説明

自動車の前部車体構造

【課題】サスペンションを介してフロントタイヤを支持するサスペンションタワーと、該サスペンションタワーの車幅方向内側を通って車体前後方向に延びるフロントサイドフレームとを有し、該フロントサイドフレームに、車体前方からの衝撃荷重の作用時に該フレームを車幅方向外側へ折曲させる折曲予定部が設けられている場合に、車体前方から衝撃荷重が入力された場合に、タイヤ等から車室構成部材に入力される衝撃荷重を減少させることができる自動車の前部車体構造を提供する。
【解決手段】折曲予定部T3を、フロントサイドフレーム5が車幅方向外側に折曲したときに、サスペンション30のダンパ35に後方から当接することとなる位置に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の前部車体構造、特に車体前部の衝撃吸収構造に関し、自動車の車体構造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、自動車の前部車体構造として、ダッシュパネルの前方で車体前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレームを有するものにおいて、該フロントサイドフレームに、車体前方からの衝撃荷重の入力時に、該フロントサイドフレームを車幅方向に折曲可能とする第1、第2の折曲予定部を設けたものが開示されている。このような構成によれば、フロントサイドフレームに入力された衝撃エネルギーがこの折曲により吸収され、該フレームの後方に位置する車室構成部材等に加わる衝撃エネルギーが減少することとなる。
【0003】
【特許文献1】特開2003−220977号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、フロントサイドフレームの側方に、サスペンションを介してフロントタイヤを支持するサスペンションタワーが設けられると共に、該フロントタイヤを収容するホイールハウスの後方に、車室の側部を構成するサイドシルが設けられる場合があるが、このような構造の場合、車体前部の変形途中にタイヤが衝突源である障害物に当接すると、タイヤが後退してサイドシルに当接することとなる。そして、タイヤを介してサイドシルに衝撃エネルギーが伝達され、該サイドシルの変形により衝撃エネルギーが吸収されることとなる。しかし、これは、車室が変形することを意味する。
【0005】
そこで、本発明は、車体前方から衝撃荷重が入力された場合に、タイヤ等から車室構成部材に入力される衝撃荷重を減少させることができる自動車の前部車体構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は、次のように構成したことを特徴とする。
【0007】
まず、本願の請求項1に記載の発明は、サスペンションを介してフロントタイヤを支持するサスペンションタワーと、該サスペンションタワーの車幅方向内側を通って車体前後方向に延びるフロントサイドフレームとを有し、該フロントサイドフレームに、車体前方からの衝撃荷重の作用時に該フレームを車幅方向外側へ折曲させる折曲予定部が設けられた自動車の前部車体構造であって、前記折曲予定部は、前記フロントサイドフレームが車幅方向外側に折曲したときに、前記サスペンションのダンパに後方から当接することとなる位置に設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の自動車の前部車体構造において、前記フロントサイドフレームは、前記サスペンションタワー側方で下方に湾曲してダッシュパネルの下方に延びており、前端部が前記フロントサイドフレームに前記折曲予定部位置で接続され、後ろ上りに延びて、後端部が前記ダッシュパネルに接続された補強部材が設けられていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載の自動車の前部車体構造において、前記フロントサイドフレームに、前記折曲予定部の後方において、車体前方からの衝撃荷重の作用時に該フレームを車幅方向で前記折曲予定部とは反対方向に折曲させる第2の折曲予定部が設けられており、前記補強部材の後部は、前記サスペンションタワーの上部と前記ダッシュパネルとで車体前後方向に延びる閉断面を形成しており、該補強部材の前部は、後部に向かって後ろ上りに延びていると共に、車幅方向内側に膨らむように湾曲していることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の自動車の前部車体構造において、前記フロントサイドフレームにおけるサスペンションタワー近傍部分と、ダッシュパネルにおける前記フロントサイドフレームよりも車幅方向内方の部分とを連結する第2補強部材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
次に、本発明の効果について説明する。
【0012】
まず、請求項1に記載の発明によれば、フロントサイドフレームに車体前方から衝撃荷重が入力されると、該フレームが折曲予定部において車幅方向外側に折曲することとなる。
【0013】
その場合に、本発明においては、前記折曲予定部は、フロントサイドフレームが車幅方向外側に折曲したときに、サスペンションのダンパに後方から当接することとなる位置に設けられているから、車体前部の変形途中でタイヤが衝突源である障害物に当接したときに、タイヤの後退が規制される。したがって、タイヤの後方にサイドシル等の車室構成部材が存在している場合においても、該タイヤの車室構成部材への当接が防止あるいは遅延され、これにより、タイヤから車室構成部材に衝撃エネルギーが直接入力されるのが防止あるいは遅延されると共に、その大きさも減少することとなる。
【0014】
なお、この場合、障害物からタイヤに入力された衝撃荷重はサスペンションのダンパを介してフロントサイドフレームに入力されることとなるが、その衝撃エネルギーは該フレームの折曲変形により吸収されることとなる。したがって、タイヤと車室構成部材との当接により該車室構成部材に衝撃エネルギーが直接入力される場合よりも、車室側に入力される衝撃エネルギーは減少する。したがって、車室の変形が抑制されることとなる。
【0015】
ところで、前記フロントサイドフレームは、サスペンションタワー側方で下方に湾曲してダッシュパネルの下方に延びるように構成される場合があるが、このような構成の場合、車体前方からの衝撃荷重が入力された場合、前記フロントサイドフレームが湾曲部で上下方向に変位し、折損する虞がある。
【0016】
しかし、請求項2に記載の発明によれば、前端部が前記フロントサイドフレームに前記折曲予定部位置で接続され、後ろ上りに延びて、後端部がダッシュパネルに接続された補強部材が設けられているから、フロントサイドフレームが上下方向に変位しようとするのが抑制されることとなる。その場合に、前端部が前記折曲予定部位置でフロントサイドフレームに接続されているので、前記折曲予定部を、接続部前後の剛性差により構成することができる。
【0017】
また、請求項3に記載の発明によれば、フロントサイドフレームに車体前方から衝撃荷重が入力されると、該フレームが前記折曲予定部後方の第2の折曲予定部において、請求項1の折曲予定部とは反対方向に折曲することとなる。したがって、フロントサイドフレームに入力された衝撃エネルギーをより多く吸収することができる。
【0018】
また、前記補強部材の後部は、サスペンションタワーの上部とダッシュパネルとで車体前後方向に延びる閉断面を形成しているから、サスペンションタワーの上部とダッシュパネルとの間の車体前後方向剛性が向上する。
【0019】
ところで、仮に、補強部材の前部が後部に向かって後ろ上りに直線的に延びていると、フロントサイドフレームに車体前方から衝撃荷重が作用したときに、補強部材が突っ張って、フロントサイドフレームが第2の折曲予定部において車幅方向に折曲するのが阻害される虞がある。
【0020】
しかし、本発明においては、補強部材の前部は、車幅方向内方に膨らむように湾曲形成されて、車幅方向に変形しやすくなっているので、フロントサイドフレーム5の第2の折曲予定部における折曲が阻害されるのが防止される。
【0021】
また、請求項4に記載の発明によれば、前記フロントサイドフレームにおけるサスペンションタワー近傍部分と、ダッシュパネルにおけるフロントサイドフレームよりも車幅方向内方の部分とを連結する第2補強部材が設けられているから、フロントサイドフレームが折曲予定部において車幅方向内側に折曲するのを防止して、確実に車幅方向外方に折曲させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態に係る自動車の前部車体構造について説明する。
【0023】
図1に示すように(適宜、図2〜図4を参照)、本実施の形態に係る自動車1においては、ダッシュパネル2の左右両端部にそれぞれ、上下方向に延び、フロントドア(図示せず)が枢支されるヒンジピラー3(一方のみ図示されている)が設けられている。
【0024】
左右のヒンジピラー3の上端部側からはそれぞれ前方にエプロンレインフォースメント4,4が延びている。
【0025】
エプロンレインフォースメント4,4に対して平面視でほぼ平行に、かつ車幅方向内方に離間した位置で、フロントサイドフレーム5,5が車体前後方向に延びている。
【0026】
車幅方向でエプロンレインフォースメント4とフロントサイドフレーム5との間には、前輪用のホイールハウス6が設けられている。
【0027】
フロントサイドフレーム5及びエプロンレーフォースメント4の前端部には、これらに跨って平板状のプレート7,7が取り付けられている。左右のプレート7,7間には、クラッシュボックス8,8を介して、車幅方向に延びるバンパレインフォースメント9が取り付けられている。クラッシュボックス8,8は、前後方向の衝撃荷重が入力されたときに車体前後方向に圧縮変形するように構成されている。
【0028】
ダッシュパネル2の下部は、後方へ湾曲して、下端部がフロアパネル10の前端部に接合されている。ダッシュパネル2の下部及びフロアパネル10には、車幅方向ほぼ中央において前後方向に延び、かつ上方へ膨出するトンネル部11が設けられている。
【0029】
フロントサイドフレーム5の後部側は、ホイールハウス6の側方において下方に湾曲し、後端部が、フロアパネル10の下面側で車体前後方向に延びるフロアフレーム12の前端部に接続されている(図2参照)。フロアフレーム12は、断面ハット状の形状をしており、フロアパネル10とで車体前後方向に延びる閉断面を形成している。
【0030】
フロントヒンジピラー3の下端部から後方にサイドシル13が延びている。サイドシル13は、車体前後方向に延びる閉断面構造とされている。
【0031】
ダッシュパネル2の下部側には、左右のフロントヒンジピラー3,3を連結するロアダッシュクロスメンバ14が設けられている。ロアダッシュクロスメンバ14は、図3に示すように、左右のフロントサイドフレーム5,5間の部分を構成する中間部材14Aと、中間部材14Aの左右の端部と左右のフロントヒンジピラー3,3とを連結するサイド部材14B,14Bとで構成されている。
【0032】
中間部材14Aは、断面ハット状の部材で、ダッシュパネル2の前面(エンジンルームZ1側の面)側に設けられており、ダッシュパネル2の前面とで閉断面を形成している。サイド部材14Bは、同じく断面ハット状の部材で、ダッシュパネル2の後面(車室Z2側の面)に設けられており、ダッシュパネル2の後面とで閉断面を形成している(図5、図6参照)。
【0033】
ダッシュパネル2の上部側には、図7に示すように、左右のフロントヒンジピラー3,3を連結するアッパダッシュクロスメンバ16が設けられている。アッパダッシュクロスメンバ16は、左右のヒンジピラー3,3近傍間の部分を構成する中間部材16Aと、中間部材16Aの左右の端部と左右のフロントヒンジピラー3,3とを連結するサイド部材16B,16Bとで構成されている。
【0034】
中間部材16A及びサイド部材16Bは、それぞれ、断面ハット状の部材で、ダッシュパネル2の後面(車室Z2側の面)側に設けられている。
【0035】
詳しくは、図7に示すように、サイド部材16Bは、上下のフランジ16b,16bの後端部側がボルト及びナットB1,B1により、フロントヒンジピラー3のインナパネル18に締結され、フランジ16bの前端部側が中間部材16Aの端部のフランジ部16aと、ダッシュパネル2と、後述する補強部材60のフランジ60fと共に、ボルト及びナットB2により共締めされている。そして、これにより、図5,図6に示すように、ダッシュパネル2と中間部材16Aとサイド部材16B,16Bとで左右のヒンジピラー3,3間において車幅方向に延びる閉断面Vが形成されている。
【0036】
図1、図3、図4からわかるように、ホイールハウス6は、車幅方向外端側がエプロンレインフォースメント4に接合されると共に車幅方向内端部がフロントサイドフレーム5に接合されたエプロンパネル19の後部側をアーチ状に上方に膨出させることにより形成されている。上部には、サスペンション30の上部側が支持されるサスペンションタワー部6aが、ホイールハウスインナパネル19をタワー状に上方に膨出させることにより形成されている。
【0037】
ここで、フロントサスペンション30及びその取付構造について簡単に説明しておくと、図2、図3に示すように、フロントサスペンション30の下方には、サスペンション30の下部側を支持するサスペンション支持フレーム20が設けられている。このサスペンション支持フレーム20は、平面視略ロ字状の枠状形状をしており、その左右の側辺部20a,20aが、フロントサイドフレーム5,5の略下方で前後に延びている。そして、左右の側辺部20a,20aの前端側がフロントサイドフレーム5,5の前端部の下部に、前後方向中間よりも後方側が、フロントサイドフレーム5,5の湾曲部5a,5aの下部に、後端側がフロアパネル10の前端側に設けられたクロスメンバ(図示せず)に、ブラケットやマウントラバー等を介して取り付けられている。
【0038】
フロントサスペンション30は、ダブルウィッシュボーン式のものであり、タイヤW(ホイール)を回転自在に支持するホイールサポート31と、上下に離間して配置されたアッパアーム32及びロアアーム33と、緩衝装置34とを有している。
【0039】
ホイールハウスインナパネル19におけるサスペンションタワー部6a部分の反エンジンルームZ1側の面には、サスペンション支持部材21,22が取り付けられている。
【0040】
アッパアーム32は、A型形状をしており、車幅方向内端部32a,32aが、ブラケット21,22に支持された車体前後方向に延びる軸部材32A,32Aを中心として回動可能に取り付けられている。軸部材32A,32Aは、例えばボルト及びナットにより構成されている。一方、車幅方向外端部32b,32bは、ホイールサポート31に形成された上方延設部31aの上端部にボールジョイントを介して取り付けられている。
【0041】
アッパアーム32の内端部32a,32aを支持するブラケット21,22は、前側用と後側用との形状が異なっている。すなわち、まず、前側用のブラケット22について説明すると、平面視コ字状形状をしており、図6に示すように、軸部材32Aの端部を支持する前後の縦面部22a,22bと、これらの縦面部22a,22bを連結する側面部22cとを有して、後側の縦面部22b及び側面部22cがサスペンションタワー部6aの前面部6b及び側面部6c(図2参照)に接合されている。一方、後側用のブラケット21は、平面視略L字状の形状をしており、後側の縦面部21aと側面部21bとのみを有して、側面部21bがサスペンションタワー部6aの側面部6cに接合されており、軸部材32Aの後端側は、後述する補強部材60の前面部60c(図2参照)に支持されている。
【0042】
図2、図3に戻り、ロアアーム33は、アッパアーム32同様、A型形状をしており、車幅方向内端部33a,33aが、サスペンション支持フレーム20の側辺部20a,20aに設けられた支持壁に、車体前後方向に延びる軸部材33A,33Aを中心として回動可能に取り付けられている。軸部材33A,33Aは、例えばボルト及びナットにより構成されている。一方、車幅方向外端部33b,33bは、ホイールサポート31に形成された下方延長部31bの下端部にボールジョイントを介して取り付けられている。
【0043】
緩衝装置34は、ダンパ35と、コイルスプリング36とを有している。ダンパ35は、上端部がサスペンションタワー部6aのトップ部6a′に固定され、下端部がロアアーム33の車幅方向中間部に、車体前後方向に延びる軸部材35Aを中心として揺動可能に取り付けられている。コイルスプリング36は、ダンパ35に伸縮可能に取り付けられている。
【0044】
サスペンションタワー部6aのトップ部6a′の上面には、緩衝装置34の取付部を補強するサスペンション取付部補強部材23が設けられている。
【0045】
図1からわかるように、ダッシュパネル2の上部には、車幅方向に延びるカウル部40が設けられている。
【0046】
このカウル部40は、図3〜図6、図8等からわかるように、車幅方向両端部を構成する左右一対のカウルサイドパネル41,41と、これらを連結するカウルフロントアッパパネル42及びカウルフロントロアパネル43と、フロントガラスの下端側を支持するカウルパネル44とを有している。
【0047】
図5に示すように、カウルサイドパネル41は、サスペンションタワー部6aの後壁部6dに略沿う形状で該後壁部6dに接合された縦壁部41aと、該縦壁部41aの下端から後方に延び、後端部が、ダッシュパネル2の下部側を構成するダッシュロアパネル45に接合された横壁部41bとを有し、車体側面視で略L字状とされている。なお、横壁部41bは、アッパダッシュクロスメンバ16の高さ位置に設けられている。
【0048】
カウルフロントロアパネル43は、カウルサイドパネル41の縦壁部41a及び横壁部41bに車幅方向に連続する縦壁部43a及び横壁部43bを有し、車体側面視で略L字状とされている。
【0049】
そして、カウルサイドパネル41及びカウルフロントロアパネル43の縦壁部41a及び横壁部43bは、ダッシュアッパパネル46と共に、車体側面視で上部側が開口する、側面視断面U字状のボックス体を構成している。
【0050】
図7に示すように、カウルフロントアッパパネル42は、上壁部42aと縦壁部42bと下壁部42cとを有して、車体側面視で略Z字状の形状をしており、カウルフロントロアパネル43とで、車幅方向に延びる側面視略四角形の閉断面を形成している。
【0051】
なお、カウルフロントロアパネル43及びカウルフロントアッパパネル42は、図4、図5に示すように、左右両端側において、前記サスペンション取付部補強部材23及び後述する連結パネル47に対して、ボルトB3により取り外し可能に固定されている。
【0052】
図4、図5に示すように、サスペンションタワー部6aのトップ部6a′と、ダッシュパネル2の上部側を構成するダッシュアッパパネル46との間には、これらを連結する連結パネル47が設けられている。連結パネル47は、車幅方向外端側の縁部がエプロンレインフォースメント4に接合されている。なお、この連結パネル47は、ワイパー取付用として利用することも可能なものである。
【0053】
次に、エプロンレインフォースメント4の構造について説明する。
【0054】
エプロンレインフォースメント4は、図1、図2からわかるように、サスペンションタワー部6aよりも前方の部分4Aと、後方部分4Bとで構成されている。
【0055】
前方部分4Aは、図9、図10に示すように、部材25,26により、車体前後方向に延びる略四角形の閉断面を有している。
【0056】
後方部分4Bは、図8、図11に示すように、部材27,28,29により、車体前後方向に延び、前方部分4Aの閉断面に連続する略四角形の閉断面を有している。また、後方部分4Bは、例えば部材27,28,29の厚みを前方部分4Aの部材25,26よりも厚くすることで、車体前方からの衝撃荷重に対する耐荷重が前方部分4Aよりも大きくされている。
【0057】
次に、フロントサイドフレーム5の構造について詳しく説明する。
【0058】
フロントサイドフレーム5は、図1、図2からわかるように、サスペンションタワー部6aよりも前方の部分5Aと、後方部分5Bとで構成されている。
【0059】
前方部分5Aは、図9、図10に示すように、外側部材51A及び内側部材52Aにより、車体前後方向に延びる略四角形の閉断面を有している。後方部分5Bは、図8、図11に示すように、外側部材51B及び内側部材52Bにより、車体前後方向に延び、前方部分4Aの閉断面に連続する略四角形の閉断面を有している。前方部分5Aの閉断面内には、レインフォースメント53が設けられている。
【0060】
前方部分5Aを構成する部材51A,52Aと、後方部分5Bを構成する部材51B,52Bとは、異なる素材が用いられている。例えば、前方部分5Aを構成する部材51A,52Aは、平常時における剛性を保ちつつ、衝撃荷重が入力されときには蛇腹折れ状に圧縮変形可能なように、例えばハイテンション材等の素材を用いて形成されている。一方。後方部分5Bを構成する部材51B,52Bは、例えば、素材の厚みを厚くすることで、車体前方からの衝撃荷重に対する耐荷重が前方部分5Aよりも大きくなるように構成され、圧縮変形が生じにくくされている。
【0061】
また、図9、図10に示すように、前方部分5Aの外側部材51A及び内側部材52Aの各側面部51a,52aには、前端から所定位置まで車体前後方向に延びるビード51b,52bが形成されている。ここで、このビード51b,52b及び前記レインフォースメント53は、フロントサイドフレーム5の前部5Aの車体前後方向の圧縮変形時における衝撃エネルギーの吸収量を多くするために設けられている。
【0062】
その場合に、外側部材51のビード51bは、図2に示すように、該部材51の前端からエンジンマウントEMの前端の若干前方まで設けられているのに対し、内側部材52のビード52bは、外側部材51のビード51bよりも後方まで延びて、エンジンマウントEMの後端付近にまで達している。したがって、フロントフレーム5は、内側部材52にのみビード52bが存在する部位においては、車幅方向外側部分よりも車幅方向内側部分の方が、車体前後方向に対する圧縮剛性が高くなっている。また、図4からわかるように、フロントサイドフレーム5は、車体前後方向においてサスペンションタワー部6aの前端近傍(外側部材51のビード51bの後端の位置)からサスペンションタワー部6aのトップ部6a′の前端付近(内側部材52のビード52bの後端位置)にかけて、幅(車幅方向長)及び断面積が徐々に小さくなっている。したがって、フロントフレーム5は、車体前方から衝撃荷重が作用したときに、外側部材51のビード51bの後端の位置において、車幅方向外側に折曲しやすくなっている。そして、これにより、外側部材51のビード51bの後端の位置に、車幅方向外側への折曲予定部T1が構成されている。
【0063】
また、フロントサイドフレーム5には、前述のように、サスペンションタワー6aの前端近傍において、エンジンマウントEMの取付部が設けられている。したがって、この取付部の近傍部位(外側部材51のビード51bの後端位置と、内側部材52のビード52bの後端位置との間)は、図示しない補強部材により補強されており、フロントサイドフレーム5の前後方向への圧縮変形が抑制されると共に、車幅方向への移動が規制される。一方、その後方側は、後述するように車幅方向外側へ突出するように膨らむ、したがって、内側部材52のビード52bの後端の位置(エンジンマウントEM取付部の後端付近)に、折曲予定部T2が構成される。
【0064】
また、後述する補強部材60の前端に対応する位置においては、フロントサイドフレーム5に剛性差が生じる。したがって、車体前方から衝撃荷重が作用したときに、この位置において折曲しやすくなる。したがって、この位置に、車幅方向外側への折曲予定部T3が構成される。
【0065】
また、図2に示すように、外側部材51(51B)の側面部51aには、湾曲部5aの途中部分において、上下方向に延びるビード51eが形成されている。このビード51eは、図12に示すように、車幅方向内方に凹んでおり、後述するように車体前方から衝撃荷重がフロントサイドフレーム5に加わったときに、このビード51eを起点として、その前方部分が車幅方向外側に折れ曲がるようになっている。すなわち、ビード51eにより折曲予定部T4が構成されている。
【0066】
また、フロントサイドフレーム5は、車体前後方向においてサスペンションタワー部6aのトップ部6a′の前端よりも後方においては、外側部材51の上面部51cの幅が徐々に広くなる一方、内側部材52の上面部52cの幅が徐々に狭くなり、図11からわかるように、両部材51,52の互いに接続される上部フランジ51d,52dの車幅方向位置が車幅方向内方にそれぞれ移動している。また、これに伴って、上部フランジ51d,52dに接続されるエプロンパネル19の内端部(下端部)も、車幅方向内方に位置し、これにより、フロントサイドフレーム5の外側部材51の上面部51cが、エプロンパネル19の内端部よりも車幅方向外側に位置している。すなわち、フロントサイドフレーム5が、フロントホイールハウス6内(サスペンションタワー部6a)に臨んでいる。
【0067】
ところで、フロントサイドフレーム5は、前述したように後部側に下方への湾曲部5aが設けられているが、衝撃荷重がフロントサイドフレーム5の前端部に入力されたときにこの湾曲部5aに折れが生じるのを防止する必要がある。
【0068】
この対処として、フロントサイドフレーム5におけるホイールハウス6のサスペンションタワー部6aの側方部分と、ダッシュパネル2(車体部材)とを接続する補強部材を設けることが考えられるが、本実施の形態に係る車両においては、図1、図7に示すように、ダッシュパネル2の前面には、運転席の前方でかつホイールハウス6の後方において、ブレーキ装置のマスタシリンダ70が取り付けられる。したがって、補強部材60をエプロンパネル19のエンジンルームZ1側の面に設けるのは、スペース上、困難となっている。
【0069】
そこで、本実施の形態においては、補強部材60を、図1、図13に示すように、エプロンパネル19の反エンジンルームZ1側の面に設けている。すなわち、ホイールハウス6内に設けている。
【0070】
詳しくは、補強部材60は、図2、図13からわかるように、前端部60aが、サスペンション30のダンパ35より所定量後方位置において、フロントサイドフレーム5の外側部材51(フロントサイドフレーム5におけるホイールハウス6内を臨む部分)に接続され、後ろ上りに延びて、後端部60bがダッシュパネル2(車体部材)におけるホイールハウス6の後方部分に接続されている。
【0071】
また、補強部材60の後部60B側は、前述のように後端部60bがダッシュパネル2におけるホイールハウス6の後方部分に接続される一方、サスペンションタワー部6aのトップ部6a′内まで上方に延びて(拡張し)、トップ部6a′の内面に接続されている。
【0072】
また、補強部材60は、前面部60cと、側面部60dと、後面部60eと、これらの周囲に形成されたフランジ部60fとを有して、車幅方向内方側が開口する概ね断面ハット状とされている。側面部60dの下端側は、フロントサイドフレーム5の外側部材51の側面部51aに連続するように形成されており(図14参照)、これにより補強部材60の前端部60aは、フロントサイドフレーム5の外側部材51の上面部51cに突き当てられた状態となっている。
【0073】
また、フランジ部60fは、図8、図11、図13からわかるように、エプロンパネル19の反エンジンルームZ1側の面(ホイールハウス6の内面)、ダッシュパネル2の前面、カウルサイドパネル41の下面、フロントサイドフレーム5の外側部材51の上面部51c、側面部51aの上部にまたがって接合されており、これにより、補強部材60と、エプロンパネル19と、カウルサイドパネル31と、フロントサイドフレーム5の外側部材51とで、サスペンションタワー部6aとダッシュパネル6との間に車体前後方向に延びる閉断面Yが形成されている。
【0074】
そして、補強部材60のフランジ部60fのうちダッシュパネル2に取り付けられる部分は、図7に示すように、ダッシュパネル2と、アッパダッシュクロスメンバ16と共にボルト及びナットB2により共締めされており、これにより、後端部60bは、ダッシュパネル2を介してアッパダッシュクロスメンバ16に連結されている。
【0075】
また、補強部材60の前部60A側は、図14に示すように、車幅方向内方に膨らむように湾曲形成されている。
【0076】
また、本実施の形態においては、図3、図7等にしめされているように、フロントサイドフレーム5におけるサスペンションタワー6a側方の部分と、ダッシュパネル2におけるフロントサイドフレーム5よりも車幅方向内方の部分とを連結する第2補強部材65が設けられている。
【0077】
第2補強部材65は、断面ハット状の部材であり(図8参照)、前端部がフロントサイドフレーム5の内側部材52の側面部52aに接合され、後端部が、ダッシュパネル2の前面側に設けられたロアダッシュクロスメンバ14に接合されている。なお、図4に示すように、トンネル部11に沿って略車体前後方向に延びるトンネルフレーム80の前端部が、ロアダッシュクロスメンバ14(14A)を介して、第2補強部材65の後端部に連結されている。
【0078】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
【0079】
すなわち、自動車に前突等が生じて、バンパレインフォースメント9に前方から衝撃荷重が入力されると、クラッシュボックス8,8を介してフロントサイドフレーム5,5に衝撃荷重が入力される。
【0080】
そうすると、初期状態の図15(a)に示す状態から、図15(b)に示すように、クラッシュボックス8は、車体前後方向に圧縮変形する。また、フロントサイドフレーム5は、前述のように、サスペンションタワー部6aよりも前方の部分(前後位置P1〜P2)が車体前後方向に圧縮変形すると共に、前述の各折曲予定部T1〜T4(前後位置P2〜P5)において車幅方向に折曲することとなる。そして、この圧縮変形及び折曲により、衝撃荷重が吸収される。ここで、前後位置P1はフロントサイドフレーム5の前端位置、前後位置P2はフロントサイドフレーム5の外側部材51のビード51bの後端の位置(折曲予定部T1)、前後位置P3はフロントサイドフレーム5の内側部材52のビード52bの後端の位置(折曲予定部T2)、前後位置P4は補強部材60の前端位置(折曲予定部T3)、前後位置P5はフロントサイドフレーム5の外側部材51のビード51eの位置(折曲予定部T4)、前後位置P6はフロントサイドフレーム5の後端位置である。
【0081】
その場合に、折曲予定部T1においては、それよりも前方の部分(前後位置P1〜P2の部分)が、圧縮変形しながら、車幅方向外方に折れ曲がる。また、折曲予定部T2(前後位置P3)及びT4(前後位置P5)においては、フロントサイドフレーム5における前後位置P3からP5の間の部分が、折曲予定部T3(前後位置P4)において車幅方向外側に突出するように折曲する。
【0082】
その場合に、折曲予定部T3は、フロントサイドフレーム5が車幅方向外側に折曲したときに、該フレーム5(前後位置P4とP5との間の部分)がサスペンション30のダンパ35に後方から当接するように、サスペンション30のダンパ35よりも所定量後方に位置しているから、図16(a)に示す初期状態から、図16(b)に示すように、フロントサイドフレーム5(前後位置P3とP4との間の部分)がサスペンション30のダンパ35に後方から当接することとなる。
【0083】
したがって、車体前部の変形途中で図16(c)に示すようにタイヤWが衝突源である障害物Mに当接した場合でも、タイヤWの後退が規制される。すなわち、タイヤWがサイドシル13に当接するのが防止あるいは遅延され、これにより、タイヤWからサイドシル13に衝撃エネルギーが直接入力されるのが防止あるいは遅延されると共に、その大きさも減少することとなる。
【0084】
なお、この場合、障害物MからタイヤWに入力された衝撃荷重はダンパ35を介してフロントサイドフレーム5に入力されることとなるが、その衝撃エネルギーは該フレーム5の前記各折曲予定部T1〜T4での折曲変形により吸収されることとなる。したがって、タイヤWとサイドシル13との当接により車室構成部材であるサイドシル13に衝撃エネルギーが直接入力される場合よりも、車室Z2側に入力される衝撃エネルギーが減少する。したがって、車室Z2の変形が抑制されることとなる。
【0085】
そして、その後、仮に、タイヤWがサイドシル13に当接した場合、サイドシル13等の車室側部材により衝撃エネルギーが吸収されることとなるが、前述のように衝撃エネルギーは、タイヤWがサイドシル13に当接するまでにフロントサイドフレーム5により吸収されて、大きく減少しているので、車室Z2の変形が抑制されることとなる。
【0086】
加えて、本実施の形態に係る自動車の前部車体構造によれば、以下のような効果も得られる。
【0087】
すなわち、前端部60aがフロントサイドフレーム5に折曲予定部T3位置で接続され、後ろ上りに延びて、後端部60bがダッシュパネル2に接続された補強部材60が設けられているから、フロントサイドフレーム5が上下方向に変位しようとするのが抑制されることとなる。その場合に、前端部60aが前記折曲予定部位置でフロントサイドフレーム5に接続されているので、前記折曲予定部T3を、接続部前後の剛性差により構成することができる。
【0088】
また、補強部材60の後部60Bは、サスペンションタワー部6aの上部とダッシュパネル2とで車体前後方向に延びる閉断面Xを形成しているから、サスペンションタワー部6aの上部とダッシュパネル2との間の車体前後方向剛性が向上する。
【0089】
ところで、仮に、補強部材の前部が後部に向かって後ろ上りに直線的に延びているものとすると、フロントサイドフレーム5に車体前方から衝撃荷重が作用したときに、補強部材が突っ張って、フロントサイドフレーム5が折曲予定部T4において車幅方向に折曲するのが阻害される虞がある。
【0090】
しかし、本実施の形態に係る補強部材60においては、前部60Aは、車幅方向内方に膨らむように湾曲形成されて、車幅方向に変形しやすくなっているので、フロントサイドフレーム5の折曲予定部T4における折曲が阻害されるのが防止される。
【0091】
また、フロントサイドフレーム5におけるサスペンションタワー部6a近傍部分と、ダッシュパネル2におけるフロントサイドフレーム5よりも車幅方向内方の部分とを連結する第2補強部材65が設けられているから、フロントサイドフレーム5が折曲予定部T4において車幅方向外側に折曲するのを防止することができる。
【0092】
また、補強部材60の後部60Bが、ホイールハウス6のサスペンションタワー6aのトップ部6a′にまで拡張して、その内面に接続されているから、フロントサイドフレーム5から補強部材60に入力された衝撃荷重が、ダッシュパネル2とサスペンションタワー6aのトップ部6a′とに分散されることとなる。したがって、衝撃荷重がより大きな場合でもフロントサイドフレーム5の上下方向への変位やそれに伴う折損が良好に抑制されることとなる。
【0093】
また、フロントサイドフレーム5は、ホイールハウス6に接する部分が、ホイールハウス6内を臨むように設けられており、補強部材60は、ホイールハウス6内に設けられて、前端部60aが前記フロントサイドフレーム5におけるホイールハウス6を臨む部分に接続されているから、ホイールハウス6外に突出しない。したがって、補強部材60を設けたとしても、該補強部材60とホイールハウス6の後方に配設されるブレーキ装置のマスタシリンタ70等の機器との干渉を回避することができる。
【0094】
また、補強部材60の後部60Bが、ダッシュパネル2を介してアッパダッシュクロスメンバ16に連結されているから、フロントサイドフレーム5から補強部材60に入力された衝撃荷重が、アッパダッシュクロスメンバ16を介してヒンジピラー3にも分散されることとなる。したがって、衝撃荷重がより大きな場合でもフロントサイドフレーム5の上下方向への変位やそれに伴う折損が良好に抑制されることとなる。
【0095】
また、補強部材60にサスペンション30のアッパーアーム32が支持されているから、アッパーアーム32に作用する荷重を、補強部材60で堅固に受けとめることができると共に、該補強部材60を介してサスペンションタワー部6aやダッシュパネル2等に効果的に伝達分散させることができる。また、補強部材60を利用してアッパーアーム32の内端部32a,32aの支持部を構成することができる。
【0096】
なお、本実施の形態においては、フロントサイドフレーム5の折曲予定部T3を、補強部材60の前端部60aの接続部における前後の剛性差により形成したが、より確実に折曲可能とするために、さらに、フロントサイドフレーム5の内側部材52の側面部52aに、前記前端部60aの前端位置において、上下方向に延び、車幅方向外方に凹むビードを設けてもよい。こうすることにより、折曲予定部T3における前記車幅方向外側への折曲をより確実なものとすることができる。
【0097】
なお、補強部材60は、図17に示す他の例のように構成してもよい。すなわち、この例においては、補強部材60′は、側面部60d′の前部60A′側がフロントサイドフレーム5の外側部材51の側面部51aとの接続部αよりも車幅方向内方を経由するように湾曲形成させてある。こうすることにより、補強部材60′が車幅方向に一層折曲変形しやすくなり、その結果、フロントサイドフレーム5の折曲予定部T4における車幅方向への折曲が阻害されるのが一層良好に防止される。なお、エプロンパネル19′も車幅方向内方への湾曲部19a′を設けてもよく、こうすることによりエプロンパネル19′と補強部材60′とで形成される閉断面の断面積を前例同様に確保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、自動車の前部車体構造において、車体前方から衝撃荷重が入力された場合に、タイヤ等から車室構成部材に入力される衝撃荷重を減少させることができ、自動車産業に広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の実施の形態に係る自動車の前部車体構造を示す車体前方からの斜視図である。
【図2】同前部車体構造の右側面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】同前部車体構造の平面図である。
【図5】図4のB−B断面図である。
【図6】図4のI−I断面図である。
【図7】図2のG−G断面図である。
【図8】図4のC−C断面図である。
【図9】図4のD−D断面図である。
【図10】図4のE−E断面図である。
【図11】図4のF−F断面図である。
【図12】図2のJ−J断面図である。
【図13】図2の矢印H方向で、斜め外方からの斜視図である。
【図14】図2のK−K断面図である。
【図15】作用の説明図である(その1)。
【図16】作用の説明図である(その2)。
【図17】その他の例における図14相当の図である。
【符号の説明】
【0100】
1 自動車
2 ダッシュパネル
3 フロントヒンジピラー
4 エプロンレインフォースメント
5 フロントサイドフレーム
5a 湾曲部
6 フロントホイールハウス
6a サスペンションタワー部(サスペンションタワー)
6a′ トップ部
12 フロアフレーム
13 サイドシル
16 アッパダッシュクロスメンバ
19 エプロンパネル
30 フロントサスペンション
32 アッパーアーム
35 ダンパ
41 カウルサイドパネル
47 連結パネル
60 補強部材
60A 前部
60B 後部
65 第2補強部材
T1 折曲予定部
T2 折曲予定部
T3 折曲予定部(請求項1における折曲予定部)
T4 折曲予定部(第2の折曲予定部)
V 閉断面
X 閉断面
Y 閉断面
Z1 エンジンルーム
Z2 車室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サスペンションを介してフロントタイヤを支持するサスペンションタワーと、
該サスペンションタワーの車幅方向内側を通って車体前後方向に延びるフロントサイドフレームとを有し、
該フロントサイドフレームに、車体前方からの衝撃荷重の作用時に該フレームを車幅方向外側へ折曲させる折曲予定部が設けられた自動車の前部車体構造であって、
前記折曲予定部は、前記フロントサイドフレームが車幅方向外側に折曲したときに、前記サスペンションのダンパに後方から当接することとなる位置に設けられていることを特徴とする自動車の前部車体構造。
【請求項2】
前記請求項1に記載の自動車の前部車体構造において、
前記フロントサイドフレームは、前記サスペンションタワー側方で下方に湾曲してダッシュパネルの下方に延びており、
前端部が前記フロントサイドフレームに前記折曲予定部位置で接続され、後ろ上りに延びて、後端部が前記ダッシュパネルに接続された補強部材が設けられていることを特徴とする自動車の前部車体構造。
【請求項3】
前記請求項2に記載の自動車の前部車体構造において、
前記フロントサイドフレームに、前記折曲予定部の後方において、車体前方からの衝撃荷重の作用時に該フレームを車幅方向で前記折曲予定部とは反対方向に折曲させる第2の折曲予定部が設けられており、
前記補強部材の後部は、前記サスペンションタワーの上部と前記ダッシュパネルとで車体前後方向に延びる閉断面を形成しており、
該補強部材の前部は、後部に向かって後ろ上りに延びていると共に、車幅方向内側に膨らむように湾曲していることを特徴とする自動車の前部車体構造。
【請求項4】
前記請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の自動車の前部車体構造において、
前記フロントサイドフレームにおけるサスペンションタワー近傍部分と、ダッシュパネルにおける前記フロントサイドフレームよりも車幅方向内方の部分とを連結する第2補強部材が設けられていることを特徴とする自動車の前部車体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−137381(P2009−137381A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−314474(P2007−314474)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】