説明

自動車の可動フロア装置

【課題】
乗員の乗降動作が検出された時、フロアパネルをその前部高さが後部高さに対して高くなるように傾斜させることで、乗降時に足先と下腿とが略直角となり、乗降時に踏ん張りが効くフロアパネルの傾斜が得られ、乗降時の乗員の負担軽減を図ることができる自動車の可動フロア装置の提供を目的とする。
【解決手段】
乗員の脚部が載置されるフロアパネル36を可動と成した自動車の可動フロア装置であって、フロアパネル36の前後方向の角度を可変駆動するフロアパネル駆動手段M1と、乗員の乗車動作を検出する乗車検出手段と、乗車検出手段により乗員の乗車動作が検出された時、フロアパネル駆動手段M1によりフロアパネル36をその前部高さが後部高さに対して高くなるように傾斜させるフロアパネル傾動制御手段とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乗員の脚部が載置されるフロアパネルを可動と成したような自動車の可動フロア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、乗員が車両に乗り込む場合、図37に示すように上腿と下腿とを屈曲し、足首に対して該足首よりも下の部分つまり足先を伸ばして略水平なフロアパネル200に踏ん張る姿勢となり、同図に矢印で示す力の方向と略水平なフロアパネル200との成す角度は鈍角となり、略直角にならない関係上、乗員の脚部なかんずく下腿の負担が大きくなる問題点があり、このことはセダン型車両で、かつヒンジ式のドアを備えた車両においては乗車はルーフレールやフロントピラーを回避するために上体をも屈曲するので、より一層顕著となる。
【0003】
一方、乗員が車両から降りる場合には、図38に示すように上体を乗降口方向に移動すべく、屈曲した上腿と下腿とで上体を持ち上げるが、フロアパネル200が略水平に形成されていると足首に対して足先を伸ばしてフロアパネル200を踏ん張る姿勢となり、同図に矢印で示す力の方向と略水平なフロアパネル200との成す角度は鈍角となり、略直角にならない関係上、乗員の脚部なかんずく下腿の負担が大きくなる問題点があった。
【0004】
なお、図35、図36において201はシートクッション、202はシートバックであり、また矢印Fは車両前方を示す。
ところで、特許文献1には乗員が着座するフロントシートのシートクッション前部下方と、ダッシュロアパネル下端との間のフロアパネルに凹部を形成し、この凹部に平行リンク機構を介して上昇および下降する昇降プレートを設けた車両用乗降補助装置が開示されている。
【0005】
この従来装置においては、乗降時に上述の昇降プレートを上昇させて乗員足元とサイドシルとの段差をなくし、乗降時に乗員はサイドシルを跨ぐ必要がなく、乗降性の向上を図ることができ、着座時には上述の昇降プレートを下降させて足元スペースを確保することができる利点がある反面、次のような問題点があった。
【0006】
すなわち、上述の昇降プレートは単に水平方向のみに上下動するものであるから、車高が低い車両に適用した場合、乗員は下股を屈めて乗降口から乗降するので、水平な昇降プレートに足先を載せて下腿にて斜め方向に踏ん張る姿勢となり、踏ん張りがききにくく、乗員の下腿の負担が大きくなるので、乗降性を改善する余地があった。
【0007】
また、上記構成を運転席側のフロアに適用した場合、昇降プレートを水平に上昇させると、ステアリングホイールやインストルメントパネルと昇降プレートとの間で乗員の脚部が挟まれる懸念があり、また昇降プレートの上昇によりシートクッションやルーフレールと昇降プレートとの上下間隔が小さくなるので、乗員の屈み込み量が増大して逆に乗降性が悪化する問題点があった。
【特許文献1】特開2004−67077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、この発明は、乗員の乗降動作が検出された時、フロアパネルをその前部高さが後部高さに対して高くなるように傾斜させることで、乗降時に足先と下腿とが略直角となり、乗降時に踏ん張りが効くフロアパネルの傾斜が得られ、乗降時の乗員の負担軽減を図ることができる自動車の可動フロア装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明による自動車の可動フロア装置は、乗員の脚部が載置されるフロアパネルを可動と成した自動車の可動フロア装置であって、上記フロアパネルの前後方向の角度を可変駆動するフロアパネル駆動手段と、乗員の乗車動作を検出する乗車検出手段と、上記乗車検出手段により乗員の乗車動作が検出された時、上記フロアパネル駆動手段によりフロアパネルをその前部高さが後部高さに対して高くなるように傾斜させるフロアパネル傾動制御手段とを備えたものである。
【0010】
上記構成によれば、フロアパネル駆動手段は、乗員の脚部が載置されるフロアパネルの前後方向の角度を可変駆動し、乗車検出手段は乗員の乗車動作を検出し、フロアパネル傾動制御手段は、上述の乗車検出手段により乗員の乗車動作が検出された時、フロアパネル駆動手段によりフロアパネルをその前部高さが後部高さに対して高くなるように傾斜させる。
【0011】
この結果、乗車時において乗員の足先と下腿とが略直角となり、乗車時に踏ん張りが効くフロアパネルの傾斜が得られ、乗車時の乗員の負担軽減を図ることができる。
この発明による自動車の可動フロア装置は、また、乗員の脚部が載置されるフロアパネルを可動と成した自動車の可動フロア装置であって、上記フロアパネルの前後方向の角度を可変駆動するフロアパネル駆動手段と、乗員の降車動作を検出する降車検出手段と、上記降車検出手段により乗員の降車動作が検出された時、上記フロアパネル駆動手段によりフロアパネルをその前部高さが後部高さに対して高くなるように傾斜させるフロアパネル傾動制御手段とを備えたものである。
【0012】
上記構成によれば、フロアパネル駆動手段は、乗員の脚部が載置されるフロアパネルの前後方向の角度を可変駆動し、降車検出手段は乗員の降車動作を検出し、フロアパネル傾動制御手段は、上述の降車検出手段により乗員の降車動作が検出された時、フロアパネル駆動手段によりフロアパネルをその前部高さが後部高さに対して高くなるように傾斜させる。
【0013】
この結果、降車時において乗員の足先と下腿とが略直角となり、降車時に踏ん張りが効くフロアパネルの傾斜が得られ、降車時の乗員の負担軽減を図ることができる。
【0014】
この発明による自動車の可動フロア装置は、さらに、乗員の脚部が載置されるフロアパネルを可動と成した自動車の可動フロア装置であって、上記フロアパネルの前後方向の角度を可変駆動するフロアパネル駆動手段と、乗員の乗降動作を検出する乗降検出手段と、上記乗降検出手段により乗員の乗降動作が検出された時、上記フロアパネル駆動手段によりフロアパネルをその前部高さが後部高さに対して高くなるように傾斜させるフロアパネル傾動制御手段とを備えたものである。
【0015】
上記構成によれば、フロアパネル駆動手段は、乗員の脚部が載置されるフロアパネルの前後方向の角度を可変駆動し、乗降検出手段は乗員の乗降動作を検出し、フロアパネル傾動制御手段は、上述の乗降検出手段により乗員の乗降動作が検出された時、フロアパネル駆動手段によりフロアパネルをその前部高さが後部高さに対して高くなるように傾斜させる。
【0016】
この結果、乗降時において乗員の足先と下腿とが略直角となり、乗降時に踏ん張りが効くフロアパネルの傾斜が得られ、乗降時の乗員の負担軽減を図ることができる。
この発明の一実施態様においては、乗員の乗車動作と降車動作を検出する乗車検出手段と降車検出手段とを設け、乗車動作検出時は降車動作検出時に対して上記フロアパネルの傾斜角度を小さく補正する乗車補正手段を備えたものである。
【0017】
上記構成によれば、次の如き効果がある。すなわち、乗車時は降車時と比較して乗員が身体を下ろすだけで、踏ん張る力が比較的小さくてよいため、フロアパネルの傾斜角度を小さく補正して、足先を置きやすくすることができ、乗降両時のそれぞれに適した乗降性の向上を図ることができる。
【0018】
この発明の一実施態様においては、乗員の体格を検出する体格検出手段を設け、
上記体格検出手段の検出結果に基づいてフロアパネルの傾斜角度を補正する体格補正手段を備えたものである。
【0019】
体格の大きい人はルーフレールやステアリングホイールなどに対応して体格の小さい人よりも上体の屈み込み量が大きくなると共に、重心位置が高いため、その足先を支えるフロアパネルの傾斜角度は大きい方が望ましく、逆に、乗降口が高い場合には、体格の大きい人は体格の小さい人に対してサイドシルを跨ぐ量が減るので、フロアパネルの傾斜角度は小さい方が望ましい。
【0020】
上記構成によれば、体格補正手段は体格検出手段の検出結果に基づいてフロアパネルの傾斜角度を補正するので、体格に応じた適切なフロアパネルの傾斜角度が得られ、乗員の体格の大小にかかわらず乗員の負担軽減を図ることができる。
【0021】
この発明の一実施態様においては、乗員の側方に設けられた乗降口に車幅方向へ回動可能に枢支されたドアと、該ドア開度を検出するドア開度検出手段とを備え、上記ドア開度が小さい程、フロアパネルの傾斜角度を大きく補正するドア開度補正手段を設けたものである。
【0022】
上述のドア(つまりヒンジ式ドア)の開度は充分得られる場合と、駐車場のようにドアの開度が充分得られない場合とがあり、ドア開度が小さい場合いは乗員の移動方向は極度に前後方向に偏る。
上記構成によれば、上述のドア開度補正手段はドア開度が小さい程、フロアパネルの傾斜角度を大きく補正するので、ドア開度に対応して乗員がその足先でフロアパネルを適切に踏み込めるように調整することができ、乗降性の向上を図ることができる。
【0023】
この発明の一実施態様においては、乗員の乗車動作を検出する乗車検出手段を設け、乗員の乗車動作の後、フロアパネルの角度を復帰させる復帰手段を備えたものである。
【0024】
上述のフロアパネルの角度の復帰位置は、フラットな元位置であってもよく、または運転に適した姿勢調整位置であってもよい。
上記構成によれば、フロアパネルの傾斜とフロアパネルの復帰とが両立できるので、フロアパネルの傾斜により乗車性の向上が図れ、フロアパネルの復帰により脚部載置性、特に運転席に適用した場合のペダル操作性の向上を図ることができる。
【0025】
この発明の一実施態様においては、乗員の降車動作を検出する降車検出手段を設け、乗員の降車動作の後、乗員の次の乗車に備えて上記フロアパネルの角度を所定の角度に保持する保持手段を設けたものである。
上記構成によれば、降車時にはフロアパネルはフロアパネル駆動手段により前高後低状に傾斜しているので、上述の保持手段が乗員の次の乗車に備えてフロアパネルの角度を降車時の角度に保持することで、降車後乃至次の乗車時にフロアパネルを駆動する必要がなく、装置の簡略化および省エネルギを図ることができる。
【0026】
この発明の一実施態様においては、乗員の乗車動作と降車動作を検出する乗車検出手段と降車検出手段とを設け、乗員の降車動作の後、乗員の次の乗車に備えて降車動作検出時のフロアパネルの傾斜角度に対して、該フロアパネルの傾斜角度を小さく制御する乗車時フロアパネル制御手段を備えたものである。
【0027】
上記構成によれば、乗車時フロアパネル制御手段は、乗員の降車動作の後、乗員の次の乗車に備えて降車動作検出時のフロアパネルの傾斜角度に対して、該フロアパネルの傾斜角度が小さくなるように制御する。
この結果、降車後のフロアパネルの駆動量が抑制できると共に、次の乗車時にはフロアパネルを駆動する必要がないので、省エネルギ化を図ることができる。
【0028】
この発明の一実施態様においては、上記フロアパネルは操作ペダルが近接して配設された運転席乗員下部のフロアパネルであって、上記フロアパネル駆動手段は運転席乗員の足置き場と操作ペダルとの間の間隔を調整する調整手段を備えた
ものである。
【0029】
上記構成によれば、上述のフロアパネルは運転姿勢の調整手段と兼用することができるので、装置の簡略化を図ることができる。
この発明の一実施態様においては、乗員の乗車動作完了を検出する乗車完了検出手段を設け、乗員の乗車動作完了が検出された時、フロアパネルの制御が乗降用のフロアパネル傾動制御から運転姿勢調整制御に移行されるものである。
上記構成によれば、乗員の乗車動作の完了が検出されると、フロアパネルの制御は運転姿勢に適した傾斜角度となるように運転姿勢調整制御に切換えられるので、利便性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0030】
この発明によれば、乗員の乗降動作が検出された時、フロアパネルをその前部高さが後部高さに対して高くなるように傾斜させるので、乗降時に足先と下腿とが略直角となり、乗降時に踏ん張りが効くフロアパネルの傾斜が得られ、乗降時の乗員の負担軽減を図ることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
乗車時に足先と下腿とが略直角となり、乗車時に踏ん張りが効くフロアパネルの傾斜が得られ、乗車時の乗員の負担軽減を図るという目的を、フロアパネルの前後方向の角度を可変駆動するフロアパネル駆動手段と、乗員の乗車動作を検出する乗車検出手段と、乗員の乗車動作が検出された時、フロアパネル駆動手段によりフロアパネルをその前部高さが後部高さに対して高くなるように傾斜させるフロアパネル傾動制御手段とを備えるという構成にて実現した。
【実施例】
【0032】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は自動車の可動フロア装置を示すが、この可動フロア装置は車両の運転姿勢装置に組込まれているので、図1を参照してその全体構造について説明する。
図1において、シートクッション1とシートバック2とを備えたシート3を設け、このシート3と対応するフロアパネル4(固定構造のベースフロア)にはロアレール5およびアッパレール6を取付け、乗員の好みに応じてシート3の前後動が可能なシートスライド機構7を構成している。なお、アッパレール6は通常時にあってはロアレール5に位置固定されている。
【0033】
上述のアッパレール6と、シートクッション1が固定されるシートフレーム8との間には、シート3の座面前後位置、シート3の座面上下位置、シート3の座面の角度を同時に調整するシート位置調整手段9を設けている。
【0034】
このシート位置調整手段9は図2に示すように構成している。
すなわち、アッパレール6の前後両部に支持ブラケット10,11を取付け固定し、前側の支持ブラケット10とシートフレーム8の前部との間にリンク12をピン連結し、後側の支持ブラケット11とシートフレーム8の後部との間に別のリンク13をピン連結し、前側のリンク12の長さを、後側のリンク13の長さに対して長く設定している。
【0035】
またアッパレール6にはギヤボックス14を取付け、運転姿勢調整操作手段を構成するところのレバー15の操作により爪車16を駆動し、この爪車16でギヤボックス14内のギヤ17を介してピニオン18(またはウオーム)を回転し、このピニオン18によりラック部材19を前後動すべく構成すると共に、ラック部材19の後端部のピン20を、後側のリンク13の長孔13aに挿入して、上述のラック部材19の前後動によりリンク13を起伏動するように構成している。
【0036】
つまり、手動操作用のレバー15を操作することにより、ダブルリンク構造のシート位置調整手段9を介してシート3が図2に示すそれぞれの位置a,b,cに調整される。ここで、図2に示す位置aは体格が大きい乗員Lの着座状態に対応し、図2に示す位置bは体格が標準の乗員Mの着座状態に対応し、図2に示す位置cは体格が小さい乗員S(乗員L,M,Sについては図10参照)の着座状態に対応するものであり、前後のリンク12,13の長さを異ならせたことにより、座面の角度と座面の高さとを上述の如く同時に調整することができる。
【0037】
しかも、上述のギヤボックス14内にはギヤ17の回転量を検出するシート位置センサ21を設けている。このシート位置センサ21はシートスライド量の検出と、乗員の体格を検出する体格検出手段とを兼ねるものである。
【0038】
一方、図1に示すように、車両の運転時にアクセルペダル22や後述するブレーキペダル23(図8参照)を操作する乗員の脚部(踵参照)が載置されるところの前部可動フロア24の上下位置および前部可動フロア24のフロア角度を同時に調整するフロア位置調整手段としての可動フロア調整機構25を設けている。
【0039】
この可動フロア調整機構25は図3、図4、図5に示すように構成している。
すなわち、ダッシュロアパネル26の下端部に一体的に設けられたフロアパネル4の下方にはアンダフロアパネル27を設け、このアンダフロアパネル27には前後の支持脚28,28を介して基台29を取付けている。
【0040】
上述の基台29の前後上部には軸受部材30と位置センサ内蔵のモータM1とを取付け、モータM1の回転軸にはアーム31を固定する一方、軸受部材30にはL字状のアーム32を枢支している。
【0041】
そして、アーム31の遊端と、L字状のアーム32の下端との間をリンクロッド33で連結すると共に、アーム32の上端には前部可動フロア24を駆動制御するローラ34を取付けている。ここで、上述のローラ34およびL字状のアーム32はフロアパネル4に形成された開口部4aを介して前部可動フロア24側に導出されている。
【0042】
また上述の前部可動フロア24の前端はヒンジブラケット35にヒンジ連結され、この前部可動フロア24の後端には後部可動フロア36がヒンジ部材36a(図16参照)を介してヒンジ連結され、この後部可動フロア36は前部可動フロア24の上下動に従動し、後部可動フロア36の後端はフロアパネル4上を摺動すべく構成されている。なお、前部可動フロア24、後部可動フロア36、フロアパネル4の上面はフロアマット37で覆われるものである。
【0043】
上述のモータM1は図2で示したシート位置センサ21の検出出力に基づいて駆動されるものであり、モータM1の駆動時には可動フロア調整機構25を介して前部および後部の可動フロア24,36が図3、図4、図5に示すそれぞれの位置d,f,gに調整される。
【0044】
図3に示す前部可動フロア24の位置dは体格が大きい乗員Lの運転時の脚部載置状態に対応し、図4に示す前部可動フロア24の位置fは体格が標準の乗員Mの運転時の脚部載置状態に対応し、図5に示す前部可動フロア24の位置gは体格が小さい乗員Sの運転時の脚部載置状態に対応し、上記構成により前部可動フロア24の上下動とフロア角度の変位とを同時に達成すべく構成している。
【0045】
可動フロア調整機構25は図3、図4、図5で示した構成に代えて、図6の構成を採用してもよい。
図6に示す可動フロア調整機構25はアンダフロアパネル27にモータM1と軸受部材30とを取付け、モータM1の回転軸には小径の原動ギヤ38を嵌合し、軸受部材30には大径の従動ギヤ39を設けて、これら両ギヤ38,39を常時噛合させると共に、従動ギヤ39のギヤ軸39aにてアーム32を駆動すべく構成したものである。
【0046】
また後部可動フロア36が摺動するフロアパネル4とアンダフロアパネル27との間には強度部材40を設けている。
このように構成すると可動フロア調整機構25の部品点数削減を図ることができる。
なお、図6において図3〜図5との同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0047】
さらに、図1に示すように、乗員L,M,Sが操作するアクセルペダル22の操作角度およびアクセルペダル22の踏面高さを同時に調整するペダル位置調整手段42を設けている。
このペダル位置調整手段42は図7に示すように構成している。
すなわち、ダッシュロアパネル26に取付けたブラケット43にペダル22の回動センタ41を構成する支軸44を介して、ペダルブラケットアッパ45を枢支し、このペダルブラケットアッパ45の下部には、回動センタ41を中心とする円弧状のガイド溝46aをもったガイド部材46を一体または一体的に取付けている。
【0048】
上述のガイド溝46aにはその円弧状に沿って可動するスライダ47を配設し、このスライダ47にペダルブラケットロア48を介してアクセルペダル22のペダル部(踏面部)を取付けている。
【0049】
また、上述のスライダ47にはラック部49を一体に形成すると共に、このラック部49に常時噛合するウオーム50を設けており、このウオーム50をフレキシブルシャフト51Aで回転駆動すべく構成している。
そして、フレキシブルシャフト51Aの回転時に、ペダル位置調整手段42を介してアクセルペダル22を図1に示す如く、その回動センタ41(支軸44参照)を中心として前後動すべく構成している。
【0050】
図1に示すアクセルペダル22の低位置hは体格が大きい乗員Lに対応し、中間位置iは体格が標準(中位)の乗員Mに対応し、高位置jは体格が小さい乗員Sに対応するものであって、フレキシブルシャフト51Aの回転により、ウオーム50、ラック部49、スライダ47を介して、アクセルペダル22がそれぞれの位置h,i,jに調整され、このペダル位置調整手段42によりペダル22の操作角度とペダル22の踏面高さとが同時に調整される。
【0051】
図8に系統図で示すように、ブレーキペダル23についてもアクセルペダル22と同等のペダル位置調整手段42Bを介して、その回動センタ41を中心として前後動すべく構成しているので、両手段42,42Bにおいて同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略するが、コモン側のフレキシブルシャフト51はギヤボックス52を介して、互に同方向に回転するアクセルペダル22側のフレキシブルシャフト51Aと、ブレーキペダル23側のフレキシブルシャフト51Bとに分かれている。
【0052】
上述のギヤボックス52内には1つの入力ギヤ53と2つの出力ギヤ54,55とを回転可能に軸架し、入力ギヤ53に対して各出力ギヤ54,55を噛み合わせている。
上述入力ギヤ53のインプット側にはインナシャフトクランプ56を介してフレキシブルシャフト51の先端を固定し、各出力ギヤ54,55のアウトプット側にはインナシャフトクランプ56A,56Bを介してアクセルペダル22側およびブレーキペダル23側のフレキシブルシャフト51A,51Bの基端をそれぞれ固定し、共通のフレキシブルシャフト51の回転時に各ギヤ53,54,55を介して、アクセルペダル22側およびブレーキペダル23側の各フレキシブルシャフト51A,51Bを同方向に回転すべく構成している。
【0053】
上述のコモン側のフレキシブルシャフト51はモータM2で駆動され、このモータM2は図2で示したシート位置センサ21の検出出力に基づいて駆動されるように構成している。
【0054】
なお、図中57は筒状のアウタシャフト、58はアウタシャフト57をギヤボックス52に固定する取付け部材である。
ところで、図1に示すようにステアリングシャフト60およびステアリングホイール61の位置および角度を同時に調整するステアリング位置調整手段62を設けている。
【0055】
このステアリング位置調整手段62は図9に示すように構成されている。
カウルパネル63とダッシュロアパネル26との間に取付けられたダッシュアッパパネル64の後部にはステアリング支持ブラケット65,66を介して車体剛性部材としてのステアリング支持メンバ67(インパネメンバと同意)が車幅方向に向けて張架されている。
【0056】
一方、上述のステアリングシャフト60は第1シャフト68と第2シャフト69とを有し、これら両シャフト68,69をステアリングジョイントとしてのユニバーサルジョイント70で連結し、第1シャフト68の下部が前述の回動センタ41と車幅方向に一致するように構成し、この第1シャフト68が回動センタ41を中心として位置調整されるように構成している。
【0057】
上述の第2シャフト69の下部にはステアリングギヤが設けられる一方、上述の第1シャフト68の上部にはステアリングホイール61が設けられ、第1シャフト68の主要部は軸管としてのステアリングコラム71で囲繞されている。
【0058】
このステアリングコラム71の上方において該ステアリングコラム71と交差するステアリング支持メンバ67には上下一対のステアリング支持部材72,73を取付けている。
【0059】
下側のステアリング支持部材73に対して上下動可能なホルダ74を設け、このホルダ74でステアリングコラム71を保持すると共に、このホルダ74の側片部にはラック部75を形成している。
【0060】
上述のステアリング支持部材73には、図2で示したシート位置センサ21の検出出力に基づいて駆動されるモータM3を取付け、このモータM3に連動させたウオーム76を上述のラック部75に常時噛合させ、モータM3の回転によりウオーム76およびラック部75を介してステアリングシャフト60およびステアリングホイール61を位置x,yに位置調整および角度調整すべく構成している。
【0061】
ここで、上述のラック部75は図9に示すように、回動センタ41を中心とする半径Rの曲率と一致するように湾曲形成されている。
【0062】
図1、図9の位置xは体格が大きい乗員Lに対応し、図1、図9の位置yは体格が小さい乗員Sに対応し、体格が標準の乗員Mについてはこれら両位置x,yの中間位置となる。
【0063】
上述のレバー15およびシート位置センサ21および各モータM1,M2,M3から成る運転姿勢調整操作手段は、シート位置調整手段9と、可動フロア調整機構25と、ペダル位置調整手段42と、ステアリング位置調整手段62とを所定の関係で連動させて同時に調整操作すべく構成している。
【0064】
一般に人間(乗員)は、着座位置が低い時は、上腿と下腿とが開いた姿勢で人間工学的に安楽な状態となり、着座位置が高い時は、上腿と下腿とが閉じた姿勢で人間工学的に安楽な状態となる(図10,図11参照)。
そこで、このような安楽な姿勢を維持した状態のままで、人間の姿勢をアクセルペダル22の回動センタ41をほぼ支点として回動させてヒップポイントを設定すれば、乗員は常に安楽な姿勢になるため、次のようにヒップポイントが設定されている。
【0065】
体格が大きい乗員Lについては、従来の上腿と下腿との開角(135度前後)よりも若干小さい開角(128度前後)の安楽な姿勢を維持したままアクセルペダル22の回動センタ41を中心とする円弧に沿って図11に示すRVモードの乗員LのヒップポイントP1´を下げて同図のセダンモードのヒップポイントP1を設定して、このヒップポイントP1を従来のヒップポイントP11に対して下方かつ前方に設定している。
【0066】
体格が小さい乗員Sについては、従来の上腿と下腿との開角(114度前後)よりも若干大きい開角(130度前後)の安楽な姿勢を維持したままアクセルペダル22の回動センタ41を中心とする円弧に沿ってヒップポイントを上げて、このヒップポイントP3(図10参照)を従来のヒップポイントP13に対して上方かつ後方に設定し、それぞれの乗員L,M,Sの視界ラインeが図10に示す如く同一ライン上に一致するように構成している。
【0067】
図12、図13においては体格が大きい乗員Lに対応するシート3、アクセルペダル22、前部可動フロア24の位置a,h,dを点線で示し、体格が標準の乗員Mに対応するシート3、アクセルペダル22、前部可動フロア24の位置b,i,fを実線で示し、体格が小さい乗員Sに対応するシート3、アクセルペダル22、前部可動フロア24の位置c,j,gを仮想線で示している。
【0068】
すなわち、シート3は図12に示す乗員L対応のヒップポイントP1と乗員S対応のヒップポイントP3とを結ぶライン77に沿って、そのシートクッション1の座面1A位置が後方下部から斜め上方前部に移動すべく構成し、かつ座面1Aの高さと同時に座面1Aの角度が調整されるように構成している。
【0069】
ここで、シートクッション1の座面角度は図12から明らかなように、シート3が前方かつ上方に移動するのに伴って前高後低状から水平状に近づくように調整される。
またアクセルペダル22は図13に示すように、体格が大きい乗員Lに対応する位置h(点線参照)から体格が小さい乗員Sに対応する位置j(仮想線参照)に向けて、該アクセルペダル22の回動センタ41を中心として順次乗員に近づく方向へ移動し、アクセルペダル22の操作角度が調整できるように構成されている。
【0070】
さらに前部可動フロア24は図13に示すように、アクセルペダル22が乗員に近づく方向へ移動するのに伴って、順次上方へ移動するが、この場合、アクセルペダル22と前部可動フロア24との成す角度φが該前部可動フロア24のそれぞれの高さ位置d,f,gにおいて同一になるように、前部可動フロア24のフロア角度は該前部可動フロア24が下方から上方へ移動するのに伴って、前高後低状(位置d参照)から水平に近づき(位置f参照)、さらに前低後高状(位置g参照)となるように調整される。
【0071】
図10に示すように、体格が大きい乗員Lに相当するヒップポイントP1を従来のヒップポイントP11に対して、下方かつ前方に設定することにより、距離L1だけシート3を前方に配置することができ、これにより、車両の前後空間やホイールベースが同一の車両であっても、この分だけ後席空間の拡大、並びにパッケージ効率の向上を図ることができると共に、このシート3の前方配置により乗員がセンタピラーに対して前方に着座でき、側突時におけるセンタピラーの車室内方向への変形を回避できるので、安全性についてもその向上を図ることができる。
【0072】
また、図10に示すように、体格が小さい乗員Sに相当するヒップポイントP3を従来のヒップポイントP13に対して上方かつ後方に設定することにより、ヒップポイントP3,P1間の車両前後方向の長さが短縮できるので、距離L1と距離L2との合計分だけシート3の前後方向の調整量短縮を図ることができるうえ、体格が小さい乗員SのヒップポイントP3を従来のそれ(P13参照)と比較して後方に設定するので、サイドミラーに対する視線角が小さくてよく、さらにはメータ視界の向上をも図ることができる。
【0073】
さらに、実施例では図10に示すステアリングシャフト60およびステアリングホイール61も上述の回動センタ41を中心として位置調整される。
【0074】
ところで、図14に示すように可動フロア調整機構25で調整される前部可動フロア24は車両の運転時に乗員がその踵を載せる足置き場として利用される一方、図15に示すように前部可動フロア24に従動する後部可動フロア36は乗員が乗降する際のステップ(踏み台)として利用される。
【0075】
図16は車両の平面図であって、運転席および助手席に対応して乗員の側方に設けられたフロント側の乗降口78,78には、車幅方向へ回動可能に枢支されたドアつまりヒンジドア79,79が設けられている。
【0076】
一方、リヤ席に対応して乗員の側方に設けられたリヤ側の乗降口80,80
には、車両の前後方向に開閉可能に支持されたドアつまりスライドドア81,81が設けられている。
【0077】
図17は図16のA−A線矢視断面図であって、後部可動フロア36には車内側のフラット部36aと車外側のフラット部36bとの間に乗降口78側が低くなる傾斜部36cが
一体形成されていて、乗員は車両に対する乗降時に、この傾斜部36cに足先を乗せて乗降する。
【0078】
図18は自動車の可動フロア装置の制御回路ブロック図であってECU100はドアスイッチ101、ハンドブレーキスイッチ102、フロア圧センサ103、ドア開度センサ104、シート荷重センサ105、シートベルト装着センサ106、シート位置センサ21からの必要な入力に基づいて、ROM107に格納されたプログラムに従って、各モータM1,M2,M3、スピーカ108およびタッチパネルディスプレイ109を駆動制御し、またRAM110は図19〜図25に示す各種のマップMAP1〜MAP7や必要なデータを記憶する。さらに上述の各モータM1,M2,M3はステップモータにより構成されている。
【0079】
ここで、上述のタッチパネルディスプレイ109はインストルメントパネルに設けられ、乗員が前部可動フロア24、ペダル22,23、ステアリングホイール61の位置を微調整する時、ペダル調整スイッチ111、フロア調整スイッチ112、ステアリングホイール調整スイッチ113が表示され、これら各スイッチ111,112,113へのタッチ入力がECU100に出力されて、上述の各要素24,22,23,61の位置を独立して微調整することができるように構成されている。
【0080】
また、ドアスイッチ101はドア開時にONとなり、乗員の乗降を検出する。ハンドブレーキスイッチ102はブレーキ操作時にONとなり降車判定に用いられる。フロア圧センサ103は前部可動フロア24、後部可動フロア36に付勢される圧力を検出し、乗員の着座か荷物の搭載かを判別するために用いられる。ドア開度センサ104はドアの開度を検出する。シートベルト装着センサ21はシートベルトを装着したか、あるいはシートベルトを取り外したかを検出し、乗員の着座又は降車判定に用いられる。
【0081】
図19に示すマップMAP1はドア開度が小さい程、後部可動フロア36の傾斜角度が大きくなるように補正するドア開度補正手段である。
【0082】
図20に示すマップMAP2は乗車動作が検出された時は、降車時に対して後部可動フロア36の傾斜角度が小さくなるように補正する乗車補正手段と、体格検出手段としてのシート位置センサ21の検出結果(乗員の体格の大小)に基づいて後部可動フロア36の傾斜角度を補正する体格補正手段とを兼ねる。
【0083】
図21、図22、図23に示すマップMAP3,MAP4,MAP5はそれぞれ目標位置データマップであって、図21に示すマップMAP3はシートスライド量に対応して前部可動フロア24の設定位置を特定したものであり、図22に示すマップMAP4はシートスライド量に対してペダル22,23の設定位置を特定したものであり、図23に示すマップMAP5はシートスライド量に対応してステアリングホイール61の設定位置を特定したものである。
【0084】
図24、図25に示すマップMAP6,MAP7はシートスライド量に対して乗員の体格を推定するマップであって、図24のマップMAP6は乗員の体格値を無段階に推定し、図25のマップMAP7は乗員の体格値を大、中、小の3段階に段階的に推定するためのものである。
【0085】
図18で示したECU100は、乗員の乗車動作を検出する乗車検出手段(図26のステップS1参照)と、乗員の降車動作を検出する降車検出手段(図26のステップS10参照)と、ドアの開度を検出するドア開度検出手段(図26のステップS2、S11参照)と、乗車検出手段(ステップS1参照)により乗員の乗車動作が検出された時、モータM1により後部可動フロア36を図5に示すように、その前部高さが後部高さに対して高くなるように傾斜させるフロアパネル傾動制御手段(図26のステップS3参照)と乗員の乗車動作完了を検出する乗車完了検出手段(図26のステップS4参照)と、降車検出手段(ステップS10参照)により乗員の降車動作が検出された時、モータM1により後部可動フロア36を図5に示すようにその前部高さが後部高さに対して高くなるように傾斜させるフロアパネル傾動制御手段(図26のステップS13参照)と、乗員の降車動作の後、乗員の次の乗車に備えて降車動作検出時の後部可動フロア36の傾斜角度に対して、該後部可動フロア36の傾斜角度を小さく制御する乗車時フロアパネル制御手段(図26のステップS17参照)とを兼ねると共に、乗員の乗車動作完了が検出された時(ステップS4のYES判定参照)、後部可動フロア36および前部可動フロア24の制御が乗降用のフロアパネル傾動制御から運転姿勢を調整する運転姿勢調整制御(図26のステップS6参照)に移行されるように構成している。
【0086】
このように構成した自動車の可動フロア装置の作用を、図26に示すフローチャートを参照して以下に詳述する。
ステップS1で、ECU100はドアスイッチ101がONか否かを判定し、ドアスイッチ101のOFF時にはリターンする一方、ドアスイッチ101のON時には乗員がヒンジドア79を開けて乗車すると判定して、次のステップS2に移行する。
【0087】
このステップS2で、ECU100はドア開度センサ104からの出力に基づいてドア開度を検出する。
次にステップS3で、ECU100は体格値およびドア開度による補正を実行し、モータM1を介して後部可動フロア36を前高後低状の乗車位置へ傾ける。
【0088】
ここで、体格値については前回の処理において予めステップS9で検出または変更した値をRAM110の所定エリアから読出し、この体格値に対応する乗車時のフロア傾斜角を図20のマップMAP2から読出す。図20に示すように乗車時の後部可動フロア36の傾斜角は降車時のそれに対して相対的に小さく設定されている。
【0089】
またドア開度に対応した後部可動フロア36の傾斜角補正値は図19のマップMAP1から読出すが、ドア開度が小さい程、後部可動フロア36の傾斜角度が大きくなるように補正される。これは、ヒンジドア79の開度が小さい場合には、乗員の移動方向が極度に前後方向に偏るので、このような場合にも対応して充分に踏み込めるように成すためである。
【0090】
図27に示すように後部可動フロア36を前高後低状に傾動させると、乗員が車両に乗り込む時、乗員は上腿と下腿とを屈曲し、足首に対して該足首よりも下の部分つまり足先を後部可動フロア36に載せて踏ん張るが、足先と下腿とが略直角となり、図27に矢印で示す力の方向と後部可動フロア36とが略直交するので踏ん張りが効き、身体を支えやすくなり、乗車時の下腿に対する負担の軽減を図ることができる。
【0091】
図28は体格が大きい乗員Lの乗り込み時の説明図、図29は体格が小さい乗員Sの乗り込み時の説明図であって、体格が大きい乗員Lの重心位置H2に対して体格が小さい乗員Sの重心位置H1は低いので、足首と足先との角度は体格の小さい乗員Sの方が小さくなり、このため足先を支える後部可動フロア36の傾斜角度も小さくなる。
【0092】
次にステップS4で、ECU100はフロア圧センサ103、シート荷重センサ105、シートベルト装着センサ106の出力に基づいて、乗員がシート3に着座したか否かを判定し、NO判定時にはステップS1にリターンする一方、YES判定時(乗車動作完了時)には次のステップS5に移行する。
このステップS5で、ECU100はドア79に内蔵させたスピーカ108を駆動して、可動フロア24,36が動く旨の音声アナウンスを実行する。
【0093】
次のステップS6で、ECU100は可動フロア24,36の制御を乗降用のフロアパネル傾動制御からシート連動位置へコントロールする運転姿勢制御に切換える。
すなわち、乗員がレバー15を介して操作するシート3の位置a,b,cに対応して、シート位置センサ21が検出したシートスライド量に符合するように、図21のマップMAP3から前部可動フロア24の設定位置を読出して、モータM1を介して前部可動フロア24を位置d,f,gの目標位置に自動調整し、図22のマップMAP4からペダル22,23の設定位置を読出して、モータM2を介してペダル22,23を位置h,i,jの目標位置に自動調整し、図23のマップMAP5からステアリングホイール61の設定位置を読出して、モータM3を介してステアリングホイール61を位置x,yの目標位置に自動調整する。
【0094】
ここで、前部可動フロア24は位置d,f,gのみならず、これらの中間位置にも調整でき、同様にペダル22,23は位置h,i,jのみならず、これらの中間位置にも調整でき、ステアリングホイール61は位置x,yのみならず、これらの中間位置にも調整できる。
【0095】
またシート3に着座したドライバがタッチパネルディスプレイ109の各スイッチ111,112,113をタッチ操作することで、ペダル22,23、前部可動フロア24、ステアリングホイール61の位置を微調整することもできる。
【0096】
次にステップS7で、ECU100は音声アナウンスをOFFにする。次にステップS8で、ECU100はシート位置センサ21からの出力に基づいて乗員がシート3を動かしたか否かを判定し、YES判定時には次のステップS9に移行し、NO判定時には別のステップS10にスキップする。
【0097】
上述のステップS9で、ECU100はシート位置センサ21からの出力つまりシートスライド量に対応して図24のマップMAP6または図25のマップMAP7から乗員の体格値を読出し、読出した体格値に変更すべく、このRAN110の所定エリアに記憶する。
ここで、上述の体格値は各ステップS3,S13での補正処理に反映される。
【0098】
次にステップS10で、ECU100はドアスイッチ101または/およびハンドブレーキスイッチ102からの出力に基づいて乗員が降車しようとしているか否かを判定し、NO判定時にはステップS8にリターンする一方、YES判定時には次のステップS11に移行する。
【0099】
このステップS11で、ECU100はドア開度センサ104からの出力に基づいてヒンジドア79のドア開度を検出し、次のステップS12で、ECU100はドア79に内蔵させたスピーカ108を駆動して、可動フロア24,36が動く旨の音声アナウンスを実行する。
【0100】
次にステップS13で、ECU100は体格値およびドア開度による補正を実行し、モータM1を介して後部可動フロア36を前高後低状の降車位置へ傾ける。
【0101】
ここで、体格値はRAM110の所定エリアから読出し、この体格値に対応する降車時のフロア傾斜角を図20のマップMAP2から読出す。図20に示すように降車時の後部可動フロア36の傾斜角は乗車時のそれに対して相対的に大きく設定されている。つまり降車時はシート3に着座した状態から身体を起こす必要があるので、乗車時のフロア傾斜角よりも降車時のフロア傾斜角の方が大きいことが望ましい。
【0102】
またドア開度に対応した後部可動フロア36の傾斜角補正値は図19のマップMAP1から読出すが、ドア開度が小さい程、後部可動フロア36の傾斜角度が大きくなるように補正される。これは、ヒンジドア79の開度が小さい場合には、乗員の移動方向が極度に前後方向に偏るので、このような場合にも対応して充分に踏み込めるように成すためである。
【0103】
図30に示すように後部可動フロア36を前高後低状に傾動させると、乗員が車両から降りる時、乗員は上腿と下腿とを屈曲し、足首に対して該足首よりも下の部分つまり足先を後部可動フロア36に載せて踏ん張りながら身体を車両の後方かつ横方向に持ち上げるが、足先と下腿とが略直角となり、図30に矢印で示す力の方向と後部可動フロア36とが略直交するので踏ん張りが効き、身体を支えやすくなり、降車時の下腿に対する負担の軽減を図ることができる。
【0104】
図31は体格が大きい乗員Lの降車時の説明図、図32は体格が小さい乗員Sの降車時の説明図であって、体格が大きい乗員Lの重心位置H2に対して体格が小さい乗員Sの重心位置H1は低いので、足首と足先との角度は体格の小さい乗員Sの方が小さくなり、このため足先を支える後部可動フロア36の傾斜角度も小さくなる。
【0105】
次にステップS14で、ECU100は音声アナウンスをOFFにする。次にステップS15(降車完了検出手段)で、ECU100はドアスイッチ101のONからOFFへの変化等に基づいて乗員が車両から降車したか否かを判定し、NO判定時にはステップS16に移行し、YES判定時には別のステップS17に移行する。
【0106】
上述のステップS16で、ECU100はドアスイッチ101または/およびハンドブレーキスイッチ102からの出力に基づいて乗員が降車しようとしているか否かを判定し、NO判定時にはステップS8にリターンし、YES判定時にはステップS15にリターンする。
【0107】
上述のステップS17で、ECU100は先のステップS13で所定角度に傾斜させた後部可動フロア36を乗員の次の乗車に備えて当該乗員の乗車位置へ傾けるために、後部可動フロア36の傾斜角度を降車時のそれに対して小さく制御する。
なお、図26で示したフローチャートの一部を図33または図34のように変更してもよい。
【0108】
図33で示すフローチャートは図26の各ステップS5,S6の間にステップS18を介設したものであって、ステップS4のYES判定時(乗車完了検出時)にステップS5での処理を終えた後に、ステップS18に移行して、このステップS18で、ECU100は後部可動フロア36の角度を元のフラットな状態に復帰させるものである。この図33に示すフローチャートにおいても他のステップについては図26のそれと同一である。
【0109】
図34で示すフローチャートは図26のステップS17をステップS19に変更したものである。つまり、ステップS15で乗員が車両から降車したことが判定された時、このステップS19に移行し、このステップS19でECU100は後部可動フロア36の傾斜角度をステップS13における降車時の所定角度に保持したままの状態と成して、乗員の次の乗車に備えるものである。この図34に示すフローチャートにおいても他のステップについては図26のそれと同一である。
【0110】
ところで、図16、図35、図36に示すように助手席側には、前述のモータM1およびローラ34等と同等の機構にて運転席側の可動フロア24,36と同様に駆動制御される前部可動フロア82と後部可動フロア83とを設けている。これらの両フロア82,83は蝶番等のヒンジ部材84にて互に連結されると共に、両フロア82,83の可動時に後部可動フロア83の後端が常にフロアパネル4に接して乗員の脚部が載置される両フロア82,83の安定化を図る目的で、これら両フロア82,83は平面から見て図35に示す直角二等辺三角形85の一部を構成するように形成されており、前後の可動フロア82,83のヒンジ屈曲部は直角二等辺三角形85の垂直二等分線85aに沿って変位する。
【0111】
これらの両可動フロア82,83は助手席側に設けられたものであるから、乗員の運転姿勢を調整するものではないが、乗員の乗降時には後部可動フロア83の前部が高く、後部が低くなるように、上述同様のフローチャートにより傾動制御される。
【0112】
また後部可動フロア83は運転席側の後部可動フロア36と同様に、単に前高後低状に傾斜するのみならず、乗降口78が低くなるように車幅方向にも傾斜しているので、助手席乗員の乗降性をさらに向上させることができる。なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印INは車両内方を示し、矢印OUTは車両外方を示すものである。
【0113】
このように上記実施例の自動車の可動フロア装置は、乗員の脚部が載置される後部可動フロア36を可動と成した自動車の可動フロア装置であって、上記後部可動フロア36の前後方向の角度を可変駆動するフロアパネル駆動手段(モータM1参照)と、乗員の乗車動作を検出する乗車検出手段(ステップS1参照)と、上記乗車検出手段(ステップS1参照)により乗員の乗車動作が検出された時、上記フロアパネル駆動手段(モータM1参照)により後部可動フロア36をその前部高さが後部高さに対して高くなるように傾斜させるフロアパネル傾動制御手段(ステップS3参照)とを備えたものである。
【0114】
この構成によれば、フロアパネル駆動手段(モータM1参照)は、乗員の脚部が載置される後部可動フロア36の前後方向の角度を可変駆動し、乗車検出手段(ステップS1参照)は乗員の乗車動作を検出し、フロアパネル傾動制御手段(ステップS3参照)は、上述の乗車検出手段(ステップS1参照)により乗員の乗車動作が検出された時、フロアパネル駆動手段(モータM1参照)により後部可動フロア36をその前部高さが後部高さに対して高くなるように傾斜させる。
【0115】
この結果、乗車時において乗員の足先と下腿とが略直角となり、乗車時に踏ん張りが効く後部可動フロア36の傾斜が得られ、乗車時の乗員の負担軽減を図ることができる。
また上記実施例の自動車の可動フロア装置は、乗員の脚部が載置される後部可動フロア36を可動と成した自動車の可動フロア装置であって、上記後部可動フロア36の前後方向の角度を可変駆動するフロアパネル駆動手段(モータM1参照)と、乗員の降車動作を検出する降車検出手段(ステップS10参照)と、上記降車検出手段(ステップS10参照)により乗員の降車動作が検出された時、上記フロアパネル駆動手段(モータM1参照)により後部可動フロア36をその前部高さが後部高さに対して高くなるように傾斜させるフロアパネル傾動制御手段(ステップS13参照)とを備えたものである。
【0116】
この構成によれば、フロアパネル駆動手段(モータM1参照)は、乗員の脚部が載置される後部可動フロア36の前後方向の角度を可変駆動し、降車検出手段(ステップS10参照)は乗員の降車動作を検出し、フロアパネル傾動制御手段(ステップS13参照)は、上述の降車検出手段(ステップS10参照)により乗員の降車動作が検出された時、フロアパネル駆動手段(モータM1参照)により後部可動フロア36をその前部高さが後部高さに対して高くなるように傾斜させる。
【0117】
この結果、降車時において乗員の足先と下腿とが略直角となり、降車時に踏ん張りが効く後部可動フロア36の傾斜が得られ、降車時の乗員の負担軽減を図ることができる。
【0118】
さらに上記実施例の自動車の可動フロア装置は、乗員の脚部が載置される後部可動フロア36を可動と成した自動車の可動フロア装置であって、上記後部可動フロア36の前後方向の角度を可変駆動するフロアパネル駆動手段(モータM1参照)と、乗員の乗降動作を検出する乗降検出手段(各ステップS1、S10参照)と、上記乗降検出手段(各ステップS1、S10参照)により乗員の乗降動作が検出された時、上記フロアパネル駆動手段(モータM1参照)により後部可動フロア36をその前部高さが後部高さに対して高くなるように傾斜させるフロアパネル傾動制御手段(各ステップS3、S13参照)とを備えたものである。
【0119】
この構成によれば、フロアパネル駆動手段(モータM1参照)は、乗員の脚部が載置される後部可動フロア36の前後方向の角度を可変駆動し、乗降検出手段(各ステップS1、S10参照)は乗員の乗降動作を検出し、フロアパネル傾動制御手段(各ステップS3、S13参照)は、上述の乗降検出手段(各ステップS1、S10参照)により乗員の乗降動作が検出された時、フロアパネル駆動手段(モータM1参照)により後部可動フロア36をその前部高さが後部高さに対して高くなるように傾斜させる。
【0120】
この結果、乗降時において乗員の足先と下腿とが略直角となり、乗降時に踏ん張りが効く後部可動フロア36の傾斜が得られ、乗降時の乗員の負担軽減を図ることができる。
【0121】
また、乗員の乗車動作と降車動作を検出する乗車検出手段(ステップS1参照)と降車検出手段(ステップS10参照)とを設け、乗車動作検出時は降車動作検出時に対して上記後部可動フロア36の傾斜角度を小さく補正する乗車補正手段(マップMAP2参照)を備えたものである。
【0122】
上記構成によれば、次の如き効果がある。すなわち、乗車時は降車時と比較して乗員が身体を下ろすだけで、踏ん張る力が比較的小さくてよいため、後部可動フロア36の傾斜角度を小さく補正して、足先を置きやすくすることができ、乗降両時のそれぞれに適した乗降性の向上を図ることができる。
【0123】
さらに、乗員の体格を検出する体格検出手段(シート位置センサ21参照)を設け、上記体格検出手段(シート位置センサ21参照)の検出結果に基づいて後部可動フロア36の傾斜角度を補正する体格補正手段(マップMAP2参照)を備えたものである。
【0124】
ここで、体格の大きい人はルーフレールやステアリングホイール61などに対応して体格の小さい人よりも上体の屈み込み量が大きくなると共に、重心位置が高いため、その足先を支える後部可動フロア36の傾斜角度は大きい方が望ましく、逆に、乗降口78が高い場合には、体格の大きい人は体格の小さい人に対してサイドシルを跨ぐ量が減るので、後部可動フロア36の傾斜角度は小さい方が望ましい。
【0125】
この構成によれば、体格補正手段(マップMAP2参照)は体格検出手段(シート位置センサ21参照)の検出結果に基づいて後部可動フロア36の傾斜角度を補正するので、体格に応じた適切な後部可動フロア36の傾斜角度が得られ、乗員の体格の大小にかかわらず乗員の負担軽減を図ることができる。
【0126】
加えて、乗員の側方に設けられた乗降口78に車幅方向へ回動可能に枢支されたドア79と、該ドア79開度を検出するドア開度検出手段(ステップS2参照)とを備え、上記ドア開度が小さい程、後部可動フロア36の傾斜角度を大きく補正するドア開度補正手段(マップMAP1参照)を設けたものである。
【0127】
上述のドア(つまりヒンジ式ドア)79の開度は充分得られる場合と、駐車場のようにドア79の開度が充分得られない場合とがあり、ドア開度が小さい場合いは乗員の移動方向は極度に前後方向に偏るが、上記構成によれば、上述のドア開度補正手段(マップMAP1参照)はドア開度が小さい程、後部可動フロア36の傾斜角度を大きく補正するので、ドア開度に対応して乗員がその足先で後部可動フロア36を適切に踏み込めるように調整することができ、乗降性の向上を図ることができる。
【0128】
また、乗員の乗車動作を検出する乗車検出手段(ステップS1参照)を設け、乗員の乗車動作の後、後部可動フロア36の角度を復帰させる復帰手段(図33のステップS18または図26のステップS6参照)を備えたものである。
【0129】
上記構成によれば、後部可動フロア36の傾斜とフロアパネル(可動フロア244,36参照)の復帰とが両立できるので、フロアパネルの傾斜により乗車性の向上が図れ、フロアパネルの復帰により脚部載置性、特に運転席に適用した場合のペダル操作性の向上を図ることができる。
【0130】
さらに、乗員の降車動作を検出する降車検出手段(ステップS10参照)を設け、乗員の降車動作の後、乗員の次の乗車に備えて上記後部可動フロア36の角度を所定の角度に保持する保持手段(ステップS19参照)を設けたものである。
【0131】
この構成によれば、降車時には後部可動フロア36はフロアパネル駆動手段(モータM1参照)により前高後低状に傾斜しているので、上述の保持手段(ステップS19参照)が乗員の次の乗車に備えて後部可動フロア36の角度を降車時の角度に保持することで、降車後乃至次の乗車時に後部可動フロア36を駆動する必要がなく、装置の簡略化および省エネルギを図ることができる。
【0132】
加えて、乗員の乗車動作と降車動作を検出する乗車検出手段(ステップS1参照)と降車検出手段(ステップS10参照)とを設け、乗員の降車動作の後(ステップS15のYES判定参照)、乗員の次の乗車に備えて降車動作検出時の後部可動フロア36の傾斜角度に対して、該後部可動フロア36斜角度を小さく制御する乗車時フロアパネル制御手段(ステップS17参照)を備えたものである。
【0133】
この構成によれば、乗車時フロアパネル制御手段(ステップS17参照)は、乗員の降車動作の後、乗員の次の乗車に備えて降車動作検出時の後部可動フロア36の傾斜角度に対して、該後部可動フロア36の傾斜角度が小さくなるように制御する。
【0134】
この結果、降車後の後部可動フロア36の駆動量が抑制できると共に、次の乗車時には後部可動フロア36を駆動する必要がないので、省エネルギ化を図ることができる。
【0135】
また、上記後部可動フロア36は操作ペダル(アクセルペダル22、ブレーキペダル23参照)が近接して配設された運転席乗員下部のフロアパネルであって、上記フロアパネル駆動手段(モータM1参照)は運転席乗員の足置き場と操作ペダル22,23との間の間隔を調整する調整手段(可動フロア調整機構25参照)を備えたものである。
【0136】
この構成によれば、上述の後部可動フロア36は運転姿勢の調整手段と兼用することができるので、装置の簡略化を図ることができる。
【0137】
さらに、乗員の乗車動作完了を検出する乗車完了検出手段(ステップS4参照)を設け、乗員の乗車動作完了が検出された時、後部可動フロア36の制御が乗降用のフロアパネル傾動制御から運転姿勢調整制御に移行されるものである。
【0138】
この構成によれば、乗員の乗車動作の完了が検出されると、可動フロア24,36の制御は運転姿勢に適した傾斜角度となるように運転姿勢調整制御に切換えられるので、利便性の向上を図ることができる。
【0139】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のフロアパネルは、実施例の後部可動フロア36に対応し、
以下同様に、
フロアパネル駆動手段は、モータM1に対応し、
乗車検出手段は、ステップS1に対応し、
フロアパネル傾動制御手段は、ステップS3に対応し、
降車検出手段は、ステップS10に対応し、
フロアパネル傾動制御手段は、ステップS13に対応し、
乗降検出手段は、各ステップS1,S10に対応し、
乗車補正手段は、マップMAP2に対応し、
体格検出手段は、シート位置センサ21に対応し、
体格補正手段は、マップMAP2に対応し、
ドア開度検出手段は、ステップS2に対応し、
ドア開度補正手段は、マップMAP1に対応し、
復帰手段は、図26のステップS6または図33のステップS18に対応し、
保持手段は、ステップS19に対応し、
乗車時フロアパネル制御手段は、ステップS17に対応し、
調整手段は、可動フロア調整機構25に対応し、
乗車完了検出手段は、ステップS4に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0140】
例えば,上記実施例のマップからの読出し処理に代えて、ECU100による演算処理を採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】自動車の可動フロア装置を示す概略全体図。
【図2】シート位置調整手段を示す側面図。
【図3】可動フロア装置の側面図。
【図4】可動フロアの中間位置を示す側面図。
【図5】可動フロアの高位置を示す側面図。
【図6】可動フロア装置の他の実施例を示す側面図。
【図7】ペダルの位置調整手段を示す斜視図。
【図8】ペダルの調整構造を示す系統図。
【図9】ステアリング位置調整手段を示す側面図。
【図10】乗員の体格差による運転姿勢の変化を示す側面図。
【図11】ヒップポイント設定時の説明図。
【図12】シートの調整を示す側面図。
【図13】可動フロアとペダルの連動調整を示す側面図。
【図14】車両運転時の説明図。
【図15】乗降時の説明図。
【図16】可動フロア装置を備えた車両の平面図。
【図17】図16のA−A線に沿う後部可動フロアの断面図。
【図18】制御回路ブロック図。
【図19】ドア開度による補正値を示すマップの説明図。
【図20】体格および乗降の差異によるフロア傾斜角の変化を示すマップの説明図。
【図21】シートスライド量によるフロア設定位置を示すマップの説明図。
【図22】シートスライド量によるペダル設定位置を示すマップの説明図。
【図23】シートスライド量によるステアリングホイール設定位置を示すマップの説明図。
【図24】シートスライド量に対応する体格値を示すマップの説明図。
【図25】シートスライド量に対応する体格値を示すマップの説明図。
【図26】可動フロア制御を示すフローチャート。
【図27】乗員乗車時の説明図。
【図28】体格が大きい乗員の乗車時の説明図。
【図29】体格が小さい乗員の乗車時の説明図。
【図30】乗員降車時の説明図。
【図31】体格が大きい乗員の降車時の説明図。
【図32】体格が小さい乗員の降車時の説明図。
【図33】可動フロア制御の他の実施例を示すフローチャート。
【図34】可動フロア制御のさらに他の実施例を示すフローチャート。
【図35】図16の部分拡大図。
【図36】助手席側可動フロアの斜視図。
【図37】従来の乗員乗車時の説明図。
【図38】従来の乗員降車時の説明図。
【符号の説明】
【0142】
21…シート位置センサ(体格検出手段)
22,23…操作ペダル
25…可動フロア調整機構(調整手段)
36…後部可動フロア(フロアパネル)
78…乗降口
79…ドア
M1…モータ(フロアパネル駆動手段)
MAP1…ドア開度補正手段
MAP2…乗車補正手段、体格補正手段
S1…乗車検出手段
S2…ドア開度検出手段
S3,S13…フロアパネル傾動制御手段
S4…乗車完了検出手段
S6,S18…復帰手段
S10…降車検出手段
S17…乗車時フロアパネル制御手段
S19…保持手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員の脚部が載置されるフロアパネルを可動と成した自動車の可動フロア装置であって、
上記フロアパネルの前後方向の角度を可変駆動するフロアパネル駆動手段と、
乗員の乗車動作を検出する乗車検出手段と、
上記乗車検出手段により乗員の乗車動作が検出された時、上記フロアパネル駆動手段によりフロアパネルをその前部高さが後部高さに対して高くなるように傾斜させるフロアパネル傾動制御手段とを備えた
自動車の可動フロア装置。
【請求項2】
乗員の脚部が載置されるフロアパネルを可動と成した自動車の可動フロア装置であって、
上記フロアパネルの前後方向の角度を可変駆動するフロアパネル駆動手段と、
乗員の降車動作を検出する降車検出手段と、
上記降車検出手段により乗員の降車動作が検出された時、上記フロアパネル駆動手段によりフロアパネルをその前部高さが後部高さに対して高くなるように傾斜させるフロアパネル傾動制御手段とを備えた
自動車の可動フロア装置。
【請求項3】
乗員の脚部が載置されるフロアパネルを可動と成した自動車の可動フロア装置であって、
上記フロアパネルの前後方向の角度を可変駆動するフロアパネル駆動手段と、
乗員の乗降動作を検出する乗降検出手段と、
上記乗降検出手段により乗員の乗降動作が検出された時、上記フロアパネル駆動手段によりフロアパネルをその前部高さが後部高さに対して高くなるように傾斜させるフロアパネル傾動制御手段とを備えた
自動車の可動フロア装置。
【請求項4】
乗員の乗車動作と降車動作を検出する乗車検出手段と降車検出手段とを設け、乗車動作検出時は降車動作検出時に対して上記フロアパネルの傾斜角度を小さく補正する乗車補正手段を備えた
請求項3記載の自動車の可動フロア装置。
【請求項5】
乗員の体格を検出する体格検出手段を設け、
上記体格検出手段の検出結果に基づいてフロアパネルの傾斜角度を補正する体格補正手段を備えた
請求項1〜4の何れか1に記載の自動車の可動フロア装置。
【請求項6】
乗員の側方に設けられた乗降口に車幅方向へ回動可能に枢支されたドアと、
該ドア開度を検出するドア開度検出手段とを備え、
上記ドア開度が小さい程、フロアパネルの傾斜角度を大きく補正する
ドア開度補正手段を設けた
請求項1〜4の何れか1に記載の自動車の可動フロア装置。
【請求項7】
乗員の乗車動作を検出する乗車検出手段を設け、
乗員の乗車動作の後、フロアパネルの角度を復帰させる復帰手段を備えた
請求項1,3〜6の何れか1に記載の自動車の可動フロア装置。
【請求項8】
乗員の降車動作を検出する降車検出手段を設け、
乗員の降車動作の後、乗員の次の乗車に備えて上記フロアパネルの角度を所定の角度に保持する保持手段を設けた
請求項2〜6の何れか1に記載の自動車の可動フロア装置。
【請求項9】
乗員の乗車動作と降車動作を検出する乗車検出手段と降車検出手段とを設け、
乗員の降車動作の後、乗員の次の乗車に備えて降車動作検出時のフロアパネルの傾斜角度に対して、該フロアパネルの傾斜角度を小さく制御する乗車時フロアパネル制御手段を備えた
請求項4記載の自動車の可動フロア装置。
【請求項10】
上記フロアパネルは操作ペダルが近接して配設された運転席乗員下部のフロアパネルであって、
上記フロアパネル駆動手段は運転席乗員の足置き場と操作ペダルとの間の間隔を調整する調整手段を備えた
請求項1〜9の何れか1に記載の自動車の可動フロア装置。
【請求項11】
乗員の乗車動作完了を検出する乗車完了検出手段を設け、
乗員の乗車動作完了が検出された時、フロアパネルの制御が乗降用のフロアパネル傾動制御から運転姿勢調整制御に移行される
請求項10記載の自動車の可動フロア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公開番号】特開2006−1387(P2006−1387A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179073(P2004−179073)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】