よって、より確実に、衝突時にシュラウドパネル5を後退させることができ、ラジエータRの保護を図ることができる。
【0083】
次に、シュラウドパネルと上部フレーム部材との固定構造の別実施形態について、図9、図10を利用して説明する。図9が圧入ピンによる固定構造を示した断面図、図10が破断部材による固定構造を示した断面図である。その他、前述の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0084】
圧入ピンによる固定構造は、図9に示すように、センターメンバー部63のつば部63cとシュラウドパネル5のアッパ部51との間に、上下方向に延びる樹脂製の圧入ピン166を圧着固定することで構成している。
【0085】
シュラウドパネル5よりも脆弱な樹脂製の圧入ピン166をセンターメンバー部63のつば部63cからシュラウドパネル5のアッパ部51に向って上方から圧入することで、シュラウドパネル5とセンターメンバー部63を圧着固定する。
【0086】
この圧入ピン166は、シュラウドパネル5が前方から衝突荷重を受けた際に、破断するように設定している。
【0087】
よって、軽衝突によってシュラウドパネル5だけが後方移動の荷重を受けた際に、圧入ピン166が破断して、シュラウドパネル5とセンターメンバー部63の圧着固定を解除することができる。
【0088】
したがって、この構造によっても、前述の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。特に、この構造によると、センターメンバー部63のつば部63c等に切欠部を設けてなくてもよいため、センターメンバー部63等の加工性を簡略化することもできる。
【0089】
破断部材による固定構造は、図10に示すように、センターメンバー部63のつば部63cとシュラウドパネル5のアッパ部51との間に、断面略U字状の樹脂製の破断部材266を介装固定することで構成している。
【0090】
この破断部材266も、シュラウドパネル5よりも脆弱な樹脂部材で成形することで構成している。この破断部材266の上面と下面をそれぞれセンターメンバー部63とシュラウドパネル5のアッパ部51に締結固定等で固定することで、センターメンバー部63とシュラウドパネル5とを固定する。
【0091】
この破断部材266も、シュラウドパネル5が前方から衝突荷重を受けた際に、破断するように設定している。
【0092】
よって、この構造によっても、軽衝突によってシュラウドパネル5だけが後方移動の荷重を受けた際に、破断部材266が破断して、シュラウドパネル5とセンターメンバー部63の固定を解除することができる。
【0093】
したがって、この構造によっても、前述の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。特に、この構造によると破断部材266で破断が生じるため、確実にシュラウドパネル5の破損を防ぐことができ、シュラウドパネル5の交換が不要となる。
【0094】
以上、この発明の構成と前述の実施形態との対応において、
この発明の熱交換器は、実施形態のラジエータRに対応し、
以下、同様に、
骨格部材は、上部フレーム部材6に対応し、
固定手段は、中央締結ボルト・ナット66a・66b、側部締結ボルト・ナット68a・68b、圧入ピン166、破断部材266に対応し、
後端を開放した切欠部は、中央切欠部66cに対応し、
前端部まで延びる切欠部は、側部切欠部51aに対応するも
この発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、あらゆる自動車の前部構造に適用する実施形態を含むものである。
【0095】
特に、固定手段については、この実施形態のものに限定されるものではなく、衝突時に固定を解除するものであれば、係止部材による固定構造や、接着部材による固定構造であってもよい。
【0096】
また、骨格部材についても、この上部フレーム部材6のように、センターメンバー部63のみが着脱できるものだけではなく、上部フレーム部の側方メンバー部も含めて車幅方向に延びる部分が全て着脱できるようなものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】第一実施形態の自動車の前部構造を採用した自動車の正面図。
【図2】車体前部の前方斜視図。
【図3】図1のA−A線矢視断面図。
【図4】図1のB−B線矢視断面図。
【図5】シュラウドパネルと上部フレーム部の中央位置における締結構造を示した断面図。
【図6】シュラウドパネルと上部フレーム部の側部位置における締結構造を示した断面図。
【図7】車両衝突時における前部構造の側面図を示した模式図であり、(a)が軽衝突時の挙動を示した図、(b)が重衝突時の挙動を示した図。
【図8】他のボンネットロック機構の補強構造を示した車体前部の前方斜視図。
【図9】圧入ピンによる固定構造を示した断面図。
【図10】破断部材による固定構造を示した断面図。
【符号の説明】
【0098】
R…ラジエータ
1…フロントバンパー
2…バンパービーム
3…フロントサイドフレーム
4…エプロンレインメンバー
5…シュラウドパネル
6…上部フレーム部材
63…センターメンバー部
66a,66b…中央締結ボルト,中央締結ナット
68a,68b…側部締結ボルト,側部締結ナット
166…圧入ピン
266…破断部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向に延びるアッパ部、車幅方向に延びるロア部、該アッパ部及びロア部を上下方向に延びて繋ぐサイド部を備えて熱交換器を支持する樹脂製のシュラウドパネルと、
該シュラウドパネルの車両前方側で車幅方向に延びるフロントバンパーとを備えた自動車の前部構造であって、
車両前後方向に延びる左右のエプロンレインメンバーを車幅方向に延びて連結する骨格部材と、
該骨格部材よりも車両前方側位置に設置した前記シュラウドパネルと、
該シュラウドパネルのアッパ部を前記骨格部材に固定すると共に車両前方側から衝突荷重が作用した際に該アッパ部が骨格部材から離脱するように設定した固定手段とを備える
自動車の前部構造。
【請求項2】
前記骨格部材が、ヘッドランプの後方位置で後端がエプロンレインメンバー前部に固定されて前端がフロントサイドフレーム前部の上方近傍位置まで延びる側方メンバー部と、
上端が該側方メンバー部の前端に固定されて下端が前記フロントサイドフレーム前部に固定される縦メンバー部と、
前記側方メンバー部間に着脱自在に締結固定されるセンターメンバー部とを備える
請求項1記載の自動車の前部構造。
【請求項3】
前記センターメンバー部を、車両組付け時に、前記シュラウドパネルのアッパ部の上方に仮組み固定した
請求項2記載の自動車の前部構造。
【請求項4】
前記シュラウドパネルのサイド部を、前記フロントバンパーのバンパービームに固定した
請求項1〜3いずれか記載の自動車の前部構造。
【請求項5】
前記骨格部材が、側面視でハット断面形状部を有し、
前記シュラウドパネルのアッパ部を、該ハット断面形状部のつば部に締結固定した
請求項1〜4いずれか記載の自動車の前部構造。
【請求項6】
前記ハット断面形状部の後側のつば部の締結部位に、後端を開放した切欠部を設けた
請求項5記載の自動車の前部構造。
【請求項7】
前記ハット断面形状部の前側のつば部が締結されるシュラウドパネルのアッパ部に、締結部位から前端部まで延びる切欠部を設けた
請求項5記載の自動車の前部構造。
【請求項8】
前記骨格部材に、ボンネットをロックするフードロック機構を収容するポケット部を設けた
請求項1〜7いずれか記載の自動車の前部構造。
【請求項9】
前記ポケット部の下部に、前記シュラウドパネルのアッパ部に固定されると共に、車両前方側から衝突荷重が作用した際には該固定を解除するように設定した固定フランジを設けた
請求項8記載の自動車の前部構造。
【請求項10】
前記フロントサイドフレームの前端部にクラッシュボックスを設置して、
前記シュラウドパネルを、該クラッシュボックスと側面視で略一致する位置に設置した
請求項1〜9いずれか記載の自動車の前部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−83688(P2009−83688A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−257099(P2007−257099)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】